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高校生の基礎的な調理技術・知識に関する現状

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原著論文

高校生の基礎的な調理技術・知識に関する現状

三好菜摘・上杉宰世

大妻女子大学家政学部食物学科

Basic Cooking Skill and Knowledge in High School Students

Natsumi Miyoshi and Sayo Uesugi

Key Words : 高校生,手伝い,調理技術,調理知識,就労形態

要旨

高等学校に通う家庭科履修中の生徒を対象とし て、質問紙法による横断研究にて基礎的な調理技術 や知識についての現状を把握し、それらに関連する 要因について調べることを目的とした。その結果、

食事に関する手伝いの頻度は男子に比べて女子の方 が高く、調理技術に自信を持っている生徒のほうが 高かったが、調理担当者の就労形態による違いはな かった。しかし手伝い内容のうち、弁当を含む食事 作りや食事の後片付けをしている生徒は調理担当者 がフルタイム就労であり、調理技術に自信をもって いた。さらに、調理技術に自信のある生徒は、調理 に関する知識問題の正答数が多く、実践できる食品 の切り方や料理の数も多かった。これらのことか ら、女子は手伝いの頻度が高く、調理担当者がフル タイム就労の家庭では生徒が食事作りや後片付けの 手伝いをしており、家庭での食事に関わる手伝いを することが調理に対する自信につながり、学校や家 庭で習得した調理に関する知識や技術が定着するこ とが明らかになった。

緒言

平成17年度に制定された食育基本法1)において、

「食育は、広く国民が家庭、学校、保育所、地域そ の他のあらゆる機会とあらゆる場所を利用して、食 料の生産から消費等に至るまでの食に関する様々な 体験活動を行うとともに、自ら食育の推進のための 活動を実践することにより、食に関する理解を深め ることを旨として、行われなければならない。(伝 統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び

農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献)」

という内容が定義され、食に関する教育が必要であ るという考えが普及した現在では、学校教育の中で 調理する機会を増加させる必要がある。しかし、小 学校から高等学校までの家庭科の授業時間数は平成 元年の175時間から平成10年の87.5時間へと減少 しており2)、調理実習の回数を増やすことは難しい 現状である。

また、2017年度の総務省家計調査によると、調 理済み食品及び加工食品が、生鮮食品を抜いて家庭 の食料費の半分以上を占めている3)。食事を外食や 調理済み食品で済ませることにより、家庭で食材か ら調理を行う機会を減少させることになる。調理に 関する知識や調理技術習得の場は、学校教育におけ る家庭科の授業および家庭における日常の調理であ る。10〜20歳代の男子学生を対象とした調査によ ると、調理技術の高い学生ほど望ましい食生活を 送っていること4)や、調理頻度の高い学生ほど食事 や栄養への関心が高いこと5)、調理頻度と調理の好 き嫌いが大きく影響していること6)が報告されてい る。これらのことから、望ましい食生活を送ってい くためには調理機会を持つことが重要であると考え た。しかし、上記の通り小学校から高等学校の家庭 科の授業時数が減っている。そのため、調理技術・

知識の習得には家庭環境も大きく影響していると考 えた。

そこで、本研究では高校生の基礎的な調理技術・

知識に関する現状を把握し、同居家族、きょうだ い、家での調理担当者の就労形態、外食・中食の利 用状況、食に関するマナー等、家庭環境との関連を 調べることを目的とした。

(2)

方法

高校生を対象とし、調理技術や知識と家庭環境に 関する内容による質問紙調査法にて横断研究を実施 した。

1. 調査時期・項目

調査時期は20179月とし、調査方法は、選択 回答方式の自己記入質問用紙を配布してその場で記 入してもらい回収した。調査項目は、家族構成・家 族の就労状況、きょうだい、家での調理担当者、手 伝いの頻度と内容、外食・中食の利用状況、調理に 関する知識、実践できる食品の切り方と料理、調理 技術への自信、家庭での食事のマナーに関する注意 とした。質問の中で家庭環境の項目への回答は本人 の自由意志であることを記入中に口頭にて伝えた。

2. 対象者

調査の対象者は都立高校に通う家庭科履修中の生 徒(1および2年生)とした。調査票は家庭科履修 中の生徒278名に配布し、267名(96.0%)から回 収した。回収した調査票のうち性別が未記入であっ た1名を除く266名を解析対象とした。

