韓国機械工業における技術力の推定
著者 岡田 仁孝
雑誌名 Bulletin of the Sohei Nakayama IUJ Asia Development Research Programme
発行年 1989‑03‑01
URL http://id.nii.ac.jp/1509/00000748/
韓国機械工業における技術力の推定
岡 田 仁 孝
1.はじめに
韓国のGNP成長率は、1955−60年は3.3%であったが、1960年代には9.5%、
1970年代には8.2%、そして1980−86には8.3%と、1960年以来、高い成長率を 保持してきた。(1にれは、1960年代における輸入代替政策から輸出促進政策へ の転換と、1970年と1980年代に見られる輸出促進政策とより高度な産業への輸 入代替政策とのミックスにより、ダイナミックな経済発展を成し遂げてきたか らである。(2)近年における韓国の経済力の強化は著しく、特に、1986年以降、
円高による対日価格競争力は、米国市場だけでなく発展途上国市場においても、
日本企業を脅かすまでになってきている。しかも、近年には、韓国企業による 東南アジアにおける直接投資が急激に増えており、東南アジアにおける生産拠 点の強化をも行われつつある。(3)しかし、…国の市場競争力と経済成長を長期 的に持続させていくのは、根本的にその国の技術力である。このように考えた 場合、はたして、韓国は本当に技術力がついて来たのであろうか。この問いに 対する答えをこの論文で探ってみたい。
確かに、…国の経済力は世界の産業構造、政治・経済情勢等の変化に大きく 作用されるが、経済発展において重要なのは、情勢の変化に対応できるだけの 基礎技術力を持っているかどうかである。…国の経済が他国に対して真の競争 力を持ち始めるのは、独自の技術を開発できるようになった時であり、その時 には世界の産業構造の変化も独自の力で克服することができる。故に、韓国の 国際競争力を知るためには、基礎技術力がついているかどうかを調べる必要が ある。しかし、韓国の技術力を推定することは、至難の技のように思える。あ
えて推定するとすれば、たぶん二つの方法があるであろう。一つは、現在の韓国 の技術が各業種において日本の技術水準のどのレベルに有るかを推定すること である。もう一つは、韓国の基礎的能力を推定する手段を考えることである。
前者の方法の場合、バーノンのプロダクト・サイクル(4)や赤松の雁行形態的(5)
な考えをもとに、各産業ごとに韓国が何年ぐらい遅れているか、また、日本の 成長に比べ何年ぐらい早いスピードで技術力を付けて来ているかを調べなけれ ばならない。しかし、日本の経済発展が良い例であるように、たとえ技術力が 低い状態にあっても、一度ある一定の水準まで到達すればマーケットの動向に より、著しいスピードで経済発展を成し遂げる可能性がある。これは、ガーシ ェンクロンが説く後発国の利点である。(6)又、日本の技術力を中心に考えてい ると、もし、韓国に技術的創造性がある場合には、日本が得意でない。あるい は、無視していた領域において、活発な経済活動を創造する可能性があり、そ の時には、判断の基準が誤まっていたことになる。また、この手法では、韓国 が始めて日本を追い抜く製品が出るまで、韓国の技術力を過小評価する危険性 がある。このような可能性を考えると、後者のような、国の基礎的能力を推定 する手段を考える必要性が出てくる。これは、一国の各々の産業における技術 革新度を推定することにより、基礎技術力の推定ができるように思える。(7)次 のセクションで、その手法を考えるとともに、それを使い韓国の機械工業の技 術力を推定してみよう。
II.技術革新度(Degree of Innovativeness)の推定方法
Figure 1は、 C。 Merle Crawfordの技術革新度を日本の半導体産業に合う ように変えたものである。基本的に技術革新度を三つに分ける事ができる。(8)
それは、Imitation、 Innovative Imitation、そして、 Creative Innovationであ る。Imitationは、 Experimental ImitationとImitation for Productionに分け ることができ、Creative Innovationは、Application Engineering、 Leveraged Creativity、そして、 State−of−the−art Breakthroughに分けることができる。
これらのステージは、基礎情報と知識の蓄積、外国技術対独自技術、market−
driven innovation対technology−driven innovation、研究開発費等の違いによ
り、技術革新度の判断基準を設定したものである。
既膿難II羅臨雛離蕪難螂惣撫鞭:
数々の実験を重ね複製品を作るステージを意味する。この段階においては、外 国技術が主流であるが、商業生産に従事する技術力がなく、また、企業の脆弱 性の故に独自技術の研究開発費も少ない。
Imitation for Productionは、ライセンシング等により外国技術を借り商業 生産に従事するステージを意味する。この段階においては研究開発が少し始ま るが、その目的は技術革新が主流ではなく、商業化のためのものである。しか し、研究開発と言っても、基礎技術力がなく、表面的なものとなる。
Innovative Imitationは、基礎技術を収得し生産態勢に余裕が生じた時、同 じ技術を使いながら市場を拡大できるような製品を開発するステージを意味す る。この段階では、商業化のための研究開発が増え、外国技術が当然主流であ るが、独自技術も少し現れる。しかし、基本的にinnovationは、市場獲得を目 的としたmarket−driven innovationである。
