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青森県下の遺跡に堆積する火山灰の蛍光X線分析
著者 三辻 利一, 松山 カ, 山本 成顕, 高林 俊顕
雑誌名 古文化財教育研究報告
巻 12
ページ 9‑14
発行年 1983‑03‑20
その他のタイトル X−Ray Fluorescence Analysis of The VoIcanic Ashes Piled Up in Many sites of Aomori
Prefecture
URL http://hdl.handle.net/10105/441
青森県下の遺跡に堆積す る火 山灰の蛍光 X線 分析
利 一 丼 ・ 成 顕 キ
・
山 林 松 高 辻
本 一
山 力
XX 俊 顕 X
半 奈 良 教 育 大 学 化 学教 室 )
Xキ 八 戸東高等 学校 地学教 室 )
(昭 和 58年 2月 7日 受理 )
1 は し め に
青森県下では各地 に火山灰 層が堆積 してい る。 これ らの火 山灰層につ いては層序学的に詳 しく 研 究 されてお り、上部層か ら順に十和田 a火 山層ヽ 十和田 b火 山層、 中鍛浮石層、 南部浮石層、
ニ ノ倉火山灰層、八戸火山灰層 とい う工合に分類されてい る。そ して、各火山灰層がいつの頃の 堆 積物であ るか も分か ってい る。一方、青森県 下にも多数の遺跡が発掘 されてお り、発掘中に地 層の間か らしばしば火山層が検 出され る。 しか し、 断片的に発掘 され るため、 どの層序に対応す る火山灰であ るか よ く分か らない場 合が多い。 も し、 これ らの断片的に発掘 され る火山灰が化学 分析によって どの火山灰層に対応す るものであるかが分かれば、遺跡の年代を推定す る上 に役立 つ。 このよ うな観点か ら青森県 下の遺跡に堆積す る火山灰の螢光 X線 分析が試み られた。 とくに、
エネル ギー分散型螢光 X線 分析法は非破壊・同時 多元 素 分 析 が 可能 であ り、多数の試料を迅速 に 自動処理できるので、 このよ うな 目的の分析法 としては最適で ある。 今回はいろいろの遺跡で 採集 した火山灰 を中心 として、 これ らが螢光 X線 分析によ って分類で きるかど うか、 また、類別 された場 合、各 グルー プが どの火山灰層に対応す るかを検討 したので報告す る。
2実 験 法
採集 された火 山灰は実験室へ持 ち帰 り、空気乾燥器の中で 120℃ で数時間乾燥 した。 この試料 を タングステ ンカーバ イ ド製乳鉢で 100〜 200メ ッシュ程度に粉砕 したのち、 直経 262の 塩化 ビ
ニール製 リングに入れ、約 15ト ンの圧力を加えて コイン状に ブレス成形 し、 螢光 X線 分析用試 料 とした。螢 光 X線 分析 には理学電機製 エネルギー分散型螢光 X線 分析装置が使用 された。本装 置では 2次 ター グットとして Tiを 使 用 し、真空下で測定す ると火山灰中の Si、 K、 Caが 測
定でき る。 また、 2次 ター ゲ ットとして Moを 使用 し、空気中では Fe、 Rb、 Srが 測定 され る。標準試料 と して、岩石標準試料 JG‑1を 使い、上 記の各元素が定量 された。分析 デーメは 標準試料 によ る規格化値で与え られ てい る。 Rb、 Sr、 Feな どは規格化値であることを示す。
3 分 析 結 果
図 1に は、 Rb一 Sr分 布図を示す。 この分布図は須恵器や ビーチサ ン ドの地域特性を表示す
‑9‑
る上 に有 効で あ った。
した が って 、火 山灰 の 特 性 も有 効 に示 され る 可 能性が あ ると考え ら れ 、 この分 布 図を採用 した。 図 1に み られ る よ うに、 明 らか に 3群
に分類 で きるこ とが分 か る。 この 3群 を便 宜 的 に A、 B、 C群 と名 付 け た。 そ うす る と、
陣馬 川原遺 跡で 採 集 し た十 和 田 a上 部火 山灰 と同定 され た火 山灰 は
A群 に帰属 し、同 じ く 十 和田 a下 部に対応 す る火 山灰 は C群 に帰 属
陣 馬 ′1原 遺 Fl 十和
i■aL部 人 山 ″ て 陣 馬 HI原 遺 跡 「 和 IIl a卜 部 火 山 灰
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した。 したが って、 A群 と C群 の層序関係は C群 が下位で A群 が上位で あることになる。 また、
十和田 a下 部か ら八 戸火 山灰まで C群 に入 るところか ら、青森県 下に堆積す る大部分 の火 山灰は