3. 解析方法

データ解析には、統計解析用ソフトIBM SPSS Statistics Ver 22 for Windows を用い、各調査項目に ついて単純集計、項目間のクロス集計を行い、χ² 検定による有意差を判定した。

結果 対象者の概要

対象者の概況を表1に示した。対象者の学年は、

1年 生 男 子94名、 女 子104名、2年 生 男 子5名、

女子63名であった。住居状況は、両親と同居が 194名、父子・母子家庭が30名であり、母親が仕 事をしているのは177名、専業主婦は42名であっ た。また家での主な調理担当者は母が238名と最も 多く、次いで父7名、祖母7名、自分自身5名、そ の他3名であり、調理担当者の就労形態はフルタイ ム59名(22.2%)、パート110名(41.4%)、その他 41名(15.4%)であった。

家での食事に関する手伝いと調理技術の自信 家での食事に関する手伝い、および調理技術の自 信について性別、調理担当者の就労形態別のクロス 集計を行った(表2)。家で食事に関する手伝いを す る と 回 答 し た 生 徒 は、 全 体 で 54.1%、 女 子

59.9%、男子 45.5%と女子の方が多く、手伝いの頻

度もほぼ毎日手伝いをするのは女子53名(31.7%)、

男子18名(18.2%)であり、女子のほうが多かっ た(p<0.05)。手伝いの内容は、食事の準備が最も 多く、次いで食事の片付け、弁当を含む食事作りの 順であり、いずれも女子のほうが多かったが、調理 技術の自信があるかどうかについては性別による違 いがなかった。また、弁当を含む食事作り、および 食事の後片付けの項目では、家での調理担当者の就 労形態によっても違いがあったが、調理技術に対す る自信には調理担当者の就労形態による差がなかっ た。さらに、調理技術に対する自信があると答えた 生徒のうち、食事に関する手伝いをほぼ毎日すると 回答した生徒は39.5%、時々手伝う38.2%、手伝い

をしない22.4%であり、自信がないと答えた生徒

との間に有意差があった(p<0.01)。手伝いの内容 についても、調理技術に対する自信があると答えた 生徒は、弁当を含む食事作り68.5%、食事の準備

60.0%、食事の後片付け54.7%であり、自信がない

と答えた生徒よりも有意に多かった(p<0.05)。

外食、中食の頻度

外食・中食頻度が月に2〜3回以上の生徒は全体 で66.3%、月に2〜3 回未満の生徒は全体で33.7%

であり、性別および家での調理担当者の就労形態に 表 1 対象者の概要

%

性別

 男子 99 (37.2)

 女子 167 (62.8)

同居家族形態  両親と同居

 (祖父母の同居も含める) 194 (86.6)

 父子・母子家庭 30 (13.4)

家での調理担当者

 母 238 (89.5)

 父 7 ( 2.6)

 祖母 7 ( 2.6)

 自分 5 ( 1.9)

 その他 3 ( 1.1)

調理担当者の就労状況

 フルタイム 59 (22.2)

 パート 110 (41.4)

 なし 41 (15.4)

(3)

よる違いはなかった(表3)。外食の頻度が月に2〜

3回以上の生徒は、家での食事に関する手伝いをほ ぼ毎日している生徒の58.8%、手伝いが週に3日以 下である生徒の73.0%であり、手伝いをほぼ毎日 している生徒の方が少なく(p<0.05)、中食の利用 頻度は食事の手伝い頻度による違いはなかった。調 理技術の自信の有無では、昼食で中食を利用する頻 度は、調理技術の自信がある生徒は82.9%であり、

自 信 の な い 生 徒 の66.6%よ り も 多 か っ た が

(p<0.05)、外食の利用頻度に違いはなかった。

調理に関する知識問題の正答率

調理に関する知識問題の正解率を表4に示した。

調理に関する知識問題の正答率は、ほうれん草の茹 で方の問題では正解が54.9%、小さじ1杯の重量の 問題では正解が71.8%、大さじ1杯の重量の問題で

は正解が63.2%、1カップ1杯の重量の問題では正

解が76.3%であった。 これらの正解率を性別にみ

ると、ほうれん草の茹で方を正解したのは男子

48.4%、女子62.6%、知識問題4問を全問正解した

のは男子15.2%、女子33.5%と女子の正答率が高

かった(p<0.05)。また、家で食事に関する手伝い をほぼ毎日している生徒は、小さじ1杯の重量、大 さじ1杯の重量、知識問題4問全問正解の3項目に おける正答率が、手伝いが週3日以下の生徒よりも 高かった(p<0.05)。しかし、調理に関する知識問 題の正答率は、家での調理担当者の就労形態および 調理技術の自信の有無による違いはなかった。

