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リピート・セールス価格指数におけるセレクション ・バイアス

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(1)

リピート・セールス価格指数におけるセレクション

・バイアス

著者 唐渡 広志

雑誌名 同志社商学

巻 66

号 1

ページ 27‑47

発行年 2014‑07‑25

権利 同志社大学商学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000013673

(2)

リピート・セールス価格指数における セレクション・バイアス

唐 渡 広 志

概 要

リピート・セールス法は,複数回売買された商品をサンプルとして選び,ペアになった同一商品 の異時点間の対数差分価格を取引時点の時間ダミー変数に回帰させることによって価格指数を推定 する手法である。本研究は,ランダム・ウォーク型の誤差構造を想定したCase-Shiller型のリピー ト・セールス法がもたらすサンプル・セレクション・バイアスを除去するために,セレクション関 数とリピート・セールス回帰モデルとの間の共分散を推定することによって逆ミルズ比を修正し,

Gatzlaff and Haurin(1997)の改善を行った。さらに,ランダム・ウォークではなく系列相関および 分散不均一を持つ誤差構造のもとでのセレクションの除去を行う。東京都世田谷区のデータによる 分析結果より,セレクション・バイアスを制御した場合のリピート・セールス回帰モデルとセレク ション関数の相関は有意に負であり,2回取引された物件の価格指数は住宅市場の母集団に比べて 負のバイアスを持つ可能性がある。

Ⅰ はじめに

Ⅱ 切断された誤差分布を持つリピート・セールス回帰モデル 1 リピート・セールス価格指数

2 サンプル・セレクション

3 ランダム・ウォーク仮定の修正とセレクション除去

Ⅲ データ

Ⅳ 推定結果

1 セレクション関数とCase-ShillerRS回帰モデルの推定結果 2 自己回帰過程をもつRS回帰モデルの推定結果

3 セレクション・バイアスの評価

Ⅴ まとめ 参考文献

Ⅰ は じ め に

これまで住宅価格指数を推定するために,いくつかの手法が検討されてきた。なかで も,Rosen(1974)によって理論的に整理されたヘドニック法や,Bailey, Muth and Nourse

(1963),Case and Shiller(1987, 1989)によって精緻化されたリピート・セールス法

(以下

RS

法とよぶ)は最も利用されている手法である。ヘドニック法は,英国政府や

────────────

本研究は2010年度日本不動産学会秋季全国大会(東京大学)における報告論文を基に加筆修正したもの である。また,JSPS科研費24618008(基盤C)の助成を受けている。

27)27

(3)

Halifax

等の英国を代表するモーゲージバンクによって採用されている。米国では,シ カゴ・マ−カンタイル市場に上場されている住宅価格指数であるスタンダード・アン ド・プアーズ・ケース・シラー価格指数に代表されるように

RS

法が利用されている。

ヘドニック法とは,ある不動産価格をその不動産のさまざまな属性(性能や機能,購 入者や販売者の特徴)の価値に関する集合体(属性の束)とみなし,主に回帰分析を利 用してそれぞれの属性価格を推定する手法である。プーリング・データを利用すれば,

品質調整された価格指数を計測することができる。これに対して

RS

法は,複数回売買 された商品をサンプルとして選び,ペアになった同一商品の異時点間の対数差分価格を 取引時点の時間ダミー変数に回帰させることによって価格指数を推定する。

ヘドニック法を利用した不動産市場の実証分析では,住宅の機能や特徴,あるいは住 宅購入者の所得やタイプを説明変数として利用したものが多い(例えば,Sirmans

et al.

2006

によるサーヴェイ)。しかしながら,本来は

Rosen(1974)が提案しているよう

に,購入者だけでなく販売者の経済行動や意思決定も市場価格の決定に影響する。そも そもデータとして観察されるためには,販売者がなんらかの意思決定をする結果として 市場に供給されるという事実を考慮すべきであろう。

住宅が売買される財として市場に登場する場合,販売者にとってのオファー価格は彼 の留保価格を凌駕しているという,条件を想定することは自然である。

Gatzlaff and Ling

(1994)および

Gatzlaff and Haurin(1998)は,もしも住宅売買の意思決定が,オファー

価格と留保価格の決定に影響するならば,実際に販売された住宅はランダム・サンプリ ングでない可能性があることを検証している。すなわち,観察される取引価格はオファ ー価格と留保価格を生ぜしめた確率過程に依存していると考え,Heckman(1979)によ る

2

段階一致推定法(Heckit)を適用したセレクション・バイアスの除去を行ってい る。

RS

法もまた,そのデータ発生過程はヘドニック回帰モデルに依存しているため同様 の問題が生じる。1回目と

2

回目の販売時点において,販売者のオファー価格が留保価 格を上回っている場合においてのみ,ペアになったデータ・セットとして観察されるた め,セレクションされたサンプルを利用した分析にならざるを得ない。

Gatzlaff and Haurin(1997)におけるセレクション・バイアスの修正は Bailey et al.

