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ルワンダ共和国トゥンバ高等技術専門学校強化支援プロジェクトフェーズ2 詳細計画策定調査報告書 平成 24 年 12 月 (2012 年 ) 独立行政法人国際協力機構 人間開発部 人間 JR

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ルワンダ共和国

トゥンバ高等技術専門学校

強化支援プロジェクト フェーズ2

詳細計画策定調査報告書

平成 24 年 12 月

(2012 年)

独立行政法人国際協力機構

人間

ルワンダ共和国トゥンバ高 等技 術専門 学校 強化支援プロジェクト フェーズ 2詳 細計画策定調査報告書 平 成 24 12 独立行政法人国際 協

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ルワンダ共和国

トゥンバ高等技術専門学校

強化支援プロジェクト フェーズ2

詳細計画策定調査報告書

平成 24 年 12 月

(2012 年)

独立行政法人国際協力機構

人間

ルワンダ共和国トゥンバ高 等技 術専門 学校 強化支援プロジェクト フェーズ 2詳 細計画策定調査報告書 平 成 24 12 独立行政法人国際 協

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目     次

目 次 地 図 写 真 略語表 第1章 要請の背景……… 1 第2章 調査の概要……… 2 2-1 調査団派遣の目的 ……… 2 2-2 調査団員構成 ……… 2 2-3 調査日程 ……… 2 2-4 主要面談者 ……… 3 2-5 調査結果詳細 ……… 5 2-6 協議議事録の署名 ……… 9 第3章 事業事前評価表………10 第4章 評価5項目による評価結果………19 4-1 妥当性 ……… 19 4-2 有効性 ……… 21 4-3 効率性 ……… 22 4-4 インパクト ……… 23 4-5 持続性 ……… 23 第5章 プロジェクト実施上の留意点………26 第6章 実施協議………27 付属資料 1. ルワンダ政府からの正式要請書 ……… 31 2. 詳細計画策定調査時協議議事録(Minutes of Meeting) ……… 38 3. 討議議事録(Record of Discussions) ……… 56 4. JICA 国際協力専門員所感 ……… 71 5. ワークショップ資料 ……… 81 6. プロダクション・ユニットに関する調査報告 ……… 95 7. 学校運営に関する調査報告 ……… 100

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地     図

地 図

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協議議事録署名 トゥンバセクターへのインタビュー TCT でのワークショップ コミュニティ視察 K-lab 視察 TCT 卒業生就職先視察

写     真

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略  語  表

略語 英語/ ドイツ語 日本語訳 AE Alternative Energy 代替エネルギー

C/P Counterpart カウンターパート EDPRS Economic Development and Poverty Reduction Strategy 経済開発・貧困削減戦略 ESSP Education Sector Strategic Plan 教育セクター戦略計画 ET Electronics and Telecommunications 電子・通信

EWSA Energy, Water and Sanitation Authority エネルギー・上下水道公社 GIZ Deutschen Gesellschaft für Internationale

Zusammenarbeit ドイツ国際協力公社 ICT Information and Communication

Technology 情報通信技術

IPRC Integrated Polytechnique Regional Center 統合ポリテクニック地域センター IT Information Technology 情報技術

JCC Joint Coordination Committee 合同調整委員会 JICA Japan International Cooperation Agency 国際協力機構 KIST Kigali Institute of Science and Technology キガリ科学技術大学 KOICA Korea International Cooperation Agency 韓国国際協力団 MINEDUC Ministry of Education 教育省

NGO Non-Governmental Organizations 非政府組織

PDCA Plan- Do- Check-Act 計画- 実行 - 評価 - 改善

PDM Project Design Matrix プロジェクト・デザイン・マトリックス PSF Private Sector Federation 民間セクター連盟

PU Production Unit プロダクション・ユニット R/D Record of Discussions 討議議事録

RWF Rwandan Franc ルワンダフラン

TCT Tumba College of Technology トゥンバ高等技術専門学校 TICAD Tokyo International Conference on African

Development アフリカ開発会議

TOT Training of Trainers 講師育成研修(トレーナーズ・トレーニング) TSS Technical Secondary School 工業高校

TVET Technical and Vocational Education and

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VTC Vocational Training Center 職業訓練センター WDA Workforce Development Authority 雇用開発局

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第1章 要請の背景

ルワンダ共和国(以下、「ルワンダ」と記す)は国家開発計画「VISION 2020」において知識 ベース経済(Knowledge-based Economy)の実現を掲げ、人的資源開発、とりわけ科学技術分野の 人材育成に取り組んでいる。しかし、産業界では、1994 年の内戦 ・ ジェノサイドの影響により、 中堅技術者や実践力のあるエンジニアの不足が深刻である。また、教育セクターにおいては、近 年の急速な基礎教育の就学率向上に伴い、中等教育の拡大が喫緊の課題である。2010 年 7 月に 策定された「教育セクター戦略計画(Education Sector Strategic Plan:ESSP)2010 ~ 2015」(ESSP 2010-2015)においては、技術・職業教育 ・ 訓練(Technical and Vocational Education and Training: TVET)を含むポスト基礎教育の推進により、すべてのレベルで産業界の人材ニーズに合致した 人材の輩出をめざしている。

こうした背景から、ルワンダ政府はトゥンバ高等技術専門学校(Tumba College of Technology: TCT)を設立した。わが国は、TCT が産業 ・ 社会のニーズに適合した実践的な A1 レベル1の高等 技術教育機関になることを目標に、ルワンダ教育省(Ministy of Education:MINEDUC)雇用開発 局1(Workforce Development Authority:WDA)及び TCT をカウンターパート(Counterpart:C/P) として技術協力プロジェクト 「 トゥンバ高等技術専門学校強化支援プロジェクト 」(以下、「 前 フェーズ 」 と記す)(2007 年 7 月~ 2012 年 6 月)を実施した。前フェーズにおける協力は、政府 の政策上の優先課題を踏まえ、情報工学科(Information Technology)、電子 ・ 通信(Electronics and Telecommunication:ET)学科、代替エネルギー(Alternative Energy:AE)学科の 3 学科の実施に 係る能力強化及び学校運営能力強化を実施し同校の機能強化に貢献するとともに、産業界との連 携に係る数多くの試みを通し、ルワンダ国内TVET セクターの政策強化にも貢献してきた。 前フェーズは2012 年 6 月に終了を迎えたが、協力の成果をルワンダ国内 TVET セクターに広 く普及させることを目的に、ルワンダ政府は、WDA 及び TCT を C/P とした技術協力プロジェク ト 「 トゥンバ高等技術専門学校強化支援プロジェクト フェーズ 2」 を、2011 年度要望調査におい て、わが国政府に要請した。 1  WDA は 2007 年のプロジェクト開始後、2009 年に設立された。プロジェクト開始当初より MINEDUC を C/P としていたが、同省 内にTVET セクターを統括する部門として WDA が設立され、以降、同局が本プロジェクトの調整を担うこととなった。

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第2章 調査の概要

2-1 調査団派遣の目的 2011 年度要望調査においてルワンダ政府から要請のあった WDA 及び TCT に対する技術協力 プロジェクトの実施について、同プロジェクトの協力基本枠組みの形成・合意することを目的 に、詳細計画策定調査団を派遣した。 2-2 調査団員構成 担当分野 氏  名 所属 団長/ 総括 田中努 JICA 人間開発部 高等・技術教育課長 技術教育 角田学 JICA 国際協力専門員 協力企画 近藤菜々 JICA 人間開発部 高等・技術教育課 職員 学校運営改善 西山隆一 システム科学コンサルタンツ 評価分析 房前理恵 一般財団法人国際開発機構(FASID) 2-3 調査日程 日程 活動 1 9 月 1 日(土)[房前] 成田→キガリ ([西山] 8 月 19 日キガリ着) 2 9 月 2 日(日) 3 9 月 3 日(月)

