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(1)

総 合 都 市 研 究 第 8 号 1 9 7 9

木造建物の諸性状と地震被害の関係について

一 一 1 9 6 8 年十勝沖地震・ 1 9 7 8 年宮城県沖地震の調査から一一

望 月 利 男 * 宮 野 道 雄 * *

要 約

昭和2 5 年の建築基準法の制定により,その後に建てられた木造建物の耐震性は,従前のものに比べて 著しく向上したといわれている。その理由としては,建物の架構形式が,いわゆる大黒柱式〔地震カに 対して有効な壁がない,あるいはあっても少ない〕から耐力援式(地震カは耐力壁が負担する。主要な 援は筋かいなどで補強されており,土台によりコンクリート布基礎にアンカーボルトで一体化されてい る)に改善されたことがあげられる。しかし,各地の木造建物の耐震性の実態,その向上の度合を量的 に示す資料は見出されない。

ところで,地震時地域危険度測定(被害想定)などにおいては,いかなる方法を用いるにしろ,その 方法の当否は,過去の震災体験に適合するかどうかによりチェックされることが多い。また,想定地震 と類似の過去の地震による災害の分析結果を直接,被害想定などに適用することも十分考えられる方法 である。

しかし,大地震の発生間隔が大きいため,検討の対象としている地震当時から,現在に至る聞の建物 の質の変化をいかに考慮するかが大きな問題であり,上記の資料は必要不可欠になる。ここに示す報告 は,振動による木造建物の被害が少なからず生じた数少ない比較的最近の大地震の調査結果であり,そ こにみられる被害実態と建物諸性状の関係は,既存木造建物群の耐震性を評価するに際し,現状では最

も確かな情報として参考に供せられると考えている。

1 3 1  

1  1968 年 十 勝 沖 地 震 (M 7.9)における木造 建 物 の 被 害 と 建 物 諸 性 状 の 関 係

は,上記の 5 ' 地区を中心として実施したが,その方法,

手 1 ) 買は次のとおりである。調査は1 9 7 7 年 ‑1978 年の 2 年間に実施した。

1‑1  調査概要

この地震については,金森(1 9 7 1 )が断層モデルを発 表している。それによれば,断層の長辺が,青森県東部 海岸におおよそ平行で,傾斜 2 0 0 ,断層のディメンジョ

ンは, 150x100km 2 である。 これに対し,筆者ら(望月 ほか,1 9 7 8 )が関東大震災で用いたと同様な震央距離の 考え方で計れば,被害の大きかった八戸市,三沢市,む つ市が 1 8 5 凶内外,十和田市,野辺地町が 190‑ 加 O k 皿 内 外となる。被害の最も大きかった青森県の木造建物(住 家〉の全壊棟数は, 9 1 1 であるが,そのうち6 4 2 棟は上記 の 4 市 1 町に生じている(八戸市: 1 4 8 棟,三沢市: 6 4   棟,むつ市:1 邸棟,十和田市:2 5 2 棟,五戸町:9 3 棟 〕 。 それゆえ,以降に示す木造建物の被害に関する追跡調査

*東京都立大学都市研究センター・工学部

**東京都立大学大学院工学研究科博士課程

(i)  市町村役所(場〕からの全壊住家名簿の入手。

( i i )   上記名簿にもとづく郵送によるアンケート調査,

アンケートの内容:建物用途,建築年代,階数,

屋根材,主な外壁,被害状況,被害の主な原因,

修理(費)ならびに近所の 2‑3 棟についての被 害程度,それぞれの建物の用途,建築年代,階数

などの設問。

( i i i )   アンケート調査の補足ならびに現地の地形の確 認、,建物の構造その他実態把握のための現地調査。

( i V)  (i) の名簿以外の住家(全壊以外の被害または無

被害住家ということになる〉に対する ( i i ) と同様の

アンケート調査。この調査は, ( i i ) ,  ( i i i ) が当時全

壊と査定された住家〔全壊住家名簿による)を対象

として実施したのに対し,住宅地図により,それら

(2)

1 3 2   総 合 都 市 研 究 第 8 号 全壊住家の屑辺の住家を対象に実施したものであ

る。その目的は,全壊と査定された建物群がもっ諸 要因〔建築年代,用途,階数分布など)と,ここで の対象建物群(全壊以外の建物で,上言詮壊建物群 のそれぞれの地区の地形とほぼ同一地形上で調査し ている〉がもっ諸要因の聞の量的差異を統計的に求 めることにある。

1‑2  被害概要と被害の原因別内訳

以下に調査の結果を示すが,項目により棟数が異なる のは,アンケート調査においては,全ての設問に対する 回答が完全に満されているとはかぎらず,また,回答さ れていても信頼度が低いと思われる場合があり,項目に

よりそれらを除いているからである。

表 ‑ 1 は,地震当時全壊と査定された青森県の主要被 災地の住家(全壊名簿にもとづき,アンケートおよひ明 地での聞き込みにより調査)の主な被害原因の内訳であ る。地震当時からすでに報告されてきたように,地域に よっては,建物被害が斜面崩壊など地盤災害に起因して 生じた場合が少なくない。表は,これらを含む被害型の 地域差を量的に表わしている。ところで,表の総棟数は 4 0 3  (郵送による回答 1 6 1,現地調査 2 4 2 ) であるが,こ れは青森県全体の総全壊棟数 9 1 1 の約44% に相当する。

また,この調査棟数 4 0 3 のうち,完全に倒壊したとの回 答は, 45 棟であれこれは,不明(回答なし〉の 8 棟を 差し引いた 395 棟の 1 1 . 4% に相当する。すなわち,当時 全壊と査定された住家のうち,文字どおり倒壊した住家 は , 1 1 .  4  %に過ぎない。 この倒壊住家を含め,地震直 後被害が大きく居住に耐えないとして取り壊わした住家

は , 1 3 0 棟,すなわち当時全壊と査定された住家のうち 32.9%  (130~395) がまさに居住不能の被害をうけたこ とになる。残りの67.1% の住家は,査定は全壊で、はあっ たが,修理して使用した,あるいは現在も使用している と回答している(この項不明 8 棟 〕 。

