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構造物検査用内視鏡の開発

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Academic year: 2021

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109 西松建設技報 VOL.30

1.はじめに

 社会経済情勢の変化とともに,鉄筋コンクリート構造 物の維持管理が,さらに重要なテーマになっている.鉄 筋コンクリート構造物の維持管理では,その劣化状況を 正確に検査することが基本であり,検査技術としては,

超音波探査等の非破壊検査とコア抜き等の破壊検査に大 きく分類できる.しかし,非破壊検査は計測精度に課題 があり,一方,破壊検査は鉄筋を切断し構造物にダメー ジを与える可能性があるなどの課題がある.

 これらの課題を解決する手段として,近年,微破壊検 査が注目され始めている.微破壊検査とは,鉄筋を切断 することなく(構造物にダメージを与えない)電動ドリ ル等でコンクリートに小さな孔を開け,その孔内の状況 や採取した試料からコンクリート内部の劣化状況を調べ る技術のことである.孔内の観察には,一般に内視鏡が 用いられるが,市販の内視鏡を用いた場合には,劣化状 況をおおよそ把握できるものの,ひび割れ幅等の劣化部 分の計測は困難であった.

 そこで,市販の内視鏡に改良を加え,ひび割れ幅等を 計測できる内視鏡(以下,「構造物検査用内視鏡」と称 する)を開発した.

2.構造物検査用内視鏡について

⑴ システム構成

 構造物検査用内視鏡は,写真―1に示すように計測プ ローブ,硬性鏡(内視鏡),ペンライト,接続リングおよ びデジタルカメラで構成されている.観察および計測方 法としては,穿孔した孔に構造物検査用内視鏡を挿入し,

接眼レンズから直接目視するかデジタルカメラを接続し

そのモニター上で行う.ペンライトは孔内の照明用であ る.

⑵ 仕様

 構造物検査用内視鏡は,表―1に示すように軽量コン パクトな仕様で,電源も照明用の単三電池2本のみであ り,現場での作業性に優れている.挿入部の計測プロー ブの長さは425 mmであり,一般的な構造物であれば,

鉄筋位置まで十分に観察できる.

⑶ 改良点

 孔内のひび割れ幅を正確に計測するには,硬性鏡先端 のレンズからのひび割れ面までの距離を常に一定にする 必要がある.構造物検査用内視鏡は,図―1に示す支持 リングを用い硬性鏡を孔軸の中心に支持し,孔壁面まで の距離を常に一定になるようにした.また,ひび割れ幅 計測用のスケールを接眼レンズの裏側に取り付け,0.1 mm単位でひび割れを計測できるようにした.なお,使 用するドリルの直径は14.5 mmとした.

 図―1のプーリーは,空洞調査のためのコンベックス スケールをセットするためものである.写真―2のよう にスケールをセットすることにより,コンクリート内部 の空洞の概略サイズを計測できる.

構造物検査用内視鏡の開発

原田 耕司 伊藤 幸広**

Koji Harada Yukihiro Ito

**

技術研究所技術研究部土木技術課 佐賀大学理工学部准教授

表 ― 1 構造物検査用内視鏡の仕様

項   目 仕   様

全  長 530 mm(カメラ含まず)

計測プローブ全長 460 mm 計測プローブ外径 12.9 mm

重  量 540 kg(カメラ含まず)

電  源 単三電池2

図 ― 1 計測プローブ先端部の構造

写真 ― 1 構造物検査用内視鏡の全景

写真―2 空洞調査用スケールのセット状況

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構造物検査用内視鏡の開発 西松建設技報 VOL.30

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3.検証試験

⑴ ひび割れ幅の計測  1)試験方法

 ひび割れ幅の計測試験では,100×100×400 mmの供 試体を使用し,電気ドリルにより供試体に直径14.5 mm の穿孔した.続いて,コンクリートカッターで供試体を 孔軸方向に2分割した.ひび割れは,2分割した供試体 を孔軸直角方向にハンマーで割ることにより作製した.

実験では,写真―3のように供試体の切断面を所定の幅 で固定し,そのひび割れ部を構造物検査用内視鏡で計測 した.

 2)試験結果

 写真―4にひび割れ幅の観察状況を示す.また,図―

2にひび割れ幅の計測結果を示す.なお,ひび割れ幅の 実測値はクラックスケールによる計測値である.構造物 検査用内視鏡の計測値と実測値の相関係数は0.99とな っており,ひび割れ幅の計測精度が高いことを確認した.

⑵ 中性化深さの計測  1)試験方法

 中性化深さ計測試験では,中性化深さの異なる100×

100×100 mmの供試体および経年劣化した構造物から

採取したコンクリート片を用いた.まず,電気ドリルに

より直径14.5 mmの穿孔を行った後,フェノールフタ

レイン1%アルコール溶液を孔内に噴霧した.次いで,

計測プローブを孔内に挿入し赤変した境界部をモニター 画面の中央に合わせ,挿入長を計測プローブの側面に刻 まれた目盛を読み取ることにより中性化深さを求めた.

中性化深さの実測値としては,コンクリートカッターで 供試体を孔軸方向に切断し,中性化境界面を露出させノ ギスにより中性化深さを計測した.

 2)試験結果

 写真―5に中性化境界部の観察状況を示す.また,

―3には中性化深さの計測値と実測値の関係を示す.構 造物検査用内視鏡による計測値と実測値の相関係数は 0.99となっており,中性化深さの計測精度に関しても高 いことを確認した.

4.おわりに

 本論文では,構造物検査用内視鏡によるひび割れ幅お よび中性化深さの計測について紹介したが,構造物検査 用内視鏡は,コンクリート内部の空洞サイズも計測可能 であることを確認している.

 現場での作業性に優れる構造物検査用内視鏡が,社会 資本ストックの延命化の一助になれば幸いである.

写真 ― 3 供試体

写真 ― 4 ひび割れ幅の計測状況

図 ― 3 中性化深さの計測値と実測値の関係 䈵䈶ഀ䉏㩷

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図―2 内視鏡による計測値と実測値の関係

写真 ― 5 中性化の観察状況

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