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Tlアrosine iodinaseに関する研究 そのCo侮ctorの存在について

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Tlアrosine iodinaseに関する研究

そのCo侮ctorの存在について

金沢大学医学部第二病理学教室(主任 石川大刀雄教授)

     須  山  忠  和

       (昭和35年3月29日受付)

 甲状腺ホルモンの有効主成分が特異的な有機ヨウ素 化合物であることは,既に前世紀の末より知られてい たが,1919年,:Kenda111)に.より,甲状腺から有効物 質サイロキシンが単離され,更に・1926年,Harington 2)3)が甲状腺の特異蛋白であるサイログロブリンを加 水分解することにより,サイロキシンを単離し,その 構造決定を行った.以来ごく最近まで20年余りもの 間,これが唯一の甲状腺ホルモンと考えられていた が,近年に至り,放射性ヨウ素1131によるトレーサー 技術の導入,クロマトグラフィーによる微量分析技術 の発展により,サイロキシンの数倍強力なホルモン活 性を有するトリョードサイロニンがサイログロブリン の加水分解忌中に発見されて4)5)6)7)8)9),この方面の 研究はに.わかに活気を呈してきた.

 一方,甲状腺ホルモン生合成の機構は,最初にサイ ロキシンが単離されるや,甲状腺生化学の主要目的の 一つとなっていた.しかるに現在,その機構の基礎的 な問題は依然として解明されたとはいい難い状態にあ

る.

 すなわち,血中のヨウ素(1つは甲状腺に摂取,濃 縮され,腺内でそれは甲状腺中の蛋白のチロシン基と 反応して,モノヨードチロシン,ジョードチロシン,

更にサイロキシンにまで合成されるのであるが,この 生合成過程におけるチロシンのヨウ素化は,従来多く

の賑々により,酸化酵素系の関与する1唱→12の反応 と,非酵素的なチロシンのヨウ素化との二毅階で行わ れると考えられていた10)11).

 最:初の段階に.おいてWesterfeld 12)はペルオキシダ ーゼの関与を考えたし,Dempsey 13)1d)も甲状腺内に オキシダーゼ活性とペルオキシダーゼ活性の存在する ことを細胞化学的に証明し,ペルオキシダーゼ活性は 濾胞細胞内に認められるとした.同様な方法で,De Robeftis等15)は,チトクローム。オキシダーゼ活性

の存在を認あた.又:Haringfoa 16)17)は酸化酵素系が 1櫛→12を触媒し,その後12が酸化作用を持つ物質と して,チロシンをモノヨードチロシン,ジョードチロ シンに.かえ,サイロキシンを合成する酸化過程に働く

とした.

 更に第二の段階として,ヨウ素の有機化において は,Schachner 18)はジョードチロシンもサイロキシン も共にチトクローム・オキシダーゼ系が関与する好気 的酸化により形成されるとした.このように諸家の説 はまちまちで一見相容れないものがあり,その是非を 論じ難iい状態に.ある.

 ところが一方,生化学的な検索(in vitro)におい て,Chaikoff 19)20)は甲状腺組織切片を用いれば,1一 を有機的な結合に導くことが出来るが,組織を破壊し てホモジェネートにすれば,その能力を失うことをみ た.1953年に至り,Weiss 21)は甲状腺ホモジェネー

ト及びミトコンドリアによる有機ヨウ素形成にCu2+

とチロシンの添加が必須であることから,銅酵素が,

甲状腺組織によるチロシンのヨウ素化に関与するらし いと考えた.別にWyngaafden 22)は,1一が,ペルオ キシダーゼにより酸化され,Cu2+により反応を促進 するとしている,

 ところが,ノFawcett&Kirkwood 23)は, Weissの 甲状腺ホモジェネートに.よる有機ヨウ素の形成に際 し,チロシンを加えてのCu2+の役割に.ついて,その 解釈を疑った.彼等は甲状腺組織中にチロシンをヨウ 素化する酵素 Tyrosine iodinase の存在を提唱し 24),Cu2+は単に.1一→12を非酵素的に酸化する作用 を有するのみで,酵素はチロシン水酸基の解離を促し てヨウ素化を容易にすると考えた.更に彼等の実験条

、件の下で出来る有機ヨウ素化合物は遊離態のモノヨー ドチロシンが唯一のものであったので,その酵素は,

加えられたチロシンのmonoiodinationのみを触媒す  Studies o㎡the Tyrosine Iodinase−On the finding of its Cofactor一. Tadakazu Suya】血a;

Department of Pathology(Director:Pro£T. Ishikawa), School of Medicine, University of Kanazawa。

(2)

るとした.しかもCu2+かチロシンか.どちらか一方 を加えなければ,甲状腺ホモジェネートは有機ヨウ素 をほとんど生成せず,蛋白分子内のチロシン残基をも

ヨウ素化しなかった.

 その後,TaUfO9等%)は甲状腺ホモジェネート,

あるいは,ミトコンドリアでの有機ヨウ素形成には,

Cu2+及びチロシンの添加は必要でなく,ただその際 とり入れられたヨウ素は,遊離態モノヨードチロシン ではなく,蛋白に結合したモノヨードチロシン中に見 いだされ,甲状腺蛋白を水解することによってのみ遊 離され,ベーパー・クロマトグラフィーで確認出来る とした.更に甲状腺ミトコンドリア分屑の有機ヨウ素 形成反応は,Flavi皿e mononucleotide(FMN)の添加 で著しく増強せられ,それは本質的にこの反応が酵素 的であるという証拠となると結論した26).

 しかし現在まで,この酵素 Tryosine iodinase 単離・精製はほとんど進んでおらず,又,オキシダー ゼとの分離も行われていないので,その存在すら確実 に立証されたとはいい難い.その反応機作も全く不明 である.

 われわれ教室同人は,かねてより甲状腺内ヨウ素代 謝研究の一環として,その複雑な一連の代謝現象を組 立てている個々の単位反応を解析すべく,已既に数回に わたり成果を発表した27)鋤鮒)30).

 この報告では,ヨウ素有機化反応における酵素 Tyros三ne iodinase 1こ必須のCofactorの発見,抽 出,単離等に.つき,著者の得た実験成績を述べ,更に その反応機作並びに酵素反応に影響を与える二三の条 件につき,検討・考察をすすめたいと思う.

