九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
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栗田, 融
Faculty of Design, Kyushu University
https://doi.org/10.15017/17128
出版情報:Kyushu University, 2009, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
第2章 研究方法
本章では、1 章で述べた 5 つの主要な研究目的に対応した研究方法を設定した。研究方法 には、歴史関係資料および統計資料による調査、地方自治体の関係部局へのヒアリング調査、
現存植生図および地形図データによる竹林の立地調査、県内の公立小・中学校の教員および 市民活動団体へのアンケート調査という調査手法を用いるものとした。以下、それぞれの方 法について述べる。
2̶1 大分県における竹に関する歴史的側面の把握に対する調査
本節では、主要な研究目的「①竹利用の取り組みの変遷にみる地域住民と竹との関わりを 明らかにすること」に対応するための歴史的側面の把握に対する調査について述べる。
大分県で、これまで地域住民を含む人々がどのように竹に関わってきたのかを把握するた め、歴史関係資料 46)~48)および統計資料 49)50)を基に調査した。人々と竹との関わり方の違 いに着目し、伐竹や製竹を行う竹材供給者の変遷と、竹材の加工や製品の販売を行う竹材需 要者の変遷を把握した。さらに、産業別就業人口と竹材粗生産額の推移から、竹産業の動向 を把握した。
2̶2 大分県における竹に関する量的側面の把握に対する調査
本節では、主要な研究目的「①竹利用の取り組みの変遷にみる地域住民と竹との関わりを 明らかにすること」に対応するための量的側面の把握に対する調査について述べる。
大分県内での竹林面積の占める割合を把握するため、平成 19 年版大分県統計年鑑 51)によ り土地利用状況を調査した。また、大分県における竹林面積と竹材生産量を、林野庁平成 17 年特用林産基礎資料 52)から把握した。さらに、同資料 52)から全国の他都道府県との比較検 討を行った。次に、各種統計資料 50)53)54)から竹林面積の変化および竹材・タケノコ生産量 の変化を調査し、その増減傾向の読み取りを通じて、近年の全国および大分県における竹林 の未利用状況を把握した。
2̶3 ヒアリング調査
本節では、主要な研究目的「①竹利用の取り組みの変遷にみる地域住民と竹との関わりを 明らかにすること」に対応するためのヒアリング調査について述べる。
大分県における竹に関わる事業を把握するため、県の竹に関わる関係部局である農林水産 部・商工労働部および大分県産業科学技術センター(以下、県の関係部局)へのヒアリング 調査を行い、大分県における竹に関するこれまでの事業を把握した。調査対象部局へはあら かじめ主旨を説明し、関係資料の準備をお願いした。調査は、平成 21 年 8 月 12 日に実施し た。本研究で設定したヒアリング項目は、大分県における竹林および竹の位置づけ、未利用 竹林に対する認識と課題、竹林および竹に関する取り組み、これまでの利用事例と新たな利 用方法、竹林管理と竹を扱う技術者について、竹林や竹を利用するにあたっての課題という 内容である。
2̶4 大分県における竹林の立地状況の把握に対する調査
本節では、主要な研究目的「①竹利用の取り組みの変遷にみる地域住民と竹との関わりを 明らかにすること」と「②立地特性からみた地域住民が関わりやすい竹林の条件を明らかに すること」に対応するための竹林の立地状況の把握に対する調査について述べる。
大分県における竹林の立地状況を把握するため、環境省の第 2 回・第 3 回自然環境保全基 礎調査(昭和 54 年度、昭和 56~61 年度)を基に作成された 5 万分の 1 の「現存植生図(1982、
1985)」55)(以下、「現存植生図」)により各竹林の分布と面積を調査し、さらに国土地理院発 行の 5 万分の 1 の「地形図データ(2005)」56)(以下、「地形図データ」)を用いて各竹林の立 地する傾斜度、建物・集落から竹林までの距離、道路から竹林までの距離を調査した。
環境省の自然環境保全基礎調査における植生調査は、今回使用した「現存植生図」の基と なる第 2 回・第 3 回調査(昭和 54 年度、昭和 56~61 年度)以降も実施されているが、最新 の調査である第 6 回・第 7 回調査(平成 11~16 年度、平成 17 年度~)の調査結果は現在整 備中であるため、大分県全域を把握できる第 2 回・第 3 回自然環境保全基礎調査の 5 万分の 1「現存植生図」を用いた。また、「現存植生図」は、国土地理院発行の 5 万分の 1「地形図」
を基に作成されているため、重ね合わせの誤差が生じにくいと考えた。
調査には、「CAD ソフト Vector Works 2008:エーアンドエー社・米国 Nemetschek North America 社」57)(以下、CAD ソフト)を使用した。コンピュータによる作業は拡大表示が可能 であり、実距離 5 メートル前後までの精度で計測している。ただし、縮尺設定が 5 万分の 1 であるため、ポイントを決定する精度およびデータの重ね合わせの精度を見越した誤差を面 積、傾斜度、距離毎に考慮した58)。
2̶4̶1 竹林の分布および面積調査
