Biotechnology Explorer TM
実習用テキスト
DNA Fingerprinting キット
カタログ番号 166-0007JEDU
http://explorer.bio-rad.co.jp
DNA による証拠は、人類の問題を解決するのでしょうか?
DNA フィンガープリント法は現在、犯罪の解決に日常的に利用されています。近年では、何年も前の事 件の関係者を識別したり、無罪の被告人の容疑を晴らすためにどの程度少量の DNA が使用されたかとい うことについて、新聞にも記事が報告されています。
個人を識別する道具として DNA の持つ能力は、生徒たちの想像力を捕らえるものです。今回の作業を 通じて、制限酵素がどのようにして DNA を切断し、電気泳動により DNA 断片をどのようにして分離して可 視化し、DNA フィンガープリントを得るためにこうした技術をどのように組み合わせることができるかについ ての綿密な教育を行います。このキットを用いることにより、限定的分析、プラスミドマッピングおよび DNA 断片のサイズ決定についても示すことができます。
DNA プロファイリングの科学的、倫理的および法的意味についてはかなり考察が行われています。これ により、DNA フィンガープリント法は医学の場および法廷の場で利用されており、個人と個人との遺伝的関 係を分子レベルで識別して父親を判別するためにも利用されています。このキットにより、生徒は法科学者 としての役割を演じ、個人の識別を行うことになります。すなわち、実際の DNA を模倣的な証拠として用い、
自分自身で「誰が犯罪を行ったのか」を見つけ出すことになります。
このキットを用いた実験では、生徒は 6 種類の異なるプラスミド DNA サンプルを分析することになります。
「犯罪現場」から採集されたものと仮定されているサンプル 1 つと、「容疑者」から得られたとされている 5 つ のサンプルを、2 種類の制限酵素で切断します。生じた DNA 断片をアガロースゲルで分離し、無毒な染色 液を用いて染色して視覚化します。生徒は、この制限酵素断片パターンに基づく証拠を比較し、犯罪現場 で採取されたサンプルと 1 種類の容疑者 DNA とを適合させることになります。
このキットでは従来のヒトでの法医学に適用する代わりに、生徒をこれまで見たこともないような攻撃的な 感染症の大発生を検討するハイテク病理学者と見立てることもできます。米疾病管理センターは、新しい疾 患の原因となるだけではなく、別の菌株から複数の耐性プラスミドを獲得した新しい細菌菌株が生じている のではないかと疑っています。同センターの業務は、この原因プラスミドを識別するための DNA 診断手法 を開発することです。同センターでは種々の疑わしいプラスミドを同定し識別して、環境中でのこれらの拡 散を追跡するために、制限酵素分析を使用する「DNA 電気泳動フィンガープリント法」を利用することを決 定しています。多数の罹患患者の培養物から DNA が分離されています。こうした新しい病原体が一般に 広まり、実際に流行し始める前に、生徒がこの新しい病原体を同定するようになるかもしれません。
当社では、Biotechnology Explorer キットとカリキュラムの改良を継続しています。情報、ご意見、ご示唆な どがあれば、お寄せください。
授業の目標
このキットを使用した授業を受けたすべての生徒が、
・キットを使用した実験を行うことで、その方法に興味を抱くこと。
・DNA フィンガープリント法に関わる基本的な科学的原理についてある程度理解すること。
・証拠を重視し、得られたデータをある程度の明確性と信頼性で分析し、判定できるようになること。
・科学研究に関わる十分な過程を明確に理解できるようになること。
・その後の探求的疑問および科学的研究に関わる問題に興味と信頼を抱くようになること。
授業について
このカリキュラムは、ヒトでの法医学的検査を模倣するようデザインされていますが、遺伝分析の広い範囲 での適用を模倣するために利用することも可能です。実際に使用されるシナリオは、先生の行いたい授業 に合わせてアレンジをしていただいても結構です。(付録 A の代用シナリオが参考になれば幸いです)。
このプログラムの分析の項は、手法に沿った手順および各段階でのデータの解析において重要な概念を 発見し、それを理解する過程を通じて生徒の探究心をひきだすことを目的としています。こうしたアプロー チにより、(先生が背景情報すべてを生徒に教えることに比べて)授業全体が多くの生徒により深く理解さ れるようになります。さらに、先生が進行状況および各グループの理解度を確認していれば、必要な場合に は、ある程度の各自のペースで行うことも可能となります。こうしたアプローチにより、より多くの多様な生徒 が、上述の目標に到達することでしょう。
目 次
キット使用時に必要な試薬・器具等の一覧 ... 2
バックグラウンド... 4
時間割 ... 8
実験開始前の準備 ... 8
クイックガイド ...16
学生・生徒用テキスト...19
◆Lesson 1 DNA フィンガープリントについて ...20
<学習 1 DNA はどのような構造をしているでしょうか?> ...21
◆Lesson 2 制限酵素による DNA サンプルの切断 ...22
<学習 1 塩基配列の違いはどのようにして検出されるのでしょうか?>...22
<学習 2 制限酵素による DNA サンプルの切断実験> ...24
◆質問 ...28
◆Lesson 3 DNA サンプルの電気泳動 ...29
<学習 1 DNA サンプルで EcoR I および Pst I 制限酵素認識部位の位置をどのようにして検出するのでしょう か?> ...29
◆質問 ...33
◆Lesson 4 ゲルの乾燥および DNA パターンの分析...34
<学習 1 どの容疑者からの DNA サンプルが犯罪現場にいた個人のものと同一ですか?> ...34
◆質問 ...35
付録 A 本キットの DNA フィンガープリント法を用いたその他のシナリオ例 ...42
付録 B 実験前の講義 ...45
◆制限酵素について ...45
◆電気泳動法について...49
付録 C 教員用回答テキスト ...51
◆Lesson 1 DNA フィンガープリントについて ...51
◆Lesson 2 制限酵素による DNA サンプルの切断 ...52
◆Lesson 3 質問...54
◆Lesson 4 質問...55
(付録 B より) ...60
付録 D プラスミド DNA と制限酵素 ...63
教員用テキスト
目次
キット使用時に必要な試薬・器具等の一覧 ... 2
バックグラウンド... 4
時間割 ... 8
実験開始前の準備 ... 8
クイックガイド ...16
キット使用時に必要な試薬・器具等の一覧
このキットの構成物と、キット以外に必要になる試薬・器具等の一覧表です。1 キット=8 班×4 人分の実験に必要な数 になっています。準備の時の確認リストとしてお使いください。
本キットに含まれている内容物 キット内数量 ( )
1. 犯罪現場(CS)の DNA注、凍結乾燥品、60 g 1 バイアル 2. 容疑者 1(S1)の DNA注、凍結乾燥品、60 g 1 バイアル 2. 容疑者 2(S2)の DNA注、凍結乾燥品、60 g 1 バイアル 2. 容疑者 3(S3)の DNA注、凍結乾燥品、60 g 1 バイアル 2. 容疑者 4(S4)の DNA注、凍結乾燥品、60 g 1 バイアル 2. 容疑者 5(S5)の DNA注、凍結乾燥品、60 g 1 バイアル 7. EcoR I/Pst I 制限酵素混合物、凍結乾燥品、3000U 1 バイアル
8. 滅菌蒸留水、2.5ml 1 バイアル
9. /Hind III DNA マーカー(0.2 g/ l)、100 l 1 バイアル 10. サンプルサンプルローディングダイ 1 バイアル 11. Fast Blast DNA 染色液(500×) 100 ml 12. 色つきマイクロチューブ、2.0ml 60 13. 透明マイクロチューブ、1.5ml 30
14. アガロースパウダー 5g