(1963)で提案された最もシンプルな

RS

回帰モデルを基本として,Heckitを適用して いる。同論文では,セレクション関数と

RS

回帰モデルとの間の共分散が通時的に一定 であると仮定している。しかしながら,住宅の売り手が直面する経済状況は年々刻々と 変化しているわけであるから,実際には誤差構造が変化している可能性がある。

本研究では,この点を改善してセレクション・バイアスを修正した

RS

価格指数の推 定方法を提案する。まず第

1

に,Gatzlaff and Haurin(1997)の最も簡単な拡張として,

同志社商学 第66巻 第1号(2014年7月)

28(28

(4)

Case and Shiller(1987, 1989)で想定された誤差項におけるランダム・ウォークを仮定

し,取引期間を長期化すればするほど,誤差分散が拡大するケースでのセレクションの 除去を行う。この場合,Gatzlaff and Haurin(1997)のように

RS

回帰モデルとセレク ション関数との間の共分散が通時的に一定であったとしても,ランダム・ウォークによ って生じる分散不均一を修正した重み付き

RS

回帰モデルにおける逆ミルズ比も修正さ れなければならない。

2

に,ランダム・ウォークではなく系列相関および分散不均一を持つ誤差構造のも とでのセレクションの除去を行う。Case and Shiller(1987, 1989)で想定された誤差項 におけるランダム・ウォークに関する仮定は,誤差の階差をとることによって分析が容 易な定常過程となることを意味している。分析上,このような単純化は他の研究者によ る再現性が高く,広く受け入れられやすい。ただし,誤差がどのような系列相関を持つ のかを検証することなく価格指数を計測することは危険である。本研究では,Hill,

Sirmans and Knight(1999)における RS

法の分散不均一特定化手法を利用して,誤差

項がランダム・ウォークであるのかどうかを検証するとともにセレクションの除去を行 う。

以下では,次節においてセレクション・バイアスを制御した

RS

回帰モデルを定義 し,3節において利用するデータの特徴について述べる。4節において推定結果を示し,

セレクション・バイアスの有無を検証する。5節において結論を述べる。

Ⅱ 切断された誤差分布を持つリピート・セールス回帰モデル

1

リピート・セールス価格指数

物件

i

の取引時点

t

期における取引価格

PRICE

it の対数値を

p

it=logPRICEit,その物 件の属性ベクトルを

x

iとする。取引価格の対数値を属性ベクトルに回帰させたヘドニ ック・モデルを次のように書く。

p

it=x′i

β

ε

it

, ε

it

α

δ

t

υ

it (1)

β

は属性のパラメタ・ベクトル(属性価格)である。

ε

it は誤差項を示しており,モ デル全体の定数項係数

α

,取引時点

t

期の時間効果

δ

t,攪乱項

υ

itで構成されているも のとする。

Case and Shiller(1987, 1989)の RS

法は攪乱項

υ

itにおいて次のランダム・ウォーク を仮定している。

リピート・セールス価格指数におけるセレクション・バイアス(唐渡) 29)29

(5)

υ

it

υ

it−1+uit

, u

it〜iid.N(0,

σ

2

, E

υ

it

u

js)=0,

E

(uit

u

js)=0

i, j=1,・・・ , n ; t, s=1,

・・・

, T ; i≠j ; t≠s

(2)

ここで,uitはホワイト・ノイズを仮定した系列相関のない互いに独立な正規分布にし たがう確率変数である。

Bailey et al.