調査方法は、大分県域の「現存植生図」をスキャンしたデータを、CAD ソフト上に取り込 み縮尺および方位を合わせ、竹林の表示エリアを面積計測のできる多角形ツールによりトレ ースし、分布を把握するとともに面積を計測した。
2̶4̶2 竹林の立地する傾斜度、建物・集落から竹林までの距離、道路から竹林までの距離の 把握
各竹林の立地する傾斜度は、「地形図データ」を、竹林の分布および面積調査のファイル上 に取り込み、データを重ね合わせて計測した。勾配の算出は、各竹林の中心に位置する斜面
の等高線の間隔(等高線に直行する距離)を CAD ソフトの距離計測機能を用い計測し、その 距離と等高線の高さの差から傾斜度を求めた。
各竹林の建物・集落から竹林までの距離は、傾斜度を求めたデータを用い、「地形図データ」
に図示されている当該竹林に最も近い建物から竹林までの直線距離を CAD ソフトの距離計測 機能を用い計測した59)。
各竹林の道路から竹林までの距離については、建物・集落から竹林までの距離を求めたデ ータを用い、「地形図データ」に図示されている当該竹林に最も近い道路から竹林までの直線 距離を CAD ソフトの距離計測機能を用い計測した。
竹林の立地する傾斜度、建物・集落から竹林までの距離、道路から竹林までの距離の計測 方法を、図 2̶1 に示した。
図 2̶1 竹林の立地調査の計測方法
2̶5 アンケート調査
本節では、主要な研究目的「③地域住民による竹の利用を促す条件を明らかにすること」
と「④地域住民による竹の利用に期待される成果と地域特性および活用母体との関係を明ら かにすること」に対応するためのアンケート調査について述べる。
アンケート調査項目の内容、アンケート調査方法および回収状況は、以下の如くである。
2̶5̶1 アンケート調査項目
本研究で設定したアンケート調査は、表 2̶1 に示す設問60)で構成した。この中で、本論で は以下に示すように、“設問 6”“設問 6̶問 b”“設問 6̶問 e”“設問 7̶問 c”への回答結果を 5 章以降の解析の対象とした。
なお、解析の対象とした設問内容を以下に詳述する。
(1)竹の利用実態に関する設問
地域住民によるこれまでの竹の利用実態を把握するため、“設問 6:これまでに竹を使った ことのある「授業」「活動」「取り組み」” について、「①竹林を使ったことがある」「②竹材 を使ったことがある」「③竹製品を使ったことがある」「④その他(___)を使ったことが ある」「⑤いずれも使ったことはない」の 5 項目に複数回答してもらう形式とした。この設問 は、表 2̶2 に示した内容で構成した。
(2)竹を利用しやすい方法と利用時の課題に関する設問
地域住民による竹を「利用しやすい方法」と「利用時の課題」を把握するため、“設問 6”
で回答番号①~④のいずれかをマークした(何らかの方法で竹を使ったことがある)回答者 に対し、“設問 6̶問 b:これまでに竹を使った「内容」”と“設問 6̶問 e:これまでに竹林ま たは竹を使った時の「課題」”について複数回答してもらう形式とした。この設問は表 2̶3 に 示した内容で構成し、“設問 6-問 b ”の回答結果で「利用しやすい方法」を、“設問 6-問 e ” の回答結果で「利用時の課題」を把握することができると考えた。
(4)竹の利用に期待する成果に関する設問
地域住民による「竹の利用に期待する成果」を把握するため、これから竹林や竹を使った 活動や取り組みをしたい又はしたら良いと思う回答者に対し、“設問 7̶問 c:これから竹を使 った取り組みをする際に期待する「成果」”について複数回答してもらう形式とした。この設 問は、表 2̶4 に示した内容で構成した。
表 2̶1 アンケート調査票の設問項目
表 2̶2 竹林および竹の利用実態に関する設問(設問 6)
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表 2̶3 竹を利用した方法および利用時の課題に関する設問(設問 6-問 b、設問 6-問 e)
表 2̶4 竹の利用に期待する成果に関する設問(設問 7-問 c)
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2̶5̶2 アンケート調査方法
アンケート調査票を配付するにあたり、地域住民による竹の利用可能性を検討するために は、具体的な活用母体(組織)が必要と考えた。そこで、地域社会との繋がりが強い公立の 小・中学校の教員61)と、地域住民が主体的に活動を行っている県に登録された市民活動団体
62)の代表者に協力をお願いし、郵送方式によるアンケート調査を行った。
小・中学校には、地域の生徒に対し指導的立場にある教員に回答を求め、県内すべての 452 校(平成 21 年 8 月 5 日時点)に7部ずつ郵送した。郵送部数は、小学校の各学年に 1 部(中 学校は各学年に 2 部)と校長または教頭に対し 1 部が渡るよう想定して 7 部とした。市民活 動団体には、代表者に対し活動団体として回答を求め、県への登録団体すべての 627 団体(平 成 21 年 8 月 5 日時点)に 1 部ずつ郵送した。また、アンケート調査票の回収は郵送方式とし た。なお、本アンケート調査は平成 21 年 8 月に実施した。アンケート調査票の配付地域と回 答者数は表 2̶5 に、配付・回収概要は表 2̶6 に示した。
表 2̶5 アンケート調査票の配付地域と回答数
表 2̶6 アンケート調査票の配付・回収概要
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