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要旨旋毛虫ヒト : 2014 年に EU で 319 例の確認された旋毛虫症例が報告された EU における届出は 人口 10 万当り 0.07 であり 2013 年と比較して 40% 増加し 2010 年以降に報告された最高の届出率だった ルーマニアの届出率が最も高く ブルガリアがそれに続いた 旋毛

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旋毛虫(Trichinella)

(仮訳)鹿児島大学 岡本嘉六 ECDC:旋毛虫症(Trichinellosis) 旋毛虫症は旋毛虫によって引き起こされる人獣共通感染症である。この病気 は世界中で発生している。多くの動物が保有宿主となり得るが、一般的に、ヒ ト感染症例の原因となるのは豚と馬である。ヨーロッパにおいては、イノシシ も関与している。 寄生された動物は筋肉中に被嚢幼虫を宿し、生または加熱不十分な肉製品の 喫食が病気につながり得る。典型的には、約24~48 時間の潜伏期間の後幼虫が 腸管に侵入するため発熱と消化管症状がある。その後、感染してから約1 週間 すると幼虫が筋肉へ侵入を開始し、筋肉痛と発熱を特徴とする。最後に、急性 症状はなくなるが、筋肉の問題は、解決に長期間を要する。摂取した幼虫の数 に応じて、無症状から非常に深刻なまたは致命的症状(腸や内臓への多数の侵 入)まで変化する。有効な治療がある。 旋毛虫症の予防は、全ての豚や馬の正確な検査に基づいており、EU におい て法的義務となっている。輸入および野生動物の肉はリスク高く、加熱が不十 分または生の状態で喫食してはならない。 旋毛虫症は欧州において古くから知られる重要疾病の一つであり、ECDC の特集ページには多くのデータが掲載されている。下記の年齢別分布では、15 歳から64 歳の生産人口において人口 10 万当り 1.0 を超えている。 2009 年に報告した加盟国における人口 10 万当りの確認されたヒト旋毛虫症の 年齢別分布 訳注:旋毛虫は筋肉などに寄生した幼虫を食べることによって感染し、糞便 中に排出されることがなく、専ら捕食関係で広がる特殊な寄生虫である。日本 では青森県と三重県で狩りによるクマを生で食べて感染した事例が2 件あるが、 豚などの家畜に寄生していない。欧米諸国では輸入肉が高度に汚染していたこ とにより、貿易制限に発展した過去がある。次の岡本の解説を読んでください。 共生と競争の生物界(15)旋毛虫(2004/9/8) 共生と競争の生物界(16)旋毛虫対策(2004/10/4)

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- 2 - 要旨 旋毛虫 ヒト: 2014 年に EU で 319 例の確認された旋毛虫症例が報告された。EU における届出は、人口10 万当り 0.07 であり、2013 年と比較して 40%増加し、 2010 年以降に報告された最高の届出率だった。ルーマニアの届出率が最も高く、 ブルガリアがそれに続いた。旋毛虫症の時系列は、1 月にしばしばピークを持つ 大小の発生の数に大きく影響された。2014 年に 2 名の死亡が報告された。 図1.EU における確認されたヒトの人獣共通感染症の報告数と届出率、2014 (註:図のマイナーのものを抜き出した) 表1 EU における人獣共通感染症の確認ヒト症例の報告された入院と致命率、 2014 年 エキノコックス症 Q 熱 旋毛虫症 狂犬病 届出ヒト症例数 801 777 480 3 入院 病状が確認できる割合 24.0% NA 47.1 NA 報告した加盟国数 14 NA 8 NA 報告された入院症例数 122 NA 92 NA 入院割合 63.5% NA 40.7% NA 死亡 転帰が確認できる割合 24.6% 51.2% 49.0% 66.6 報告した加盟国数 12 11 9 3 報告された死亡数 1 1 0 2 致命率 0.51% 0.26 0 100 NA:情報が入手できなかった