(1963)および

Case and Shiller(1987, 1989)は次の仮定を設けて(1)を

再定式化してい

1

る。

[仮定

1]すべての属性は時間通じて不変である。

[仮定

2]すべての属性パラメタは時間通じて不変である。

RS

法は同一物件の

1

回目と

2

回目の取引価格の対数差分を回帰モデルで検討する分析 手法である。したがって,2つの仮定がある場合は

2

時点間の価格差は個々の物件の属 性やその価格の変化ではなく,市場全体に共通して生じる変化(時間効果)によって説 明することができる。2時点間の価格差に注目する利点として,分析が簡単化できるこ と以外に物件固有のコーホート効果を除去できる点もあげられる。すなわち,住宅建設 時点の生産に係る生産要素価格(労務人件費や建設資材価格など)が費用関数に影響し ている場合,それらの違いを考慮せずに済

2

む。

いま,1回目の取引が行われた時期を

t

期,2回目の取引が行われた時期を

t

+Si期 としよう。ペアになった物件

i

の価格の

2

時点間の対数差分は

y

i≡pi, t+Si−pit

δ

t+Si

δ

t+ei,(i=1, 2,・・・

, n ; S

i>0)

と示すことができる。ここで,誤差項は

e

i

υ

i, t+Si

υ

itであり,(2)より

υ

i, t+Si

υ

it

!

Si

j=1

u

i, t+j

であり,その期待値は

E

(ei)=0である。また,分散は

────────────

1 住宅は経年劣化や修繕投資によって価格が変化(住宅の年齢効果)するので,標準的なリピート・セー ルス法では時間効果に年齢効果が含まれてしまう。しかし,時間ダミーと取引間隔を示す変数との間に は完全な線型関係が存在するため,通常の方法では時間効果と年齢効果を識別することができない。今 までのところ提案されているのは,時間ダミーと取引間隔変数の間の線型関係を意図的に崩してしまう 方法や外部のデータを利用して価格指数に外挿する方法である。日本のデータによる推定例として唐 渡・清水・中川・原野(2012)やWong, S. K., K. W. Chau, K. Karato and C. Shimizu(2013)がある。

2 時間効果,年齢効果および世代効果を表現する3つの独立変数の間には完全な線形関係が生じているた め,多くの文献では世代効果を除外している。Karato, K., O. Movshuk and C. Shimizu(2010)はリピー ト・セールス法を用いずにヘドニック・アプローチで価格指数を求めると,世代(コーホート)効果を 除外することによるバイアスが生じることを一般化加法モデルにより実証している。

同志社商学 第66巻 第1号(2014年7月)

30(30

(6)

Var

(ei)=Var(

!

Si

j=1

u

i, t+j)=

!

Si

j=1

E

(ui, t+j2)+

!

j≠k

!

k≠j

E

(ui, t+j

u

i, t+k)=Si

δ

2

となる。

ヘドニック回帰モデル(1)において時間効果を推定するには,取引時点に対応した ダミー変数を利用する。したがって

RS

回帰モデルにおいても時間効果を推定するため に

2

時点間のダミー変数の差分を利用する。すなわち,1回目の取引時点を

t

期,2回 目の取引時点を

t+S

i 期とすると,(1)より

p

it=x′i

β

α

d′

i

δ

υ

it

, p

i, t+Si=x′i

β

α

・・

d′

i

δ

υ

i, t+Si

,

である。ただし,

d

i=(

d

1i

,

・・・

,

d

Ti)は

1

回目の,・・

d

i=(・・

d

1i

,

・・・

,

・・

d

Ti)は

2

回目の取引時点 に対応するダミー変数ベクトルであり,次のように定義する。

d

τi=⎧

1 0

τ

=t

τ

≠t

,

・・

d

τi=⎧

1 0

τ

=t+Si

τ

≠t+Si

,

(i=1,・・・

, n ; τ

=1, 2,・・・

, T

また,

δ

=(

δ

1

,・・・ , δ

t

,

・・・

, δ

t+Si

,・・・ , δ

T は時間効果ベクトルである。この

2

つの式より 対数価格差分は

p

i, t+Si−pi, t≡yi=Di

δ

+ei

,

であり,Di・・

d

i

d

i(i=1, 2,・・・

, n)とする。このことを考慮すると,クロス・セクシ

ョン方向に積み上げた行列表示の

RS

回帰モデルは次のように書ける。

y=D δ

+e (3)