実験材料並びに実験方法  1)酵素材料並びに.酵素抽出法

 酵素材料としては,比較的大量に.入手容易で,その 上,酵素を高濃度に分布すると思われるウシ顎下腺を 用いる.

 屠殺場にて得たウシ顎下腺を氷冷しつつ持ち帰り,

一20。Cの冷凍箱中に.一昼夜放置して凍結する.これ を一旦融解した後に.,用手的に脂肪,結合組織,被膜 等を可及的に除去し,顎下腺実質をハサミに.て細切す る.抽出用緩衝液として0.05M酢酸ソーダ1000mI を用い,顎下腺約300grを数回に分け,薄粥状にな る程度にwaring blenderにて磨砕する(0。Cに氷冷 しつつ).粥状となったホモジェネートを重湯煎に.て 熱処理を行う.熱処理操作はまず水浴の温度を約70。C にしておき,顎下腺粥をホーロー引きビーカーに%程 度の量に入れ,激しく撹窮しながら水浴につけて加熱

する.顎下腺粥が60。Cに達するや直ちに水浴に水を 加えて60。〜65。Cの間に.なし,時々撹議しつつ5分 間放置する.後,直ちに流水で冷却する.次いで,粗 大残渣をガーゼニ枚にて圧縮濾過して除く.更に4000 rpm,10分間遠心してその上清を,ペーパー・パルプ を用いて吸引濾過を行えば,帯赤黄色の比較的透明,

やや粘稠なる濾液を得る.その濾液を予め作っておい た約穐量のリン酸カルシウムゲルと混合し,10分間撹 梓放置して酵素蛋白をゲルに吸着させた後,4000rpm,

10分間遠心して,吸着カルシウムゲル上清と,吸着カ ルシウムゲルとに分ける.

 a)粗酵素液(Y−Holo酵素);その吸着カルシウ ムゲルから0.3M硫安を含む0.1Mリン酸ナトリウ ム緩衝液pH 7.4,150m1にて溶離・遠心してγ一Holo 酵素を得る.これは顎下腺中に存在する阻害物質が除 かれており,季節的変動を示さない一定の活性を有す る酵素標晶として種々の酵素反応解析に使用し得る.

この過程は,教室の鈴木が詳細に検討している鋤.

 b)粗酵素蛋白液(Y−Apo酵素)を得る目的で,吸 着力〜レシウムゲルより,分散吸着法(Batchwise法)

に.て混在せる共存蛋白質を除去すべく,pH 6、8,0.01 Mリン酸緩衝液150m1に.て1回溶離・遠心,沈渣を pH 618,0.05Mリン酸緩衝液150mlにて2回溶離・

遠心,その沈渣を,pH:6.8,0.2Mリン酸緩衝液150 m1にて1回溶離・遠心,更に.その沈渣を, pH 7.4,

0.3M硫安を含む0.1Mリン酸緩衝液150mlにて雨 量・遠心しその上清をγ一Apo酵素とする.

 c)精製単一蛋白酵素液(p−Apo酵素)はγ一Apo酵 素液を4。Cにて流水透析4時間後, Hydfoxylapatite 31)に.てカラム。クロマトグラフィーを行い,pH 7.4,

0.2M硫安を含む0.1Mリン酸緩衝液で溶離せる活 性分画を,更にHydfoxylapatiteで再クロマトグラ フィーを行った溶離液の275叫紫外部吸収の高い部 分をとる.この過程については,教室の渡辺が詳細に.

実験・検討を行っている32).

 d)CofactOfを単離すべく,吸着カルシウムゲル 上清をDowex 1(×2), Dowex 2(×8)等の陰イオ ン交換樹脂でカラム・クロマトグラフィーを行い,

Cofactorを多量に含む液を得る.これを更に.,再ク ロマトグラフィーすることに.より精製し,p−Cofactor とする.これにっていは第3章で詳細に検討する.

 なお,上述の抽出・精製過程の概略を別表にて示

す.

 酵素抽出過程において吸着に用いられるリン酸カル シウムゲルは,文献的に.種々の方法が提案されている が33)34)35)36)37)38>,ここでは,乳酸脱水素酵素の吸着

(3)

新鮮ウシ顎下腺3009L

    ↓灘虫難9芝轟淵とて麟拙(4・c以下)

  顎下腺粥

    ↓6・驚分間熱処理後直ちに冷却魎心   上  清

    ↓齢ルプを用い吸引濾過   濾  液

約施量のリン酸カルシウムゲル(Ca−P−ge1)に吸着

1後遠心

   ↓ 吸着Ca−P−ge1

  ↓

Ca−P−ge1上清

上清      沈渣   上清 匝・1・酵素1

    ↓

カラム・クロマトグロフィー  (Hydro:xylapatite)

    1 0.2M硫安を含む

0.1Mリン酸緩衝液P:H 7.4 で溶離せる分画

    ↓

再・クロマトグラフィー  (Hydfoxylapatite)

    ↓

lp一帥・酵素1

匡C・f・・…1

  0.05Mリン酸緩衝液   pH 6.8,150mRこて

↓2回溶離勘 沈渣

  10.2Mリン酸緩衝液   pH 6.8,150m1にて

 ↓1回溶離

沈渣

  0.3M硫安を含む   0.1Mリン酸緩衝液

↓pH 7・4・150nllにて灘・遠さ

上清

1噸酵素]

1軸こて流水透析塒間

  ↓pH 4・8となし カラム・クロマトグラフィー  (Dowex 2ギ酸型)

18・%糊こて

1

0.2Mギ酸アンモニウム  pH 7.8にて溶離せる分画

  ↓5倍に鰍

再・クロマトグラフィー  (Dowex 2ギ酸型)

1

0.2Mギ酸アンモニウム pH 7.8 にて溶離せる分画

1

区・f・・…1

に用いられた方法38)を少しく変えて調製する.すな わち,15%リン酸ニナトリウム液100m1(Na2HPO4・

12H20を使用),及び,10%塩化カルシウム液100ml をはげしく馬子しながら加え,濃アンモニア水にて pHを8.6〜8.8に調整する.生じたりン酸カルシウ ムゲルを約4μの蒸溜水でアンモニア臭のなくなるま で数回,傾斜法にて洗った後,三助の蒸溜水に懸濁

し,4。Cに貯える.ゲルは1日以内に使用する.

