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既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

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既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

研究予算:運営費交付金(理事長特別枠)

研究期間:平 21~平 25

担当チーム:構造物研究グループ(橋梁)

研究担当者:村越潤,遠山直樹,木ノ本剛

【要旨】

我が国の鋼道路橋は約 5 万 8 千橋(橋長 15m 以上)を数えるが,近年,重交通路線に位置する橋梁や長期供用 された橋梁等において,疲労損傷事例が顕在化しつつある.鋼道路橋の疲労損傷については,交通条件,構造条 件,溶接品質等により損傷傾向,原因及び対策方法が異なる場合が多く,これらの事例に対する調査・診断・対 策技術の体系化を図ることが重要と考えられる.本研究では,鋼道路橋における疲労損傷の発生傾向,各種要因 との関係について既存事例に基づく実態分析を行うとともに,具体的な事例について実験・解析的検討を行い,

調査・診断・対策技術に関する知見を現場で活用できる技術資料としてとりまとめることを目的としている.本 年度は,鋼床版に発生する疲労き裂を対象として,対策技術としての SFRC 舗装の補強効果について検討を行っ た.また,実橋梁における SFRC 舗装の対策効果を,対策前後の応力計測により確認した.

キーワード:鋼道路橋,疲労き裂,鋼床版, SFRC 舗装

1.はじめに

近年,重交通路線に位置する橋梁や長期供用された橋 梁等において,重大な疲労損傷事例

1)

が顕在化しつつあ る.鋼道路橋の疲労損傷については,交通条件,構造条 件,溶接品質等により損傷傾向,原因及び対策方法が異 なる場合が多く,これらの事例に対する調査・診断・対 策技術の体系化を図ることが重要と考えられる.本研究 では,鋼道路橋における疲労損傷の発生傾向,各種要因 との関係について既存事例に基づく実態分析を行うとと もに,具体的な事例について実験・解析的検討を行い,

調査・診断・対策技術に関する知見を現場で活用できる 技術資料としてとりまとめることを目的としている.

本年度は,鋼床版に発生する疲労き裂を対象として,

対策技術としての SFRC 舗装の補強効果について検討を 行った.また,実橋梁における補強効果確認のために,

SFRC 舗装前後における応力計測を行った.

2.検討概要

鋼床版橋では,デッキプレートと U リブの溶接部にお いて溶接ルートから発生し,デッキプレートを貫通する 疲労き裂(以下,デッキ進展き裂)が確認されている.

主な対策方法の一つに SFRC 舗装による補強が挙げられ 土木研究所では,これまでに SFRC 舗装による既設鋼床 版の補強対策に関して,設計・施工マニュアル(案)

2)

をとりまとめている.

一方,同溶接部には,デッキ進展き裂の他に,溶接ル ートからビードを貫通する疲労き裂(以下,ビード進展

き裂)が発生している事例も多数報告されている. SFRC 舗装ではデッキプレート溶接部周辺の局部応力軽減効果 が得られるのでビード進展き裂の発生・進展に対しても 十分な抑制効果が期待できるものと考えられる

3) , 4)

.こ れまでに実施されている対策事例では,SFRC 舗装に加 えて, き裂先端を除去するために観察孔を設置した上で,

き裂の進展性状に応じて,当て板による断面補強を併用

する対策

5) , 6)

が行われている.しかしながらこの場合,

目視では確認困難なビード内在き裂の進展や,観察孔に 露出したルートからの新たなき裂の発生が懸念される.

本研究では, SFRC 舗装を行った状況下で,ビード進 展き裂のき裂進展防止のために設ける観察孔が有する疲 労耐久性について検討を行った.本年度は,昨年度に引 き続き SFRC 舗装の補強を施した実大鋼床版試験体に対 して,ビード進展き裂を模擬したスリットを施工した場 合の,スリット端部の観察孔周りの疲労耐久性の検討を 行った.具体的には, FEM 解析により荷重載荷位置と観 察孔周りに生じる応力性状の把握を行うとともに,スリ ット長が観察孔に露出したルート部の疲労耐久性に与え る影響について検討を行った.

また,実橋梁で SFRC 舗装前後において,荷重車走行 時及び一般交通荷重下における簡易な応力計測を行い,

SFRC 舗装の補強効果の確認を行った.

なお,本研究は,㈱横河ブリッジホールディングスと

の共同研究「鋼床版橋梁の疲労耐久性向上技術に関する

共同研究(その 2 ) 」 (平成 16 ~ 21 年度)

7) , 8)

の一環とし

て実施している.