Application Engineeringは、収得した基礎技術を新しい領域に適応させる ため、その技術を発展させ、新製品を開発するステージを意味する。この段階 では、相当の研究開発費を必要とし、独自技術も増え、外国技術が主流でなく なる。また、研究の目的が、初めてmarket−driven innovationから技術そのも のの開発を主流としたtechnology−driven innovationへと変わってくる。しか し、technology−driven innovationとは言え、真に技術開発をするのではなく、
市場拡大のための新製品開発が目的であり、その点innovative imitationとの 違いがない。
Leveraged Creativityは、今まで蓄積された技術や知識をもとに、さらに巨 額の研究開発費を投じ新しい技術を作り出し、全く新しい領域での製品を開発 するステージを意味する。この段階では、独自技術が主流をなし、商業化より も応用技術の開発を目的としたtechnology−driven innovationである。技術革 新力とマーケッティングを融合させることにより、新製品で市場を独占しよう
とする。
Figure 1:Degree of lnnovativeness
Degree of InnOVatiVeneSS
Imltatlon Experlmental Accumulatlon of basic Imitation information and knowledge
To duplicate what was produced previously Not yet equipped with commercial production Little R&Dexpenditure Foreign technology dominant
Imitation Commercialization of products for Small R&Dexpenditure for Production commerclalization
Foreign technology dominant
Innovative Altering pioneering works Imitation more valuable to market Medium R&Dexpenditure for commercialization Market−driven innovation Small accumulation of indigenous technology Foreign>internal technology
Creative Application Application of knowledge to an Innovation Engineering area not previously apPlied
Development of new technology via the extention of knowledge Large R&Dexpenditure for COmmerCializatiOn>
applied field
Technology−driven innovation Some accumulation of indigenous technology Internal>foreign technology
Leveraged Utilizing knoWledge and skills Creativity to create drastically new
products
Marriage of marketing and technical innovation Large R&Dexpenditure for applied fields>commerciali−
zatlon
Technology−driven innovation Significant degree of indigenous technology accumulated Interna1>foreign technology
State−of−the− Most drastic change in the art Break− technological system through Inventing technology with the
possibility of forming new business and industry Extra large R&Dexpenditure for basic science
Technology−driven innovation Indigenous technology dominant
Internal technology dominant
Note:Crawford uses the categorization of更璽imitative/emulative, ヒ璽adaptive andく更pioneering uniqueness, rather than璽更imitation, 璽壁innovative imita−
tion and ヒ喫creative imitation. Also his categorization of《喫quick second, e更segment franchise and更更economic low price in the喫喫imitative/
emulative stage is found not so important for this research.
Source: C. Merle Crawford, New Products Management,(Homewood, I IL:
Richard D. Irvin, Inc.,1983), p.100. And R&Dclassification was borrowed from Ryuzo Sato, Gijutsu no Keizaigaku,(Tokyo :PHP Kenkyuusho,
1985).