C群 に帰属す ることにな る。一方 、南郷村馬場瀬で採集 した上位火山灰は B群 に、下位火山灰は
C群 に帰属 した ところか ら、 C
群 は B群 よ りも古 い火 山灰で あ る こ とが分 か る。 しか し、 層 序 学 的 にみ て 明確 に同定 で きる試 料 の 中 に B群 に所属 す るもの が な く、 B群 は 一体、 どの火 山層 に 対応 す るの か不 明である。 ま た、 A群 と B群 の 層序 関係 も明 らかで は ない。 図 1を 全体 と し て 眺 めてみ ると、 Rb量 と Sr量 の 間に逆相 関の 関係が ある こ と が 分 か る。 この理 由は 日下 の と ころよ く分か らない。 最 も新 し い十 和 田火山灰が A群 で、 よ り 古 い十 和 田の a下 部、 十 和 田 B 火 山 灰が C群 に 属 し、 C群 よ り 新 しい火 山灰 が B群 で ある とこ
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Rb 一
0
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05 1.0 :.5 Sr
図 1 青森県下 遺跡 出土 火 山灰 の Rb一 Sr分 布
o 陣 馬 lll原 遺 跡 十和 田 a上 部
● 陣 馬 川 原 遣 跡 十 和 出 a下 部
0 05 ̲̲ :.0
Rb
図 2 青 森県下遺 跡 出土 火 山灰 の K― Rb相 関
‑10‑
│.0 一 K
0
ろか ら、 十 和 田火山灰の 噴 出 の 時期 に Rb― Srの 逆 相 関 関係 が 関連 す る のでは ないか と推 察 され る。 そ うだ とす る と B群 も十和 田火 山 灰で あ り、
しか も、 その年 代は十 和田 a 上 部 と下 部 の中 間 に相 当す る の で はなか ろ うか と推察され る。
2.0
陣馬 川原 遺跡 卜 fO田 a Hl馬 川原遺跡 十和 ma
図 2に は、火 山灰の K― Rb
相 関関係 を示 す。 A群 は K、 │.。
Rb量 と も多 く、 C群 は K、
Rb量 と も少 な く、 B群 は そ
の中 間 に分布 し、 全 体 と して 正 の相 関関係 が あ ることが分
か る。 花 こ う岩、 ビーチサ ン ° 5
ド、 土 壌のみ な らず、 全国の 窯 跡 出土須 恵器 にも、 K量 と
Rb量 の間 には正の相 関関係 が ある こ とが分 か ってお り、 0
こ こで もまた、 青森 県下 の火 山灰 に も この 関 係が成 り立 つ こ とが 明 らか とな った。
図 3に は、 Ca― Sr相 関 関係 を示 す。 A群 は Ca量 、 Sr量 とも少な く、逆に、 C群 は多い。
そ して 、 B群 はその中 間 に分布す る。 Ca量 と Sr量 の 間 に も正 の相 関関係が成 り立 つ ことは明 らか で あ る。 Kと Rb、 Caと Srは 各 々、元 素の周期表 上 で 同族 元 素 の関係 にあ って化学 的・
物 理 的性 質 は似 て お り、か つ、 互 い に イオ ン半径 も類 似 してい る とこ ろか ら、 Kと Rb、 Caと
Srは 各 々、 自然 界で は広 い範 囲にわ た って同 じ挙動 を と ってい ると考 え られ る。 その結 果 と し て、火 山灰か ら土壌、 さ らには窯跡 出土 須恵器 に至 るまで、 この 関係 が成 り立 つ もの と思 われ る。
図 3の 右 上 には相 関直線 よ りずれ て十 和 田 bグ ル ー プが分 布す る。 C群 の ほ とん どの点 は十 和 田 a下 部火 山灰 で あ ると こ ろか ら、 十 和 田 a下 部 と十 和田 bの 相 互識 別 が この図 上で で き る ことを 示 す。
図 4に は Fe量 を 比較 して あ る。 3群 は Fe量 で も相 互 識別がで きることが分か る。 すなわ ム
B群 が もっとも Fe量 が多 く、 C群 が も っとも少ない。 C群 の うち、 十 和 田 b火 山灰 は十 和 田 a 下 部火 山灰 よ り Fe量 が 多 く、 その ため Fe量 で識別 され る。 十 和田 bは 外 見上青味 を帯 びて お
り、 一 名青 バ ンと称 され るの は Fe量 が 多い こ とに起 因す ると思われ る。
以上 の結 果 、青森県 下に堆 積 す る火 山灰 は少 くとも 3群 に類 別 され る ことが分 か った。 よ く点
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