15. TAE バッファー(50×) 100 ml 16. フォームフロート(マイクロチューブホルダー) 8
注;キットに含まれている DNA は実際にはヒトの DNA ではありません。
pTZ18U というベクターをもとに作成されたプラスミドを使用しています。(付録 D 参照)
本キットに含まれていない付属品 数 量 ( )
マイクロピペット(1~20 l) 1~8
必要に応じて 20~200 l または 100~1000 l のマイクロピペット 1~8
ピペットチップ(1~20 l 用) 1~8 箱
必要に応じて 20~200 l または 100~1000 l のピペットチップ 1 箱 アガロースゲル電気泳動装置 ミニサブセル GT(170-4406J1) 1~8 パワーサプライ パワーパック Basic(165-5050) 1~2
油性マーカー 1
電子レンジ 1
精製水 約 6L
500ml、1L~のメスシリンダー
200~300ml、500ml または 1L のフラスコ
クラッシュアイスとボックス 8~9
使用済みピペットチップ等を捨てるための容器 8
微量遠心分離機 1
37℃に設定可能な恒温槽 1
食品保存用ラップ 1
ゲル染色トレイ(166-0477、4 枚) 8
オプション - ゲルサポートフィルム(50 枚)(170-2984) 1 袋
バックグラウンド
法医学研究室では、法執行の現場などで、証拠の分析のために、しばしば DNA プロファイリングまたは「フィンガー プリント法」で得られたデータを求められます1。DNA フィンガープリント法では、少量の DNA を分析する場合にはポリ メラーゼ連鎖反応(PCR 法2)による増幅、大量の DNA が回収されている場合には制限断片長多型(RFLP 3)分析を 用いることができます。ヒトでの RFLP 分析では、生徒は DNA サンプルを切断電気泳動をし、アガロースゲル上で分 離して生じたパターンを比較する必要があります。今回の実験では、犯罪現場から採取した DNA とされた 1 種類のサ ンプルおよび、この犯罪の容疑者から得られた 5 種類のサンプルからパターンを得ます。生徒には、実験室で学んだ ことにさらに手を加えて、複雑なヒト DNA サンプルに対してより綿密な技法を行うことになるのだということを指摘してお くことが重要です。
<制限酵素>
制限酵素は DNA 分子に結合し、酵素の移動を停止させる信号となる特定の塩基対配列を認識するまで、らせんに 沿って移動します。ついでこの酵素は、制限酵素認識部位と呼ばれる部位で、DNA を切る分子はさみとして機能して、
特定の塩基対配列の D NA 分子を切断します(化学的切断)。
特定の制限酵素認識部位が DNA 分子内に複数存在する場合には、制限酵素はそれぞれの部位で切断を行い、
複数の断片を生じます。たとえば、DNA 分子内の異なる 2 ヶ所に制限酵素の特定認識部位が存在する直線状の DNA が制限酵素により切断された場合には、長さの異なる 3 本の DNA 断片が生じます。この DNA が環状であり、こ の DNA 上に 2 ヶ所の異なる部位を特異的に認識する制限酵素で切断した場合には、長さの異なる 2 本の断片が生 じます。各々の断片の長さは、DNA 分子上の制限酵素切断部位の位置によって異なります。
今回のキットに含まれているような環状 DNA プラスミドを、制限酵素を用いて切断した場合には、さまざまな大きさ の断片が生じます。制限酵素で切断された DNA は、アガロースゲル電気泳動法として知られる手法を用いて、分離し 観察することができます。電気泳動とは、電荷を利用して運ぶという意味です。
<アガロースゲル電気泳動>
アガロースゲル電気泳動法では、DNA 断片はその大きさごとに分かれます。通電性バッファーを満たした泳動槽にア ガロースゲルを置き、そこに DNA 断片を載せます。泳動槽両端にある針金状電極の間を直流電流が流れます。
DNA 分子は負に帯電しており、電場に置かれると陽極方向に引っ張られます。アガロースゲル基質は分子のふるい
(孔状基質)として機能し、小さな DNA 断片ほど容易に移動できます。したがって、DNA 分子がゲルを通って移動し た距離と速度は、DNA 断片の(塩基対の)大きさに反比例します。泳動中は、より小さな断片ほど、より遠くに移動する ことになります。同じ大きさの断片は一緒に行動し、1 本の DNA バンドとして移動します。これらのバンドは DNA を染 色すると肉眼で見えます。
これと同じような状況を皆さんの教室で再現することができます。生徒が 1 人ずつ行動する場合は困難もなく迷路を進 むことができるのに、4 人が一緒に行動すると 1 人の場合より混乱し、多くの時間が必要になるでしょう。
<DNA フィンガープリント法>
個々の人物は、DNA 配列に類似性と相違性をもっています。ある DNA 断片が特定のヌクレオチド配列を有している ことを示すために、その配列を認識して結合するような、放射性物質で標識した相補的 DNA プローブを作製すること があります。放射性プローブにより、研究者は個々の人物でその DNA 配列の位置を確認し、識別して比較することが 可能となります。このプローブは「放射標識タグ」と呼ばれ、1 本鎖 DNA 断片と結合して、ゲル内またはゲルから電気 的に移し取ったナイロン製ブロッティングメンブレン上でバンドを形成します。放射性プローブはその特異性のために、
個人間の遺伝子型の類似性を示すために利用することが可能です。DNA フィンガープリント法では、ゲル内での放射 標識バンドの相対位置は、各バンド内の DNA 断片の大きさによって決定されます。断片の大きさは、その個人の DNA の違いを反映しています。
このテキストに記載されているよりさらに新しい概要および概念が急速に得られつつあります。詳細な情報につい ては、7 ページの参考文献のレビューを参照してください。
DNA フィンガープリント法を用いるのに必要な証拠は、DNA を含有する生物学的材料、すなわち、身体組織、体液
(血液および血清)、毛嚢などから得られます。血痕またはミイラ化した組織などの死体材料からも、DNA 分析を行うこ とが可能です。DNA サンプルがごく少量の場合には、PCR 法を用いてこれを増幅させることができます。ついで、
DNA を制限酵素で処理し、種々の長さの断片に DNA を切断します4。
<制限酵素による DNA の切断>
制限酵素は DNA を切断するため、分子生物学者の「化学的はさみ」となっています。特定の制限酵素は、DNA 断 片上にある、4~6 塩基対(bp)からなる特定の制限酵素認識部位を「認識」すると、その時点で DNA を切り離します。
最も一般的に利用されている 2 種類の制限酵素であるEcoR I とPst I の認識部位の配列を以下に示します。DNA 骨 格の中で実際に DNA が切断される部位を、(ハサミ)の記号で示します:
その他の酵素と同様に、制限酵素も特定の pH や塩濃度および温度条件で最もよく働きます。本キットの DNA サン プルには制限酵素用の適切なバッファーが含まれており、そのため、再溶解した DNA と酵素を混和すると、酵素が最 もよく働くために適した理想的な条件となるように作られています。最終反応バッファーには、50mM の Tris、100mM の NaCl、10mM の MgCl2、1mM の DTT(ジチオトレイトール(Dithiothoreitol)、pH 8.0)が含まれており、これは、酵素の EcoR I およびPst I が作用するためには理想的な条件です。
<DNA 制限酵素断片の視覚化>
DNA は無色であるため、電気泳動中はゲル内の DNA 断片を見ることはできません。2 種類の青色色素を含有する 青色のサンプルローディングダイを DNA 溶液に加えます。サンプルローディングダイは DNA を染色しませんが、DNA の電気泳動の進行状況のモニタリングを容易にします。この色素の先端は DNA 断片と同様に、ゲルの陽極末端に向 かって移動します。移動が速い色素は、約 500 塩基対(bp)の DNA 断片と同時に移動し、移動が遅い色素は大きさ が約 5,000 塩基対(bp)の DNA 断片と同時に移動します。
