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288 音声言語医学 no AOA effect was observed for high-imageability words. From these results we surmised that development of the sub-lexical and lexical proc

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音声言語医学 57:287 ─ 293,2016 

原  著

小学校 6 年生の典型発達児群の漢字単語音読における

配当学年,一貫性,親密度,心像性の効果

三盃 亜美1,5)  宇野  彰2,5)  春原 則子3,5)  金子 真人4,5) 要 約:小学校 6 年生典型発達児 245 名を対象に,漢字単語音読の正確性について,配当学 年,一貫性,親密度と心像性の効果を検討した.誤読率に関して上記の効果を検討するために, 「改訂版 標準 読み書きスクリーニング検査(STRAW-R)―正確性と流暢性の評価」における 漢字単語 126 語の音読課題を実施し,単語属性が統制された単語を抽出して解析した.配当学 年×一貫性,配当学年×親密度,配当学年×心像性の交互作用がそれぞれ有意だったことから, 1)一貫性効果と親密度効果は配当学年の低い単語に比べ高い単語に対してより大きい,2)心 像性効果は配当学年の高い単語に対してのみ有意である,3)配当学年の効果は高心像語に対 して認められないという 3 点が示された.配当学年が低い単語と高い単語それぞれの一貫性効 果,親密度効果,心像性効果を検討することで,非語彙処理や語彙処理の発達を把握すること が可能ではないかと思われた. 索引用語:漢字単語音読,配当学年,一貫性,親密度,心像性

Effects of Age of Acquisition, Consistency, Familiarity and Imageability

on Reading Kanji Words Aloud in Typically Developing Sixth-Graders

Ami Sambai1,5), Akira Uno2,5), Noriko Haruhara3,5) and Masato Kaneko4,5)

Abstract: We investigated the effects of age of acquisition (AOA), consistency, familiarity

and imageability on reading accuracy for Kanji words in 245 typically developing sixth-graders. The children took a reading aloud test (STRAW-R) of 126 Kanji words. We analyzed error rates for the Kanji words chosen from the 126 so that their word attributes were controlled, in order to investigate the four target effects. Consistency, familiarity and imageability interacted with AOA significantly. These interactions indicated that 1) effects of consistency and familiarity were larger for high AOA words than low AOA words, 2) imageabiltiy effect was significant for high AOA words but not for low AOA words, and 3) 大阪教育大学教育学部1):〒582-8582 大阪府相原市旭ヶ丘 4-698-1

筑波大学人間系2):〒305-8572 茨城県つくば市天王台 1-1-1

目白大学保健医療学部3):〒339-8501 埼玉県さいたま市岩槻区浮谷 320

国士舘大学文学部4):〒154-8515 東京都世田谷区世田谷 4-28-1

NPO 法人 LD/Dyslexia センター5):〒272-0033 千葉県市川市市川南 3-1-1-315

1)Department of Education, Osaka Kyoiku University: 4-698-1 Asahigaoka, Kashiwara, Osaka 582-8582, Japan 2)Faculty of Human Sciences, University of Tsukuba: 1-1-1, Tennodai, Tsukuba-shi, Ibaraki 305-8572, Japan 3)Faculty of Health Sciences, Mejiro University: 320, Ukitani, Iwatsuki-ku, Saitama-shi, Saitama 339-8501, Japan 4)Faculty of Letters, Kokushikan University: 4-28-1, Setagaya, Setagaya-ku, Tokyo 154-8515, Japan

5)NPO Corporation LD/Dyslexia Centre: 3-1-1-315, Ichikawaminami, Ichikawa-shi, Chiba 272-0033, Japan