State−of−the−art Break−throtlgh lよ基礎技術における革新的な変革を意味 し、この変革により全く新しい企業や産業が誕生づる。この段階では、巨額の 基礎科学における研究開発費を必要とし、technology−driven innovationでは あるが、長年にわたる独自技術の蓄積と研究開発の努力が必要である。
さて、この技術革新度の指標を使い韓国機械工業における技術力を推定する わけであるが、その例として、Footnote(9)に日本の半導体産業を分析した結 果を簡単に説明した。韓国の技術力がExperimental Imitation、 Imitation for Production、そして、 Innovative Imitationのステージならば、いまだ基礎技 術力が養われていないことを意味し、独自の力で技術発展を成し遂げる能力を 持たないと判断できる。このステージにおいては、外国からの技術移転が重要 な経済発展の要素となる。Application Engineeringのステージならば、独自の 技術力を持っていると判断でき、強力な国際競争力を培いつつあることを物語
っている。もし、Leveraged Creativityのステージならば、もう、対等の立場 における競争が始まっていると言っても過言ではない。それでは、次のセクシ
ョンで韓国の技術力をおおまかではあるが、推定してみよう。
III.韓国機械工業における技術力の推定
韓国機械工業における技術力を推定するには、各機械工業の技術発展の歴史 をFootnote(9)のように詳細に調べなければならない。しかし、このような歴 史を調べる資料は、日本国内にはあまり多くなく、また、時聞的、且つ、コス ト的な制約があるため、誤まった推定をする危険性を知りながらも限られた情 報をもとに推定を行う。韓国の産業研究院が、国家長期発展構想(工業部門編)
を1986年2月に出版したが、その中の「機械工業の主要業種別技術発展展望」
(資料1)と電子工業セクションの「主要品目別技術水準展望」 (資料2)を 前述のカテゴリーを使い分析したものである。⑩これらの表は、現代、1984−
1990年(資料2では1986年一1990年)、そして、1991年一2000年の3つの時期に 分けられ、各々の時期における商品生産のターゲットを設定したものである。
また、同じ表に欧米・日本の現在の開発動向も列記されている。その分析結果 を表1にまとめた。
表1の分析は、次のように行った。輸入(N1)や導入(N 2)と書かれて いる場合には、No Production(N)と推定し、この段階では技術革新度は全く 関係がない。輸入組立(11)や国内生産(12)と書かれている場合には、Imitation for Production(1)のステージと推定した。国産化←凸部部品国産化=HI 1、部 品国産化=HI 2、国産化=HI 4)、または、革新部品輸入(HI 3)と書かれて いる場合には、外国技術に依存しているが、ある程度の独自技術が蓄積されて いなければ、国産化が出来ないと見なしInnovative Imitation(HI)のステージ と理解した。国産固有モデル(VHI)と書かれている場合が、 market−driven innovationの典型的な存在であり、 Innovative Imitationのより優れた形態と 見なしVery High Innovative lmitation(VHI)と名付けた。開発(A1)とい
う言葉が出て来た場合には、国産固有モデルよりも、よりtechnology−driven innovationの性格を示し、割と大きな研究開発費が必要となることから、 Ap−
plication Engineering(A)に近いものと判断した。 xは、現在先進国が開発し ようとしている類似品を韓国が開発しようとしていることを示している。もし、
先進国が開発している製品を韓国が、現在、開発しようとしている時には、先 進国はLeveraged Creativityのステージにあるので、韓国もLeveraged Crea−
tivityのステージにあると判断できる。
表1によると、例えば、一般機械の原動力においては、現在の技術水準ター ゲットは、小・中型エンジン国内生産(12)と燃料噴射装置の国産化(HI 4)
と書かれ、2項目のうちの両項目に(2/2)に判断基準となる言葉が使われてい た。このことから現在の技術水準はImitation for ProductionとInnovative Imitationのステージが混在していると推定できる。1984年から1990年にかけて
は、ピストンやピストンリングの特種鋳造方法開発(A1)と書かれており、
ApPlication Enginneringの領域に致達しようとする努力が見られる。又、1991 年から2000年にかけては、代替エネルギー利用方法開発(A1)、耐熱材料開発
(A1)、燃料供給、噴射、点火自動制御装置開発(A1)と書かれており、完全 に開発に主流が置かれていることがわかる。また、欧米・日本との比較において は、3項目のうち、2項目が同じであり、1990年代に先進国の現在の研究開発 状態に到達しようとする努力が伺われる。この推移をパターン化すると1・HI一
表1:韓国機械工業における主要業種別技術発展展望とlnnovativenessの推定
部門及び業種 現在 1984−90 1991−2000 先進国 パターン 機械要素 12 x1/3 x1/3 x2/3 1−VHI−A A12/3
