気駆動系主要設備車両性1MM 単位で 開放が可能保安設備補助電源設備表 1 東武鉄道 系 通勤形直流電車 車両諸元 会社 車両形式 東武鉄道 系 使用線区 東武伊勢崎線 日光線 日比谷線 軌間 ( mm ) 基本編成両数 7 両 使用線区の最急勾配 39 用途 通

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東武鉄道 70000 系通勤形直流電車

※今

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むら

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けん

 

写真 1 外観 要旨 東武鉄道株式会社(東武鉄道)では、今後のホームドアの導入を見据えて、東京地下鉄株式会社(東京地下鉄)日 比谷線相互直通運転用車両に使用している 20000 系を新形車両 70000 系へ更新することとした。20000 系は、片 側 3 扉又は片側 5 扉の 18 m 車両で編成を構成している。また、相互直通運転を行っている東京地下鉄の 03 系も 同様の構成となっている。一方、近年導入を進めているホームドアの設置には、車両の側入口の位置をできる限 り統一することが必要となるが、これらの 18 m 車両は片側 3 扉の車両と片側 5 扉の車両とが混在しているこ と、また、東武線内においても当社の標準である片側 4 扉の 20 m 車両とは側入口の位置が異なることなどが両 社のホームドア導入の課題となっていた。そこで、将来のホームドア導入を見据えて東京地下鉄と協議を行い、 扉の位置を合わせた片側 4 扉の 20 m 車両 7 両で構成する新形車両を相互に製作して同時に置き換えることで検 討を進めた。新形車両となる 70000 系は、“運転及び保守の取扱いを統一することによる操作性及び事故対応能 力の向上”、“車両寸法及び機器配置の統一”及び“動力性能を統一することによるホームドア及び ATO 運転への 対応力向上”を目的として、東京地下鉄の新形車両 13000 系とできる限りの共通設計を図っている。さらに、主 要装置において仕様統一による同一機器製作メーカの選定を東京地下鉄と共同で行い製作した車両である。以下 にその概要を紹介する。(編集部注:20000 系は本誌 183 号 1988 年 6 月及び 201 号 1993 年 10 月、東京地下鉄 13000 系は 253 号 2017 年 3 月参照) 1 はじめに 新形車両 70000 系は、東武日光線南栗橋駅から東武スカ イツリーライン北千住駅を経由し、東京地下鉄日比谷線中 目黒駅までの区間を運行する。同区間は、1962 年の東京 地下鉄日比谷線との相互直通運転開始以来、多くの通勤・ 通学のお客様の足となっている。 東武鉄道では日比谷線相互直通運転車両として 20000 系 8 両 24 編成(192 両)を保有しているが、今回、「より開放 的で快適な、人と環境にやさしい次世代の通勤車両」をコ ンセプトとし、東京地下鉄が同時に製作する 13000 系と仕 様をできる限り統一した 70000 系を製作することとした。 2 編成及び車両性能と主な特徴 70000 系は、操そ う舵だ台車(箇条 9 参照)の採用によって全台 車の 2 軸中 1 軸に主電動機を搭載する構成としたことで、 1 両当たり 0.5M0.5T、編成で 3.5M3.5T 相当となる。基本 性 能 は 加 速 度 0.92 m/s(3.3 ㎞/h/s)、 減 速 度 は 常 用2 1.03 m/s(3.7 ㎞/h/s)、 非 常 1.25 m/s2 (4.5 ㎞/h/s)、 最 高2 設計速度 110 ㎞/h である。 車両編成は、中目黒方から 71700 形式(Mc1 車)、72700 ※ 東武鉄道㈱ 鉄道事業本部 車両部 設計課

