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比較:日・中産業連関表の基本構成
I 序ー一日・中の産業連関表の作成状況 JI 取引基本表の対象範囲の比較 ][ 部門設定及び部門別項目の比較
I
序 一 一 日 ・ 中 の 産 業 連 関 表 の 作 成状況
現代の経済においては,各種の産業は複雑 な相互関係の網の目で結ばれながら生産活動 を行っている。産業連関表はこの国民経済の
,相互依存関係を統計数値による一覧表の形で 表したもので, とくに産業聞の生産技術的連 結関係を中核に,生産面の構造を支出面と所 得形成商との両商に結び付けた経済循環の表 式である。
産業連関表は,アメリカの経済学者W ・レ オンチェフによって開発されたものである。
彼 は1931年から独力で,アメリカ経済を対象 とする産業連関表の作成に着手し, 1936年そ の構造を『経済統計評論』誌(Review of
E c o n o m i c s a n d S t a t i s t i c s
)に初めて発表した。このレオンチェフの産業連関表による経 済分析の手法は,アメリカ政府労働統計局に よってその有効性が認められ, 1941年以後は f同局の援助によって作成されることとなった。
その後1944年,産業連関分析によるアメリカ の戦後経済の予測は,アメリカ戦時生産局計 画部による戦後予測と比較し,はるかに高い 精度を示したために,その有用性と重要性が 広く認められるようになった。このことを契
a機として,その以外の諸国においてもそれぞ
組
エ 区日w
国民経済計算との統合性乃比較v
おわりに平
れの国での国民経済について産業連関表が作 成され,産業連関分析が行われるようになっ ている。
1.日本の産業連関表の作成と適用状況 日本における産業連闘表はアジアで最も早 く,経済企画庁および通産省がそれぞれ1951 年を対象年次として作成した試算表を曙矢と する。経済企画庁の表は国民経済計算に対応 した9部門であるのに対して,通産省のそれ は182部門却、う大型の表で,両表の聞には 部門分類の方法に大きな差があった。また,
それぞれ別個の概念規定と推定方法によって 作成されたため,計数上にも相当の食い違い が見られた。同一年次を対象としながら二つ の計数が存在することは好ましくないという 理由から,その後,関係省庁の共同事業とし て整合性のとれた産業連関表が
5
年ごとに作 成されている九そして, 1960年表にほ,国 民経済計算上の整合性のとれた産業連関表の フレームが新しく作成され,部門分類と概念,定義の在り方について,時系列比較や国際比 較の面から基本的な改善が加えられた。部門 分類に関しては,原則として日本標準産業分 類およひ命国際連合の国際標準産業分類に準拠 した部門分類が採用されることになっている
1〕総務庁『昭和60年産業連関表一一総合解説編 一一』 1989年, p.357.
174 立教経済学研究第45巻 第4号 1992年 が, 1968年国際標準産業方類の改定と新SN
A2
>の提示があったため,これらに対応して,部門分類や概念の面で調整が行われた。 1951 年から今日まで約40年聞にわたって,日本の 産業連関表i主部門分類,概念,表の規模およ び各年次表の比較可能性などの面で成熟化し,
同氏経済の運営と経済政策の策定に大きな役 割を呆たしてきた。
W ・ W・レオンチェフ自身が主著『アメリ カ経済の構造』で明らかにしたように,産業 連関論にとってその実際の経済分析への適用 はその理論研究に匹敵する重要な問題であ るへ 日本における産業連関表
ι
よる経済分 析への最初の適用事例は,通j{lj産業昔、が1951 年表を用いて行われた構造分析であった。そ れから多くの分野でその適用が試みられたが,産業連関分析に固有の仮定により実証分祈と しての有効性は,かなり疑問視されているヘ しかし,経済体制のそれぞれ異なる諸国で産 業連関分析による経済分析がさまざまの分野 で実行され分析手段のもつ有効性が両まった と判断され, 日本では経済の予測,計画への 適用と相並んで経済政策による効果の測定な どが政府,民間によってブ心、に促進されてき た。その適用の実例は大別して次の三つに分
2〕United Nati口ns Statistical Offic: A System of National A:icounts Studies ~n lvfethods, Series F. No. 2, Rew3 1968. 3) Leontief W. \\ソTheStructure of American
Economy 1919 1939 ; An Empirical Applica tion of Equ日brium Analysis Ist ed. 1941. 2nd ed.
(山田勇・茨木秀太郎訳『アメリカ経済の構造』
東詳経済新報社, 1951年)
4)連関分祈についての日本における批判的研究 としてはさにじげコものがある。
I iJ田喜志、大
l
産業連関誌のは討」『統日{学』第7号,野沢正徳「静学的産業連関論と再生産 表式(1J(2U 『経済論叢』第98巻第6号,第99巻 4号, 1966‑67年。長屋政勝「産業連関論J「講 座現代経済学批判E』日本評論社, 1974年。岩 崎俊夫「£ぷj事関論的経済方灯の有効
i
主l二つい て」北大『経済学研究』第29巻第3号, 1979年 等。けることができる。④経済の構造分析,⑦経:
済効率と経済政策効果の測定,③経済予測と それに基づく経済計画の作成。
ともかく,日本では,産業連関表の理論研 究の展開とともに,数多くの経済分析への適 用 の 成 果 が な さ れ て き た 九 金 子 敬 生 氏 は
「我が国における産業連関モデルによる実証 分析の研究水準は世昇の国々のなかでも最も 優れた国のク号ループに属する」6)と指摘し,
日本における産業連関去の経済分析への適用 の実績と有効性を強調している。
2.中国の鹿業連関衰の作成状況
中国では1950年代にソ連から物材バランス 表,財政バランス表および労働力ノtランス表 の三つの表を中心とする国民経済勘定方法が 導入され,これらのバランス表が作成されて きた。その後産業連関去も作成するよう提案 が出され, 1960年代の初め頃に具体的な検討 が行われたが,当時の厳しい政治的制約のも
とで, とりわけ「文化大革命」を契機として,
連関論が数式に満ち,その方法論がブルジョ ア経済学のものに近いという理由で強く批判 され,研究の展開が中止された。 「文化大革 命」のあと, 1975年 二国家計画妄員会によコ
て, 1973年次の61×61部門の物量表示の産業 連関表が試算表として作成されたのそれ以後,
国家統計局,国家計画委員会まうよび関係部門 などl土共同で1981年を対象年次とする物量表 示と価値表示の全国産業連関表を, 1982年に 完成した。さらに, 1984年に
J r 1
:永独作業で, 1983年の[函値表示の庫呆連関表が 完成された。これらの表は物的生産部門の生 5〕日本にちける産業述調表の利用のブミ例につい
ては次の文献参照。
金子敬生・古旧稔『日本の産業連関』春秋社y
1969年。令子敬生『産業連関理論と遇用』日本 評論1[:,1971年。前掲総務庁『問手Li60年表』 p. 239 2180
6)金子敬生『産業連関分析』有斐閣双書, 1976 年。
比較:日・中産業連関表の基本構成 175