(2)

3. き裂処理 3.1 解析モ 3.1.1 静的

図-3.1 に S 下,試験体)

示す.試験は 溶接部にビー リット)を施 のための観察 図-3.2 に横 と縦リブ支間 リットと観察 ら 600mm ま 載荷試験を実 ついても順次 の時点で, 観察 観察孔こば面 -3.3 に観察孔 疲労試験時に に,余盛りを

面(横リブ)

22 10

スリット導入

O 300

理部の疲労耐 モデルの妥当性

的載荷試験概 SFRC 舗装を施

の寸法形状と は U3 リブの U4 ード進展き裂を 施工するととも 察孔を施工した 横リブ交差部を 間中央の位置 察孔を示す.試

で 100mm ずつ 実施した.この 次変更している 察孔 H , M を対 面ルート部から 孔の寸法形状と にルート部から を削除してのど 図-3.

t=8t=8t=6t=6 Line3

U1U2U3U4

840 695

入溶接線 200200 100

舗装 SFRC

耐久性に関する 性検証 概要

施工した実大鋼 と載荷試験時の

4 リブ側の溶接 を模擬したスリ もに,その両端 た状態で実施し をまたぐ位置

(以下,支間部 試験はスリット つ増加させなが のため,着目す る.また,スリ 対象とした疲労 ら疲労き裂を発 と溶接断面マク らのき裂再発を ど厚不足の状態 1 SFRC 舗装を

13 150

SFRC

端横リブ 9

220

載荷断面位置

舗装

検討

鋼床版試験体 の荷重載荷位置

接線に着目し,

リット(以下,

端にき裂進展防 した.

(以下,交差部 部)に導入した ト長を 100mm

がら,順次,静 する観察孔位置 リット長 400mm 労試験を実施し 発生させた.

クロを示す.な を容易にするた 態としている.

を施工した実大鋼

400 375

M N O P Q R S T

スリット導入溶接 220

設鋼道路橋に

(以 置を 同 ス 防止

差部)

たス か 静的 置に mm

し,

図 なお,

ため

鋼床版試験体の

4450

I J K L M edcba

観察孔(交差部) Sec.M

中間横リブ

接線断面図(スリット長

U3 SFR

デッキ

 リブ ウェブ

U

ビード切削

おける疲労損

図-3.2 スリッ

図-3.3 観察孔 の寸法形状と載荷

400 2750

B C D E F G H

頭付きスタッ

観察孔(一般部) Sec.H

A

長 の場合)400mm

Q R リブ側面

30

※ は各 RC

キプレート スリット

26 ブ

ブ側面 φ R2.5

R13

20

削部

傷の調査・診

ット(交差部及び

孔の寸法形状と溶 荷試験時の荷重載

175

ッド

)

端横リブ

75 12

220

N M L 中間横リ 600

200 00 400

500 600 交差部

スリット長におけ 試験開 スリッ スリッ

試験 スリ

100m 1

32

診断・対策技術

及び支間部)と観

溶接ビードマク

● 疲

載荷位置

100320320320320320320320320320320320160 2980800 3780 1

2 3 4

載荷中心位5

6

H リブ I

200 300

4 6 支間

る計測を実施した観 開始時の

ット長 ット長を

ずつ増加

験終了時の ット長 mm

C 375

術に関する研究

観察孔

クロ断面

静的載荷試験時載荷位 疲労試験時載荷位置 位置

600

D C

0 400

500 600 間部

観察孔位置 CL

位置

(3)

3.1.2 解析 図-3.4 に試 接部形状と観 の最小要素寸 SFRC 舗装及 れぞれ, E=4

(ν =0.3 )と 合成と仮定し 体の溶接形状 荷条件と同じ た.なお,本 素数は 113,20 析プログラム

3.1.3 静的 最初に、静 妥当性を検討 しているので 示す観察孔周 ジである.

図-3.9 に支 おける応力の は観察孔こば のこば面R 部 ずみゲージ G 応力から算出 ルート部,こ にスリット長 の最大・最小 こば面ルート

析モデル 試験体の解析モ 観察孔部分の要 寸法は 0.5mm × 及び鋼部材の弾

40,000N/mm

2

とした. SFRC 舗

した.溶接部の 状と同じとした じとし,輪荷重 本解析モデルの 00 要素である ム COSMOS/M

的載荷試験と 静的載荷試験結 討した.静的載 で省略する.比 周りに貼付した

支間部の観察孔 の橋軸方向影響 ば面ルート部

部(ひずみゲー G3-3)である.

出した.以下,

こば面 R 部,デ 長 400mm の場 小応力発生載荷 ト部の鉛直方向

※デッキ側 の接合部

-3.4

モデルの全体図 要素分割図を示

× 0.5mm × 0.5m 弾性係数 E とポ

(ν=0.167) , 舗装とデッキ の形状は,余盛 た.荷重は,静 重( 150kN )を の節点数は,

.解析には汎 M ver.2.9 を使用

の比較 結果との比較に 載荷試験の詳細 比較対象とした た 5 連ゲージの

孔 H(スリッ

響線を示す.着

(ひずみゲージ ージ G2-3 )及び 解析値は同位 これらの各着 デッキ下面と呼 場合の,橋軸方 荷位置(断面 a 向応力分布を示

側面は単純支持とし 部は全方向固定とし

試験体モデル全

図を, 図-3.5 に 示す.着目観察 mm 程度とし ポアソン比νは

E=200,000N/m 間の接合は完全 盛り切削後の試 静的載荷試験の を模擬して載荷

117,200 節点,

汎用有限要素法 用した.

