西独連結会計制度の一研究
−−一連結範囲をめぐって−
笠 井 敏 男
Ⅰ はじめに
西独において連結会計制度が導入されたのは,比較的新しく1965年の株式 法改革に・よってである。この改正によって−コンツェルン計算規定(株式法欝329 粂′}第338条)が新設され,それまで企業の任意に委せられていた占ンツ,エル
ソ決奥書(コンツェルン貸借対照表とコンツェルン損益計算書)およぴコンツ ェルン営業報告書の作成が強制されることとなった。
我国に.おいても,近年経済の急速な発展に伴い,企業規模が巨大化し,企業 集団化現象が顕著となり,従来の個別財務諸表だけでは適正な財務情報を利害 関係者に.開示することが困難となり連結会計制度導入の必要性が叫ばれるよう になってきた。このような状況のもとに,昭和42年5月,企業会計審議会ほ大 蔵大臣の諮問に応じて連結財務諸表の作成基準を示した「■連結財務諸表紅関す る意見書」(以下ー ̄連結意見書」という。)を答申した。そして昭和46年6月に ほ,大蔵大臣.より企業会計審議会に.対し連結財務諸表を制度化するための具体 策について諮問が行われ,それに対する答申が近く出される予定である。また 本年3月紅は,連結財務諸表制度化の一つの前提である商法の一部改正も行わ れ,連結会計制度導入の準備が着々と進められ,早ければ来年にも連結財務諸 表の作成が制度化される予定である。ところが我国の場合,今までのところ連 結に関する会計慣行さえも十分存在せず, ■例外的紅.ADRやEDR等を発行し
ている若干の会社がSECへの提出とか,国外の投資家への情報提供のた率に
連結財務諸表を作成しているにすぎないd そのために.連給金評判度導入紅あた
第47巻 発1号 14
−J4 −
っては,すでに連結会計制度を実施している諸外国の実情を比較検討する必要 がある。とりわけ西独連結会計制度は大いに参考になるものと思われる。
そこで,本稿では,連結会計制度の導入軋あたって,最も重要で,かつ最も 困難な問題である連結範囲に焦点をしぼり,西独株式法における法規制の具体 的内容およびそ叫が西独遵糖実務においてどのように取扱われ,またどのよう な問題が生じてい
い。
ⅠⅠ連結範囲に関する株式法の規定
連結範囲に直接関係ある株式法の規定は第329条にみられ,その第1項にお いて,いかなる企業がコンツェルン決算書およびコンツェルン営業報告書を作 成すべきかについて次のよぅに規定している。
「コンツェルンに.おいてコンツェルン企業が国内に住所を有する株式会社 またほ株式合資会社(上位会社)の統一・的指揮のもとにあるときほ,.上位会 社の取締役ほ上使会社の年度決算書の決算日にコンツ.ェルソ貸借対照表およ ぴコンツェルン損益計算書(コンツェルン決算書)ならびにコンツェルン営 業報告書を作成しなければならない。」
また,同条第2項において,上記第1項の規定に基づいてコンツェルン決算 書の作成義務ある企業が,コンツェルン決算書の作成にあたって,いかなる従 属企業を連結の対象とするかを決定する場合の基準について次のように規定し ている。
「コンツェルン決算書には,国内に住所を有する各コンツェ.ルソ企業のう ら,その持分の過半数がコンツェルン企業に属するものを含めなければなら ない。コンツェルン企業の非重要性のためコンツェルγの財産状態および収 益状態の表示が悪影蜜を受けないときほ,これを連結しないことができる。
その連結がコンツェルン決算書の表示価値紅悪影響を及ぼすべき場合に.は,
連結してほならない。その他のコンツェルン企業ほコンツェルン決算書に含
めることができるdrそれが国内に住所を有しそ¢連結がコンツェルンの財産
西独連結会計制度の一一研究 −J5 −
15
状態および収益状態について異なった判断を導く場合に.は.,これを連結しな ければならない。」
以下,これら二つの法規定の具体的内容について詳しく検討することにしょ う。
上記二つの規定よりコンツェルン決算書に.含められる企業は,コンツェルン
(11
を構成するコンツェルン企業に限られる。そこで,まずコンツェルン企業とほ 株式法上いかなる企業を意味するのかを明らかにしておくことにしたい。
1 コンツェルン企業概念
コソツヱ・ルンお皐びコンツェルン企業の概念についてほ,株式法第18条にお いて定義されている。それに.よると「−一つの支配企業と一つまたは複数の企業 が支配企其の統一泊勺指揮のもとに総括されているときほ,これらの企業ほ血つ のコンツェルンを形成し,その個々の企業ほコンツェルン企業である。」(株式 法第18条第1項)と規定され,また「億律上独立の複数の企業が他の企業に.従 属す・ることなく,統一・的指揮のもとに.総括されているときは,これらの企業も
またコンツェルンを形成し,その個々の企業はコンツェルン企業である。」(株式 法第18条第2項)と定められている。前者ほ垂直コンツェルン(UnteI−Or■dnungs−
korlZern)および垂直コンツ.r.)Vン企業(Unter・Ordnungs一Ⅹonzernunternehm−
en)を,後者ほ水平コンツェルン(Gleichordnungskonzern)および水平コY ツェルソ企業(Gleichor・dnungs−Ⅹonzernunternehmen)を規定したものであ る。ただし,株式法第18条の規定咋・,コソツェ・ルソおよびコンツェルン企業に 関する−・般的な概念規定であり連結範囲に関する株式法第329条の規定におい てはこれを狭く解し,前者のみを対象とする。その理由は,コンツ㌃ルソ決算 書ほ「上位会社」(Ober・geSellschaft)の取締役が作成すべきものとされ(株式 法第329条第1項第1文),支配・従属関係の存しない水平コンツェルンた.あっ
(1)DezIHauptfachausschu色desInstituts der WirtschaftspI呵er Sonderaus岳chu色 Neues Aktienrecht,Stellungnahme NA5/68:㍑Zur Einbezieh皿g VOn Unter・
nehmenin Mehrheit畠besitz ohne einheitlicheLeitungindenKohzernabschlu色i,
in:βよgIy∠γ・fざC加ノわ♪γ滋メお〃g,Jg.21,1968,S.584.