ゲル中にある DNA は、「染色」することによりその位置を確認することができます。希釈した Bio-Safe DNA 染色液に ゲルを浸すと、アガロースゲル内の DNA 分子に色素分子が結合します。ゲルを水で脱色することにより、ゲル中の過 剰な色素を除去してコントラストを増強し、DNA バンドがより鮮明に確認できます。バンドが視覚化されれば、生徒は 同じ制限酵素で処理した、異なる DNA サンプルの泳動パターンを比較することができます。
以下の写真は、生徒が電気泳動後に得るであろう DNA パターンを示します。犯罪現場からの DNA には CS の表示 をつけ、以下、容疑者 1 から順に S1 の表示をつけています。犯罪現場の DNA はレーン 2 のものです。容疑者の DNA はそれぞれ、レーン 3、4、5、6、7 で泳動している。レーン 1 にはHindIII DNA マーカーが含まれています。レー ンには左上から番号を付けています。生徒の作業は、DNA バンドパターンを確認し、どの容疑者のバンドが犯罪現場 で得られた DNA のバンドに適合するかを検討することです。
EcoR Iの場合:
Pst Iの場合:
犯罪現場で得られた DNA と S3 の DNA が同一であることが容易に見て取れます。先生は、容疑者の有罪を確定す る際にこうした証拠がどの程度「有力または無力」であるかを指摘すべきであると思うかもしれません。DNA による証拠 は容疑者が犯罪現場にいたことを示すものにはなりますが、容疑者が有罪であることを証明するためには他の証拠が 必要と思われます5,6。
生徒には、これは模擬的なものであると指摘してもよいでしょう。実際の DNA フィンガープリント法では、技術者はよ り大きな DNA 断片を分析し、多数のレーンを使用して多くのバンドを得ることになります。実験者は、一定の容疑者群 に共通し、個々の人物で独特のパターンを形成する特定の DNA 断片を探し求めることになります。
<DNA による証拠の信頼性>
法医学の現場で DNA フィンガープリント法の信頼性に影響を及ぼす二つの大きな要因として、集団遺伝学および 遺伝統計学があります。ヒトでは、フィンガープリント法分析に選択され利用することのできる RFLP 遺伝子座または DNA 断片が、数千種も存在します。民族的隔たりまたは地理的隔たりなどの人口統計学的要因に応じて、一部の断 片では他のものに比べて顕著な変異が認められます。
一部の集団では他のものに比べて特定の DNA 断片における変異が少ないことが示されています。変異の度合いは、
同一の配列を有する複数の個人の統計学的確率に影響を及ぼします。たとえば、特定集団の 90%がある DNA 断片 の DNA フィンガープリントのパターンに同一の配列を有している場合には、得られる情報はごくわずかです。しかし、
ある断片について、特定集団内で生じた DNA パターンの出る頻度がきわめて低い場合には、この断片はその集団内 で個人を識別するための強力な道具となります。長い年月の間に個々の遺伝子プールに影響を受けることにより、異 なる集団はその遺伝子型に異なるパターンを示します。
そのため、DNA の証拠を犯罪とどのように結びつけるかという分析では、以下のような質問をする必要があります。
「統計学的に、その集団内ではどの程度の人々が犯罪現場で得られたものと同一のパターンを有する可能性がある のでしょうか。1,000,000 例中 1 例ですか、10,000 例中 1 例ですか、10 例中 1 例ですか」
参考文献
1. DNA Profiling Fast Becoming Accepted Tool For Identification. Pamela Zurer. chemical and Engineering News, Oct. 10. 1994.
2. PCR means polymerase chain reaction: it is a technique used to amplify small amounts of DNA (in this case so that further analysis of the DNA can occur).
3. RFLP means restriction fragment length polymorphisms... "riff-lips" in biotech jargon...Pieces of DNA are cut with restriction enzymes into fragments of various lengths. Iindividuals possess variable restriction recognition sites so that two pieces of DNA from separate sources may have different fragment lengths when their DNA is cut by the same enzyme.
4. An excellent resource for the classroom teacher is Genetic Fingerprinting, Pauline Lowrie and Susan Wells, NewScientist. 16 November 1991.
5. Is DNA Fingerprinting ready for the courts?, William C. Thompson and Simon Ford. New Scientist.
March31. 1990.
6. When Science Takes the Witness Stand, Peter Neufeld and Nevelle Coleman. Scientzflc American. Vol.
262: 5, May 1990.
時間割
このキットを使用するにあたっては、50 分授業数回で行えるようになっています。実験前の講義や準備を含めて、4 回 の授業のカリキュラム例を示します。先生方の都合、生徒のレベル等に合わせてカリキュラムを組んでください。
また、全ての授業に
・生徒のための一連の予備考察
・生徒実験
・解析に関する質問、および結果の解釈 の 3 つの過程が含まれています。
<授業内容>
Lesson 1; DNA フィンガープリントについて 講義、ディスカッション、質問
Lesson 2; 制限酵素による DNA サンプルの切断 ゲルの作製、制限酵素による切断 ディスカッション、質問
Lesson 3; DNA サンプルのアガロースゲル電気泳動 DNA 電気泳動、一晩をかけてのゲルの染色 講義、ディスカッション、質問
Lesson 4; 結果の分析および判定
ゲルの脱色
実験結果の分析 標準曲線の作製
結果についてのディスカッション
実験開始前の準備
<大まかな準備内容について>
まず、実際にキットを使用して授業を行う前に必要な準備内容とそれにかかる時間を紹介します。詳細な準備内容 は 10~15 ページをご覧ください。
内 容 タイミング 所要時間
フィンガープリント法テキストを読む ただちに 1 時間 電気泳動用 TAE バッファーを用意し、
アガロースゲルを作製する
Lesson 2 の前 またはその間
1 時間
凍結乾燥 DNA/バッファーサンプルと酵素混合 物を溶解し、分配する
Lesson 2 の前 20 分
Fast Blast DNA 染色液の調製 Lesson 2 の前 10 分
作業場の設定 生徒の実験日 10 分/日
<実験直前に準備すべき試薬・器具のチェックリスト>
・各生徒に準備する実験試薬・器具
実験を始める前に、実験を行う生徒達のために、次のリストにあるものをすべて用意します。リストは 1 班当たりに必 要なものです。このキットには最高、8 班×4 人=32 人の生徒が実験できる分量が揃っています。あらかじめ 1 つの班 の実験スペースに置いておくと良いでしょう。また、マイクロチューブには、間違いのないようにマーキングをしっかりし ておくことをお勧めします。