WDA Partnership 担当、キガリ科学技術大学(KIST)- 革新・技術移転セン ター(CITT)へのヒアリング JICA ルワンダ事務所表敬 4 9 月 4 日(火) K-Lab 訪問、民間セクター連盟(PSF)- 情報通信技術(ICT)、MIONEDUC 科学技術局、職業訓練センター(VTC)ガテンガ校へのヒアリング キガリ→トゥンバ 5 9 月 5 日(水) TCT 教職員へのヒアリング、トゥンバセクター住民訪問 6 9 月 6 日(木) トゥンバ→キガリ ドイツ国際協力公社(GIZ)へのヒ アリング PSF-Energy、総合ポリテクニック地域センター(IPRC)-キガリへのヒアリング [角田、近藤] キガリ着 7 9 月 7 日(金) JICA ルワンダ事務所表敬、WDA へのヒアリング、 卒業生へのヒアリング(PROMO、UMSEKE) 8 9 月 8 日(土) 書 類 整 理〔プ ロ ジ ェ ク ト・ デ ザ イ ン・ マ ト リ ッ ク ス(PDM)、ミニッツ (M/M)、討議議事録(R/D)(案)作成〕、TCT 学長との協議 9 9 月 9 日(日) 書類整理〔PDM、M/M、R/D(案)作成〕

10 9 月 10 日(月)卒業生就職先企業訪問(Sulfo, MAN MANUMETAL)、PSF-ICT との面談、 K-Lab 見学、TCT 学長との協議

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11 9 月 11 日(火) WDA DG との協議〔PDM、M/M、R/D(案)〕、エネルギー・上下水道公社 (EWSA)へのヒアリング ICT ミッションとの意見交換会 12 9 月 12 日(水)MINEDUC PS との協議〔PDM、M/M、R/D(案)〕 キガリ→トゥンバ  企業視察(Nyirangarama) [田中] キガリ着 13 9 月 13 日(木)TCT 教職員へのインタビュー、 トゥンバセクター、ルリンド群へのヒアリング 14 9 月 14 日(金)TCT 教職員を対象としたワークショップ トゥンバ→SORWATHE

15 9 月 15 日(土)企業訪問、卒業生面談(SORWATHE →キガリ Sorwathe Tea Factory) 16 9 月 16 日(日)団内協議、書類整理 17 9 月 17 日(月) 韓国国際協力団(KOICA)へのヒアリング、TCT 学長との協議、IPRC- キ ガリ視察 事務所報告 18 9 月 18 日(火)MINEDUC、WDA、TCT との M/M 署名、大使館報告 [田中、角田、近藤、房前] キガリ出発 19 9 月 19 日(水)[田中、角田、近藤、房前] 羽田着 2-4 主要面談者 (1)政府機関 【MINEDUC】

Ms. Sharon Haba Permanent Secretary

Dr. Marie Christine Gasingirwa Director General for Science, Technology and Research 【MINEDUC WDA】

Mr. Jerome Gasana Director General

Mr. Didier Munezero Director of Partnership Building Mr. Theodre Habimana Director of TVET Training

Mr. Gordon Bamwine Entrepreneurship Development Officer Mr. Diogene Kagango Private Sector Partnership Officer Mr. Gerald Karamutsa TVET Jobs and Career Guidance Officer 【ルワンダ教育局(REB)】

Mr. Seth M. Buhigiro Director of Infrastructure and Technical Support, ICT in Education and Open Distance e-Learning Department

【エネルギー、水・衛生局(EWASA)】

林俊行 Senior Advisor(JICA 国際協力専門員) Ms. Naceur Hammami International Technical Assistant

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2)トゥンバ高等技術専門学校(TCT) Mr. Pascal Gatabazi Principal

Mr, Wilson Nzitatira Director of Administration and Human Resources Unit Mr. Emmanuel Kamanzi Head of Alternative Energy (AE) Department

Mr. Muhamad Maniraguha Head of Information Technology (IT) Department

Mr. Jean Pierre Musabyimana Head of Electronics and Telecommunication (ET) Department Mr. Emile Abayisenca Lecturer, IT Department

3)産業界

Mr. Alex Ntale Director, Information and Communication Technology (ICT) Chamber, Private Sector Federation (PSF)

Ms. Umuraza Chantal Chamber of Industry, PSF

Mr. Nikil Anand Manager, Garafe and Machine Shop, SULFO Rwanda Industries Ltd.

Mr. Elvin Fabrice Muhoza Technical Director, MANUMETAL Ltd. Mr. Gerard Sina Chief Executive Officer, Urwibutso Enterprises (4)コミュニティ

Mr. Justus Kangwagye Mayor of Rulindo District (5)技術・職業教育・訓練(TVET)機関・技術大学

Mr. Joseph Mfinanga Vice Principal of Academic and Training, Integrated Polytechnique Regional Centre (IPRC)-Kigali

Mr. Immaculee Mukabayire Director, Centre for Innovation and Technology Transfer, Kigali Institute of Science and Technology

Mr. Jean Nepo Nshimiyimana Liaison Officer, Centre de Jeunes de Gatenga (6)卒業生

Mr. David Murame Technical Manager, PROMO Engineering Limited Mr. Marcel Mutsinoashyaka Chief Executive Officer, UMUSEKE

(7)ドナー

Ms. Silke Leiendecker Employment Component Manager, Promotion of Economy and Employment, GIZ

Mr. Sang-Chul Kim Resident Representative, KOICA Rwanda Office Mr. Dongrib Kim Deputy Resident Representative, KOICA Rwanda Office Mr. Jeong Heeyul Coordinator, KOICA Rwanda Office

8)JICA ルワンダ事務所

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辻本 温史 企画調査員9)JICA 情報通信技術(ICT)関連企業視察ミッション 福岡 賢二 神戸情報大学院大学副学長 山田 株式会社ビーエムシーインターナショナル 荒木 アイシーネット株式会社コンサルティング事業部 2-5 調査結果詳細 現 地 で 収 集 し た 各 種 政 策 やTCT の教育・研究活動の動向等の情報を踏まえ、プロジェク ト目標や成果、 具体的な活動内容についてWDA 及び TCT と協議し、その協議結果をミニッ ツ(Minutes of Meeting:M/M)に記録し、討議議事録(Record of Discussions:R/D)案とともに MINEDUC、WDA、TCT、JICA の 4 者で確認をした。正式要請書については、付属資料 1 を参照。 主な調査結果は以下のとおり。

2-5-1 プロジェクトデザイン概要

案件名 トゥンバ高等技術専門学校強化支援プロジェクト フェーズ 2

(英:The Project for Strengthening the Capacity of Tumba College of Technology, Phase 2) 協力期間 2013 年 1 月~ 2017 年 12 月(5 年間) 実施機関 TCT、MINEDUC WDA 上位目標 ルワンダ国内の各TVET 機関において TCT のグッド・プラクティスが実践さ れる。 プロジェクト 目標 TCT が TVET セクター改善のための有効なアプローチをルワンダ政府に提供 するモデル機関となる。 成果 1) TCT において実践的技術教育を提供するための継続的能力向上システムが 構築される。 2)TCT において学校運営管理改善メカニズムが構築される。 3) WDA と TCT が TVET セクター改善のために有益なグッド・プラクティス を共有する。 対象地域 トゥンバ、及びキガリ 活動 1-1. プロダクション・ユニット(PU)の活動計画を作成する。 1-2. PU 運営管理ガイドラインを策定する。 1-3. PU 活動に係るニーズ調査を実施する。 1-4. PU 活動を実施する。 1-5. PU 活動に応じた技術研修を実施する。 1-6. PU 活動結果のレビューを行う。