によりモデル化 細は過年度に報 たのは, 図-3.6 の中心位置のゲ

ト長400mm)

着目する計測位 ジ G1-3 ) ,観察 びデッキ下面 位置の要素の節 着目位置をこば 呼ぶ.また,図- 方向影響線載荷 a , G )におけ 示す.いずれの

し,主桁と横リブ してモデル化.

全体図

設鋼道路橋に

に溶 察孔 た.

はそ mm

2

完全

試験 の載 荷し

要 法解

化の 報告 6 に ゲー

に 位置 察孔

(ひ 節点 ば面 -3.8 荷時

る,

の部

応力(N/mm2)応力(N/mm2)応力(N/mm2

おける疲労損

(a)

溶接 図-3.5 試験体

a(6m

m)

b(75%)

U

11

8 5 G1

5

G4

図-

-200 -150 -100 -50 0 50 100 150 200

Q R S T

計測 解析

応力(N/mm)

横リブ位

-100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100

Q R S T

応力(N/mm2

横リブ

-100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100

Q R S T

応力(N/mm)

横リブ位

(a)

(b)

(c)

-3.7

支間

傷の調査・診

接形状

体モデルの溶接形

デッキプレート

:溶接脚長 :溶接溶込み量 a

b

(mm) (%)

3 11

8 G3

G2 45°

-3.6

観察孔周

e K L M N O P Q

測値 析値

位置

K L M N O P Q

計測値 解析値

ブ位置

K L M N O P Q

計測値 解析値

位置

コバ面ルート部

コバ面 R 部(ひ

コバ面下面(ひ 間部の観察孔 H に

診断・対策技術

(b)

要素 形状と観察孔部

スリッ

4x 5 2=8

: 連ゲー

: 軸ゲー 5 3 G4

G1

りのゲージ貼付

H I J a b c d e

載荷位置 ス 観察孔位置

H I J a b c d e

載荷位置 ス 観察孔位置

H I J a b c d e

載荷位置 ス 観察孔位置

(ひずみゲージ

ひずみゲージ G

ひずみゲージ G における応力の橋

術に関する研究

素分割図 部分の解析モデル

ルート部応力

4

38

ージ ージ

(デッキ下面から)

付位置

A B C D E F G H

スリット長400mm 支間中央

A B C D E F G H

スリット長400mm 支間中央

A B C D E F G H

スリット長400mm 支間中央

G1-3)

G2-3)

G3-3)

橋軸方向影響線 究

A A

A

(4)

既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

位においても,計測値と解析値は良く一致しており,解 析モデルは妥当と考えられる

9) , 10)

3.2 スリット及び構造諸元の影響検討 3.2.1 解析パラメータ及び解析ケース

過年度の疲労試験により,観察孔ルート部より疲労き 裂が発生することが確認された.ここでは,き裂の起点 である解析モデルのルート位置の要素応力を用いて,実 橋で想定される溶接条件,き裂状態及び構造諸元の影響 について検討を行う.なお,着目要素の解析値について は,要素寸法の影響を受けるが,解析値の相対比較は可 能と考えられる.

表-3.1 に検討した解析パラメータと解析ケースを, 図 -3.9 に,スリット長 400mm の場合の支間部,交差部及 び 1/4 支間部の解析モデルを示す.スリット位置の影響 を検討するため,支間部, 1/4 支間部にスリットを設け,

それぞれ支間中央, 1/4 支間を対称に片側 200mm (全長 400mm)のスリット長とした.スリット長をパラメータ とした解析の支間部モデルについては,着目する観察孔 に対して,スリット長を 100mm ずつ,中間横リブとは 反対方向に伸ばしていった.また,交差部モデルについ ては, 図 -3.2 に示したスリットの伸ばし方と同様である.

基本ケースでは,スリット長を 400mm とし,実橋で想 定される溶接条件として,すみ肉溶接脚長を 6mm,溶込 み量を板厚の 50%,その他諸元は試験体モデルと同じと した.また,表中のケースとは別に, SFRC 舗装による 応力軽減効果を把握するために,基本ケースに対してア スファルト舗装を適用した場合の解析ケースも比較した.

解析モデルとしては舗装厚を 75mm ,舗装の弾性係数 E とポアソン比 ν として,既往の文献 11)~ 13)を参考に,

夏季を対象として E=1,000N/mm

2

ν=0.35 )と仮定した.

載荷荷重は静的載荷試験と同様に,150kN としている.

3.2.2 解析結果と考察

(a) 観察孔こば面ルート部の応力性状

図-3.10 に,スリット位置を変化させた場合のこば面 ルート部応力の影響線を示す.横軸は観察孔位置を原点 としている.支間部と 1/4 支間部におけるこば面ルート 部応力について,最大・最小値は異なるが,応力範囲は それぞれ 505N/mm

2

, 491 N/mm

2

(比率 1.03 )と同程度の 値である. 表-3.2 に支間部と交差部におけるこば面ルー ト部の最大・最小主応力発生時の観察孔周辺の変形挙動 の解析結果を示す. 最大主応力が発生する載荷位置では,

観察孔はせん断変形の影響を受けている.一方,最小主 応力が発生する載荷位置では,スリット上に荷重が載荷 しており,こば面が鉛直方向に潰されるように変形して いる.