・共有で使用する実験試薬・器具
生徒達が共有して使用する試薬や器具を準備します。これらのものは、先生が使用する実験スペースに置くと良い でしょう。ウォーターバスやインキュベーターは前もって温度調節しておく必要があります。
Lesson 2 制限酵素によるDNAサンプルの切断
・生徒用実験台 数/机 ( )
EcoR I/Pst I 酵素混合物 1 本(80 l)
ピペットチップ(1~20 l 用または 20~200 l 用) 1~8 マイクロピペット(1~20 l または 20~200 l 用) 1~8 色付マイクロチューブ:
緑、青、橙、紫、赤、黄
1 本ずつ
油性マーカー 1
ゴミ箱 1
フォームフロート 1
氷入りアイスボックス 1
・教員用実験台
犯罪現場 DNA、溶解済み 1 バイアル
容疑者 1 の DNA、溶解済み 1 バイアル
容疑者 2 の DNA、溶解済み 1 バイアル
容疑者 3 の DNA、溶解済み 1 バイアル
容疑者 4 の DNA、溶解済み 1 バイアル
容疑者 5 の DNA、溶解済み 1 バイアル
インキュベーターまたは恒温槽-(37℃) 1 台/クラス
調製済みアガロースゲル 35~40ml/枚
ゲルトレイ 1 個/机
セロハンテープ 1 個/机
氷入りアイスボックス 1
*実験室では常に、白衣着用のこと。
*飲食の禁止など、適切な危険予防措置を常に行うこと。
Lesson 3 DNAサンプルの電気泳動
・生徒用実験台 数/机 ( )
アガロースゲル 1
切断済み DNA サンプル 5
サンプルローディングダイ 1
ピペットチップ 1 箱
P-10 または P-20 マイクロピペット 1
油性マーカー 1
ゴミ箱 1
フォームフロート 1
電気泳動装置およびパワーサプライ 1 セット
ゲル染色用トレイ 1
・教員用実験台
1×TAE 電気泳動用バッファー 275ml ゲル/泳動槽 Fast Blast DNA 染色液-1×溶液 500ml
/Hind III DNA マーカー 1
食品保存用ラップ 1
Lesson 4 結果の分析
・生徒用実験台 数/机 ( )
ゲル脱色用の水 mm 単位のついた定規 片対数グラフ用紙
・教員用実験台
(必要に応じて)食品保存用ラップ 1
<各ステップの詳細な手順>
ここでは実験に先立って行った方が良いと思われる事前準備について説明します。これらの操作は実験の 1~2 日 前に先生が行うか、あるいは各生徒グループが授業時間の中で行うとよいでしょう。
Lesson 2制限酵素によるDNAサンプルの切断
目 的 DNA サンプルおよび制限酵素を再溶解する。
制限酵素を分配する。
生徒用実験台および教員用実験台の準備をする。
アガロースゲルの作成。
実験中に生徒がゲルを作成する場合は、先生はゲルを用意しておくだけで結構です。ア ガロースを用意する場合は、使用するまで 45~50 度の恒温水槽に入れておくと良いで しょう。
所要時間 30 分~1 時間(選択したアガロースゲル調製法による)
必要な材料 電気泳動泳動槽、ゲルトレイ、コーム、
電気泳動用バッファー(1×TAE)
アガロース粉末
16 本の透明マイクロチューブ(マイクロチューブに分注する場合)
氷入りアイスボックス 操作手順
・試薬の分注
注意:DNA および酵素のバイアルにはいずれも、白色粉末が入っています。凍結乾燥 DNA サンプルでは、透明なガ ラス製バイアルに色分けして表示がつけてあります。EcoR I/Pst I 酵素混合物の凍結乾燥品は褐色バイアルに入って います。
1. DNA サンプルの溶解するときは、キット添付の 200 l の滅菌蒸留水を各々の凍結乾燥 DNA バイアルに入れ、実 験台の上で円を描くように軽く滑らせる様に揺らして溶解させると良いでしょう。DNA サンプルは室温で 5 分間または 溶解するまで放置して、完全に溶解させます。もし可能であれば、37℃で 10 分間加温すると、絡まりあっている DNA 分子がほぐれ、より良い結果が得られることがあります。生徒がピペットで分注しやすいように、溶解した DNA サンプル を色分けして表示をつけた 1.5ml のマイクロチューブに移し変えてもよいです。
この時点で、溶解した DNA サンプル濃度は、100mM の Tris、200mM の NaCl、20mM の MgCl2、2mM の DTT(pH 8.0)溶液中で 0.3 g/ l になります。バッファー中の DNA に酵素を加えると、バッファーの最終濃度は、50mM の Tris、
100mM の NaCl、10mM の MgCl2、1mM の DTT(pH 8.0)となり、これはEcoR I およびPst I が作用するために理想的 な条件です。
2. EcoR I/Pst I 酵素混合物を溶解するためには、750 l の滅菌蒸留水を加え実験台の上で円を描くように軽く滑ら せる様に揺らして溶解させると良いです。氷浴上で 5 分間、酵素を溶解させます。酵素混合物は溶解後、凍結させな いようにしながら氷浴上で保つことが重要です。注:溶解した酵素は 12 時間以内に使用してください。
あらかじめ 1.5ml のマイクロチューブ 8 本に ENZ と表示をつけ、溶解した酵素混合物を 80 l ずつ分注します。
・バッファーの調製
TAE バッファーは 50 倍濃度の保存溶液として添付されています。アガロースゲルを作成する他に、電気泳動槽 1 台につき、およそ 275~300ml の 1×TAE バッファーが必要です。1×TAE バッファーが 3L あれば、8 台分の電気泳 動槽および 8 枚のアガロースゲル作成に十分足ります。50×TAE から 1×TAE を 3L 調製するためには、蒸留水
2.94L に濃縮液 60ml を加えます。
・アガロースゲルの調製
この手順は、先生が 1~2 日前に準備しておいても良いですし、授業の中で生徒達に行わせても構いません。
本実験で推奨するゲル濃度は、1%アガロースです。ゲルの厚さは 0.75~1.0 cm です。1%溶液を調製するために は、アガロース 1g を 100ml の 1×TAE バッファーに加えるだけで良いです。アガロース溶解には必ず電気泳動用 バッファーを使用してください。水は絶対に使用しないでください。
下表はゲル作成時に必要なゲル量の目安としてお使いください。
ゲルの大きさ 0.75cm厚 1.0cm厚 7×7cm 30ml 40ml
1. 適当な容器(例えば、250ml の三角フラスコ、スクリューキャップ付き細口ガラスバイアルなど)にアガロース粉末を 入れます。沸騰時の事故防止や、アガロースの溶解時間を考慮すると、使用する容器は、一度に調製する液体容量 の 2 倍以上の容量を有する容器、例えば、アガロース 100ml を調製するときは 200~300ml フラスコを使用してくださ い。1×TAE バッファーを適正量加え混ぜ、アガロース粉末をバッファーに懸濁させます。ゲルトレイを形成するために、
ホットプレートマグネチックスターラーあるいは電子レンジでアガロースを溶解することができます。アガロース粉末が完 全に溶解するまで、この混合液を電子レンジあるいは恒温槽で煮沸します。状況に応じて 2~3 回に分けて調製する と良いです。
警告:アガロースゲルを調製および注入する場合は、常にグローブ、ゴーグル、および実験衣を着用してください。沸 騰したアガロース、あるいは熱いアガロース入り容器が皮膚に接触すると、重度のやけどの原因になる恐れがあります。
電子レンジを使用する方法;
ゲル溶液を電子レンジに入れます。蓋付ビンを使用している場合は蓋を緩めます。加熱設定を「中」にし、加熱 時間を 5 分に設定します。30 秒ごとに、あるいは溶液が沸騰しそうになったら電子レンジを止め、フラスコを実 験台上で水平に、ゆっくりと振って溶け残っているアガロースを懸濁させます。これが最も早く、最も安全なアガ ロース溶解法です。小さな半透明のアガロース粒子が完全に溶解するまで、煮沸と振とうを繰り返します。ゲル トレイに注ぐまで、小さなフラスコで蓋をしたまま60℃(手で触れらる程度)に冷まします。
ホットプレートマグネチックスターラー;
