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外部経済とゲーム均衡の一意性

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Academic year: 2021

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《研究ノート》

外部経済とゲーム均衡の一意性

村 田 省 三

Abstract

In this paper, we concider the condition for the uniqueness of the equilibria in duopoly games. If there is an external economy and additional production available in the later stage, only one Stackelberg equilibria is to be the pure strategy equilibria. In this case we can exa- mine which duopolist move first. Action commitment is not sufficient to determine which player move first.

Keywords:duopoly game, external economy, Stackelberg equilibria

1 はしがき

手番選択ステージがある完全情報数量戦略複占ゲームについて,

Hamil- ton

=

Slutsky

(1990)(以下,

H

S

(1990))は,パレート優位集合の配置に注目 することにより,ゲーム均衡を特定化できるかどうかを検討した。パレート 優位集合のなかを両企業の最適反応曲線が通過しない場合は同時手番の均 衡,一方のみが通過するならば同企業後手の均衡が,両方が通過すれば多数 の均衡が得られることが確認されている。このとき,手番選択ステージの存 在は,それのみではゲーム均衡特定化に効果がない。たしかに,クールノー

=ナッシュ同時手番均衡あるいは2つのシュタッケルベルグ均衡のどれかに ゲーム均衡が向かう効果はある。しかし,本来,クールノー=ナッシュ同時

(2)

コミットメントを想定すれば,あるいはゲーム均衡特定化が可能ではないか と思われるが,これにはコミットメント選択順序についての問題がある。す なわち,同時手番となったときのコミットメント効果について難問を抱えて いる。これにたいして,本稿では,コミットメント戦略の有無にかかわらず,

追加生産ステージをもつゲームの場合,外部経済効果があれば,ゲーム均衡 がひとつに確定する場合があることを確認する。

2 モ デ ル

完全情報の数量戦略複占ゲームを想定する。ゲームの定義域は

R

2であり,

同時手番均衡および各複占企業先手によるシュタッケルベルグ均衡は定義域 内部に各々唯一であると仮定する*1。このゲームは,両企業による手番選択 ステージ(図表1参照)を含むことがある。それが含まれる場合,手番選択 は,同時手番で実行され,1回限りの選択であるとする。ここで,手番選択 ステージがある場合,同ステージで選択されるのは,先手(

F

)あるいは後手 (

S

)である。

先手・後手の選択ステージ後に,各複占企業はこの結果を知る。すなわち,

同ステージの後に手番選択観察ステージがある。手番選択ステージの前ある いは後に,各複占企業はコミットメントをおこなうことができる。その後,

*1 各種均衡の一意存在についての仮定は,HS(1990)と同様である。

(3)

図表1 手番選択ステージ

数量戦略ステージに移行する。各企業の生産能力に上限はないと仮定する。

このステージ後に,生産数量を観察する。この数量観察ステージ以降,生産 水準を生産済水準以下に減少させることはできないが,追加的な生産は可能

(追加生産ステージ)であると仮定する。

また,外部経済効果により一方のシュタッケルベルグ均衡利得が他方のシ ュタッケルベルグ均衡利得よりパレート優位であると仮定する。

3 ゲーム均衡の一意性

ここでは,事後的な追加生産が可能である。また,最初の分析では,外部 経済効果により第2企業先手のシュタッケルベルグ均衡(

E

S2)が第1企業先 手のシュタッケルベルグ均衡(

E

S1)および同時手番のクールノ=ナッシュ均 衡(

E

C)より,利得の意味でパレート優位であると仮定する。このとき,少 なくとも同時手番均衡をもたらす手番順序である(

F,F

)および(

S,S

)では逸 脱が発生する(図表2参照)。この逸脱は,計画段階での逸脱である。模索 ステージにおける逸脱である。したがって,純戦略ゲーム均衡は,(

F,S

)あ るいは(

S,F

)のいずれかであり,均衡点は

E

S2あるいは

E

S1になる。

このモデルでは追加生産可能であるから,ふたつのシュタッケルベルグ均

(4)

は(

E

S2点から離れるにしたがって)利潤減少であるならば,結果的に,通 常なら

E

S1が記入されるべきところが

E

S2となる利得表(図表2)を得る。第 2企業先手のシュタッケルベルグ均衡(

E

S2)が唯一のゲーム均衡になる*2 つまり,第1企業先手のとき,後手第2企業は(先手第1企業が

E

S2点に対 応する生産量水準を超えていないことを確認できれば)必ず

E

S2点に対応す る生産量を生産することになる。この場合,後手第2企業は,事実上の先手 になる。一方で,第2企業先手の場合は,

E

S2点になるが,このときには観 察ステージ以後の追加生産は起こらない。

結局,第2企業先手のシュタッケルベルグ均衡(

E

S2)のみがゲーム均衡と なり,手番順序が確定する。このとき,コミットメントあるいは手番選択ス テージがあるかどうかは問題にならない。コミットメントや手番選択ステー ジを想定しても,報復可能性を付与できなければ,効果はない*3