第47巻 第1号 16
−・−J6−
(2)
ては,上記二つの計算書の作成義務はないと解されているからである。
それはともかくとして,株式法第18条の規定よりコンツェルンの本質的メル クマールが賂一的指揮の存在にあることほ明らかであり,コンツェルン企発と
は,統一朋指揮そのものを行使している企業であるか,あるいは統・一的指揮の もとに服している企業のいずれかである。ここに,コンツェルン企業概念な明 確にするためには,まず緻一・的指揮とは何を意味するかが明らかにされなけれ
ばならない。ところが,株式法上これ紅ついて明確な規定はない。株式法第18 条に関する政府草案理由書によれば,統一・的指揮は「コンツェルン指揮者がコン
ツェルン会社の営業政策およぴその他の業務執行上の基本的問題を慣次決定し
(3) ているならば」存在するとされ,「この決定は,なんらの指図権(Weisungsrecht)
を前提としない。それは多分共同の討議という緩やかな形式によっても遂行し うるし,またほ役員の派遣(personelleVerflechtung)に,よっても生じうるので
(4)
ある。」と述べられている。しかし,これだけの説明でほ,「営業政策」「その他の 業務執行上の基本的問題.」の具体的内容が明示されておらず,またその決定が 何時行われる場合であるかについても明らかにされていない占 したが?て,統 一・的指揮が具体的にいついかなる場合に存在するかほ.法線上明らかでない。
(さ)
結局,ケース・バイ・グー・スによって判断せざるをえないのである。しかし,
法規定である以上客観性が尊重されなければならないことはいうまでもないで あろう。
それでは,統一的指揮の存在,したがってまたコンツェルン企業であるか否
(2)Peter,Scherpf,Die akiienrechtliche Rechnungslegung md Pritjおng,1967,
S.ⅤⅠ251.
(3)(4)BT■uno,ⅩIOpff,A如∠−β邦gβ5βね,乃・裏庭鮎g〃∂βdβ・S・月虐烏■β〝gβSβ′gg・Sぴ♂研 9・
9.1965雛査fβ♂gγお乃d〝〝g dg・S 戯離β′ 獅都甲血加丞㍉風肌(勿チ(ねざ 一路れ朗血那封ゐ〟−
5∫βぶ♂β∫βg加ゎ(加乃β〝〝dβぶf〃ggぶ,1965,S..33
慶応義塾大学商法研究会訳「西trイツ株式法草案および理由書」〔1960年〕慶応通信,
1966,153ぺ−ジ。
(5)前田蛮行稿「ドイツ株式法におけるコンツェルンの規整」r法学協会雑誌J8巻12号,
1673ぺ・−ジ。
西独連結会計制度の一鵬・研究 ー プア ー
Ⅰ7
かほ,株式法上どのようにして決定されるのであろうか,この点を次に検討す ることにしょう。
上に述べたごとく,酪一朝指揮の観念についてほ,法律上必ずしも明確にさ れていない。しかし,この点に関しては株式法上それはど大きな問題とほなら ない。というのほ,統一場勺指揮ほ,株式法上他の法規定との関連に.おいで比較 的簡単にその存在が推定されるからである。ここにいう他の法規定とほ.次にあ げる三つの推定規定である。
(a)過半数被参加企業(in Mehrheitsbes主tz stehenden Unternehmen)は,
過半数参加企喪(mitMehrheitbeteiligten Unternehmen)に従属するも のと推定される′(株式法欝17条第2項)。
(b)従属企業ほ,支配企業とともにコンツェルンを形成するものと推定さ れる(株式法18条欝1項第3文)。
(6)
(c)企業間に支配契約(株式法算291条)が存在し,またほ,そのうちの・一・
(7)
企業が他の企業に編入されている(株式法第319条)ときほ,これらの企業 は,統・一・的指揮のもとに総括されているものとみなされる(株式法第18粂 第1項第2文)。
でほ,上記三つの推定規定からどのようにして統一・的指揮の存在が導き出さ れてくるのであろうか。
(8)
この点について,Giinte工・Kleinほ次のような図でその関係を明示している。
(6)支配契約とは,それによって一つの株式会社またほ株式合資会社がその会社の指揮 を他の企業に.従属せしめる契約である(株式法第291集貨1項)。
(7)編入は,株式法改正に皐り新たに設けられた制度である。すなわち,ある株式会社
(A会社と呼ぶ)の株式の95%以上が国内に住所を有する他の株式会社(B社と呼ぶ)
に所有されているとき,A会社は株主総会の決議によりB会社に編入されることがで きる(株式法第319条第1項,算320条第1項),A礼を編入会社(eingegliederte Gesellschaft)といい,B祉を主幹会社(fIaupt gesellschaft)という。編入会社は 法律上は独立しているが,経済的にほ支配会社たる主幹会社の一・経営部門と変わらな ノ い。
(8)G血t即・,Ⅹ1ein,β∠β♪r戎ノお〝g dβ・S ∬の之Zgγれ〃わ5C息ね柑・ざg5 〟ガ♂ dβ・S 肋〝gβγ乃−
gβ・S亡舶.什蕗即吏カタ♂ぶカ〃Cカdβ桝A肋β〝gβ5g上之1965,1970,S‖ 63
第47巻 滞1弓 コ ンツ ェルン
ーー〈\\
垂直コンツェルン 水平コンツェルン
18 ー・Jβ −
株式法第】8粂第l項 株式法第!8集茶2項
反証不斧巨な擾定 株式法第18桑第I
続・−的指揮
/
反証可能な朝誠 一株式法第柑条第l項第3う:
犠 戦\
支配的影響力
(株式法卸7条第l項) 過半数栄泰参加企業
//へ\
資本金過半数 論決権過半数
株式法第】6粂第l項 株式法第16桑折l項
旧株式法(1937年)でほ,第15粂払おいて,コンツェルンをコンツェルン関 係と従属関係とを包括した概念として把えていた。ところが,本来両者は同一 ではなく,また必ずしも結びつくものではないとされ,新株式法(1965年)に おいては.,両者を明確軋区別し,コンツェルン関係は支配的影響力が事実上行使
されてヽ、る場合軋存在するとされ,従属関係は支配的影響力を行使しうる状態
(91 にあれば存在するとされる。したがって,従属関係が存在する場合であっても
支配的影響力が事実上行使されていない限りゴンツェルソ関係は存在しない○
従属関係,すなわち従属性は上記推定規定(a)に・より過半数資本参加に・よっ
て推定される。過単数資本参加は株式法第16条の規定により資本金または儀決
権の過半数を直接またほ従属企業を通じて間接に保有する場合紅存在する◇過
半数資本参加以外に.また従属関係は,契約上の協定または事実上の関係によっ ても存在する。前者の代表的具体例として支配契約があげられる0また後者の 例として定款規定,経営委任契約(Betriebsiiberlassungsvertrage),供給契約
(LieferungSVertrage)等があげられる0
そして,従属関係が存在する場合には,上記推定規定(b)匿よりコンツェル
(9)Dieter,B6ning, Probleme des Konzernsund der Kapital血solidiさ!ung
nachneuemAktienrecht, in:Betriebswi rtschafuiche Forschung mdPraxis,
1g‖19,1967,S.356・
西独連結会討制度の−一研究 − ユタ − 19
ン関係,すなわち統一的指揮の存在が推定されるのである。ただし,コンツェ ルン関係ほ上述したごとく支配的影響力が事実上行使されてル、ない限り存在し ない。したがって−,従属関係が存在する場合であっても定款規定また住奥約条 件等によって支配的影響力が事実上行使されていない場合には反証が認められ