 2)カラム・クロマトグラフィー

 ここで用いられるカラム操作としては.Cofactorの 確認に用いられる吸着クロマトグラフィーと,精製・

単離に用いられるイオン交換クロマトグラフィーとで

ある.

 i)吸着クロマトグラフィー

 カラムとして4×15cm,及び,1.5×14cmの一端

を細くしたガラス管を使用する.吸着剤としては,

Hynosupercellを加えたりン酸カルシウムゲル,及び Hydroxylapatiteを使用する.

 Calcium phosphate ge1−HyΩosupefcell混合吸着剤 調製法:

 Hy恥supercell 309,塩化カルシウム39を蒸溜水に.

懸濁して200m1となした液に,4.5%リン酸ニナトリ ウム液(Na2HPO4・12H20)100m1を,はげしく擢i拝 しながら加え,濃アンモニア水にてpH 8.0に.調i整す る.後,5βの蒸溜水で数回,傾斜法に.て洗って吸着 剤を調製する.

 Hydroxylapatite−Ca5(PO4)3・OH一調製法:

 Tiseliusの方法31)により作る.すなわち,,0.5M 塩化カルシウム%と,0.5Mリン酸ニナトリウム2μ とを,それぞれ別の分液濾斗に入れ,両方の濾斗より

(4)

1分間約120滴の割合で同時に滴下させ,受器中で擬 激する一Bruschite:CaHPO4・2H20一.暫時放置後,

上清を傾斜して流し,沈澱を4μの蒸溜水で4回,傾 斜法に.て洗う.後,蒸溜水を全量4βになるまで加え てから40%(重量)水酸化ナトリウム液100m1(新ら しく作ったもの)を加え,混合液を撹伴しながら1時 間煮沸する.高度に分散懸濁した物質が沈下した時 に,やや混濁せる上清を再び傾斜法にて流す.ここで 更に4ρの蒸溜水で4回洗った後,pH 6.8,0.01M リン酸ナトリウム緩衝液を加え,まさに沸騰する直前 まで撹聡しながら加熱する.この段階で沸騰させて はならぬ.上清を傾斜して流してから更に.pH 6.8,

0.01M リン酸ナトリウム緩衝液にて5分間煮沸し,

上清を流し次に.,pH 6.8,0.01Mリン酸ナトリウム 緩衝液で15分間煮沸し,最後にpH 6.8,0.001Mリ

ン酸ナトリウム緩衝液にて15分間煮沸を2回くり返し て洗う.このように.して出来上った吸着剤Hydro・

xylapatiteはpH 6.8,0.001Mリン酸ナトリウム緩 衝液中に貯える。

 ii)イオン交換クロマトグラフィー  陰イオン交換樹脂:

 強塩基性のDowex 1(×2)(mesh・200〜400)又は Dowex 2(×8)(Mesh 150〜300)を卜辞型にして用 いる.まず,1009の樹脂を5βの水に.分散させて暫 時放置後,大部分の樹脂を沈下させ,畠混濁せる上濁液

(微粒樹脂を含む)を傾斜してすてた後,Dowex 1に おいては200mesh, Dowex 2においては150 mesh の,ふるいを通して粗粒子を除去し,大体上記の meshにそろえる.・市販の樹脂はCl『』.型で,これを纒 足型にかえるにはPo鳶ter等39)の方法により次のよ うにして行う.すなわち吸引濾斗の濾紙上に約50gの 樹脂をおき,3Mギ酸ナトリウム約2μを約1時間か けて徐々に流す.その後,蒸溜水2μ以上で洗い,蒸 溜水に懸濁させて冷所に,貯える.なお,樹脂の再生に は2N塩酸及び2:N水酸化ナト、リウムにて交互に数 回洗った後,最後に2N塩酸で洗いC1型にして保存

する.

 陰イオン交換カラムには,第1図のように内径1.4 cm,長さ約40cmのガラス管の一端を細くしてそこに スクリュー・コックを付したものを使用する.下端は ガラス綿を約1cmの層にゆるくつめ,樹脂をつめる 前に水を満して自然流下する液が辛うじて滴状に切れ ない程度にする.このガラス管を完全に垂直に固定 し,ギ酸型にして蒸溜水中に貯えてある樹脂を,分散 懸濁させて水と共にガラス管に.流し込む.この時,気 泡が入らぬよう充分注意する.水を流下せしめて適当

第 1 干

瓢.㌘イオン交換樹陥ガフ奪 ビ†〃二

.フラク鼻ン

 コレ7ヲ7(

な長さ(25cm前後)の樹脂柱 となし,上清は流し切らずに約 1cmの液層が残るところでスク リュー・コックを閉じる.必要 な予備操作(水洗・緩衝化等)の 後,分液濾斗中にリン酸カルシ ウムゲル上清(80%章句にて pH 4.8にした試料)を入れて,

その高さを加減することにより 流下液を約100ml/hrの速度に なるように試料を樹脂に吸着さ せる.吸着された試料は,分液 濾斗中の展開溶紅軍をビニール 管を通して樹脂層へ導き,流出 速度を約40m1/hrになるよう.

分液濾斗の高さを加減して溶離 する.溶離流出液はオ〜トマチ

ック・フラクション・コレクタ ー}こて10mユずつの分画にとる.なお,溶離展開は 4。Cの氷室内において行う.フラクション・コレクタ

ーで得られた各分画は大体一本おきにP−Apo酵素を 用いて活性を測定する.

 溶離液としては,ギ酸アンモニウム緩衝液及びTriミ 緩衝液を用いる.

 ギ酸アンモニウム緩衝液3純ギ酸(試薬特級25M)

を濃アンモニア水にて所用のpHに調整した後,希釈 して,ギ酸につ・き1Mのstock solutionとする.用 に臨み適当な濃度に希釈して用いる.なお,純ギ酸と 濃アンモニア水との混合は非常な発熱を伴う故,冷却 して行うか又は純ギ酸を10M程度に希釈したものと アンモニア水とを混合して,stock solutionを調製す るのがよい.