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会社・車両形式 東武鉄道㈱ 70000 系 使用線区 東武伊勢崎線・日光線、日比谷線 軌間(㎜) 1 067 基本編成両数 7 両 使用線区の最急勾配 39‰ 用途 通勤用 電気方式 直流 1 500 V 車体製作会社 近畿車輛㈱ 製造初年 2017 年 台車製作会社 新日鐵住金㈱ 製作予定両数 154 両 主回路装置製作会社 三菱電機㈱ 車両技術の掲載号 254 基本編成及び 主な機器配置 凡例 ●;駆動軸 ○;付随軸(操舵軸) VVVF;主制御装置 SIV;補助電源装置    CP;空気圧縮機 BT;蓄電池 < >;パンタグラフ    ◎;車椅子スペース(フリースペース) 連結器 ▽;密着 +;半永久 編成質量 (t) 236.3 編成定員 (人) 1035 個別の車種形式 71700 72700 73700 74700 75700 76700 77700 車種記号(略号) Mc1 M1 M2 M3 M2' M1' Mc2 空車質量(t) 34.3 33.2 32.9 35.1 33.2 33.1 34.5 定員(人) 140 151 151 151 151 151 140 うち座席定員(人) 45 51 51 51 51 51 45 特記事項 フリースペース:車椅子・ベビーカー及び大きな手荷物をお持ちのお客様などが多目的に利用できるスペース 電気駆動系主要設備 集電 装置 形式 / 質量(㎏) PT7112C / 155 方式 シングルアーム式 主制御装置 形式 / 質量(㎏) M1、M1’車:MAP-214-15V284 A / 1 035 M3 車:MAP-216-15V285 A / 1 510 方式 2 レベル VVVF インバータ 制御容量(kVA) M1、M1' 車:2 053(4MM) M3 車:3 080(6MM) 主電動機 形式 / 質量(㎏) TM-17 / 560 方式 永久磁石同期電動機 1 時間定格(kW) 205 回転数(min-1 2 300 特記事項 全閉、絶縁種別 H 種 最大 限流値 力行(A) 264 ブレーキ(A) 228 電気ブレーキの方式 回生ブレーキ ブレーキ 抵抗器 形式 / 質量(㎏) - 補助電源設備 補助電 源装置 形式 / 質量(㎏) NC-GAT185A / 670(本体) NC-GARS185A / 680(整流装置) NC-GATR185A / 1 605(変圧器) 方式 3 レベル IGBT インバータ(SiC) 出力 185 kVA 蓄電池 種類 / 質量(㎏) アルカリ蓄電池 / 600 容量(Ah) 制御用(100Ah)、列車無線通 話 用(30Ah)/ 非 常 防 護 発 報 用(6Ah) 主な用途 制御用(100V)、列車無線通 話用 / 非常防護発報用(15V) 車両性能 最高運転速度(㎞/h) 110 加速度(m/s2 0.92(3.3 ㎞/h/s) 減速度 (m/s2 常用 1.03(3.7 ㎞/h/s) 非常 1.25(4.5 ㎞/h/s) 編成当りの 定格 編成構成 7M(3.5M 3.5T 相当) 出力(kW) 2 870 引張力(kN) 283 ブレーキ制御方式 ATC 連動電気指令式電空 併用(回生ブレーキ付き)、 TIS による編成遅込め制 御、電気停止ブレーキ 制御回路電圧(V) 直流 100 抑速制御 ATOによる(01、02編成のみ搭載準備) 非常時運転条件 同一荷重条件の起動不能列 車を連結し、起動・推進が 可能。39‰こう配を 4MM を開放して、起動できる。 その他の運転条件 主 回 路 設 備 の 故 障 時 に 1MM 単位で、開放が可能 保安設備 運転保安装置 TSP-ATS(東武形多情報変 周式自動列車停止装置)、 CS-ATC( 緩 和 ブ レ ー キ・ 前方予告・過走防護・臨時 速度制御機能付き)、ATO 列車無線 空間波無線:分散形複信式 (通話、防護発報) 誘導無線:集中形複信式(通 話、非常発報) 表 1 東武鉄道 70000 系 通勤形直流電車 車両諸元

