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中央大学理工学部情報工学科 卒業研究論文
ピックアップ対象に注目した倉庫の巡回路最適化
学籍番号 13D8102006J 増川 臨
指導教員 田口 東 教授 2017年3月
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あらまし
本研究では、実際に国内国外に発送する補修部品の倉庫におけるピックアップ作業を対 象とする。一週間分の実データを用いて、必要な部品の注文に対し、回収ルートの最適化を 検討する。
最短巡回路(効率よく指定された点を巡回する経路を求める)を解くための手法である2- opt近傍を用いて、倉庫での回収ルートの最短経路を求める。次に、(メタ戦略or配送計画 問題) における回収量や回収手順の最適化を検討していく。
キーワード:2-opt法、巡回路問題、配送計画問題、ファーストフィット法
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第
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章 はじめに今の時代,配送はなくてはならない存在になっている.いろいろな配送計画と関連する配送 経路があり,様々な基準で効率の良い配送計画を解く問題がある一方で,倉庫から物を取り 出す巡回路問題が少ないように思えた.
移動する行程を早くするだけでなく,運ぶものを選択する工程を考察することで時間と 運搬量の両方の効率化が可能になるのではないかと思い,本研究に臨もうと考えた.
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第
2
章 配送計画問題2.1配送計画問題とは
本章では,配送計画問題について文献[1]に基づいて述べる.(文献[1]は今堀先生の予定)
配送計画問題とは,ある配送拠点から n 人の顧客へ,複数の運搬車を用いて物を配送する とき,さまざまな制約条件を満たしながら,そのコストが最小となる配送経路集合を求める 問題である(図1参照).この問題は代表的な組み合わせ最適化問題であり,実用性が高い 問題である.
実社会での応用を考えたとき,配送計画問題は大規模な問題となることが多い.この場合,
手計算はもちろんのこと,計算機を用いたとしても厳密解を求めることは難しい.配送計画 問題はNP困難(NP-hard)であり,多項式時間で厳密解を見つけることは極めて困難であ ると考えられている.そこで,この問題に対する妥協策として,現実的な時間で出来る限り 厳密解に近い解を求める近似解法を設計する.
図1:配送計画問題の例
2.2 配送計画問題の定式化
本稿で取り扱う配送計画問題について述べる.
本稿におけるコストとは,全運搬車の総移動距離と定義する.また運搬車には容量制約を 設け,必要ならば運搬車は何台でも使用してもよいことにする.本稿で扱う配送計画問題は 次の制約条件を持つ.
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・デポと呼ばれる点を出発した運搬車が,回収点を経由し,再びデポに戻る.
・各注文の需要は,ちょうど一つのコンテナによって運ばれる.
・一台の運搬車が運ぶ注文の需要量の合計は運搬車の最大積載量を超えない.
これらの制約を用いると,配送計画問題の入力,評価値,出力は以下のようになる.
・入力 :注文数,位置情報,コンテナの数,反復数,オーダー上限,部品それぞれの注文 数,オーダー種別,国内海外区分,出荷先コード
・評価値 :総移動距離
・出力 :評価値が最小となる回収経路,回収回数.
2.3 先行研究
この節では配送計画問題の先行研究について述べる.
配送計画問題は,制約条件の違いにより,本論文で扱う問題以外にもさまざまなあバリエー ションが存在する.たとえば顧客への到着時刻が決められている時間枠付き配送計画問題 [4]や,運搬車の種類がいくつか存在し区別している問題[6]などがある.
そしてこれらの配送計画問題も,その多くがNP困難であり,多項式時間の厳密解法は絶 望視されている[7].そこで,長時間かけて厳密解を求めるのではなく,近似解を求める方 法,すなわち近似解法の研究が古くからなされてきた.