ここで,y=(y1

,

・・・

, y

i

,

・・・

, y

n)′,Dは各取引時点に対応した

2

時点のダミー変数の差 分の

n×T

行列であり,1回目の取引時点のとき−1, 2回目の取引時点のとき

1,それ

以外のとき

0

となる。また,E(ee′)=

σ

2

S,ただし

S=diag

[Si]=⎧

S

1

0

・・・

0 S

n

であるから,誤差分散は取引時点の間隔に依存しており分散不均一である。

Case and Shiller(1987, 1989)はこれを修正して,推定量の効率性を高めるための一

リピート・セールス価格指数におけるセレクション・バイアス(唐渡) 31)31

(7)

般化最小

2

乗推定を提案している。すなわち

n×n

の重み行列

Q=diag

[Si−1/2]=

1/ "

S

1

0

・・・

0

1/ "

S

n

を利用して,(3)の両辺に

Q

を乗じた次の重み付き

RS

回帰モデルを推定している。

y*=D* δ

+e* (4)

ここで,y*=Qy, D*=QDおよび

e*=Qe

である。S−1=QQ′であるから,

E

(e*e*′)=

σ

u2

QSQ′

σ

u2

I

となり,最小

2

乗法が適用できる。もしくは,(1)の残差

2

乗値を

S

1

,

・・・

, S

Tに回帰し てその理論値をウェイトとする実行可能な一般化最小

2

乗法によっても推定できる。

時間効果ベクトル

δ

の一般化最小

2

乗推定量は

δ

δ

+(D′

S

−1

D)

−1

D′ S

−1

e

より,E

δ

)=

δ , V

δ

)=

σ

(D′2

S

−1

D)

−1である。基準時点を

1

期とする

t

期の

RS

価格指数は,

(4)の推定量を利用して

I

t/1RS=PRICEt/PRICE1=exp(

δ

t

δ

1)から計測される。しかしな がら,取引時点のダミー変数は

!

T

t=1

D

it=0なる線型関係で結びつけられるので,多重 共線性を考慮すると,すべての取引時点をダミー変数として利用できない。多くの文献 にならって,取引の初期時点となるダミー変数

D

i1をモデルから落とし,

δ

1=0を想定 する。基準時点を第

1

期とするとき,RS価格指数系列は

I

RS={exp(0)

, exp

δ

2

,・・・ , exp

δ

T)}

とな

3

る。

(2)より対数価格は正規分布にしたがう確率誤差を伴うので,指数の期待値は

E

[exp

δ

t)]=exp┌

δ

t

1 2 σ

2

Γ

tt

┘である。ただし,

Γ

ttは(D′

S

−1

D)

−1

t

番目の対角要素を示し ている。価格指数は本質的にバイアスを持つが,RS回帰モデルから推定される

σ

2

Γ

tt

(推定値の標準誤差の

2

乗)はそれほど大きくない。

2

サンプル・セレクション

観測期間において物件は複数回取引されるものもあれば,1度だけ取引されるものも

────────────

3 ヘドニック価格指数,パーシェ指数,ラスパイレス指数などとの相違点についてはDiewert, Heravi and Silver(2007),Hill and Melser(2008)などにおいて詳しい。

同志社商学 第66巻 第1号(2014年7月)

32(32

(8)

ある。したがって,RS法には

2

回取引された物件だけを扱うことによって生じる,サ ンプリング・バイアスが存在する可能性がある。なお,3節においても述べるが,本研 究では一度も取引されていない物件を扱わない。したがって

1

回目の取引時点における セレクションを考慮しない。

Gatzlaff and Haurin(1997)は Bailey et al .(1963)による RS

法において,セレクシ ョン関数と

RS

回帰モデルとの間の共分散が通時的に一定であると想定した上で,セレ クション関数を導入することによって,セレクション・バイアスを取り除いた価格指数 を計測している。しかしながら,住宅の売り手が直面する経済状況は年々刻々と変化し ているわけであるから,実際には誤差構造が変化している可能性がある。本研究では,

これに対応するために,前節で示された

Case and Shiller(1987, 1989)による誤差項の

分散不均一性を考慮し,セレクション・バイアスを修正した新しい

RS

回帰モデルを提 案する。

物件が市場で売買されるためには,売り手のオファー価格が留保価格を上回る必要が あり,そしてそのときだけ取引価格が観察される。したがって,切断されたヘドニック 価格の誤差分布の条件付き期待値が