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その他の主要設備 主幹制御器 形式/質量(㎏) KL-6072 / 61 方式 T 形ワンハンドル 速度計装置 モニタ表示式 車両情報制 御システム モニタ装置 TIS 装置 モニタ表示器 液晶カラーモニタ 標識灯 前部標識灯 白色 LED 後部標識灯 赤色 LED その他 空気ブレーキ設備 電動 空気圧縮機 形式/質量(㎏) RR8-Twin-2 圧縮機容量 1 360 ㍑ / min 圧縮機方式 スクロール式 1 段圧縮 空気タンク 元空気タンク 340 ㍑ 供給空気タンク 220 ㍑ ブレーキ制御装置 形式/質量(㎏) C15 / 185 台     車 形式 動台車 TRS-17M 付随台車 - 方式 片軸操舵台車 車体支持装置 ボルスタ方式 けん引装置 ボルスタアンカ 枕ばね方式 空気ばね 上下枕ばね定数 / 台車片側(N/㎜) Mc 286 MT 273 ~ 286 軸箱支持方式 モノリンク式 軸ばね方式 コイルばね 上下軸ばね 定数 / 軸箱 (空車時) (N/㎜) コイルばね Mc 622~1 560 MT 713~1 871 ゴムばね Mc 動軸 137 付随軸 69 MT 動軸 137 付随軸 69 総合 Mc 動軸 1 053~1 991 付随軸 985~1 923 MT 動軸 1 144~2 302 付随軸 1 076~2 234 軸距(㎜) 2 100 台車最大長さ(㎜) 3 020 車輪径(㎜) 新製時:860 計算用:820 基礎 ブレーキ 動軸 踏面片押し式ユニットブレーキ 付随軸 空気式ディスクブレーキ ブレーキ倍率 3.4(ユニットブレーキ)、3.3(ディスクブレーキ) 制輪子 動軸 合成制輪子 付随軸 ライニング ブレーキシ リンダの数 動軸 2 付随軸 2 駆動方式 平行カルダン 歯数比(減速比) 7.79(109 / 14) 継手 WN 式(歯車形たわみ継手) 軸受 密封複式円筒ころ軸受 質量(㎏) Mc 6 355 MT 6 245(MT1)、6 233(MT2) 車両間連結装置 先頭部 密着連結器 中間部 半永久連結器 記事 台車欄の Mc は先頭台車、MT は中間台車を示す。また MT1 は先頭車の中間車寄り台車、MT2はその他の中間台車を示す。 車体の構造・主要寸法・特性 構体 材料 アルミニウム合金 構造 ダブルスキン形材、レーザーミグ組立 車両の 前面 形状 非常用貫通扉付き 構造 アルミニウム合金 運転室の構造 全室 客室の 内装材 天井 高硬度アートテック 側・妻 メラミン化粧板 床 ゴム系床敷物 長さ (㎜) 先頭車 19 970 中間車 19 500 連結面間 距離(㎜) 先頭車 20 470 中間車 20 000 心皿間距離(㎜) 13 800 車体幅(㎜) 2 780 高さ (㎜) 屋根高さ 3 585 屋根取付品上面 3 995 床面高さ(㎜) 1 140 相当曲げ剛性(MN・m2) 1.32×103 相当ねじり剛性(MN・m2/rad) 38.8×10 固有振動数(Hz) 曲げ:11.0 ねじり:5.1 主な旅客設備 側窓 2 連:下降式 単窓:固定式 側扉 構造 両引戸 1 300 ㎜ 片側数 4 戸閉め 装置 形式 DSED-10-12 方式 電気式 妻引戸 片引戸 900 ㎜ 腰掛 ロングシート 空調換気システム 空調装置 形式 / 質量(㎏) CU739 / 835 方式 屋根上集中式ユニット空調 装置 ON/OFF 制御、全自 動モード付き 容量(kW) 58 暖房装置 方式 腰掛下シーズ線ヒータ (つり下げ式) 容量(kW) 先頭車:17.1 中間車 19.3 換気方式 自然換気 送風方式 天井ダクト:ラインフロー 吹き出し+横流ファン 室内灯 照明方式 間接照明 灯具方式 LED 非常通報装置 通話機能付き非常通報装置 車内案内表示 液晶式 17 インチ(3 画面) 放送 設備 車内向け スピーカ 8 台(自動放送付き) 車外向け スピーカ 4 台(片側・両側切替可) 行先 表示器 前面 フルカラー LED 側面 フルカラー LED 主な移動等 円滑化対応設備 フリースペース(車椅子ス ペースを含む)、ドア開閉 動作開始ランプ、ドア開案 内装置など 便所 主な設備 - 汚物処理 - その他 4 か国語対応の案内表示

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形式(M1 車)、73700 形式(M2 車)、74700 形式(M3 車)、 75700 形 式(M2’車 )、76700 形 式(M1’車 )、77700 形 式 (Mc2 車)の 7 両固定編成としている。 設計においては、安定運行の確保、快適性の提供及び環 境負荷の低減を考慮した。安定運行の確保については、主 要機器のトラブル発生時も運行維持が可能なよう機器の二 重系化を図った。ATC/S 装置(8.11 参照)及び車両情報制 御装置 T-TIS(8.10 参照)は、主要部分を 2 系統設置、不具 合時は並列稼働しているもう 1 系統で機能を維持させる並 列二重系を採用し、空気圧縮機は 1 台当たり 2 ユニット、 運転台表示器は運転台 1 台当たり 3 器設置し、故障時は残 りの機器が稼働することで機能が一部低下するものの運行 維持可能としたバックアップ二重系としている。 さらに今回、主電動機に永久磁石同期電動機(PMSM) を採用した。このため、主回路システムは、PMSM の特 性上、主電動機ごとにインバータ装置、関係する接触器な どを設けた。このため、不具合時は、従来のユニット単位 (例:主電動機 4 台ごと)の開放でなく、主電動機を 1 台 ごとに開放できるため、非常に高い冗長性を有している。 快適性の提供の面については、車椅子やベビーカーをご 使用のお客様にも対応すべく全車両にフリースペース(5.4 参照)を設置したほか、スタンションポールの増設、車内 案内情報表示器の 3 画面化、公衆無線 LAN サービスの提 供など幅広いお客様が快適にご利用頂ける車内環境を実現 した。 環境負荷の低減の面においても、永久磁石同期電動機の 採用に伴って、従来の誘導電動機における回転子を磁化す る電力の削減及び回生ブレーキ領域の拡大を実現し、更な る消費電力削減のためにハイブリッド SiC(シリコンカー バイド)素子を使用した補助電源装置(SIV)及び LED 照明 を搭載している。 3 デザイン 3.1 エクステリアデザイン エクステリアデザインは、お客様に活力を感じていただ ける車両を目指し、スピード感のある造形と印象的な色彩 とを組み合わせている。車体のラインには、既存 20000 系 車両のマルーン(赤茶色)を 2 色の原色に再精製し、昇華さ せた“イノベーションレッド”と“ピュアブラック”とを使用 し、革新的で引き締まったイメージを表現している。さら に車体両端部には沿線の活力を表現した“エナジードッ ト”を配してアクセントとしたほか、フリースペースを設 置した箇所の肩部のラインには、車椅子及びベビーカーの 標記を組み込むことで、ホームドア設置時の視認性とデザ イン性との両立を図った。 3.2 インテリアデザイン インテリアデザインは、お客様の安全性と快適性とを第 一に考えて、シンプルかつスタイリッシュなものとした。 光沢のある白色の内装パネルを使用するとともに、袖仕切 り、荷棚及び貫通扉にガラス素材を多く使用して、明るく 開放的な空間とした。照明は夜間や地下鉄線内を走行する 際にも暗さを感じないよう直接照明を採用するとともに、 十分な照度を確保できるように天井レイアウトを構成し た。腰掛表地のモケットには、エクステリアでも採用した “エナジードット”柄を織り込むことで、インテリアとエ クステリアとの関連性を表現した。 4 車体構造 4.1 主要寸法 車 体 長 さ は、 連 結 面 間 で 先 頭 車 20 470 ㎜、 中 間 車 20 000 ㎜、車体幅 2 780 ㎜、車体高さ(屋根上取付品上 面)3 995 ㎜、床面高さ 1 140 ㎜としている。 4.2 構体 車体は、リサイクル性の高い軽量なアルミニウム合金の ダブルスキン構造を採用した。先頭部の構造設計に当た り、踏切事故などを想定した衝突シミュレーションの活用 によって、必要な構体強度の解析結果に基づいて車両製作 をすることで衝突安全性の向上を図った。側構体の接合に は“レーザー・MIG ハイブリッド溶接”を採用し、寸法精 度が高く、歪ひ ずみが少ない構体としている。 5 客室 5.1 客室構造 客室の天井は、開放感を感じられるように可能な限り高 い構造とした。LED 式の直接照明を採用することで、室 内の照度むらを極力抑え、車内のどこにいても明るく快適 な車両を目指した(写真 5 参照)。 5.2 室内設備 腰掛は、片持ち式で一人当たりの座席幅 460 ㎜のバケッ トシートタイプを採用し、両端に大形袖仕切りを設けた。 写真 2 室内 写真 3 エクステリアデザイン