近似解法として,古典的なものに 1964 に発表されたセービング法[3]が挙げられる.ま た,現在における多くの企業およびソフトウェアに採用実績がある近似解法は,顧客を方面 別のグループ(クラスター)に分割した後に,個々のクラスターに対してルートを設定する 解法である.この解法はクラスター先・ルート後法(cluster-first/route-second method)と呼 ばれる.クラスターへの分割に関しては,1970 年代には領域分割法(region partitioning method)が 中 心 に 用 い ら れ て お り ,1980 年 代 以 降 に は 一 般 化 割 当 法(generalized assignment method),漸近的最適性をもつ施設配置ヒューリスティック(location based heuristic)[2]の有効性が認識されている[5].
また1990年代には,得られる解の精度だけでなく,現実問題に対する頑健性の面でも高 い性能を持つメタ戦略(metaheuristics)が注目される.これは計算機の計算速度の向上によ って,ある程度の計算量の負荷をかけても実務上許容されるようになってきたことに起因 する.解法の実装に関しては,地理情報システム(GIS : Geographic Information System) を中心とした情報技術との連携による構築・導入事例が評価されている[8].
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2.4 既存アルゴリズム
この節では,本稿で用いた既存アルゴリズムについて述べる.
2.4.1 配送計画へのアプローチ
本稿では 2つのステップからなる近似解法を用いる.第 1ステップで解の構築を行い,
第2ステップでより良い(評価値の小さい)解の探索を行う.第1ステップにおける解の 構築はランダム生成もしくは既存の構築法を用いる.構築法については次の 3.2 節で述べ る.ここでの目的は,確実に実行可能性を作り上げることである.
このとき,評価値の意味では決して良い解とはいえず不十分である.そこで第 2 ステッ プで,第 1 ステップで得られた解を初期解とし局所探索法を用いることで,より良い解へ の改善を行う.3.3節では本稿で改善法として使用した局所探索法について述べる.さらに 本稿では,局所探索法を拡張し,2つのステップを何度も繰り返し行う反復局所探索法を採 用した.この手法については3.4節で述べる.
2.4.2 構築法
すでに実行可能解が 1 つ存在するとき,新しく解を生成するには,存在している解を少 し変えてやれば良い(3.4節参照).しかし,解をゼロから構築するためには,構築法と呼ば れる方法を用いる.構築法(construction method)とは,何もないところから徐々に巡回路を 拡大していき,解を構成していく解法の総称である.ここでは,配送計画問題に対する古典 的な構築法であるセービング法と,ビンバッキング問題の解法であるファーストフィット 法を元とする方法を紹介する.
2.4.2.1 ファーストフィット法
ファーストフィット法(first fit method)は,ビンバッキング問題に対する代表的な近似解 法である.ビンバッキング問題(bin-packing problem)とは,重さが異なるn個の荷物を,
Wの重さを入れることのできるT個の箱に,すべて入れられるかどうかを決定する問題で ある.本稿の言葉で表すと,荷物は顧客が求める積荷であり,荷物の重さは顧客の需要量,
Wの重さを入れることのできるT個の箱は,Wの容量を持つT台の運搬車である.
ファーストフィット法の考え方は次の通りである.
初めに顧客をランダムな順に並べる.そして並べた列の先頭の顧客から順番に,用意して いた運搬車に割り当てる.ある顧客を割り当てる際,もし運搬車の容量を超えてしまうのな
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らば,次の運搬車へ配属させる.これ以降,顧客を最初の運搬車に積むことが出来るのなら ば初めの運搬車へ,出来ないのなら次の運搬車へ割り当てることが出来たら完了である.
この手法を用いて全ての顧客を運搬車に割り当て,各運搬車での配送順序は割り当てら れた順番とする.こうすると,配送計画問題としての評価値(移動距離)を無視した,運搬 車の容量のみを考慮した初期解を生成することになる.
2.4.3 改善法
この節では,本稿で改善法として用いた局所探索法について述べる.まず局所探索法の一 般的な説明を行い,次に本稿で実際に使用した近傍について説明する.