:産と所得の勘定のみを重視し,全体は物的生 産物バランス勘定体系,つまりMp S体系に 基づいて作成された。その後,経済改革と対 外開放の進展にともない国民経済の考察領域 の拡大と国際比較が必要とされたために,非 物的生産部門,いわゆるサービス産業を含む ず産業連関表の作成が急務であることが認めら れた。それをきヮかけに 1987年 3 月, ~I 国政 府から1987年を対象年次とする全国産業述閲 表を作成する方針が打ち出された。その方針 では,従来と異なって表の規模を格段に拡大 し,非物的生産部門をも含めて作成すること が決定された。これによれば, 1987年表を 1988年末に完成,さらに,その後も5年ごと に全国産業連関表を作成することが明らかに されている。 1987年産業連関表は,予定より 大幅に遅れたものの, 1991年7月,内外の注
目にLじえて公表された。それは中国の産業連 関表の作成と研究の発展を大いに促進する端 緒となったの。
中国において産業連関表は,経済計画と経 済政策の作成の有力な道具として注目を浴び ることとなったが,実は産業連関表の適用に 関しではその統計的叙述による経済構造や産 業問依存関係の鮮ザj,最終需要計画から出発 して生産額を計測するといった側面以外には あまり知られていない。しかし,今後産業高 度化を特徴とする経済構造の急速な変化やそ の変化に対応する経済政策の策定が当然問題 になってくるであろう。中国からみれば日本 のような著しL、経済成長を遂げた国の経済構 造とそれに対応する経済政策の変化は非常に 興味のあるところである。それらを実証的に 解明いその成果を自国の経済の政策参考に するためには,日本と中国の産業構造がどう 違うかをまず知る必要がある。こいづ場合
7〕中国における産業連関表の作成の歴史的背景 については,次の論文を参照。
越晋平「中国における産業連関表作成の歴史 的展開」『統計学』(経済統計学会)第61号, 1991年。
には国民経済の最も重要な統計の一つである 産業連関表は,この目標を実現する上で十分 機能するであろう。しかし,産業連関表はそ れぞれの国の統計事情に基づいて作成された ものであり,互いに比較できるかどうかすら 知られていない状況である。そこで,本稿で は,まず日本と中国の産業連関表の基本構成 の比較を主目的とし,中国型を日本型へ,あ るいは日本型を1[:1国型へ組替える準備作業と したい。
I I
取引基本表の対象範囲の比較 日本の産業連関表は新SN Aの一般的な原 則に準拠して作成されたものであり,その取 引基本表の対象となっているのは「一定期間 内に生産された中間生産物を含むすべての財 貨・サーどスである」8)。従って,財貨・サ ービスの範囲は,通常その費用を回収する価 格で市場において販売することを意図して生 産される商品が主体となっているが,政府及 び公的な企業から供給されるコストに見合わ ない価格または無償で提供される財貨・サー ビス及び市場において販売されない財貨・サ ービスも合まれる。他方,財貨・サービスの 生産,供給の経済主体の分類を見ると,図1図1 日本衰の生産活動主体
「産業一「民間事業所
!一公的企業
生産活動| j一対企業民間非営利サー 主 体一| ピス生産者
対家百|民間非営利サーピス生産者 政府サーピス生産者
公 務
1. 非公務 出所:II昭和60年産業連関表総合解説編』
で示さ
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じいるよy
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手jl潤の獲得を日的 として商品を生産する事議所の生産活動」と いう「産業」,「家計にたいして,利益追求を 日とす5ことなく,福祉,宗教,文化, レグ8)前掲,総務庁『昭和60年表』p.170
176 立裁経済学研究第45巻 第4号 1992年 リエーション社会施設などのサービス」を提
供する「対家計民間非営利サービス生産者」,
「性格,コスト構造及び活動資金の源泉面で 産業とは大きな相違がある」ものの,行政,
教育,文化およびほかの社会サービス,経済 成長,社会福祉,技術開発などの業務を行う
「政府サービス生産者」などの経済活動はす べて対象範囲内に含まれる。これは,改めて その取引基本表の対象範囲の包括性をうかが わせる。それに対して,中国従来の産業連関 表は物的生産のみが価値を生むとL、う考えの もとで,すべての経済活動を生産的,非生産 的に分けたうえでサービス部門がその後者に 属しそこでの経済活動の成果は生産的部門の 再分配の結果として規定してきた。こうした 扱い方のため,サービス部門と物的生産部門 との取引が一括して示され,部門別の詳しい 取引関係を読み取ることができなかった。
新しく公表された87年表は従来の考え方を 改め国民経済を物的生産部門と非物的生産部 門とを含んでいる有機体であると認め,サー ビス部門を国民経済の重要な部門のーっとし て位置付けて取引基本表の対象にくみこんで おり,把握範囲を日本の表に接近させて物的 生産部門だけでなく,政府サービスなどの非 物的生産部門をも含むように規定している。
しかし,そこでは,依然として非物的生産部 門を物的生産部門から区別して表示し,両者 の性格の相違を強調して,そのように一方,
実際の処理も異なっている。これによって,
いくつかの理論上の混乱が残されている。そ れについての詳細な検討は筆者がすでに別 稿9)で言及したので,それを参照されたい。
ここでは,サービス等の経済活動を取引基本 表の対象にくみこむ必要性を強調し,サービ スを含む産業聞の依存関係を実証的に解明す るための整理を行っておきたい。
国民経済のどの部門も経済活動を行ってい るかぎり他経済部門から購入した原材料やサ
9〕前掲,越晋平論文参!照。
ービス,家計や他経済部門(ないし外国〉か ら調達した生産要素(労働,資本設備〉を一 定の経済活動プロセスに投入し,その結果産 出される財貨・サービスを最終的な利用者に 供給し,中間消耗として他の経済部門に提供
している。 「特定の期間において,国民経済 における各種の投入物がどの部門から発生しク4 各産業部門の産出がどこに向かつて流れてい
るか,の全てが一つの表に要約したのがいわ ゆる産業連関表である」10)。従って産業連関、
表を見ると,各経済部門がある一定の期間に どれだけの生産をし,ほかの生産部門とどの占 ように関連しあっているか,国内市場で産業 向けの生産物と家計消費向けの生産物の比率ゐ はどうなっているか,またどのぐらいの労働t
用役を需要しているかが明確に読み取れる。
しかし,産業連関表を以上のように機能させ るためにはまず国民経済のすべての経済部門}
を対象し,その経済活動を技術的性格によっ て多くの部門へ分割し,これらの部門聞にお、
ける一定期間内の財貨・サービスの取り引き を二次元の形式で記録しなければならない。
そのなかにはサービス部門を含められるべき であろう。サービス部門を国民経済の諸部門
との関連から切り離し,その経済活動の効果ー を単なる最終需要の構成要素として一括して 表示する場合には,産業連関表における最終 需要は生産と独立して決定されるとし、う特質 を持つので,物的生産部門が経済活動の主体:
としての最終需要との関連について考察する ことができるが,サービス部門で起こった需 要の変動が生産部門に及ぼす影響は単純に直 接影響の生じた産業の範囲内にとどまり,そ れらの部門の生産要素に増減が生じる程度の 問題でしかないで、あろう。しかし,経済発展 の歴史が教えるように経済が発展すればする ほど物的生産部門間だけでなく,第三次産業炉 いわゆるサービス産業閉またはそれとほかの
10)新飯田宏『産業連関分析入門』東洋経済新報 社, 1978年, p.28o
関 表 業 連 産 1987 年 国 中 表1