一般機械
原動機 12,HI42/2 A11/3 A13/3 1・HI−A−A x2/3 x2/3
農業機械 VHI,HI22/2 VHI 1/2 A11/3 HI・VHI−VHI−A x1/3 x 1/3
金属工作 HI21/1 HI41/4 A12/3 HI−HI−A 加工機械 x2/3 x 2/2
木工機械 121/1 VHI 1/1 x1/1 x1/1 1−VHI−A 建設鉱山機械VHI,HI22/2 VHI,HI42/3 A12/3 HI・VHI−HI・VHI−A x1/3 x 1/3
繊維機械 12,HI22/2 ? x2/3 x 2/4 1・HI−?−A
食品加工機械HI41/1 VHI 1/1 x1/2 x1/2 HI−VHI−A 化学機械 12,HI12/2 HI4,VHI 2/2 x 2/4 x2/4 1・HI−HI・VHI−A ゴム・プラスチック12,112/2 HI4,1/2 Al 1/2 1−HI−A
加工機械 x1/3 x1/3
紙・製本機・N11/1 HI 1/1 HI41/3 N−HI−HI・A 印刷機械 x2/3 x 2/3
ガラス・窯業N1 1/1 HI4,VHI 2/2 HI4,Al 2/3 N−HI・VHI−HI・A x1/3 x 1/3
事務機械 12,A1,HI43/3 A1,HI42/3 x2/3 x 2/3 1・A・HI−A・HI−A 流体機械 121/1 HI41/1 ? ? 1−HI−A 運搬・荷役機械 HI21/1 VHI,A12/2 x1/2 x1/3 HI−VHI・A−A 裁縫機 121/1 VHI 1/1 xl/1 x1/2 1−VHI−A 冷凍器 121/1 121/2 A11/2 H−A x1/2 x 1/3
包装機械 121/1 HI21/2 Al 1/2 1−HI−A x1/2 x 1/3
電気機器
回転電気機械121/1 Al 1/1 Al,HI42/2
x1/1 x1/2 1−A−HI・A 電気制御機器121/1 HI42/2 A11/1 1−HI−A
部門及び業種 現在 1984−90 1991−2000 先進国 パターン 家電機器 VHI 1/1 Al l/2 A11/2
? x2/2 x2/3 VHI−A−A 電線・電球 A11/1 ? ? A−?−A 精密機器
光学機械 HI42/2 HI21/3 A1,122/3
x2/3 x1/4 HI−HI−A・1 試験計測機器NI l/1 HI4,A12/2 HI41/3 N−HI−1{1 医療機器 N11/1 HI21/l A11/2 N−HI−A 時計 121/2 ? A11/3 1−?−A 家庭用電子機器
カラーTV I2, HI3,AI AI 2/4 ? 1・HI−A−A VTR, VDP HI31/1 A11/2 x 2/2 x2/2 HI−A−A オーディオ機器11,11,A3/3 AIHI42/2 A12/3
x3/3 x3/3 1・A−HI・A−A 産業用電子機器
コンピュウター122/2 A11/2 A12/3
x2/3 x 2/3 1−A−A コンピュウター123/3 12,12,HI4,AI I2,A1,Al,Al,
周辺機器 4/5 4/4 x4/4 x 4/4 1−HI−A コンピュウターN21/1 N21/1 121/1 x 1/1 x 2/2 N−N−1・A 応用機器
通信機器 A1,A1,Il A14/6 xO/7 xO/7 A−A−A
3/3 12 1/6 1C AI,Il 2/2 12,A1,123/3 Al
x1/2 x1/3 x2/3 A・1・L−A・1・L−A。L
Note:N(No Production)=N1(輸入);N2(導入)
1(Imitation for Production)ニ11(輸入組立);12(国内生産)
HI(Innovative Imitation)=HII(一一部部品国産化);HI2(部品国産化);
HI3(革新部品輸入);HI4(国産化)
VHI(Very High Innovative Imitation)=VHI(国産固有モデル);
A(Application Engineering)=A1(開発)
L (Leveraged Creativity)
x=現在先進国が開発しようとしている類似品の開発 s/t=t個ある項目の内s個がそれに該当する ?=記述なし
基礎資料 産業研究院、国家長期発展構想(工業部門編)、1986年
A−Aとなり、1984年から1990年までのあいだに、Application Engineeringス テージに到達するターゲットを設定している。
同じような分析を各時代区分ごとに各業種で行った場合、次のような結果を
得た。
A.現在
1)輸入ステージ(N)
紙・製本機・印刷機械 ガラス・窯業 試験計測機器 医療機器 コンピューター応用機器
2)Imitation for Production(1)ステージ 機械要素 木工機械 ゴム・プラスチック加工機械 流体機械 裁縫機i 冷凍機i 包装機械 回転電気機械 電気制御機器 時計
コンピューター コンピューター周辺機器 3)Imitation for Production(1)とInnovative Imitation(HI)の混 合ステージ
原動機 繊維機械 化学機械
4)Innovative Imitation(HI)ステージ
金属工作加工機械 食品加工機械 運搬・荷役機械 光学機械 VTR・VDP
5)Innovative Imitation(HI)とVery High Innovative Imitation (VHI)の混合ステージ