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は じ め に 健常成人や後天性の失読例などの音読特徴に基づい て,音読の処理過程や音読障害の障害機序が検討され ている.数多くの研究で,単語の出現頻度1,2),文字 列から音韻列への変換における一貫性1)などの単語の もつ特性(以下,単語属性)が音読速度や正答率に影 響を及ぼすこと(以下,単語属性効果)が明らかになっ ている. 一方,日本語話者の典型発達児を対象に,漢字単語 音読における単語属性効果を検討した研究は非常に少 ない.調べた限りでは,学会抄録での報告 1 編3)と論 文 3 編4-6)である.辰巳ら3)は,小学校 4 年生,5 年生, 6 年生の児童を対象に漢字単語の音読調査を実施し, すべての学年で,配当学年が漢字単語音読の可否を予 測し,その他に 4 年生では心像性,5 年生では親密度 と一貫性,6 年生では一貫性が有意な予測変数であっ たと報告している.Shiba & Ishida の調査4)では,小

学校 4 年生,5 年生,6 年生の児童で共通して,典型語, 非語,非典型語の順で音読正答率が高いという一貫性 効果や語彙性効果が認められている.また,土方ら5) が行った小学校 4 年生を対象にした標準抽象語理解力 検査の漢字単語 32 語の音読調査によると,配当学年, 心像性,親密度の順で,音読の正答に及ぼす影響力が 大きかったという.明石ら6)では,2 年生から 6 年生 の典型発達児群と,同学年の発達性読み書き障害児群 を対象に,小学生の読み書きスクリーニング検査の漢 字単語 20 語の音読課題を行い,両群の音読成績に親 密度と心像性が影響を及ぼすことを明らかにしてい る. 上記の研究報告から,少なくとも,典型発達児の漢 字単語音読の正確性に,漢字の配当学年,文字列から 音韻列への変換の一貫性,単語の親密度や心像性が影 響を及ぼすのではないかと思われる.一般に,単語の 綴り,音,意味に関する語彙情報を用いて単語全体を 音に変換するという処理(語彙処理)が行われた場合 に,親密度や心像性の効果が示される.一方,文字と 音の対応関係に基づいて文字列を音韻列に変換すると いう処理(非語彙処理)が行われた場合には,一貫性 効果が生じる.健常成人同様に,典型発達児の音読に おいても,これらの単語属性が音読成績に影響を及ぼ していることから,語彙処理と非語彙処理の双方が行 われているのではないかと思われる.しかし,これま での先行研究では,配当学年別に,一貫性,親密度, 心像性の効果は検討されておらず,配当学年の低い単 語と高い単語で児童の音読処理が異なるのかは十分に わかっていない. 「 改 訂 版 標 準 読 み 書 き ス ク リ ー ニ ン グ 検 査 (STRAW-R)―正確性と流暢性の評価」7)における漢 字単語 126 語を用いた音読課題では,音読年齢を算出 できる.さらに,従来の小学生の読み書きスクリーニ ング検査(STRAW)や標準抽象語理解力検査よりも 多くの検査語で構成されており,小学生の音読に影響 を及ぼすと思われる配当学年,文字列から音韻列への 変換の一貫性,親密度,心像性の幅が多岐にわたる. 音読年齢の把握と同時に,児童の配当学年の高低別に 音読特徴の把握へとつながれば,発達性読み書き障害 のある児童・生徒の音読指導の方針を立てるのに有益 で は な い か と 思 わ れ る. そ こ で 本 研 究 で は, STRAW-R における漢字単語 126 語の音読課題から単 語属性を操作・統制した単語リストを作成し,小学校 6 年生の典型発達児群における漢字二字熟語音読の正 確性について,文字列から音韻列への変換の一貫性, 親密度,心像性,配当学年の効果を検討することを目 的とした.小学校 6 年生を対象とした理由は,本研究 で使用した漢字単語 126 語は 1 年生から 6 年生で習う 漢字で構成されているため,ほぼすべての漢字を学習 し終えている小学校 6 年生を対象にすることで,音読 成績に及ぼすと思われる未学習の影響をできる限り少 なくできるのではないかと考えたからである. 方   法 1 .対象 本 研 究 で は, 簡 便 な 知 能 検 査 で あ る Raven’s Coloured Progressive Matrices(RCPM)にて平均−1.5 SD よりも高い得点だった小学校 6 年生 265 名(男児 104 名,女児 161 名)を対象に,小学校教育で導入さ れる漢字のほとんどを学習し終えている 3 月に調査を no AOA effect was observed for high-imageability words. From these results we surmised

that development of the sub-lexical and lexical processes can be known by investigating the effects of consistency, familiarity imageability respectively for low and high AOA words.