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- 3 - 図 2: EU における原因病原体別の全ての食品媒介性疾患の発生分布 2014 寄生虫には主に旋毛虫が含まれるが、ジアルジアとアニサキスも含んでいる。 動物: 加盟国の10 ヶ国が家畜(豚と飼育された野生イノシシ)における 陽性例を報告した。検査した191,332,813 頭の豚の内 204 頭(0.0001%)が陽 性と報告され、それらの大半はルーマニアでみつかり、管理された畜舎条件下 で飼育されていなかった。検査した41,244 頭の飼育された野生イノシシの内、 3 加盟国が非常に低率で陽性例を報告した。EU で検査された 198,665 頭の単蹄 動物から陽性例は報告されなかった。 狩猟による野生イノシシの0.12%は検査で陽性となり、その大半は東部の EU 加盟国だった。イノシシ以外の野生動物からの旋毛虫陽性の報告のほとんど は、東部と北東部のEU 加盟国からであり、様々な 27 動物種であった。過去数 年間を通して、陽性サンプルの割合が最も高かったのはタヌキであり、クマが それに続いた。旋毛虫は、15 の加盟国が報告したように、ヨーロッパの大部分 で見つかっている。 2.材料と方法 2.3. データの地図作成とその他の表現 2.3.1. 動物のデータ 経済社会研究所(ESRI)のArcGIS が動物データの地図作成に利用された。 EU および報告したその他の国における陽性サンプルの割合を地図に示すため に値の連続的な変化を濃淡の色彩で示すChoropleth マップが使われた。 報告されたサルモネラ血清型別分離株のSankey ダイアグラムは、データ可 視化のweb サイトを使用して製作された。

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- 4 - リッサウイルスおよびウエストナイルウイルスについては、割合よりも陽性 サンプル数を相応の円で示し、野生動物の旋毛虫については簡単な存在の有無 を地図に示した。 病気に関する資格については、法令に規定された各国の公式資格(清浄また は非清浄)を単純な色で示した。 2.4. データの出典 以下の節において、各国から報告されたデータの種類を簡潔に説明した。ヒ トの発生動向調査システムについての情報は、各国からECDC への 2014 年の 報告に基づいている。 2.4.8. 旋毛虫のデータ ヒト: ヒトにおける旋毛感染の届出は、ベルギー、デンマーク、フランス および英国を除く全ての加盟国、アイスランド、ノルウェーおよびスイスでは 義務である。ベルギー、フランスおよび英国は旋毛虫の自主的な発生動向調査 システムを持っており、フランスと英国では全国をカバーしている。デンマー クでは、旋毛虫の発生動向調査システムがない。ヒトにおいて、旋毛感染症の 診断は、臨床症状と血清学的検査(間接酵素抗体法(i-ELISA)と Western blot) に基づいている。筋肉の生検の組織病理検査はあまり行われない。 食品と動物: 食品の旋毛虫は加盟国17 ヶ国とノルウェーにおいて届出を 要する。アイルランドとスイスでは、旋毛虫は届出を要しない。ブルガリア、 クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、ラトビア、リトアニア、ルクセ ンブルク、マルタおよびオランダから情報が提供されなかった。 動物の旋毛虫感染症は、ハンガリーを除く全ての加盟国(クロアチアとマル タからは情報が提供されなかった)とスイスにおいて届出を要する。 と畜される動物の旋毛虫検査規則は、EC 委員会規則 No 2075/2005 によっ て定められている。この規則に従って、全ての豚、豚、飼育イノシシ、馬、野 生イノシシおよびその他の一部の野生動物種は、と殺時に旋毛虫を検査しなけ ればならない。一部の加盟国は、理事会指令77/96/EEC に記載された消化・圧 縮方法を使用した。2014 年に EC 規則 No 2075/2005 を改正する EC 委員会規 則No 216/201418 が発効した。この規則は、報告する飼育豚のデータは、少な くとも、管理された畜舎状態で飼育した動物数、ならびに繁殖している母豚、 イノシシおよび検査された肥育豚に関連する特定の情報を提供しなければなら ないと定めている。さらに、この規則は、無視できるリスクの資格は世界獣疫 局(OIE)による国際的背景の下でもはや認知されなないと定めている。その代 わりに、そのような認識は、特定の管理された畜舎状態を適用する1 つまたは 複数のコンパートメントにも適用される。ベルギーとデンマークは、2011 年以 来そのような資格を保有し、この規則の発効日に管理された畜舎状態を満たし たこの2 加盟国の施設とコンパートメントは、追加の前提条件なしに無視でき るリスクの資格を適用される。 3.査定