農業機械 建設鉱山機械 6)Very High Innovative Imitation(VHI)ステージ 家電機器
これらの業種においては、Application Engineeringに到達しておらず基礎技 術力がまだ付いていないといえる。しかし、現在、すでにApplication Engineering
(A)の可能性を示している業種は、次のようなものがある。
7)1とHIとAの混合ステージ
事務機器 カラーTV 8)1とAの混合ステージ
オーディオ機器 通信機器 9)Aのステージ
電線電球
10)Aと1とLeveraged Creativityの混合ステージ IC
7)と8)における業種は、いまだ基礎技術があるかどうか確かではないが、
少なくともApplication Engineering的な研究開発が既に行なわれている。9)
においては資料不足のため、これ以上の推測は危険である。さて、10)のICに おいては、Imitation for Productionのレベルも見られるが、 Application Engineeringのレベルだけでなく、先進国が現在行っている研究開発を韓国で
も行っており、これは、Leveraged Creativityのレベルでも存在することを意 味する。ICにおいても、まだ、技術力にむらが有り、正しい判断をすることは 難しいが、基礎技術力がつき、国際競争力を相当強く持つ可能性を秘めている。
B.1984年一1990年 1)輸入(N)ステージ コンピューター応用機器
2)Imitation for Production(1)ステージ 冷凍器
3)Innovative Imitation(HI)ステージ
金属工作加工機械 紙・製本機・印刷機械 流体機械 包装機会
電気制御機器 光学機器
/1, 、, ・ r 豊 い,
」
医療機器 ゴム・プラスチック加工機器 4)Innovative Imitation(HI)とVery High Innovative Imitation (VHI)混合ステージ
建設鉱山機械 化学機械 ガラス・窯業機械
5)Very High Innovative Imitation(VHI)ステージ 農業機械 木工機械 食品加工機械 裁縫機
上記の業種は、1990年までにApplication Engineeringのレベルに到達出 来るようにターゲットは設定されていない。
6)Application Engineering (A)ステージ 機械要素 原動機 回転電気機器 家電機器 カラーTV VTR・VDP コンピューター
7)Innovative Imitation(HI)とApplication Engineering(A)の混 合ステージ
事務機械 試験計測機器 オーディオ機器
8)Very High Innovative Imitation(VHI)とApplication Engi−
neering(A)の混合ステージ 運搬荷役機械
9)Imitation for Production(1)とInnovative Imitation(HI)と Application Engineering(A)の混合ステージ
コンピューター周辺機器
10)Imitation for Production(1)とApplication Engineering(A)
通信機器 IC
7)8)9)10)においては、新技術導入のため数々のステージがミックス されているが、Application Engineeringのレベルへ到達しようとする努力は、
1』 1 ・ ・曇毒
益々強くなるものと思われる。6)においては1990年までにこのレベルに到達 することをターゲットとしている。
C.1991年から2000年
1991年から2000年にかけて、コンピューター応用機器以外すべての業種にお いて、Application Engineering(A)の領域に到達することをターゲットとし ている。特に先進国が現在行っているレベルの研究開発を、この時期までに行 えるよう基礎技術力を付けることを大きな目標としている。すなわち、韓国は、
日本に約15年の技術的な遅れが有ると考えている。
N.結 論
情報不足により誤まった推定をする可能性が相当強く、この分析を各業種の 専門家が再度点検する必要がある。私が日本の半導体産業の研究から得た分析 手法を使って、韓国の技術力を推定した結果によると、まだ、ほとんどの産業 において基礎技術力がっいていないように思えるが、事務機器、カラーTV、
オーディオ機器、通信機器、ICの業種においてApplication Engineeringの領 域も出てきており、近いうちに基礎技術力をつける可能性が極めて高い。これ
らの産業は、韓国の輸出促進政策のターゲットとされている産業であり、急速 に技術力をつけていくものと思われる。1984年から1990年までの問に、韓国は、
相当数の業種において基礎技術力を養う事を目的としており、1990年から2000 年には、完全に基礎技術力をつけ、現在先進国が行っているレベルの研究開発
を自国でも出来るようターゲットを設定している。韓国は、先進国に約15年の 技術的な遅れが有ると考えているようである。
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Notes
(1)通商産業省「経済協力の現状と問題点 1987年」東京:.通商産業調査会、
1985年。
(2) Ibid.