実践できる食品の切り方と料理

実践できる食品の切り方と料理について表5に示 した。実践できると回答した人が多かった切り方 は、輪切り90.3%、半月切り82.4%、いちょう切り

75.7%であったのに対し、できないと回答している

人 が 多 い 切 り 方 は、 そ ぎ 切 り76.8%、 色 紙 切 り

69.3%、ささがき63.3%であった。実践できる食品

の切り方が9個以上の生徒は、全体で64.1%、9個 未満の人は35.9%であった。また、卵料理(ゆで 卵、目玉焼き、卵焼き、スクランブルエッグ、オム レツ、オムライス)の6品目のうち作れる品数は、

6品目28.9%、5品目14.3%、4品目17.7%、3品目 18.4%、2品目11.3%、1品目7.1%、0品目0.4%で あった。さらに、ご飯を炊くことができる、お湯を 沸かすことができるの2つを合計して実践できる料 理8品目については、対象者全体の平均は5.82± 0.121、中央値6であった。

性別にみると、輪切り、半月切り、いちょう切 り、短冊切り、小口切り、乱切り、くし型切り、斜

表2 家での食事に関する手伝いと調理技術の自信  人 (%)   性別調理担当者の就労形態調理技術の自信 男子女子p valueフルタイムパートなしp valueあるないp value n 99167591104176184 家での食事に関する手伝い  しない54 54.567 40.10.028*19 32.254 49.122 53.70.17417 22.499 54.1<0.001* 時々手伝う27 27.347 28.122 37.327 24.510 24.429 38.243 23.5)  ほぼ毎日手伝う18 18.253 31.718 30.529 26.4 9 22.230 39.541 22.4) 手伝いの内容(複数回答)  食事作り(弁当含む)13 14.851 33.30.002*21 42.122 21.6 8 21.60.026*37 68.527 14.8<0.001*  食事の準備31 32.086 52.10.002*33 57.949 44.514 34.10.05945 60.070 38.5 0.002*  食事の後片付け28 28.975 45.50.009*31 54.442 38.211 26.80.018*41 54.760 33.0 0.002* 調理技術の自信がある人25 25.851 31.30.39818 31.029 27.112 30.30.852−− χ2 test

(4)

表3 外食、中食の頻度 人 (%) 性別調理担当者の就労形態家での食事の手伝い調理技術の自信 男子女子p valueフルタイム パートま たはなし

p valueほぼ毎日週3日以下p valueあるないp value n 99167591517119476184 外食頻度  月に23回以上68 73.1111 69.30.39942 75.0101 67.80.39440 58.8138 73.00.033*56 73.7120 67.00.297  月に23回未満25 26.9 54 32.714 25.0 48 32.228 41.2 51 27.019 25.3 59 33.0) 中食(昼食)頻度  月に23回以上73 75.3118 71.10.47839 66.1110 72.80.39851 71.8139 72.80.877 63 82.9123 66.60.015*  月に23回未満24 24.7 48 28.920 33.9 41 27.220 28.2 52 27.2 13 17.1 59 32.4) 中食(夕食)頻度  月に23回以上66 68.8107 65.20.58841 69.5 94 63.50.51847 67.1126 66.70.942 49 64.5121 67.60.667  月に23回未満30 31.3 57 34.818 30.5 54 36.523 32.9 63 33.3 27 35.5 58 32.4χ2 test 表4 調理に関する知識問題の正答率   人(%) 性別調理担当者の就労形態家での食事の手伝い調理技術の自信 男子女子p valueフルタイム

パートま たはなし

p valueほぼ毎日週3日以下p valueあるないp value n 99167591517119476184 ほうれん草のゆで方44 48.4102 62.60.034*38 65.5 80 55.90.26842 60.0104 57.10.77639 53.4104 59.10.482 小さじ1杯の重量67 68.4124 74.70.31942 72.4114 75.50.72359 83.1131 68.20.020*60 78.9126 68.90.129 大さじ1杯の重量56 56.6112 67.50.08737 62.7 98 64.90.87354 76.1114 59.10.014*54 71.1109 59.20.091 1カップ1杯の重量72 72.7131 78.90.29447 79.7117 77.50.85359 83.1143 74.10.14360 78.9140 76.10.746 知識問題全問正解15 15.2 56 33.50.001*20 33.9 41 27.20.39827 38.0 44 22.80.018*25 32.9 44 23.90.164 χ2 test

