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建築・都市空間と余暇活動の相関に関する研究(その17)

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(1)

建築・都市空間と余暇活動の相関に関する研究(その17)

1.はじめに

本研究は、既報「建築・都市空間と余暇活動の 相関に関する研究(その 1~16)」に引き続く一 連の研究である。前稿においては、2005 年 7~8 月に行った余暇活動調査より、余暇活動の実態を 生活空間・活動項目の側面から余暇活動の量的な 解析を基に検討した上で、1975 年、1990 年、2000 年、2005 年の 4 時点における経年的な変化に着 目し、一連の研究において調査対象としている異 なる 2 地域について比較検討した。その結果、余 暇活動は両地域共に、上位の活動項目の占める割 合が高くなっていると共に、その時間量は 1975 年から 2005 年における 30 年の時間の流れの中で、

低年齢層にて減少、中・高年齢層にて増加傾向が みられることが明らかになっている。

これらを踏まえて本稿では、1975 年、1990 年、

2000 年、2005 年の 4 時点における余暇活動の実 態について、余暇活動時間量・項目数と施設の空 間分布の側面から検討し、異なる 2 地域の比較を 通して、その傾向的特性を明らかにすることを目 的としている。

2.調査の概要

2.1 調査対象地域(表 1)

本稿における調査対象地域は既報と同様であり、

大都市圏の計画供給された地域と地方小都市にお ける各々の地域居住者の余暇活動の実態、近隣余 暇関連施設の状況の相違を比較するために、異な る性格を考慮して、東京都内の計画供給された住 宅団地である高島平地域、地方の都市圏に依存す る小都市である島田地域の 2 地域を選定している。

2.2 余暇活動時間量の算定

既報

1)

と同様に平均消費時間量として算定する。

3.余暇活動と近隣余暇関連施設の空間分布 近隣余暇関連施設の空間分布及び施設の種別、

規模、余暇機能等に関する 1975 年、1990 年、2000 年、2005 年における 4 時点の変化と、施設分類毎 の余暇関連施設において消費される余暇活動時間 量・項目数の 4 時点の変化との関係を整理する。

1)娯楽施設(ゲーム、カラオケ、映画館等) (図 1)

全体の施設数(以降、施設数とする)は、高島 平、島田両地域共に 2000 年にかけて増加傾向を 示していたが、その後 2005 年にかけては減少傾 向を示している。それらの傾向は余暇活動項目数 の変化と関係性がみられる。

余暇活動時間量の変化は、島田地域においては 施設数の増加に伴い 1990 年から 2000 年の間に時 間量も増加しているが、2000 年から 2005 年にか けては施設数の減少に伴い時間量も減少してい る。このことから島田地域においては施設数と余 暇活動時間量の変化に相関性があると言えよう。

一方、高島平地域における余暇活動時間量は 4 時点を通して減少傾向を示しており、施設数との 相関性はみられない。

施設種別では、高島平地域におけるゲーム及び 島田地域における休息の増加が顕著である。

日大生産工 ○北野 幸樹 日大生産工 川岸 梅和

Study on the Correlation between Urban Space and Leisure Activities (Part 17) Koki KITANO and Umekazu KAWAGISHI

表 1 調査対象地域の概要

1975年 1990年 2000年 2005年 1975年 1990年 2000年 2005年 22,499 29,639 26,697 25,374 16,522 15,636 15,020 14,033 22,052 29,208 26,987 24,877 17,369 16,635 16,035 15,128 44,511 58,847 53,864 50,251 33,891 32,271 31,060 29,161 14,098 18,622 17,046 15,902 4,720 4,494 4,326 4,061