(10)
る。ただ,企業間紅支配契約またほ編入契約が締結されている場合(上記推定 規定(c)の場合)には,支配企業ほ従属企業の取締役会に対して業務執行に関 する指図を原則として無制限に与えることのできる包括指図権を有するところ から,たとえ−・回も支配的影響力が行使されなかったとしても,従属企業は業
(11)
務執行を支配企業のそれに強く拘束されるので反証ほ認められない。
上述したところから,
指揮の存在は,比較的簡単に確定することの_できる過半数資本参加,従属関
係,支配契約,編入契約によって推定されるのである。
ところで,統一・的指揮が存在するか否かに関連して文献上議論されている特 殊な問題に共同企業(GemeinschaftsurlternehmeIl)がある。共同企発とは,
その持分が二つの上位会社(またほ.コンツェルン)に50%ずつ保有されている 企業である。共同企業については,それがコンツェ.ルン企菜であるか否か,し たがってまたコンツェルン決算書に含めることができるか否かについて論争さ れている。その焦点は,統叫伯勺指揮とは,一つの上位会社によってのみ存在す るのか,それともこつの上位会社によっても存在するのかという点にある。
政府草案理由書によれば,立法者ほ一つの企業が二つの異なったコンツェル ンの上位会社の統岬・的指揮のもと降服するということほ.はとんど起りえないで あろうと述べながら,もしそういうこ.とが起ったとすれば,その企業は二つの コンツェルン決算書の双方紅含められるぺきであるとし,二つの上位会社によ
(12)
っても統一・的指揮が存在することを明らかにしている。そして,従来の文献に
(10)具体的内容については,Idw・Stellungl】ahme NA4/68を参照されたい。
(11)Bruno,Ⅹropff,a.a.0.,S.33.慶応義塾大学商法研究会訳,前掲苔,152ぺ−
ジ。
(12)BI・mo,KIOpff,〃.α.0.,S.439.慶応義塾大学商法研究会訳,前掲書,414ぺ
−ジ 。
第47巻 第1弓 20
ー 20∴−
(1ユ) おいてはこれと同じ見解が多くみられた。ところが,経済監査士協会の新株式
法特別委員会(Sonde工・auSSChuBneues Aktienrecht desInstituts der Wirts−
haftspriifer)より新株式法の解釈の指針として公表されている「意見」(Stelト ungnahme)に.よれほ,二つの上位会社は単独で統一・的指揮を行使することほ
できない。それ故に共同企業を二つの上位会社のコンツェルン決算書に含める ことは考えられないとの見解を示している。そして二つの上位会社が共通の営 業政策をとるために.議決権をプールして議決権シソジケー・ト(民法上の会社)
を形成している場合に.のみ二つの上位会社と企業との間に.コンツ㌃ルソ関係が 成立するとされる。しかし,民法上の会社は,後述するように,原則としてコ
ンツェルン決算書の作成義務ほない。よってこ共同企業はコンツェルン決算書に
(ll,)
含めることはルできないとされる。
経済監査士協会のこ.の「意見」に対し,Joacbim Sch11lzeは,たとえ各上位 会社がその意思を他の協力会社の協調なくして:実行できないとしても,統一・的 指揮ほ原則として複数の各上位会社に帰属することができるとし,異同企業は
(15)
コンツェルン企業であると解して.いる。しかし,Scbulzeの見解は支配企業の 概念を誤解したために生じたものであるとし,ZIar)S−Christoph Leoによって強
く批判されている。Leoは,統一・的指揮とは,各コンツェルン企業の営業政策 の計画(目標の設定と計画実行の重要な手段)から成立っているとし・コンア ェルソを計画単一体(Planungseinheit)と解し,支配企業は計画の中枢とし七 械能すると考え,その結果,統一劇指揮ほ.分割することができなく,−・つの支
(13)たとえばBaumbach/Hueck・−A鳥f≠β形g¢rSβfg,助〝拘g〝≠αノ ,13・Aufl・,1?68
§329Rnll,Godin/Wilhelmi:Aktiengcseiz vom6.Se?tember1965,Komm・
g〝fαγ,3.Aufl..,1967,§329A.2..など。
(14)Idw−Stellungnahme NA 2/67 Zur RechnungslegungimKon2;eXn, in:Fachgu・
才αC鋸β犯〝〝d∫fgJJ〝〝g,2αカ∽g乃 dg.ざム鋸南J〟ねdgrlγよrねcカαノね少γおノ∂γ,Eγg伽ぞ〝〝g 1967,
(15=oachim,Schulze, Einheitliche Leitung von Konzernuternehmen durch meh・
rere Obergesellschafteh undihre鮎deutung ftir die Xonzernrechnungslegung
nach dem Aktiengesetz, in:Wpg仙,JgL21,1968,S.85ff.
西独連結会計制度の−・研究 −− 2ノ ー
21
(18)
配会共によってのみ行使するこ.とができると解するのである。
以上のごとく,共同企業がコンツェルン企業であるか否か,したがってまた コンツェルン決算∵蓄に含めることができるか否かについてこは,文献上必ずしも 意見の・一致をみてこいない。しかし,共同企業をコンツェルン決算書に含めるべ きか否かを決定する場合に.ほ,それによってコンツェルン決算書の表示価値に どのような影響を及ばすかどうかによって判断すべきであろう。この点につい ては,後で詳しく検討することに.したい。
ともあれ,上述したごとくコンツェルン決算書に含められる企業ほコンツェ ルン企業に.限られる。このことほ逆にいえば,コンツェルン企巣は,本来すべ て.コンツェルン決算書に含められるべきであろう。ところが,西独株式法では,
次の二つの理由に.よって,必ずしもすべてのコンツェルン企業の連結を強制し ていない。すなわち,(1)法体系上の理由(2)連結範囲決定の困難性の二つで
(17) ある。
ここに.,コンツェルン企業は,連結義務あるコンツェルン企業とそうでない コンツェルン企業の二つに大きく分けられる。
2 連結義務奉るコンツェルン企業
(1)コンツェルン決算書の作成義務
連絡会計上,連結範囲という場合,通常いかなる従属企業を連結の対象とす るかを問題とし,支配企業はその対象から除かれる。というのは,連結財務諸 表は支離企業が作成すべきものとされ,支配企業ほ当然連結財務諸表に含めら れるものとされるからである。ところが,西独株式法では,法体系上の理由か らコンツェルン決算書およぴコンツェルン営業報告書の作成義務ほ,すべての 支配企業では.なく国内に住所を有する株式会社または株式合資会社を法形態と する上位会社(支配企業)に限られる(株式法第329条第1項第1文)。したが
って,菜配企業であってもその企巣が外国に住所を有する場合,あるいは国内
(16)Hans・・Christoph,Leo, Einheitliche KonzeInleitung durch mehrere Obergese llschaften? in:W?g.,Jg.21,1968,S.395fi.
(17)Erich,Kosiol,坤卿如蘭物碩粘れ如ざ月初頭柳川g新川ざβ符・9,1970,S.1743.