ところで,表 ‑ 1 の被害型のうち,主として地盤災害 に直接起因する建物被害は,木造の場合,建物それ自身 の耐震性などの差異にかかわる度合は小さいと考えられ る。それゆえ,ここでは主な被害原因が振動にあるとす る住家に限定し,建物性状と被害の関係を検討する。そ のために,上記全壊住家名簿に記載され,かっ今回調査 しえた住家と同一地区,各地区のほぼ同一地形上の住家 (全壊住家名簿に記載がない,すなわち当時半壊以下の 被害と査定された住家〉の諸性状を全壊住家のそれと 対応させて調査し,両者を比較検討することにした。な お,調査地域は,被害が大きく,かっ前記までの資料が 比較的よく収集しえた次の 5 市町ぞあり,郵送によるア ンケートで実施した:八戸市84 棟,三沢市1 4 棟,むつ市 1 1 1 棟,十和田市 1 4 9 棟,五戸町 65 棟の合計 4 2 3 棟(ア ンケート発送総数2 0 0 0 , 回収率2 1 . 2%) 。以下に,比較 のために作成した幾つかの図を示し,建物諸性状の被害 におよ I ました寄与度を統計的に検討する。ただし,いず れも全壊査定建物は特別に説明しない限仇主として振 動によって被害をうけた建物とする。

1‑3  建築年代と被害の関係

図 ‑ 1 は,全壊査定建物とそれ以外の建物の建築年代 構成・階数を比較するために示したものである。建築年 代による建築構造の質の差異,あるいは老朽化の程度が 表 ‑ 1 地震当時全壊と査定された住家(全壊住家名簿による)の原因別内訳

振 動 O Y 1 1 9   65  1 2 2   1 9   9  2 9 3  

ic c : .  

1)¥似

( 6 5 . 5 ) ( 7 7 . 4 )   ( 8 7 . 1 )   ( 4 1 .   3 )   ( 6 0 . 0 )   (72.7)% 

建物の背後斜面の崩壊 6  1  1  O  9  1  1 8   (  6 . 7 )   (  3 . 4 )   (  1 .   2 )   (0  )  ( 1 9 . 6 )   (  6 .   7 )   (  4 . 5 )  

支 の 持 崩地盤の崩壊(斜面,擁壁 1 2   2  7  5  1 0   4  , ( 0  壊) ( 1 3 . 5 )   (  6 . 9 )   (  8 . 3 )   (  3 . 6 )   ( 2 1 .   7 )   ( 2 6 . 6 )   (  9 . 9 )   平現地の沈下,かんぼっ 1 0   6  9  2  4  。 3 1  

( 1 1 . 2 )   ( 2 0 . 8 )   ( 1 0 .  7 )   ( 1 .   4 )   (  8 .  7 )   (0 )  (  7 .  7 )  

不 明 2  1  2  1 1   4  1  2 1   (  2 . 3 )   (  3 . 4 )   (  2 . 4 )   (  7 . 9 )   (  8 .  7 )   (  6 .  7 )   (  5 . 2 )  

計 1 ( 1 8 0 0 9   〉% 2 9   84  1 4 0   4 6   1 5   4 0 3   (  1 ∞ 〕 (  1 0 0 )   (  1 0 0 )   (  1 0 0 )   (  1 ∞ 〕 c l ∞)% 

*その他は,三戸町 4 椋,野辺地町 4 棟,東北町 5 棟,上北町 2 棟 。

(3)

1 3 3   望月他:木造建物の諸性状と地震被害

口:全壊査定量物(茸扱宮原因:振動) 1  2 5 9 棟

由:全壊以外の査定建物 J I ( 1  f)建物v'l近辺J~て調査)423 操

7 0 1  

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図 2 全壊査定建物とそれ以外の 建物の用途の比較

酷 m など

5 3 1 与以降 住宅

5 幻年 53~

全壊査定建物とそれ以外の 建物の建築年代・階数の比較

520 年以前 図 ‑ 1

率が低く,調査棟数 4 2 3 棟にとどまったが,サンプリン グにおけるランダム性は保持しているものと思われる。

それゆえ,この集団もおおまかには,母集団を代表して いるとみなすことにする。

このような仮定条件を設けて図 ‑ 1 をみれば,両集団 の建築年代構成聞の関係は,まず,昭和 2 0 年以前の建物 については,全壊査定建物が全調査建物中の 49.0% を占 め,また,それ以外の建物が全調査建物中の 32.9% を占 めることから,その比は,後者を1. 0とすれば前者(全 壊査定建物〉は1. 4 8 となる。すなわち,建築年代が昭和 2 0 年以前といった古い建物が,全壊査定建物集団におい ては,それ以外の集団に比べて1. 4 8 倍多く含まれている ことを示す。一方,昭和 2 1 年以降に建てられた建物に関 する伺様な比率は,昭和 2 1 年 ‑ ' 3 0 年で O .8 2   : . 1 .   0 ( 2 0 .  5% 

:  24.9% 入 昭 和 3 1 年以降では, 0 . 7 2:  1 .   0 ( 3 0 .  5% :  4 2 . 2  

%)と,全壊査定建物群に占める比較的新しい建物の比 率は,それ以外の建物群のそれに比べて小さくなってい る。この操作は,全壊以外の建物集団の各建築年代の棟 数比に対し,全壊査定建物集団のそれぞれの年代の棟数 被害に寄与したであろうことは十分考えられる。図によ

れば,昭和初年以前に建てられた建物の比率は,全壊査 定建物においては 49.0% (振動による全壊建物調査総数 2 5 9 棟のうち 1 2 7 棟),それ以外の建物では 32.9% (調査 総数 4 2 3 棟のうち 1 3 9 棟〉となっており,明らかに前者の 占める比率が高くなっている。いまここでの調査建物群 が,それぞれ主として振動によって大きな被害をうけ,

全壊と査定された建物ならびに,全壊が比較的集中した 地区にあって全壊に至らなかった建物を代表する集団で あるとみなしうるならば,両者の集団の諸性状の間の量 的な比較が可能である。全壊査定建物に関する資料は,

すでに述べたように青森県における全壊総数の約 44% ,

被害の特に集中した前記 5 市町でいえば,総数 7 4 2 棟の

うちの 3 8 8 棟,約 53% に対して得られており,ほぼ,母

集団を代表するサンプノレと考えられる。一方,全壊以外

の建物については,上記 5 市町の全壊集中地域における

全壊以外の建物に対して調査したものであり,アンケー

トの郵送密度は高い(住宅地図 1~2 頁分の大部分の全

壊以外の住家に発送している場合が多い〉。ただ, 回収

(4)