0

でないことにより,ヘドニック価格にはセレクシ ョン・バイアスが生じる。

サンプル・セレクションがもたらすバイアスの修正方法は

Heckman(1979)で示さ

れている(Heckitとよばれる手法)。この方法は,実際には観察できない

2

回目の取引 価格がない場合でも,時間効果の一致推定量をもたらす。いま,t+Si期において住宅 を売りに出すかどうかの選択を表す閾値を

Z

i, t+S* iとし,次の回帰式でその選択メカニズ ムが示されるものとしよう。

Z

i, t+S* i=w′i, t+Si

γ

+vi, t+Si (5)

ここで,wi, t+Siは売り手の意思決定に影響すると考えられる住宅の属性やマクロ経済要 因を表す変数ベクトル,

γ

は対応するパラメタ・ベクトルであり,vi, t+Si〜N(0, 1)を 仮定する。実際には,閾値

Z

i, t+S* iは観察されないので,Zi, t+S* i>0ならば

Z

i, t+S* i=1,それ 以外の場合となる

2

値変数を考え,これらの確率を

Pr

(Zi, t+Si=1)=F(w′i, t+Si

γ

Pr

(Zi, t+Si=0)=1−F(w′i, t+Si

γ

とする。ただし,F(w′i, t+Si

γ

)は標準正規分布の累積確率密度関数である。2値変数は オファー価格が留保価格を上回るときだけ観察されるので,次のように定義することが

リピート・セールス価格指数におけるセレクション・バイアス(唐渡) 33)33

(9)

できる。

Z

i, t+Si=⎧

1 0

if p

i, t+SO i−pi, t+SR i

! 0 otherwise

本研究では

Gatzlaff and Haurin(1997)と異なり,一度も取引されていない物件を扱

わないので,1回目と

2

回目の間のセレクション構造だけを考える。したがって,RS 回帰モデルの誤差構造と(5)におけるセレクションとの間においての相関だけを考慮 する。いま,(3)における

RS

回帰モデルの誤差

e

iと(5)におけるセレクション関数

の誤差

v

i, t+Si

2

変量正規分布にしたがい,その共分散が

σ

evであるものとしよう。観

察される重み付き

RS

回帰モデルは次の条件付き期待値を持つ。

E

(yi*|Zi, t+Si* >0)=Di*1

δ

+E(ei*

v

i, t+Si>−w′it

γ

)=D*1i

δ

σ

ev

S

i−1/2

λ

i

ここで,yi*=yi

!

S

i

, D

*i=Di

!

S

iであり,

λ

iは(5)のプロビット推定から得られる逆ミ ルズ比である。セレクション・バイアスを制御した重み付き

RS

回帰モデルは

y

i*=D*i

δ

σ

ev

! λ

i

S

i

η

i (6)

となる。以上のように逆ミルズ比を利用して切断されたデータがもたらす誤差分布の歪 みを調整することができる。共分散

σ

evの推定値と残差分散より(3)と(5)の方程式

間の相関係数は

r= σ

ev

σ

u2より計算できる。

Heckit

を利用した

2

段階の推定プロシージャは次のようになる。

ⅰ.2回取引された住宅と

1

回だけ取引された住宅を合わせたサンプルについて,

(5)のプロビット推定を行い,逆ミルズ比を計算する。このとき,2回取引され た住宅ならば

Z

i, t+Si=1,それ以外は

0

となる

2

値変数を用いる。

ⅱ.1/

!

S

iで重み付けを行い,Case and Shiller型の

RS

回帰モデルのセレクション・

バイアスを制御した(6)に最小

2

乗法を適用して時間効果

δ

および共分散

σ

ev を推定する。ここで,サンプルは

2

回取引された住宅だけを利用する。

以上のようにして求められる

RS

回帰モデルの推定量は次のように書ける。

δ

=(D′

D)

−1(D′

y−D′ L σ

ev

σ

ev=(L′

L)

−1(L′

y−L′ D δ

同志社商学 第66巻 第1号(2014年7月)

34(34

(10)

ここで,Lは(6)右辺第

2

項の独立変数ベクトル(

λ

1

"

S

1

,

・・・

, λ

n

"

S

n)′である。時 間効果推定量はこれらを利用して

δ

δ

+[IT−(D′

D)

−1

DM

L

D]

−1(D′

D)