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行った. 2 .漢字二字熟語の音読検査 STRAW-R における漢字単語音読課題の検査語 126 語から,単語属性を操作・統制して,以下の 3 種類の リストを作成した.表 1 に各リストの単語属性値の平 均と標準偏差を,表 2 に各リストの刺激を示す. 1 )配当学年×一貫性リスト 第一のリストは,配当学年(1-3 年,4-6 年)×一貫 性(典型,非典型)の 4 条件で構成された漢字二字熟 語 56 語(各条件 14 語)である.条件間で親密度と心 像性を統制した.一貫性要因の典型条件は Fushimi ら1) の漢字二字熟語の分類における一貫語と非一貫典型語 に,非典型条件は非一貫非典型語に相当する.以下, 本研究では,一貫語と非一貫典型語を合わせて「典型 語」,非一貫非典型語を「非典型語」と記す. 2 )配当学年×親密度リスト 第二のリストは,配当学年(1-3 年,4-6 年)×親密 度(高親密度,低親密度)の 4 条件で構成された漢字 二字熟語 48 語(各条件 12 語)である.条件間で,心 像性と,1 文字目と 2 文字目の一貫性を統制した. 3 )配当学年×心像性リスト 第三のリストは,配当学年(1-3 年,4-6 年)×心像 性(高心像,低心像)の 4 条件で構成された漢字二字 熟語 40 語(各条件 10 語)である.条件間で,親密度 と,1 文字目と 2 文字目の一貫性を統制した. 4 )単語属性値 上記 3 種類のリストにおける親密度と心像性は, NTT データベース「日本語の語彙特性」から得た. 本研究では,構成漢字の配当学年のうち高いほうをそ の単語の配当学年として定義した.たとえば「樹木」 であれば,1 文字目の配当学年が 6,2 文字目の配当 学年が 1 である.そのため,「樹木」という単語の配 当学年は 6 となる.また,1 文字目と 2 文字目の一貫 性値は,Fushimi ら1)の算出方法にしたがった.NTT データベース「日本語の語彙特性」に掲載されている 単語のうち,親密度が 4 以上で表記妥当性が 3.5 以上 であった単語から,小学校 6 年間で学習される漢字の みで構成されている漢字二字熟語 8,849 語を抽出し, 1 文字目と 2 文字目それぞれの一貫性値を算出した. 3 .手続き 静かな部屋で個別式にて,STRAW-R における漢字 単語 126 語の音読検査を実施した.対象児には,正し く音読するように教示した.上記 3 種類のリストにお ける漢字二字熟語の誤読率を分析対象とした. 結   果 先行研究では,音読検査のカットオフ点を平均−1.5 SD とし,平均−1.5 SD よりも低い音読成績だった場 合に読み困難のある児童と定義している8).本研究で 実施した STRAW-R における漢字単語 126 語の音読 課題において,265 名中 20 名の音読正答数が平均−1.5 SD よりも少なかった.