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図 2-1 形式図 71700(Mc1)

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図 2-3 形式図 73700(M2)

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図 2-5 形式図 75700(M2’)

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床には、雨の日などにも滑りにくいゴム床敷物を採用し ている。優先席部及びフリースペース部の床敷物には、優 先席部及びフリースペース部であることがが容易に認識で きるように、一般部のグレー系とは異なるブラウン系の色 を採用した。また、出入口部には注意喚起のために黄色の コインエンボスの凹凸をもつ床敷物を採用している。 5.3 窓及び扉 側窓は、側引戸間に開閉可能な 2 連ユニット窓を配置 し、車端部は固定窓とした。カーテンは、50000 系(車両 技術 229 号 2005 年 3 月参照)から導入しているフリースト ップ式を採用し、任意の場所でカーテンを固定できる仕様 としている。 車両間の妻引戸には大形ガラス扉を採用し、開放的な車 内空間を演出している。ガラス部のグラフィックには、沿 線の代表的な風景である“東京スカイツリーと隅田川の花 火”、“草加松原遊歩道と百ひゃくたい代橋”,“東武動物公園とホワイ トタイガー”などをイラスト化してあしらい、お客様がガ ラスの存在を認識可能な安全上の機能も満たすデザインと している(図 4 参照)。 5.4 バリアフリー対応設備 全車両にフリースペースを設けることで、車椅子のお客 様はもちろん、ベビーカーをご利用のお客様や大形の荷物 をお持ちのお客様にもご利用いただける車内空間が提供で きるようにした。また、スタンションポールは、高齢の 方、小さなお子様、体の不自由な方などが座席から立ち上 がる時におつかまりいただけるように 7 人掛け腰掛に 2 本、優先席部の 3 人掛け腰掛に 1 本ずつ設置している(写 真 6 参照)。 6 運転室設備 運転台は、非貫通の全室構造としている。主幹制御器 は、T 形ワンハンドルマスコンを採用し、ノッチ刻みは、 抜取り、非常、ブレーキ 7~1、ゆるめ、力行 1~4 の順に 配置している。各ノッチ指令は、従来のハンドル位置をセ ンサで検知してマスコンに付随する指令器などからの出力 する方式ではなく、マスコン内のカム及びスイッチによっ て出力する方式とした。 運転台表示器は、ハンドルを中央にして左側にメータ表 示器、右側にモニタ表示器、さらに右側にバックアップ表 示器を配置した。これらの表示器は、故障が発生した場合 でも、各表示器の状態に応じて表 2 の通りに表示内容を切 図 2-7 形式図 77700(Mc2) 写真 4 構体断面