融解していないゲル液に攪拌子(スターラーバー)を入れます。ホットプレートマグネチックスターラーで攪拌し ながら沸騰するまで溶液を加熱します。泡はフラスコの頚部までに消えます。小さな半透明のアガロース粒子が 完全に溶解するまで煮沸を繰り返します。ゲルトレイに注ぐまで、アルミ箔等で蓋をしたまま 60℃(手で触れらる 程度)に冷まします。
・アガロースゲルの流し込み
この実験では、各ゲルに 8 ウェル以上のサンプルウェルが必要です。上記の指示通りにアガロースを調製し、クラス あたりの 1%アガロースの必要量を決定してください。ゲル用コームの歯を完全に覆うまで、およそ 0.5~0.75cm の深 さまでアガロースを注ぎます。ゲルトレイのゲルを注ぐ面から 0.75~1.0cm の部分に印をつけておいても良いでしょう。
ゲルが固まるまではゲルトレイを動かしたり、いじったりしないでください。固まったらゲルをジッパー付き保存袋や保存 用タッパーに入れ、翌日に使用するまで室温あるいは冷蔵庫に保管します。授業で生徒にゲルを作成させる場合、ク ラス全体がゲルを流し終わるまでの所要時間は約 30 分かかるでしょう。できれば予備のゲルトレイを 1~2 枚作成して ください。
ここでは、ゲルを流し込む場合にゲルトレイをテープで止める方法を簡単に説明します。その他の方法はサブセル GT 取扱い説明書に詳述されています。
1. ゲルトレイの端をセロハンテープでしっかり目張りします。液体状のゲルがもれないように、ゲルトレイの端にピンと 張る状態にテープをとめます。
2. 水平台あるいは実験台上に水準器を置き、水平を確かめたらゲルトレイをおきます。
3. 1×TAE バッファーに溶解したアガロースを、必要な濃度と量で調製します。
4. 流し込む前に 60℃まで冷まします。
5. アガロースを 60℃まで冷ましている間に、ゲルトレイの適当な溝にコームを置きます。(ゲル中央には置かないでく ださい)
6. ゲルを室温に 10~20 分置いて固まるのを待ちます。使用できるようになると白く濁って(不透明に)みえるようにな ります。
7. 固まったゲルから慎重にコームを取り外します。その時コームを真上にそっと持ち上げるようにしてください。
8. ゲルトレイ端のテープをはがします。
9. 水平にした DNA 電気泳動槽に、サンプルウェルを陰極側(黒色)にするようにゲルトレイを置きます。泳動中は、
DNA サンプルは陽極(赤色)方向に向かって移動します。
Lesson 3 DNAサンプルの電気泳動および染色
目 的 DNA サンプルローディングダイの分注 /Hind III DNA マーカーを調製する 1×Bio-SafeDNA 染色液の調製 生徒用及び指導者用実験台の準備 必要時間 30 分
必要なもの サンプルローディングダイ Fast Blast DNA 染色液
/Hind III DNA マーカー 操作手順
・サンプルローディングダイの分注
8 本の透明なマイクロチューブにサンプルローディングダイ 35 l ずつ分注します。マイクロチューブは氷上に置き、
1 グループに 1 本ずつ配ります。
・1×Fast Blast DNA 染色液の調製
染色方法には、一晩染色を行うオーバーナイトステインと染色時間が1~2時間のクイックステインの2種類がありま す。授業の時間割等に合わせてお選びください。
適当な大きさのフラスコを使用し、
オーバーナイトステインの場合、Fast Blast 染色液 1ml を蒸留水 499ml で希釈します。
クイックステインで染色する場合は、Fast Blast 染色液 100ml を蒸留水 400ml で希釈します。
フラスコの口を食品保存用ラップ等で覆い、使用するまで室温で保管します。7cm 平方のゲルを染めるのに必要な Fast Blast DNA 染色液は 60ml~100ml 程度(ゲルの厚さにより変わります)になります。
ゲルの染色は実験台に一つずつ割り当てられた染色トレイで行なうべきですが、大きい染色皿を用いて一度にたく さん染色してもよいです。
この色素は無毒ですが、手が染まらないようにするために、ゲルを扱う時はラテックス製あるいはビニール製の手袋 を使用してください。
・DNA サイズスタンダードの調製
/Hind III DNA サイズマーカーを入れた原液マイクロチューブに、20 l のサンプルローディングダイを加えます。可 能な場合には、マーカーを 65℃で 5 分間加熱し、ついで氷の上で冷却します。こうすると、マーカーバンドの分離が より良くなることがあります。透明マイクロチューブに「M」の表示をつけます。「M」の表示をつけた 8 本の透明マイクロ チューブにサンプルローディングダイを入れた DNA マーカーを 15 l ずつ分注します。
・電気泳動槽の準備
アガロースゲルが固まったら、サンプルをゲルにロード(ウェルに加える)して泳動を開始できます。
1. ゲルトレイを泳動槽に置く場合は、サンプルウェルを陰極(黒色電極)側に置くように注意します。泳動中は、DNA サンプルは陽極(赤色)方向に向かって移動します。
2. 1×TAE 泳動用バッファーを必要量準備します(泳動に使用するバッファーは、必ずゲル作成に使用したバッ ファーと同じ種類にしてください)。
3. ゲルが 2mm 程度浸るぐらい(およそ 300ml)の 1×TAE 電気泳動用バッファーを注ぎいれます。
4. ゲルにロードするサンプルを準備します。学生・生徒用テキストのプロトコールを参照してください。
5. マイクロピペットでサンプルをロードします。
注意:サンプルウェルは見にくい場合が多いです。コームを置いた場所、あるいは一般的にサンプルウェルを作る場所 の下に黒い紙やテープを置くと、サンプルウェルを見やすくできるでしょう。
6. 電気泳動槽に蓋をします。サンプルを乱さないように注意してください。ミニサブセル GT の蓋は、置く方向が決 まっています。正しく蓋をするためには、蓋についている赤と黒の差込口を、泳動槽についている赤と黒のプラグに合 わせます。
7. 必要な電圧は、ゲルの厚さ、長さ、濃度、泳動用バッファーの濃度や量によって変わります。この実験では、定電 圧(80V)での泳動をお勧めします。また、電気泳動がうまくいっているか否かの判断材料の一つになりますので、泳動 初期と終了時の電流値(mA)を確認し、値を控えてください。
・DNA 断片を見えるようにする - Fast BlastDNA 染色手順
染色方法には、一晩染色を行うオーバーナイトステインと染色時間が1~2時間のクイックステインの2種類がありま す。授業の時間割等に合わせてお選びください。
<オーバーナイトステインによる染色方法>
1. 非金属製のへら等を使用してゲルトレイからゲルを外します。サンプルウェルの列に沿ってゲルが裂ける場 合があるので、サンプルウェルの部分を支えるように特別の注意を払う必要があります。
2. ゲルを完全に覆いきるまで 1×Fast BlastDNA 染色液を注ぎます。食品保存用ラップで覆い乾燥を防ぎ、
一晩染色します。
3. 翌日、蒸留水でゲルを数回すすぎ、ゲルの背景部分の染色を落とします(脱色)。
<クイックステインによる染色方法>
1. 100 倍希釈の Fast Blast DNA 染色液を用意し、ゲルの入った染色トレイに約 60ml 入れます。染色トレイを 食品保存用ラップで覆い、2~3 分置いて染色します。
2. Fast Blast DNA 染色液をバイアルあるいは適切な容器に入れ、およそ 100mlの精製水を注いでゲルをす すぎます。これを 2~3 回繰り返します。
3. 100mlの精製水を容器に注ぎ、1 分間置きます。この時、振盪器などで容器を軽く揺らしてやると、ゲルから
余分な染色剤が抜けやすくなります。使用した精製水は廃液用ビーカーに注ぎ捨てます。これを 7~10 回繰り 返します。
4. 1~2時間放置します。
Lesson 4 結果解析 - ゲル乾燥
ゲルを乾燥させる前に結果を得るためには、紙または透明な樹脂板(食品保存用ラップなど)にゲルの輪郭、サンプ ルウェル、およびDNAバンドを書き写すか、あるいはカメラで写真を撮影するとよいでしょう。
・実験記録を長期保存するためのアガロースゲル乾燥