(5)

表5 実践できる食品の切り方と料理               人(%) 性別調理担当者の就労形態家での食事の手伝い調理技術の自信 男子女子p valueフルタイム パート または なし

p valueほぼ毎日週3日以下p valueあるないp value n 99167591517119476184 輪切り        80 85.1160 97.6<0.001*54 91.5141 95.30.32964 92.8175 93.10.92668 90.7167 93.80.424 半月切り68 72.3151 92.1<0.001*48 81.4130 87.80.26862 89.9156 83.00.23967 89.3147 82.60.189 いちょう切り   58 61.7143 87.2<0.001*44 74.6120 81.10.34359 85.5142 75.50.09161 81.3136 76.40.413 拍子木切り   39 41.5 80 48.80.30025 42.4 71 48.00.46636 52.2 83 44.10.26245 60.0 73 41.00.000* さいの目切り44 46.8 83 50.60.60632 54.2 71 48.00.44439 56.5 88 46.80.20550 66.7 77 43.30.001* 短冊切り44 46.8108 65.90.004*38 64.4 87 58.80.53047 68.1104 55.30.08650 66.7101 56.70.161 色紙切り23 24.5 51 31.10.31723 39.0 40 27.00.09722 31.9 52 27.70.53633 44.0 41 23.00.001* 小口切り44 46.8116 70.7<0.001*35 59.3 99 66.90.33546 66.7113 60.10.38653 70.7105 59.00.089 乱切り54 57.4131 79.9<0.001*43 72.9109 73.60.91055 79.7130 69.10.11760 80.0121 68.00.067 くし型切り    40 42.6100 61.00.006*35 59.3 82 55.40.64443 62.3 97 51.60.15750 66.7 88 49.40.013* ささがき    28 29.8 62 37.80.22319 32.2 58 39.20.42624 34.8 66 35.10.96235 46.7 53 29.80.014* そぎ切り    16 17.0 38 23.20.26913 22.0 29 19.60.70520 29.0 34 18.10.08324 32.0 30 16.90.011* 斜め切り    52 55.3128 78.0<0.001*43 72.9108 73.00.98952 75.4127 67.60.28458 77.3118 66.30.100 せん切り      51 54.3126 76.8<0.001*40 67.8105 70.90.73751 73.9125 66.50.29157 76.0116 65.20.104 みじん切り(玉ねぎ)47 50.0137 83.5<0.001*42 71.2114 77.00.37851 73.9132 70.20.64261 81.3118 66.30.016* みじん切り(長ねぎ)45 47.9 94 57.30.15525 42.4 88 59.50.031*36 52.2102 54.30.77948 64.0 90 50.60.054 実践できる食品の切り方が 9個以上ある 46 54.1113 69.80.018*38 67.9 96 66.20.86948 73.8111 61.30.09657 80.3101 59.10.002* 実践できる卵料理 5品以上29 30.5 86 51.8<0.001*28 47.5 57 38.30.27441 57.773 38.60.008*51 67.1 63 35.0<0.001* 実践できる料理 6品以上45 47.4107 64.50.009*37 62.7 81 54.40.28348 67.6103 54.50.06760 78.9 89 49.4<0.001* χ2 test

(6)

め切り、せん切り、みじん切り(玉ねぎ)の10項 目は、実践できると回答した生徒は女子の方が有意 に多かった(p<0.05)が、その他の切り方は性別 による違いはなかった。実践できる食品の切り方の 数が9個以上の生徒は、女子 69.8%、男子54.1%と 女子の方が有意に多かった(p<0.05)。実践できる 卵料理が6品中5品以上の生徒は女子で51.8%と 男子の30.5%よりも多く(p<0.05)、実践できる料 理が8品中6品以上の生徒は女子で64.5%と男子 の47.4%よりも多かった(p<0.05)。

実践できる食品の切り方について家での調理担当 者の就労形態別にみると、長ネギのみじん切りはフ ルタイム就労のほうが42.4%と低かった(p<0.05)

が、その他の切り方および実践できる料理に関して は違いがなかった。

また、食事に関する手伝いをほぼ毎日する生徒と 週に3日以下の生徒では、実践できる食品の切り方 に違いはなかったが、実践できる卵料理が5品以上 ある生徒は、ほぼ毎日手伝いをする生徒 57.7%、週 に3日以下の生徒38.6%と手伝いをほぼ毎日して いる生徒の方が有意に多かった(p<0.05)。