上記の先行研究にしたがうと, この 20 名は読み困難のある児童に該当するのではな いかと思われる.本研究では,この 20 名を除いた計 245 名を典型発達児群とし,典型発達児群の誤読率に 関して,以下の解析を行った.図 1 に各条件の平均誤 読率と標準誤差をリストごとに示す. 表 1 各リストの単語属性値 第 1 条件 (配当学年) 第 2 条件 文字 親密度 音声 親密度 文字 心像性 音声 心像性 配当学年 1 文字目 一貫性値 2 文字目 一貫性値 平均 SD 平均 SD 平均 SD 平均 SD 平均 SD 平均 SD 平均 SD 配当学年×  一貫性リスト 1-3 年 典型語 6.06 0.31 5.82 0.38 4.98 0.44 4.65 0.48 1.64 0.61 0.85 0.14 0.87 0.09 非典型語 5.96 0.35 5.86 0.38 5.00 0.43 4.81 0.53 1.57 0.49 0.35 0.27 0.36 0.29 4-6 年 典型語 5.85 0.32 5.69 0.33 4.71 0.42 4.48 0.43 4.86 0.74 0.78 0.20 0.90 0.16 非典型語 5.81 0.27 5.77 0.36 4.81 0.47 4.77 0.48 4.64 0.72 0.38 0.32 0.35 0.27 配当学年×  親密度リスト 1-3 年 高親密度語 6.23 0.16 5.95 0.23 4.83 0.43 4.48 0.53 1.67 0.47 0.63 0.30 0.70 0.30 低親密度語 5.56 0.20 5.43 0.32 4.70 0.49 4.62 0.53 1.83 0.37 0.63 0.33 0.72 0.23 4-6 年 高親密度語 6.16 0.10 6.02 0.12 4.82 0.41 4.60 0.44 4.83 0.80 0.66 0.31 0.82 0.29 低親密度語 5.52 0.15 5.43 0.29 4.56 0.37 4.25 0.56 5.08 0.76 0.64 0.24 0.76 0.32 配当学年×  心像性リスト 1-3 年 高心像語 6.05 0.31 5.83 0.37 5.35 0.21 5.26 0.19 1.80 0.75 0.46 0.38 0.57 0.31 低心像語 5.81 0.37 5.69 0.44 4.35 0.13 4.13 0.30 1.90 0.70 0.49 0.27 0.58 0.31 4-6 年 高心像語 5.94 0.20 5.95 0.12 5.29 0.25 5.27 0.21 5.20 0.87 0.39 0.29 0.58 0.36 低心像語 5.75 0.28 5.64 0.38 4.51 0.23 4.24 0.49 5.00 0.77 0.46 0.30 0.60 0.35 文字親密度:文字単語親密度,音声親密度:音声単語親密度,文字心像性:文字単語心像性,音声心像性:音声単語心像性