図-3.11 に支間部,交差部及び 1/4 支間部の各着目観 察孔ルート部の応力の影響線を示す.また,図中には観 察孔ルート部応力の影響線の包絡線を模式的に示す.観

図-3.9 支間部,交差部および 1/4 支間部の解析モデル

(スリット長 400mm の場合)

-3.8

支間部のこば面ルート部(ひずみゲージ G1-3)

の橋軸直角方向影響線

-100

-75 -50 -25 0 25 50 75 100

-480 -320 -160 0 160 320 480 橋直方向載荷位置

計測値(最大)

解析値(最大)

計測値(最小)

解析値(最小)

応力(N/mm2)

(Line1) (Line2) (Line3) (Line4) (Line5)

※ ±320mm(Line1,5)の 最大値の計測は未実施.

基本ケース 変化ケース

スリット長(mm) 400 200,300,500,600 スリット位置 交差部,支間部 1/4支間部 溶接溶込み量(%) 50 0,25,75

溶接脚長(mm) 6 4

縦リブ支間(mm) 2750 2000,3500,4000

解析パラメータ 解析ケース

表-3.1 実橋モデルの解析パラメータと解析ケース

デッキプレート

交差部 支間部

スリット 支間部

SFRC

 リブU 1/4

400

400

400

着目観察孔

着目観察孔 着目観察孔

※着目観察孔は固定した上で,   ピッチでスリットを伸ばした.100mm

※着目観察孔およびスリットの  伸ばし方は図- 参照.3

※  支間部では,スリット長    のみ.400mm

スリット延伸方向 1/4

中間横リブ 舗装

(5)

既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

察孔のルート部には荷重の移動に伴い,せん断力による 引張応力が作用する.これに加えて,荷重がスリット上 に載荷された場合に観察孔位置は,スリット部の SFRC 舗装とデッキを両端固定梁と仮定した場合の支点部にあ たり,ルート部には支点反力に相当する圧縮応力が作用

すると考えられる.なお,交差部の横リブ位置では,横 リブが輪荷重を直接支持するため,支間部と比較して,

支点反力に相当する圧縮応力が減少する.また,せん断 力の影響から応力範囲に占める引張応力の割合が大きく なる傾向にある.

図-3.10 スリット位置を変化させた場合の観察孔ルー ト部応力(スリット長 400mm の場合)

図-3.11 スリット位置を変化させた場合の観察孔ルー ト部応力(スリット長 400mm の場合)

表-3.2 観察孔ルート部に最大・最小主応力が発生する載荷位置における観察孔周辺の変形挙動の解析値

-500

-400 -300 -200 -100 0 100 200 300

-500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 500

支間部モデル 1/4支間モデル

スリット長400mm

観察孔を原点とした橋軸方向距離 (mm) 応力(N/mm2)

182N/mm2 90N/mm2

-323N/mm2 -401N/mm2

-5 -4 -3 -2 -1 0 10 20 30 40 -500 50

-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 500

-1,375 -688 0 688 1,375 2,063 2,750 支間部

1/4支間 交差部 観察孔位置

観察孔ルート部応力(N/mm2)

中間横リブを原点とした橋軸方向距離 (mm)

※交差部では影響線の正負を反転している.

せん断力による 影響分 (応力範囲一定)

支点反力による 影響分 支点反力による

影響分(横リブの 影響あり)

.5

-687.5 687.5 2,062.5

SFRC舗装 スリット

デッキ

 リブ側面U 400

交差部スリット 支間1/4 支間中央部

400 400

着目観察孔

中間横リブ 端横リブ

端横リブ

※1 変形図の変形倍率は300倍とした.

※2 スリット上に荷重を載荷した場合に,デッキ面とUリブは接触しないと仮定.また,観察孔変形図はUリブウェブ部分のみを抜粋.

交差部モデル 支間部モデル

影響線 最大主応力

(引張)

発生時

U3リブ 全体 変形図

観察孔 変形図

影響線 最小主応力

(圧縮)

発生時

U3リブ 全体 変形図

観察孔 変形図

スリット長400mm P=150kN スリット長400mm

P=150kN 観察孔

観察孔

スリット長400mm P=150kN

スリット長400mm P=150kN 観察孔

観察孔

スリット導入部

スリット導入部 スリット導入部

スリット導入部

(6)

既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

(b) スリット長の影響

図-3.12 に,基本ケースに対してスリット長のみを変 化させた場合の観察孔におけるルート部の応力範囲を示 す. 交差部と比較して支間部の方がスリット長によらず,

応力範囲が大きい.また,支間部,交差部ともに,スリ ットが長くなるにつれて応力範囲の増加割合が減少する 傾向にある.

また,基本ケースに対して,縦リブ支間長を 2,000~

4,000mm に変化させた場合,応力範囲の違いは交差部で

0.99~1.01 倍,支間部で0.96~1.03 倍であり,ほとんど 差はみられなかった.これは前述したように,観察孔に おけるルート部の応力性状として,観察孔近傍に荷重が 載荷された時の影響が支配的であり,直上載荷時の支点 反力に相当する圧縮力と, U リブに作用するせん断力の 影響が大きいため,縦リブ支間の変化がルート部の応力 範囲に与える影響は小さいためと考えられる.