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り替えてバックアップする。 7 機器配置 7.1 床下機器配置 編 成 形 態 は、Mc1 車 -M1 車 -M2 車 -M3 車 -M2’車 -M1’車 -Mc2 車 の 7 両 編 成 で あ り、 両 先 頭 の Mc1 車 と Mc2 車、両先頭から 2 両目 M1 車と M1’車、両先頭から 3 両目 M2 車と M2’車の床下機器配置は、基本的に共通化 している。Mc1 車及び Mc2 車には、先頭車として必要な 運転保安装置 ATC/S に加え、電動空気圧縮機、蓄電池、 制御ブレーキ継電器箱を、M1 車及び M1’車には、4MM 制御の主回路システム(VVVF インバータ装置、断流器、 フィルタリアクトル)を、M2 車及び M2’車には、補助電 源(SIV 装置、変圧器、整流器)を搭載した。また、M3 車 は、6MM 制御の主回路システム(VVVF インバータ装 置、断流器、フィルタリアクトル)を搭載している。な お、全台車に主電動機を搭載しており、全車間渡り線にモ ータ用線を設置している。 7.2 屋根上機器配置 各車両の中央部に集中式空調装置を 1 台搭載している。 集電装置は、M1 車及び M1’車に 1 台、M3 車に 2 台搭載 した。集電装置には、かぎ外し装置が付設してあり、同装 置に直結した引きひもを屋根上から直近の妻部に配管を通 して敷設し、線路上から係員が扱える高さに握り手を設 け、車外からそのひもを引くことで集電装置を上昇させら れるようにしている。また、先頭車の Mc1 車及び Mc2 車 には、空間波無線アンテナを将来のデジタル化用含めて 2 台設置した。 7.3 車両間設備 車両間には、転落防止用ほろを設けた。取付位置はレー ル面から 1 200 ㎜を下端とし長さ 1 300 ㎜(誘導無線側面 アンテナがある箇所は 540 ㎜)とした。 8 主要機器 8.1 主電動機及び主制御装置 主電動機は、従来の誘導電動機から永久磁石同期電動機 図 3 車体断面図

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(PMSM)に変更した。出力は 205 kW、速度センサレス としている。操舵台車では、操舵軸には主電動機を搭載す ると構造が複雑になるため、全台車の非操舵軸に主電動機 を搭載しており、各車両 2 台、7 両編成で 14 台の主電動 機を搭載している(M:T 比が 1:1 の 3.5M 構成)。 主制御装置は、PMSM に対応した主電動機個別制御の VVVF インバータ装置を採用し、M1 車及び M1’車に 1C1M4 群、M3 車に 1C1M6 群を搭載して、M1 車は自車 及び Mc1 車の主電動機を、M1’車は自車及び Mc2 車の主 電動機を、M3 車は自車並びに隣接する M2 車及び M2’車 の主電動機を駆動している。装置構成としては、VVVF インバータ箱、断流器箱、フィルタリアクトル、主回路開 放器、主回路ヒューズ及び主電動機開放接触器(MCOK) 箱である。MCOK 箱は、主電動機を搭載した側の台車の 近くにそれぞれ搭載している。今回、1 群ごと(1 主電動機 毎)の個別開放とするため、1 群ごとにインバータ装置、 フィルタコンデンサ、過電圧抑制トランジスタ(OVT)、 直流接触器(DCK)、主電動機開放接触器(MCOK)及び主 電動機開放器(MCOS)を、2 群ごとに高圧接触器(LB)及び FC 充電用接触器(CHB)を設けており、全 14 群(14 主電動 機)中、13 群~1 群までの個別開放制御が可能であり、非 常に高い冗長性を有している。 8.3 集電装置 集電装置は、VVVF 制御装置搭載車両である M1 車及 び M1’車に各 1 台、M3 車に 2 台を設置し、編成単位で 4 台を設置している。主な構造は、当社従来のシングルアー ムパンタグラフを踏襲し、今回、集しゅうでんしゅう電舟及び舟ふ ね支さ さえを CFRP(炭素繊維強化プラスチック)とナイトハルトとの組 合せから、アルミニウム合金及びベローばねの組合せに変 更したほか、補助ホーンの形状変更を行った。また、近年 の 60000 系(車両技術 247 号 2014 年 3 月参照)から搭載の 上昇検知装置も同様に搭載している。 なお、東武鉄道では、降雪時に集電舟などへの着雪が想 定される場合、運転台のスイッチ操作によって、パンタグ ラフの増圧上昇と下降動作とを行うことで着雪を振り落と す機構を新造車及びリニューアル車で標準搭載している。 今回、この機能を 70000 系へ搭載するに当っては、東京地 下鉄 13000 系にも搭載いただき、降雪時の屋根上での除雪 作業を軽減させるとともに安定運行対応力を高めている。 8.4 ブレーキ装置 ブレーキ装置は、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレ ーキ装置を搭載している。操舵台車では、従来のユニット ブレーキ(ブレーキシューを車輪踏面に押し付ける方式)を 操舵軸に搭載できないため、基礎ブレーキ装置は、操舵軸 側(付随軸)に当社初採用のディスクブレーキを、非操舵軸 側(駆動軸)に従来のユニットブレーキを搭載している。ま た、ディスクブレーキは、1 軸当たり 2 台の空圧キャリパ 装置を搭載している。 ブレーキ制御装置は、内部に各制御弁及びブレーキコン トロールユニットを搭載し、各台車の近くに滑走防止弁装 置(1 台車 2 軸分の滑走防止弁を収納)を設置している。制 写真 5 客室天井 写真 6 フリースペース 図 4-1 妻引戸グラフィック(東京スカイツリー) 図 4-2 妻引戸グラフィック(草加松原遊歩道) 図 4-3 妻引戸グラフィック(東武動物公園)