1 3 4   総 合 都 市 研 究 第 8 号 比が何倍になっているかをみたものであり,結果は,そ

れぞれ古い方から, 1 .   4 8 ,  o .   8   , 2 O .  7 2 となっており(全 て1. 0 なら,両集団の建築年代分布の問に差異はないこ とになる〉。建築年代が建物被害に大きく寄与したこと を示している。

すなわち,この結果は建物の建築年代間の全壊棟数比 率の差異を量的に推測させるものであり,昭和3 1 年以降 の建物の全壊棟数比(倍率〕を1. 0とすれば,昭和2 1 年

‑30 年の建物では,その1. 1 4 倍,昭和2 0 年以前の建物で は , 2 . 0 6 倍を示す。結論として,この地震においては,

昭和 2 0 年以前に建てられた建物は,昭和 3 1 年以降の建 物の2 . 0 6 倍の比率で全壊したことになる。一方,昭和2 1 年 ‑ 3 0 年と 3 1 年以降では, 1 . 1 4 : 1 . 0 であるから大き な差異はない。したがって,この建築年代区分を昭和却 年以前と昭和2 1 年以降に大別すれば,間‑ 1 から, 1 .  4 8  

(49.0%/32.9%)  :  0 . 7 6  ( 5 1 .  0%/67.1%) となり,

全壊棟数比(倍率)は1. 95:1 . 0 が得られる。

1‑4  建物の階数と被害の関係

図 ‑ 1 にはまたそれぞれの建築年代ごとに階数を,平 家 2 階家として棟数で示しである。I, 1Iとも年代が 新しくなるに従い 2 階建の占める割合が増加している が,建築年代を考慮しつつ,階数が被害におよぼした寄 与について考えてみる。まず,昭和2 0 年以前の建物では

平 家 2 階建 1.全壊査定建物 :  6 5 .  4%  3 4 .  6% 

1I.上記以外の建物: 5 8 .  3%  4 1 .  7% 

I/ l I   (棟数比) :  1 . 1 2   0 . 8 3   平家の全壊煉数比 : 1 . 3 5   1 . 0 

となり,存在棟数比を考慮すれば,平家は 2 階建の1. 3 5   倍高い比率で,全壊と査定されている。

同様にして,昭和2 1 年 ‑30 年では,1. 2 3 倍,昭和3 1 年 以降では0 . 9 9 倍が平家の 2 階建に対する全壊棟数比(倍 率〉となる。すなわち,古い建物では,平家の方が 2 階 建より大きな比率で全壊と査定されており,昭和3 1 年度 以降の建物といった地震当時としては,比較的新しい建 物においてのみ,その比率は,ほぼ同率となっている。

このことは,軟弱地層厚の大きい地盤地帯の震害につい て,かつて云われてきた状況とはかなり異っている。そ れゆえ,ここでは調査地域(大きな被害をうけた地域〕

の地形・地盤を概説する。

全般的にいわゆる長周期地盤はみられない。八戸市の 馬郡 I J J ! ¥ 沿いの三角洲の一部に層厚 30m と,厚い沖積低地 がみられるが(八戸市における I の55 棟中 2 棟のみがこ の地盤上にある〉。この地区でも広がりとしてみられる のは,沖積層厚約20m(同様に, 5 5 棟中1 3 榛が立地〉な いし10m 以下の地帯である。三沢市の調査地域の大部分 は谷底低地であるが,ここでの沖積層厚は 3 m 内外であ

る。むつ市も主要調査地域は,三角洲であるが,沖積層 厚は, 10m 以下である。十和田市における調査対象建物 は,全て台地上にある。また,五戸町の調査対象は,そ の多くが谷底低地にあるが,ここでも沖積層厚は,約 3

m と薄い。

このような被災地の地盤条件が 2 階建建物の被害を 平家に比べて大きくしていない理由の一つであろう。と ころで,古いあるいは比較的古い建物の平家の全援の比 率が高い理由は,今回の調査のみからでは十分説明はで きない。ただ,現地調査などを通しての実感であるが,

被災地全般にわたり比較的古い建物の質は,かなり低い ように思われた。後述するように,それらの主要外壁は 押縁下見板張りが多く基礎もコンクリート布基礎でない ものが多かった(切石を連続して並べたものが多い L

これは,特に比較的軽微な平家建物において目立つた傾 向である。

1‑5  建物用途と被害の関係

ここで,建物用途の全壊に対する寄与を検討する。図

‑2 は,全壊査定建物 I とそれ以外の建物 E の用途の比 較である。住宅は,専用住宅を示し,商庖などには,ご く少数の旅館,料亭などが含まれているが,大部分は庖 舗併用住宅である。また,農家などは,職業としての農 家ではなく,居住スペースのほかに広い作業室,土間な どがある建物をいう。したがって,そのようなスペース をもっ農家以外の建物も幾らか含まれている。

図によれば,全壊査定建物の用途分布とそれ以外の建 物の用途分布の間に目立つような差異はみられない。一 般に,広いスペースあるいは関口をもっ商庖や農家など が,専用住宅(ほぼ居住のみに用いられている農家も含 まれる〕に比べ郁鷺性は低いと考えられているが,この 地震の調査結果は,図 ‑ 2 が示すように,わずかではあ るが,住宅の 1 (全壊査定建物〉が60.6% ,その1I (全壊 以外の建物〉が55.4% と , 1  >1Iの棟数比率を示してお り (商庖,農家などでは1I>I),住宅が他の用途の建 物より全壊棟数比率が高くなっている。この点について は,後により詳細な被害内容分析を行うことにより,若 干考察する。

図 ‑ 3  ( a ) ,  ( b ) ,   ( c ) は,全壊査定建物 I とそれ以外の建 物 E を用途別にみた建築年代分布の比較である。いずれ の用途においても昭和2 0 年以前といった古い建物の全壊 棟数比が, 1  >1Iとなっているが,特に農家などにおい て著しい。ただ,この場合は,用途区分などのため,そ れぞれの年代の棟数が減ずることから,昭和2 0 年以前と 昭和2 1 年以降に大別して,前記,図‑1 に対すると同様 な操作を行えば, 昭和2 0 年以前

住 宅 : 2 . 0 3  (45.9/29.5== 1 . 5 6 )  

商唐など:1 .   6 9  (40.6/34.8==  1 .  5 4 )  

(5)

望月他:木議建物の諸性状と地震被害

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図 ‑ 3 全壊査定建物とそれ以外の建物の用途別建築年代構成の比較