(c) 溶接溶込み量と溶接脚長の影響

図-3.13 に,基本ケースに対して溶接溶込み量のみを 変化させた時の観察孔こば面ルート部の応力範囲を示す.

図中にはさらに溶接脚長を変化させた場合の結果を示す.

同一の溶接脚長6mm の場合には, 溶込み量が多いほど,

応力範囲が小さくなり,基本ケース(50%)に対し,溶 込み量 25,75% では応力範囲で,それぞれ約 1.08 , 0.81 倍 に変化する.また,溶込み量を同一(50%)として溶接 脚長を 4mm とした場合には,基本ケースに対して応力 範囲が約 1.09 倍に大きくなる傾向にある.

(d) 舗装剛性の影響

SFRC 舗装施工前に観察孔を設置し,き裂先端処理を 先行して実施した場合を想定し,観察孔におけるルート 部の応力範囲を求めた.SFRC 舗装の基本ケースに対し て,アスファルト舗装の場合のこば面ルート部の応力範 囲は,支間部で約 4.7 倍,交差部で約 3.7 倍となっており 厳しい応力状態となっている.観察孔ルート部からのき 裂発生を防ぐためには,観察孔施工後,SFRC 舗装等に よる応力軽減対策を早い時期に実施する必要がある

3.3 疲労試験結果に基づく疲労耐久性の評価

ここでは,過年度に実施した疲労試験結果及び 3.2 の 検討結果を基に, 実橋モデルの疲労耐久性の評価を行う.

3.3.1 評価方法

実橋モデルの疲労耐久性評価は,疲労試験において表 面き裂がUリブウェブを貫通するまでのルート部の累積 疲労損傷度と,実橋モデルのルート部の累積疲労損傷度 が等価となる年数(以下,等価年数)を求めることによ り行った.なお,ルート部の応力はいずれも FEM 解析 から求めているが,評価には応力の絶対値ではなく,あ くまでも試験体モデルと実橋モデルの応力の比率を用い ている.

表-3.3 に,定点疲労試験の各試験ケースについてルー ト部の応力範囲解析値と累積疲労損傷度(べき乗数: m=3 ) を示す.損傷度が最も小さいケース 1 を基本に実橋の疲 労評価を行った.交通供用下の輪荷重データには,昭和 59 年に土木研究所が国道 357 号線の有明地点で実施した 車両実態調査結果

14)

を用いた.この車両データは,重車 図-3.12 スリット長と観察孔ルート部応力の関係

0 100 200 300 400 500 600 700

150 250 350 450 550 650

スリット長(mm) 支間部モデル 交差部モデル 観察孔ルート部の応力範囲Δσ(N/mm2

200 300 400 500 600 0 100 200 300 400 500 600 700

-12.5 12.5 37.5 62.5 87.5

観察孔ルート部の応力範囲Δσ(N/mm2

溶接溶込み量(%)

支間部モデル 交差部モデル

脚長を6mm から4mmに 変えた場合

0 25 50 75

図-3.13 溶込み量と観察孔ルート部応力の関係

(7)

既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

両交通路線での調査データの中でも厳しいデータの1つ として,鋼道路橋の疲労設計指針

15)

において参照されて いるデータである.

算出にあたっては, 図-3.14 に示す試験体モデル(ケ

ース 1,着目観察孔 M)と実橋モデルのこば面ルート部

応力の比率 β (支間部 0.91 ,交差部 1.09 )を考慮した.

図中の 3 ケースのこば面ルート部の応力範囲の違いにつ いては, 5.(3)に述べた通りである.

等価年数 Y

eq

は以下の式 (1) で表される.

(1)

ここで,

:定点疲労試験時の輪荷重(P

t

=150kN)

:ケース 1 ( M )で表面き裂が U リブウェブを 貫通した繰返し回数(回) ( N=170 万回)

:平均軸数(軸/台) (N

ave

=2.62 軸)

:等価換算輪重( kN ) ( P

eq

= 31.8kN )

:疲労設計曲線の傾きを表すべき乗数( m = 3 )

:日大型車交通量(台 /日/車線)

:横断方向に対する輪荷重載荷位置のばらつき の補正係数( α=0.9

:試験体モデルに対する実橋モデルのこば面ル ート部応力範囲の比率

なお,補正係数 α については, Line3 を中心としたル ート部応力の橋軸直角方向影響線( 図-3.7)と,大型車 の橋軸直角方向輪荷重走行位置分布調査

16)

による分布を 重ね合わせることにより算出した.

3.3.2 試算結果

図-3.15 に,支間部,交差部のうち,ルート部応力範 囲の大きい支間部における大型車交通量と等価年数の関 係を示す.スリット長以外のその他の解析条件は 3.2.1 の実橋モデルの基本ケースと同様である.き裂長が長く なるにつれて,また大型車交通量に比例して等価年数が 短くなる結果となる.例えば,大型車交通量 5,000 台 / 車 線/日では,400mm のき裂を残置させた場合,等価年数 は約 32 年となる. 仮にある程度進展したビード進展き裂 を残存させた場合,観察孔からき裂が発生する可能性は 高いと考えるべきである.なお, 3.2.2 で述べたように,

ルート部応力範囲は,溶接の溶込み量及び脚長で変わる ことに注意する必要がある.