\ \
−22− 第47巻 第1号 22
に住所を有する場合であっても上記二つ以外の法形態である場合には,コンツ ェルン決算書およびコンツェルン営業報告書の作成義務ほない。しかし,作成 義務ある支配企業を上のよう軋住所または法形態により限定した場合;故意に 外国へ住所を移転したり,あるいは,他の法形態,例えば株式会社を有限会社 へ組織変更することによって作成義務を免れることが可能である。事実,連邦 統引局の調査によると,1965年には朋の株式会社が有限会社へ,また1966年に は.96の株式会社(資本金合計3億4,300万DM)が有限会社へ組織変更してい る。しかも,資本額100万DM以上の有限会社が3,000以上もあり,そ・の平均資
(18) 本額は700万DMにも達しており(1965年調査),西独において有限会社を法形
態とする大規模な企業が相当数存在することが明らかにされている0 このよう な実態を考慮して,立法者は,株式法施行法第28条第1項により,株式法第329 条欝2項の規定に基づいて連結される従属企業のうら少なくとも・一社が株式会 社またほ株式合資会社である場合にほ,有限会社または鉱山組合を法形態とす る支配企業にもコンツェルン決算書およびコンツェルン営業報告書の作成義務 を拡張している。
さらにまた,株式法上支配企業の住所または法形態に.よりコンツェルン決算 書およびコンツェルン営業報告書の作成義務のないコンツェルンにあって−も,
当該支配企業を除いてなおコンツェルンとしての構成要件を備えている場合に は,支配企業に最も近接する国内に住所を有するコンて/ェルソ企業を支配企発 とみなして部分
ツェルン営業報告書(Teilkon2:erngeSChaftbericht)の作成を義務づけている
(株式法第330条第1項,第2項,株式法施行法第28条第2項)。
部分コンツェルン決算書および部分コンツェルン営柴報告書の作成義務は,
(19)
次のような図で示される。
(18)ヴュルデインガ−・河本編『ドイツと日本の会社法』商事法務研究会,3〜4ぺ−
ジ。
(19)Walther,BussevonCdbe,Konzernabschliisse,RechnmgslegmgjilrKon2ern
〃〃Cカ∂βわ■よd料肌■rねCカ年/プ∫Jざぐカβ紹 〝乃d 〃如よβ乃γ♂CゐfJまcカ♂〝 Cタ・〝〝ゐ∂ねβガ,1969,S.
40f¶立花・戸田共訳r西ドイツ連結財務諸表論』白桃番房,1973,32−33ぺ】−ジ。
西独連結会計制度の−・・研究
① 支配企業が人的企業である場合。
ー2β一 23
株式会社,株式合資会社,
有限会社,鉱山組合以外の 任意な法形態を有する企業
有限会社またほ鉱山組合
任意な法形態を有す るコンツェルン企業
株式法施行法第28条第2項による
⑧ 支配企業が外国企業である場合。
外国に住所を有する任意 な法形態の企業
ただし,①の場合において支配企業が,任意に.コンツェルン計算規定(株式
法第329条,第331〜第338条)に基づいてコンツェルン決算書およびコンツェ
ルソ営業報告書を作成している場合に.は,当然のこととして部分コ:/ツェルソ
決算書および部分コンツェルン営巣報告書の作成義務は.ない(株式法第330条
第1項第3文)。
第47巻 貨1号
− 24 − 24
また,④の場合に外国に住所を有する支配企業が,任意に株式法第331条〜
策333条の原則に基づt、てコンツェルン決算書を作成し,経済監査士(Wirtsch−
aftspriifer)によって監査されたものを官報(Bundesanzeiger)に.公告している 場合にも部分コンツェルン決算書および部分コンツェルン営業報告書の作成 ほ,必要とされない(株式法第330条第2軍欝2文)○
ところで,部分コンツェルン決算書は,それがコンツ.=ルソ内部でいかに多 く作成されようとも,財務情報の開示という点らは,_つの(全部)コンツ ェルン決算書に代替しうるものでほない。なぜなら,部分コンツェ.ルソ決算書 においては,コンツ.ェルソ内部取引のうち最も重要な支配企業と部分コンツェ
(20)
ルソあるいは部分コンツェルン相互間の取引が連結されないからである。この ように部分コンツェルン決舞書には致命的な欠陥があり,(全部)コンツェル ソ決算書の作成が望ましいことはいうまでもないであろう。しかも西独におい ては,支配企業の法形態によりコンツェルン決算書およびコンツェルン営業報 告書の作成義務のない巨大コンツェルンが多数存在し,国民経済に対し,大き
(21)
な影響力をもっている。西独連邦法務省ほ,かかる実情に鑑み,1968年8月5日
「大企業およびコンツェルンの計算庭関する法律草案」(EntwurfeinesGesetzes
(22)
tiberdieRechnungslegungvonGro餌nternehmenund Konzern)を公表した。
そしてこの法律案はその後かなり大巾な修正が行われ,法律名も「−・定の企業お よびコンツェルンの計算に関する法律」(Gesetz tiber die Rechnun由Iegung
(23)
von bestimmten Unternehmen undKonzern)いおゆる開示法(Publizitats−
gestz)と改められ,1969年8月15日公布され,1971年1月1日より施行され
(20)Walther,Bussevon Colbe,aルaい0・,S・42,立花・戸田共訳,前掲書,34ぺ・−i7。
(21)河本・正亀稿「西独の『大企業およびコンツーエルンの計算に関する法律.』草案」『イ ンベストメント』21巻5号,2・ぺ−ジ。グユ.ルディンガー・河本編,前掲書,6−7 ぺ−ジ
(22)この法律案の仝条文についてほ河本・正亀稿,前掲論文2−23ぺ」−ジを参照された い。
(23)開示法についてほ河本・正亀稿「西ドイツの開示法−1−,−2−」『インベスト メント』22巻5号55ぺ−・ジ,開示法中背景と構成については,加藤恭彦稿「西ドイツ 監査制度の一研究−r開示法』を中心として」『産業経理.』31巻1号,137−142ぺ一−ジ
を参照されたい。
西独連結会討制度の−・研究 − 25−
25
ている。この開示法は,コンツェルン決算書およびコンツェルン営業報告聾の 作成義務を支配企業の法形態ではなく,コンツェルンの規模によって規定して いる。すなわち,開示法第11条欝1項によれば,コンツェルン紅おいて;企寛 が国内に住所(主たる営業所)を有する・一企業の統・山・的指揮に服する場合払お いて,連続する三決算日のそれぞれにつき,この企業(コンツェルン指揮者)