 Tris緩衝液:Gomori 40)により最初に推奨され,

Boman等41)により陰イオン交換樹脂による蛋白クロ マトグラフィーに使用されたtris(hydfoxy1血ethyl)

amino;nethane−hydrgchloric acid(THAM−HC1)を 用いる。まず,THAM 1219を700mlの水に溶かし,

これに濃塩酸を加えて(約70ml)pHを7.4に.する.

最後に・全量を膨にするように・水を加えて,これを stoごk solutionとする.これは使用すべき種々の濃度 に希釈して用いる.希釈によるpHの変化は0.1以内 であり,この実験では無視し得る程度のものである.

 陽イオン交換樹脂ザ

 強酸性のDowex 50(x8)(mesh 100〜200)を使用 する.まず,陰イオン交換樹脂の場合と同様にmesh をそろえて後,2N塩酸→蒸溜水→2N水酸化ナトリ

(5)

ウム→蒸溜水を交互にくり返して洗うこと数回,これ により樹脂の合成過程で混入又は生成した可溶性有機 物,鉄,カルシウム等の不純物を除去する.最後に 2N塩酸でH型となし,充分水洗した後使用に供する.

 3)酵素活性測定方法      ,  ノ」、試験管に.,Apo酵素液0」5m1, Cofactor液:0・15

m1,終末濃度2×10−3M Tyrosine液0・02m1,終末 濃度5×10づMヨウ化カリウム液0・05m1,1131のト レーサー量(普通5!nCを10m1のリン酸緩衝液に・と かして,その0.01m1を反応に使用する),及び必要 に応じて,終末濃度L5×10弓MのCu2+(Cu SO4・

5H20を使用)0.02mlを添加し,これらに, pH:7・6 0.2Mリン酸緩衝液を加えて全量0.5m1となし,38。C の水日中で反応させる.Holo酵素液を使用する時は,

Apo酵素及びCofactofのかわりに,0.2mlを入れ る.嫌気的条件が要求される時は,側室のあるThun・

berg管を使用し,空気を排除して後,側室中のチロ シン液を画室中の反応液に加えて反応開始とする.

 所要反応時間(60〜90分)後,20%チオ硫酸ナトリ ウム0.1mlを加えて反応を停止させ,ペーパー・ク ロマトグラフィーに.かける.ペーパーには,あらかじ め,pH 7.6,0.1Mリン酸緩衝液を充分噴霧して緩衝 化した後乾燥させた東洋濾紙No.50(2×40cm)を用 いる.下端より8cmの所に原線を引き,そこに.反応 液の適当量(約3吋)を毛細管に.て幅0.5cm以下の 線状に塗布する.10%チオ硫酸ナトリウムを反応液と 原線上に重ねるとクロマトグラフィーの結果がよい.

溶媒はn一ブタノール・酢酸・水(4=1=2)の組成の ものを用い,上昇法に.て約10時間展開後,クロマトグ ラム上の各分画の放射能をwelhypeのシンチレー ション・カウンターにて計測し,Backgroundを差引 いて,濾紙上月放射能に対するモノヨードチロシン分 画の百分率を求めてその際の酵素活性度とする.

 放射性同位元素1131は日本放射性同位元素協会が英 国AmerhsamのRadiochemical Centerより輸入し たものを使用する.時に酵素活性を低下せしめるよう な還元性物質を認めることがあるので,Taurog等の 方法%)により純化して使用する場合もある.

 4)反応時間曲線及び反応速度

 ノ」、試験管にP−Apo酵素1.5m1, P−Cofactor 1.5m1,

ヨウ化カリウム(終末濃度5×10暉6M)0.5m1,1131 0.2m1(トレーサー量として用い,液量は緩衝液で補 正する),Cu2+液(終末濃度1.5x10暫3M;Cu SO4 を用う)0.2mlを加え, pH 7.6,0.2Mリン酸緩衝 液にて全量を4.8mlとなす. Cu2+を添加しない場合 は同量の蒸溜水を加える.38。Cの水浴中に入れ,チ

ロシン(終末濃度2×10−3M)0.2m1添加と同時に反 応開始とし,一定時間毎(5,10,15,20,30,45,

60分)に水浴中の反応液より毛細管ピペットにてその 一定量(約02m1)をとり出し,直ちに,,別に用意し た小試験管中の20画面オ硫酸ナトリウム液0.05m1と 混合して反応を停止させる.これをペーパー・クロマ

トグラフィーにかけて酵素活性を測定する.反応時間 を横軸に,各時間におげる酵素活性(%)を縦軸にと ってplotとすれば,反応時間曲線を求め得る.

 この反応時間曲線において,反応初期(大体20分以 内)は直線と見なし得る故に,その間の勾配を反応

(初)速度として求める.

 5)酵素蛋白量

 酵素蛋白液をセロファン管に.て透析を行う.外液は 蒸溜水を用いて内液の30倍以上となし,マグネック・

スターラーに.て概歯しながら始めの3回は2時間おき に,後では6〜8時間おきに外液をかえ,24時間以上 透析して後,乾燥重量を測定する.乾燥法としては赤 外線ランプによる熱乾燥を主として用いるが,時とし てpervaporation 42)又は冷凍乾燥法を単独又は併用 する場合もある.pervaporationは氷室内で行い,冷 凍乾燥には共和式冷凍乾燥機RL 500型を使用する.

 なお,蛋白量としては,275叫の紫外部吸収値を 利用する場合もある.

 6)実験材料並びに実験方法に対する検討・考察  i)胃腸管より吸収されたヨウ素(1一)は,甲状腺 を除いては,顎下腺に血漿中の濃度の約40倍,乳腺・

胃液中に約30倍が証明されるという43).更にFawcett

&:Kifk蜘odによれば,ラッチの各組織の5%ホモジ ェネートにおけるTyrosine iodinase活性は,そのヨ ウ化率において,顎下腺が最高を示して60%,耳下腺 で46%,甲状腺で29%,舌下腺で4%,腎,胃でそれ ぞれ1%を示し,腸,脳,肝,脾,心筋,骨格筋にお いて活性を見ないとしている(3時間反応値).それ 故,ここではウシ顎下腺を酵素材料として用いたが,

それは又,抽出操作に対して比較的安定であるように.