一方,過年度に実施した定点疲労試験結果では,表面 き裂がUリブを貫通する時点の載荷回数を等価年数とし て評価したものであるが,前述の通り,デッキと SFRC 舗装の一体化が図られていることから,鋼床版の性能に すぐに影響を与えるものではない.しかし,長いビード 進展き裂を残置させることは,ルート部からのき裂の発 生や, SFRC 舗装に有害なひび割れを誘発し, SFRC 舗装 の耐久性を損なう恐れがある.そのため,長いビード進 展き裂を残存させるべきではないが, SFRC 舗装後のル

図-3.15 大型車交通量と等価年数の関係(支間部におけるス リットを対象)

表 3.3 こば面ルート部応力に対する累積疲労損傷度

図-3.14 試験体モデル(ケース 1(M) )と実橋モデルの応力 範囲の比率(スリット長 400mm の場合)

0 20 40 60 80 100

0 2,500 5,000 7,500 10,000 等価年数Yeq(年)

大型車交通量(台/車線/日)

スリット長200mm スリット長300mm スリット長400mm スリット長500mm ルート部 応力範囲

繰返し 回数

累積疲労 損傷度

σ0 (N/mm2N(万回)σ03

×N

H 527 170 2.49×1014 1.79

M 457 146 1.39×1014 1.00

ケース2 L 501 115 1.45×1014 1.04

試験ケース 観察孔

ケース1

累積疲労 損傷度

比率

N

ave

P

eq

m

P

t

N

ADTT

 

          

N Y P

t m eq

  

P

m

N

ave

ADTT

eq

  

 365

0 100 200 300 400 500 600

2観察孔ルート部の応力範囲ΔσN/mm1

実橋モデル基本ケース

(溶込み量50%,脚長6mm)

試験体モデル ケース1 着目観察孔M

(1.00)

(β=0.91)

(β=1.09)

支間部 交差部

(8)

ート部からの る対処が可能 裂を残存させ 管理での対応

4. SFRC 舗 4.1 計測概 4.1.1 対象

図-4.1 に計 23m の単純鋼 日大型車交通 果)である.

本橋では,

した鋼床版へ 閉断面リブを り,通常の鋼 いる点である 部分にデッキ 桁の増設断面 と閉断面部か れており,縦 っている.な ボルト接合に 上面には舗装

のき裂の進展が 能であることを せたとしても,

応も十分可能と

舗装前後の応力 概要

象橋梁 計測対象とし 鋼 I 桁橋 2 連から 通量は 6,262 台

昭和 50 年に R への取り替えを を橋軸直角方向 鋼床版橋梁にお る. 図-4.2 に示 キプレート,ウ 面(以下,縦桁 からなる鋼床版 縦桁ウェブに閉 なお,橋軸方向 により行われて 装のずれ止めと 図-4.

が遅いことやき を勘案すれば,

当該観察孔の と考えられる.

力計測による補

した橋梁一般図 らなり, 架設年 台 / 車線( H17 年

RC 床版から閉 を実施している 向の補剛リブと おける補剛リブ 示すように,撤 ウェブ,下フラ 桁と称する)と 版が一体化した 閉断面リブが取 向の接続はデッ ている.また,

として,波型の (a) 橋梁側

(b) 橋梁断面 .1 計測対象橋

き裂切削除去に 400mm 程度の の点検による維

補強効果の確認

図を示す.支間 年次は昭和 36 年 年センサス調査

閉断面リブを使 るが,特徴とし として配置して ブ配置と異なっ 撤去した RC 床 ランジからなる とデッキプレー たパネルが設置 取付いた構造と ッキプレート部 デッキプレー のプレート(リ

面図

面図 橋梁一般図

設鋼道路橋に

によ のき 維持

間長 年,

査結

使用 して てお って 床版 る主 ート 置さ とな 部の ート リブ

高さ 設置 本 置直 ブと

4.

計 ち, G 閉断 す通 ゲー 位置 ゲー 桁ウ 5mm 測に した 計

・荷 車 重 1 行試

おける疲労損

さ約 20mm ) が全 置されている.

本橋におけるき 直下近傍である との隅肉溶接部

1.2 計測方 計測対象は損傷

G2 桁のうち支 断面リブとした 通り,ゲージ① ージ②閉断面リ 置直下で溶接止 ージ③, ④縦桁 ウェブから 5m

m と 171mm(

には小型動ひず た.

計測は, SFRC 舗 荷重車走行試験 車両重量が既知 194kN の 400kN 試験. G2 桁直

・一般交通条件

傷の調査・診

全長にわたり約

き裂損傷発生部 る G2 , G4 桁上 部である.