2.4.3.1 局所探索法
局所探索法とは,ある解に少しの変更を加えて,元の解よりも良くなったとき,変更後の 解に移動するという操作を,それ以上良い解が見つからなくなるまで繰り返す方法である.
局所探索法では,現在の解 xの近傍N(x)の中から次の解を選択する.このとき評価値を 改善する解が存在しない場合には探索を終了する.この時に得られた解を局所最適解とい う.
以下,配送計画問題のように評価値をできるだけ小さくする最小化問題の場合を考える.
2.4.3.2 配送計画問題における近傍
ここでは配送計画問題に焦点を絞り,本稿で実際に用いた近傍について述べる.本稿では,
以下で説明する2-opt近傍を用いる.これらの近傍は巡回セールスマン問題に対する古典的 な近傍である.
2-opt近傍
2-opt近傍は以下のように定義することができる.
1. 1つ以上の巡回路による解が構築されている.
2. 解における2本の枝 (i , i+1) , (j , j+1) を (i , j+1) , (j , i+1) につなぎ替える.2本の枝 を交換する組み合わせは,1つの巡回路のみを対象とする場合と2つの巡回路を対象と する場合がある.これら全ての組み合わせを合わせたものが2-opt近傍である.
本稿では,1つの巡回路を対象とした場合と,2つの巡回路を対象とした場合の,2種類 に分けて考える(図1,図2参照).
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i j+1 i j+1
i+1 j i+1 j
図1 図2
2.4.4 反復探索
局所探索法で最終的に得られた解(局所最適解)はあくまで局所的なものであり,必ずし もその問題における厳密な最適解(大域的最適解)とは限らない.局所探索法は理論的には 遅い(指数オーダーの反復を要する)場合があるが,実際の速度はほとんどの問題に対して 非常に速い.したがって計算時間に余裕があるときは,さらに時間をかけて,より良い解を 探索しようという要求が自然に出てくる.
2.4.4.1 反復局所探索法
より良い解を探索するために,局所探索法の初期解を変えて繰り返し行う方法がある.こ の方法は多スタート局所探索法と呼ばれる.代表的な手法に,それまでの探索で得られた良 い解を用いて初期解を生成する.反復局所探索法(iterated local search)がある.近接最適性
(proximate optimality property , 良い解に近いところに良い解が存在するという性質)に
よれば,この方法によりさらに良好な解を探索することができる.
反復局所探索法を実行するには,局所最適解に陥った時にそこから脱出するための(通常 の近傍解とは異なる)「拡張された近傍解」が必要になる.
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2.4.4.2 拡張された近傍解
1回の局所探索が終了したとき,次回の局所探索のための初期解を再び生成する必要があ る.
そこでそれまでの探索で得られた最も良い局所最適解である暫定解に対し,ランダムな 枝の組み換え捜査を行う.具体的な手順は次のとおりである.
1. 試行回数を,5回から10回の範囲でランダムに決定する.
2. 2つの巡回路に対する近傍を,前述の2-opt近傍または3-opt近傍からランダムに決定 する.
3. 入れ替えの対象となる枝のランダムに決定する.
4. 入れ替え後の巡回路の総需要量がトラックの容量を超えていたら,枝を入れ替えずに3.
に戻る.容量制約を満たしていれば,枝を入れ替えてから2.へ戻る.2.へ戻る操作を1.
で決定した回数だけ行う.
脱出先である解は,暫定解から比較的近い解といえる.これを新たな初期解とすること で,近接最適性を生かしながら反復探索をすることができる.
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第3章 使用データ
本章では,本研究で使用する倉庫のピックアップデータについて説明する.ピックアップ データの項目を以下に示す.
① ロケーションNo(倉庫の位置情報)
② 出荷先コード
③ オーダー種別
④ 国内海外区分
⑤ 出庫ラベル出力済時間
⑥ 出荷指示バラ総数
⑦ グループコード
⑧ オーダー数
これらについて,次節で順に説明していく.