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御弁は、付随軸及び駆動軸の 2 系統を常用ブレーキ制御す るため、駆動軸用制御弁及び付随軸用制御弁を併せもつ WEPR 電空変換中継弁を搭載している。非常ブレーキ及 び保安ブレーキは、1 系統としている。また、粘着率向上 をねらいとして、滑走防止弁装置を全軸に搭載している。 この滑走防止制御のため、各軸端には速度センサを取り付 けている。 制御は、T-TIS による編成統括回生・空制ブレンディン グ制御方式であり、各ブレーキ制御装置から編成全体の必 要ブレーキ力及び回生ブレーキ力などの情報を一度 T-TIS で集約し、ブレーキ力を伝達する。 8.5 電動空気圧縮機 空気圧縮機は、オイルレススクロール方式を採用して Mc1 車及び Mc2 車に各 1 台搭載している。機器構成は、 圧縮機、除湿機及び制御器をコンパクトにパッケージ化し た空気源ユニットを 1 台当たり 2 ユニット搭載し、圧縮機 及び電動機の不良、除湿不良、制御部ダウンなどの想定故 障モードが発生した場合も、2 ユニットのうち 1 ユニット は運転を継続できるよう冗長性の高い構成とした。なお、 調圧器機能を Mc1 車及び Mc2 車のブレーキ制御装置にも たせている。また、今回の空気圧縮機は、製造メーカの協 力を得て 2 年ほど前から、試作機を当社の実車に搭載して 評価検証し改良を加えたものである。 8.6 補助電源装置 補助電源装置は、静止形インバータ(SIV)装置を M2 車 及び M2’車に各 1 台で編成当たり 2 台を搭載している。3 レベルインバータ方式で素子にハイブリッド SiC を採用 し、定格容量は 185 kVA としている。 従来のシステムでは、編成内に複数の SIV 装置がある 表 2 故障時の運転台表示器バックアップ 運転台表示器 の状態 表示内容 メータ表示器 モニタ表示器 バックアップ表示器 通常 メータ モニタ モニタ 故障① × メータ モニタ 故障② メータ × モニタ 故障③ メータ モニタ × 故障④ メータバックアップ × × 故障⑤ × メータバックアップ × 故障⑥ × × メータバックアップ 注記  ×印部は故障した表示器を示す。また、“メータバックアップ”は、メータ画 面・モニタ画面双方の機能を確保するようにメータ画面の圧力計及び電流計 をデジタル値表示のみとし、異常故障情報の簡易表示及びモニタ画面のファ ンクションキーを表示する。 図 7 メータバックアップ画面 図 6 モニタ画面 図 5 メータ画面

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8 運転室機器配置

写真

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a)  床下機器配置 71700 (Mc1) b)  床下機器配置 72700 (M1) 、76700 (M1’ 9 床下機器配置

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d)  床下機器配置 74700 (M3) c)  床下機器配置 73700 (M2) 9 床下機器配置 (続き)

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9 床下機器配置 (続き) e)  床下機器配置 75700 (M2’ f)  床下機器配置 77700 (Mc2)

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場合、SIV 装置ごとに交流電力の供給車両を区分けしてお り、故障などで片側の SIV 装置が停止すると、停止した 側の供給車両の交流電力は停止し、その後、もう片側の SIV 装置からの出力を停止した側の供給車両の交流電力へ つなぎ換えを行う受給電機能をもたせていた。今回は、2 台の SIV 装置が交流電力(三相交流 440 V)を同期して出力 する機能(並列同期機能)をもつため、供給車両を区分けす る必要がなくなり、片側の SIV 装置が停止しても、もう 片側の SIV 装置からの交流電力をつなぎ換えることなく 供給できるため、一時的に交流電力が停止することもなく なった。更に、この機能を活用して、使用電力が少ない時 に 2 台中 1 台を積極的に休止させる SIV 休止制御を行う ことで省エネルギー化を図っている。 なお、交流回路中に地絡などが発生した場合に、並列運 転中の SIV 装置が 2 台とも停止することを防止するため に SIV 装置間の交流幹線を開放する配線用遮断器(NFB) を内蔵した引通し開放 NFB 箱を M2’車に搭載している。 また、長時間停電によって直流 100 V 蓄電池の容量がなく 図 10-1 屋根上機器配置 71700(Mc1) 図 10-2 屋根上機器配置 72700(M1)、76700(M1’) 図 10-3 屋根上機器配置 74700(M3) 図 10-4 屋根上機器配置 77700(Mc2) 写真 8 永久磁石同期電動機(PMSM)