注意:アガロースゲルを乾燥させるためには、バイオ・ラッド社製高強度分析用アガロースを使用する必要があります。
その他のゲルは、乾燥に耐えるようには処方されていません。
脱色したゲルを乾燥させる方法は 2 通りあります。
<方法1>
この方法をまずお勧めしますが、バイオ・ラッド社製のゲルサポートフィルム(170-2984)を使用する必要があり ます。脱色したアガロースゲルを染色トレイから取り出します。ゲルサポートフィルムにゲルを直接載せます。ゲ ルをフィルム中央に置き、完全に乾燥するまで空気乾燥します。ゲルは乾燥するとフィルムに結合し、縮みませ ん。サポートフィルム上に室温で静置しておけば、2~3 日後には完全に乾燥します。その結果、平坦かつ透明 で耐久性のある実験記録ができます。
ゲルサポートフィルム
<方法2>
ゲルを染色、脱色した後、プラスチック染色トレイにゲルを放置します。2~3 日空気乾燥させます。ゲルは乾燥 するとかなり縮みますが、比率は変わりません。静かに染色トレイ上に放置すれば、ゲルは比較的平坦なままの はずですが、乾燥するにつれてしわができます。
・データのグラフ化
生徒の多くは対数および片対数グラフ用紙に慣れていないと思われます。スライドあるいはコンピュータを使用して 正しい作図法を教える簡単な授業を組んだほうが良いかもしれません。この場合、方眼グラフ用紙でなく片対数グラフ 用紙を使用することの利点を説明しても良いでしょう。このように生徒が正規の数学講義以外の場で数学を学ぶことも、
一次数列と指数(計算と幾何学)について探究する素晴らしい機会となり得ます。
クイックガイド
DNA サンプルの調製
1. 制限酵素混合物を入れたマイクロチューブに ENZ の表示をつけて氷上に置きます。
ENZ 氷 浴
2. 各々の色付マイクロチューブに以下のように表 示をつけます:
緑 CS=犯罪現場 青 S1=容疑者 1 橙 S2=容疑者 2 紫 S3=容疑者 3 赤 S4=容疑者 4 黄 S5=容疑者 5
マイクロチューブをマイクロチューブラックに立 てます。
3. 原液の入ったマイクロチューブから DNA サン プルを 10 l ずつピペットで採取し、対応する色 付マイクロチューブに移します。各々の DNA サンプルには別々のチップを使用してくださ い。サンプルがマイクロチューブの底部に移さ れていることを確認してください。
4. 10 l の酵素混合液(ENZ)をピペットで分注し、
マイクロチューブの最底部に落とします。それ ぞれの ENZ サンプルごとに別のチップを使用 してください。
原 液
DNAサンプル
+ 酵素混合物
5. マイクロチューブのキャップを閉め、マイクロ チューブを穏やかに指で叩いて(タッピングし て)内容物を混和します。微量遠心分離機があ る場合には、液体をすべてマイクロチューブの 底部に回収するために、適宜遠心を行いま す。遠心分離機を使用しない場合には、机の 上にマイクロチューブを軽く打ち付けます。
机の上に 打ち付ける 指で叩く
6. マイクロチューブ立てにマイクロチューブを立 て、37℃で 45 分、または室温にて 37℃に加温 した大きな水浴中で一晩インキュベートしま す。
水 浴
7. インキュベーション後、マイクロチューブを水浴 から出し、次の実験時まで冷蔵庫内で保存しま す。
ゲルの電気泳動
1. 切断済みの DNA サンプルを冷蔵庫から取り出しま す。微量遠心分離機がある場合には、液体をすべ てマイクロチューブの底部に回収するために、適宜 遠心を行います。
遠心分離機
2. サンプルごとに別のチップを使用し、5 l のサンプル ローディングダイ「LD」を各マイクロチューブに入れ ます。マイクロチューブのキャップを閉め、指でマイ クロチューブを穏やかに叩いて内容物を混和しま す。
3. アガロースゲルを電気泳動槽にセットします。ゲルを 浸すようにして約 275~300ml の 1×TAE バッ ファーを電気泳動槽に満たします。
4. アガロースゲルのウェルが黒い(-)電極側に、ゲル の底部が赤い(+)電極側になっていることを確認し ます。
5. 以下の順序でサンプルごとに別のチップを使用し、
ゲルの 7 つのウェルに指定の量のサンプルを入れ ます。
レーン 1:M、DNA マーカー、10 l レーン 2:CS、緑、20 l
レーン 3:S1、青、20 l レーン 4:S2、橙、20 l レーン 5:S3、紫、20 l レーン 6:S4、赤、20 l レーン 7:S5、黄、20 l
色素マーカー
6. 電気泳動槽に蓋をします。蓋は装置本体の一方向 にしかはめられません。蓋の上にある赤および黒の ジャックは、それぞれ、装置本体の赤および黒の ジャックにはまるようになっています。電極をパワー サプライに差し込みます。
7. 電源を入れ、80V でおよそ 30 分、電気泳動を行 います。泳動初期と終了時の電流値を控えておき ます。電圧値が 80V でない場合、サンプルロー ディングダイがゲルの3分の2まで流れたところで 泳動を止めてください。
8. 電気泳動が終わったら必ずパワーサプライの電源 を切ってから、泳動槽蓋をはずします。泳動槽か ら、慎重にゲルトレイおよびゲルをはずします。注 意;ゲルは非常にもろいものです。ゲルを滑らせる ようにして染色トレイに移します。
9. 60ml をの Fast Blast DNA 染色液をトレイに入れ てください。染色トレイを食品保存用ラップで覆い ます。オーバーナイトステインの場合は 1 晩染色 します。
ゲルの分析
1. Fast BlastDNA 染色液を瓶またはビーカーに注 ぎ空け、100ml の精製水に浸します。(クイックス テインの場合は必要ありません)
2. 廃液用ビーカーに水を移します。
3. ゲルをサポートフィルム上または実験台の上で完全 に乾燥させます。ゲルが乾燥したら、実験用ノートに テープで貼り付け、永久記録とします。
学生・生徒用テキスト
目 次
◆Lesson 1 DNA フィンガープリントについて ...20
<学習 1 DNA はどのような構造をしているでしょうか?> ...21
◆Lesson 2 制限酵素による DNA サンプルの切断 ...22
<学習 1 塩基配列の違いはどのようにして検出されるのでしょうか?>...22
<学習 2 制限酵素による DNA サンプルの切断実験> ...24
◆質問 ...28
◆Lesson 3 DNA サンプルの電気泳動 ...29
<学習 1 DNA サンプルで EcoR I および Pst I 制限酵素認識部位の位置をどのようにして検出するのでしょう か?> ...29
◆質問 ...33
◆Lesson 4 ゲルの乾燥および DNA パターンの分析...34
<学習 1 どの容疑者からの DNA サンプルが犯罪現場にいた個人のものと同一ですか?> ...34
◆質問 ...35
◆Lesson 1 DNA フィンガープリントについて
この授業では、DNA フィンガープリント法として知られる手法について学びます。得られたデータから、与えられた DNA サンプルが、同一人物に由来するものであるか、異なる人物に由来するものであるかを決定することができます。
まず、実験を行う前に、DNA 分子の構造についての再確認しましょう。
DNAの構造
DNA分子 #1 植物由来
DNA分子#2 ヒト由来
DNA分子#3 細菌由来
上記の図は、3 種類の異なる生物種の DNA のごく一部を示したものです。この DNA 図では、記号は以下のように 使用されています:
・側 鎖
S=五炭糖分子であるデオキシリボース P=リンおよび酸素原子からなるリン酸分子
・DNA ヌクレオチド塩基
A=アデニン C=シトシン G=グアニン T=チミン
上述の 3 種類の DNA を分析すると(次ページ参照)、異なる人物からの DNA サンプルの類似性および相違性を検 出するのに役立ちます。
◆Lesson 1 DNA フィンガープリント法への導入
<学習 1 DNA はどのような構造をしているでしょうか?>
1. 3 つの図の側鎖の糖-リン酸配列の「骨格」を比較してみましょう。相違は認められますか?
