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1)札幌社会保険総合病院NST 2)天使大学看護栄養学部

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(1)

NST介入による栄養状態改善の検証

佐藤亜紀子1),大宮志寿加1),奥田 絵美1),金住 美希1),富永 史子1)

中川 幸恵 ),宮本亜矢子1),小嶋 裕美1),和田 典男!),安田 卓二1)

    松岡 伸一),秦  予予1),佐野 文男2),関谷 千尋2)

1)札幌社会保険総合病院NST 2)天使大学看護栄養学部

 2004年4月目り全科型で始まったNSTも2006年で3年目を迎える。第1報ではNST介入による栄 養充足率の上昇と血清アルブミン値の上昇が認められた。今回は栄養状態評価の指標と診療科別の栄 養状態改善の特徴を検証することを目的とした。介入前後で有意差のあった指標は半減期の短い血清 アルブミン値と計測が簡便なBMI値であった。診療科斗では整形外科で血清アルブミン値が終了時 に有意に高く、呼吸器科でヘモグロビン値が終了時に有意に低かった。呼吸器科は癌疾患の患者が比 較的多く、介入終了理由に転院が多かったためと考えられる。他の診療科においては有意差は認めら れなかった。当院でのNST介入が退院及び転院後の栄養状態に影響を与えることを推察すると、チー ム医療による適切な栄養管理と地域連携が今後ますます必要といえる。

キーワード:NST、血清アルブミン値、チーム医療、地域連携

         はじめに

 2004年4月より全科型で始まったNSTも2006年 で3年目を迎える。2005年には第1報としてNST が介入したことによる栄養評価と栄養充足率の変化、

栄養法による介入前後の効果の比較を行った。その 結果からNST介入前後で血清アルブミン値低下群 において、癌患者、特に末期患者が多いことが確認 されたことから、診療科別の栄養状態改善の特徴と、

生化学的検査値や身体計測値においては介入前後の 効果の比較はいずれが適当かを検証することを目的

とした。

        対象と方法

 2005年4月1日から2006年3月3!日に入院した全 患者を栄養スクリーニングし、死亡退院を除く NST介入となった患者211名を対象とした。 NST 介入前後で比較できた評価項目は生化学的検査値で は血清総タンパク値、血清アルブミン値、コリンエ ステラーゼ値、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値 で、身体計測値はBMI値、上腕三頭筋部皮下脂肪

厚、上腕周囲長、上腕筋周囲長であった。それらを NST介入全体及び診療科別でそれぞれ比較した。

なお当院では栄養スクリーニングは点数で評価し、

リスク点数5点以上をNST介入の対象患者として

いる。

 すべてのデータは平均値±標準偏差で表した。統 計処理はt一検定を用いて行ない、危険率5%未満を 有意とした。

         結  果

 対象患者は211名で、介入期間の平均日数は25±

26日、年齢は69.4±4.9歳、男女比は男性114人、女 性97人であった。NST介入診療科別では内科・糖 尿病内分泌0.5%、内科・腎臓病17.5%、内科・呼 吸器科17.5%、内科・消化器科18.5%、内科・循環 器科8.5%、内科・リウマチ科7.4%、外科20.!%、

整形外科9%、その他1.1%であった(図1)。NST 介入前後で比較できた栄養状態の項目は、生化学 的検査値でヘモグロビン値とヘマトクリット値が同 率で92.4%と高く、次いで血清アルブミン値68,2%、

一35一 札幌社会保険総合病院医誌第16巻第1号2007

(2)

NST介入による栄養状態改善の検証

血清総タンパク値55.9%、コリンエステラーゼ値 53.1%の順であった。身体計測値ではBMI値が57.8

%、上腕周囲長31.8%、上腕三頭筋部皮下脂肪厚 30.8%、上腕筋周囲長29.4%の1順であった(図2)。

NST介入終了理由は栄養状態の改善が37.9%、退 院・転院が37%、NST対象外14.7%、死亡退院が

10.4%であった(図3)。

 NST介入前後による比較では全体で血清アルブ

ミン値がNST終了時に有意に高く(p<O.05)(図 4)、BMI値がNST介入時に比較して終了時は有

意に低かった(p<0.05)(図5)。

 診療科別による比較では呼吸器科においてヘモグ ロビン値がNST介入時に比較して終了時が有意に 低く(p<O.05)(図6)、整形外科において血清ア

ルブミン値がNST終了時に有意に高かった

(p<0.05)(図7)。その他の診療科においては、有

(ofo)

1 Ooo,t,

n=189

80%

60%

40%

20%

Oo.,

ボ  、褒06烹

la一.,,. 8.5. ,

18.S

17.5

・17.5 ・・1

BDM   国腎臓  9呼吸器 n消化器 國循環器

■リウマチ 日外科   as整形外科■その他

(g/dl)

4.0

n=144

3.0

図1 NST介入診療科別

2.0

2

rr

9

ee =P〈O,05

3

,1.・

o

巴.