単位:万元
(生産者価格表・ 6部門)
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需 貨物運送,郵 便通信 業
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984712叩 320199211281490ll26016893l1152317127169 01 0
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609071 118! 農 業
工 業 建 設 業 貨物運些・郵便通信業 商 業 飲 食 業 ゴド物的生産部門 中 間 中日l﹄i
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表〈続〉 一円U1∞
連 業 産 年 1987 国 表
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中単位:万元
(生産者価格表・ 6部門〉
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貨物運送・郵便通信業1 4 I 0 1033931 1176031 214341 139C27 2424SOI 1457851 3882151 8526001 1 I ‑ I 商 業 飲 食 業 I 5 I 〔 2130201 2457851 809151 326m 53972:JI 4145631 9542831 ‑9526001 1 I I 非物的生産部門 I 6 I 引 01 01 01 01 I 01 ol 3428241 2 I ‑ I
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比較:日・中産業連関表の基本構成 179 産業の聞の依存関係もますます増大してし、く。
こうした現代経済の言わばサーピス化によヮ て,第三次産業部門に生じた小さな変化もや がて全経済に波及し,初期の小さな変化も最 終的に累積されて経済体系全体としてはかな りの大きさになりうる。そこで我々はこれら の直接・間接効果を総合した全効果がどの程 度になるかを崖業別にもマグロ的にも明らか にする必要がある。それゆえ,日本の産業連 関表においてはサービス部門も物を生産する 部門と同じく内生部門に組込みそれと物的生 産部門との取引関係を産業別に詳しく記録し
ている。
表lは,中国1987年産業連関表を6部門に 統合したものである。 87年表のレオンチェア 逆行列係数表を用いて各産業の最終需要増加 による各産業への波及効果11)を計測した結果 が表 2で示されている。それによると,サー ビスからなる非物的生産部門がその最終需要 を10億元増加する場合iニ,農業,工業等の4 つの物的生産部「lljの総生産高はそれぞれ2.37, 24. 45, 1. 03, 2. 33億元増加し, 波及効呆に ついて他の産業とほぼ買を並べる水準にある ことが読み取れる。さらに,表
3
で各産業の 影響力係数と感応皮係数の計算結果及びその 大きさの順位∞を示してある。 「非物的生 産部門」は影響力係数が5位にすぎなか勺た のに対して,感応度係数が工業と農業につい で3
位であった。影響力係数は,ある列部門 11)最終需要の増加lこ要求される生産額の増加!土,生産額ペクトルをX,最終市型ベクトルをY, 投入産出係数ベクトルをAで表したとき,次の 式で計算される。
6‑X=(I‑Aγ1ムY
12)数式では,逆行列 (I‑A) iをB( =bij)で 表した場合に, j部門の影響力係数巴ji土,次の
ように定義される。
eJ=lOOX ~bi川平子 bi仰}
またi部門の感応度係数k1は次のように定義さ
止しる。
k;=lOOx
t
biJ/ {(t f
biJ〕/n)}の単位当たりの需要が会産業に与える影響の 度合いの程度を示すものであり,一般的に最 終需要的な性格が
5
齢、部門であるほどそのレ ベルが高い。感応度係数は各産業の最終需要1
単位がどの行部門でどれぐらい影響を受け るかその反応の度合いを示すものであり,そ の数値の高さに従って,中間部門的な性格を 持つ場合もあれば,最終需要部門的な性格を 持つ場合もある。要するに,二つの結果を考 慮して判断ずると,むしろ中国のケースでは「非物的生産部門」の最終需要的な性格はそ れほど強くなく,中間部門として扱われるほ うが最も適当である。中国の87年連関表は表 1のような羽 SN A方式に近いものが完成さ れたほかに, Mp S方式の表も同時に作成さ れている。表4はそれを5部門に統合した逆 行列係数を示してある。そこでは, 「非物的 生産部門」の経済活動による物的消括を最終 需要に一括に組み込まれている。こうした勘 定方式の場合,「非物的生産部門」の最終需要 が10億元増えれば,他産業へどれだIfの影響 を与えるかを計測した結果13)は表
5
で示され る通りである。それを表2
の結果と比べると,それほど大きな差はないにもかかわらず, M p S方式による計算に漏れた部分のあること
13) M P S式表の場合には,非物的生産部門(以 下サービスと称す〕の最終需要の増加に要求き れる物的生産部門の生産額の増加は次のように 計算できる。
まず,サービス消費の中に含まれる物的消沌 額を計算する。
FjニTj×fj
FJ:住民のj部門にたいするサービスの消費支 出に含まれる物的消耗額
Tj:第j部門の直接消耗係数(SNAによるも の
7
fj:住民の第j部門のサービスにたいする消費 文出芸員
次に, FJをM p S式表の最終書要ペクトルy1 に加える。
そして,ムY1=Y1十円−Y1=FJ
最後3 次の式で要求される生産の増加領を計算 する。
ムX1=(1‑A)‑1ムy1
180 立 教 経 済 学 研 究 第45巻 第4号 1992年 表2 中国87年表による産業最終需要の誘発効果
最終需要10億元 産業別の産出増加額(億元〉
増加の産業 農 業|工 業 ( 建 設 業 | 義 者 引 震 主 主 | 主 品 開 | 増 加 額 計 農 業 13. 7134 22.2481 0.0000 0.8586 2. 1061 1. 4406 40.3668 エ 業 4.0371 39.4122 0.0000 1. 0966 2.8150 1. 8566 49.2175 建 設 業 3.2918 32.4528 10.0000 1. 2025 2.8787 1. 7508 51. 5766 貨物運送・都使業 2.3409 25.0732 0.0000 10.9032 2.3507 2.0243 42.6923 商 業 ・ 飲 食 業非 物 的 生 産 部 門 32. 1.3867778 2254..24045910 00..00000000 01.. 09423576
一
2.3341I
123.. 1刊
864 4425..30692389| 影響力係数 | 感応度係数
一一一
|順位i
係 数 値 | 里 釦 也 竺 _ ! _表4 中国1987年Mp S方式表(5部門〉の逆行列係数
業|エ 業|建設業|貨運・五位民業!商業・飲食業 0.2416596 O. 1678952 I 0. 0708363 0.1466711 工 業 0.3234635 2.0188350 1. 3282390 0.5764503 0.5278609 建 設 業 00000000 0.0000000 1. 0000000 0.0000000 0.0000000 貨物運送・部便業 0.0182930 0.0407335 0.0516691 1. 0208524
o .