思われる.

 ii)顎下腺をwaring blenderに,かける前に冷凍箱 中で凍結し,一昼夜の後それを融解する操作を加えた ことは幾分でも凍結融解法による細胞膜破壊を意図し たもので,無細胞抽出標品を得るための初段階の操作

としては当を得たものであると思う.又60。C 5分の 熱処理は,それに。より酵素蛋白以外の混在せる共存蛋 白質を変性させ除去し得ると同時に.,Cofactorを分 離するかも知れぬ盛る種の酵素を不活性化して,以後 のCofactor抽出操作を容易にする可能性を含んでい

(6)

る.このヨウ素有機化反応は,Weiss及びTauro9等 によれば,甲状腺では,細胞穎粒(ミトコンドリア及 びミクロゾーム)に.含まれる部分にその活性の大部分 が見いだされるとしている.ここでの報告は,顎下腺 を酵素材料として用いてはいるが,たとえミトコンド リア及びミクロン㌧ムに局在する酵素であるとして も,上記の凍結融解と,Warling blender,熱処理の組 合せによる抽出方法,更にそれ以下の操作により充分 可溶性酵素としての特性をそなえて単離・精製し得る

ものと思われる.

 iii)Cofactorの単離・精製をいかなる方法で行うか は,ある程度,試行索肉的に決定する以外に.道がな いとはいえ,文献的にはイオン交換樹脂を使用して Coenzyme, Pfosthetic gfoupの精製に.良好な結果を 得ている例は次のように数多く見られ.

 陰イオン交換樹脂として

  Dowex 1を用いた例では, DPN(Col)44), TPN

 (C皿)45),FAD 46), Coenzy甲e A 47)

  Dowex 2を用いた例では, DPN 48)

 陽イオン交換樹脂として

  Dowex 50を用いた例では. Coenzyme A 49)

  Amberlite IRC 50では, Cytochrom C 50)

  Deca!so Fでは, Cytochrom C 51)

故に.,著者もDowex 1,Dowex 2をこのCofactorの 単離・精製に適用せしめるように.カラム操作を行うこ

ととした.

 iv)酵素活性測定方法に.対する検討は教室の鈴木%)

が詳細に行っている.ただペーパー・クロマトグラフ ィーで原線上にチオ硫酸ナトリウム液を,試料に重ね

   りておくことは,展開中に生ずるかも知れぬ人工生成物 を消去するのに効果的な意義がある.チオ硫酸ナトリ ウムはその還元性の故に,ヨウ素イオン(1一)を,は るかに反応性の強い分子状ヨウ素(12)に酸化するの を防ぐ.しかも既に生成されているモノヨードチロシ ンに与える影響は無視し得る.なお,ζの溶媒では,

蛋白は原線上にとどまる.

 V)次に.反応速度を求める方法として,一般に,反 応時間をt,基質駅渡を〔S〕,反応生成物の濃度を〔P〕

とすると,反応速度vは

      d 〔S〕_d 〔P〕

       V=一      一        dt   dt

としてあらわされる.反応時間曲線が直線的であれ

ば,

      △〔P〕

        V嵩        △t

となり△t時間内の平均速度として求められる.この 実験においては,反応生成物Pはモノヨードチロシン であり,それの生成量は反応時間曲線が直線的である

間は活性度:(酵素活性測定法の項で定義されたもの)

に.比例すると見てよい.故に.上式の〔P〕を活性度に おぎかえても反応(初)速度の相対値には変化がな い.すなわち,

         △A

       A:活性度        V==

      △t

となる.

具体的にこれを求める場合は,ここでは,次に示す ように作図の方法に.よった(第2図).

ノ00

90 80

ア0

60 50 40 30 20

ノo

0

第2図 反応速度の求め方

C! B

 ︐    

  

   C/8

 /AーーーIlll A−1

ガ¢   30

100

 活90  椎80

  劣 70 }

60 40 30 20

∫0

㌔o

 反応時間曲線としてOABなる曲線を得たとする.

しからばOAは直線と見なし得るから,反応初速度v は次の式より求められる.

      tA   TC        V=      ==一一       〇t   OT OT を一定とすれば反応速度の相対値Vは        V・=TC嘗90

同様にしてOA B なる反応時間曲線においても反応 速度の相対値は

       Vノ=TC,=35

となる.

実 験結果

 この章に.おいては,まず酵素活性に影響を及ぼすで あろう各種要因につき解析をすすめ,それが直接ある いは間接的にこの酵素のCofactOf発見に至る契機と なることを記載すると共に,更に,Cofactorの単離。

精製に至る実験経過を述べ,最後に単離せるCofactor につき,その性格的特徴を解析しつつ,銅イオンが及 ぼす作用についても触れることを試みている.

 1)酸素活性に影響を及ぼす各種要因

 阻害剤については既に報告されているので27)螂0),

(7)

ここではCofactor発見の契機となった要因について 成績を述べる.

 まず,種々の金属イオンのTyrosine iodinase(Y−

Holo酵素)に対する影響をしらべて次の結果を得た

(第3図).何ら金属を加えないγ一Holo酵素は22%し か活性を示さないが,銅,マンガン,一等を添加すれ

第3図各種金属イオンのY−Holo    酵素に及ぼす影響   α

  hれ   Fe.

  Ni   Co   M曾   ρ・

   Z駄    属。

   C此

対照(f・Hd。酵素)

io    」≧σ   30   4}つ    50    60   「「0   8ρ

    活性ぐ%)

ば著明な活性上昇を示し,マグネシウム,カルシウ ム,亜鉛,モリブデン等では見るべき変化はなか1つ た.それぞれの金属としては,硫酸銅,塩化マンガ ン,硫酸鉄,硫酸ニッケル,硫酸コバルト,硫酸マグ ネシウム,塩化カルシウム,酢酸亜鉛,塩化カドミウ ムを使用し,終末濃度2×10−3Mになるように.反応 液中に加えた.

 又,銅及びマンガン・イオンの濃度とγ一Holo酵素 活性との関係は第4図のようで,Cu2+は5×10−3M において最高の活性上昇を示し,Mn叶は10−5Mに.

おいて最高の活性上昇を示すとはいえio−2Mに至る までほぼ同一と見なされるような緩かな曲線を示し

た.