(ofo)

100.O

80,0

60.0

40.0

20.0

o.o

n=211

(kg/m2)

30.0

NST介入時      NST終了時    図4 Alb値の比較

n=122

25.0

20.0

15,0

10.O

[一一ww ee r p〈o.os

20 4

19L9

1f

日TP【ヨAlb図CHE■Hb圏Ht図BMI目TSF四AG目AMG  図2 NST介入前後で比較できた栄養状態の項目

(ofo) n=211

100%

80%

60%

40%

20%

o%

■栄養状態の改善日退院・転院圓NST対象外圏死亡退院

(g/dl)

15.0

NST介入時     NST終了時

   図5 BMI値の比較

n=33

13.0

11.0

9.0

図3 NST介入終了理由

11.8

bL

11.2

Pく0.03

      NST介入時     NST終了時

図6 診療科によるNST介入前後の比較一呼吸器科一Hb値の比較

札幌社会保険総合病院医誌第16巻 第1号 2007

一36一

(3)

NST介入による栄養状態改善の検証

(g/dl)

5.0 r

n=9

4.0

3.0

2.0

r

o

   p 〈o.os

  3L4

  、塾・・

Stt... .Li

    NST介入時      NST終了時

世7 診療科によるNST介入前後の比較一整形外科一Alb値の比較

意差はみられなかった。

体重から求められるBMI値だけでなく、脂肪量の 変化の観察も必要であるため今後は正しい計測の技 術を習得し評価可能な指標を増やすためにもできる だけ患者の状況に合わせたBMI値または上腕三頭 筋部皮下脂肪厚や上腕周囲長の計測値を得るのが望

ましい。

 診療科別の特徴としては整形外科が終了時に栄養 状態の改善がみられたほか、呼吸器科でヘモグロビ ン値が終了時に有意に低かったのは癌疾患の患者が 比較的多く、介入終了理由に転院が多かったため栄 養状態の改善をみることが適わなかったと考えられ

る。

         考  察

 生化学的検査値では、ヘモグロビン値が介入前後 の栄養状態を比較する指標として高い割合を示して いたが有意な差はみられなかった。これはNST介 入期間の平均が25±26日と短いため、半減期が60〜

90日と長いヘモグロビン値では介入前後による差が 出にくかったものと思われる。血清アルブミン値は 半減期が約21日と短いため当院においては栄養状態 の比較には血清アルブミン値の指標を用いるのが望

ましい。

 身体計測値では一番高い割合を示すBMI値でも 6割弱にとどまり、上腕三頭筋部皮下脂肪厚、上腕 周囲長、上腕筋周囲長の計測の割合はそれぞれ3割 程度と低かった。このことは上腕三頭筋部皮下脂肪 厚や上腕周囲長の計測の難しさが関連していると思 われる。上腕三頭筋部皮下脂肪厚や上腕周囲長の計 測はBMI値と比較すると技術が必要で、正しく計 測するには正しい計測点を知り、つねに同じ計測点 であることが基本となる。これは計測者の熟練度が 要求される。一方、患者自身の身体その他病態の状 況がもつ背景として計測不可能な場合もある。しか し、栄養状態の変化をより詳しく知るためは身長、

         結  論

 当院はNST介入期間が短いため、半減期の短い 血清アルブミン値による栄養評価をすることが望ま しい。血清アルブミン値の測定が7割弱であること からチームとして血清アルブミン値の測定をはたら

きかけることが必要である。また、身体計測の技術 を磨き計測の割合を増やし評価に結び付けたい。

 今回の調査では診療国別における栄養状態の改善 には大きな特徴はみられなかった。当院でのNST 介入が退院及び転院後の栄養状態に影響を与えるこ

とを推察すると、退院及び転院先と栄養状態を連携 できるサマリーが今後必要と思われる。

         文  献

1)東口高志:NST実践マニュアル.医歯薬出版  株式会社、2005年

2)足立香代子:検査に基づいた栄養アセスメント   とケアプランの実際.㈱チーム医療・東京、

 2006年

3)細谷憲政、中村丁次:臨床栄養管理一その理論   と実際一.第一出版株式会社、1997年

一37一

札幌社会保険総合病院医誌第16巻 第1号 2007

(4)

NST介入による栄養状態改善の検証

Verifieation of lmprovement in Nutritional    Status due to the lnterposition of NST

   Akiko SATO i , Shizuka OHMIYA , Emi OKUDA i , Miki KANAZUMI i ,       Fumiko TOMINAGAi , Yukie NAKAGAWA i , Takuji YASUDAi , Shinicht MATUOKA i , Yoshinobu HATA i , Fumio SANO 2 , Chihiro SEKIYA 2        1)Nutri七ion suppor七七eam, Sapporo Social Insurrance General Hospital

       2) Department of Nutrition School of Nursing and Nutrition, Tenshi Co!lege

   We monitored the change in the nutritional status evaluation index due to the interposition

of the NST (Nutrition Support Team) and identified the nature of nutritional status improve−

ment in each clinical department. The index that displayed a significant difference before and

after interposition was that of serum albumin value with a short half life and BMI value. When

looked at according to clinical department, at the end of interposition the serum albumin value was significantly higher in orthopedics, and the hemoglobin value was significantly lower in the respiratory department. lt was thought that a combination of appropriate nutritional manage−

ment by the interposition of NST and regional coopera七ion by nutritionists after discharge will

be increasingly necessary in future.

札幌社会保険総合病院医誌第16巻 第1号 2007 一38一

参照

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