0209229 商 業 ・ 飲 食 業 0.0266716 0.0956450 0.1025060出所:『中国1987年投入産出表』,中国統計出版社。 1991.4 .
表5 MP S式表Iこよる非物的最終消費の誘発効果及び表2の結果との比較
i
非 明 消 費1晴 元 増 山 | 表 2の 市l
B ‑ A I CBザ A 物的産出増加額(億元) AI
巣({長元) BI
(億元〉 (勉〉農 業 2.4152 2.3678 ‑0.0474 ‑1. 963 工 業 24.2487 24.4490 0.2003 0.826 建 設 業 0.0000 0.0000 0.0000 0.000 貨物運送・郵便業 0.9818 1. 0256 0.0438 4.461 商 業 ・ 飲 食 業 2.3223 2.3341 0. 0118 0.508 計 29.9680 η
︒
円リ 守E4dヴCU F hυ ハU− のふ n u o o Fhu 0.696比較:日・中産業連関表の基本構成 181 がわかるO
L、ずれにしても,以上の計算結果から裏づ けられるように,取引基本表の対象範囲をす べての財貨・サービスを含めるように拡大す れば産業連関表は全面的に国民経済循環を映 し出すことができるのみならず,経済構造と くに産業構造の解明にも寄与することになる であろう。この点から, 87年表は中国におけ る産業連関表の適用条件を大いに促進する端 緒となるものであり,現実の要請に対応した ものである。このことは,マクロ経済運営と 経済計画・政策策定の有力な道具として高く 評価されなければならない。しかし,同時に この連関表では,理論的にサービス部門の地 位は物的生産部門と区別され,前者を後者か ら区別して表示している。結局,中間部門が 二重分類になり統計処理をさらに複雑させる 以外には実際的な意味があまりないと言わざ るを得ない。なぜなら,物的生産部門とサー ビス部門とは生産技術の物理的な見方からみ てもかなり異なる性質を持つ部門であるので,
産業連関表の基本原則どおり分類されれば,
かならず別々の産業として扱われるからであ る。従って,産業連関表を利用する場合,分 析の目的に合わせてそれぞれの産業グループ を組み立てれば十分である。さもないと,従 来の理論概念を受け継ぎながらそれと異なっ
た表示方法をとることとの間に矛盾が現れ,
理論上の混乱と誤解を招く結果になるであろ う。新しL、勘定方法と従来の理論とを両立さ せようという「工夫
J
を加えるより,日本の 産業連関表の作成と同じように表の規模を格 段に拡大し,最も現実にふさわしL、詳細な産 業連関表の作成と適用に取り組むほうが役に 立つであろうと考えられる。部門をさす,産業連関表では最終需要部門お よび粗付加価値部門を外生部門 exogenous: sectorと言うのに対し,中間需要部門および 中間投入部門を内生部門 endogrnoussector
U
汁」U)。外生部門の数値が他部門とは関!係なく独立的に決定されるのに対し,内生部マ 門間の取り引きが外生部門の数値の大小によ って受動的に決定されるというメカニズムの 存在が前提にある。この意味からも部門設定 方法では他の産業と密接な依存関係を持つサ
ービス産業部門を,外生部門として扱うのは きわめて不合理であることがわかる。
さて,内生部門と外生部門の区分に沿って 中国・日本の産業連関表の部門設定における白 特徴を比較しておこう。
1 .
内生部門日本では産業連関表の「中間需要」と「中 間投入」を構成する内生部門の分類を狭義の
「部門分類」としづ。それは「財貨・サービ ス及びそれを生産する生産活動単位,すなわ ち,事業所単位により,同一事業所内で二つ 以上の生産活動を行っている場合には,それ ぞれの生産活動をわけて,いわばアクティビ ティベース」∞という原則によって行われて L、る。中国の87年産業連関表では「中間部 門」の分類を,企業単位によって,経済用途p
消耗構成と生産技術ともほとんど同質である 製品を経済活動別にそれぞれ分けて行うとい う部門分類の原則が貫かれている。このこと から,両方の産業連関表とも「商品×商品」
の表であるといえる。しかし,中国の表は事ー 業所ベースではなく企業ベースの資料によっ て作成されたものであって,その商品分類に は純粋度の問題がかなり残されているであろ
つ。
買
部 門 設 定 及 び 部 門 別 項 目 の 比 較 日本の表では財貨・サービスを生産・供給 する経済活動主体分類は,主に利潤の獲得を ここでいう「部門」とは,いわゆる「内生 14)前掲,総務庁『昭和60年表』p.352。 部門」と「外生部門」の両部門,即ち広義の 15〕前掲,総務庁『昭和60年表』p.170182 立教経済学研究第45巻 第4号 1992年 目的とするかしないかの観点から産業,対家
計非営利サービス生産者と政府サービス生産 者にわけで行われている。それに対して,中
f 国の去で、は経済活動主体を, 「経済発展に伴
L、経済活動の中心は第一次産業から第二次産 業へ,そして第三次産業へ移行してL、くとL、
うベティ=クラーグ法則(Clark1957」)16)と
「物的生産部門と非物的生産部門とを区分す べきである」17)といったマルクス経済学原理 との三重の基準に従って分げている。こうし た生産活動主体の二重分類は新しく取り入れ られた西側経済学の原則や方法と,依然とし て従来の経済学原理を「堅持すべきであるj18)
とし叶見解との混合物であろう。さらに,日 本の主産活動主体
λ
分類が産業連関表の表頭 と表側に明記されていないのに対して, 1987 年産業連関表でははっきり明示されており,その重要性もかなり強調されている。
産業連関表の内生部門l土,各経済主体によ って生産され,供給される財貨・サービスで 構成されている。それに関連して,各経済活 動五体及びぞれによって供給される財貨・サ ーピスの種類,用途,生産技術等に即して最 も詳細i二分けられた部門分類は「基本分類」