 70う舌 性60

(%)

 50

ρ

30 20

0

第4図 Cu2+及びMn2+の濃度と   Y−Holo酵素活性との関係

一(L2+

_一騨

│ユ+

  ,         、  ,ρ       、

      、 一      、

      \、

\\き、

1『2I末職ぐ鶴・ガ『 10顧6

 次に,アンモニウム塩の影響をしらべて,終末濃度 0.1Mの硫安が,水に対し透析せるY−H:olo酵素の活 性を約20%引き上げるのを見た(第5図).モノメチ ルアミン,ジメチルアミン及びトリメチルアミンでも 同様な結果が得られたが,しかし何れの場合も対照の γ一Holo酵素の活性にまでは回復しなかった.γ一Holo 酵素液は抽出操作上当然0.3M硫安を含んでいる故 に,これを水に対し24時間以上早事透析することによ り硫安その他の透析性物質を除いて使用した.なお Cu2+は終末濃度2×10隔3Mになるように.反応液中に.

加えた.

第5図 硫安及びアミン効果(添加せる    アミン類は終末濃度0.1M)

対照酬。1・酵素)

透:村士しる了㌔Hσ10酵素

  +(NHr)ユSO午

  +N困Cε   十酬等)ユCO3  十モ〃チルアミン  十ジメチ1しアミン  寸トリメチルアミン

詮 ゐ

圏渥・瓠

く=・ぐ㌔・,.

晟さ「囲い・8・

F誠一関}悼

1亀㍉ソf

1σ   二≧0   30   些σ   50   6σ   7σ   80

  活性  %)

 このことからアンモニウム塩がpH 7.6で,添加せ るCu2+と銅アミン錯イオン〔Cu(NH3)4什〕を形成 して,それが酵素活性を賦活せしめるのではなかろう かと推定されたので,更に銅アミン錯塩である硫酸銅 アンモンを,透析せるγ一Holo酵素に添加してみた結 果,活性の回復は見られたが充分なものではなかった

(第6図).これらの事実は,何か他に透析性の賦活物 質が存在する可能性を示唆する.

第6図 銅・アミン錯イオンのY−Holo 酵素活性に及ぼす影響

対照(酬。1・酵素)

透析セゐ丁一Hσ1・酵素

 +幽囚ア光ン

       IO  20  30  停0  50  60  了0  80          5舌性  %)

硫安銅アンモンは,終末濃度2×10−3M(Cu2+

につき)に.なるように添加

対照及び透析せるγ一Holo酵素には2×10−3M 終末濃度のCu叶を添加してある.

 そこで更に,γ一H:010酵素を,pH 7.6,0.3M硫安 を含む0.1Mリン酸緩衝液に対し透析した結果は第

7図のようで,水に対して透析した場合よりも緩徐で あったとはいえ,明らかに対照に比し活性の低下が見

(8)

られ,透析性のCofactorの存在を暗示したようであ った.透析にはセロファン管を使用して4。Cの氷室 内において行った.浸透圧に.よる内液の希釈を最小限 に.くいとめるため,セロファン管は酵素液を入れた 後,よく圧縮して両端をしばり,外液は内液の30倍以 上とし24時間及び48時間,締込透析を行った.対照と しては,γ一Holo酵素を透析時間と同じだけ,同じ条 件で氷室内に放置したものを使用した.

第7図 Y−Holo酵素の;透析に.よる活性低下

マ寸照(透1オ咋辻すつ

難κに対機

騨聯僻

蛋白量忽2徹孫巴

        「0   20   3σ   8千0   50   60   70   30

       ,舌性(%)

 0.6飽和硫安に.て塩析したγ一Holo酵素蛋白は,塩 析を行う前のものに比し単位蛋白:量あたりの活性は低 下したが(第8図),これは酵素蛋白部分(Apo酵素)

と分離し得るCofactorが塩析上清に残存することを 示唆している.塩析に.は,硫安を乳鉢で磨砕したもの を用い,マグネチック・スターラーで曾孫しながら少 量ずつ加え.て,塩析による蛋白変性を防いだ.

 更に,等電点沈澱法,連続濾紙電気泳動法52),Zone electrophoresis 53),吸着クロマトグラフィrイオン 交換樹脂クロマトグラフィー等を用いて,γ一Hoio酵 素の精製をすすめて行くと,単位蛋白量当りの酵素活 性は常に低下した.

 又,Cofactor酵素の階段的希釈に対して,その反応 速度を図表に描けば第9図のようで,希釈により急激 に反応速度は低下した.抽出の濃い場合に.は若干の作 用が見られても,希釈すると急速に活性が低下する現 象は,その抽出酵素系にCofactorが存在するのでは ないかとの疑いをいだかしめる.

 以上,透析,塩析,希釈の影響等より,Cofactorの 存在を予想し,透析により活性低下せるY−Holo酵素 に,ATP,チトクロームC, DPN, Coe:1zyme A,

Cocaτboxylase等を添加し実験を行ったが,活性上昇 は見られず,Coenzyme Aは阻害的に働いた.又,

パン酵母より抽出したLebedew液54)を添加してみ たがむしろ阻害的に働く傾向に見えた.そこでこの酵 素に特異的なnative Cofactorの存在を解析するため に.,透析外液を約殆量に減圧濃縮(40。C以下)した ものを,透析に.より活性低下せるγ一Holo酵素に加え た結果は第10図のようで明らかに,活性の上昇を見た.

この;透析外液の吸収スペクトルはあたかも,260mμに.

第8図 硫安塩析による活性低下並びにホモジェネート透析に.よる活性上昇 顎下腺      活性度

i墨弊騰__饗鰭透騨垂騨

↓熱処理(60。C 5分)

[濾液「・・……一・・…・…・・…一11% 55% 1

リン酸カルシウムゲル吸着 1

 心

その上清…・………・…………・・…・・ 0%

0.3M硫安を含む

0.1Mリン酸緩衝液にて旧離・遠心

 手

圧H・1・酵纂1……・・…・……・

隊安・・6飽和蜥

沈澱蛋白を緩衝液に.とかす

[蜥蛋白郵

・…@。鱒・…     72% 25% 32%

   。。・・・・… 。・・・… 。・・。・。・・・・・…    50%        46%       14%

・透析は蒸溜水に,対し24〜48時間静置透析とす.