3.1 ピックアップデータ
本節では,ピックアップデータの各項目について説明する.
① ロケーションNo
倉庫の中には全部で 13224個の棚が配置されている.その棚の位置を知るために必要な のがロケーションNoである.ロケーションNoは7桁の数で表されていて,上3桁は縦の 位置情報を決めていて,下4桁の内の上2桁が横の位置情報を決めていて,残りの下2桁が 棚の中のどこに置いてあるかを決めている.この方法でロケーションNoを解析すれば注文 位置を把握できる.
② 出荷先コード
このコードは注文先にそれぞれ18桁の番号を振ったものである.よってこのコードを 見れば注文先がわかるということが今回の問題では重要な役割をしている.
今回の問題ではいくら空きがあっても同じコンテナには同じ注文先の品物しか入れられな い様になっている.この制約を満たしながら最適化するために空きがあった場合同じコー ドを探すことでコンテナの中身を満たすことが出来るので非常に重要なのである.
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③ オーダー種別,国内海外区分
それぞれ2つのコードが割り当てられていて区別できるようにしてある.
④ 出庫ラベル出力済時間
部品が回収された時間を表すものである.
⑤ 出荷指示バラ総数
注文されたそれぞれの部品数を表すもの.
⑥ グループコード
部品の種類や注文先に応じてグループ分けして番号を与えたもの.
⑦ オーダー数
③と⑥の組み合わせによって運べる上限を決めたものである.
例)1-S-Wの組み合わせならば7個まで.など
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第
4
章 データ解析とネットワーク構築4.1 倉庫のネットワーク
今回扱う問題の倉庫は,全体として長方形になっていてその中に規則的に回収場所が並 んでいるので,回収場所を1点として倉庫内のネットワークを構成する.
4.1.1 距離測定や注文位置を知るためのデータ解析方法,ネットワーク構築
倉庫のネットワーク構築をするためにデータのロケーションNo(第3章参照)を基に作っ ていく.ロケーションNoから得られる2つの位置情報を使い,ロケーションNoそれぞれ を頂点で表し,ネットワークを形成する.このようにしてネットワークを形成すると縮小型 ではあるが図6のような長方形のネットワークが形成できる.
ネットワーク上で横はすべて通れるが縦に関しては図の隙間が大きい場所と端の場所し か通れない.つまり図3の中の赤い線の部分は通れるが線が通ってない部分は通ることが できないというわけだ.
黄色い点は出発点であり終着点である.
図3: ネットワーク構造
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4.1.2 倉庫内の距離測定方法
・距離測定の仕方
今回解く問題である倉庫は規則正しく配置されているがどの通路も通れるわけではない ので最短距離を 2 点間の直線距離のように単純化してしまうと実際とは異なる距離が出て 答えも違ってきてしまう.
実際の倉庫は4.1.1節で使った図3のようなネットワークになっている.
通れるのは線が引いてある場所のみなのでこれを縦の線を基準に 3 つのグループに分け る.
このグループ分けを行ったときにネックになるのが同じグループに回収する部品がある ときである.例として図4の黒いブロックからオレンジのブロックへ移動するときを考え ていく.1ブロックの距離を 1 として縦に1つ分移動することも距離を1として右から回 っていく距離と左から回っていく距離を比較すると左から回っている赤い線の距離が短く,
右から回っている黒い線の距離が長いので,この場合は左から回っている赤い線の回収ル ートを選ぶようにする.
この回収ルートを判断するために今回は1グループの中間地点から端までの距離が近い ほうの点を選ぶ.つまり今回の場合だと黒いブロックから端までの距離の近いほうは左に いくもので距離1,オレンジのブロックから端までの距離の近いほうは右にいくもので距離 2である.距離1のほうが短いので今回は左から回るほうを採用する形となる.
これは上の回収ルートと一致する.