傷発生が報告さ 支間中央部付近 た.ひずみゲー

① G2 主桁下フ リブ近傍のデッ 止端部から 5m

ウェブと閉断

mm 位置で,

(橋軸直角方向 ずみ測定器(測

舗装施工前後 験

知(総重量 388 N ラフターク 上通過時のひず 件下における2

図-4.2 ひず

診断・対策技術

約 100 から 15

部位は,輪荷重 上の閉断面リブ

されている G2 近で損傷の発生 ージ設置位置は

ランジ下面(

ッキプレート下 mm の位置(橋 断面リブのすみ

デッキプレー 向) )の合計 4 点

測定点数: 4 点 後に以下の内容

8kN,前軸重1 レーン) の車両 ひずみ変動を計

24 時間の動ひ ずみゲージ貼付位

術に関する研究

50mm 間隔で

重の主載荷位 ブと縦桁ウェ

2 , G4 桁のう 生していない は 図-4.2 に示

(橋軸方向) , 下面(輪荷重 橋軸方向) ) , み肉溶接部 (縦 ート下面から 点であり,計

) 1 台を使用 容で実施した.

194kN,後軸 両を用いた走 計測.

ひずみ計測 位置

(9)

既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

平日の一般交通条件下において 24 時間連続でひずみ 変動を計測.

計測におけるサンプリング速度は 200Hz としている.

なお,計測結果の処理に際して,車両通過とは無関係に 計測されたノイズ成分(15Hz 以上)をローパスフィルタ により除去している.

4.2 計測結果

4.2.1 荷重車走行試験結果

図-4.3に SFRC 舗装前後の荷重車走行試験における発 生応力の変動波形を示す.荷重車走行試験は複数回実施 しているが,各回での応力変動の傾向は同じである.な お,輪荷重に対する応答が大きいゲージ④が負の極値と なる最初の時刻を荷重車前輪が着目位置直上,2 番目の 時刻を荷重車後輪が着目位置直上に位置したとして,車 速,車両の橋梁内への進入時刻,橋梁外への通過時刻を 逆算している.また, 表-4.1 には車両が橋梁内に進入し てから通過するまでの間の荷重車に対する各ゲージの最 大,最小の応答値を示す.なお, 表-4.1 の値は複数回の 走行試験結果から得られた平均値である.

図-4.3 のゲージ①の波形から,影響線が橋梁全長とな る部位での応答はほとんど変化がないが,鋼床版デッキ プレート近傍のゲージ②とゲージ③では,着目部前後数

m に輪荷重か位置する際の応答(以下,輪荷重に対する 応答)に明確な変化が見られる.ゲージ②で輪荷重に対 する応答が圧縮側から引張側に転じているのは,輪荷重 の載荷により SFRC 舗装と合成された鋼床版が版として たわむためと考えられる.また,ゲージ③に関しては,

輪荷重に対する応答が低減されているが,SFRC 舗装と の合成効果によりデッキプレートの局部的変形が押さえ られているものと推察される.また, 表-4.1 に示される ゲージ②とゲージ③の応力低減効果が大きいことからも,

SFRC 舗装と鋼床版デッキプレートの一体化により鋼床 版部の剛性が向上していると判断できる.なお,文献 4) によれば,デッキ側溶接部止端のゲージ②の位置では,

表-4.2 SFRC 舗装前後の等価応力範囲と繰返し回数 図-4.3 荷重車走行試験による応力変動波形

(a) SFRC 舗装前 (b) SFRC 舗装後

表-4.1 SFRC 舗装前後の荷重車に対する応答値の比較

-30 -20 -10 0 10 20 30

0 1 2 3 4 5

ゲージ① ゲージ② ゲージ③ ゲージ④

発生応力度(N/mm2)

時間 (sec)

後輪が橋梁 前輪が橋梁内へ進入 外へ通過

車速 約32km/時 -30

-20 -10 0 10 20 30

0 1 2 3 4 5

ゲージ① ゲージ② ゲージ③ ゲージ④

発生応力度(N/mm2)

時間 (sec)

前軸が橋梁内へ進入 後輪が橋梁外へ通過

車速 約50km/時

ゲージ① ゲージ② ゲージ③ ゲージ④ 最大応力 29.2 1.2 7.7 12.8

最小応力 -1.7 -13.4 -0.7 -20.5

① 応力範囲 31.0 14.6 8.4 33.2 最大応力 26.1 0.2 3.7 12.5

最小応力 -0.5 -8.5 -0.2 -12.8

② 応力範囲 26.6 8.7 3.9 25.3

※SFRC施工前に3回,SFRC施工後に5回,40t荷重車を走行させて計測を実施したので,各計測値を 平均した.