−1

D′

(In−ML

η

である。ここで,

I

T

: T

×T 単位行列,

I

n

: n×n

単位行列,

M

L=L(L′

L) L′である。 Heckit

における

2

段階目の最小

2

乗法による推定値の標準誤差は,(6)の誤差項

η

iの分散が

Var

η

i

Z

i=1)=

σ

2−r2

σ

(d2 i/Si),

d

i

λ

i

λ

i+w′i

γ

となることから,別の分散不均一が生じてしまう。Greene(1981, 2008)より,次の手 順で

δ

および

σ

evの推定値の分散共分散行列の推定値を再計算する。はじめに,セレ

クション関数の推定結果より

λ

iおよび

γ

を得るので,di

λ

i

λ

i+w′i

γ

)が定義でき

る。次に(6)の推定結果より,残差

η i

および修正された逆ミルズ比の係数推定値

σ

ev2

が得られるので,(2)の誤差分散が

σ

2=n−1

η

η

σ

ev2

!

d

i)より推定できる。また,

誤差分散

σ

2と係数推定値

σ

ev2 より相関係数が

r

2

σ

ev2

σ

2と計算できる。最後にこれら の結果を利用して,以下の分散共分散行列の推定値を計算する。

Var

δ

σ

ev)=

σ

(X′2

X)

−1(X′

Γ X+R)

(X′

X)

−1

ただし,

X=(D*, Q λ

),

Γ

=diag[1−

r

2

d

i],

R=r

2

X′ diag

[di

wVar

γ

w′ diag

[di

X

である。

3

ランダム・ウォーク仮定の修正とセレクション除去

Case and Shiller(1987, 1989)の攪乱項は(2)で示されたようにランダム・ウォーク

を仮定している。より一般的には

Hill, Sirmans and Knight(1999)で検討されているよ

うに次の

1

階自己回帰(AR 1)モデルが想定される。

υ

i, t

ρυ

i, t−1+uit

, u

it〜iid.N(0,

σ

i2

, E

υ

it

u

js)=0,

E

(uit

u

js)=0 (7)

リピート・セールス価格指数におけるセレクション・バイアス(唐渡) 35)35

(11)

ここで,

ρ

は自己回帰係数であり,uitはなんらかの分散不均一をもつとしよう。(7)

より

υ

i, t+Si

!

S

!

i−1

j=0

ρ

j

u

i, t+Si−j

,

ρ

|<1

であるから,同一住宅の対数価格差分の誤差

e

iの分散は次のように書ける。

Var

(ei)=Var(

υ

i, t+Si)−2 Cov(

υ

i, t+Si

, υ

i, t)+Var(

υ

i, t)=

2 σ

(1−ρi2 Si

1−ρ

2

u

itの分散は

Harvey(1976)で想定された次の分散(multiplicative heteroscedasticity)を

持つものとしよう。

σ

i2

σ

u2

exp

(q′i

θ

) (8)

ここで,ベクトル

q

iは誤差分散に影響を与える変数である。(3)で示される対数価格 差分はセレクションがあったときに観察されるが,(7)で示される分散不均一を考慮し なければ推定量は非効率になる。切断されたデータに対する最尤法は(3)が観察され る確率と観察されない確率からなる尤度を考慮する。(7)の誤差構造に対応した正規分 布密度関数,(3)が観察される確率(累積密度関数),(3)が観察されない確率(累積 密度関数)を以下のように書くことができる。

(e

f

i

, σ

i2

, ρ

)=

" 1

2 πσ

i2

exp (

e 2

i2

(1−ρi2

1−ρ

2 Si

,ただし

Z

i=1

F

w′

i

γ

+rei

# 1−ρ

2

(1−ρi2 Si

"

1−r

2

,ただし

Z

i=1

1−F

(w′i

γ

),ただし

Z

i=0

すなわち,対数尤度関数は以下のようになる。

ln L

!

Z=1

ln

(e

f

i

, σ

i2

, ρ

)+

!

Z=1

ln F

└(w′i

γ

+rei

# 1−ρ

2

(1−ρi2 Si)(1−r212

!