施設数 5 17 28 23 18 12 23 22

施設密度 1.6 5.4 8.9 7.3 2.5 1.7 3.2 3.1 施設原単位 1.1 2.9 5.2 4.6 5.3 3.7 7.4 7.5

施設数 28 52 44 38 9 16 19 21

施設密度 8.8 16.4 13.9 12.1 1.3 2.2 2.7 2.9 施設原単位 6.3 8.8 8.2 7.6 2.6 4.9 6.1 7.2

施設数 12 20 16 17 5 18 14 19

施設密度 3.8 6.3 5.1 5.4 0.7 2.5 2.0 2.6 施設原単位 2.7 3.4 3.0 3.4 1.5 5.5 4.5 6.5

施設数 14 18 19 18 8 9 9 10

施設密度 4.4 5.7 6.0 5.7 1.1 1.3 1.3 1.4 施設原単位 3.1 3.0 3.5 3.6 2.3 2.8 2.9 3.4

施設数 2 34 41 37 6 47 60 47

施設密度 0.6 10.7 13.0 11.7 0.8 6.5 8.4 6.5 施設原単位 0.4 5.8 7.6 7.4 1.8 14.5 19.3 16.1

施設数 10 19 14 18 25 27 33 21

施設密度 3.1 6.0 4.4 5.1 3.4 3.8 4.6 2.9 施設原単位 2.2 3.2 2.6 3.6 7.4 8.4 10.6 7.2

(注) 施設密度は、1k㎡当たりの施設数(施設数/k㎡)を表す。

施設原単位は、人口1万人当たりの施設数(施設数/1万人)を表す。

島 田

娯楽施設

高 島 平

調 査 対 象 地 域 内 の 近 隣 余 暇 関 連 施 設

その他の 教育・情報施設

集会施設 レクリエーション

施設 スポーツ施設

学校施設 人 口 構 成

調査対象地域 調査年

男性 女性 総数 人口密度(人/k㎡)

(2)

2)レクリエーション施設

(公園、運動公園、動物園、植物園等) (図 2)

施設数は、高島平地域において 1975 年から 1990 年にかけて大きく増加傾向を示しているが、

1990 年から 2005 年にかけては減少傾向がみられ る。施設規模では 1990 年以降 1000 ㎡以下の施設 の施設数が減少傾向にある。また、島田地域にお いては 1975 年から 2005 年にかけて施設数は増加 傾向が続いており、これは 500 ㎡未満の小規模施 設の増加の影響を反映している。

また、余暇機能別では、両地域共に 1990 年か ら 2000 年にかけて広場及び遊具設備が整備され てきた状況をみることができる。

加えて、両地域に共通して余暇活動時間量及び 余暇活動項目数共に、1975 年以降増加傾向が現 れている。

3)スポーツ施設(図 3)

高島平・島田両地域に共通して、施設数及び

余暇活動時間量共に、1975 年から 1990 年にかけ ては増加、 1990 年から 2000 年にかけては減少し、

2000 年以降再び増加の傾向を示している。

また、余暇活動項目数においては 1975 年以降、

高島平地域では減少傾向、島田地域では増加傾向 がみられ、両地域で対照的な傾向が現れている。

4)学校施設

(幼稚園、小・中学校、高等学校等) (図 4)

高島平・島田両地域共に、施設数においては 1990 年以降大きな変化はみられない。

余暇活動時間量をみてみると、両地域に共通し て 1975 年から 1990 年にかけては増加、1990 年 から 2000 年にかけては減少の傾向がみられる。

2000 年以降においては、高島平地域では減少傾 向、島田地域では増加傾向を示しており、両地域 において傾向に差異がみられる。

学校開放を行っている施設数の割合をみてみ ると、両地域において大きな地域差はみられない。

図 1 施設分布と余暇活動の変化(娯楽施設) 図 2 施設分布と余暇活動の変化(レクリエーション施設)

(3)

また、学校開放を行っている施設数は、両地域共 に 1975 年から 1990 年にかけて増加しているが、

1990 年以降は大きな変化はみられない。

5)その他の教育、情報施設(学習塾、英会話、

書道、稽古事、習い事等) (図 5)

1975 年から 2000 年まで、高島平・島田両地域 において施設数は増加していたが、2000 年以降 減少傾向を示し、2005 年にはほぼ 1990 年の水準 にまで減少している。

余暇機能別においては、両地域共に 1990 年か ら 2000 年にかけて学習機能の増加が顕著である。

加えて、高島平地域では学習機能の割合が高く、

島田地域では趣味機能の割合が高くなっており、

両地域において施設構成は異なっている。

余暇活動時間量においては、両地域共に 1975 年から 1990 年まで増加しているものの、1990 年 以降は減少している。余暇活動項目数は 1975 年 以降、高島平地域では減少傾向、島田地域では増 加傾向にあり、両地域で差異がみられる。

6)集会施設(集会所、公民館、市民会館等) (図 6)