3 0   2 0  

1 0   1 0  

農家など・ 4 . 6 5 (76.3~41.1==1.86) 昭和2 1 年以降 住 宅 : 1 .  0 ( 5 4 .   1~70. 5 = = 0 . 7 7 )   商庖など:1 . 0 (59.4/ 日 .2=0.91) 農家など:1 .  0 (23.7/58.9=0.40) 

となり,全体では,すでに求めたように1. 95: 1 . 0 であ るから,用途別でみた場合,古い農家の全壊棟数比(倍 率)が目立つ。

1‑6 壁・屋根について

図 ‑ 4 は,全壊査定建物 I とそれ以外の建物 E の主な 外壁構成(分布〉の比較であり,建築年代区分も併わせ て示してある。この地域の特性は,比較的新しい建物 (地震当時)でも前述した押縁下見板張りが極めて多く 用いられていることにある。これらの基礎は,古い土壁 構造のものと同様に,コンクリート布基礎でない場合が 多い。昭和25 年に建築基準法が制定されたとはいえ,一 般の木造建物の建築確認申請の義務が,都市計画区域に 限られることと関連すると思われるが,基礎から推察し

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てすじかいなどが一般に用いられているとは思えない。

なお,地震後に建てられた建物は,モルタル,各種ボー ド,パネルなどを用いた通常の都市型建物が大部分のよ うである。

図から土壁の全壊棟数比率が高いのは明白であるが,

モルタル壁との比較で,前述と同様にして量的に表現し てみれば,

士慶 板壁 モルタル 1 . 全壊査定建物 1 7 .  4%: 6 1 .  0%: 2 1 .  6% 

n . 上記以外の建物 5 .7%: 6 4 .  5%:  2 9 .   8% 

I/n  (棟数比) 3 . 0 5   O .  9 5   O .  7 2   全壊棟数比(倍率) 4 .  24  1 .  3 2   1 .  0  となり,実に土壁の建物は,モルタノレ壁の建物の4 . 2 4 倍 の全壊棟数比率を示している。板壁は1. 3 2 ‑ 倍である。

なお,被害原因,被害の大小にかかわらず屋根葺材が判 明している建物は, 8 9 5 棟あるが,その内訳は,金属板 葺: 7 9 3 棟,わらあるいはかや葺: 53 棟,瓦葺 :28 棟 , 板主主: 2 1 棟であり,金属板葺が 88.6% と他を圧してい

る。すなわち,屋根の軽量という条件のみからみれば,

(6)

総 合 都 市 研 究 第 8 号 調査対象地域の建物の大部分は耐震的に有利な側にあっ

たといえる。

1 3 6  

四 1 : 4 0 3 棟

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ける構造的にみて確からしい全壊建物に着目すれば,連 築年代による全壊棟数比率の差異は,さらに顕著なもの

になることを示す。

用途についていえば,図‑ 2 では,住宅の全壊棟数比 倍率が,商}苫,農家などに比べて高かったわけである が,図‑ 5 によれば,再区分された全壊棟数%は,住宅 が最も低くなっている。いま,上記と同様にして,全壊 棟数比%(倍率)を求めてみれば,住宅を1. 0として,

商広など1. 1 8 ,農家など1. 2 6 となり,図 ‑2 とは逆に,

住宅が最も大被害をうけた比率が低くなっている。

すでこ述べてきたように,この報告で全壊査定建物 I というのは,青森某下の市町村が保管していた全壊住家 名簿(地震当時支払われた見舞金額なども記載されてい る〕にもとづいている。 しかし, 今回実施した調査に よれば,それぞれの実質的な被害程度には大きな幅があ り,その全てを建築構造の面からみて全壊とみなすこと には問題があるように思われた。それで主として振動に より被害をうけ全壊と査定された建物について,被害状 況,修理(復旧〉金額などをランク分けし,被害階級の 再区分を行った。

図‑ 5 は,その結果として全壊,半壊,一部損壊の棟 数%を用途,建築年代別に示したものである。なお,被 害判定の基準は,図中に概説してあるが,金額は当時の 値である。完全に倒壊した,被害が大きく居住に耐えな いためとり壊した,当時の金額で復旧に 3 0 0 万円以上妥 したなど,全壊とみなしうるほどの大被害をうけた住家 は,図ー 5 の各項目が判明している 2 6 4 棟中, 1 4 5 棟 , 55% である。半壊の判定は,ややあいまいであるが,復 旧費 1 0 0 万円以上 3 0 0 万円未満,あるいは柱が折れた,

傾斜大などとり壌わすほどではなかったにしろ大きな被 害をうけた住家とすれば, 6 4 棟 , 24.2% となる。一方,

一部損壊は,復旧費 1 0 0 万円未満,あるいは全般にわた る被害状況が比較的軽微な場合としたが,これは 5 5 棟 , 20.8% である。

このように再区分すれば,前述しイきた各図の見方も また変わってくる。いま,被害を再区分した結果で,比 較的あいまいさの少ない全壊(大被害〉建物について,

全壊棟数比%(倍率)を求めてみれば,建築年代では,

建 築 年 代 昭和 2 0 年以前 1  '.図 ‑5 の全壊建物 ;  62.8% (91/1 4 . 5 )   I I . 全選査定以外の建物; 32.9% 

l'/II  (棟数%の比) 1 .   9 1  

建 築 年 代 昭和 2 1 年 ‑30 年 1  '.図ー 5 の全壊建物 ;  15.9% ( 2 3 / 1 4 5 )   I I .   全壊査定以外の建物; 24.8% 

1  ' / I I   (棟数%の比) 0 . 6 4   建 築 年 代 昭和 3 1 年以降 Iぺ 図 ‑5 の全壊建物 ;  2 1 .   4% ( 3 1 / 1 4 5 )   I I . 全壊査定以外の建物; 42.3% 

1  ' / I I   (棟数%の比) 0 . 5 1  

となり,昭和 3 1 年以降の全壊棟数%を1. 0 とすれば,昭 和 2 0 年以前の建物は,その 3 .7 5 倍,昭和 2 1 年 ‑30 年で は , 1 . 2 5 倍となる。すでに求めた全壊査定建物の値は,

それぞれ 2 . 0 6 倍 , 1 . 1 4 倍であるから,全壊査定建物にお 会壊査定建物の被害区分

1‑7 

(7)

1 3 7  

側 特

∞ N r ︒ h 円 ト れ」

( c ) 襲匁など'