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2-1. 学校運営計画を策定する。 2-2. TCT の現状を反映したモニタリングシステムを構築する。 2-3. モニタリングを実施する。 2-4. 課題を抽出する。 2-5. 抽出された課題を TCT 教職員と共有する。 2-6. 課題の要因及び改善策について TCT 教職員間で協議する。 2-7. 改善策を実施する。 2-8. 上記 2-3 ~ 2-7 の活動を繰り返し実施する。 2-9. TCT の学校運営に関する内部満足度調査を実施する。 3-1. WDA と TCT が TVET セクターの質改善における課題を特定する。 3-2. TCT が定期的に活動のレビューを行う。 3-3. WDA と TCT が TCT のグッド・プラクティスと教訓をまとめる。 3-4. グッド・プラクティスの普及に係る WDA の活動を TCT が支援する。 裨益者 (直接裨益者) TCT 教職員 120 人、WDA 職員、TCT 学生 2,100 人、 外部者コース学 生 2,300 人 (間接裨益者) ルワンダ国内全TVET 機関、ルワンダ産業界、地域住民、関係省庁・大学 投入 【日本側】 専門家派遣 〔総括、学校運営、情報技術(IT)、 ET、AE、PU 運営、TVET 政策、機 材計画ほか〕 研 修 員 受 入( 日 本、 ル ワ ン ダ、 第 三国) 機材供与(主にPU 活動に必要な機 材。詳細未定) 第三国専門家派遣 在外事業強化費(セミナー/ ワーク シ ョ ッ プ 開 催、 ナ シ ョ ナ ル ス タ ッ フの雇用等) 【ルワンダ側】 C/P 配置 プ ロ ジ ェ ク ト オ フ ィ ス 提 供、 及 び 電 気、 水、インターネットコネクション提供 資機材整備、メンテナンス費用、 教職員給与・手当 学校運営経費 実施体制 1. WDA 局長をプロジェクトダイレクター、TCT 学長をプロジェクトマネ ジャーとする。 2.日本側・ルワンダ側で合同調整委員会(JCC)を設置する。 2-5-2 新規プロジェクトの主なポイント、課題 (1)モデル ・ プロジェクト目標に示すとおり、ルワンダ国内TVET セクターを改善するために 有効なアプローチをルワンダ政府(当初“WDA”としていたところ、協議の結果、 ルワンダ側の意向により「ルワンダ政府」に変更)に対し提供することを、「モデ

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ル機関」の役割として確認した。 (2)全体枠組み ・ 成果1:より狙いが明確になるよう、当初案の「TCT 教員の技術力及び実践能力が 強化される」から、「実践的技術教育を提供するための継続的能力開発システムが 構築される」へ修正した。プロダクション・ユニット(Production Unit:PU)の設 置(後述)により継続的能力開発の仕組みを構築することで合意した。 ・ 成果2:大きな変更なし。活動の焦点として、課題分析、対応策検討、実行、評 価を継続的に行う「仕組み」〔例:計画-実行-評価-改善(Plan-Do-Check-Act: PDCA)サイクル〕を学内に設置していくことで合意した。プロジェクトでは前述 学校運営改善システムの導入、運営に係る支援を行うとともに、TCT 側により活動 途上で生じたキーとなる課題への対応についても必要に応じ技術移転、共働改善を 行い、学校運営能力強化を図る。 ・ 成果3:WDA の関与、役割を強調した成果、及び活動を設定した。TCT の役割は TVET モデル機関として有効なアプローチ、グッド・プラクティスを形成するこ と、WDA の役割は TCT の経験を抽出し普及・政策化することであることを、それ ぞれ確認した。 (3)実施体制

・ WDA のかかわり(付属資料 3「 R/D Annex3 Organization Chart」参照)

前フェーズでは、TCT の能力強化を主軸に置いた協力を実施したが、フェーズ 2 で は、TCT から発信されるグッド・プラクティスをルワンダ全体の TVET セクターの 改善に裨益させることをひとつの狙いとしており、ルワンダ国内TVET セクターを 統括するWDA の積極的な関与が重要である。この点について、MINEDUC、WDA、 TCT と協議を行い、WDA 局長を本プロジェクトのプロジェクトダイレクターとし、 WDA の職員を成果 3 に係る活動の C/P に含めることで合意した。 (4)プロダクション・ユニット(PU)

(付属資料3「R/D Appendix 2 Main Points Discussed」参照)

・ 協議の結果、PU 設置の最大の目的として、実践的技術教育に必要な継続的能力 向上システムを構築することを合意した。また、TCT 教職員を対象としたワーク ショップにおける議論の結果、PU 活動は教職員の能力強化(PU 活動を想定した学 校運営方針作成過程における能力強化)にも裨益するものとして定義を確認した。 ・ PU の活動については、教職員の主体性・意欲(インセンティブ)を引き出しつ つ、技術的実践能力の強化につながるような活動となるような仕組みづくり、運 営体制づくりが重要である。PU 自身に持続性をもたせるためにも TCT の自己収入 につながるような活動(公示業務への応募、各種研修の実施等)は重要であるが、 単なる収入創出のための活動とならないような工夫が必要となる。TCT 同様に A1 レベルのTVET 校である総合ポリテクニック地域センター(Integrated Polytechnique Regional Center:IPRC)- キガリ(キチュキロ)では、純粋に資金創出活動を目的と

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した活動を実施している。活動実施方法については同校の事例を学ぶことができる が、本来の目的が異なるため、TCT 独自の運営方法を構築する必要がある。プロ ジェクトでは、PU の活動を開始しつつ、教職員を巻き込んだガイドラインづくり に丁寧に取り組む必要がある。PO は、最初の 2 年間で PU を動かしつつガイドラ インを精緻化させ、次の2 年間で PU 活動内容の強化(PU 活動が教員の実践能力 強化につながるように)、最後の1 年間で PU 機能の自立発展性強化、とのイメー ジで整理した。 ・ TCT への PU 導入については、TCT 外(省庁関係、地域行政、産業界)からも非常 に好意的な反応であり、また活動の可能性が多くあることを確認した。他方、TCT の提供できる技術については、詳細を知らないケースが大多数であった。活動の可 能性を実現化するためには、PU 活動の一環として TCT の提供し得る技術をまとめ、 対外的にアピールする活動も重要である。 (5)産業界、民間セクター連盟(PSF)との連携

・ 訪問先企業や民間セクター連盟(Private Sector Federation:PSF)へのヒアリングか らは、企業とTCT との連携を想定した PU 活動そのものへの具体的アイデアは多 く聞かれなかったが、事業の共同受注(MANUMETAL)等の可能性について言及 があった。TCT については、実践的技術能力を保持する卒業生の輩出に係る期待TCT を単なる学校機関として認識)は多く聞かれたが、事業実施に係る潜在的パー トナーとしてはまだ認識されていないのが現状である。上述に言及のとおり、TCT の技術インベントリーを作成のうえ、対外的に売り込む活動が重要となる。 ・ 卒業生の技術レベルに加え、コミュニケーション能力や仕事に対する姿勢を重視 する声が多く聞かれた(技術レベルが高くとも、コミュニケーション能力が欠けて いれば雇用は難しい)。TCT 卒業生の就職率向上、及び就職先での定着のためには、 技術訓練以外の能力強化についても学校としての取り組み強化が望まれる。 (6)コミュニティ等への社会貢献活動 ・ MINEDUC、WDA、TCT と協議した結果、TCT への期待として、地域コミュニティ への貢献に係る強いコメントがあり、PU 活動の一環としてコミュニティを対象と した活動を強化することで合意した。コミュニティを対象とした活動については、 収入創出を期待することは難しいため、省庁〔エネルギー・上下水道公社(Energy, Water and Sanitation Authority:EWSA)等〕との連携や、各種 Fund の獲得、非政府 組織(Non-Governmental Organizations:NGO)からの資金調達等の方法を模索する 必要がある(他のPU 活動で一定の自己収入が創出されるようになれば、収入資金 をコミュニティ対象活動に充当することも可能)。 ・ ルリンド郡、トゥンバセクターへの訪問においても、TCT の地域コミュニティへ の裨益について強い期待が寄せられた。 ・ トゥンバ地域の有名企業であり、 多くの社会貢献活動も積極的に実施している URWBUTSO のような機関との連携は、TCT にとっても有益であり、積極的な取り 組みが期待される。