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- 5 - 3.8. 旋毛虫 本文の附属文書には、ヒト、食用動物、食品媒介性疾患の発生についての本 節の生産に関する全てのデータの要約へのリンクが含まれている。それには、 顕著な知見がないので本節に含めなかった旋毛虫を要約した図表へのリンクもあ る。要約したデータは、件名が一覧表示され、Excel と PDF ファイルがダウンロー ド可能である。 3.8.1. ヒトにおける旋毛虫 2014 年に、加盟 10 ヶ国によって 383 症例の旋毛虫症が報告され、内 319 症例は確認されている(表21)。15 加盟国は 2014 年にゼロだったと報告した。 2014 年の EU の届出率は人口 10 万当り 0.07 で、2013 年と比較して 40%増加 し、過去5 年間で最も高かった。これは、主にルーマニアとブルガリアの 2 ヶ 国から報告された旋毛虫症例数の増加によるものである。前年と同様に、これ ら2 ヶ国の 2014 年の届出率は最も高かった(それぞれ人口 10 万当り 1.11 と 0.83)。ルーマニアとブルガリアを合わせると、2014 年に EU 全体で報告され た全ての確定症例の 88.1% を占めている。ルーマニアでは、半数以上が 2014 年1 月~2 月に報告された。ブルガリアでは、2014 年に確認された 60 症例の 全てが5 件の発生と関連していた。ベルギーでは、ベルギーでは 2014 年 12 月 に16 症例の大幅な増加が報告された。野生イノシシ肉が感染源と疑われている。 旋毛虫のわずか2 症例が EU の別の国への旅行に関連していた。残りの症例 は国内発生または感染源不明と報告されている。 表 21 EU における 2008~2014 年の確認された旋毛虫症の症例数と罹患率 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 ルーマニア 221/1.11 116/0.58 149/0.74 107/0.54 82/0.41 265/1.31 503/2.46 ブルガリア 60/0.83 36/0.49 30/0.41 27/0.37 14/0.19 407/5.45 67/0.89 リトアニア 5/0.17 6/0.20 28/0.93 29/0.95 77/2.45 20/0.63 31/0.97 ラトビア 5/0.25 11/0.54 41/2.01 50/2.41 9/0.42 9/0.42 4/0.18 スペイン 1/0.00 23/0.05 10/0.02 18/0.04 10/0.02 7/0.02 27/0.06 ポーランド 6/0.02 4/0.01 1/0 10/0.13 14/0.04 18/0.05 4/0.01 スロバキア 0/0 5/0.09 5/0.09 13/0.24 2/0.04 0/0 18/0.34 イタリア - - 33/0.05 6/0.01 0/0 1/0 0/0 ドイツ 1/0 14/0.02 2/0 3/0 3/0 1/0 1/0 スロベニア 0/0 1/0.05 1/0.05 1/0.05 0/0 1/0.05 1/0.05 オーストリア 0/0 0/0 0/0 1/0.01 5/0.06 0/0 0/0 ギリシャ 0/0 0/0 0/0 0/0 4/0.04 2/0.02 0/0 オランダ 0/0 0/0 0/0 1/0.01 0/0 1/0.01 1/0.01 EU 計 319/0.07 217/0.05 301/0.06 268/0.06 223/0.05 750/0.15 670/0.14 一部抜粋、10 名以上を色分け。2014 年は過去 5 年間で最多となっている。 確認された旋毛虫症例報告の傾向は、しばしば1 月にピークを持つ大小の発 生件数によって大幅に影響された(図39)。2009 年初頭の大きなピークは、1 月から3 月のみで 243 症例を報告したルーマニアに起因した。