・活性度は90分反応値

・ホモジェネート透析による活性上昇に関しては第4章を参照

(9)

第9図 Y−Holo酵素希釈の反応速     度に及ぼす影響

50

反応速度

。  o

      原ラ夜=,        X2L・    X牛  Xg Xfε

      構尺倍数一

γ一Holo酵素原液は蛋白濃度Ca 3mg/m1.

第10図 ;透析外液添加実験 (その1)

ナ寸照(直結tす 勧咋rH・1。酵素 エ腸f)

透桁ト液.

造析rH。1。礁+孟析鷹

[0  ユσ      肝0  50

 活性(%)

極大吸収をもつように見える(第15図).

 これにより透析性の融媒的活性な非蛋白部分の存在 を認め得たので更にこれを確認するため,限外濾過に より分離しようと試みた.すなわち,γ一Holo酵素を コロジオン膜を用いて,1時間,3000rpmで遠心濾過 を行った限外濾液を,透析により活性低下したY−Holo 酵素に添加した結果は第11図に示されたようで,活性 の上昇は認められたが,時として顕著なものでない場 合もあった.コロジオン膜は,局方コロジオン液をそ のまま鏡板上にひろげた適当な大きさの和紙の上に流 し暫蒔乾燥するをまって水中で凝固させた.なお,限 外濾液の吸収スペクトルは紫外部256ml^に極大吸収 をもつように見える(第15図).

   第11図 限外濾液添加実験       実験lI

γ」H。1。酵素(透オ斥せず)

・州。lo翻旨2輪毒析 限外5戸喪

ま輩ジタ㌃Y」Ho{o画薩≒素

  十F艮ヲト5戸5夜

      実験1皿

Y=Holσ画考・素(直木↑せず)

了一H。1。酵素2牛汽r透析

限外5戸液一 透荷f一臼。1。酵素

 十限外う弼夜

(その1)

25 0

63

32

ノ5=5『

34

1θ   20   30   40   50   60   ワσ   8θ

  :舌性r%)

 そこでCofactorを可及的に除去した酵素蛋白部分 として,Batchwise法にて得たγ一Apo酵素を用い,

上述の透析外液をこれに添加した場合もやはり活性の 上昇を示した(第12図).

  第12図 透析外液添加実験

Y−Ap。酵衰 丁一帥・酵素+透柳ド 透オ竹ト流

(その2)

lO  20  30  40  50

   尭性(%)

60  ワσ 80

 更に限外濾液をY−Apo酵素に添加せる実験でも活 性の上昇が認められた(第13図).

第13図 限外濾液添加実験 (その2)

rA戸・酵素

r」APo酵素+ F艮ξヲト三戸ラ在 限5ト1戸ラ在

10    20    30    停0     写0    60    「ro

  う舌性 %)

 又,Y−Holo酵素を硫安0.6飽和にて塩析したもの は単位蛋白量当りの活性低下を見ることは上記した が,その塩析上清をBatchwise法に.よるγ一Apo酵素 に加えれば活性の上昇を見た(第14図).

     第14図

rAp。酵素 卜A戸・酵素+塩析蝋

塩新上靖

.ヨσ0ασ

σア

α6

05

雌一3σα

σ2 σ1

第15図

塩析上清添加実験

10 20 30 50 60 70

5舌卜生 (o乃)

透析外液及び限外濾液の 吸収スペクトル

     /へ・・、

も       ノ         

\      、、

も       ノ       へ、、      、、1「彦縛トラ戸ラ夜L

 \            ㍉

 \ /       、

 、          、

      \       、、、

     透栴馳   \        \、

      \、

       、        、        、       、       、       、       、 2202302芽0 C幽謬)Z7。 280  26「D  300

 Cofactorを必要とする酵素でまず考えられるのは 酸化還元に関与する酵素系である,ここで嫌気的条件

(10)

での反応をγ一:Holo酵素に.て検索した結果は第16図の ようで,好気的条件に比しある程度の抑制効果は見ら れた.又,メチレン青を用いて同様な実験を行ったが 結果は同じで,その上,メチレン青の槌色は見られな かった.なお,表面活性基SHの定量をBarron 55)の 方法で行ったが,尿素変匪なしではγ一Holo酵素に表 在性SH基は認あられなかった.

    第16図 嫌気的条件での酵素活性

州謙

げ←)N:;

=膣炉亀毫㌦ ・卓・㌧ 、ジゴ㌧.フ.弓ご・・Σ,.

し,CofactorとApo酵素がわかれて存在することを

示した.

第17図 γ一Holo酵素よりCofactor     の分離 (その1)

E2謄解一Eエ60σrシμ」…一    第9ワ図  α)

  o◎

20

1・0

05

  10  20  30  牛0  5σ  60   70  冒0

     活性 (%)

酵素標品Y−1{olO酵素 反応にはThunberg管を使用

1

カラム馳= 牛XlO C釦し

鍮β1識、購練

吸翻:(}P−3・{目γfl…p・了cd

溶離:本文参照

 2)Cofactorの確認

 i)吸着クロマトグラフィーに.よる確認過程  透析,塩析,限外濾過等の実験結果は明らかに Tyrosine iodinaseが,触媒的活性なnative Cofactor を含んでいることを示すに.充分であったが,更に積極 的に.,Calcium phosphate ge1−HyHosupercell−column に.よる吸着クロマトグラフィーでCofactorをY−Holo 酵素より単離・確認するために,,Y−Holo酵素液50ml を蒸溜水で20倍に希釈(イオン強度を低くするため)

してカラムに吸着せしめ,吸着せる試料を,

 工一step:0.1Mリン酸緩衝液pH 7.6  皿一step:0.1M硫安を含む0.1Mリン酸緩衝       液pH:7.6

 皿:一step:0.2M硫安を含む0.1Mリン酸緩衝       液:pH 7.6

 1V−step:0.3M硫安を含む0.1Mリン酸緩衝       液pH:7.6

 V−step:0.4M硫安を含む0.1Mリン酸緩衝       液pH 7.6

で順次setpwise elutionを行い,5m1ずつの分画に オートマチック・フラクション・コレクターで溶出液 をとった.溶出液は各分画毎に1本ずつBeckman分 光光度計DU型で,275叫及び260叫の吸収を測

