資本取引に対する取り扱い
資本取引は 1996 年の OECD 加入と 1997 年下半期のアジア通貨危機を契機に大 幅に自由化され、1999 年 4 月に施行された外国為替取引法では資本取引規制を Positive System から Negative System に転換した。
資本取引は OECD「資本移動に関する自由化規約( Code of Liberalization of Capital Movement)」体制および既存の資本取引規制体制を考慮し、預金金銭貸借、
不動産などの 12 類型に分類し、関連規定を制定している。
類型 関連規定
預金および信託取引 外国為替取引規程第7章第2節
金銭貸借および債務の保証取引 外国為替取引規程第7章第3節
公共借款の導入および管理に関する法律 対外経済協力基金法
対外支払手段、債権、その他の売買および 役務契約による資本取引
外国為替取引規程第7章第4節
証券の発行 外国為替取引規程第7章第5節
証券の取得 外国為替取引規程第7章第6節
デリバティブ取引 外国為替取引規程第7章第7節
先物取引法
不動産取引 外国為替取引規程第9章第4節および第5節
外国企業などの国内支店・連絡事務所 外国為替取引規程第9章第3節
その他の資本取引 外国為替取引規程第7章第8節
現地金融 外国為替取引規程第8章
海外直接投資 外国為替取引規程第9章第1節
外国人直接投資 外国人投資促進法
次から、各類型ごとに、その規定内容について説明する。
ただし、「海外直接投資」は、韓国企業が海外に投資をする際の規定であり、「外国 人直接投資」については、第 1 章「外資政策」において外国人投資促進法の説明をし ているため、ここでは省略したい。
Ⅴ
居住者または非居住者が預け置きおよび処分事由によって外国為替銀行および総 合金融会社と預金取引および金銭信託取引を行う場合および国民である非居住者が 国内で使用するために内国通貨による預金取引および信託取引を行う場合には、申 告を要しない。それ以外の取引については、韓国銀行総裁に申告しなければならない。
居住者の海外外貨預金および信託については、申告例外取引を除いては指定取引 外国為替銀行の長または韓国銀行総裁に申告しなければならない。
1) 金銭の貸借取引
居住者である営利法人が非居住者から借り入れようとする時には、外国人投資促進 法による借款契約などの申告例外取引を除いては外貨建借入金の場合は指定取引 外国為替銀行の長に、ウォン貨建借入金の場合には指定取引外国為替銀行の長(1 年間の累積借入額が 10 億ウォンを超過する場合は指定取引外国為替銀行を経由し て企画財政部長官)に申告しなければならない。
外貨建借入金の場合、借入時点から過去 1 年間の累積金額が 3 千万ドル を超過 した場合には指定取引外国為替銀行を経由して企画財政部長官に申告しなければな らない。ただし、租税減免決定を受けた高度技術企業の外国人投資金額以内(外国 人投資比率が 3 分の 1 未満である場合は外国人投資金額の 100 分の 75 以内)の金 額および外国人投資促進法によって一般製造業を営む企業の外国人投資金額の 100 分の 50 以内の金額で、1 年以下の短期外貨建借入金は指定取引外国為替銀行 の長に申告する。
一方、居住者が非居住者に貸付を行う場合には、申告例外取引を除いては韓国銀 行総裁に申告しなければならない。ただし、申告取引が他の居住者の保証または担保 の提供を受けて貸付を行う場合および 10 億ウォンを超過するウォン貨資金を貸し付け ようとする場合には、貸付を受けようとする非居住者が申告しなければならない。韓国 銀行総裁は、法人ではない居住者の非居住者に対する貸付については、申告内容を 毎月別に翌月の 20 日までに国税庁長に通知しなければならない。
2) 債務保証取引
外国為替取引法上において保証契約の債務範囲は金銭債務に限定されない点に留 意する必要がある。たとえば、居住者の海外現地法人が外国のリース会社から設備など をリースする場合、当該現地法人が負担するリース債務の履行を当該居住者または系列 関係にある居住者が保証する場合には、外国為替銀行に申告しなければならない。
また、非居住者間の取引において債権者である非居住者とのあいだに居住者が債務 保証契約を締結する場合、韓国銀行総裁に申告しなければならない。韓国銀行総裁は 必要時、同申告内容を国税庁長が閲覧できるようにしなければならない。
対象取引としては、「対外支払手段」および「金銭債権」を、海外に支払手段または 内国支払手段を対価として売買する取引と、財産権を売買する「その他の売買契約」
および運送・建設などの「役務契約」に基づく資本取引がある。
居住者間の取引は、原則として、一部の例外取引を除いては、韓国銀行総裁への 申告が必要であり、申告対象外の取引であっても、外国為替銀行を通して支払を行わ なくてはならない。また、居住者・非居住者間の取引は、原則として、一部の申告例外 取引および外国為替銀行の長申告取引を除いては、韓国銀行総裁への申告が必要 であり、外国為替銀行の長は居住者が居住者または非居住者と外国の不動産、施設 物などの利用・使用または会員権購入契約を締結しようとする場合で、取得金額が 1 件当たり 10 万ドルを超過する際は国税庁長および関税庁長に、1 件当たり 5 万ドルを 超過する際には金融監督院長に対して、売買内容を翌月 10 日までに通知する。