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- 6 - 図39:EU/EEA における確認されたヒト旋毛虫の月別報告症例の傾向、2008 ~2014 年 出典:オーストリア、キプロス、チェコ、エストニア、フィンランド、フランス、ギリシ ャ、ハンガリー、アイルランド、ラトビア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウ ェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、 英国。ブルガリア、クロアチア、ドイツ、アイスランド、イタリア、リトアニアおよびス ペインは、解析に必要な詳細なデータを報告しなかった。ベルギーとデンマークは、この 病気についての公式の発生動向調査システムを持っていない。 2014 年に確認症例を報告した加盟 10 ヶ国の内 5 ヶ国は、全症例の入院につ いての情報を提供した(EU で報告された全ての確認症例の 74.6%に相当する)。 平均すると、63.0%の症例が入院した。2014 年にルーマニアで旋毛虫による 2 例の死亡が報告された。この情報が報告された239 例の確認症例の中で致死率 は0.84%となる。 3.8.2. 動物における旋毛虫 データの比較可能性: EC 委員会規則 No 2075/2005 によると、旋毛虫感染 に感受性がある飼育豚、馬、野生のイノシシ、その他の飼育または野生の動物 種のと体は、食肉検査工程の一環としてと殺時に系統的にサンプルを採り、旋 毛虫の検査に供さなければならない。自家消費のためと殺される動物(家畜お よび野生動物)はこの規制に含まれないが、各国の規則の対象とされ、当該動 物集団における旋毛虫制御方法(たとえば、検査の実施、凍結の実施)を決定 できるそれぞれの加盟国によって規則は異なる。したがって、自家消費のため と殺される動物は加盟国間での比較可能性がないかもしれない。

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- 7 - 2014 年 6 月 1 日から、EC 委員会規則 No 2075/2005 を改正する EU 委員会 規則No. 216/2014 が発効した。この規則は、飼育豚に関するデータの報告は、 少なくとも、制御下にある畜舎状態で飼育された動物の頭数、ならびに繁殖母 豚、イノシシおよび検査された肥育豚の数に関する特定の情報を提供ししなけ ればならないと定めている。さらに、この規則は、国または地域に対する無視 できるリスクの資格はOIE による国際的背景の下でもはや認知されなないと定 めている。その代わりに、そのような認識は、特定の管理された畜舎状態を適 用する1 つまたは複数の施設のコンパートメントにも適用される。ベルギーと デンマークは、2011 年以来そのような資格を保有し、この規則の発効日に管理 された畜舎状態を満たしたこの2 加盟国の施設とコンパートメントは、追加の 前提条件なしに無視できるリスクの資格を適用される。 EU においてヒトへの感染源となっている最も重要な動物種についての結果 のみが提示されている。 報告されたデータおよび様々な動物種の発生についての詳細な情報は、附属 文書の表に含まれている。 2014 年に 26 の加盟国と非加盟 3 ヶ国が飼育動物(豚、飼育された野生イノ シシ、馬)における旋毛虫の情報を提供し、加盟10 ヶ国が陽性結果を報告した。 加盟9 ヶ国は管理された畜舎状態で飼育した繁殖豚と肥育豚について報告し、 ルーマニアのみが繁殖豚における陽性結果を報告した(検査した10,000 頭以上 で0.02%)。 全体として、管理された畜舎状態で飼育した31,588,613 頭の肥育豚と 466,926 頭の繁殖豚についてのデータが報告され、スウェーデンだけは繁殖動物 (母豚とイノシシ)について分けたデータを報告した。加盟17 ヶ国と非加盟 3 ヶ国は一部の報告データで畜舎状態についての情報が提供されず、それは 94,509,405 頭の動物についてのデータを含んでいた。イタリアとラトビアは、 それぞれ1 例の陽性結果を報告した。 管理された畜舎状態で飼育された豚における旋毛虫の知見、2014(抜粋) 検査数 陽性数 % 種類 ルーマニア 肥育 10,116 2 0.02 T. spiralis 2 イタリア 肥育 26,104 1 <0.01 T. britovi 1 ラトビア 肥育 420,776 1 <0.01 T. britovi 1 計 122,370,000 4 <0.01 T. spiralis 2, T. britovi 2 加盟12 ヶ国は、管理された畜舎状態で飼育されなかった繁殖豚と肥育豚に ついてのデータを報告し、5 ヶ国が陽性結果を報告した。肥育豚について、加盟 5 ヶ国(ルーマニア、クロアチア、ブルガリア、ポーランド、スペイン)は全部 で196 頭の陽性結果を報告し、その内 23 頭は自家消費用の肥育豚で見つかった (クロアチアとスペイン)。ポーランドだけが繁殖動物の陽性結果を報告した。 全部で68,974,068 頭の動物の内 200 頭が検査で陽性であった。スペインとポー ランドがデータの94%を報告した。