が次の三つの基準のうち少なくとも二つに該当する場合に.は,原則として,コ ンツェルン決算書およびコンツェルン営業報告書の作成が義務づけられる。
① その決算日に作成されたコンツェルン貸借対照表総額が1億2,500万ド イツマルクをこえるとき。
⑧ その決算日前12ケ月におけるコンツェルンの外部売上高が2億5,000万 ドイツマルクをこえるとき。
⑧ 国内に住所を有するコンツェルン企業全体で,その決簸日前12ケ月に畢 いて平均5,000名をこえる被傭者を使用したとき。
したがって,開示法の施行後,一・定規模以上のコンツェルンほ,支配企業の 法形態のいかんにかかわらず,原則として,コンツェルン決算書およびコンツ
ェルン営業報告書の作成が義務づけられることとなった。また支配企業が外国 企業である場合にも開示接が適用され,支配企業に.最も近接する国内に住所を 有するコンツェルン企業に部分コンツェルン決算書および部分コンツェルン営 業報告書の作壌が義務づけられることとなった(開示法第11条欝3項)0
(2)連結義務ある従属コンツェルン企共
上掲の株式法欝329条第2頓によれば,連結義務ある従属企謀とは,国内に 住所を有するコンツェルン企業であって,その持分の過半数が他のコンツェル
ン企業濫属するものであると定められている。、この規定により,連結義務ある
従属企業と牲,①コンツェルン企業であること,⑧国内企業であること,⑧持
分の過単数が他のコンツェルン企業に保有されていること,の三つの要件すべ
てに該当する企業である。これら三つの要件のうち①についてほ.,すでに前項
において詳しく検討したところである。そこで,ここでは⑧⑥の要件について
検討するこ.とにしたい。
第47巻 第1号
− 26 一− 26
まず,連結義務ある従属コンツェルン企業は,要件④に.より国内企業に限ら れる。したがって,外国企業は,たとえコンツェルン企業であらても連結義務 はない。ただし,その他のコンツェルン企業ほコンツェルン決算書に.含めるこ
とができる(株式法第329条第2項第4文)とされて、いるところから,上位会 社が任意に.外国コンツェルン企業を連結することば.認められる。
それでは,株式法上なぜ外国企業について国内企業と異なった取扱がなされ てし、るのであろうか,そ・の理由についてほ,政府草案理由書においても明確に されていない。しかし,西独連結実務に.おいては,連結会計制度導入以前から
(24) 外国企業ほ.はとんど連結されていなかったといわれる。そ・の大きな理由として
(25)
外国企業の連結には,種々の技術的困難性を伴うことがあげられる。第一・に.,
外国企業は.当然その国の会計法規および会計原則に従って公式の貸借対照表,
損益計算書を作成しなければならない。そしてその企業を連結する際には,西 独株式法の評価規定,項目分類規定に準拠した年度決算書に修正■しなければな
らなく,そのために多大の手数を要することがあげられる。欝こに,より困難 な問題として,貨幣換算の問題がある。外国企業の貸借対照表,ま邑益計算書上 の金額は,その企業が経済活動を営む外国の貨幣単位に.よって測定されてい る。このため,外国企業の年度決算書を連結する場合には,外国の貨幣単位で 測定された年度決算書の諸項目の金額を,ドイツマルクに換算することが必要
に.なる。
為替相場が常に.一・定であれば,単に計算技術的なものでしかないb しかしな がら,為替相場が常に一・定であるということほ.,むしろ例外である。したがっ て,外国企業の年度決算書に.ついて貨幣換算を行うときは,為替相場に変動が あることを前提として考えなければならない。それ故に,外国企業の年度決算 書上の金額をドイツマルクに∴換算するに.あたってほ,どの時点の為替相場を使
(24)Gunter,Wietzke,Der KonsolidieY・teJahresabschlu色 und sei−ne besonderen
♪′・〃∂Jβ∽β∠チアdgタ・dβ〟ねぐカ♂〝α乃d α〝gわ・・α朋鉄門一点α〝よ5C・ゐg紹 βfJα〝g〜♂γ〝乃g∫♪′・α∬才∫,
1962,S..37f.Werner,Schuhmann,Der Konz@rnabschlu色,die Bilanzirerungs・
♪γ・α.扇.ざ♂β〝まs 加γ属加g♂′乃β,1962,S.80.
(25)Karl−Martin,Dreger,Der KonzernabSChluB,1969,S.258ff.
西独連結会封制度の一研究 ーー 27−
27
用するかが問題となる。例えば,貸借対照表日の為替相場を使うか,取引発生 日の為替相場を使うかによってコンツェルン決算書の金額が異なってくる。ま たいずれの時点の為替相場を使うかほ.対象項目の性質によって異なってくる。
このように貨幣換算には,種々の困難な問題が生じてくる。
上にあげたような主として二つの理由紅よって,株式法上外国企業の連結紅 ついては,これを強制しなかったものと考えられる。
次に,連結義務ある従属コンツェルン企業ほ,要件⑨により持分の過半数が 他のコンツェルン企業に保有されていなけれほならない。この要件ほ,コンツ
ェルン企業の確定と密接な関係がある。というのは,すでに述べたごとく,コ ンツェルン企業を確定する場合,従属関係は,過半数資本参加によっでその存 在が推定される。その際の持分比率がそのままこ、の要件にも用いることができ
るからである。ただ,コンツェルン企業の確定に際して関係する過半数参加企 業自身ほ,このメルクマールにほ必要でない。またここにいう持分は,資本持 分を意味するものと解されているところから,議決権が資本持分に比例して分 割されていなく,そのため紅議決権だけで,株式法欝16条第1項の意味する過
(こ6.)
半数資本参加が存在する場合であっても,それはこの要件には該当しない。
以上が連結義務ある従属コンツェルン企業としての三つの要件の具体的内容 である。上記三つの要件に該当する従属企業ほすべてコンツェルン決静香に含 められるぺきであろう。ところが,コンツェルン決算書の作成目的である財務 情報の開示という点から株式法上上記.三つの要件に該当する従属企業すべてに 連結を強制していない。この点を次にみて−みることにしょう。
3 連結義務ある従属コンツェルン企業の連結除外
前項において明らかにした連結義務ある従属コンツェルン企業であっても,
株式法上,次の二つの場合には,連結範囲から除外される。
(1)コンツェルン企業の非重要性のためコンツェルンの財産状態および収 益状態の表示が悪影響を受けない場合(株式法第329条第2項第2文)。
(26)GiinteI−,Ⅹlein,〃.〃.0.,S.65.