異なるグループのときの場合は縦に通る道が途中にあるので,このことを考えずになる べく直線に進むようにすれば最短距離を出すことが出来る.
この考え方で今回の問題に対する点から点への最短距離を求めた.
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図4:倉庫内の距離の測定の仕方
4.1.3 特有なピックアップに対するアプローチ法
今回の問題は回収するときに8個のコンテナに荷物を入れていきコンテナがすべて埋ま るか(図5)回収場所がなくなったときに(図6)初期点に戻ってくるようにすることとなって いる.それ以外のときに初期点に戻ってくることはない.
*空のコンテナや回収してない場所は薄い青で表し,荷物が積まれるか,部品が回収され たら黒色をつけるようにする.
図でコンテナは左図の台形によって示す.
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図5 : コンテナが先に埋まって初期点に戻ってくる状況
図6: 回収地点がなくなり初期点に戻ってくる状況
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実際にはコンテナに 1 つものが入ったからといって,次のコンテナに入れるわけではな い.コンテナの中身がいっぱいになるか,これから紹介する制約を満たせるものがないとき であるコンテナがいっぱいになる条件は,第3章で説明した出荷バラ総数がオーダー上限 を超えていたときのみと考える.その条件の下,コンテナにまだ空きがある場合,次のこと を考慮していく.
同じコンテナに入れるには以下の制約を満たす必要がある.
・コンテナに荷物を入れる空きがあること
・出荷先コードが一緒であること
例)部品が以下のような組み合わせだったとき ※()内は出荷先コードを示す.
部品A(12R) 部品B (25D) 部品C(12R)
① まず部品Aを空のコンテナに入れる.
② 次に部品A を入れたコンテナにはまだ空きがあるので,部品Bを入れようとするが,
制約を満たしていないので部品 B を入れることは出来ず,次の空のコンテナに入れな ければならない.
③ 次に部品C を見る.両方のコンテナも空きがあるが制約を満たしているのは部品A 側 のみなので部品Aが入っているコンテナに部品Cを入れることが出来る.
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第
5
章 回収ルートの最適化本章では,時間効率,回収に行く回数を減らすために2-opt法を利用して得られた最短回 収経路の結果を比較して回収方法の最適化をしていく.
5.1 回収方法による影響
本研究で使っている題材は 13224 個のデータを扱っていて毎回の回収に使えるコンテナ の数は基本的に8個と決まっている(必要に応じて変えることは可能).ここで制約を満たし た部品だけを同じコンテナに部品を入れることはできないことを考慮する.
回収方法で影響が出てくるのは回収回数と回収するときの総距離である.そして回収回 数が下がれば一度に回収できる量が増えているということがわかるので総距離も合わせて 短くできる.そこで回収回数に焦点を置いて考える.
最も回収回数のかかる最悪な状態を想定すると,常に1コンテナにつき1部品を入れる パターンである.これを行うと2237回(※)の回収に行くことになる.この結果は実際にプ ログラムでシミュレーションをしたもので最も悪い回収方法といえるだろう.
この結果から徐々に最適化を施して回収数を減らしていき,少しでもより良い回収方法 を次節から考えていく.
5.2 回収のための制約条件
回収を行うにあたり様々な制約条件があるので本節ではその制約条件をまとめていこう と思う.
制約条件
1. 宛て先と部品の組み合わせは決まっている.
2. 国内海外区分,オーダー種別,グループコードの3つによって1回に回収できる部品 の上限は決まっている.
3. 1宛て先1コンテナを割り当てる.
4. カートに乗せるコンテナの数は8n個とする.(nは1,2,3,4のいずれかである) 5. あて先が同じでなければコンテナに空きがあっても入れてはいけない.
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以上の制約条件を利用しながら次節で最適化を施していく.
5.3 回収方法の最適化
本節では前節で述べた制約条件を①から順に満たしていきながら,今回の問題の最適化 を行っていきたいと思う.