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なった場合に、パンタグラフの上昇に必要な電動空気圧縮 機と SIV 装置とを起動させる電源を外部から受電する機 能を設けている。さらに、東武線内用として、隣接する健 全な他の車両から直流 100 V 電源を受電する専用ケーブル 及びコンセントを設置したほか、東京地下鉄線内用として 地上電源交流 200 V を直流 100 V 電源へ変換する非常用電 源装置を搭載した。 8.7 蓄電池 蓄電池は、Mc1 車及び Mc2 車に直流 100 V 100 Ah(容 量監視装置付き)、直流 15 V 30 Ah(列車無線非常通話 用)、直流 15 V 6 Ah(列車無線非常防護発報用)を搭載 し、T-TIS に BT 強制解放機能(BT 切り忘れ防止)をもた せている。 8.8 空調装置及び暖房装置 空調装置は、近年当社で標準の集中式ユニットクーラを 各車の屋根上に 1 台を設置し、車内妻部に空調制御装置を 1 台及び車内各所に温度などのセンサを設置している。冷 房能力は、58.0 kW(50 000 kcal/h)で、装置内には圧縮機 を 4 台、室外送風機及び室内送風機を各 2 台配置してい る。リターン口には、ロールフィルタ(ろ材自動巻き取り 機能付き)を設置している。 空調制御は、圧縮機 4 台の ON/OFF を組み合わせた制 御であり、T-TIS のモニタ画面で各運転モード(自動、 切、送風、除湿、冷房、暖房、強制)を設定できる。 なお、SIV 休止制御時(8.6 参照)は、空調装置の負荷の 変動によって SIV 装置をダウンさせないように、空調装 置内の圧縮機 4 台のうち 3 台目及び 4 台目を起動する時は SIV 装置に対して起動許可を T-TIS 経由で要求する。 8.9 戸閉め装置 8.9.1 戸閉め制御 側引戸の開操作は、乗務員の車掌スイッチの操作を戸閉 め制御装置に入力し、ドア開の各条件(走行していない、 ハンドル B4 以上、ホーム検知及びホームドア検知)が成 立していれば、戸閉め制御装置がドア開線を加圧し、これ によって各側引戸の戸閉め装置がドア開動作する。戸閉め 制御装置は、駅停車中に 1 扉のみを開扉して他の 3 扉を閉 扉する“3/4 ドア締切機能”、戸開閉時の開閉予告灯の点滅 及びチャイムの鳴動による注意喚起機能を備える。また、 ホームドアに対応するため、ホームドアと車両の側引戸と の連動機能を備えており、ATO 送受信装置、車両情報制 御装置及び力行回路とのインタフェースを設けている。さ らに、運転士の位置をハンドル条件によって検知する戸閉 め制御切換機能を有しており、ドア開操作許可を始めとし て ATC/S 制御及びホーム検知制御に制御条件を出力して いる(写真 14 参照)。 8.9.2 ドアシステム ドアシステムは、60000 系で実績のある電気式ドア装置 を採用した。本装置はブラシレスモータを用いたラック & ピニオン機構を採用した戸閉め装置を用いて、マイコ ンによる制御を行っている。全閉位置のロック方式とし て、モータと一体化した遊星ギアを用いた点が特徴的であ る。また、マイコン部にて車両情報制御装置との情報伝送 を行っている。 側引戸の制御は、引戸と引戸との間に何かが挟っている 写真 11 電動空気圧縮機(外観) 写真 9 空圧キャリパ装置 写真 10 ブレーキ制御装置 写真 12 電動空気圧縮機(ユニット内部)

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左右動 ダ ン パ デ ィス ク ブ レ ー キ 付随輪軸 心皿 台車枠 操舵装置 空気ばね 歯車形 たわみ軸継手 セ ラ ミック 噴射装置 軸箱 駆動輪軸 排障器 ユニ ッ ト ブ レー キ 主電動機 11 動台車 (TRS-17M) 写真 13 

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12 主回路つなぎ

(4MM

(21)