罪47巻 第1弓
−2β− 2$
(2)連結によってコンツェルン決算書の表示価値に.悪影響な及ぼす場合
(株式法欝329条第2項第3文)。
(1)コンツェルン企業の非重要性に.よる連結除外
連結義務ある従属コンツェルン企業であっても,その企業がわずかの資産し か保有せず,あるいほ費用,収益がはとんど発生しないような小規模企業であ る場合にほ,その企業を連結しても,あるいはしなくともコンツェルン決算書 の表示価値に.余り影響を及ぼさない。よって,このような企業についてほ,こ れをフ:/ツェルソ決算書に含めるか否かほ,上位会社の任意に委せられている のである。
こ.の規定において問題となるのは,重要性の判断をめぐってである。
アメリカのSEC規則では,「■重要な従属会社」について,いわゆる15%基準 を規定している。すなわち,従属会社の資産総額,売上高等が連結基準に基づ
く支配会社および従属会社の15%を超えるか否かにより連結するか否かを判断
(2丁〉 する基準とするのである。
西独株式法においでは,このような数鼻基準は規定されておらず,解釈に委 せられている。経済監査士協会の「意見」に.よれは,一定の具体的数字をあげ ることほ・不可能であるとし,その理由として,その判断ほ個々の事情すべてを 考慮して−のみ行うこ.とができるのであると述べ,また財産状態および収益状態 の表示に悪影響を及ぼすか否かを判断する場合,個々の企業についてこれを行
うのではなく類似の考慮を必要とするすべての企業を一・括して重要性ある企業
(28)
であるか否かを判断すべきことを提唱している。
政府草案理由書によれば,この規定た該当する具体的事例として「そのため に厳格な規定は定められていない」とし、う注釈をつけながら「社会福祉会社」
(29)
(Soziale Hilfsgesellschaften)をあげているb社会福祉会社とは,たとえば,
住宅建設会社(Wohnbaugese11schaften),恩給金庫(Pension主kassen),会社形
(27)SEC S−Ⅹ,Rulel−02l
(28)Idw・Stel!ungnahme NA2′/67,WirtschaJisbY・ilfbY・・・Handbuch1968,Sい677.
(29)BIuno,Ⅹ工■opff,α..α 0.,S.439.慶応義塾大学商法研究会訳,前掲書,413ぺ一一汐。
−2クー 西独連結会計制度の一一研究
29
態で営まれている共済組合(Unterstiitzungsgese11schaften),社会施設(Sozi−
(80)
aleimichtungen)等である。しかし,住宅建設会社の中にほ10,000戸以上の住 宅を保有する会社もみられ,社.会福祉会社のすべてが重要性がないとは云え
(き1) ず,この規定が適用されないとの見解もあり,西独連結実務において,との点
(32)
に関してこは,いまだ意見の−・致をみていない。
なお,この規定は,任意規定であり,連結から除外するか否かは,上位会社 の任意に.委せられてV、る。しかし,継続性の原則が適用せられ,毎期異なった
(33) 取扱をすることほ認められない。
(2)表示価値の阻害による連結除外
株式法第329条第2項第3文によれば,連結義務ある従属コンツェ.ルソ企業 であっても,その企業を連結することに.よってかえってコンツェルン決算書め 表示価値に悪影響を及ぼす場合に.ほ,連結してはならないとされる。
この規定に該当する具体的事例として,政府軍薬理由書に.よれば,「−場合によ って:」(unter Umstanden)という条件付であるが「■著しく異なった営業部門」
(朗)
(stark abweichendem Gesch去ftszweig)をもつ企業をあげている。ドイツの 古い文献に.おいてほ,異業種企業の連結ほ.混乱のみをもたらすとの理由で連結
(35)
から除外すべきだとする見解が支配的であった。とこ.ろが新しい文献では,む
(36I
しろこれらの企弟をも連結すべきだとする意見が多くみられ,経済監査士協会 の「意見」に.おいて−も,コンツェルン決算書の開示カほ,個々のコンツ,エルソ構 成員の経済活動が相異しても阻害されないと述べ,この規定を狭く解釈すべき
(37)
ことを提案している。
(30)Hans,W.Peupe三mann, モDie ReclmungslegLmgim Konzern nach d9m AktG 1965,〃in:かの′βわiβ∂,.Jg.18,1!格5,S‖1752
(31)Walther,Busse vonColbe,a..a.0.,S.55.立花・戸田共訳,前掲書,49ぺpジ。
(32)Walther,Busse vonColbe,a.a.0.,,・S小55.立花・戸田共訳,前掲審,49ぺ・−Pi7。
(33)lれ′・ねCゐα/ね♪rおノおγ ガα乃d∂〟ぐゐ1968,S.682.
(34)BT皿0,KI・opff,α.〃.0い,S..439.慶応義塾大学商法研究会訳,前掲畜,413114 ぺ・−・汐
(35)Werner,Schubmann,a..
(36)WeI ner■,Scb血mann,α小α
▲・†▲
0 7 7・7
S鼠
一 〇
α
(37)Idw・・Stellungnahme NA2/67.
第47巻 発1弓 30 一身クーー
このような点から,この規定が適用され,連結から除外される企業は,それほ ど多くないと考えられ,少ない事例の一つ軋一噂的にコンツェルγに属するコ
(38)
ンツェルソ企業があげられる。また我国の「連結意見書」において除外例として あげられてこいる更生会社,破産会社もこの規定が適用されるものと考えられる。
法文上,この規定の適用紅より連結から除外される企業ほ,連結義務ある従 属コンツェルン企業に限られるが,連結義務ある従属コンツェルン企業以外の
(39)
すべてのコンツェルン企業にも適用されるものと解されている。たとえば,著 しい為替相場の変動によって,貨幣換算された貸借対照表,損益計算書が大き な不確実性を伴う場合,、外国コンツェルン企業の連結は,コンツェルン決算書 の表示価値に悪影響を及ぼすからである。
4 その他のコンツェルン企業の連結
西独株式法では,連結義務ある従属コン∵/ェルン企業以外紅また「その他の コンツェルン企業」(andere Konzer・nunternehmen)をもコンツェルン決算書 に含めることができるとされている(株式法第329条第2項欝4文)○
その他のコンツェルン企業とほ,連結義務ある従属コンツェルン企業として の三つの要件のうち①にのみ該当し,他の要件に該当しない企業であり,具体 的にほ,外国コンツェルン企業,他のコンツェルン企業の過半数所有下にない コンツェルン企業である。その他のコンツェルン企業に水平コンツェルン企業 が含まれるか否かについてほ議論の分れるとこ.ろであるが,通説によれば,株
(40〉 式法第329条第1項ほ乗直コンツェルンにのみ関係するとの理由で否定される。
ところで,その他のコンツェルン企業を,これを連結するか否かは上位会社 の任意に.要せられているが,継続性の原則が適用せられ,−・旦選択した方法は 毎期継続し,正当な理由なくみだりに変更することほ許されないものとされ,
重要な変更が行われた場合にほ,株式法第334条欝3項第1文および第2文の
(38)G臼nter,Klein, Aufste11ungund prtiftng des Konzernabschliisses,,,in:
ββわ・よβみ・開山㌢・ねCゐ〃ノf,Jg〃19,1966,S.65.
(39)G蛍nter,Ⅹlein,a.a.0.,S.71.
(40)Ⅵ′如ぶCカαノゐ少坤/おr一方〃乃dぬcカ1968,S..679.