さらに、調理技術に自信がある生徒は自信のない 生徒よりも、拍子木切り、さいの目切り、色紙切 り、くし型切り、ささがき、そぎ切り、みじん切り

(玉ねぎ)の7項目について実践できると回答した 生徒が多かったが(p<0.05)、その他の切り方は、

調理技術に関する自信の有無による違いはなかっ た。また、実践できる食品の切り方が9個以上の生 徒は、自信有 80.3%、自信無 58.7%と調理技術に自 信がある生徒が有意に多く(p<0.05)、実践できる 卵料理、および実践できる料理数についても自信を もっている生徒の方が有意に多かった(p<0.01)。

考察

高校生を対象として質問紙法による横断研究にて、

性別、食事に関する手伝い、家での調理担当者の就 労形態と高校生の基礎的な調理技術・自信や知識と の関連について調査、解析を行った。その結果、食 事に関する手伝い頻度は、男子に比べて女子の方が 高く、調理技術に自信のある生徒のほうが高かった。

また、家での調理担当者の就労形態によって、食事 に関する手伝い頻度に違いはなかったが、弁当を含 む食事作りと食事の後片付けは調理担当者がフルタ イム就労である生徒において多かった。岩崎の研究 によると母親の就業状況がフルタイムの場合、高校

生の家事頻度が有意に高まることが報告7)されてい るが、今回の対象者では調理担当者の就労形態と家 での食事に関する手伝い頻度に関連はなかった。さ らに、本研究では食事の手伝い頻度の高い生徒は、

調理技術に対する自信があり、調理に関する知識問 題の正答数が多く、実践できる食品の切り方や料理 の数も多かった。家での調理担当者がフルタイム就 労の場合、手伝いの頻度は高くなかったが、食事作 りや後片付けなどの手伝いをすることで調理をする 機会があり、調理に関する知識や実践できる食品の 切り方、料理が増えたことにより調理技術に対する 自信もできるのではないかと考えられる。本研究に おいて「基礎的な知識」とは、食生活を営む上で必 要不可欠な栄養、食品、調理に関する認識のこと⁷

「基礎的な技術」とは、調理をするうえで必要不可欠 な操作や動作のこと8)と定義したが、調理の知識に 関する問題および、実践できる食品の切り方や料理 は、家庭科の授業で学習または実習した項目を選定 したため、授業内で得た知識なのか、手伝い等によ る実践で身についたものなのかの解明は困難である。

また、調理技術への自信がある生徒は、実践でき る食品の切り方や料理も多かった。弁当を含む食事 作りの手伝いをしている生徒の中で、実践できる食 品の切り方の数が9個以上でかつ調理に対する自信 がある生徒は29名(45.3%)であるのに対し、弁 当を含む食事作りの手伝いをしていない生徒では、

実践できる切り方が9個以上でかつ調理技術に対す る自信がある生徒は0%であった。学校での調理実 習などで習って実践できる切り方が9個以上あった としても、家庭において調理に関する手伝いをして いない生徒は、調理技術に対する自信や技術は持っ ていないと考えられる。調理技術に対する自信がな い生徒は、食事担当が母親であり第一子以降の生徒 が多く、調理技術に対する自信がある生徒は調理技 術・知識を家庭で祖父母から教わった、親に好き嫌 いをしないように注意されたことがあるという項目 も多かった(not shown)。さらに、調理技術に対す る自信がある人は、昼食に中食を月に2〜3回以上 利用している人は 82.9%であった。本研究では、

家での調理担当者の就労形態と調理技術への自信と の間に関連はなかったが、調理技術に対する自信が ある生徒は調理担当者の就労形態に関係なく、自分 で食事の用意をする機会が多く、昼食も自ら弁当を 持参したり、中食を活用している可能性も推察でき る。「家事育児の量(ニーズ)」説では、祖父母の同 居が高校生の家事頻度を高める可能性があることが

(7)

報告されており9)、本研究でも調理技術に対する自 信がある生徒のうち調理技術・知識を祖父母から 習ったという生徒は21.9%であり、自信がない生 徒よりも多かった。

性別では男子に比べて女子の方が多かった項目 は、家で食事に関する手伝い頻度、弁当を含む食事 作り、食事の準備、食事の後片付け、ほうれん草の 茹で方の正答者率および知識問題の全問正答者率、