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- 8 - 管理された畜舎状態で飼育されなかった豚における旋毛虫の知見、2014 管理された畜舎状態で飼育されなかった豚における旋毛虫の知見、2014(抜粋) 検査数 陽性数 % 種類 ルーマニア 肥育 134,121 141 0.11 T. spiralis 85, T. britovi 21, 未特定 35 ブルガリア 肥育 357 3 0.84 未特定3 ポーランド 繁殖 4 4 100 T. spiralis 4 肥育 21,619,713 15 <0.01 T. spiralis 15 クロアチア 肥育 253,703 20 <0.01 T. spiralis 1, 未特定 19 スペイン 肥育 43,077,324 14 <0.01 未特定14 肥育 45,183 3 <0.01 未特定3 ギリシャ 肥育 4,693 0 0 計 68,974,068 200 <0.01 T. spiralis 105, T. britovi 21, 未特定 74 旋毛虫を検査した全部で191,332,813 頭の豚(繁殖豚、肥育豚、管理された 畜舎状態で飼育されたかまたはされなかった未特定の豚)が加盟国によって報 告され、204 頭(0.0001%)が陽性だった。陽性結果の大半(97.5%)は、ルー マニア(陽性結果の70.1%)、クロアチア、ポーランド、スペインの順から報 告され、陽性例の52.5%はT. spiralis、36.3%は未特定の旋毛虫、11.3%は T. britovi であった。 加盟10 ヶ国は飼育された野生イノシシのデータを報告した。オーストリア は全てのデータの63.6%を報告し、検査した 26,218 頭中 2 頭(0.008%)が陽 性で、1 例はオーストリア産(T. pseudospiralis)もう 1 例はポーランドからの 輸入例(T.spiralis)だった。ブルガリアとルーマニアも、それぞれ、0.73%と 1.53%の陽性結果を報告した。

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- 9 - 飼育された野生イノシシにおける旋毛虫の知見、2014(抜粋) 検査数 陽性数 % 種類 ルーマニア と畜場 5,740 88 1.53 T. spiralis 33, T. britovi 41, 未特定 17 ブルガリア 無作為 819 6 0.73 未特定6 オーストリア と畜場 26,218 2 <0.01 T. spiralis 1, T. pseudospiralis 1 計 41,244 96 0.23 T. spiralis 34, T. pseudospiralis 1, T. britovi 41, 未特定 23

EU で検査された飼育された単蹄動物(主に馬だが、ラバとロバも含まれた) 198,665 頭から陽性例は報告されなかった。 加盟19 ヶ国と非加盟 1 ヶ国は、狩猟で得た野生イノシシのデータを報告し た。加盟12 ヶ国は検査した 884,369 頭の動物の内 1,049 頭の陽性結果を報告し、 EU 全体の陽性率は 0.12%であった(図 40)。陽性動物の大半は、東部の EU 加盟国から報告され、ポーランドが58.3%を占め、スペイン(19.8%)、エスト ニア(7.2%)、ラトビア(7.0%)と続いた。調査結果の大半は、旋毛虫属(64.5%) として報告され、T. spiralis(25.6%)、T. britovi(8.8%)がそれに続いた。 また、T. nativa と T. pseudospiralis も少数見つかった。 狩猟で得た野生イノシシにおける旋毛虫の知見、2014(抜粋) 検査数 陽性数 % 種類 ポーランド 狩り 141,617 611 0.43 T. spiralis 239, 未特定 372 スペイン 無作為 133,336 208 0.16 T. spiralis 16, T. britovi 14, 未特定 178 エストニア 無作為 6,391 76 1.19 T. spiralis 2, T. pseudospiralis 1, T. native 8, T. britovi 62, 未特定 5 ラトビア 狩り 5,579 73 1.31 未特定73 クロアチア 無作為 21,224 50 0.24 T. spiralis 5, 未特定 45 スロバキア 狩り 3,760 2 0.05 T. britovi 2 狩り 11,815 4 0.03 T. britovi 4 ハンガリー 狩り 65,400 8 0.01 T. spiralis 4, 未特定 4 スウェーデン 狩り 70,274 6 <0.01 T. pseudospiralis 2, T. nativa 1, T. britovi 4