西独連結会計制度の・・一研究 −3J−
31
(41)
規定に.よりコンツェルン営業報告書において解説を必要とする。
また,企業の任意な選択に.よってコンツてエルソ決算書の表示価値に.悪影響を
(42)
及ぼす場合に.も,選択権の行使が制限される。たとえば,個々の外国コンツェ ルン企業の収益状態に大きなバラつきがある場合に,収益状態の点好な企業の みを選択して連結する場合がこれである。
なお,その他のコンツェルン企業であっても,その企業が国内に住所を有し,
かつその企業を連結することに.よってコンツェルン決算書の財産状態および収 益状態について−異なった判断を導く場合にほ,連結が強制される(株式法第329 粂第2項第4文)。ここに小う琴なった判断を導くとほ・,その企薬がコンツェル ン内部で重要性があるというこ.とを意味し,これを判断する具体的基準として,
(48)
コンツェルン決算書の作成目的に照らして,次の二つの基準があげられる。
(1)当該コンツェルン企業が,その流動性に.おいてコンツェルンの流動性 と,またその収益性においてコンツェルンの収益性と大きく相異する場合
(2)上記以外に.,コンツェルン会社がコンツェ.ルソの重要部分を構成して いる場合
なお,外国コンツェルン企業については,たとえその企業を連結することに よって異なった判断を導く場合であっても連結義務ほない。
5 連結範囲の明示
コンツェルン決算書にん、かなる企業が連結され,いかなる企業が連結から除 外されているかがなんらかの方法で明示されない限り,企業外部の利害関係者
は,コンツェルン決算書に.よって正しい判断を行うことが困難となる。そこ で,株式法では.,第334条第1項に.おいてご,連結範囲に.関して次の事項をコン
ツェルン営業報告書に記載すべきであるとされている。
(1)国内に住所を有するコンツェルン企業の個別記載(株式法第334粂第
(41)椚′・〜ゞC彪〃ノわクr滋ノと′一助〝♂∂〟Cカ1968,S.682.
(42)Gtinter,Klein,a・a 0.,S.72
(43)Walther,Busse von Colbe,a.a.0.,S.・52・立花・戸LEB共訳,前掲香,46−
47ぺ−・ジ。
第47巻 弗1号 32
−32・−
1項第1文)。
(2)コンツェルン決算書に含められた国内に住所を有するコンツェルン企 業の企業名(株式法欝334条第1項第2又)。
(3)外国コンツェルン企業がコンツェルン決算書に∴含められたかどうかの 記載(株式法第334条欝1項第3文)。
(4)国内に.住所を有する企業であって,その持分の過半数が他のコンツェ ルン企共に属するものが,コンツェルン決算書に含められない場合の詳細
な理由(株式法第334条第1項第4文)。
この場合,株式会社または.株式合資会社である場合に・限りコンツェルン 決算書の決算日に作成された決算書をコンツェルン営業報告書匹添付しな ければならない(株式法第334条欝1項第5文)。
以下,上記四つの記載事項について若干説明を加えておこう。
(1)の個別記載ほ,コンツェルン決算書に含められる国内コンツェルン企業 だけでなく,コンツェルン決算書に含められない国内コンツェルン企業をも個
り4)
々に記載する必要があり,「記載すべき」(aufzufii如■en)であるという文言から,
(45)
詳細な記載ほ必琴でなく,単に企業名だけで十分であると解されている0
(2)の企業名の記載ほ,(1)によって記載された企業名に符号を付すことで
(16)
十分であると解されている。
(3)の外国コンツェルン企業についての記載ほ,国内企発と異なり個別に企 業名を記載する必要はなく,連結した場合に限りその旨を記載すればよいとさ
(47) れ,また貨幣換算の方法をも記載する必要がある。
(4)に.よって詳細な除外理由をコンツェルン営業報磐書紀記載すべき企業
ほ,国内に住所を有する「企業」であって,その持分の過半数が他のコンツェ
ルン企業に属するものであるとモされているが,この「企業」の解釈をめぐって 二つの見解が対立している。
(44)Ⅵ′i■rねC旬/r5♪rii.舟r−・助ガ♂ぬcカ1968,
(45)Ⅳ如・ざぐ叫〃∫♪r頓r一方α〃d∂〟Cカ1968,
(亜)呵′′ねdカq〝ざ♪r玖/セデー月〃乃dぬcカ1968,
(.47)Idw・・Stellungnabme NA3/68.
.4■.4−5 乃73乃
S S S
西独連結会計制度の−・研究 − β3 − 33
(48)
一つほ文言通り「企業.」と解する見解である。そ・の論拠として,第一軋政府 草案理由書において,除外理由記載義務の説明のところではっきりコンツェル
ン企業でなく,国内に住所を有する企業であって,その持分の過半数が他のコン
ツェルン企業に属するものと述べられていること,また除外理由記載義務をそ のように解することが首尾一男していること,すなわち,そのような企業の連結 除外の正当性の検討を利害関係者に.可能にするためにほ,すべての過半数被参 加企業を記載することが必要であると理解することが首尾−・賞していることが
あげられる。
これに対し,明文規定にもかかわらずコンツェルン企業であると解する見解
(49)
がある。その論拠ほ,コンツェルン決算書にはコンツェルン企業のみしか含めら
れない。したがつて,企業の連結除外理由を記載することは,コンツェルン営
業報告書の任務ではないとする。1・またPeter Scherpfは別の角度からコンツ
(50)
ェルソ企業であると解する。彼によれば,株式法第334条第1項第5文により,
コンツェルン決算書の決算日に.作成された「企業」の決算書を添付すべきこと とされているが,上位会社が指挿権を行使できない限りそれは不■可儲であり,
よって「企業.」セほなく「コンツェルン企業」であると解する。
前者の見解によれば,コンツェルン営業報告書には,次の三つの理由を記載 しなければならない。
(1)コンツェルン企業でない場合。
(2)コンツチルソ企業の非重要性のためコンツェルンの財産状態および収 益状態の表示が悪影響を受けない場合。
(3)連結によってコンツェルン決算書の表示価値に悪影響を及ぼナ場合0 ところが,後者の見解によれば,(2)(3)ゐみを記載すればよく,(1)の理 由を記載する必要はないとされる。経由監査士協会の「意見」は,Ge鋸eIの
(48)Walther,BussevonColbe, ZumInformationswert von Konzernabschldssen,柑 in:βめ・よβぬ紺如∫Cカ年/ナJわ如才〃。舟γ研αfわ邦,gg〟ねぐゐg査一血〝g〜 〝d肋乃わ叩JJe,1969,S.
96f.