3 8 t 東 望月他:木造建物の諸性状と地震被害

7 0  

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回: B s 和 2 1 ‑ 3 0 年 四:回初 2 0 等以前 ね)住也 1 5 6 棟 「 70 

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壊 粉 壌 境 1 妙

全壊査定建物の被害再区分(用途別建築年代と被害の関係)

0 一部損壊:修理費 1 0 0 万 円末満,あるいは修理費 不明な場合,被害が比較 的軽微と推測されるもの (被害状況:傾斜,壁の はく離,きれつの程度,

柱,土台の基礎からの落 下,移動のありなしなど から判定〕

説 明 の

以いが害 円る柱被 万あ合ど

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そ と 区 分

宝 官 再 被 0 全壊:倒壊,地震後とり

こわしたもの,あるいは 修理費 3 0 0 万円以上を要

したもの

1 9 7 8 年 宮 城 県 沖 地 震 (M7 . 4 ) に お け る 木 造 建 物 の 被 害 と 建 物 語 性 状 の 関 係 一 仙 台 市 東 部 低 地 に お け る 調 査 か ら 一 一 2 

は,自然堤防,後背湿地,比較的内陸よりの浜堤など で,仙台市としては,ほぼ、最も地盤の悪いところといえ るが,全般的に軟弱層は薄く,長周期地盤ではない。

調査は,現地での聞き込みと観察,写真撮影によって おり 6 月2 9 日 ‑7 月 3日(地震発生 6 月1 2 日)の間に 実施した。なお,各調査対象地区(街区〉の木造建物は,

住宅地図と対応させながら,ほぼしつ皆的に調べた。調 査した建物は,被害程度により,大被害,中被害,小被 害の 3 つのグレードに分けた。それぞれの定義は,大体 次のようである。

o 大被害:被害が大きく,調査時点ですでにとり壊わさ 被害・調査概要

中級の内陸直下地震は,前記,十勝沖地震後も少なか らず発生しているが,それらの地震による大被害の多く は,がけ崩れなど地盤災害に起因しており,振動による 大被害(全壊など)と建物の諸性状の関係などを調べう るほどの資料は得られない。この地震は,そのような意 味でも,前記,十勝沖地震以来の大地震といえる。この 調査は,その目的から墓石などの調査により,仙台市で 最も大きな加速度が推定され,かっ木造建物の振動被害 が多発した仙台市東部低地で実施した。調査地域の地形

2‑1 

(8)

れているもの並びに,建物全体が応急の支柱 によって支えられているが,復!日は困難とみ なせるもの。すなわち,構造的にみでほぼ全 壊に相当する。

O 中被害:壁にかなりのきれつがある。傾いていること が十分認められる。屋根瓦が少なからず移 動,落下しいる。など,外部からみてかなり 被害をうけていることが認められる建物であ る。これらの建物の内部は,一般に外見から 想像される以上の被害をうけており,このグ レードは大体半壊程度に相当すると考えてい る 。

o 小被害:調査対象地域では,ほとんどの建物が被害を うけている。したがって,壁のきれつなどが 顕著であっても,それが局部的である場合は,

このグレードに含ませる。一般に,一部破損,

一部損壊といっている被害程度に相当する。

なお,市の査定との対応を一部で、行ったが,筆者らの 被害区分の方が,市の査定より被害が小さ目に評価して

いる側にあった。

図‑ 6は,調査建物 2 , 4 9 1 棟の用途,建築年代構成を

全調主棟教 2 4 9 1 ~柔

口 : n B 和 4 1 年以降 白: B t l 和 2 1 ‑ 4 0 与

第 8 号

示したものであり,調査対象地域の特性がわかる。すな わち,この地域は,従来,農家などの小集落が点在する ほかは,ほとんど田畑であったところである。しかし,

最近,十数年来の仙台市の市街地の拡大は,この地域に も及び仙台旧市街地並びに新設商工業団地への通勤者の 住宅(専用住宅)が急増している。したがって,マクロ にみれば,調査地域は,典型的な新興住宅地といえる。

図一 7 ,図‑ 8 は,調査建物の用途,建築年代と被害 の関係を示したものである。明らかに建築年代の古い建 物が,また,農家,商庖が専用住宅(図では,単に住宅 としている〕より被害棟数%が大きい。両図から構造的 にみでほぼ全壊ないしそれに準ずると思われる大被害建 物は,調査総数2 , 4 9 1 棟中, 1 1 0 棟 , 44% である。また,

ここにいう中被害(半壊程度に相当)は, 2 5 1 棟 , 1 0 . 1  

%である。なお,いずれも,ほぼ振動被害とみなせる。

総合都市研究 1 3 8  

建築年代と被害の関係

図 ‑9 は,建築年代と被害の関係である。 ( a ) , ( b ) ,  ( c )   は,それぞれ昭和2 0 年以前 ( 1 8 5 棟 ) , 昭和2 1 年 ‑ 4 0 年

( 5 4 4 棟),昭和4 1 年以降(1, 7 6 2 棟)に建てられた建物 の被害内訳であるが,建築年代による被害比率の差異は

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1 0  

(9)

望月他木造建物の諸性状と地震被害 著しい。すなわち,大被害についていえば,それぞれ,

1 9 .  5% ,  1 0 .  5% , 1 .  0  9 らであり,特に昭和4 1 年以降の年 代の建物で大被害をうけたものは, 1 . 0 % に過ぎず,昭 和2 0 年以前の19.5% は,いうに及ばず,昭和2 1 年 ‑40 年 の10.5% をも大きく引き離している。中被害は,大被害 におけるほどの大きな違いはないが,それでも 23.8%: 

2 1 . 5% :  5 . 1   %と昭和4 1 年以降に建てられた建物が,そ れ以前の建物に比べ,その比率は著しく低い。因みに,

中程度の被害(おおまかには半壊)以上の被害棟数の比 率でみれば 3 種の年代区分順に43.2%(185 棟中, 8 0   棟 ) , 32.0% ( 5 4 4 棟中, 1 7 4 棟 ) , 6 .  1  % ( 1 ,   7 6 2 棟中,

1 0 7 棟 〉 となる。

2‑3  建物用途と被害の関係

図‑10 は,建物用途と被害の関係である。 ( a ) , ( b ) ,  ( c )   は,それぞれ住宅,農家,商庄の被害内訳であるが,農 家,商庖の被害棟数に比べ,住宅のそれは目立って低 い。すなわち,大被害でみれば,住宅1. 8% ,農家 9 . 8