13 カ行性能曲線

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状態を検知して押付力を加減する戸挟み検知機能などの細 やかな引戸の開閉制御に加え、ドア解錠コック(D コッ ク)の操作検知機能及び機器故障検知の機能をもち、 T-TIS への情報伝送によって側引戸の状態を運転台のモニ タ画面へ表示するとともに記録する。また、走行中(走行 検知中)の側引戸の手動開操作に対しては、モータブレー キによって引戸を開きにくくする。モータブレーキとは、 モータのコイルを短絡させることで、モータが外部の力で 回転させられると発電によって外部の力と反対の方向にモ ータの駆動力が発生する原理を用いたものである。 既存の電気式戸閉め装置からの改良点として、従来は主 要構成部品(オペレータ部、解錠コック・ケーブルなど)を 車体に直接取り付けていたが、今回の戸閉め装置は取付ベ ースにこれらをまとめて取り付けるため車体ぎ装時の配置 調整が不要となっている。また、ドア解錠コックを従来の 妻面下部(線路上から扱える位置)に加えて、車両側面上部 (ホーム上から扱える位置)にも配置するため、ドア解錠 の方式を解錠ワイヤをコック操作で直接引っ張る方式か ら、解錠用空気シリンダを設置して、コック操作によるシ リンダの作動で解錠ワイヤを引っ張る方式に変更し、将来 のホームドア対応を考慮している。 8.10 車両情報制御装置(T-TIS) 今回の車両情報制御装置は、東京メトロで実績のある装 置をベースに当社仕様を盛り込んだもので、略称 T-TIS (Tobu-Train Information System)としている。運転指令 制御(力行、常用ブレーキ)を始めとして、車両制御、空 調・表示・放送などのサービス機器制御、各機器のモニタ リング・故障記録、車上検査などの機能を備え、運転台の メータ画面表示も行う。 装置構成としては、両先頭車に中央装置及び運転台イン タフェイスユニット、各車に端末装置及び車両インタフェ イスユニットを搭載し、中央及び端末装置をラダー式の基 幹伝送路で結び、一部装置がダウンしても経路をバイパス させて装置間の伝送を確保することとしている。 8.11 運転保安装置(ATC/S) 運転保安装置は、東京地下鉄日比谷線の CS-ATC 機能 と東武鉄道の多情報変周式自動列車停止装置 TSP-ATS と を統合した ATC/S 装置である。CS-ATC の機能は、先行 列車との相対距離に応じて高周波軌道回路に送信される ATC 信号を車上受信して ATC 制限速度信号を判別し、 車内信号機を点灯させるとともに速度発電機から検出する 列車速度と ATC 制限速度信号とを比較照査し、列車を制 限速度以下となるようブレーキ制御を行う。TSP-ATS の 機能は、変周式地上子から受信した ATS 信号情報に対応 した速度照査パターンを発生し、列車速度が速度照査パタ ーンを超過した時に非常ブレーキ指令を出力する。また、 上記の機能に加えて、列車速度出力(受信制御部でメータ 画面用速度出力及び戸閉め保安用走行検知に使用)、ホー ム検知機能(ATS/TP 送受信部でトランスポンダによるチ ェックインチェックアウト式)の機能を有している。 ATC/S 装置(受信制御部、ATS/TP 送受信部及び検査 記録部を一箱に収納)、受電器及び一体形車上子(変周式+ トランスポンダ)は、Mc1 車及び Mc2 車に搭載している。 8.12 車内案内表示装置 各側入口の上部には、ドアの開閉動作に連動して点滅す る開閉予告灯を設置している。また、各側入口かもい点検 ふた部には、17 インチワイド LCD 車内情報案内表示器を 3 画面設置しており、1 画面は広告専用画面、2 画面はご 案内画面として使用する。 ご案内画面を 2 画面とすることで、長い路線の案内表示 が可能となるほか、日本語だけでなく、英語、中国語及び 韓国語のご案内も可能となり、外国人のお客様へのサービ ス向上も図っている。その他、路線案内、駅設備案内、ド ア開方向案内、注意喚起案内などが同時に表示可能となる など、これまでの車両よりもお客様に多くの情報を提供で きる。 8.13 行先表示器 前面の表示器として、LED 式の種別・行先表示器及び 運行番号表示器を前面窓ガラスの上部に設置した。また、 側面には、LED 式の種別・行先表示器を各側 1 台、1 車 両当たり 2 台を設置している。 8.14 放送装置及び非常通報装置 放送装置は、運転室にマイクを各側 1 台と運転台に 1 台 の計 3 台を設置した。また、自動放送装置を設置してお り、T-TIS 装置と連携して行先・次駅案内、乗り換え案 内、その他各種案内を 4 か国語にて出力する。 なお、乗務員と対話が可能な非常通報装置を各車両に 2 か所ずつ設け、うち 1 台はフリースペース部に設置してい る。 9 台車 台車は、当社として初の片軸操舵台車を採用した。操舵 台車は、曲線通過時に操舵機構によって台車内の軸距を変 化させることで、横圧低減による走行安全性能が向上する ほか、レールとフランジとの接触によって発生する“きし り音”の低減に有効である。特に乗入れ先である東京地下 鉄日比谷線は曲線が多いことから、この機構を採用するこ ととした。操舵機構のメカニズムは、曲線通過時に操舵リ ンク機構によって輪軸が自動的に舵をきる仕組みとなって おり、曲線通過時に内軌側の軸距が短く、外軌側の軸距が 長くなることで、通過がスムーズになる。また、この台車 は、操舵機構以外にも、当社の新形車両用台車と同仕様と なる非線形軸ばね、応荷重差圧弁及び微小流量域特性付き レベリングバルブを採用して、走行安全性能の向上を図っ ている。 写真 14 戸閉め装置

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10 おわりに 新形車両 70000 系は、東京地下鉄日比谷線直通車両とし て東京地下鉄と連携し、出来る限りの仕様共通化を図りな がら、当社では初採用の技術を導入した車両である。 多くのお客様がご利用いただけるよう願うとともに、製 作にあたりご指導、ご協力いただいた関係各位に感謝申し 上げる。 写真 15 ATC/S 装置 a) 通常台車 b) 操蛇台車 図 15 操蛇台車の機構概略図

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