2. これらの図で、3 種類のサンプルが有している塩基はどれも同じですか?それとも違いますか?
3. 3 種類のサンプルで塩基対はどれも同じですか?それとも違いますか?またそれらはどういった組み合わせになっ ていますか?
4. 3 種類の異なる生物種から得られた DNA サンプルを分析する前に、まずこれらの DNA サンプルを見比べて同じ 点と違う点について、それぞれ述べてください。
5. これらの DNA サンプルが同一であるか異なるものであるかを決定するためには、これらの DNA サンプル間で何を 比較したら良いでしょうか?
◆Lesson 2 制限酵素による DNA サンプルの切断
<学習 1 塩基配列の違いはどのようにして検出されるのでしょうか?>
一見したところ、この作業はとても難しいもののように思われます。違いを検出するには DNA サンプル内での直線 的な塩基対の配列が同一であるか否かを決定する必要があります。比較的最近の組換え DNA 技術の進展について 学習すると、どうすれば良いか、という予測が立てられます。
1968 年に、スイスにあるバーゼル大学の Werner Arber 博士と、ボルティモアにあるジョンズホプキンス大学の Hamilton Smith 博士は、バクテリアの細胞内である酵素群を発見しました。この酵素を DNA に加えると、ある特殊なヌ クレオチド塩基(認識部位)の間で糖-リン酸結合が切断(加水分解)されました。これらの分子はさみ、または「切断」
酵素が制限酵素です。
一般的な制限酵素としてEcoRI とPstI という酵素がありますが、今回はこの 2 種類の制限酵素を実験で使用します。
フィンガープリント法を行うにあたって、EcoRI とPstI がどのように役立つかをよりよく理解するためには、まず、DNA 上 での制限酵素の「切断」作用の性質について、目で見て理解する必要があります。
A T G A A T T C T C A A T T A C C T T A C T T A A G A G T T A A T G G A
塩基対に沿った直線は、制限酵素が GAATTC 部位を認識すれば結合が切断される部位を示します。以下の質問 では、制限酵素が上述のような方法で DNA 分子を「切断」したときに、DNA 片がどのような影響を受けるかについて 述べられています。
1. この切断でいくつの DNA 片が生じますか?
2. DNA 断片の左側および右側の塩基配列を書きだしてみましょう。
左側:
右側:
3. これら 2 つの断片の違う点はどういった点でしょうか?
4. DNA 断片のサイズは、断片内の塩基対の数で表すことができます。断片のサイズを塩基対数で書き表してくださ い。
a) 小さな断片は_____塩基対(bp)
b) 大きな断片は_____塩基対(bp)
5. 以下に示す 2 種類の DNA サンプルについて考察しなさい。単純化のため、1 本鎖として示してあります。
サンプル 1
C A G T G A T C T C G A A T T C G C T A G T A A C G T T
サンプル 2
T C A T G A A T T C C T G G A A T C A G C A A A T G C A
これら 2 つのサンプルをある制限酵素(認識部位は GAATTC)で処理した場合に、各々の DNA サンプルから生ず る断片の数および各断片のサイズはいくつになりますか?
サンプル 1
断片の数:_____ 断片のサイズ:__ ___
サンプル 2
断片の数:_____ 断片のサイズ:___ __
<学習 2 制限酵素による DNA サンプルの切断実験>
注意深く観察すると、異なる個人の DNA 間の相違は、塩基対の直線的配列のみであることがわかります。この実験 では、実験チームには 6 種類の DNA サンプルが与えられます。今回の課題は、同一人物に由来する DNA サンプル があるか、または、いずれも異なる個人に由来するものであるかを決定することであることを念頭においてください。
これまでのところ、以下のような予備的分析を行っています:
・ 異なる個人に由来する DNA 間の類似性および相違性。
・ 制限酵素がどのようにして DNA 分子を切断[加水分解]するか。
・ 同一の制限制限酵素を 2 種類の DNA サンプルに加えた場合、直線的塩基配列の相違に関する手がかり がどのようにして得られるか。
ここまでの段階で、これらの 3 項目について十分な理解が得られ、DNA フィンガープリント法の最初の段階、すなわ ち制限酵素による DNA サンプルの切断を行う準備が整えられました。
<実験台チェックリスト>
実験開始前に、下記の試薬や器具等が自分の実験台にあることを確認してください。
生徒用実験台(8台) 数 量 ( )
ピペットチップ 15
EcoR I/Pst I 酵素混合物(ENZ) 1 本(80 l)
P-10 または P-20 マイクロピペット 1 色付マイクロチューブ:
緑、青、橙、紫、赤、黄
1
油性マーカー 1
使用済みピペット等を捨てるための容器 1
マイクロチューブ立て 1
クラッシュアイス入りボックス 1
教員用実験台
犯罪現場 DNA 1 バイアル
容疑者 1 の DNA 1 バイアル
容疑者 2 の DNA 1 バイアル
容疑者 3 の DNA 1 バイアル
容疑者 4 の DNA 1 バイアル
容疑者 5 の DNA 1 バイアル
インキュベーターまたは恒温槽-(37℃) 1/クラス
<DNA サンプルの準備>
1. 以下の色付マイクロチューブを 1 本ずつ用意します。5 本の色付マイクロチューブに以下のように油性ペンで印を つけます:
緑 CS(犯罪現場)
青 S1(容疑者 1)
橙 S2(容疑者 2)
紫 S3(容疑者 3)
赤 S4(容疑者 4)
黄 S5(容疑者 5)
マイクロチューブに、自分の氏名および実験期間を記入します。制限酵素による切断はこれらのチューブ内で行わ れます。これらのチューブは自分のチューブ立てに挿しておいて差し支えありません。
2. 「ENZ」と表示された、制限酵素混合物を入れた透明なマイクロチューブを用意します。
ENZ=酵素混合物
ENZ
3. DNA サンプルを準備します。
それぞれのサンプルごとに新しいチップを用いて、色付原液チューブから各 DNA サンプル 10 l をそれぞれ対応す る色付チューブに移します。
DNA原液 DNA
ここで、一度DNAサンプルを観察しておきましょう。
・DNA サンプルはどのような状態にありますか?(形状や色等)
・それぞれの DNA サンプルに違いは見られますか?