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表 一 一 昭 昭
昭和40年表 昭和45年表
|
昭和50午表 昭和55年去 昭和60牛表
行541×405:7リ 行551父1'05列 行541x ""06列 行529X408,11j 出所 『昭和60年表解説編』
16〕竹!守啓等引先,,十学辞典』京伴経済新報社,
1989字。
17〕中国国家統計局経済平衡統計司・全国投入産 出調査弁公室『中国投入産出表一一1987年度』
中国j充計出版社, 1991年。
18〕前崎,中国国家統計局国民経済平衡統什l司・ 全凶投入産出調査弁公室『中国投入産出表一一 1987年度』。
とよばれてし、る。一般的lこ,この基本分類は 部門数は多ければ多いほど精度が高いといえ るので,ぞれは産業連関表作成技術水準と分 析精度を評価する一つの基準になっている。
表6では日本表の基本分類部門数の推移を示 すものであるが,中国1987表では基本部門数 は行117×列117であって,同1981年表の行24 x列24より3 精度が飛躍的に高ま?とものの,
日本のそれに比べると,まだ低い水準にとど まっているといわざるをえない。理業連関表 の公表にあたって日本では基本分組によるも ののほかに,各種のサイズの取引基本表,即 ち「統合部門分類表」も用意されている。
「統合分類j は基本分類のL、くつかの部門を 統合することによって誌定されにものである。
1987年表の基本分類を以上のような各種統合 分類にそくして比べてみたが,それは日本の 昭和60年去の統合小分類 (181部門〉よりお おざっぱで同統合中分類(84部門〉よりやや 細かいものの,概ね後者に相当することがわ かった。
要約すると,日本の産業連関表の内生部門 は,事業所単伎の資料でアクティビティベー スに従い,そして経済分析の利用目的に応じ て高い杭皮を備える500部門以上の基本分類 から各種の統合分損までさまさまな形で分類 されていろ。中国の1987年産業連関空では,
肉生部門の分類は従来の分類方式を改善した 上で産業三区分とL、う国際的な分類基準を導 入して好われている。その結果,それぞれの 分類目録にみられるように産業分類!;:i:互いに かなり接近している。これは中国の溢済分析 と統計データの国際比較の可能性に大きく寄 与することになろう。それに,物的生産部門 と非物的生産部門との区分がはヮさり分かる ように工夫が加えられ,この
i . ' J .
でたしかに,日本の表よりさらに再生産循環lこかんする情 報が得られ,従来の経済統計体系と
ω
接合,あるいは比較のためぷ役立つものになるとか んがえられる。
比較:日・中産業連関表の基本構成 183 2.外生部門
中国1987年産業連関表では,内生部門につ いてサービスがその中に組込まれたことによ ヮて取引基本表の対象範囲は大雑把にいえば 日本表と接近してきたとL、えるが,外生部門 についてどれだけの相違があるかを最終需要 音町"j と粗付加価値部門のJJJ~ ;こ各部門を項目別 に比較を進めたい。
(1)最終吉要部門
表 8から, 日本の昭和60年産業連関去の最 終需要部門の設定状況が者取できるが,それ と表lに即して最終需要部門の構成をみてみ よう。
昭和60年表の最終需要部門;土「家計外消費 支出
J ,
「民間消費支出」, 「一般政府消費支 出J ,
「国内総岡管資産形成J ,
「在庫純増J ,
「輸出
J
などからなっている。中国1987年表 の最終需要部門は, 「総消費」, 「総蓄積」,「純輸出jの三項目をさらに細かく分けて,
15項円からなっている。そのなかに,家計消 費i二あたる「{主民消費」が[農民消費」と
「非農民消費」に分け設けられ, 「固定資産 形成
J
の下方に「固定資産更新改造」,「回定 資産大修理」,と「基本建設」の三つに分け られ, 「基本建設」と「在庫増」の下方には「物的生産的」と「非物的生産的」とに分け られるとL寸特徴が見られ, 「在庫増」を除 いて日本の表よりさわめて詳細に設定されて
L、る。これは,中国国民経済の特徴である都 市部と農村部の消費レベルの格差の存在,同 家による固定資産投資にたいする統制体系の 存続及び物的生産計画重視の基盤強化等の反 映であるが,同時に,上述のような計画経済 の要請に応える続汁情報整備の成果でもある。
この点に限り品本表より優れてL、るとはいえ,
しかし,他方,昭和60年表では「在庫純増」
は「半製品・仕掛品在庫純増」,「流通在庫縄 土台」,「原材料在庫純増」等:こ詳細に分けられ ている。これは異なる在庫増の詰形式によっ て経済景気の判明,実質経済成長の分析に寄
与するものとして有効で、あると考えられる。
これにたいして, 87年表で「在庫純増
J
をヤ「物的生産」と「非物的生産」へ分ける方式 l土類似する機能をもつにもかかわらず, とら えかたが異なり,経済循環と市場変動の反映 としづ側酉では日本の烹より弱点をもっ。
次に,輸入・輸出の扱いについて,昭和60 年表では輸出が「最終需要」に組込まれ,輸 入が控除項目として「最終需要」と別に独立 に設定されている。中同81年表では「純輸入
(輸出一輸入〉」として最終部門に誌けられ たが, 1987年に公表された87年表の作成案の なかには輸出と輸入を別々の項目として設定 しようとL寸発想、19)が見られた。しかし,
1991年7月に公表された1987年表をみると,
81年表と同様に「縄輸出」とLづ形で「最終 需要」部門に組込まれていることがわかった。
ただし,それについての説明は仔われていな L。、
さて,各項目の相違について簡単にまとめ れば,次のようになる。
①臼本の産業連関表の最終需要部門におけ る「家計外消費支出」とは,いわゆる企業消 費と称されるものであり,その合計と列部門 の「家計外消費支出」の合計は一致する。し かし,付加価値欄ではその支出額が産業別に 計上されるのに対して,最終需要欄では全産 業で、の消費積が財別に社[ljられている。さらに,
最終需要欄では消費項目として「民間消費支 出