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表 2 各リストの刺激 配当学年×一貫性リスト 配当学年×親密度リスト 配当学年×心像性リスト 配当学年 一貫性 刺激 配当学年 親密度 刺激 配当学年 心像性 刺激 1-3 年 典型 空気 1-3 年 高親密度 学生 1-3 年 高心像 出口 1-3 年 典型 学生 1-3 年 高親密度 左右 1-3 年 高心像 森林 1-3 年 典型 入学 1-3 年 高親密度 名人 1-3 年 高心像 大人 1-3 年 典型 森林 1-3 年 高親密度 水中 1-3 年 高心像 花見 1-3 年 典型 水中 1-3 年 高親密度 遠足 1-3 年 高心像 少女 1-3 年 典型 学力 1-3 年 高親密度 大切 1-3 年 高心像 白紙 1-3 年 典型 少女 1-3 年 高親密度 正直 1-3 年 高心像 絵画 1-3 年 典型 地下 1-3 年 高親密度 合図 1-3 年 高心像 木刀 1-3 年 典型 野生 1-3 年 高親密度 書店 1-3 年 高心像 神社 1-3 年 典型 正門 1-3 年 高親密度 科学 1-3 年 高心像 車庫 1-3 年 典型 回答 1-3 年 高親密度 今朝 1-3 年 低心像 左右 1-3 年 典型 書店 1-3 年 高親密度 先週 1-3 年 低心像 四月 1-3 年 典型 先週 1-3 年 低親密度 土足 1-3 年 低心像 学力 1-3 年 典型 運送 1-3 年 低親密度 花見 1-3 年 低心像 野生 1-3 年 非典型 出口 1-3 年 低親密度 中間 1-3 年 低心像 見方 1-3 年 非典型 夕日 1-3 年 低親密度 野生 1-3 年 低心像 戸口 1-3 年 非典型 大人 1-3 年 低親密度 白紙 1-3 年 低心像 今朝 1-3 年 非典型 昔年 1-3 年 低親密度 正門 1-3 年 低心像 先週 1-3 年 非典型 早口 1-3 年 低親密度 家来 1-3 年 低心像 家路 1-3 年 非典型 雨水 1-3 年 低親密度 回答 1-3 年 低心像 都合 1-3 年 非典型 小鳥 1-3 年 低親密度 光線 4-6 年 高心像 競馬 1-3 年 非典型 正直 1-3 年 低親密度 戸口 4-6 年 高心像 楽器 1-3 年 非典型 家来 1-3 年 低親密度 木刀 4-6 年 高心像 梅雨 1-3 年 非典型 近道 1-3 年 低親密度 校外 4-6 年 高心像 手術 1-3 年 非典型 見方 4-6 年 高親密度 祝日 4-6 年 高心像 迷子 1-3 年 非典型 木刀 4-6 年 高親密度 楽器 4-6 年 高心像 宝石 1-3 年 非典型 元日 4-6 年 高親密度 課題 4-6 年 高心像 頂上 1-3 年 非典型 今朝 4-6 年 高親密度 景色 4-6 年 高心像 正座 4-6 年 典型 右折 4-6 年 高親密度 勝利 4-6 年 高心像 空腹 4-6 年 典型 課題 4-6 年 高親密度 手術 4-6 年 高心像 火傷 4-6 年 典型 勝利 4-6 年 高親密度 夢中 4-6 年 低心像 景色 4-6 年 典型 望遠 4-6 年 高親密度 責任 4-6 年 低心像 消印 4-6 年 典型 焼失 4-6 年 高親密度 報告 4-6 年 低心像 初孫 4-6 年 典型 夕刊 4-6 年 高親密度 宝石 4-6 年 低心像 校則 4-6 年 典型 夢中 4-6 年 高親密度 収入 4-6 年 低心像 逆手 4-6 年 典型 責任 4-6 年 高親密度 出勤 4-6 年 低心像 河口 4-6 年 典型 勢力 4-6 年 低親密度 大漁 4-6 年 低心像 大勢 4-6 年 典型 木製 4-6 年 低親密度 望遠 4-6 年 低心像 収入 4-6 年 典型 報告 4-6 年 低親密度 焼失 4-6 年 低心像 出勤 4-6 年 典型 頂上 4-6 年 低親密度 校則 4-6 年 低心像 早熟 4-6 年 典型 正座 4-6 年 低親密度 勢力 4-6 年 典型 幼虫 4-6 年 低親密度 木製 4-6 年 非典型 祝日 4-6 年 低親密度 逆手 4-6 年 非典型 競馬 4-6 年 低親密度 河口 4-6 年 非典型 楽器 4-6 年 低親密度 正座 4-6 年 非典型 梅雨 4-6 年 低親密度 樹木 4-6 年 非典型 景色 4-6 年 低親密度 早熟 4-6 年 非典型 消印 4-6 年 低親密度 幼虫 4-6 年 非典型 初孫 4-6 年 非典型 祖先 4-6 年 非典型 迷子 4-6 年 非典型 逆手 4-6 年 非典型 河口 4-6 年 非典型 大勢 4-6 年 非典型 火傷 4-6 年 非典型 樹木