%,商!苫 7.5% であるから,住宅を1. 0とすれば,農家 5 . 4 倍,商庖4 . 2 倍,中被害以上としても, 7 .  9% ( 1 , 6 2 9  

口 : 8 t l I D 4 1 年 以 降 図:昭和 2 い 40 年 四:昭和 2 0 年以前

50 

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20 

よ 昔 話

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1 0  

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図 ‑ 8 調査家屋(建築年代思Jj)被害区分

1 3 9  

棟中, 1 2 8 棟 , 28.4%  ( 7 4 0 棟中, 210 棟 ) , 1 8 .  9% ( 1 2 2   棟中, 2 3 棟 ) , L たがって, 1:3.6:2.4 ということに

なる。このことは,最近の建物(昭和4 1 年以降)に限っ てみれば,さらに大きな差異となり,大被害の住宅,農 家,商庖の棟数比率は, O .   2  % ( 1 , 3 9 1 棟中 3 棟) 3.4% ( 2 9 5 棟中, 1 0 棟) :  4.8% ( 8 3 棟中 4 棟) = = 1 . 0 

:  1 5 . 9 :  2 2 . 3 となっている。

一方,昭和必年以前について,同様の比較を行えば,

住宅,農家,商庖の大被害の比率は, 10.9% ( 2 3 8 棟中,

2 6 棟) :  13.7% ( 4 5 2 棟中, 6 2 棟 ) , 12.8% ( 3 9 棟中, 5  棟〕であり,住宅が最も低いとはいえ 3 者の問に大き

な差異はない。

昭和4 1 年以降の新しい建物の被害棟数比が,それ以前 の建物の被害棟数比に比べて著しく低い値となっている ことは,すでに述べたが,とりわけ,住宅の低下率が低 いことが目立つ。すなわち,昭和4 0 年以前と昭和4 1 年以 降の建物の大被害棟数比を,住宅,農家,商 j 古について みれば,それぞれ10.9% →0.2% ,13.7% →3.4% ,  1 2 . 8  

7 0   合 計 棟 数 1 8 5

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(a)  昭和司 O 年以上 図 ‑ 9 家屋の建築年代(用途別)

と被害の関係

(10)

第 8 号 総合都市研究 1 4 0  

合計操教 1 7 6 2 棟

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図 9 (c)  昭和 4 1 年以降

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図 1 0 家屋の用途(建築年代別)と被害の関係

20 

10 

(11)

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望月他:木造建物の諸性状と地震被害

90  合計棟故 1 2 2 棟

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%→ 4.8% となる。

このことは,少なくともこの地区の一般(専用)住宅 の耐震性が最近に至り,さらに一段と向上していること を推測させる。このような建築年代,あるいは用途別の 整理では,被害におよ I ました構法の違いと老朽度の,そ れぞれの効果は分離されないが,昭和 4 0 年以前の建物の 被害棟数比に,用途による差異があまり見られないとい うことは,老朽化はあまり用途に関係なく進行するとみ られるから,耐震性(構造的にみた〉そのものに用途に よる差異が,ほとんどなかったことを意味しよう。

それは,この地区の地域性に大きく関係する。図ー 6 に示すように,この地区に一般的な都市型住宅が多数建 設されるようになったのは,昭和 4 1 年以降であり,それ 以前からあった住宅は,これらの新興住宅群とは,構造 的もかなり異ったものである。そのうち,壁材,基礎に ついては後に検討するが,一般に,現地でみられる最近 の住宅に比べ,規模が大きく,間仕切壁などが少ない

1 4 1   従来の農家建物に近い特性をもっているようである。ま た,屋根も一般に重い。住宅に限ってみれば,昭和 2 1 年

‑40 年に建てられた建物の屋根葺材で,瓦葺が占める割 合は,約 91%( 2 0 8 棟中, 1 8 9 棟)である。一方,昭和 4 1 年以降の住宅の同様な比率は,約 64%( 1 , 3 9 1 棟中, 8 9 0   棟)に低下している。かくして,都市型の一般住宅は,

新しかったというよりも,建物構造の秀れた耐震性のた めに,この地震では極めて低い被害率に止まったといえ よう。一方,農家,商庖は,昭和 4 1 年以降の建物に限って も,それぞれ 3.4% , 4.8% の大被害棟数比を示してい る。少なくとも都市計画区域においては,木造建物の構 造が法規的にも大黒柱式に代わって耐力壁式が採用され るようになって久しいが,農家建物には,いまなお土問 (作業場),連続した和室の従来の使い方の名残りがあ るように思われ,皇室率は低いようである。さらに屋根は 入母屋で,棟瓦が高いなど重い建物も目立った。

1 階に広いスペースが要求され,かっ解放的な庖舗併 用住宅(商庖)が,耐震的に問題を抱えていることはよ く知られている。この調査に基づく限り,一般住宅に比 べ,相対的にではあるが農家,商庖建物の耐震性の問題

50 

40 

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ロ 30 井 東

数 20 

10 

(12)

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紋 20  50 

総 合 都 市 研 究 第 8 号

点がより明瞭になってきている。

1 4 2  

40 

図‑11 は,階数と被害棟数比の関係である。昭和2 0 年 以前の建物の場合は 2 階建が極度に少なく,むしろ平 家の被害棟数の方が高い。一方,昭和 4 1 年以降の建物で は,同程度の値となっており,昭和 2 1 年 ‑40 年の建物に おいてのみ 2 階建の被害棟数比が平家のそれを上まわっ ている。以上,必らずしも 2 階建が平家に比べて大被害 をうけた棟数比が高くはなっていないが,この理由とし ては,地盤条件(軟弱層が薄い〕があげられよう。

図 ‑12 は,根葺材と被害棟数比の関係である。明らか に,瓦葺建物の被害棟数比は,いずれの建築年代とも金 属板葺建物のそれを上まわる。わら(かや〕葺建物 l : t ,  建築年代が昭和 2 0 年以前に限られるが,被害株数比は意 外に低く,大被害+中被害の棟数比では,約 9%( 4 2 棟 中 , 8 棟)と, 37.5% (8 棟中, 3 棟〉の金属板葺建物 より低い比率を示している。ただし,大被害に限れば,