(3)日本貿易振興会海外経済情報センター「NICs企業のアジア戦略」87−ECB、
720−112、76、東京:日本貿易振興会、昭和62年12月。
(4)Raymond Vernon, tt The product cycle model, in Transnational Corporations and World Order:Readings in International Political Economy,(san Francisco:W.H. Freeman and Company,1979),
pp.108−117.
(5)Kiyoshi Kojima, Japanese Direct Foreign Investment:AModel of Multinational Business Operations,(Tokyo:Charles E. Tuttle, Co.,
1978).
(6)Alexander Gerschenkron, Economic Backwardness in Historical Perspective,(Cambridge:Harvard University Press,1951).
(7)Yoshitaka Okada,( Technological and organizational developments in Japanese integrated circuit firms:an exploratory study, report submitted to the United Nations University Project on Self−Reliance in Science and Technology for National Development,1986.
(8)See Okada, pp.87−88;C. Merle Crawford, New Products Management (Homewood,111.:Richard D. Irwin, Inc.,1983), p.100;and Ryuzo Sato, Gijutsu no Keizaigaku,(Tokyo:PHP Kenkyuusho,1985).
(9) 日本の半導体産業における技術革新度の発展を分析した結果がFigure 2である。この図を簡単に説明すると、半導体産業の歴史は、1948年電 気試験所が中心になり、学者、企業の研究員、政府研究所の研究員が勉 強会を作った時から始まる。この時よりExperimental Imitationステー ジ(1984−1953)が始まり、その結果、電気通信研究所が、アメリカより 4年遅れ1951年に、アメリカのパテントに頼らず日.本で初めて点接触型 トランジスターと接合型トランジスターの試作に成功した。しかし、研 究所内での.試作は、商業生産には役にたたず、日本の企業は、アメリカ の.企業と技術契約を結ぶことにより、初めて商業生産に従事することが できた。(1952−1954)。商業生産の開始により、Imitation fof Production のステージ(1954−1959)に入るわけであるが、この段階での最初の製品 は、SONYのトランジスター・ラジオであった。日本においては、半導 体の通信技術への応用や江崎ダイオード(1957)の発明等、Innovative Imitationや Leverage Creativityの面も見られたが、技術的には Imitation for Productionの域を越えていなかった。
1958年にWestinghouse Elegtric CorporationがMolectronics、 RCA がMicromoduleを発明し、半導体技術がICという新しい局面に移行し ていった。日本企業においてもICを開発するために多くの研究所が設 設立され、この波に乗じてトランジスターにおいても研究活動が盛んに なり、トランジスター・テレビやトランジスター計算機(世界初)等の マーケット獲得のための新製品が開発された。半導体技術においても独 自技術の開発が行われ、アメリカのパテントへの依存度が少し低下した が、これらの製品に必要な半導体(Epitaxial Planar Transistorや Silicon Planar Transistor)は、アメリカで開発されたものであり、外 国のパテントが主流であった。故に、外国技術を主流にmarket−driven innovationを行うInnovative Imitationステージ(1960−1964)に移行し たと言える。