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1 .配当学年×一貫性リストの誤読率 誤読率を角変換した値に関して,配当学年と一貫性 を要因とする分散分析を行った.被験者分析では配当 学年(1-3 年,4-6 年)と一貫性(典型,非典型)を 被験者内要因とし,項目分析では配当学年(1-3 年, 4-6 年)と一貫性(典型,非典型)を項目間要因とした. 被験者分析において,配当学年×一貫性の交互作用 と,これらの要因の主効果が有意だった(配当学年× 一貫性:F(1, 244)=9.28,p<0.01;配当学年:F(1, 244)=414.39,p<0.01;一貫性:F(1, 244)=670.05, p<0.01).一貫性の両条件において,配当学年の効果 は 1% 水準で有意だったが,典型語よりも非典型語に 対して,その効果は大きかった.また,配当学年の両 条件において,一貫性効果は 1% 水準で有意だったが, 配当学年 1-3 年の単語よりも 4-6 年の単語に対して, その効果は大きかった. 項目分析では,配当学年と一貫性の主効果は有意 だったが,これらの交互作用は有意ではなかった(配 当学年×一貫性:F(1, 52)=0.71,p>0.1;配当学年: F(1, 52)=10.75,p<0.01;一貫性:F(1, 52)=19.03, p<0.01). 2 .配当学年×親密度リストの誤読率 誤読率を角変換した値に関して,配当学年と親密度 を要因とする分散分析を行った.被験者分析では配当 学年(1-3 年,4-6 年)と親密度(高親密度,低親密度) を被験者内要因とし,項目分析では配当学年(1-3 年, 4-6 年)と親密度(高親密度,低親密度)を項目間要 因とした. 被験者分析において,配当学年×親密度の交互作用 と,これらの要因の主効果が有意だった(配当学年× 親密度:F(1, 244)=118.67,p<0.01;配当学年:F(1, 244)=163.55,p<0.01;親密度:F(1, 244)=617.71, p<0.01).親密度の両条件において,配当学年の効果 は 1% 水準で有意だったが,高親密度語よりも低親密 度語に対して,その効果は大きかった.また,配当学 年の両条件において,親密度効果は 1% 水準で有意 だったが,配当学年 1-3 年の単語よりも 4-6 年の単語 に対して,その効果は大きかった. 項目分析では,配当学年と親密度の主効果は有意 だったが,これらの交互作用は有意ではなかった(配 当学年×親密度:F(1, 44)=2.47,p>0. 1;配当学年: F(1, 44)=4.65,p<0.05;親密度:F(1, 44)=16.26, p<0.01). 3 .配当学年×心像性リストの誤読率 誤読率を角変換した値に関して,配当学年と心像性 を要因とする分散分析を行った.被験者分析では配当 学年(1-3 年,4-6 年)と心像性(高心像,低心像) を被験者内要因とし,項目分析では配当学年(1-3 年, 4-6 年)と心像性(高心像,低心像)を項目間要因と した. 被験者分析において,配当学年×心像性の交互作用 と,これらの要因の主効果が有意だった(配当学年× 心像性:F(1, 244)=100.17,p<0.01;配当学年:F(1, 244)=144.99,p<0.01;心像性:F(1, 244)=127.65, p<0.01).心像性効果は,配当学年 4-6 年の単語に対 して 1% 水準で有意だったが,配当学年 1-3 年の単語 に対しては有意ではなかった.配当学年の効果は低心 像語に対して 1% 水準で有意だったが,高心像語に対 しては有意ではなかった(p=0.078). 項目分析では,すべての交互作用と主効果は有意で はなかった(配当学年×心像性:F(1, 36)=1.05,p >0.1;配当学年:F(1, 36)=3.69,p=0.063;心像性: F(1, 36)=1.96,p>0.1). 考   察 小学校 6 年生の児童の漢字単語音読に関して,1964 図 1 各リストにおける群別の平均誤読率(%)と標準誤差 エラーバーは標準誤差を表す. 典型語 非典型語 誤読率(%) 配当学年 × 一貫性リスト 配当学年 1–3 年 配当学年 4–6 年 高親密度語 低親密度語 誤読率(%) 配当学年 × 親密度リスト 配当学年 1–3 年 配当学年 4–6 年 高心像語 低心像語 誤読率(%) 配当学年 × 心像性リスト 配当学年 1–3 年 配当学年 4–6 年 50 40 30 20 10 0 50 40 30 20 10 0 50 40 30 20 10 0