J
と「一般政府消費支出」が設定され,「民間消費支出」は「家計消費支出」と「対 家計民間非蛍利団体消費支出」とから, 「一 般政府消費支出
J
l土「中央政府消費支出J
と「地方政府消費支出」とから成っている。そ れらに対して中国の連関表で、は最終需要欄に おける消費に当たる項目は「住民消費支出」
と「社会消費支出」との二つに分けられてい 19)中国国家統計局投入産出弁公室『1987年全国
投入産出調査摂訓教科書』中国統計出版社,
1988年。
184 立教経済学研究第45巻 第4号 1992年 る。 「住民消費」とは,つまり家計の消費の
ことであるが, 「我が国の住民が園内におい て消費する支出をしづ」20)。ここにある住民 消費支出は付加加値禰にある「労働者収入」
の項目に消費支出対応して, 「住民個人によ る直接的消費支出のみを含んでおり,国外に おける住民の消費と国内における外国人の消 費を除外する
J 2 υ
と規定されてし唱。 この規 定は「個人の海外からの現物贈与や居住者に よる海外での消費支出については,輸入欄に L、ったん計上し,その需要先である家計消費 支出欄に計上するj22)と規定する日本の「家 計消費」項目に比べると,範囲がかなり狭くなっている。 「社会消費」とは,対家計団体 消費支出,政府消費支出などからなっており,
企業その他の機関における実物的消費をも含 む。従って,ここでいう「社会消費」は,日 本の述関表における「家計外消費支出
J
,「対 家計非営利民間消費支出」,「一般政府消費支 店J
の合計に相当する。日本の連関表では「園内総固定資本形成 l土一般政府,公的企業,家計および民間企業 が行った土地,建設物,機械,装置など有形 担定資産の国内における購入および固定資産 の振替えからなり,この資主主の取得に要した 直接費用,据付け工事,中古資産の取り引き マージンなど直接費用を合めるj23)ものであ
り
, 「在庫純増
J
宏「固定資産形成J
から独 立させ,「生産者製品在庫」,「半製品仕掛品 在 庫J
,「流通在庫」と「原材料在庫」などの 四つに分けて計とする。中凶の連関表では「総蓄積
J c
1,寸項目の下に「固定資産大蔭 理J
,「固定資産更新J
,「基本建設」と「在庫 純増]などが分けられ,固定資産形成がかな り細かく分割され計上されている。両者では 分け方のみが異なり,全体の範囲がおそらく20)前掲,国家統計局『培
l l ! i l
教科書』 p.44。 21)前掲,国家統計局『培司II教科書』 p.44o 22)前掲総務庁『昭和60年表』p. .89。23〕行政管理庁『昭和55年産業連関表一一総合解 説編←ー」1984年。 p.151。
ほぼ一致すると考えられる。しかし,両方の 項目ごとの比較は問題であり,互いに組替え る場合にも各項目を細かく分割することは一 つの難問であろう。そして,後者に軍事目的 に使用される建設物やその他の耐久財の取得 に要する支出が含まれているかどうかは,不 明である24。)
①中国の通関表において, 1987年 表 で は 輸出9 輸入が別々の項目としてではなく,
「純輸出(輸出一輸入〉」として設定されて いる。この点で、は日本の表の扱いと異なり,
輸出・入のそれぞれの波及効果の分析やそれ についての困際比較ができないcそして,日 本の輸入項目(控除〕には「直接購入(輸 入〉」と称される「居住者による海外市場の 財貨と非要素サーピスの直接取り引き」25)が 含められている。それに対して, 111国の1987 年表では居住者が個人かそうでないかによっ て扱いかたが異なり,個人の私的関係での海 外の直接購入が輸入項目に含まれたい加。
(2) 粗付加価値部門
中国表の「最初投入」とは粗付加価値のこ とである。それについて, 81年表では「減価 償却」が中間部門でも付加価値部門でもない 独立の項目よされていたが, 87年去では粗付 加価値部門に組込まれた。従って,組付加価 値欄は白本の表と同じようになり,その構成 も一致するように見えるが,実際に比較する と,次の相違がある。
24) M P S方式の産業連関表では〔1981年表〕最 終需要部門にある「蓄積
J
という項目に「軍事 的な施設,装置」が含まれている。しかし,1987表ではそれについて明らかにされていない。
鐙契夫・陳錫康「投入g差出分析
J
(中国財政 経済出版社, 1988年, p.121〕参照。25)前掲,総務庁『昭和60年表』p.89。 26〕「居民消費」から「居住者個人による国外に
おける消費が除外されている」ので,控除項目 としての「輸入」にも合まれないこととなった。
庄文武等「中国1987午崖業連関表における輸出
・入の扱い方」『統計
J
中国統計出版社, 1989 年第12号参照。比較:日・中産業連関表の基本構成 185
①日本の産業連関表における「雇用者所 子号」は, 「圏内の民間および政府などにおい て雇用されている者に対して,労働の報酬と して支払われる現金,現物のいっさいの所得 である
J 2 7
)。具体的には賃金,俸給以外に「現 物給与,給与住宅差額家賃,社会保険雇い主 負担,社会保険給付に対する上積み附加給付〜金」28)などを含むと規定されている。中国の
J産業連関表における「労働者収入」は, 1981 年表では物的生産部門の労働者の現金収入を 合んだが, 1987年表では「すべての経済活動 部門の労働者の収入部、う。だが,福松施設 関係労働者・企業営業外消費支出による労働 者の賃金,企業の利潤から支払われるボーナ ス等を除外する」29)
c
規定され,「給与住宅差 額家賃」などは除外されるので,日本の「雇 用者所持」よりその範囲がかなり狭くなって 弘、る。①日本の産業連関表で「家計外消費支出」
とは交際費や接待費など企業その他の機関が 支払う経費であり,その範囲は福祉厚生費,
交際費,招待費および出張費などに及んでい る8へそれに対して,中国の87年産業連関表 では「その他」としづ項目が設置され,そこ