Z=0

ln F

(−w′i

γ

) (9)

ただし,ei=yi−D′i

δ

である。

以上の自己回帰過程を持つ

RS

回帰モデルの推定プロシージャは次のようになる。

同志社商学 第66巻 第1号(2014年7月)

36(36

(12)

ⅰ.(7)の自己回帰係数および(8)の分散を推定するために,Zi, t+Si=1となるサン プルだけを利用して次の対数尤度関数のもとで最尤法を行う。

ln L

0=−

n

2 ln 2 π

1 2

!

n

i=1

ln ( 2

(1−ρSi

exp 1−ρ

(ln2

ρ

2u+q′i

θ

(10)

1−ρ

Si

2

!

n

i=1

ln (

(1−ρ

2

Si

exp

(lnσ

e

i2 u2+q′i

θ

))

ⅱ.(10)の最尤推定値

ρ

および

θ

を利用して(3)に対するウェイトを次のように 定義する。

ω

1

0

ω

=diag[ω]=

⎩ ・・・

,ただし

ω

i

#

exp

(q′i

θ

2

(1−

ρ

Si

1− ρ

2 (11)

0 ω

n

ⅲ.(11)を利用して

y

i**

ω

i

y

i

, D

**i

ω

i

D

iおよび

e

i**=yi**−Di**

δ

を定義し,最尤法の 初期値を得るために以下の重み付最小

2

乗法を実行する。

y

i**=D**i

δ

+ei** (12)

ⅳ.(9)の

e

i

e

i**に置き換えた次の対数尤度関数を利用して最尤推定を行う。

ln L

!

Z=1

ln

(e

f

i**

, σ

u2

ω

i2)+

!

Z=1

ln F

w′

i

γ

+r

σ e

ui**

ω

i

(1−r212Z

!

=0

ln F

(−w′i

γ

)(13)

なお,(7)において

ρ

=0,(8)において

θ

=0が想定される場合,RS回帰モデルの誤 差は均一分散

Var

(ei)=Var(

υ

i, t+Si)+Var(

υ

i, t)=2

σ

u2となる。このとき,対数尤度関数は

ln L

!

Z=1

ln

(e

f

i

, 2 σ

u2)+

!

Z=1

ln F

w′

i

γ

+r

" 2 e

i

σ

u2

(1−r212Z

!

=0

ln F

(−w′i

γ

) (14)

となる。

Ⅲ デ ー タ

本研究で利用するデータは,株式会社リクルートの情報誌である『週刊住宅情報』お よび『住宅情報タウンズ』に掲載された戸建住宅を対象として,東京都世田谷区におい て

1986

1

月から

2009

7

月までの期間に取引された物件である。情報が不完全なも のや異常値と思われるものを除いたサンプル・サイズは

30,916

である。このうち

1

リピート・セールス価格指数におけるセレクション・バイアス(唐渡) 37)37

(13)

だけ取引された住宅は

28,131

件,2度取引された住宅は

2,785

件である。

2

度取引された住宅は

RS

法のサンプルとして利用するが,本論文では時間効果を推 定するための時間の単位を年次にするため,取引間隔が

1

年未満の物件を除いている。

このことは,投機目的で短期的に売買が繰り返されるケースを排除して,できるだけ居 住目的の価格指数に近い値を計測するための必要な措置である。

1

表は住宅属性の記述統計を示している。サンプル・サイズは

30,916

であり,こ のうち

RS

法が適用される

2

度取引された住宅は

2,785

件である。その割合(2値変数

Z

の平均)は

2785/30916=0.090

である。『平成

18

年度 国土交通白書』によると,既 存住宅の流通量のシェアは米国で

77.6%,イギリスで 88.8%,フランスで 66.4% とな

っているのに対して,日本は

13.1% と極端に低い値になっている。2

度目の取引サンプ ルは確実に中古物件であるから,本研究で利用するデータは特に偏っているわけではな い。

2

表は取引価格の記述統計を示している。1回だけ取引された住宅と

2

回取引され た住宅では価格に大きな差異がある。また

2

回取引されたサンプルでは,1回目に比べ て

2

回目の価格は低くなり,ばらつきも小さくなっている。第

1

図は

1

回だけ取引され た住宅と

2

回取引された住宅のそれぞれの価格の推移を示している。1987年から

1992

年までは

2

回取引された住宅は

1

回だけ取引されたそれに比べ低い水準で売買されてお り,1993年以降は

2

回取引された住宅の方が高い価格で売買されることが幾つかの時

1表 住宅属性の記述統計

変数 単位 平均 標準偏差 最小 最大

Z

都心までの時間距離 占有面積

土地面積

最寄駅までの徒歩時間 建築後年数

取引年次 竣工年次

[分]

[m2

[m2

[分]