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年に行われた国立国語研究所の調査では,4 年生まで に習う漢字で構成された単語ではそのほとんどが習得 されていたが,5・6 年生で習う漢字が含まれる単語 では未習得の分が残されていたと報告されている9) 最近行われた複数の先行研究においても,小学生の漢 字単語音読に有意な配当学年の効果が示されてい る3,5,6).この点は本研究も同様であった.一方,本研 究では先行研究とは異なり,文字から音への変換の一 貫性,親密度,心像性を統制させて,配当学年の効果 を検討した.本研究の小学校 6 年生の典型発達児群に おいても,配当学年の効果が有意だったことから,配 当学年の効果が有意でない健常成人の漢字単語音読10) とは対照的に,漢字単語の読み方を学習している小学 6 年生の段階では,文字列から音韻列への変換の一貫 性や親密度などの他の単語属性の影響を超えて,配当 学年が漢字単語の読みの正確性に強く影響を及ぼすの ではないかと思われた. 配当学年の効果のほかに,一貫性,親密度および心 像性の効果が有意だった.一般に,一貫性効果は,文 字と音の対応関係を用いて文字列を音韻列に変換する という文字レベルの処理(非語彙処理)を,一方,親 密度効果と心像性効果は,単語の綴り,音,意味に関 する語彙情報を用いて文字列を音韻列に変換するとい う単語レベルの処理(語彙処理)を反映した単語属性 効果である.特に,心像性効果は,意味情報が音読処 理に関与した場合に示される.これら 3 つの単語属性 効果は健常成人の音読でも報告されていることか ら1,10,11),本研究で対象とした小学校 6 年生の典型発 達児群においても,語彙処理と非語彙処理の双方を 行って漢字単語を音読していたと考えられる. また配当学年×一貫性の交互作用,配当学年×親密 度の交互作用が有意だった.すなわち,配当学年にか かわらず一貫性効果と親密語効果は有意であるが,こ れらの効果は配当学年の低い単語よりも高い単語に対 してより大きかった.さらに,配当学年の効果はすべ ての条件で有意であるが,典型語や高親密度語に比べ ると非典型語や低親密度語に対してより大きかった. 一般に語彙処理では典型語と非典型語の両者に対して 正しい読みを産出する一方,非語彙処理では典型語に ついて正しい読みを,非典型語については誤った読み を産出する.非語彙処理で読むことが可能な典型語に 対しても配当学年の効果が有意だったことから,配当 学年が低い漢字に比べると高い漢字において,文字と 音の対応関係が未習得または曖昧な単語が多かったの ではないかと思われた.同様に,意味情報を介さずに 単語全体の綴りから単語の音が想起されることが多い 高親密度語においても,配当学年の効果が有意であっ たことから,配当学年の低い単語よりも高い単語に対 して,単語全体の綴りと音の対応関係が未習得または 曖昧な単語が多いのではないかと思われた.したがっ て,全体的に,配当学年の低い単語に比べ配当学年の 高い単語では非語彙処理と意味情報を介さない語彙処 理の双方を十分に行うことが困難であるために,これ らの処理が比較的難しい非典型語や低親密度語の誤読 率が高くなったのではないかと思われた.これが背景 となって,一貫性効果と親密度効果が配当学年の低い 単語よりも高い単語でより顕著に示されるという配当 学年×一貫性の交互作用と配当学年×親密度の交互作 用が認められたのではないかと思われた. また,配当学年×心像性の交互作用も有意で,配当 学年の高い単語においてのみ心像性効果が有意に認め られた.明石らの報告6)によると,小学校 5・6 年生 の典型発達児群の音読では,高親密度語に対する心像 性効果は有意でなく,低親密度語に対して有意だった. また,健常成人の音読では,低頻度例外語でのみ有意 な 心 像 性 効 果 が 認 め ら れ て いる11). 明 石ら6) Shibahara ら11)の結果は,非語彙処理と意味情報を介 さない語彙処理の双方が比較的困難な単語に対して, 意味情報の関与が音読成績に強く影響することを示し ているのではないかと思われる.本研究で対象とした 小学校 6 年生の典型発達児群においては,これらの処 理の双方が十分に行えない場合が多い配当学年の高い 単語に対して,意味情報が読みの正確性に強く影響力 したために,有意な心像性効果が見られたのではない かと思われた.また,低心像語とは対照的に,高心像 語に対する配当学年の効果は有意ではなかった.特に, 単語からイメージを想起しやすい高心像語では,低心 像語に比べると,意味情報の活用が比較的容易なため に,意味情報を活用した語彙処理が有効に働いたこと で,配当学年の低い単語と同程度に配当学年の高い単 語を正しく音読できたのではないかと思われた. 以上,本研究により,小学校 6 年生の典型発達児群 における漢字単語音読では,健常成人の音読とは対照 的に,配当学年の効果が有意なだけではなく,一貫性, 親密度,心像性の効果それぞれが配当学年と交互作用 していた.これらの結果から,配当学年の高い単語で は,配当学年の低い単語に比べると,非語彙処理や意 味情報を介さない語彙処理を十分に行えないことが多 いために,意味情報を活用して漢字単語の音を想起し ているのではないかと思われた.漢字単語の読み方を