とみなしてよい。したがって,この部分は日 本の表では「家計外消費支出」に計上される
ことになる。
①日本の連関表では「営業余剰」と「間接 税〈一補助金〕」が別々の項目として設定さ れているのに対して中国の表では「利潤と税 金
J c
'、う名義で二項目が併せて設置されて いる。それはそれぞれの税制の相違によって 税金の部分で異なるところが多いと考えられるが,詳しL、比較は別稿に譲りたL。、 要するに,以上の各部門の項目別の比較だ けでは中国型を日本型へ,あるし、は白本型を 中国型へ組替えるためには,十分で、ない。し かし,少なくとも,これまでの検討により,
次のことがわかった。
中国の87年表は「中間部門」の設定につい て新しい分類方法の取り入れによって日本の 表,あるいはずfS N A型表とほぼ一致するよ うに工夫されてL叩。しかし, 「最終需要」
と「組付加価値」部門の設定については現行 統計制度と国民経済体系の在り方に限定され,
各項目の概念、と範囲が十分に整備されておら ず,国際比較のための産業連関表の組替え作 業へ大きな難問が残されてしまった。 「国際 には他の項目 l二含められていない雇用者へ払 比較の可能位というのは単に産業連関表の内 われる給与や「企業消費
J
とが含まれている。 生部門と外生部門との分け方が一致するかど日本の表であれば前者は「雇用者所得」に入 るが,後者はむしろ「家計外消費支出」に計 上されるであろう。また, 87年表では「福祉 基 金
J c . 1
、う項目が設定され,解説によれば「福祉基金とは物的生産部門においては賃金 総額の一定割合で引き出されて福祉へ回す費 用で,非物的生産部門においては雇用者の福 駈厚生費を指すj31)のであるから,雇用者所 得として処理されたもの以外の福祉厚生費用
27)前掲,総務庁『昭和60年表』p.93o 28)出掲,総務庁『昭和60年表』 p.93。 29)前掲,国家統計局『1987年全国投入産出調査
培訓教科書』p.47。
30〕前掲,総務庁『昭和60年表』p.92o .31〕前掲,国家統計局『培訪II教科書』p.48。
うかの問題だけでなく,比較の対象となる指 標がどの程度で比較できるかにも深くかかわ る」叩。従って, 1987年表は国際比較の可能 性について限界をもっ。産業連関表作成の関 係者の一層な努力が期待される。
w 国民経済計算との統合性の比較
「国民経済計算とは,特定の時点と期間 k 関する国民経済の構造と動きをマグロ的に特 徴付けるさまざまな集計量のシステムとして 記録する方法である」33)。日本で採用されて L、る国民経済計算体系いわゆる新SN A体系
32)前掲,越晋平論文参照。
186 立 教 経 済 学 研 究 第45巻 第4号 1992年
\ 一 I~ ~I~ ~~r~~I, ~8 ,:10[~1 ~~~1 ~ !
~~lE ii~~ l l i ;1i1~
流入勘定
i 市民 1 1 1 Lb~
I~,'J~~i I H I I I I I I I l ド
海外:J日~ ~I l山 ' t i 1 1 1 川 十 円
は国民経済活動を続一的に記録し,ぞれまで 独立的に作成されていた産業連関表,国民所 得統計,資金循環表?国際収支表と国民貸借 対照表の五つの表を相互に関連付け,その体 系イヒを凶ろうとしたものである。表7は行列 の形を用いてその体系を示したものである。
そこで,産業連関表l土国民経済計算における 生産勘定と統合され,直接に諮勤定の資料利 33〕倉林義正等[「同民経済計算」東洋経
s
主新報社,1988/f・, p. 460
用も可能になってきた。例えば,産業連関表 の「最終需要
J
(j:「家計外消費支出」を除い て,経済企画庁で作成する国民経済計算の「国民総支出」にほぼ対応するものであり,
そして,表
8
のように各項目が国民経済計算 の諸項目に対応する。 「組付加価値J
部門l土, ほとんど国民経済計算における「国内総生 産」勘定に対応、する〔表9参目的。中国でl土,従来の勘定方式では産業連関去 が作成されずに告勘定の統合性を欠いていた。
比較:日・中産業連関表の基本構成
表8 産業週間表と国民経済計算との対応〈最終需要〉
産 業 連 関 表 | 国民経済計算(経済企画庁〉
i
家 計 外 消 費 支 出 ||
(内生部門に格付m …
| 民 間 消 費 支 出
l
‑1‑ !民間最終消費支出|家計消費支出 家計最終消費支出
対家計民間非営利団体消費支出 対家計民間非常利団体最終消費支出
(一般政府消費支出
i ‑ ! ‑ i
政府最終消費支出(中央政府消費支出 | 中央政府
地方政府消費支出 | 社会保障基金
地方政府 園内総資本形成
総固定資本形成
|国内総閤定資本形成(公的〕
l | E 三 三 割
一般政府総固定資本形成 企業設備投資
住宅投資
|国内総司定資本形成〈鵬!
··l···l~I
企業設備投資
i
在 庫 純 増 |+ I ・
在 庫 品 増 加 !住宅投資生産者製品在庫純増 | 製品在庫
半製品・仕#卜品在庫純増 | 仕掛品在庫
流通在庫純増 | 流通花庫
原材料在庫純増 | 原材料在庫
所在不明在庫純増
経常海外余剰
187
財貨・サーどスの輸出と海外からの要素所得
直三互[ |
|財貨・サービスの輸出!輸出(普透貿易〉 | 財 貨
輸出(特殊貿易〉
I
運斡・遇信,保険サービス,その他輸出(直接購入〕 | 直接購入
(国内概念のための設定されていなLウ−ート……海外からの要素所得
財貨・サービスの輸入と海外への要素所得
E 二 三 日 ・ + ・ i
財貨・サービスの輸入(輸入〈普通賢易〉
I
財 貨輸入〈特殊貿易〉 | 運輸・通信,保険サービス,その他
輸入〈直接購入〉 | 直接購入
関税,輸入品商品税
〈国内概念のため設定されていない〉・
・ ・ +
海外への要素所得〈注〉産業速関表のにコ内は,統合中分類に対応する最終需要の項目である。
出所:総務庁『昭和60年表ー総合解説篇』
188 立教経済学研究第45巻 第4号 1992年 表9 産業連関表と国民経済計算との対応(粗付加価値〉
産 業 連 関 表
!