イタリア 無作為 16,968 2 0.01 T. britovi 1, 未特定 1 無作為 9,690 2 0.02 未特定2

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図40 2014 における狩猟で得た野生イノシシの旋毛虫の知見

図41 2014 における野生動物(狩猟した野生イノシシを除く)の旋毛虫の知

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- 11 - 18 の加盟国は、狩猟で得た野生イノシシ以外の 27 種の異なる野生動物にお ける旋毛虫のデータを報告し、検査した13,374 頭の動物の内全部で 421 頭 (3.1%)の陽性例を報告した(14 の異なる動物種)。旋毛虫はヨーロッパの広 範な地域の野生動物で見つかり、15 加盟国が陽性結果を報告した。陽性結果の ほとんどは東部と北東部の EU 加盟国からだった(図 41)。 図42 加盟国と非加盟国の野生動物における旋毛虫陽性サンプルの割合、 2005-2014 年 2005 年から 2014 年までに検査した様々な野生動物種の陽性サンプルの割合 は、図42 に示した。この間を通して、陽性率が最も高かったのはタヌキであり、 クマがそれに続いている。2012~2013 年にタヌキの陽性サンプルの割合で観察 された減少は、これらの年に陽性サンプルが含まれていないデンマークからの データ報告のためである。この間を通して、フィンランドは、毎年検査された 報告の1%未満しか報告していなのにもかかわらず、陽性サンプルの大半を報告 してきた。2014 年には、狩猟で得た野生イノシシ以外の野生動物における全て の陽性結果の68.9%をフィンランドが報告し、それらはタヌキ、オオヤマネコ、 キツネが主だった。スイスも少数のオオヤマネコの陽性例を報告した。旋毛虫 は、ネズミ、オオカミ、クズリ、アナグマ、ジャッカル、ミンク、ビーバー、 テン、カワウソおよびフクロウからも報告された。 キツネにおける旋毛虫の知見、2014(抜粋) 検査数 陽性数 % 種類 クロアチア 狩猟 615 7 1.14 T. britovi 7 チェコ 無作為 2891 5 0.17 T. pseudospiralis 1, T. bolitovi 3, 未特定 1

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フィンランド 無作為 190 67 35.26 T. pseudospiralis 3, T. nativa 63, T. bolitovi 8 ハンガリー 狩猟 845 22 2.6 T. spiralis 1, 未特定 21 イタリア 無作為 1845 2 0.11 T. bolitovi 2 無作為 3 1 33.33 未特定 1 無作為 958 1 0.1 T. bolitovi 1 スロバキア 狩猟 191 16 8.38 T. spiralis 1, T. bolitovi 10, 未特定 5 計 10395 121 1.16 T. spiralis 2, T. pseudospiralis 4, T. nativa 63, T. britovi 52, 未特定 7

タヌキにおける旋毛虫の知見、2014(抜粋)

検査数 陽性数 % 種類 デンマーク 無作為 53 0 0

エストニア 狩猟 1 1 100 T. britovi 1

フィンランド 無作為 315 138 43.81 T. britovi 2, T. pseudospiralis 6, T. nativa 127, T. bolitovi 10, 未特定 2 ドイツ 無作為 48 0 0 T. britovi 1

オランダ 無作為 7 1 14.29 T. spiralis 1, ポーランド 無作為 2 0 0

スウェーデン 無作為 17 1 5.88 T. nativa 1

計 443 141 31.83 T. spiralis 3, T. pseudospiralis 6, T. nativa 128, T. britovi 11, 未特定 2