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7)ワークショップ実施結果 ・ フェーズ2 実施に係る意見聴取、及び意識づけを行うため、TCT 教職員を対象と したワークショップを実施した。53 名の TCT 教職員が参加し、プロジェクト成果 のテーマごとにグループに分かれ、協議を行った(①PU 実施に係るアイデア、② 学校運営に係る課題及び対応策案、③他TVET 機関に普及可能な TCT のグッド・ プラクティス)。 ・ 協議結果概要は、付属資料5「ワークショップ資料」のとおり。 ・ ワークショップでは、実施可能と思われるPU 活動案が多く出されると同時に、PU 活動の前提となる人員体制構築や、活動のプライオリティ、技術的内容からの取捨 選択を行うプロセス等についても教職員側から言及があった。プロジェクト開始後 も同様のワークショップを重ね、PU 体制の強化を図る。8)投 入 ・ 日本側、ルワンダ側の投入について、付属資料3「討議議事録」のとおり合意した。 ・ 第三国専門家の投入及び第三国研修の実施については、特にAE 学科の能力強化に おける重要性(ルワンダ国内の小規模発電や改良かまどの導入等へのニーズに対応 する技術としては、日本の先端技術のみではなく、第三国からの技術紹介・技術移 転が有効)を確認し、前フェーズに引き続き投入を継続することで合意した。 (9)プロジェクト実施に係る前提条件 ・ 以下2 点をプロジェクト開始の前提条件として確認、合意した。 ➢ TCT への副学長(Administration and Finance)の配置

➢ PU の設置(ユニット長の指名、及び PU オフィスの設置) ・ PU 長については、調査団帰国前に TCT 学長により AE 学科長カマンジ氏が任命さ れた。副学長については、ルワンダ閣議で協議ののち、決定される予定。 (10)雇用開発局(WDA)への個別専門家との連携 ・ TCT での経験を基に TVET 政策全体の活性化をめざすことが狙いではあるが、TCT の「モデル化」を目的としたプロジェクトスコープ内での対応としては、WDA へ のグッド・プラクティス発信及びWDA が主体となった普及活動へのサポートが内 容としては適当であることを確認した(普及はWDA の任務とし、プロジェクト活 動及び成果には含めない)。ルワンダ側から要請されている当該専門家派遣との連 携により、TVET セクター全体の活性化支援を目的としたより包括的な協力を展開 する。 2-6 協議議事録の署名

協議結果については、ルワンダ側(MINEDUC 事務次官 HABA Sharon 氏、WDA 局長 GASANA Jerome 氏、TCT 校長 GATABAZI Pascal 氏)と確認し、M/M の署名を行った。

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第3章 事業事前評価表

3-1 案件名

国 名:ルワンダ共和国

案件名:トゥンバ高等技術専門学校強化支援プロジェクト フェーズ 2

The Project for Strengthening the Capacity of Tumba College of Technology Phase2 3-2 事業の背景と必要性 (1) 当該国における技術・職業教育・訓練(TVET)セクターの現状と課題 ルワンダは、2000 年に中長期的な国家開発計画「VISION 2020」を策定し、1 人当たりの GDP を 2000 年の 220 米ドルから 2020 年までに 900 米ドルにすることを目標に掲げている2。 2000 年のカガメ大統領就任以後、同国は 7%前後の高い経済成長率を維持しており、1 人当 たりGDP は 2011 年までに 360 米ドル3へと成長した。 特に、「VISION 2020」のなかでは、農業中心の経済基盤から知識ベース経済(Knowledge-based Economy)の実現が目標として掲げられており、人的資源開発、とりわけ産業 / 科学技 術分野の人材育成に取り組んでいる。TVET セクターにおいては、TVET システムの構築、 及び産業界のニーズに合ったTVET の実施を目的に、2008 年 4 月に TVET 政策が策定され、 同政策に基づき2009 年に、TVET 関連活動の調整部門として、MINEDUC の下に WDA が設 立された。これらの結果、技能訓練校の数が2010 年の 61 校から 2012 年には 116 校に増え、 学生数も2 年間の間に約 2 倍に増加する等、TVET へのアクセス面において大幅な改善が確 認されている4。 しかしながら、2012 年現在も農林業がルワンダの GDP の約 3 割、同労働人口が約 9 割を 占めており5、依然として零細農業を中心とした産業構造のままである。また、16 ~ 35 歳の 若年人口416 万人6のうち、42%が潜在的失業状態にあり7、若年層の技術能力強化及び雇用 の創出が依然として大きな課題となっている。産業界の求める技術レベルと実際に輩出さ れる技術者のレベルにおける乖離も強く指摘されており、全体の求職者のうち70%が求め られる技術レベルを満たしていない状況である8。結果としてTVET 機関の卒業生の就職率は 25%9と非常に低い。特に、中堅技術者や実践力のあるエンジニアについては需要の60%程 度しか供給できておらず10、人材不足が依然として深刻である。

TVET における現状の背景には、TVET セクターの制度面の弱さ、TVET 機関の実施計画 力不足、関係者個々人の能力不足がある。制度、組織面では、TVET 機関と産業界との連携 の不足、TVET 機関、特に民間 TVET 機関におけるモニタリング・業績評価システムの不在、

2  2000 年基準。中所得国入りをめざしており、目標値は 2012 年に 900 米ドルから 1,240 米ドルに修正された。

3  2000 年基準。世界銀行(2012 年)、The World Bank Database(http://data.worldbank.org/)。

4  Ministry of Education(2012 年)、Joint Review of the Education Sector 2012 発表資料。

5  CIA(2011 年)、 the World Factbook。

6  ルワンダの人口は 1,094 万人。

7  AfDB、OECD、UNDP、UNECA(2012 年)、African Economic Outlook 2012。

8  ルワンダ政府(2007 年)、National Employment Policy。

9  ルワンダ政府の国家開発計画「経済開発・貧困削減戦略 2008 ~ 2012」(Economic Development and Poverty Reduction Strategy:

EDPRS 2008-2012)(2007 年)。

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低報酬による教員の意欲の欠如、必要な訓練機材の不足、最新のカリキュラムの欠如、実 践技術の質を審査する仕組み・制度の不足、TVET 機関の運営能力不足などが指摘されてい る。技術面では、教員の実践力及び教授力の低さなどがTVET の質の向上の障害となってい る。また、社会全般において技術力を軽視する傾向も指摘されている。 上記の現状にかんがみ、WDA により、TVET 機関の各種基準(施設、教員のレベル、コー スの質等)の設定、同基準に基づいたアセスメントの実施、TVET 資格枠組みの開発、職 能に基づいたカリキュラムの開発、講師育成研修(Training of Trainers:TOT)などが進めら れている。また、2008 年 6 月に打ち出された IPRC11の構想の実現に向け調整がなされてい る。同構想によると、IPRC は、資格レベル(高等、中等など)の異なるコースを一手に提 供すると同時に、県内のTVET 機関の監督・調整を行うものであり、今後 IPRC の設置が国 内4 県すべてで予定されている(IPRC- キガリは設置済み)。いずれの施策も試行段階にあ り、カリキュラムの開発、TOT については、対象がまだ一部の TVET 機関(主として後期 中等教育レベル)に限られている。また、新しい組織であるWDA には十分な政策実施能力 やサービス提供能力が備わっていないことから、TVET システムの構築にはまだ流動的な要 素が多く含まれている。 (2)当該国における TVET セクター・ルワンダの開発政策と本事業の位置づけ ルワンダ政府の国家開発計画“EDPRS 2008-2012”では持続可能な経済成長と社会開発を 目標に、3 つの基幹プログラムのひとつとして「雇用と輸出に向けた成長プログラム」を掲 げている。同プログラムの一環として人材育成の強化がめざされており、教育セクターにお いては9 年間の基礎教育の拡充率と質の向上、高等教育の質の向上と並び、TVET 教育への アクセス拡張及び質の向上が優先事項となっている。特に経済成長の観点から、市場のニー ズにあった労働力の供給におけるTVET の役割が重視されており、中央レベルで TVET シス テムの強化を行いつつ、成果主義アプローチ、卒業生のフォローアップ支援メカニズムの構 築、就職斡旋、起業の促進、インフォーマルセクターと貧困者のニーズに合ったプログラム の提供に力を入れるとしている。なお、2012 年 10 月現在、次期“EDPRS”の策定が進んで おり、4 つの主題のうちのひとつとして「生産性と若年雇用」が設定されており、経済成長 の継続と貧困削減のため、生産性の高い労働力の育成が求められている。 教育セクターにおける基幹政策である“ESSP 2010-2015”においては、ポスト基礎教育分 野(後期中等教育、教員教育、TVET、高等教育)の目標として、教育サービスへのアクセ スの改善と労働市場のニーズを満たす技能の習得を掲げている。ポスト基礎教育分野全般に おける優先分野として、1)労働の現場とのリンクの強化による技能の向上、2)中央レベル の関係機関の調整、3)教育・TVET 機関のモニタリング、4)民間セクター、WDA、教育・ TVET 機関との間のリンクの強化、によるセクター運営の改善が挙げられている。TVET 分 野では、教育サービスへのアクセスの拡張を進めつつ、質の強化、IPRC の設置や資格枠組 みの構築によるシステムの合理化、教員の教授能力の強化、教員・学生の現場への参加によ る最新技能教育の確保、学校運営の強化などに取り組むこととされている。また、2012 年 10 月現在、次期 EDPRS の策定に伴い、ESSP の改定作業も進行中である。基本的には現行 11  職業能力開発を取り扱う高等教育機関を指す。

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ESSP を受け継ぎつつ、TVET の強化が打ち出される見込みである。 上記政策におけるTVET 強化の方針を受け、2008 年には TVET 政策が策定された。同政 策では、1)TVET 活動における助言、計画、調整、モニタリング、評価が確実に行われる こと、2)企業のニーズと国際基準にマッチした理論と実践のトレーニングを全セクターに て提供すること、3)産業セクターの労働力ニーズを満たすこと、4)卒業生に職業に必要 な技能を習得させること、5)職業倫理とプロフェッショナル精神を育成すること、を目標 としている。それらの目標を達成するための優先分野は、TVET システムの構築、TVET プ ログラムへのアクセスの改善、TVET プログラムの質の改善、TVET 教員の質の向上、TVET プログラムへの持続可能な資金供給の確保、の5 つとされている。 本事業は、上記の枠組みのなかで、TVET 機関のひとつである TCT を強化し、TCT を通 じ、TVET 機関のモデルとなるようなアプローチをルワンダ政府に対して提供していくこ とをめざすものである。前述のとおり、ルワンダはTVET 政策の整備を着実に進めており、 TVET 教育へのアクセスについても大幅な改善が確認されているが、各 TVET 校における政 策実施・反映段階において具体的な方策が提示できておらず、結果として産業人材の不足 が深刻な課題となっている。かかる状況のなか、本事業では、特に教員の能力強化、学校 運営能力の強化に焦点を絞ってTCT 強化のための更なる仕組みづくりを行いつつ、TCT で グッド・プラクティスを生み出し、ルワンダ政府のめざすTVET の質の改善をめざす。2007 年より実施した前フェーズでは、TCT の学校運営基盤の構築、コース運営サイクルの確立、 教職員の基礎能力強化、産業界とのリンクの構築の点で一定の成果が上がっており、TVET セクター全般の改善に役立つ経験の発信も一部実施されている。ルワンダ政府のTVET 政策 改善のためのグッド・プラクティス12を提供し得る能力と経験を有するTCT を対象とした今 次事業は、極めて有用な効果が期待できる。 (3) 技術・職業教育・訓練(TVET)セクター・ルワンダ地域に対するわが国及び JICA の援助 方針と実績 わが国の「対ルワンダ共和国国別援助方針(2012 年 4 月)」において、「成長を支える人 材育成(科学技術教育・訓練)」は重点分野のひとつに位置づけられ、教育の質の向上や産 学連携強化を支援することが方針とされている。 これを受けJICA は「科学技術教育・訓練プログラム」の下、本事業の先行案件にあたる 「トゥンバ高等技術専門学校強化支援プロジェクト(前フェーズ)」「TVET セクター産業連携」 「国家ICT 戦略・計画 実施支援アドバイザー」等の技術協力を通じ、産学連携のモデル構築・ 普及や産業開発に資する科学技術人材の育成・輩出機能の強化を図っており、本事業は同プ ログラムの推進に貢献するものである。 (4)他の援助機関の対応 制度・政策レベルでは、ドイツ、ベルギー、オランダがWDA の強化、TVET の各種シス テムの構築を支援している。ドイツは、「経済・雇用促進プログラム」の一環として、TVET セクターにおけるキャパシティ向上のため、世界銀行ほかのドナーと技術支援ファンドを設 12  WDA が TVET 政策策定・改善のために参考とする、TCT による実践経験により生み出された優良事例。

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置し、現在、WDA のキャパシティ向上に係るニーズ分析を実施しているほか、Competency Based Training(CBT)13シ ス テ ム の 導 入 を 支 援 し て い る。 ベ ル ギ ー は 職 能 に 基 づ い た カ リ キュラム開発、オランダはTVET 資格枠組みの構築などを支援している。また、3 者とも、 TVET の TOT システム構築のための協力を行っている。

上記他援助機関の支援は、いずれも政策整備及び行政能力強化に係る支援に特化している ところ、本事業は、TVET 校のひとつである TCT と TVET セクター所管機関である WDA の 双方に軸足を置き、政策の「実施段階」における課題の把握及び改善策の提案、実施支援を とおし、TVET セクター全体の質向上に貢献するものである。なお、TVET セクターにおい ては、MINEDUC とドナーが参加して行われるセクターワーキンググループ会合において、 主要政策の実施状況のモニタリングや予算のモニタリングが行われている。他方、各ドナー 間における情報共有や連携強化については統一的な枠組みはなく、今後WDA による調整が 必要である。 上記のほか、上述のIPRC(各県に設置予定)の強化支援をベルギー(南部県)、韓国(キ ガリ)、中国(北部県及び南部県、建設のみ)、世界銀行(東部県及び西部県)が実施中ある いは実施予定である。 3-3 事業概要 (1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む) 本事業は、TCT において、教員及び学校運営の継続的な強化・改善システムを構築し、ま た、TCT のグッド・プラクティスをルワンダ政府と共有し、他 TVET 機関への普及支援をす ることにより、TCT のモデル14機関化を図り、もって他TVET 機関のグッド・プラクティス 実践に寄与するものである。さらに、これらの実現により、TVET セクター全体の質の改善 が見込まれる。 (2)プロジェクトサイト/対象地域名 北部県トゥンバ(TCT 所在地)及び首都キガリ(TCT 分校所在地)ほか3)本事業の受益者(ターゲットグループ) TCT 教職員 120 人、TCT 学生 2,100 人、外部者向けコースの学生 2,300 人 (4)事業スケジュール(協力期間) 2013 年 1 月~ 2017 年 12 月(計 60 カ月) (5)総事業費(日本側) 6 億 8,000 万円 13  産業界が主体となり訓練参加者が習得すべき職務遂行能力(コンピテンシー)や技術標準(コンピテンシー・スタンダード)を 可能な限り具体的に設定し、それらに国家が認証を与える。国家より公認を受けた訓練機関がこれらの基準に基づいて、できる だけ実践的な方法によって訓練を行うというアプローチ。 14  3-4(1)4)プロジェクト実施上の留意点に本プロジェクトにおける「モデル」の定義を記載。