国民経済計算〈経済企画庁〉|家計外消費支出
l I
(内生部門に格付けされている〕( 雇 用 者 所 得
i ! i
雇 用 者 所 互 | 賃金・俸給・…・...・H・−−−……−…ー…・ ・ i
………・賃金・俸給 社公保険料〔雇用主負担〉・・……ー ー ート・・…・・・社公保障雇主負担その他の給与及び手当…・・・・・・ ・ー ト−……・その他の雇主負担
直ヲヲ一司 + I ・ ・
営 業 余 剰| 資 本 減 耗 引 勺
l +
| 固 定 資 本 減 耗 ||間接税(関税を除く〕
l |
|間 接 税|(控除〉補助金!
|
|(控除〕補助金[(注〉 1. 「資金・俸給」の扱いに関して,産業連関表と国民所得統計との間で若干の相違がある。
産業連関では「現物給与評価額」及び「給与住宅差額家賃」が「その他の給与及び手当」となっている が,国民経済計算(経済企画庁〉では「賃金・俸給」として5i上されている。
2.産業連関表のに二j内は,統合中分穎に応応する粗付加価値の項目である。
LlJ所 稔 務 庁 『 昭 和GO年表総合解説篇』
「文革期
J
以降,経済改革と開放の進行に伴 い,従来の経済情報データの集約方法ではつ かめきれない分野が拡大している。このため に1983年から,統計制度や国民経済計算体系 について, 「統計草命」と言えるほどの大き な改革が行われてきた。 1984年には,国務院 の中に国民経済紘一計算委員会が組織され,勘定体系の改善作業が着手され,以降,その 改革を更に推進するための委員会が国家計画 委員会を中心として組織されたのに加え,
1989年9月には,新たに,改革作業を専ら担 当する「国家経済計算改革委員会」が国家統 計局を中心に発足した。このようにして,新 しし、国民経済計算体系の再編成の研究が本格 イヒした。
これまでの「統計変革
J
の具体的内容は,従米の統計総合指標を使用しながら,新たな 総合指標「国民総生産( G NP〕」を導入し,
勤定体系の再編成を行なうというものであっ た。しかし,これに伴う理論的問題を別とし ても, GN Pの導入は方法論の面でもかなり 困難であると言わざるを得ない。なぜなら,
MPS方式に基づいて編成されてきた「社会 総生産額」中心と従来の勧定体系と
SN A
方 式による「国民総生産J
中心の勘定体系とで は,概念の内容,勘定範囲,作成方法及び資 料取得過程などの面で,根本的な違いが存在 するからである。二つの異なった体系をその まま並存さ辻ると,二重構造の計算システム になる。統計作業を複雑化させ,情報処理の 効率を低下させるだけでなく,統計資料の分 析と適用にも混乱を引き起こす。従って,現 実の要請に応じて,新しL、国民経済計算方式 を導入するなら,従来の統計データとの比較 可能性が確保されるよっ何らかの措置が構わ れなければならない。日本で採用された「統合性
J
をもっ新SN A国民経済計算体系の特徴が教えるところは,国民経済のすへての取り引き関係を,さまざ まな分析の視点から考察した上で全体の様相 を総合的に把握し,映し出すことの必要性で ある。そのための異なった勘定方法や総合指 標を相互に結合させ新たな計算システムを編 成する作業は,産業連関表の改造を中心に行
比較: B・中産業連関表の基本構成 189 わなければならない。言いかえれば,産業連
関表はこれから中国国民経済計算体系の再編 成において中心的な役割を果たすべきである。
以下で日体系と新体系のそれぞれの特徴を考 察し,産業連閣表の統合作用を示しながらそ の理由を明らかにしよう。
社会生産物の生産,分配,流遭と使用は,
社会主義経済活動の基本内容である。国民経 済を一つのシステムとみなし,社会生産物の 生産,分配,流通と使用について総合的に考 察する統合用具はMp S勘定体系である。し かし, Mp S体系の最大の特徴は,従来のマ ルクス生産労働にかんする原則で規定された 物的生産部門の範囲内で, 「社会総生産額」
を中心に国民経済活動の考察が行われるとい うことにある。この中心的な総合指標である
「社会総生産額」とは「所与の期間中,物的 生産諸部門で生産された物財価値である」。
それは,その物理的有形組成からみれば「総 生産物は生産手段と消費財からなる」。価値 の観点から「物的投入と新たに創造された価 値(純付加価値〉とにわけられる」。つまり,
通常C十V + Mで示されたものである。さら に詳細に考察してみれば「物的投入は物的分 野で民用された固定資産の減価償却を合む原 料,燃料,電力とその他の類似の消費項目か らなる
J 8 4
)。すなわち生産の中間使用として の物的投入の内容を明確にするには重複計算 の要素が含まれるというデメリットがある一 方,中間生産物 あるいは中間投入と中間使 用の側百からの詳細の考察が可能になるとし、うメリットがある。しかし,他方,その考察 が物的生産部門のみに限られたという点は,
国民経済を全面的,総合的に映し出す用具と してはきわめて大きな欠陥である。
新たに導入される「国民総生産」(GNP) 34〕United Nations Statistical Offic Basic Principles of the System of Balances of the National Economy', Studies in Methods, Series F. No. 17. 1977.
の特徴は何であろうか。
「国民総生産は,国民経済のなかでその年 に生産された財貨・サーピスの価額から,原 料,燃料,半製品その他中間生産物と定義さ れているものの価額を差し引L、た大きさであ り,おおざっぱにいえば,その国でその年に 新しく生産された嘗の総主,すなわち総付加
{函値である」35。 ここでいう)
R
オ・サービスは M P Sによる概念とは異なって,物的生産物 のみならずすべてのサービス経済活動,たと えば営利サービス,非営利サービスおよび政 府サービスなどが全部含まれている。そして,付加価値とは企業などの生産主体が生産活動 によって作り出す財・サービスの総産出額か ら,その生産主体が購入した原材料,燃料な どの中間投入の額を差し引L、たものを言う。
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をまとめると, 「国民総生産」では国民 経済のすべての活動を総合的に考察すること ができ,また中間活動の部分を価値総額から 差し引くことで,重複計算を完全に煙けてい るという大きなメリットがある。しかし,中 間取り引き活動が考察対象から外されたこと は一つの欠点である, SN A体系の内部では その不都合は,新SN Aにおける生産勘定と 産業連関表との統合とL、う形で解決された。この点について,広田純氏は「新SN Aの最 も大きな改定点はこの生産勘定が財貨・サー ビス別の部門分割を基礎とする産業連関表と 比較可能なものに改定された」36)
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, 指 摘 し ている。こうした経済計算体系の「統合性」が教え るところは,すべての経済部門を合める産業 連関表を作成するならば, 「国民総生産」を 中心とする勘定体系の欠点を十分に
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齢、うるということである。同時に,
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社会総生産額」勘定の問題も当然に解決される。というのは,
35〕大屋祐吉・広田純・野村良樹・是永沌弘編著
『統計学」産業統計研究社, 1985年, p.229。 36)広田純「国民所得統計
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経済統計論J
有斐閣ブックス, 1985年, p.273。
190 立 教 経 済 学 研 究 第45巻 第4号 1992年
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19 勘 福そ度労ι基祖υ者所惜所の得湖金得個人所得 20 21 所得形態、 財歳歳 入 22 23
ιtて主 保移 険転出 24 25 26
住行企政事民業業部門 27 受制取度所部得門 28 29 財 政 30 金融機関 31
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