さて、1958年から技術面における主流は、トランジスターからICへと 徐々に移行していくわけであるが、日本においては1960年に電気試験所 がSolid State Circuitの試作に成功している。しかし、トランジスター の時と同じく商業生産の技術が弱く、FairchildのPlanar Patentをフ ルに利用することにより、日本企業は1962年にサンプル牛産に成功して いる (Experimental Imitation Period 1958−1962)。しかし、この時点 では、日本の市場の主流はトランジスターとMT管であったため、ICの 市場は開発できず、market uncertainty(1963−64)のためにImitation for Productionの準備ができていながら、その段階への移行ができなか った。この間、アメリカでは半導体技術はさらに発展し、日本企業は、
約5年の技術的遅れをなす結果となった。
日本の企業をこの遅れに目覚めさせたのは、1964年のTexas Instrument の投資事件であった。この事件をきっかけにICの生産と研究開発が盛ん になり、企業間の競争も激化した。この時の研究開発ターゲットはMOS ICであり、[1本企業はアメリカに比べ2年遅れの1967年にその生産に成 功している。この事実からすれば、日本はICにおいてやっとImitation for Production(1965)に到達したことになるが、この時期には、1960年 頃からの研究所を中心にした企業の研究活動が身を結び、Metal Oxide Passivation, Multiple Masking、 SiSiO2 Metalic Oxide Filming、 Low Tempreture Passivation等のプロセス技術において独自の技術を開発し、
徐々にではあるが、アメリカのパテントから開放されていった。トラン ジスター期における技術の蓄積にさらに研究開発を加え、IC生産の初期 に外国パテントに頼っていた企業が、独自の技術を使い生産できるよう になってきた。この事実は、Innovative Imitationのステージを飛び越 え、新製品を開発して競争力を付けようとするmarket−driven innovation から技術そのものを開発し競争力をつけようとするtechnology−driven
innovationに変わったことを意味し、これはApplication Engineering に近いステージとなる(1965−1967)。
Application Engineeringが進展すると、高度の技術革新力が付き、
日本企業もメモリーICの領域においてアメリカを凌ぐ技術力を持ってく る。その現れが、技術研究組合によるN−MOS. ICであった。アメリカ が先に開発をしていながら、製品化が不・∫能と見なされていたICを日本 が製品化に成功(1968)したのである。日本の半導体技術は、独自の生 産技術をもとに研究と開発を進め独自の技術開発を行うことが出来る段 階まで進んできた。これは、Leveraged Creativityのステージ(1968)
を意味する。
しかし、日本がN−MOS. ICを開発した年に、 Texas Instrumentsは、
MOS. LSIの発表を行なった。当時、日本企業はLSIを作る技術を持っ ていなかったが、トランジスターやICの時と違い、基礎技術力が既にあ るため、2年遅れではあったが、独力でLSIの開発に成功(1970)して いる。しかし、マーケットは、アメリカ企業が独占しており、これを回 復するのに2年の月日がかかり、market uncertainty(1969−1971)のた めに、LSIの生産は停滞ぎみであった。外国企業に対抗するため、目本 企業は生産の自動化を進め、良質で安い製品を作り競争力を増していっ た。LSIの生産は、基本的にはアメリカの製品の真似をするImitation for Productionレベルの話しであるが、まず、この生産が外国のパテン トに頼らなかったという点からすればInnovative Imitationのレベルで あり、ほとんど独自技術で開発に成功したことは、Application Engineering のレベルだと判断できる。この事は、一国の技術の蓄積が十分進み、国 際競争における大きな技術変革も独自の力で克服することが出来ること を意味する。
このような技術力の蓄積は、当然、Levraged Creativityのレベルま で進展した。超LSI技術研究組合による世界初の64K Bit VLSIの成功 と、その後の発展は、日本企業の国際市場の独占を可能にし、日本の技 術力がState−of−the−Art Breakthroughには程遠いが、技術力において は、他の先進国と対等、あるいは、優位の立場に立つことが出来るよう になった。しかし、これは、半導体そのものの発明というState−of−the−
Art Breakthroughが現在日本が持つ技術力を陳腐なものにしてしまわ ないと言う前提での話しである。
(1① 産業研究院、国家長期発展構想(工業部門編)、ソウル:産業研究院、
1986年。
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