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6)相手国側実施機関 TCT、MINEDUC WDA (7)投入(インプット) 1) 日本側 専門家派遣(約150 人 / 月) 〔 総 括、 副 総 括、PU 運営、 情報技術(Information Technology:IT)、ET、AE、 学校運営、 評価サイクル、技術教育政策、機材計画ほか〕 研修員受入(詳細未定) 機材供与(PU 活動に必要な機材。詳細未定) 第三国専門家派遣 第三国研修 在外事業強化費(セミナー/ ワークショップ開催等) 2) ルワンダ側 C/P 配置 プロジェクトオフィス提供 施設・機材整備、メンテナンス費用 教職員給与・手当 学校運営経費 (8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発 1) 環境社会配慮 ① カテゴリ分類: C カテゴリ分類の根拠: 本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010 年公布)に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該 当せず、環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため。 2) ジェンダー・平等推進/平和構築・貧困削減 ・ 特になし。 (9)関連する援助活動 1) わが国の援助活動 ・ トゥンバ高等技術専門学校強化支援プロジェクト(前フェーズ)(2007 年 7 月~ 2012 年6 月):TCT の設立から、実践的な高等技術者育成コース提供機関となるまでを支 援した。本事業では、同プロジェクトの成果をベースに、TCT を更に強化し、政策レ ベルへのインプットができる機関とすることをめざす。 ・ TVET セ ク タ ー 産 業 連 携 専 門 家(2010 年 9 月 ~ 2012 年 3 月 ):WDA に 配 置 さ れ、 TVET 機関による企業実習実施体制の整備支援の一環として、TCT の企業実習に関す る経験の他TVET 機関との共有を支援した。企業実習に関する知見は、本事業におい てもTCT のグッド・プラクティスの一事例と位置づけ、当該専門家の活動実績を生 かし、引き続きWDA 及び他 TVET 校への共有を図る。

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・ TVET 機関における産業連携促進アドバイザー(実施時期未定):WDA の能力強化、 及びTVET 機関と産業界の連携強化を目的とした個別専門家の派遣が予定されてい る。同アドバイザーの活動によって、本事業の成果に基づくWDA への政策提言が見 込まれ、ボトムアップ、トップダウンの双方向からTVET セクター全体の課題に取り 組むことが可能となる。 2) 他ドナー等の援助活動 ・ 直接的な連携活動はなし。 3-4 協力の枠組み (1)協力概要 1) 上位目標 ルワンダ国内の各TVET 機関において TCT のグッド・プラクティスが実践される。 2) プロジェクト目標 TCT が TVET セクター改善のための有効なアプローチをルワンダ政府に提供するモデル 機関となる。 [指標] 1. TCT のグッド・プラクティスの普及が WDA の活動計画に記載される。 2. TCT の学生の卒業 1 年後の就職率が 80%を超える。 3. 雇用者の TCT 卒業生に対する雇用1年後の満足度が 85%を超える。 3) 成果及び活動 成果1: TCT において実践的技術教育を提供するための継続的能力向上システムが構築さ れる。 [指標] 1-1. PU15 運営管理ガイドラインが作成され、同ガイドラインに準拠した活動が実施さ れる。 1-2. TCT の教職員の PU 活動参加経験者数が、プロジェクト終了時までに全体の 80%以 上となる。 1-3. PU が年間 6 個以上の活動プロポーザルを採択し、実施する。 1-4. 教員の担当学科における知識・技術力が向上する。 [活動] 1-1. PU の活動計画を作成する。 1-2. PU 運営管理ガイドラインを策定する。 1-3. PU 活動に係るニーズ調査を実施する。 1-4. PU 活動を実施する。 1-5. PU 活動に応じた技術研修を実施する。 1-6. PU 活動結果のレビューを行う。 15  PU とは、TCT 内に設置され、実践的な技術教育の提供をめざし、教員の実践能力と経験を強化するために技術の実践活動(製 品開発・普及、受託研究・調査、コンサルティング業務、外部向け研修の実施等)を行うユニット。

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成果2:TCT において学校運営管理改善メカニズムが構築される。 [指標] 2-1. 学校運営に係る PDCA サイクルが実践される。 2-2. TCT 教職員の学校運営に対する満足度が向上する。 [活動] 2-1. 学校運営計画を策定する。 2-2. TCT の現状を反映したモニタリングシステムを構築する。 2-3. モニタリングを実施する。 2-4. 課題を抽出する。 2-5. 抽出された課題を TCT 教職員と共有する。 2-6. 課題の要因及び改善策について TCT 教職員間で協議する。 2-7. 改善策を実施する。 2-8. 上記 2-3 ~ 2-7 の活動を繰り返し実施する。 2-9. TCT の学校運営に関する内部満足度調査を実施する。 成果3: WDA と TCT が TVET セクター改善のために有益なグッド・プラクティスを共有 する。 [指標] 3-1. WDA と TCT の間でグッド・プラクティスを共有する会議が定期的に開催される。 3-2. TCT によるグッド・プラクティスの他 TVET 機関への発信が WDA の活動計画に含 まれる。 3-3. グッド・プラクティスを他 TVET 機関に普及するための WDA と TCT の共同イベ ントがプロジェクト期間中5 回以上開催される。 [活動] 3-1. WDA と TCT が TVET セクターの質改善における課題を特定する。 3-2. TCT が定期的に活動のレビューを行う。 3-3. WDA と TCT が TCT のグッド・プラクティスと教訓をまとめる。 3-4. グッド・プラクティスの普及に係る WDA の活動を TCT が支援する。 4)プロジェクト実施上の留意点 ①モデルの定義:ルワンダ国内のTVET 機関は、教育内容が前期中等教育から高等教育 (大学等)まで多岐のレベルにわたっており、取り扱う技術的内容も異なるため、TCT の体制をそのまま他TVET 校の手本とすることは適当ではなく、WDA が TCT での実践 経験を基にグッド・プラクティスを抽出し、TVET セクター全体の課題を把握したうえ で、他校に普及すべき内容を選定する必要がある。よって、本事業においては、プロ ジェクト目標に示すとおり、ルワンダ国内TVET セクターを改善するために有効なア プローチや教訓をルワンダ政府に対し提供すること、更にWDA により抽出されたグッ ド・プラクティスの普及を技術的側面から支援することを、「モデル機関」としての TCT の役割として定義する。