単位 計測箇所(平均値

N/mm2 SFRC舗装前

SFRC舗装後

40.6 54.2 23.8

低減効果

(1-②/①)×100 % 14.1

(a) SFRC 舗装前 (b) SFRC 舗装後 図-4.4 24 時間の応力頻度分布(ゲージ②)

11

1216 2253

129295 5241,083

2,488 5,69210,536

16,243 1,066,040

1 10 100 1000 10000 100000 100000010000000

50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 力振幅範囲ΔσN/mm2

24時間頻度(2011年2月22日21:30~2月23日21:30)(回)

100 101 102 103 104 105 106 107 2

2 67

224394 132152

240330 4607431,438

3,1327,375 13,37783,628 942,164

1 10 100 1000 10000 100000 100000010000000

50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 応力振幅範囲ΔσN/mm2

24時間頻度(2011年2月15日21:30~2月16日21:30)(回)

100 101 102 103 104 105 106 107

ゲージ① ゲージ② ゲージ③ ゲージ④ 等価応力範囲 N/mm2 15.2 10.3 8.6 13.7

繰返し回数 回 4,980 4,106 34 11,650 等価応力範囲 N/mm2 16.0 9.1 8.0 12.6

繰返し回数 回 4,106 529 2 6,923

単位 計測箇所

SFRC舗設前

SFRC舗設後

※(等価応力範囲)3×繰返し回数と定義する。

損傷度の比率

(SFRC舗設後/SFRC舗設前) % 95.1% 24.3% 4.7% 46.4%

(10)

既設鋼道路橋における疲労損傷の調査・診断・対策技術に関する研究

SFRC 舗装により 90%近い応力低減効果が確認されてい るが,今回の計測では約 40%の応力低減効果に留まって いる.これは,今回の鋼床版では,デッキ面に橋軸方向 に 150mm ピッチで高さ 25mm ×厚さ 4.5mm の波形鋼板 が設置されていたことや,計測時期が冬期( 2 月)であ り,既設アスファルト舗装が比較的高い剛性を示す時期 であったこと,今回の閉断面リブの配置が通常の鋼床版 における配置方向と直交する方向であり,比較する載荷 パターンが異なっていること等が原因と考えられる.

4.2.2 24 時間動ひずみ計測結果

図-4.4 は 24 時間の変動ひずみ波形をレインフロー法 により処理した結果得られる応力頻度分布(ゲージ②)

である.荷重車計測での応力低減効果と同様に,最大応 力範囲の大きさが低下するとともに,各応力範囲におけ る頻度も低下していることがわかる.

SFRC 舗装による効果を相対的に評価するために,各 ゲージで得られた応力頻度における 7MPa 以下の成分を 無視し,等価応力範囲と繰返回数を算出した結果を表 -4.2 に示す.なお, 表-4.2 に示した値は,あくまで相対 的な評価をするためであり,表中の値に絶対値としての 意味は特に無い.また, 7MPa 以下の成分を無視したの は,継手の疲労強度等級を設定した疲労照査を行ってい るわけではないが,通常の疲労照査においても影響を考 慮することがない,最も疲労強度が低い H’ 等級の変動振 幅応力に対する応力範囲の打ち切り限界以下であるから である.

全体的な損傷度の低下傾向は荷重車計測で応力低減効 果の高いゲージほど低下する傾向にあるが,荷重車計測 結果における SFRC 舗装前後比率の 3 乗より小さめの値 となる. これは, 計測日の違いによる交通条件の違いや,

車両通過位置の違いなどが影響しているものと考えられ る.しかしながら,全般的には鋼床版デッキプレート近 傍における損傷度は十分に低減しているものと考えられ る.

参考文献

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5) 小野秀一,下里哲弘,増井隆,町田文孝,三木千壽:既設鋼 床版の疲労性能向上を目的とした補強検討,土木学会論文集,

No. 801,pp.213-226, 2005.10.

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7) ( 独 ) 土木研究所:鋼床版橋梁の疲労耐久性技術に関する共同 研究(その 2 )報告書 - SFRC 舗装した鋼床版実大供試体の 静的載荷および移動輪荷重試験-分冊 1/2 ,共同研究報告書 No.392 , 2009.10.

8) (独 )土木研究所:鋼床版橋梁の疲労耐久性技術に関する共同

研究(その 2)報告書 - SFRC 舗装した鋼床版実大供試体の 静的載荷および移動輪荷重試験-分冊 2/2 ,共同研究報告書 No.398 , 2009.10.

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16) ( 社 ) 日本鋼構造協会:鋼構造物の疲労設計指針・同解説,

pp.136 , 1993.4.

(11)

RESEARCH ON TECHNIQUES FOR INSPECTION, DIAGNOSIS, AND RETROFIT FOR THE FATIGUE DAMAGES

OF EXISTING STEEL HIGHWAY BRIDGES

Abstract :Recently, serious fatigue damages have been observed increasingly on steel highway bridges which carry severe traffic loads and experience long periods after their completions. The damages are mostly caused by the combination of factors such as traffic volume, structural detail, and the quality of welded connection of the bridges. Therefore, it is important to systemize the diagnostic examination technique for fatigue damages and retrofit methods for each case. The aim of this research is to figure out the relation between the occurrence tendency and cause of the fatigue damage based on experimental and analytical studies, and to prepare technical guidelines for engineers who engaged in the inspection, diagnosis and retrofit of highway bridges.

In FY2011, the effectiveness of SFRC pavement, as the reinforcement method for fatigue damages in orthotropic steel deck, was examined by parametric FEM analysis and field measurement.

Key words :steel highway bridges, fatigue crack, orthotropic steel decks, SFRC pavement

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