︱
GAIDAI BIBLIOTHECANo.231︱ 34
図書館員の文献紹介と
資料の活用
① 深井裕二 著
『情報技術と情報管理-IT社会の理解 と判断のための教科書』
(コロナ社)
私たちは、生活や仕事、娯楽のために毎日のよ うにコンピューターを使用し、インターネットに 接続しています。これらの科学技術は私たちの暮 らしの中に浸透してゆく速度があまりにも早かっ たため、有用性が重視され危険性を理解するため の時間は限られていました。だからこそ、あらた めて「有用」=「安全」ではないことを意識して、
私たちを取り巻くリスクを回避するための知恵を 身に付ける必要があるのです。
本書はコンピューターやインターネット、セキュ リティ、システムなどIT社会における基礎的な知識 を幅広く学ぶことができ、豊富な図表や事例も掲 載されており、わかりやすくまとめられています。
これから専門分野を学習する人だけでなく、コン ピューターやインターネットを使う全ての人に向 けた「教科書」として利用していただきたいです。
(E.H.)
007.5‖Fuk
③ 宇田有三 著
『ロヒンギャ差別の深層』
(高文研)
本書を一読する少し前、ミャンマーで再び軍に よる政変が起こりました。
ミャンマーでの迫害から100万人以上が難民と なったと言うロヒンギャ。その名は、アウンサン スーチー氏が政権に復帰した頃から広く知られる ようになりました。彼らの不幸は1982年の市民権 法成立に伴う国籍の喪失から始まっています。背景 にはミャンマー人単一で国を統一したい軍事政権、
仏教とムスリムの対立、同じ難民でも異なる民族間 での摩擦など様々な思惑が絡み合っています。
ミャンマーの国情や文化は複雑です。ロヒンギャ が信仰するムスリムも民族によって6つの流派に分 かれています。それでも、その複雑さや見方を知 るだけでも、今後のミャンマーについて考える判 断材料になると思います。 (H. I.)
369.38‖Uda
② 瀬尾一樹 著
『やけに植物に詳しい僕の 街のスキマ植物図鑑』
(大和書房)
よく、「雑草という草はない」といいます。しか し、空き地やアスファルトの割れ目などにちょこ ちょこ生えていたり、庭に植えた覚えもないのに 勝手に生えてくる草などが、どういう名前を持っ ているのか、など普通はあまり考えないでしょう。
本書では、そういう街中の「スキマ」に生えてい る植物を114種類、取り上げています。
大体の生えている場所によってカテゴリー分け されているのですが、こんな植物が生えているの か、こういう名前だったのかと、様々な発見に満 ちています。一般的に猫じゃらしと呼ばれる植物 にも、色んな種類があることを初めて知りました。
ちなみに、ご存知の方も多いかもしれませんが、
著者はTwitterで10万人以上のフォロワーを持つ、
「やけに植物に詳しい悟空」アカウントの中の人で す。(N.T.)
470‖Seo
④ 中谷比佐子 著
『きもの解体新書
日本文化から学ぶ、多くのこと』
(春陽堂書店)
麻の葉文様-昨年大ヒットした「鬼滅の刃」で 禰豆子が装った影響で、私たちの日常で多く見か けるようになりましたね…ときに皆さん、この文 様に込められている意味を知っていますか?
「着物」というと、現代は敷居の高い衣装と思わ れがちですが、日本ではひと昔前まで約二〇〇〇 年もの間、着物は日本人の普段着でした。そんな 着物の解体新書、とあるだけに、着物から自然が わかり、行事がわかり、身体の構造がわかり、色 彩がわかり、所作がわかり…日本がわかるように なるような内容です。
いつかどこかで日本について語る自分に備えて、
ここから日本文化を紐解いてみてください。(M.T.)
383.1‖Nak
①
②
④
③
︱
GAIDAI BIBLIOTHECANo.231︱ 35
図書館員の文献紹介と
資料の活用 図書館員の文献紹介と 資料の活用
⑤ マーカス・デュ・ソートイ 著
『レンブラントの身震い』
(新潮社)
人間にあって機械にないもの、それは「創造性」
であり、機械と人間との間の越えられない壁であ ると考えられてきました。ところが機械が自身で 学ぶ機械学習という概念が生まれたことにより、
これまでになかった可能性、つまり創造的な、よ り人間的な機械が生まれる可能性が出てきている ようです。人工知能がチェスの世界チャンピオン に勝利したのが1996年、囲碁の世界チャンピオン に勝利したのが2016年。もはやAIはレンブラント やバッハの「新作」を作れるほどの域に達してい ます。人工知能について考える時に私たちが考え させられる「人間とは」という問題。コンピュー タが最も得意とする数と論理を扱う数学という分 野で、数学者として実存の危機を抱えた著者によ る、AIの最前線をめぐるサイエンス・エッセイです。
#アルファ碁 #文系にもおすすめ (N.S.) 007.1‖Dus
⑦ 宇佐美りん 著
「推し、燃ゆ」
(河出書房新社)
第164回芥川賞受賞作品です。家庭や学校で上手 くいかない日々を送る高校生のあかりの生きがい は、「推し」であるアイドルグループ「まざま座」
のメンバー・上野真幸の活動を追いかけ、彼を「解釈」
することです。しかしある日、推しがファンを殴り 炎上してしまい、あかりの生活にも様々な変化が訪 れます。 「推し」とは応援しているアイドルなどを指す言 葉です。生活のほぼすべてを「推し」に捧げている あかりの生き方は、危うく、不健康であるとさえ思 えます。しかし一方であかりほどではなくとも、多 くの人が何かを支えにして生きているのではないで しょうか。「推し」を推せなくなったとき、あかり はどのように生きていくのか。生きていけるのか。
「推し」がいる人にもいない人にも読んでほしい一 冊です。(N.O.)
913.6‖Usa
⑥ 徳永圭子 著
『暗がりで本を読む』
(本の雑誌社)
今では有名な文学賞にも負けない発信力を持つ ようになった本屋大賞は全国の書店員が選ぶこと で知られていますが、著者もまた現役の書店員さ ん。
書評のようなエッセイのような本書を開くと、
プロフェッショナルの眼が選んだ60余冊の良書に 出会えます。
日々本に触れそして売る、現場の底力を見せつ けられるとともに、「読むことの難しさを
痛みのように感じることもある」というあとがき の言葉が印象的な一冊です。(Y.K.)
019.9‖Tok
⑧ ナカムラユキ, プティ・タ・プティ 著
『京都はんなり こものとおやつ』
(朝日新聞出版)
京都での暮らしの中で見つけた“こもの”と“お やつ”。京都生まれの小さなテキスタイル・ブラン ドショップ“プティ・タ・プティ”とともに、季 節ごとの甘味を紹介する一冊です。
春には、桜の風味を纏った色とりどりの「つま み寿し」を始め、ガラス細工のように繊細な「有 平糖」など、四季折々の京都のおやつが掲載され ています。それぞれの季節ごと、おやつとともに 紹介されているプティ・タ・プティの可愛らしい こものも併せて、京都の四季を感じてみてはいか がですか。(S.T.)
589‖Nak
⑤
⑥
⑧
⑦