クマにおける旋毛虫の知見、2014(抜粋) 検査数 陽性数 % 種類 クロアチア 狩猟 45 1 2.22 未特定 1 エストニア 無作為 38 3 7.89 T. nativa 2, T. britovi 1 フィンランド 無作為 2 2 100 T. nativa 2 ラトビア 狩猟 1 1 100 未特定 1 ルーマニア 無作為 83 26 31.33 T. spiralis 2, T. britovi 9, 未特定 15 スロバキア 狩猟 8 1 12.5 T. britovi 1 スウェーデン 狩猟 275 1 0.36 T. nativa 1

計 491 35 7.13 T. spiralis 2, T. nativa 5, T. britovi 11, 未特17

その他の野生動物における旋毛虫の知見、2014(抜粋)

検査数 陽性数 % 種類 エストニア ビーバー 34 1 2.94 未特定 1 フィンランド アナグマ 13 3 23.08 T. nativa 3

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- 13 - オオヤマネコ 171 68 39.77 T. pseudospiralis 2, T. nativa 64, T. britovi 1, 未特定 2 テン 6 1 16.67 T. nativa 1 ミンク 15 1 6.67 T. nativa 1 カワウソ 38 1 2.63 T. nativa 1 フクロウ 3 1 33.33 T. pseudospiralis 1 クズリ 3 1 33.33 T. nativa 1 オオカミ 16 7 43.75 T. nativa 5, T. britovi 2 ハンガリー ジャッカル 14 2 14.29 T. spiralis 2 イタリア オオカミ 11 2 18.18 T. britovi 1, 未特定 1 オオカミ 43 3 6.98 T. britovi 3 オオカミ 3 1 33.33 T. britovi 1 オオカミ 26 1 3.85 T. britovi 1 ラトビア オオヤマネコ 1 1 100 未特定 1 ポーランド ネズミ 50 21 42 T. spiralis 21 スウェーデン オオヤマネコ 71 4 5.63 T. nativa 3, 未特定 1 クズリ 25 3 12 T. nativa 3 オオカミ 32 2 6.25 T. nativa 2

計 2045 124 6.06 T. spiralis 23, T. pseudospiralis 3, T. nativa 64, T. britovi 9, 未特定 6

3.8.3. 考察 旋毛虫症はEU/EEA で稀な疾患である。2008 年から 2014 年までの 7 年間 のEU/EEA における傾向は、毎年の病気の発生数と規模によって影響大きくさ れた。EU の届出率は、2014 年に増加し、過去 5 年間で最も多かった。これは、 主にルーマニアとブルガリアの2 ヶ国が最高の届出率だったことにより、報告 された確認症例の88%を占めた。両国とも、届出率が 2014 年には 2013 年の報 告からほぼ倍増した。この増加は、これらの2 ヶ国におけるいくつかの発生に よるものである。平均して、2014 年に確認されたヒト旋毛虫症例のほぼ 80%が 入院し、2 名の死亡例が報告された。 旋毛虫症は、ヨーロッパの大部分で発見され、加盟国の15 ヶ国が 2014 年に 動物の陽性例を報告した。EU において、ほとんどの豚は、EC 規則 No 2075/2005 に従ってと殺時に公的な食肉検査の対象とされており、自家消費用にと殺され る豚のみが規則の対象とならない。 加盟国の内7 ヶ国のみが、豚肉における旋毛虫を 2014 年に報告し、EU の 有病率は0.0001%であった。陽性例は主に、管理された畜舎状態で飼育されな かった豚であった。実際に、ルーマニアは報告された陽性例の70%を占め、そ れらの大半は管理された畜舎状態で飼育されなかった豚であった。EFSA は、 管理されていない畜舎状態が飼育される豚の旋毛虫感染の主要なリスク要因で

(14)