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WDA の役割:WDA は先行プロジェクト開始後に設立されており、プロジェクトへの かかわりは非常に限定されていた。本事業では、TCT が中心的実施機関であるものの、 WDA も実施機関のひとつと位置づけ、上記成果 3 に関する活動に参加する。 ③上位目標の指標:本事業は、プロジェクト期間内に、TCT がグッド・プラクティスを 発信し、それらがWDA の活動に反映されることを目標としており、それによって、上 位目標である「TCT のグッド・プラクティスの他の TVET 機関への適用」につながる ことが期待できる。しかし、そのためには、グッド・プラクティスの発信、政策化だ けでなく、他のTVET 機関による実践を WDA が支援していくことが必要である。現在 WDA では民間企業等との連携に係る戦略枠組み(Partnership Strategy Framework)を策 定中であり、グッド・プラクティス普及のための具体的アプローチが未確定であると ころ、プロジェクト開始当初には上位目標の指標は設定せず、今後政策方針が確定し た段階で、ルワンダ側と協議の下適切な指標を設定する。 (2)その他インパクト ルワンダ国内の他TVET 機関において TCT のグッド・プラクティスが実践されることに より、TVET セクター全体の質改善が見込まれ、質の高い技術者やエンジニアの育成が促進 される。 また、本事業の下で行うPU 活動では、TCT の周辺地域コミュニティを対象とした活動も 実施することから、地域住民も裨益することが見込まれる。 3-5 前提条件・外部条件 (リスク・コントロール) (1)事業実施のための前提条件 PU が設立される(ユニット責任者の任命、オフィス設備の整備)。 (2)成果達成のための外部条件 TVET 政策がプロジェクト期間中継続される。 (3)プロジェクト目標達成のための外部条件 なし。 (4)上位目標達成のための外部条件 ルワンダ政府が継続して他TVET 機関によるグッド・プラクティスの導入を支援する。 3-6 評価結果 本事業は、ルワンダの開発政策、開発ニーズ、日本の援助政策と十分に合致しており、また計 画の適切性が認められることから、実施の意義は高い。 3-7 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 前フェーズの終了時評価及び事業完了報告書において出された教訓のうち、以下を本事業に反

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映する。

・ 先行プロジェクトでは、産業界との連携強化に係る活動は、カリキュラム内容への産業界 のニーズ反映、学生の就業体験の機会提供、卒業生の就職チャンス拡大などの多くの効果 を生んだ。各種の連携活動は他TVET 機関が活用できるグッド・プラクティスとなってお り、一部はWDA による他 TVET 機関への普及も行われている。本事業においては WDA によるそれらのグッド・プラクティスの普及を促進していく。 ・ 先行プロジェクトでは、産業界及びNGO、政府機関からの依頼による個別事業(外部向 けIT コースの実施、TOT 研修の実施、ロボコン開催に係る技術セミナーの実施、外部受 託調査等)の実施が教員の技術力向上に貢献した。本事業においては、そのような技術の 実践活動をPU という形で制度化し、教員の技術力の継続的向上を図る。 加えて、本案件における活動のひとつであるPU の設置・運営については、インドネシア「ガ ジャマ ダ大学産学地連携総合計画プロジェクト」(2006 年 4 月~ 2009 年 3 月)において導き出 された教訓を踏まえ、以下の点に留意し活動を実施する。 ・ 上述プロジェクトでは、同大学内での産学地連携強化をめざした活動が実施されたが、学 外との窓口が複数混在し、産学地連携を一元的に実施する部局が存在しなかったため、産 学地連携を大学組織全体として実施することが困難であったとの報告がなされている。こ れを踏まえ、本事業においては、TCT 学内における PU の位置づけを明確にし、同ユニッ トの組織力強化に取り組む。加えて、PU 活動の計画、調整、促進といった一連の活動を 日常的に行う人材の育成を行う。 ・ さらに、上述プロジェクトにおいては、大学教員が産学地連携に参加するインセンティブ を提供できなかったため、より広範な研究者を参加させるための措置検討が課題とされて いた。本事業では、TCT 教員が PU 活動に参加するインセンティブを与えられるよう、PU の運営体制を整備する。 3-8 今後の評価計画 (1)今後の評価に用いる主な指標 3-4(1)のとおり。 (2)今後の評価計画 事業中間時点 中間レビュー 事業終了6 カ月前 終了時評価 事業終了3 年後 事後評価

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第4章 評価5項目による評価結果

本調査において収集した情報を分析し、その結果を基に評価5 項目の基準に沿ってプロジェク ト案の事前評価を実施した。本章では項目別の評価結果を詳述する。 4-1 妥当性 本プロジェクトは、以下の観点から妥当性が高いと判断される。 (1)ニーズとの整合性 ルワンダ政府は科学技術分野の人材育成に力を入れているが、1994 年の内戦・ジェノサ イドの影響もあり、特に技術者の不足が深刻となっている16。政府は、それらの人材の育成 を担うTVET の役割を非常に重視しているが、産業界のニーズに合った実践力をもつ人材の 輩出につながっていない。 TVET セクターにおける課題は、制度面、組織面、関係者の能力面にわたる。制度面、組 織面では、政策レベルにおける人員不足、産業界との連携の不足、セクター内の関係省庁や TVET 機関の調整メカニズムの不備、TVET 機関のモニタリングシステムの不備、予算不足 による訓練機材の不足や教員の低報酬の問題、低報酬に起因する教員の意欲不足、最新のカ リキュラムの欠如、実践技術のテストの場の不足、TVET 機関の運営能力不足などが指摘さ れている17。技術面では、教員の実践力及び教授力の低さなどがTVET の質の向上の障害と なっている18。社会全般の技術力軽視の傾向も指摘されている19。 上記の課題を受け、ルワンダ政府は2008 年 4 月に TVET 政策を策定し、同政策に基づい てTVET 関連活動を調整する機関として 2009 年に WDA を設立した。WDA を中心に、各種 の施策が実施されているが、まだ試行段階にあり、WDA にはまだ十分な実施能力が備わっ ていないことから、これまでのところ成果は限定的である。本プロジェクトでは、前フェー ズにて効果的なTVET 機関に成長した TCT を更に強化する仕組みづくりを通じ、TVET 機 関の強化に役立つグッド・プラクティスを生み出すこと、それらのグッド・プラクティス がTVET 政策の実施、精緻化に生かされるような流れをつくることを目的としている。前 フェーズを通じ課題として残った、教員の継続的な能力強化及び学校運営改善のためのメ カニズム構築に焦点をあて、それらを中心にTVET 機関の課題対処に関するグッド・プラク ティスを発信することにより、TVET セクターの課題の解決に貢献することを狙うものであ る。 (2)ルワンダの政策との整合性 ルワンダ政府の国家開発計画である“EDPRS 2008-2012”は、経済成長のため人材育成の 強化を非常に重視している。特に、9 年間の基礎教育のカバー率の向上、高等教育の質の改 善とともに、市場のニーズにあった労働力輩出を担うものとしてTVET の強化を優先事項と 16  TVET Policy。 17  TVET Policy、EDPRS、ESSP。 18  同書。 19  TVET policy。

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している。 EDPRS に基づき、教育セクターにおける基幹政策である“ESSP 2010-2015”においても TVET を含むポスト基礎教育分野の強化を通じ、労働市場のニーズを満たす技能をもった人 材の育成をめざしている。TVET セクターでは、拡張を進めつつ、質の強化、IPRC の設立、 セクターの各種システムの合理化、教員の能力強化、最新技能教育の確保、学校運営の強化 などに取り組むこととされている。また、TVET 強化の方針を受けて 2008 年に策定された TVET 政策では、TVET 活動の監督を行いつつ、ニーズにあった技能教育を実現することを 目標に、システムの構築、プログラムへのアクセス改善、プログラムの質の改善、教員の質 の向上、持続可能な資金供給の確保、に優先的に取り組むとしている。 本プロジェクトでは、特に技能の実践経験を通じた教員の能力強化、学校運営能力の強化 に焦点を絞ってTCT の更なる強化のための仕組みづくりを行いつつ、グッド・プラクティ スを生み出し、ルワンダ政府のめざすTVET の質の改善のため政策レベルへのインプットを 行うものであり、同政府政策との整合性は非常に高い。 (3)わが国援助政策との整合性 わが国は、2012 年 4 月策定の「対ルワンダ国別援助方針」において、持続的成長(中所 得国家への転換)の促進を目標に、成長を支える人材育成(科学技術教育・訓練)を支援重 点分野のひとつに特定している。特に、科学技術教育・訓練の強化のため、教育の質向上に 向けた取り組みや産学連携への取り組みを支援することとしている。本プロジェクトによる TCT の強化と政策へのインプットは同方針に沿うものであり、「国別事業展開計画」におい て特定されている「科学技術教育・訓練プログラム」の一部に位置づけられている。同プロ グラムでは中等教育分野と産業技術教育分野の2 分野を対象に、後者においては、「トゥン バ高等技術教育専門学校強化支援プロジェクト(前フェーズ)」「国家ICT 戦略・計画実施支 援アドバイザー」「TVET セクター産業連携」などの技術協力が実施されている。本プロジェ クトは、それらの協力の成果を土台に、あるいはそれらの協力と連携しつつ、科学技術分野 における人材育成体制の強化を図るものである。