実践できる食品の切り方の数が9個以上ある、実践 できる卵料理の8項目であった。家での食事担当者 が母親以外である生徒のうち、調理に関する手伝い をする生徒は、男子1人(1%)、女子9人(5.4%)

であり、調理担当者の就労形態による手伝いの頻度 に違いはなかったが、女子は、毎日ではなくとも調 理担当者の仕事が忙しい時には、食事作りや食事の 後片付けを手伝っており、調理に関する知識や技術 が身についていると考えられる。平島らの調査報告 では、男子学生のほうが女子学生よりも切る操作の 少ない料理を作り、性別の違いによる作る料理の違 いについては中学生の頃からの調理技術や調理の機 会が関係あると述べられている6)。これらのことか ら、調理技術や知識の習得には、調理する機会があ るかどうかが関係し、家で調理に関わる手伝いをし ていることも要因のひとつと考えられる。

今回、同居家族の形態では、きょうだい、母親の 仕事、食事担当、食事に関する手伝い有無、手伝い 頻度、手伝いの内容、外食・中食頻度、調理技術に 対する自信の有無、親に注意されたことのある食事 マナー、実践できる切り方、実践できる調理技術、

調理知識の正答率において違いがなかった。

和田らの研究によると、食事作りを手伝うか手伝 わないかは学生本人の時間的余裕などにもよるが、

家庭の方針やこれまでの習慣と関係が深いとされて いる9)。調査対象の高校は大学への進学率も高く、

部活動の1年時の部活動加入率も100%であること から、部活動や塾などにより、手伝い頻度が低かっ たのではないかと考えられる。本研究においては、

食事に関する手伝いをほぼ毎日している生徒は、手 伝いが週に3回以下の生徒よりも外食を月に2〜3 回以上していると答えた生徒が少なく、外食や中食 の利用には性別や家での調理担当者の就労形態は関 連がなかった。食事に関する手伝いをほぼ毎日して いる生徒において、調理担当者の仕事が忙しい等の 理由で帰宅が遅くなり、外食の機会が増えてしまう ということはないことがわかった。

この研究は、家庭科教員に家庭科の授業内でアン

ケートを実施してもらったこと、アンケート項目の 中に含まれている調理技術・知識に関しての授業を 1学期中に行っていたことにより、調査を実施した 9月には知識として定着しているか否かを捉えるこ とができた。一方で研究限界としては、今回のアン ケート調査は学校側の意向もあり、個人情報につい ては任意での回答にしたため欠損値が多く、質問紙 の配布時に調査者が立ち会えなかったため、生徒が 質問内容を理解できないまま回答している箇所も あったと推測される。しかし、高校生において調理 に関する知識は、学校での家庭科授業または家族等 から得たとしても家で調理に関する手伝いをするこ とにより自信につながり、自信をもつことが調理技 術を身につけるために必要な要素であると示唆され る。また、高校生の調理に関する手伝い頻度や内容 は、調理担当者の就労形態には関係はなく本人の意 思や家庭内環境によるものであると考えられる。

謝辞

本研究を進めるにあたりご協力いただきました、

高等学校長先生、家庭科教諭の先生に心より感謝申 し上げます。さらに、共同研究をして下さいました 松岡栞様に心より感謝申し上げます。

参考文献 1) 食育基本法

2) 学習指導要領: 文部科学省 3) 総務省家計調査,2017年

4) 磯部 由香,宮園 愛,成田 美代; 男子大学 生の調理技術と食生活との関連.三重大学教育 学部研究紀要; 59 : 101-105.(2008)

5) 野田 文子,大羽 幸; 大学生の調理経験と食 生活意識.生活文化研究; 47 : 1-12.(2008)

6) 平島 円,磯部 由香,堀 光代; 大学および 専門学校新入生の調理に対する意識.日本調理 科学会誌; 48(3): 207-215.(2015)

7) 岩崎 香織; 高校生の家事頻度に与える家庭科 必修科目の履修単位数別の効果.日本家庭科教 育学会誌; 58(3): 144-152.(2015)

8) 技術・家庭科における基礎的な知識と技術を習 得させる学習指導に関する研究 平成 16 年度岩 手県総合教育センター

9) 和田 珠子; 大学生における調理経験および調 理機会の頻度と調理に対する意識との関連.大 手前短期大学研究集録; 31 : 75-87.(2011)

参照

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