(49)Ⅳよγf.sC陶物ゆ動物・一月反別銅仙頭1粥8,S・775・
(50)Peter,Scherpf,a.a.0.,S.VI301・
貨47巻 第1号 34
−3・ノ ー
(51)(52) 見解に依拠して後者の見解を支持している。今日,後者の見解が支配的である0
1ⅠⅠ連結範囲の実態
前節に.おいて,連結範囲に関する株式法の規定の具体的内容について検討し た。そ・こで本節では,これらの規定が西独連結実務に・おいでどのように取扱わ れ,いかなる企業が連結の対象とされているかを実態調査資料を手掛りと・して 概観することにしたい。
Klaus,V.Wysockiは,コンツェルソ計算規定がほじめて適用され,その作 成が強制された1967年12月31日を決算日とする上位会社のうち126社のコンツ
ェルン決算書およびコンツェルン営業報告書を詳細軋調査し,その調査結果を
(58)
著書に.おいて発表している。また前年と比較してどのような変化がみられたか
(舅)
を明らかにするため翌年の1968年12月31日を決算月とする上位会社のうち123 社のコソニルソ決算書およびコンツェルン営業報告書をも調査し,その調査結
(55) 果を1970年の雑誌論文に.発表している。
そこでWysockiの上記二つの実態調査資料によって,西独における連結範 囲の実態を以下要約してみよう。
1.連結義務ある従属コンツェルン企業の連結除外
すでに述べたごとく,連結義務ある従属コンツェルン企業であっても,株式 法上次の二つの場合には,連結から除外す・ることができるとされ(①の場合),
また除外しなければならないとされる(④の場合)0
① コンツェルン企業の非重要性のためコンツェルンの財産状態および収益 状態の表示が悪影響を受けない場合。
④ 連結によってコンツェルン決算書の表示価値に・悪影響を及ぼす場合0
(51)Idw−Stellungnahme NA2/67・
(52)Ⅳ去γねC・カαノねタ7・滋ノお′・一助花dぬcゐ1968,S・735
(53)Ⅹ1aus,Ⅴ.Wysocki,励〝之g仰・βC肋叫画壇馴g如か棚加兢血,1969・
(洪)1967年度の調査対象上位会社126社のうち3社が1968年度のコンツェルン決算書を 公表しなかったため1968年度の調査対象上位会社は123社になっている。
(55)Klaus,V.Wysocki, ZweiJahreXonzernrechnun蜜Slegung nach demAktG
1965〃,Ⅳ♪g.Jg.23,S.97ff
西独連結会計制度の・一研究 − ∂5−
35
そして,連結義務ある従属コンツェルン企業が上記二つの理由によって連結 から除外された場合にほ,詳細な除外理由をコンツェルン営業報告書に記載し なけれほならないとされている(株式法帝334条第1項帯4文)。
それでほ,西独連結実務においてどの程度の上位会社が上記二つの理由軋よ って連結義務ある従属コンツェルン企業を連結から除外しているのであろう
(56)
か。この点に.ついてのW■ysockiの調査結果を第1表によってみてみよう。
第1表 導結義務ある従属コンツェルソ企業の連結除外理由
上位 会社 会社数【構成比率 A 連結義務ある従属コンツェルン企業をすべて連結している上位
会社の数。
B 連結義務ある従属コンツェルン企業を必ずしもすべて連結して いない上位会社の数。
C コンツェルン企業の非重要性を理由として連結中ら除外してい る(株式法第329条第2項第2文)。
D コンツェ.ルソ決罫書の表示価値の阻害を理由として連結から除 外している(株式法第329条第2項第3文)。
E 上記以外を理由として連結から除外している。
F 正確な連結除外理由を記載していない。
葬 二つ以上の除外理由を重複して記載している上位会社が含まれている。
〔′資料〕Klaus,V.Wysocki,Konzernrechnungslegungin Deutschland,1969,
S.19.
第1表から明らかなように,調査の結果ほ,調査対象上位会社126社のうち 約半数の61社がなんらかの理由で連結義務ある従属コンツェルン企業を連結か
ら除外Lている。そして,Eにおいて,上記二つの除外理由以外の理由をコン ツェルン営業報告書に記載している上位会社が5社示されているが,Wysocki
(56)Ⅹ1aus,Ⅴ..Wysocki,肋柁gg㌢ 乃γβCゐガ〟〝g・ざJ♂g〟〝gu‥・α‖ α.,0.,S.19.
第47巻 第1号
・− ∂6 − 36
の調査に.よると,うち3社ほ過半数資本参加が期中(期末)に行われたために
(57)
コンツェルン企業を連結しなかったとの理由を記載しているという。またF}こ おいて,正確な除外理由を記載していない上位会社が1社あげられているが,
それは「法律規定に基づいて連結から除外した.」との理由が記載されていると
(58)
いう。
ところで,上記二つの痙由によって,連結義務ある従属コンツェルン企業が 第2表 コンツェルン企業の非重要億に.よる連結除外理由の記載状況
上位 会社
摘 要
A 非重要性を理由としてつンツェノレン企業を連結から除外してい る上位会社の数。
B 非塵要性を理由としで連結から除外している上位会社ごとの企 業数。
1.1′・ノ2社 2.3〜5社 3 6〜9社 4. 9社超
19 16
9
5
C 非重要性に.よる連結除外理由の記載状況
l.非重要性に・よる旨をコソツ.ェルソ営業報告書 に記載している(株式法第329条第2項第2又 を引用しているのもある)。
2..非重要性による理由をコンツェルン営業報告 書に連結除外企業ごとに詳細に解説している。
3小 非重要性による理由を類似の考慮を必要とす るコンツェルンのすぺての企業を−・托しコン
ツェルン営業報告書に記載している。
29
19
〔資料〕Klaus,Ⅴ。Wプ soCki,励タ〜Zβ㌢ サ■gC力作〝〝g5Jβgα紹g≠ 〝かβめぐカタα粥♂,1969,S・21・
(5ケ)(諭)Klaus,Ⅴ.Wyscocki,励〝Zダ㌢・鱒γ♂C励捗形g∫Jβg〝ガg・・α・α・0・,S・、19・
西独連結会言寸制度の一研究 −β7−
37
連結から除外された場合,その詳細な理由をコンツェルン営業報告書に記載し なければならないとされてごいるが,実情ほどうであろうか,こ.の点を次に.のぞ いてみることに.したい。
① コンツェ.ルソ企業の非重要性による連結除外理由の記載状況 第1表を載れば明らかなごとく,上位会社49社が,コンツェルン企業の非重 要性を理由として連結から除外している。しかるにこれら49の上位会社ほ,除 外理由をコンツェルン営業報告書に.どのように言己載しているのであろうか。こ
(59)
の点に関する調査結果をWysockiほ,欝2表のごとくまとめている。
こ.の調査結果から注目すべきことほ,株式法第334条第1項第4文の明文規 定に.もかかわらず詳細な除外理由を記載している上位会社は49社中19社にすぎ なく,実に四社ほ単に.非重要性による旨を記載しているにすぎないということ である。なるほど詳細な理由とはどの程度を記載すれぼよいかについて,立法者 ほ明らかに.していない。しかし,Wys∝kiも指摘するように.その旨を記載した
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だけでほ詳細な理由を記載したとほいえないであろう○また,過半数の上値会 社が2社以上を非重要性を理由として連結から除外して:いる。に.もかかわらず 経済監査士協会の「意見」によって推薦されている類似の考慮をと必要するコン
ツ.ェルソのすべての企業を−・托してコンツェルン営業報告書に記載している上 位会社は,わずかに.1社にすぎない。こ.のことほ何を意味するのであろうか。
④ 表示価値の阻害に・よる連結除外理由の記載吠況
第3表ほ,第2表と同様,第1表に.明示されている表示価値の阻害を理由と して連結から除外している上位会社24社が,その除外理由をコンツェルン営業 報告書にどのように記載しているかを調査し,その調査結果を一表に・まとめた
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