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学習している段階の児童においては,配当学年が低い 単語と高い単語それぞれの一貫性効果,親密度効果, 心像性効果を検討することで,非語彙処理や語彙処理 の発達を把握することが可能ではないかと思われた. 謝 辞  本 研 究 は 日 本 学 術 振 興 会 科 学 研 究 費 基 盤 研 究 B (23330201)および若手研究 B(15K1742018)の助成を受けた.  利益相反自己申告:申告すべきものなし. 文   献

1)Fushimi T, Ijuin M, Patterson K, et al: Consistency, frequency, and lexicality effects in naming Japanese Kanji. J Exp Psychol Hum Percept Perform, 25: 382-407, 1999. 2)Hino Y and Lupker SJ: The effects of word frequency for

Japanese Kana and Kanji words in naming and lexical decision: Can the dual-route model save the lexical-selection account? J Exp Psychol Hum Percept Perform, 24: 1431-1453, 1998.

3)辰巳 格,宇野 彰,佐藤伊久生:小学校高学年児の漢字 音読―心像性,親密度,学年配当,一貫性の影響.神経心 理学,23:281,2007.

4)Shiba R and Ishida H: A study of reading ability of Japanese kanji among 4th to 6th grade primary school students. Kitasato Med J, 42: 156-164, 2012.

5)土方 彩,宇野 彰,春原則子,他:小学 4 年生の漢字単 語読解力と音読力,単語の聴覚的理解力に対する単語属性 の影響―児童による評定値を用いて―.音声言語医学, 52:225-232,2011. 6)明石法子,宇野 彰,春原則子,他:発達性読み書き障害 児における漢字単語音読の特徴―小学生の読み書きスク リーニング検査(STRAW)を用いて―.音声言語医学, 54:1-7,2013. 7)宇野 彰,春原則子,金子真人,他:改訂版 標準 読み書 きスクリーニング検査(STRAW-R)―正確性と流暢性の 評価―.インテルナ出版,東京,印刷中.

8)Uno A, Wydell TN, Haruhara N, et al: Relationship between reading/writing skills and cognitive abilities among Japanese primary-school children: normal readers versus poor readers (dyslexics). Read Writ, 22: 755-789, 2009.

9)国立国語研究所:小学生の言語能力の発達,明治図書出版, 東京,1964.

10)Shibahara N and Kondo T: Variables affecting naming latency for Japanese Kanji: a re-analysis of Yamazaki, et al. (1997). Percept Mot Skills, 95: 741-745, 2002.

11)Shibahara N, Zori M, Hill MP, et al: Semantic effects in word naming: evidence from English and Japanese Kanji. Q J Exp Psychol, 56A: 263-286, 2003.

別刷請求先:〒305-8574 茨城県つくば市天王台 1-1-1       筑波大学総合研究棟 D 217 号室

表 2 各リストの刺激 配当学年×一貫性リスト 配当学年×親密度リスト 配当学年×心像性リスト 配当学年 一貫性 刺激 配当学年 親密度 刺激 配当学年 心像性 刺激 1-3 年 典型 空気 1-3 年 高親密度 学生 1-3 年 高心像 出口 1-3 年 典型 学生 1-3 年 高親密度 左右 1-3 年 高心像 森林 1-3 年 典型 入学 1-3 年 高親密度 名人 1-3 年 高心像 大人 1-3 年 典型 森林 1-3 年 高親密度 水中 1-3 年 高心像 花見 1-3 年 典型 水中 1-3

参照

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