;  ¥ │   ¥  U  この比率は逆転する。

10 卜 1  509(59~ ¥  U  以上,建築年代による屋根葺材の偏りなどのため,部

│  」 ¥ ¥ 日 1 2 0 1 ( 9 5 ) 1 撒争中精分的には説明しきれないところもあるが,全体的にみれ i  干 3 0 ( 2 ) , " ¥ ¥ t   ば,屋根材の重さと被害の間には,相関性が認められ

~42(3) ‑‑'7¥¥ 、 ¥I 

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1/1 i " ) ¥   I 

γ 、   1 . 5 6 1 ( 1 2 ) )   t c t ! .   中被害も含めて考えた場合には,屋根材自体

1 J ' ! ¥ 鴻 ι1201(14)}oiー ,

1 8 ( 0 2   、 ~~56;('3)J J 丈 締 # の被害(瓦の移動・落下〕も被害程度岬 j 定 明 こ 支

」五話呼 協 和 1 1 国防犯 4 f 年 れていることを留意する必要があろう。

μ W I   ‑ ‑ ‑ 4 D 等 以 降

図 ー 1 2 屋根葺村と被害棟数比(%)の関係‑

3 片 付 存 続

50 除芋月開放。そ m 働 基 礎

I  1 7 " 7 ( 8 2 )  

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1 3 5 ( 3 3 )  

40 

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2 1 2  ( 5 8 )  

図 1 3 基礎と被害棟数比%の関係

2‑4  階数,屋根葺材と被害の関係

2‑5  基縫・主な外周壁と被害の関係

基礎と主要な壁がどのような構法によっているかは,

建物の耐震性を判断する場合,大きな目安になる。図‑

1 3 は,調査した建物の基礎と被害棟数比の関係、である。

昭和 2 0 年以前の建物の基礎が,全てコンクリート布基礎 以外であるのは,理解できるが,昭和 2 1 年 ‑40 年の建物 の 85.6%( 5 1 3 棟中, 4 3 9 棟)が,切石を連続的に並べた 基礎あるいは独立基礎(この基礎は,全建築年代合計で 9 棟のみ)である点は,予想外であった。これは,前述 したように,一般の木造建物の建築確認申請義務が,都 市計画区域に娘定されていたことと関連するのであろう が,昭和 4 1 年以降においてもなお, 12.1% ( 1 , 7 5 1 棟中,

2 1 2 棟)の建物の基礎に切石の連続基礎がみられた(こ の年代の建物に独立基礎はない〕。

図が示すように,基礎と被害の関係は明瞭である。大 被害に限れば, コンクリート布基礎の建物の総数 1 , 6 1 3 棟中, 8 棟 (0.5%) ,一方, それ以外の基礎の建物で

は , 8 2 8 棟中, 1 0 7 棟(1 2.9%) が被害をうけたことにな る o

図 ‑14 は,主要な外周壁材と被害棟数比の関係であ

る。壁体の内部構造は不明であるが,基礎と関連付けれ

ば,而十震性の配慮の有無は,推察できょう。すなわち,

(13)

望月他:木造建物の誇性状と地震被害 1 4 3  

6 0   O

図 ‑ 1 4 主な外周壁材と被害棟数比%の関係

主要な外周壁がどのような材料であれ,昭和2 0 年以前の 建物は全てコンクリート布基礎以外の基礎(すなわち,

耐力壁式ではなく大黒柱式と考えられる〉であり,マク ロにみれば,建物全体としての耐震性に大きな差異はな かったようであり,いずれの壁材の場合も20% 台の大被 害様数比を示している。

昭和21‑40 年の建物も,その大多数は前述したように コンクリート布基礎ではない (85.6%) 。それらの建物が 有効な耐力壁をもっていることは考えにくいが,被害棟 数比は昭和2 1 年以前の建物に比べ,かなり減じていると ともに,被害棟数比にかなりの幅を生じている。これを 大被害についてみれば,この年代に登場してきたモルタ ノレ壁が最も低く,約3.2%(63 棟中, 2 棟),金属板,ボー ド類の壁が最も高く 14.4%(139 棟中, 2 0 棟〕となって いる。ただし,この年代までの金属板

p

ボード類は,比 較的最近の壁材として開発されたものではなく,単に土 壁,下見板壁などを被覆した構造であろう(ほとんどが 薄鉄板)。一方,図ー1 3 によれば, 比率としては小さい が,この年代で使われるようになってきたコンクリート 布基礎の建物は, 7 4 棟中 1 棟のみが大被害をうけたに 過ぎない。これは,外見上はどうあれ,不備な基礎上に 有効な耐力壁は存在しえない(あるいは,そのような配 慮はなされていない)ことを意味する。なお,コンクリ ート布基礎で大被害をうけた上記 1棟は,外壁を薄鉄板

で被覆したものである。

昭和4 1 年以降の建物では,土壁,下見板(押縁下見板 張〉壁は激減し,総調査棟数 1 , 7 5 1 棟中,前者は 9 棟 , 後者は 6 棟に過ぎない。土壁の 9 棟の基礎は, 7 棟が切 石であり,そのうち 3棟が大被害をうけている。下見板 皇 室 の 6 棟のうち, 5 棟はコンクリート布基礎であるが,

残りの 1 採(切石基礎〉を含め,いずれも小被害にとどま っている。コンクリート布基礎の建物で大被害をうけた 7 棟の壁の内訳は,モルタルが 5 棟,金属板,ボード類 が 2 様である。コンクリート布基礎の総調査棟数は,前 者が3 4 7 棟,後者は1. 1 8 5 棟であるから,大被害をうけた 棟数比は,前者が1. 44% ,後者は0.17% である。この年 代で,コンクリート布基礎をもっ建物の金属板,ボード 類の壁は,ほとんど壁用につくられた建材から成るもの であり,その耐震性はモルタル壁などに比べ,かなり高 いといえそうである。

3  まとめ

以上の 2 つの地震の調査結果をまとめ,振動による木 造建物の被害と建物誇性状の関係を一般性をもって定量 化するために若子の考察を試みる。

この 2 つの地震の発生には約1 0 年の隔りはあるが,い ずれも木造建物の構造として耐カ壁式が一般に定着した と考えられる比較的最近の地震である。しかし,十勝沖 地震の調査地域(被害の多発した地域〉においては,当 時としては比較的新しい木造建物も含めて,また宮城県 沖地震の調査地域では,昭和3 0 年代の建物(上記十勝沖 地震における比較的新しい建物と同年代の建物)も含め て,耐力壁式が必らずしも一般化されていないことがわ かった。