- 14 - あり、適切に管理され公的に認定された管理された畜舎状態の豚における旋毛 虫感染のリスクは無視できるとしている(EFSA, 2011b)。ほとんどのヒトは、 旋毛虫検査を受けなかった豚や野生イノシシの加熱不十分な肉を喫食した際に 感染している。 加盟10 ヶ国は飼育された野生イノシシについてのデータを報告し、その内 2 ヶ国のみが陽性例を報告した。飼育された野生イノシシの有病率は、豚よりも 高く、管理された畜舎状態は野生イノシシの生産にしばしば適用されていない。 単蹄動物の陽性例は2014 年に報告されなかった。 EU 加盟国において、野生動物の旋毛虫は広範に広がっており、旋毛虫は野 生動物、とくに東部と北東部のヨーロッパの加盟国から一般的に報告されてい る。野生動物の陽性例の割合は、野生イノシシを除いて、タヌキが最も高く、 クマがそれに続いた。旋毛虫は、ネズミ、オオカミ、クズリ、アナグマ、ジャ ッカル、ミンク、ビーバー、テン、カワウソおよびフクロウからも報告された。 野生イノシシやアカキツネの増加およびヨーロッパの西部から東部へのタ ヌキの広がりは、野生動物の間で循環する旋毛虫の有病率を高める可能性があ る(Alban et al., 2011)。したがって、加熱が不十分な野生動物の肉を食べる ことのリスクについて、野生狩猟動物を食べるハンターやその他の人々に対し て教育を継続することが重要である。 旋毛虫によって引起された17 件の食品媒介性感染が、加盟 6 ヶ国で報告さ れた。豚肉は、強力な証拠がある15 件の発生の内 11 件を占め、加熱不十分な 肉や旋毛虫が制御されていない肉(たとえば、庭先飼育の豚や野生イノシシ) の喫食が主な原因として報告された。 一般的に、旋毛虫は、豚肉の喫食に関連する公衆衛生上のリスクが中等度と 見なされており、農場と食肉センターにおける包括的予防措置と管理が旋毛虫 の制御に効果を発揮できる(EFSA BIOHAZ, CONTAM and AHAW Panels, 2011)。屋内で飼育された豚において、感染のリスクは、動物の廃棄物の処理 に関する規則の遵守の欠如に主に関連している。そのような農場において、生 物学的安全対策の障壁の破壊の結果として、感染した齧歯類の侵入を許し、感 染が発生し得る。屋外で飼育された豚は、旋毛虫に感染した可能性がある野生 動物と接触するリスクがある(EFSA, 2011b)。 訳注: 鶏のケージ飼いは、寄生虫や細菌の感染を予防する上で、屋内飼育 より優れている。しかし、金網の上を歩く鶏は不自然で怪我が多いから屋外で 放飼いをすべきだという動物愛好家がいる。屋外でドングリやミミズを食べて 育ったスペインのイベリコ豚は美味しい食通が言う。そうした「ナチュラル派」 の主張はもっともであるが、それによって病気が発生し、食品安全上の問題が 起きることを同時に考えなければならない。 英国ではイングランド、北アイルランド、ウェールズにおいて牛型結核菌への ヒト感染が続いている(欧州における牛結核菌によるヒト感染の発生状況)。 スコットランドでは、殺菌しないと市販してはならないとする法律が1980 年に ようやく成立し、牛型結核菌のヒト感染は終わったが、それ以外の3 つの王国 では、加熱すると風味が落ち、ナチュラルでなくなるとする人々の意向が強く、

(15)

- 15 - 依然として未殺菌乳が販売されている。ナチュラルの対価として牛型結核菌感 染を許容する文化が根付いている。 旋毛虫感染もこれに似ており、「肉は生で食べなきゃ美味しくない」という 主張の対価として旋毛虫症を許容する文化が根付いているのかも知れない。EU の有病率は0.0001%であり、この程度のリスクに怯えて生肉を食えないのはゲ ルマン人ではない。日本でも、フグで死ぬのを怖がっては江戸っ子の名が廃る という食文化が残っており、毎年死亡者が出ている。食品の安全性は、食文化 を背景としており、有害性や死亡する確率を説明しても食文化に基づく慣行を 変えることはできない。 河豚食わぬ 奴には見せな 不二(富士)の山(小林一茶) あら何ともなきや きのふは過ぎて ふくと汁(松尾芭蕉) 唇と舌がしびれるのが、たまらない(八代目坂東三津五郎)

図 40  2014 における狩猟で得た野生イノシシの旋毛虫の知見

参照

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