<東日本大震災特集>
文部科学省 「健康相談ホットライン」
臨時電話相談員を務めて
-より良いリスク・コミュニケーションを模索しながら-
(独)日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 照射細胞解析研究グループ 赤松 憲
1.はじめに
今回の東北地方太平洋沖地震による原子力災害に伴い、文部科学省に放射線・放射線影響に関 する「健康相談ホットライン」が開設された。我われ原子力機構の職員等も臨時相談員として茨 城県原子力オフサイトセンターに派遣され日本全国からの問い合わせに対応した。筆者自身、こ れまで放射線に対しては「少しの放射線は怖くない」と理屈では納得していたが、今回自らがバッ クグラウンド(BG)の数十倍の環境放射線に曝されるという経験をし、不安の感情が理屈を凌 駕するという感覚を初めてもった。茨城県は、地理的に福島県(一部の地域では4月初旬の時点 でBGの百倍以上)と東京都(概ねBG)の間に位置することもあって、「多少は防護したほうが よいかな・・・」という中途半端な不安に駆られた。筆者の居住地域でも一時空間線量率が急上 昇し、念のため屋内退避した(~ 3 μSv/hをピークに下がり始めたのでひとまず安堵)。千年に 一度ともいわれる今回の大震災は、安心を得るための手段として「確率論」があまり頼りになら ないことを示した。我われは「想定外」を念頭に置きながら「安心」することが果たしてできる のだろうか。「安全」への信頼が失われたとき、「安心」を取り戻すにはどうすればよいのだろう か・・・。
今回の惨禍で、原子力や放射能・放射線に対する関心が国内のみならず世界中に広がった。本 稿では、筆者が受けた相談内容の種類、相談員を務めながら葛藤したことなどをいくつか挙げ、
相談をされる方(以下、相談者)に冷静な判断の下に行動していただくためにはどのようなリス ク・コミュニケーション(以下、リスコミ)をとればよいのか、相談員にできることは何かにつ いて考えてみた。筆者のささやかな経験・考察が、より良いリスコミのための叩き台になればと 思い寄稿した次第である。
キーワード:東北地方太平洋沖地震、原子力災害、電話相談、リスク・コミュニケーション 〒319-1195 茨城県那珂郡東海村白方白根2-4
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放射線生物研究 46(2),2011 P87 ~ 92
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