なお,パレート優位の順序を入れ替えても,結論は変わらない。すなわち,

第1企業先手のシュタッケルベルグ均衡(

E

S1)が,第2企業先手のシュタッ ケルベルグ均衡(

E

S2)および同時手番のクールノ=ナッシュ均衡(

E

C)よりパ

*2 この条件を満たす具体的な数量戦略複占ゲームの数値例を考案することは容易である。

*3 例えば,以下のコミットメントがあってもゲーム均衡の唯一化は起こる。しかし,この コミットメントがなくてもES2点は実現される。このコミットメントには,相手企業にと って知りえない内容は含まれておらず,コミットメントを実施したところで特段の効果 はない。

コミットメント1:自企業(第1企業)は,最適反応戦略に従って追加生産する。

コミットメント2:先手企業の生産量水準によっては,計画生産水準を変更する。

(5)

レート優位である場合も,やはり,第2企業先手のシュタッケルベルグ均衡 (

E

S2)が唯一のゲーム均衡になる。このことを確認する。第1企業先手の場 合,

E

S1から追加生産による逸脱が発生するが,これを予測する後手第2企 業は,事実上の先手となり,(先手第1企業が

E

S2点に対応する生産量を超え ていないことを確認できれば)

E

S2点に対応する生産量を生産すると予想さ れる。

なお,この場合,パレート劣位な均衡がゲーム均衡になる。追加生産の効 果は,どちらがパレート優位であるかに依存しない。

図表2 各種の均衡点

図表3 シュタッケルベルグ均衡の配置(1)

(6)

ム均衡になる。第2企業先手のとき

E

S2が実現されることは自明であり,第 1企業先手のときには,先手第1企業が

E

S2点に対応する生産量を超えない ことを確認できれば*4,後手第2企業にとって

E

S2に対応する生産が最適反 応になるためである。

図表4 シュタッケルベルグ均衡の配置(2)

なお,外部経済効果がない通例の数量戦略複占ゲームにおいては,以上の ような追加生産効果はまったく発揮されることはない。このことの検証は容 易であるから,ここにはその詳細を記述しない。

*4 第1企業にとって,ES2点を越えて生産する理由を見出すことはできない。

(7)

4 あとがき

外部経済等の効果によって,先手・後手にもとづく利得表に,もともと支 配戦略が存在していれば,追加的仮定なしに自働的に,

E

S2点は達成される。

また,原初的には支配戦略がなく,したがって,相手企業の行動をコントロー ルしなければ

E

S2の達成困難なときでも,外部経済を受ける企業が相手企業 にたいして(事前に)給付をおこなえば,支配戦略が出現することがある。

ただし,原初的に支配戦略がなく,給付などの自企業行動のみによっては,

支配戦略を出現させることが困難なとき,

E

S2点を実現しようとすれば,結 局,次のことを想定しなければならない。ひとつは,何らかの態度表明(コ ミットメント)または事実である。これは,相手企業の行動を誘導する事実 であるといってもよい。もうひとつは,この態度表明等について,それを実 現 さ せ る 実 行 力 で あ る 。 こ れ は , 結 局 の と こ ろ , 合 理 的 な罰 則 経 路

punishment path

)の構築可能性を意味する。ここで合理的というのは,

この罰則経路の実行によって自企業利潤を低下させることがないという意味 である。これがなければ,態度表明は強制力を持ち得ない。本稿での追加生 産可能性をめぐる仮定はこれに対応するものになっている。そして,この仮 定について既知であれば,特定のコミットメントを必要としなかったという ことである。なお,追加生産可能な場合,後手は事実上の先手となる。

参 考 文 献

[1] Amir,R.(1995). Endogenous Timing Two-Player Games:A Counter Example , Games and Economic Behavior.9.234‑237.

[2] Dowrick,S.(1986). von Stackelberg and Cournot Duopoly: Choosing Roles, Rand Journal of Economics.17.251‑260.

[3] Gal-Or,E.(1985). First Mover and Second Mover Advantages, International Eco- nomic Review.26.649‑652.

[4] Hamilton,J.and S.Slutsky.(1990). Endogenious Timing in Duopoly Games:Stack- elberg or Cournot Equilibria, Games and Economic Behavior.2.29‑46.

[5] 村田省三(2008).「外部経済と複占ゲームの均衡」応用経済学研究.第2巻.30‑43.

[6] 村田省三(2008).「Amir 条件と等利潤線の形状」九州経済学会報告論文.

(8)

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