しかし,一般に建物構造がコンクリート布基礎,それ に固定された耐力壁で一体化されていないとはいえ,戦 前の建物に比べ,戦後の建物の耐震性が向上しているこ とは確かなようであれしかも,この 2 つの地震の調査 資料がほぼ一致する量的な結果が得られた。すなわち,

十勝沖地震における昭和2 0 年以前の建物の全壊(当時の 査定)棟数比を1. 0 とすれば,それ以降の建物では0 . 5 1

であった(昭和2 1 年 ‑30 年: 0 . 5 5 ,昭和3 1 年以降: 0 . 4 9   一方,宮城県沖地震では,同様に昭和2 0 年以前の建物の 全壊(筆者らが判定〉棟数比を1. 0とすれば,昭和2 1 年

‑40 年の建物では0 . 5 4 であり, 2 つの地震の間に実質的 な差異はほとんどみられない。

ところで,宮城県沖地震における調査地域,仙台市東

部低地では,昭和4 1 年以降に至って耐カ壁式が一般化す

る。そして,これらの建物の全壊率は,著しく低いもの

になっており,昭和2 0 年以前の全壊棟数比の約1 / 2 0 に過

ぎない。

(14)

1 4 4   総 合 都 市 研 究 第 8 号 以上から,被害想定などに際して,建物の建築年代を

考慮する場合,建築基準法制定の前か,それ以降かの区 分にとどまらず,都市計画区域の線引きと関連すると思 われるが,耐力壁式がどの程度対象とする地域に普及し ているかを調べる必要があろう。

建物用途については,主として住宅,農家,百五庖に建 物を区分し,それぞれと被害(率)の関係を調べたが,

昭和 2 0 年以前あるいはそれ以降に建てられたものでも大 黒柱式が主体をなす場合,用途による全壊棟数比の差異 は大きなものではない。それでも,住宅の全'壊棟数比 が,農家や商 1 苫に比べ, 1 0 数%‑20 数%程度低いものと なっている。

この差異は,宮城県沖地震の昭和4 1 年以降の建物,す なわち,耐力壁式の建物では著しいものとなっている。

その程度は,住宅の全壊棟数比 (0.2%) を1. 0 とすれ ば,農家 (3.4%)で , 1 7 . 0 倍,商居 (4.8%)では, 24  倍に達しており,一般住宅に比べ,農家,商庖の耐震性 の問題点が,相対的にはより明瞭なものとなっている。

この 2 つの調査結果では,建物の階数と被害の関係は,

明らかなものとなっていない。建築年代によっても異な るが,全体的にみれば,平家も 2 階建も同程度の比率で 被害をうけている。これは,調査地域の地盤が,その周 辺に比べて悪いとはいっても,全般的に軟弱層が薄く,

いわゆる長周期地盤ではないことによると思れわる。な お,屋根の軽重と被害の関係には相関性がみられ,瓦葺 の建物が金属板葺などの屋根の軽い建物に比べ,被害率 は高い。

壁材(主に外壁〉と被害の関係は,耐力壁式でない場 合は明瞭ではない。耐力壁式の建物では,比較的最近,

壁用につくられた金属板(パネ y レ ) , ボード類あるいは 下見板張の被害率がモルタル蟹などに比べて低い結果 になっている。仙台市東部低地の調査によれば,金属板 (パネル), ボード類の壁の建物の全壊(筆者らの判定 による〉棟数比は, 0.17% であるの対し,モルタル壁建 物では, 1 .   44% となヮている o

文 献 一 覧 青森県

1 9 7 0   Ir青森県大震災の記録一一昭和4 3 年の十勝沖 地震一一』

金森博離

1 9 7 1 F o r c a l   m 巴 c h a n i s m o f   t h e   Tokachi‑Oki  e a r t h q u a k e  o f  May ,  1 9 6 8 ー C o n t r i b u t i o no f   t h e   L i t h o s p h e r e   a t   a  j u n c t i o n   o f   two t r e   nch ー へ T e c t o n o p h y s i c s:  Vo . 1 1 2 .   pp.1‑13  日本建築学会

1 9 6 8   1 r 1 9 6 8 年十勝沖地震災害調査報告』

望月利男・宮野道雄・松田磐余

1 9 7 8   r 1 9 2 3 年関東大地震における木造家屋の被害 の検討ー震央距離・地形と全壊率の関係一」

『日本建築学会論文報告集』 第 2 7 0 号 pp.81‑90 

RELATION BETWEEN CHARACTERISTICS OF  WOODEN  STRUCTURES AND DAMAGE DONE 

From I n v e s t i g a t i o n s  on the 1968 Tokachi Oki and  Miyagi‑ken Oki Earthquakes 

Toshio Mochizuki  *  and Michio Miyano  * *  

白 m ρ r e h e n s i v eUrban S t u d i e s ,  No. 8 ,  1 9 7 9 ,  p p .   131‑140 

This p a p e r  i n v e s t i g a t e s  t h e  damage done t o   wooden s t r u c t u r e s  t h a t  was c a u s e d  mainly by v i b r a t i o n   d u r i n g  e

r t h q u a k e s .The p u r p o s e s  o f  t h i s   i n v e s t i g a t i o n  a r e   d i s c u s s i n g  ‑ s t a t i s t i c a I l y  t h e  e f f e c t s  which may  g i v e   t h e   damage  r a t i o   ( p o t e n t i a l )   o f   v a r i o u s   p r o p e r t i e s   o f   wooden  s t r u c t u r e s   s u c h   a s   o l d   and new  c o n s t r u c t i o n s ,  t h e i r  u s e s   ( r e s i d e n c e ,  shop o r  f a r m h o u s e ) ,  number o f  f l o o r s ,  w e i g h t  o f  t h e  r o o f  and s o  o n .   As t h e  r e s u l t ,  i t   i s   made c l e a r  t h a t  t h e   newly  c o n s t r u c t e d   h o u s e s   w i t h   e a r t h q u a k e ‑ r e s i s t a n t   w a l l s   h a v e   c o n s i d e r a b l y  high a n t i s e i s m i c  p r o p e r t i e s .  

キ C e n t e rf o r  Urban S t u d i e s ,  Tokyo M e t r o p o l i t a n  U n i v e r s i t y  

* *   G r a d u a t e  S c h o o l  o f  E n g i n e e r i n g ,  Tokyo M e t r o p o l i t a n  U n i v e r s i t y  

参照

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