両地域の施設数を比較すると、2000 年では島 田地域は高島平地域の約 2 倍となっていたが、

2000 年以降、高島平地域では増加、島田地域で は減少したため、2005 年においては両地域で施 設数に大きな差異はみられない。

また、施設形態では、高島平地域では全体の約 9 割、島田地域では約 3 割が複合施設となってお り、両地域において施設構成は異なっている。

施設所有・管理では、1975 年においては両地 域共に非公共

注 1)

が高い割合を示していたが、そ れ以降、両地域において大きな差異がみられ、高 島平地域では公共の占める割合が高く、島田地域 では非公共の占める割合が高くなっている。

余暇活動時間量においては、高島平・島田両地 域に共通して、施設数及び余暇活動時間量共に、

1975 年から 1990 年にかけては増加、1990 年から 2000 年にかけては減少傾向を示している。しかし、

図 3 施設分布と余暇活動の変化 (スポーツ施設)

図 4 施設分布と余暇活動の変化(学校施設)

(4)

2005 年では、高島平地域では施設数の増加に対し て余暇活動時間量は減少し、島田地域では施設数 の減少に対して余暇活動時間量は増加しており、

両地域で差異が現れている。

余暇活動項目数の変化においては、高島平・島 田両地域で類似した傾向がみられる。

4.まとめ

高島平・島田両地域共に、娯楽施設において、

2000 年以降、施設数・余暇活動時間量・余暇活動 項目数が減少傾向を示している一方で、レクリー ション施設においては、余暇活動時間量及び余暇 活動項目数は増加傾向を示している。前稿におい て、 「都市圏」 「広域圏」での余暇活動時間量は減 少し、日常的な余暇活動の受け皿として「近隣空 間」が主要な役割を担ってきていることを指摘し た。本稿で明らかとなった近隣空間でのレクリエ ーション施設、学校施設、集会施設における余暇 活動の活発化や多様化傾向は、生活空間の中でも

身近な近隣空間における地域居住者の時間消費型 余暇活動志向を裏付けていると言えよう。

また、スポーツ施設、学校施設、その他の教育・

情報施設の 4 時点における施設数の変化は両地域 において同様な傾向を示しているが、集会施設に おける施設原単位、施設所有・管理の差異に都市 圏の計画供給された住宅団地と地方小都市の立地 特性をみることができると言えよう。

注釈

1)市、区等が所有・管理している施設を「公共」とし。それ以外を「非公共」とする。

謝辞

本研究は、平成 17~18 年度科学研究費補助金・基盤研究(C)「地域の活動特性に 基づく近隣余暇関連施設計画方法論の構築に関する実証的研究」(研究代表者:川 岸梅和)の助成を受けて実施されたものである。記して感謝の意を表します。

本論文に関連する既発表論文

1)川岸梅和、北野幸樹、他:建築・都市空間と余暇活動の相関に関する研究(そ の1~その16)、日本大学生産工学部学術講演会建築部会講演概要、第 25 回、

pp.167~174、1992.12、第 26 回、pp.137~144、1993.12、第 27 回、pp.193~

200、1994.12、第 28 回、pp.161~164、1995.12、第 29 回、pp.257~264、1996.12、

第 33 回、pp.133~136、2000.12、第 34 回、pp.77~80、2001.12、第 35 回、pp.41

~48、2002.12、第 36 回、pp.239~242、2003.12、第 37 回、pp.217~220、2004.12、

第 38 回、pp.245~248、2005.12

2)川岸梅和、北野幸樹:時間的・空間的側面から見た余暇活動の動向と特性につ いて 近隣余暇関連施設に関する研究 その1、日本建築学会計画系論文集 第 487 号、pp.167~176、1996.9

3)川岸梅和、北野幸樹:近隣空間における余暇活動の動向と特性について 近隣 余暇関連施設に関する研究 その2、日本建築学会計画系論文集 第 498 号、

pp.153~159、1997.8

図 5 施設分布と余暇活動の変化(その他の教育・情報施設)

図 6 施設分布と余暇活動の変化(集会施設)

表 1  調査対象地域の概要  1975年 1990年 2000年 2005年 1975年 1990年 2000年 2005年 22,499 29,639 26,697 25,374 16,522 15,636 15,020 14,033 22,052 29,208 26,987 24,877 17,369 16,635 16,035 15,128 44,511 58,847 53,864 50,251 33,891 32,271 31,060 29,161 14,098 18,622 17,046 15,

参照

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