ま た、 本 プ ロ ジ ェ ク ト は、 第4 回 ア フ リ カ 開 発 会 議(Tokyo International Conference on African Development:TICAD IV)の横浜行動計画(2008 年 5 月)に基づいた支援の一環として、 同計画に明記された技術教育・職業訓練機関の拡充による人材育成の促進の一端を担うもの である。 (4)協力アプローチの適切性 本プロジェクトの主たる実施機関であるTCT は、前フェーズにおいて効果的な技術教育 提供機関となり、産学連携や卒業生追跡調査、雇用主満足度調査、就職支援など、他TVET 機関の参考となるグッド・プラクティスを生み出しており、産学連携の一例である企業実 習においてはWDA を通じて TCT のアプローチの他 TVET 機関への普及が試みられた。本 フェーズは、それら成果にかんがみ、TCT によるそのようなグッド・プラクティスの更な る発信に加え、WDA の関与を強めてそれらの普及を支援する。 一方、前フェーズでは、学校運営能力、教員の能力の更なる強化の必要性が指摘されてお

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り20、本フェーズはそれら課題に重点的に取り組む。後者に関しては、前フェーズで外部か らの依頼による事業〔情報通信技術(Information and Communication Technology:ICT)研修や バイオマス、バイオガスに関するコンサルティング業務、ブリケット製造、改良かまど製造 等〕やコミュニティ支援事業(コンピュータ修理、バイオガス・プラント設置等)が教員の 技術力向上に貢献したことから、そのような技術実践活動をPU という形で制度化し、教員 の技術力の継続的向上を図る。 上述のように本プロジェクトは前フェーズの成果、課題認識を土台としたデザインとなっ ており、効果的な支援が期待できる。 4-2 有効性 本プロジェクトは、以下の理由から有効性が高いと見込まれる。 (1)プロジェクトデザインの戦略性 本プロジェクトは、協力内容が、実践的技術教育に必要な継続的能力向上システムの構 築(成果1)、学校運営改善メカニズムの構築(成果 2)、WDA とのグッド・プラクティスの 共有(成果3)に限定されているが、前フェーズにおける TVET 機関としての基盤整備、教 職員の能力強化といった成果を土台に、焦点をあてるべき内容が明確化された結果である。 成果1、2 では、前フェーズで確認された課題にかんがみ、教員の実践能力の強化、学校運 営の改善に焦点を絞ってTCT の更なる強化をめざし、更にモデル機関となるために必要な TCT と政策レベルとの関係強化に成果 3 で取り組む構成になっている。 また、本プロジェクトは、キャパシティ・ディベロップメントの観点からも効果的な戦略 となっている。プロジェクト目標(TVET セクター改善に有効なアプローチを提供するモデ ル機関になる)を達成するためには、組織能力の強化及び政策レベルとの連携が必要であ る。本プロジェクトでは、前フェーズで学校基盤の構築や個々人の能力向上が達成されたこ とを踏まえ、支援の主軸を組織強化に移し、TCT の自己改善・発展のための仕組み構築を 行う。さらには、政策実施機関であるWDA との関係強化により、将来的な政策・制度改善 への貢献をめざす。 (2)阻害要因の排除 前フェーズの終了時評価にて実施プロセスにおける幾つかの問題点が確認されたが、現在 までに主要な問題は解消、あるいはそのめどが立っている。最大の懸念材料であった教員の 離職については、TCT の立地条件の悪さと給与水準の低さが主たる原因であったが、前者 についてはアクセス道の改善工事に向けたプロセスが進行中である。後者についてもルワン ダ政府により給与体系の改定が行われ、現在のTCT 教員の給与は、給与水準の特に良い公 的機関とさほど変わらなくなっている21。また、副校長の配置によるトップ・マネジメント の強化が前フェーズ開始当初から進言されてきたが、現在、副校長の任命は閣議決定を待つ 段階となっている。さらに、各学科を統括する学部長も本詳細計画策定調査中に任命され、 20  終了時評価報告書、業務完了報告書。 21  TCT 関係者インタビュー。

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トップ・マネジメントをサポートする体制が強化された。このような阻害要因の排除はプロ ジェクト目標達成を大きく促進するものである。

3)WDA の関与の強化

WDA は前フェーズ開始後に設立された機関であり、TVET 機関のなかでも後期中等教育 レベルである工業高校(Technical Secondary School:TSS)と前期中等教育レベルの職業訓 練センター(Vocational Training Center:VTC)を中心に管轄してきたことから、前フェーズ への関与は非常に限られていた。しかし、本フェーズではTCT のグッド・プラクティスを TVET セクターの改善に役立てることをひとつの狙いとしていることから、WDA が TCT の 経験を抽出し、普及することが求められる。そこで、WDA を実施機関のひとつと位置づけ、 局長を本プロジェクトのダイレクターとし、また、一部の活動はWDA が TCT とともに行 うこととなっている。「TCT がセクター改善のための効果的なアプローチを提供するモデル TVET 機関となる」という目標の達成のためには、TCT の強化だけでなく、TCT の提供する アプローチを受け入れる側との関係強化が不可欠であることから、WDA を実施機関のひと つとしたことは、プロジェクト目標達成の見込みを高めるものであるといえる。 4-3 効率性 プロジェクトの活動は以下のとおり効率的な設計となっており、投入の内容も適切であること から、効率的な実施が見込まれる。 (1)効率的な活動実施を可能にする設計 本プロジェクトの成果のうち成果1(継続的能力向上システム構築)及び成果 2(学校運 営管理改善メカニズム構築)においては、計画・実施・レビューあるいは課題分析・対応策 検討・実施・評価のサイクル(PDCA サイクル)を毎年度繰り返すことにより効果的なシス テム、メカニズムの構築をめざす明確な活動ステップとなっている。 また、成果1 については、PU という新しい体制を TCT に組み入れる予定であるが、ガイ ドラインの策定や年間計画の作成を入念に行い、前フェーズで一部の教員より不満の挙げら れたプロジェクト活動のタイミングについて事前の協議を行い、円滑な活動の実施を確保す る予定である22。さらに、組織内でのPU 設置をプロジェクト活動開始前に TCT が行うこと でルワンダ側と合意し、本詳細計画策定調査中にユニットの責任者が任命された。ユニット の事前設置により、プロジェクト開始後、速やかにアクション・プラン、ガイドラインの作 成に入ることが可能となっている。 (2)適切な投入内容 前フェーズでは、TCT の基盤構築からスタートしたため、TCT のコースに必要なさまざ まな機材が供与された。本フェーズでは、機材の投入はPU 活動に必要なものを中心とす る予定である。また、前フェーズで適当な日本人専門家の確保が難しい分野については、 22  教員から授業やその準備で多忙であるという声が出ていることから、増員についても議論されている(前フェーズ専門 家インタビュー)。ただし、授業時間は政府の規定の時間を下回っているようであり、また、担当教科によって多忙さは 大きく異なるようである(TCT 管理・人事課長、教員インタビュー)。

参照

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