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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2019 年 2 月 7 日

形態学的手法による非加熱乾塩漬食肉製品における 亜鉛プロトポルフィリン IX の形成機構解明に関する研究

共生基盤学専攻 食品安全・機能性開発学講座 応用食品科学 尾崎 あかり

1.はじめに

パルマハムの安定で鮮やかな赤色は亜鉛プロトポルフィリン IX(ZnPP)によることがわかってい るが,ZnPP の詳しい形成機構はまだ明らかになっていない。過去の研究において,ロース肉を用いた 乾塩漬ハムを製造して ZnPP の分布を観察したところ,肉塊内部で一様に形成されており,共焦点レ ーザー顕微鏡を用いて観察したところ,ZnPP の蛍光が強い筋線維と弱い筋線維が存在した。一方で, 筋線維型に関係がある 2 つの ZnPP 形成機構の存在が示され,以前の研究で形成様相を観察したロー ス肉と,パルマハムに用いられるモモ肉とでは一般に筋線維型の割合が異なることから,形成様相 が異なるかもしれない。そこで本研究では,パルマハムに用いられるモモ肉を使った小型の乾塩漬 ハムを製造して ZnPP の分布を観察した。

2.方法

豚肉を 100~150 g ずつ切り出し,食塩のみで乾塩漬し,充填して熟成させ,小型乾塩漬ハムを製造 した。経時的にサンプリングして,紫色 LED を照射してハム断面の ZnPP 自家蛍光を観察した。さら に,凍結切片を作製して共焦点レーザー顕微鏡により ZnPP の形成様相を観察した。

3.結果及び考察

大腿二頭筋を用いた乾塩漬ハムを製造し,断面の ZnPP の自家蛍光を観察したところ,以前の胸最 長筋の結果とは異なり,リング状の強い自家蛍光が観察された。共焦点レーザー顕微鏡を用いて筋 線維における ZnPP 形成様相を観察したところ,リング部と中心部いずれにおいても ZnPP の自家蛍 光が強い筋線維と弱い筋線維が存在した。リング部と中心部の筋線維における ZnPP 形成様相は似 ていたが,リング部の自家蛍光が強く,ZnPP 形成が促進されていることが示唆された。これが筋肉の 差によるのかを調べるために胸最長筋に加えてモモ肉の数種類の筋肉を用いてハムを製造したが, いずれの筋肉においてもリング状の ZnPP 形成がみられため,筋肉の影響ではないと考えられた。一 方,同個体の同一筋肉においてもリング状になるものとならないものが存在したことから,個体の 影響ではないと考えられた。さらに,水分,塩分,pH,酸化還元電位や温度の影響を検討したが,これ らは要因ではないことが示唆された。

4.まとめ

大腿二頭筋を用いた小型乾塩漬ハムを製造したところ,以前の胸最長筋の結果とは異なり,リン グ状の強い ZnPP 形成がみられた。リング部と中心部では ZnPP 形成様相は同様であるがリング部で ZnPP 形成が促進されていることが示唆され,これは筋肉や個体間の差により起こるものではなかっ た。リング状に ZnPP 形成を促進させる要因として,水分,塩分,pH,酸化還元電位や温度についても 検討したが,これらは要因ではないことが示唆された。

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