定し,吸収の高い部分を互いに組合せて酵素活性を測 定することにより,蛋白部分とCofactorとに分離し 得たか否かを検した.結果は第17図のようで,吸収の 高い個々の分画単独では見るべき活性を示さないが

(第17図一a),これを組合せれば第17面一b),のように.,

(1+11),(1十皿)の組合せで幾分かの活性上昇を示

性30  20  10

1O     20     30     弩0     50

  分画 (5朔わ

第i7図 の

兀  皿  w  v  1π  十  十  十  十  十

 工 工 工 工 工

Ca−phosphate−gel Hyflosupercel columnに=よるクロマトグラフィー

羅鉤且

30@ 20 10

0

 そこで,:Hydroxylapatite columnを使用してCo−

factorを分離しようと試みた.すなわち,あらかじあ 前記の方法で調製しておいたHydroxylapatiteの懸濁 液を1.5×10cmのカラムに流し込み吸着剤が沈下す るをまって,カラムの最上層をガラス棒で少し撹伴 し,懸濁物質が再び沈むまで放置する.これに,、一 Holo酵素40m1を蒸溜水で20倍に希釈した液を試料

として吸着させ,

 1−step:0.05Mリン酸緩衝液pH 7.6  皿一step:0.1Mリン酸緩衝液pH 7.6  皿一step:0.2Mリン酸緩衝液pH 7.6

 1V−step:0.3M硫安を含む0.1Mリン酸緩衝液      pH 7.6

で順次stepwise elutionを行う.溶離の流速を20m1

/hrになるように適当な圧を加えなければならぬ.溶 出液は前回同様に5m1ずつの分画に,とり,275叫及 び260m の紫外部吸収を測定した(第18図一a).吸 収の高い部分を互いに組合せて酵素活性を測定するこ とに.より,Cofactorと蛋白部分との存在を確認しよ うとの試みは第18選一bに.見られるようで,1−stepの 4本目に.Cofactorを含む分画, IV−stepの4本目に 蛋白部分(Apo酵素)の分画の存在を示しているよ

うである.

(11)

 第18図 γ一Holo酵…素よりCofactor       の分離i(その2)

    第18図 の E275解一

1,0

05

 50舶30⑳話性殉

10

  分画(ケmの 第;9図 霧)

午σ   50

 ︶種%且20

10

V十皿Ψ+正π十工

皿十π

洗十π皿+1

正+π正+皿

π十1

工+W

r十.皿正十皿

n

m

・耽フ eイ oo

Hク 圃ロ ㎜マ yトi aグ D^︑ a一フt

 Cofactor部分が0.05Mリン酸緩衝液の低いイオン 強度で溶離されてくることがわかったので,次に.同じ 吸着剤(Hydroxylapatite)を用い, pHを6.8とし,

更に低いイオン強度で溶離することとした.結果は第 19図一aに.示す.すなわち,pH 6.8リン酸緩衝液の 0.03M,0.05M,0.1Mの三段階でstepwise elution を行い,A, B, C, D,4つの260mμ吸収極大を得た.

これらの分画をBatchwise法に.て得たY−Apo酵素 に.添加した時の酵素活性は第19図一bのようで,A, B,

C,D,各分画は単独ではほとんど認むべき活性を示さ ないが,γ一Apo酵素を加えることに.よりA一分画にお いて最大の活性上昇を見た.結局,Cofactorは,

Hydroxylapatiteを用いれば最もイオン強度の低い1−

stepで溶離されてくることかわかった.しかしこれ は,Cofactor活性としては未だ充分なものとはいい

難い.

 ii)Batchwise法に.よる確認過程

 CofactorがHydroxylapatiteに=より,最も但iいイ オン強度で溶離されることがわかったので,ここ吸着 リン酸カルシウムゲル(別表参照)を0.01Mリン酸 緩衝液で洗うことに.より,Cofactorを分離・確認する ことを試みた.リン酸緩衝液のpHを5から8まで かえて実験した結果は第20図のようである.pH 7.0 から8.0の間で洗出した部分が最もCofactor活性が 高かったとはいえ,概してpHの影響は受けていない

下19図 γ一Holo酵素よりCofactor     の分離 (その3)

   第1守図の

財。嚇

 八

1.o

0,5

o 0.03

PH63

P.B,

 9M6B5酬私

oo 3

C

D

A  ●lo B C 20 分画(5配)

尋)

褄㈲ 8 6a岡H杁 P

σ σ021

006﹁300 0 0    0斗3ウρ1

第門守

CσfaC†・rの日記

30D     弓0

 蟻通:で一H・1ρ酵素20倍希釈

  難鵬粥拠脚B)

  う継;£0肌£!箸γ

  1分画15κ

  ロ及づ旨r冑づ ; HydTOXy lαPユ†・量e

ABODトA炉。画孝素

十  十  十  + (B闇闇3e蜘二よゐ)

千A炉。 をA戸。rAP。 予AF。

 Hydfoxylapatite columnに二よる   クロマトグラフィー

第20図 Batchwise法によるCofactor    の分離・確:認・添加実験

γ一Apo酵素 p鴫r伽伝。ホor pH 6、 〃 PH7, 〃 ρH8, 

P略予Co十了一Apo PH⑤γ一Co+丁一Apo P既価+γ一Aρ。

P凪協+γ・Ap。

        IO   20   30   辱{}   50   60   70   零0   6曜O

       活性(%)

酵素蛋白部分としてはγ一Apo酵素を用う.

o

ようである.そこでpH 7.6,0.01Mリン酸緩衝液で 洗出したものは未だ蛋白がかなり含まれているが,粗 Cofactor液(γ一Cofactor)として種々の実験に供し 得る.なお,このものの吸収スペクトルは260叫に 極大吸収をもつように見える.

 そこで更に,Cofactorのリン酸カルシウムゲルに 対する吸着性が可逆的であるか否かをしらべるために 次のような実験を行った,pH 7.6,0.01Mリン酸緩 衝液にて吸着カルシウムゲル(別表及び第21図参照)

より洗出した.Cofactor(Y−Co.)を,再び充分量の新 たなカルシウムゲルと混和概拝し暫時放置後,遠心に よりその上清(Sp、)と再吸着カルシウムゲルとに分

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