まず1,2は下準備のようなものである.
1は第3章で説明した出荷先コードというものが対応しているので,それを自分で簡単な ものにコード化することで利用しやすいように1から整数を与えていった.
例)
出荷先コード
コード化する前 コード化した後
2 も第3章で説明した国内海外区分,オーダー種別,グループコードの3つを利用して,
一度に運べる量を把握することでより現実的な倉庫の回収を再現できるだろうと考えた.
例)
グループコード オーダー種別 国内海外区分 コンテナ収容数
1列ずつそれぞれに対応している
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3 からは実行結果の比較をしていき最適化ができていく様子を実際に見ていこうと思う.
3の制約条件は最もシンプルなので最適化から最も遠いものになる.それでは結果を見て いこう.
図7:1-3の制約を満たした結果
これが5.1節で説明した最も悪い回数の結果になる.
次に4の制約を満たした結果を見て上の結果と見比べていこうと思う.
その前に4の制約をつけた理由を述べていく.
5.1節でも説明したが本来は8個で作業している.しかしピックアップされている部品の 一つのコンテナに収容した実際の部品数が1のものが圧倒的に多い.(次ページ参照)
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図8:部品必要個数の量を表すグラフ
このグラフは縦軸に必要バラ総数の量を表し,横軸に必要バラ総数を表す.
この結果の細かい数字として必要バラ総数 = 1のものが6061コ,= 2のものが2040コ 存在し,13から先は50以下となる.これを考慮すると1や2のものを運ぶ回数が増えて しまうため,一回に回収しにいったときの効率が悪い.そこで1 対1対応になっているコ ンテナの大きさを半分や1/3など小さくして搭載数を増やし,一回に運べる量を増やそうと いう考えである.
ここからコンテナの数を増やしたものの結果を見ていく.
図9:コンテナの数を増やした時の結果
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結果よりコンテナを増やすことで回収行く回数と総距離を短くすることが出来た.よく 結果を見てみるとコンテナの数を増やすにつれて回収に行く回数の差や総距離の差が小さ くなっている.さらに増やしすぎるとコンテナに入りきらないパターンのほうが増えてし まう.結果として回収数や総距離の差が大きく変わる場所と上記2つを考慮して,制約4で の最適解はコンテナの数16コか24コではないかと結果から考えた.
最後に5の制約について考えていく.この制約は制約 1で説明した出荷先コードを利用 していく.制約 1 によって自分が扱いやすいコードにしたことで同じ出荷先であるかの比 較がしやすくなっている.ここではコンテナに荷物を積んだ時にコンテナに空きがあるか を判断し,コンテナに空きがあった場合,上から同じコードかないかを探索し,同じコード があった場合その部品を回収ルートに追加して回収効率を上げようというものである.こ の探索はコンテナに空きがある場合は何度行ってもよいものとする.
それでは結果を見ていこうと思う.
図10:同じ送り先を考慮した場合
前回のコンテナの数のみ増やした結果を見ると歴然と変わる.これは前回のグラフでの 必要バラ総数が1,2のものが同じ場所から頼まれていることが多いため,コンテナの無駄 遣いが解消されていることが結果からわかる.
ここから前回と同じ考え方で最適解を考えていこうと思う.すると16にしたときの差は 圧倒的に変わっているがその後はその差と比べるとあまり大きくない.よって制約 5 での 最適解はコンテナ数16で考慮することだと考える.
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ここまでで制約を満たすことを終えたが,今回採用している2-opt法があくまで近似最適 解であるので第 2 章で説明したように反復局所探索として反復をさせて,より最適化に近 づけていきたいと思う.
反復回数として一番よいものを探すために今回はコンテナの数 8,16,24コで試してみた.
結果は以下の通りである.