・制限酵素混合物はどのような状態にありますか?(形状や色等)
4. 両者を合わせて反応させます。
各々のサンプルごとに新しいピペットチップを取り付けたマイクロピペットを用いて、10 l の酵素混合物「ENZ」を以下 のように各々の反応用チューブに移します。
注意:試薬を代える場合または、誤ってチップが別のチューブ内の液体に触れてしまった場合には、チップを交換して ください。疑わしい場合にもチップを交換してください。酵素を入れる前に DNA をチューブ内に入れてください。いず れの場合にも、酵素は最後に加えてください。
この時点で、DNA サンプルには以下のものが含まれています:
DNAサンプル
(それぞれ10 l)
EcoR I/Pst I
酵素混合物 総反応溶液量 犯罪現場(CS) 10 l 20 l
容疑者 1(S1) 10 l 20 l 容疑者 2(S2) 10 l 20 l 容疑者 3(S3) 10 l 20 l 容疑者 4(S4) 10 l 20 l 容疑者 5(S5) 10 l 20 l
5. 内容物を混和する。
すべてのチューブのキャップを閉めます。マイクロチューブを穏やかに指で叩いて(タッピングして)内容物を混和し ます。遠心分離機がある場合には、マイクロチューブを適宜 2 秒間遠心し、液体を底部に集めて、反応溶液が混和す るようにします(マイクロチューブはローター内でバランスが取れるように配置するよう注意してください)。実験室内に 遠心分離機がない場合には、体温計を振る場合と同じように、チューブをしっかりと振ります(1 回で十分)。机の上に マイクロチューブを軽く打ちつけることでも、内容物を混和することができます。
指で叩く 机の上に 打ち付ける
6. サンプルを加温する。
マイクロチューブ立てにマイクロチューブを立て、37℃で 45 分間加温します。または、チューブを 37℃に加温した 大きな水浴中で加温し、一晩かけてゆっくりと室温まで放置します。インキュベーション後は、DNA 断片を次の実験時 まで冷蔵庫内で保存します。
水 浴
37 ℃ 、 4 5 分 または一晩
◆質問
1. サンプルをインキュベートする前に、DNA サンプルを制限酵素と混和させた後、チューブ内の溶液に、目で見て確 認できるような変化はありましたか?
2. EcoR I/Pst I を加えた後、DNA サンプルが切断または変化したことを示す何らかの証拠は、目で見て認められまし たか?
3. 見た目の変化がない場合、DNA サンプルはさらに切断される可能性がありますか。理由と共に説明しなさい。
4. 37℃での加温後、制限酵素が何らかの方法でマイクロチューブ内の DNA を変化させたことを示すような見た目の 変化はありましたか?あるとしたらどのように変化したか、ないとしたらどうしてないのか、理由を述べてください。
◆Lesson 3 DNA サンプルの電気泳動
<学習 1 DNA サンプルで EcoR I および Pst I 制限酵素認識部位の位置をどのようにして検出するのでしょう か?>
分子レベルでの変化を検出するには、その証拠を目で見ることは大変難しくなります。分析のための手がかりは目で 見ては認められないため、分子レベルでの変化を検出することは、私達の能力を超え、不可能と思われます。
そこで、これまでに学習してきたことを利用して、制限酵素認識部位の位置を検出する方法を考えてみましょう。
各々のサンプルには異なるサイズの DNA 断片がいくつ存在するでしょうか。
各々の断片の相対サイズはどのくらいですか。
EcoR I とPst I の制限酵素認識部位はどの DNA サンプルでも同じ場所に存在するのでしょうか?
以下の事実は、サンプル中の DNA 断片のサイズの実際の範囲を決定しようとする際に役立つと思われます。
<制限酵素で切断した断片の分析>
制限酵素は、その 3 次元構造あるいは形状により DNA 分子の 2 本鎖間の隙間に密着します。DNA に付着した制限 酵素は、特定の塩基配列を認識するまで 2 重らせんに沿ってすべるように移動します。この特定の塩基配列が「信 号」となり、酵素の移動が停止します。その後、制限酵素は分子のはさみのように作用して、認識した特定の塩基対配 列を切断しながら、その位置(制限酵素切断部位)で DNA 分子を消化(化学的に分離)します。
特定の制限酵素認識部位が DNA 分子内に複数存在する場合には、制限酵素はそれぞれの部位で切断を行い、複 数の断片を生じます。各々の断片の長さは、DNA 分子内の制限酵素切断部位の位置に依存します。
長い DNA 鎖を切断するために制限酵素を使用した場合には、さまざまなサイズの断片が生じます。これらの DNA 断 片は、アガロースゲル電気泳動法という方法を使用して分離できます。電気泳動というは、電荷を利用して運ぶという 意味です
<アガロースゲル電気泳動>
電気泳動は、DNA 断片をその大きさによって分離します。DNA 分子は負に帯電しており、電場に置かれると陽極方 向に引っ張られます。アガロースゲル基質は分子のふるい(孔状基質)として機能し、小さな DNA 断片ほど容易に移 動できます。したがって、DNA 分子がゲルを通って移動した距離と速度は、DNA 断片の(塩基対の)大きさに反比例 します。泳動中は、より小さな断片ほど、より遠くに移動することになります。同じ大きさの断片は一緒に行動し、1 本の DNA バンドとして移動します。これらのバンドは DNA を染色すると肉眼で見えます。生徒がお互いに押し合いへし合 いしている、皆さんの教室内でも同じような状況になるでしょう。
<実験台チェックリスト>
実験開始前に、下記の試薬や器具等が自分の実験台にあることを確認してください。
生徒用実験台 数/机 ( )
アガロースゲル 1
制限酵素処理済み DNA サンプル 5
サンプルローディングダイ「LD」 1
油性マーカー 1
ピペットチップ 1 箱
P-10 または P-20 マイクロピペット 1
ゴミ箱 1
マイクロチューブラック 1
電気泳動装置およびパワーサプライ 1 セット
ゲル染色用トレイ 1
λ/Hind III DNA マーカー「M」 1
教員用実験台
1×TAE 電気泳動用バッファー 275ml
Fast Blast DNA 染色液(1 倍) 500ml
<DNA サンプルの電気泳動実験>
1. 作製済みのアガロースゲルを先生からもらうか、または、先生の指示に従ってゲルを作製します。
2. ゲルの作製後、処理済みの DNA サンプルを冷蔵庫から取り出します。各 DNA サンプルに、サンプルローディン グダイ「LD」を 5 l ずつ加えます。
机の上に 打ち付ける 色素マーカー
指で叩く
5 l ずつ
すべてのマイクロチューブのキャップを閉めます。キャップがしっかり閉まっているか、確認してください。指でマイク ロチューブを穏やかに叩いて内容物を混和します。遠心分離機がある場合には、内容物をマイクロチューブの底部に 集めるために、マイクロチューブの遠心を適宜行います。遠心分離機を使用しない場合には、机の上にマイクロチュー ブを軽く打ち付けます。
3. ゲルの入ったゲルトレイを、電気泳動槽のプラットフォームに入れます。ウェルは、黒いリード線の出ている泳動槽 の陰極側(-)に向けるようにします。ゲルを作成した場合は、コームを慎重にゲルから取り外します。真上にそっと持ち 上げるようにするとうまくいきます。
4. 電気泳動槽に約 275ml の電気泳動用バッファーを注ぎ込みます。ゲル上部 2 mm ぐらいまで、泳動槽にバッ ファーを注ぎ込んでください。
5. サンプルごとに別のチップを使用し、以下のようにロードを行います:
レーン 1: /Hind III DNA マーカー、透明マイクロチューブ、10 l レーン 2: CS(犯罪現場)、緑、20 l
レーン 3: S1(容疑者 1)、青、20 l レーン 4: S2(容疑者 2)、橙、20 l レーン 5: S3(容疑者 3)、紫、20 l レーン 6: S4(容疑者 4)、赤、20 l レーン 7: S5(容疑者 5)、黄、20 l
6. 電気泳動槽に蓋をします。蓋は装置本体の一方向にしかはめられません。赤い部分同士、黒い部分同士を合わ せます。電極を電源に差し込みます。
7. 電源を入れます。80V にセットし、30~40 分、サンプルの電気泳動を行います。泳動初期と終了時の電流値(mA) を確認し、その値を控えておきます。電圧値が 80V でない場合、サンプルローディングダイがゲルの3分の2まで流れ たところで泳動を止めてください。
ゲルの泳動を待つ間、33 ページの質問について考えてみましょう。