非居住者が国内で証券を発行するためには、発行資金の用途を記載した発行計画 書などを企画財政部長官に申告し、指定取引外国為替銀行に自己名義の証券発行 専用の非居住者ウォン貨口座および証券発行専用の対外口座を開設しなければなら
ない。また、外国でウォン貨証券の発行を希望する居住者または非居住者は、証券発 行申告書を発行資金の用途を記載した発行計画書などとともに企画財政部長官に提 出しなければならない。ただし、証券の発行により調達した資金は申告時に明記した 用途で使用しなければならない。
発行主体 発行希望場所 通貨 規定条文
居住者
国内 ウォン貨 適用対象ではない 外貨 申告の例外
外国
ウォン貨 企画財政部長官に申告
外貨
居住者の外貨資金借入関連の規定準用
(指定取引外国為替銀行の長または企画 財政部長官に申告)
非居住者
国内
ウォン貨(ウォン貨
連係証券を含む) 企画財政部長官に申告 外貨 企画財政部長官に申告
外国
ウォン貨(ウォン貨
連係証券を含む) 企画財政部長官に申告 外貨 適用対象ではない
非居住者が国内上場有価証券に投資する場合、外国為替銀行に自己名義の証券 投資専用の対外口座、証券投資専用の非居住者ウォン貨口座を開設することができ る。また、証券会社などが外国人投資家の国内ウォン貨証券の取引のために開設した 投資専用外貨口座を通して取引することもできる。
外国人投資促進法上の外国人投資に該当しない非上場株式を居住者から取得す る場合は、外国為替銀行の長に申告しなければならない。また、例外として認められな いその他の取引は韓国銀行総裁に申告しなければならない。
<参考> 居住者の外貨証券投資の手続き
投資売買·
仲介会社
外国 証券会社
外貨証券 投資専用 外貨勘定
① 投資資金入金
③ 売買注文
⑥ 売買契約締結の通知
② 売買 注文
⑦ 売買契約 締結通知
④ 売買 注文
⑤ 売買 契約 締結
<参考> 外国人の国内ウォン貨証券投資の手続き
外国人 投資家
投資売買·
仲介会社 証券投資
専用 対外勘定
証券 取引所 証券投資専用
非居住者 ウォン貨勘定
⑦決済資金送金
① 売買注文
⑥ 売買 契約 締結 通知
②売買注文
⑤売買契約 締結通知
④売買契約 締結
③売買注文
⑩ 決済資金支払
⑨売却代金 支払
⑦決済資金 送金
⑧決済資金 支払
外国 証券取引所 個人
常任代理人
外国為替銀行を始めとする外国為替業務取扱機関は、一部の申告対象取引を除 いたほとんどのデリバティブ取引を自由に行うことができる。外国為替業務取扱機関以 外の居住者間または居住者と非居住者間のデリバティブ取引は居住者が韓国銀行総 裁に申告しなければならない。韓国銀行総裁は必要時、申告内容を国税庁長が閲覧 できるようにする。
外国人による国内土地取得は、外国為替取引法の適用とは別途、韓国内で土地取 得契約を締結した場合、外国人土地法に従って契約の締結日より 60 日以内に市長、
郡守、区役所長に申告しなければならない。
非居住者が国内に支店あるいは連絡事務所を設置・拡張または運営するために資 金を授受する場合がその適用対象となる。したがって、支店あるいは連絡事務所の維 持活動に直接的に必要な経費、物品の輸出入代金および直接付随費用、役務取引 の代価および直接付随費用の資金授受は適用対象から除外される。
非居住者が国内支店の設置または閉鎖を行う場合、指定取引外国為替銀行に申告 しなければならない。外国本社からの営業資金導入および決算純利益送金の際には、
指定取引外国為替銀行を通さなければならない。また、国内保有資産処分代金を外国 に送金する際には、指定取引外国為替銀行に納税証明を提出しなければならない。
その他の資本取引とは、個別的な資本取引で、規定上明示されていない資本取引 のうち、国内経済与件上、規制が必要な取引のことをいう。個別の資本取引とその他
の資本取引間の区分が不明確な場合には、取引実態に最も類似している条項を優先 して適用すればよい。
参考:その他の資本取引の例:
居住者間における外国通貨で表示されているか、あるいは支払を受け得る賃貸 借契約•担保・保証・保険(保険事業者の保険取引を除く)・組合・使用貸借・債 務引受・その他これと類似した契約または相続・遺贈•贈与に伴う債権の発行な どに関する取引など
居住者と非居住者間における賃貸借契約(非居住者の国内不動産賃借を除く)•担保・保証・保険(保険事業者の保険取引を除く)・組合・使用貸借・債務引受・
その他これと類似した契約または相続・遺贈•贈与に伴う債権の発行などに関す る取引など
居住者が非居住者と資金統合管理およびそれに関連する行為を行う場合現地金融とは、法人である居住者、居住者の現地法人または海外支店が外国で使 用するため外国で外貨資金を借り入れるか、または支払保証を受けることをいう。現地 金融で調達した資金は国内金融市場を混乱させる恐れがあるため、国内居住者との 認定された経常取引による決済の場合を除いては国内流入を禁止している。