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東日本大震災被災地域住民のこころの健康に関する研究

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Academic year: 2021

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東日本大震災被災地域住民のこころの健康に関する研究

-釜石市健康調査の分析による被災後の市民の精神的健康の実態把握-

中谷敬明・山田幸恵・桐田隆博

1. 研究目的

 2011 年 3 月 11 日 14 時 46 分に、東北・関東地方に 大きな地震が発生し、岩手・宮城・福島県の太平洋沿 岸部は大津波に襲われた。岩手県の沿岸部は人命、住 居、財産、生活、馴染んだ地域の風景などの多くの喪 失を伴う被災を体験した。多くの専門家が被災地域住 民のこころのケアに関する様々な支援を担当してき た。その活動の過程で、被災者のメンタルヘルスや身 体的な問題に、喪失体験が大きな影響を及ぼしている ことが指摘されてきた。

 岩手県沿岸部に位置する釜石市は甚大な被災を受け た地域のひとつである。被災直後から市保健師が避難 所において被災者の健康支援を担ってきた。2011 年 8 月上旬をもってすべての避難所が閉所となり、避難所 におられた方々は仮設住宅へと転居した。仮設住宅に おいても市保健師による健康支援が継続されてきた。

しかしながら、訪問時に不在であったり、 少人数で 50 カ所の仮設住宅全戸を訪問することは困難であっ た。そこで、釜石市保健福祉部健康推進課の協力依頼 に基づき、東日本大震災後の釜石市民の健康状態を把 握することを目的として健康調査を実施した。

本研究は中谷・山田と釜石市で立案し、調査は釜石市 が行い、分析は山田・桐田が担当した。

2. 研究方法

 調査は生活環境の変化が大きかった仮設住宅および みなし仮設住宅に居住している 19 歳以上の方(高校 生を除く)3,569名を対象とした。釜石市内の各地区 生活応援センター所属保健師および県内外からの応援 保健師が戸別訪問をし、面接形式の調査を行った。訪 問時不在の場合は調査票をポスティングし、郵便にて 返送を求めた。調査期間は 2012 年 2 月 7 日から 3 月 2 日であった。調査票は、1)現病歴、 2)K6等の 15 項目から構成され、「健康に関する相談」の有無を 自由筆記にて回答してもらった。

3. 結果

 対象者総数は 3,569名で、1,751名の回収が得られ た(回収率 49.1%)。分析は、調査票得点及び関係項 目から①自殺念慮あり、② K6 で 10 点以上+死につ

いての念慮あり、③ K6 で 10 点以上、④死について の念慮あり、⑤相談希望のみのカテゴリーに対象者を 分類し、て分析し、①から⑤を要フォロー者として報 告した。

 その結果、対象地区全体の 18.2%(A地区 17.5%、

B地区 19.0%、C地区 13.2%、D地区 18.5%、E地区 21.6%)が要フォーロー者であることが判明し、対象 地区全体の 6.2%(A地区 5.1%、B地区 6.1%、C地区 10.2%、D地区 5.4%、E地区 7.8%)が相談を希望して いた。

4. 研究の成果

 Raphael(1986,石丸訳 1989)は、災害等で住居を 失い、そこからの立ち退きに伴うストレス要因として

①人間の尊厳性の喪失と他者への依存、②不慣れで不 便な臨時の住居、③馴染みのない近隣と住まい、④近 隣関係と社会的ネットワークの喪失、⑤公共サービス の欠如、⑥住居・住所の恒常性への不安、⑦復旧段階 での行政との軋轢、⑧接死・臨死体験、生き残り、悲 嘆など災害性心傷による持続的な精神ストレス、⑨被 災・立ち退きによる仕事、余暇、教育その他日常的な 生活の多様な変化、⑩上記のすべてに起因する持続的 または新たな家庭内の緊張を挙げている。これらは 被災による仮設住宅への居住状況に当てはまると思 われ、しかもそれらがより凝縮している状態(加藤,

1998)である。

 本研究結果は、調査票の回収及び分析終了時にあわ せて、釜石市に報告し、各地区生活応援センター所属 保健師による地域精神保健活動の基礎資料として活用 された。

参照

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