図11:反復を考慮した結果
最適解のことを考えて結果を見ると、この中で常に悪くない結果を出している反復回数4 回が一番良いといえる.今回の場合は結果が乱数で変わってしまうと結果の比較がしづら いので,すべて同じ形で入れ替わりが行われるように設定した.
反復回数4回がいいとはいったが,今回の問題においてはコンテナの数16コが一番いい として考えているのでそこだけを見てみると反復回数は1回が最適となっている.
よって今回の問題において制約を満たした最適解は,反復回数 1 回かつコンテナの数が 16コであるといえる.
すべての結果を見てみると,同じ送り先を考慮してコンテナへの収容数をあげることと コンテナを分割して数を増やすことでの影響は大きいことがわかった.コンテナの数を増
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やすと訪問する箇所が増えることで,回収ルートの最適化を行わなくてもよい経路は見つ かることがわかる.またコンテナの数を増やすと回収に行く回数は比例するが,距離は比例 しないことがわかった。
反復を取り入れた結果があまりよくなかったので、反復のさせ方の工夫は必要だなと感 じた。
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第
6
章 おわりに6.1 まとめ
本研究では,実際に国内国外に発送する補修部品の倉庫のデータを用いて,すべての注文 商品を回収するための回収ルートの最適化を行った.具体的には現在の倉庫の制約と実際 のデータの分析をして,より効率の良い回収ルートを導けるようにした.今回の問題で回収 ルートの最短経路探索には反復局所探索法である 2-opt 法を利用し,最短距離を導きだし た.次に倉庫のネットワークを形成し,実際の倉庫と同じように部品間の配送経路を測定し ルートを探索できるようにすることで現実に近い数値が出せるようになった.そして実デ ータを分析し,1回のピックアップで,同時に取れる部品個数が少ないものが多いという特 徴を捉え,コンテナの空きに無駄があることに気づき,元の制約の中にあった送り先が一緒 であるものを同一のコンテナに入れるようにすることでコンテナの空き部分を少しでも減 らすことが可能になり,今回の問題の最適化で大きな意味を成した.
今回の問題においての制約を満たしていき,2-opt法などを適用した結果として,コンテ ナの数を16コ,反復回数は1回で最適解が得られた.この解は部品の大きさや1人あたり の作業量などを考慮した結果も含めたものなので今回の問題の最適解とした.
6.2 今後の課題
今後の課題として以下の項目があげられる.
・本研究ではコンテナの大きさを小さくしてコンテナの数を増やす,コンテナに空きがある と判断するのはオーダー上限を超えてないときのみであったが,実際には部品の重さはそ れぞれ違い,本来なら 8 コのコンテナの大きさでないと運べないものやもっと早くコンテ ナの空きがなくなっている場合が存在する.
よって,8コのコンテナの大きさでないと運べないものは場合分けして回収しにいく.
コンテナの空きにはしっかりと容量を用意して,部品の容量を足していき超えた場合を 判断できるようにする.
これらを行うことで現実に近い数字を出すことができ,実用的な最適解を出せるのでは ないかと感じる.
・本研究では時間枠制約なしの問題を解いたので,実際の回収期限を考慮した上で回収ルー トを算出することができると,回収方法の改善の仕方も変わってくるのではないかと感じ た.
・本研究を行った過程で出荷先が同じものが偏っていたが,倉庫の配置では特に出荷先は考
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えられておらずバラバラに配置してあった.しかし同じ送り先のものを同じコンテナに入 れることができ,必要なバラ総数が1や 2が多いこの問題においては同じ出荷先のものが 近くにあったほうが,総距離を短くすることができるのではないかと考える.部品配置を変 えるためには,部品の回収される頻度やよく同じタイミングで回収される部品の統計をと って配置を変えてみるということをしてみれば,総距離を一気に縮められるのではないか なと思う.
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謝辞
本研究を進めるにあたり,多くのご指導とご助言をいただいた中央大学理工学部情報工学 科の田口東教授,山形浩一助教授に心から感謝いたします.
参考文献
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