[年]

[年]

[年]

0.090 12.8 111.4 104.5 10.0 5.6 2000.6 1995.1

0.286 5.3 51.4 64.7 4.8 8.4 5.3 10.4

0 1 10.0 13.1 1 0 1986 1929

1 25 1475.4 1648.1 36 69 2009 2009 注:サンプル・サイズは30,916であり,このうちRS法が適用される2度取引された住

宅は2,785件である。その比率(2値変数Zの平均)は2785/30916=0.090である。

2表 取引価格の記述統計(単位:万円)

平均 標準偏差 最小 最大

取引が1回の物件 8,848 6,531 1,000 200,410

取引が 1回目

2回の物件 2回目

10,151 8,756

7,047 5,581

1,850 1,800

87,550 70,000 注:サンプル・サイズは取引が1回の物件が28,131,取引が2回の物件は2,785件である。

同志社商学 第66巻 第1号(2014年7月)

38(38

(14)

点で観察でき

4

る。

3

表はリピート・セールス価格の取引年次別のサンプル・サイズ,価格,竣工年を

────────────

1986年のデータは除いている。

1図 平均価格の推移(1 : 1回だけ取引された物件,2 : 2回取引された物件)

3 RS価格の年次別記述統計

取引年次

1回目の取引 2回目の取引

観測値の数 平均価格 平均竣工年 観測値の数 平均価格 平均竣工年 1986

1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

27 29 14 74 61 97 61 80 84 95 90 246 189 164 164 178 207 186 168 192 120 164 95 N.A.

6,436 15,235 15,734 13,168 16,739 15,165 16,124 13,184 9,132 10,260 9,931 9,333 9,645 10,199 9,735 9,413 8,094 7,942 9,926 8,110 10,223 11,071 8,547 N.A.

1980 1980 1979 1980 1980 1981 1980 1985 1985 1985 1987 1991 1991 1991 1992 1995 1997 1999 2000 2001 2001 2004 2004 N.A.

N.A.

4 2 12 26 27 36 46 58 77 78 85 173 187 149 200 205 227 243 206 227 160 220 137

N.A.

17,220 14,150 10,351 13,093 15,816 12,756 11,971 10,412 7,932 7,193 9,601 7,997 8,406 8,636 7,688 8,285 8,247 7,630 9,227 8,214 10,110 9,838 7,615

N.A.

1979 1982 1979 1979 1977 1981 1979 1983 1984 1984 1984 1990 1989 1989 1990 1994 1995 1996 1997 1999 1999 2000 2002

リピート・セールス価格指数におけるセレクション・バイアス(唐渡) 39)39

(15)

示している。我々のデータベースは

80

年代後半の物件が若干少なく,再販売という性 質上,2回目は特に少ない。

Ⅳ 推 定 結 果

1

セレクション関数と

Case-Shiller

RS

回帰モデルの推定結果

4

表は(5)式のプロビット推定の結果を示している。占有面積が広く,建築後年 数の古い物件は,売りに出す確率を有意に高めていることがわかる。また,失業率が高 くなり,経済成長率が低くなる場合にも確率を高める要因になる。売りに出されるかど うかは,マクロ経済の景況に依存しており,景気の悪化は再販売の確率を高めると予想 できる。

プロビット推定から逆ミルズ比

λ

iが計測できる。

λ

iの平均は

1.75,標準偏差は 0.20

である。また,(6)の

RS

回帰モデルにおいて,セレクション・バイアスを制御する

λ

i

!

S

iの平均は

1.46,標準偏差は 0.52

になる。

5

表に

RS

回帰モデル(6)および(4)の推定結果を示した。RS回帰モデルはセ レクション関数で用いられる変数と比べ大幅に異なっており,最小

2

乗法で(6)を推 定したとしても多重共線性の問題はほとんど起こらないと考えられる。(6)はセレクシ ョン・バイアスを修正した

RS

回帰モデル(SEL)の,(4)は

Case-Shiller

型の分散不 均一のみを修正した

RS

回帰モデル(CS)の結果を示している。

セレクション・バイアスを制御した結果を見ると,重み付きの逆ミルズ比

λ

i

! S

i

4表 セレクション関数(5)式のプロビット推定

説明変数 推定値 t 限界効果

定数項

都心までの時間距離 対数占有面積 対数土地面積 最寄駅までの徒歩時間 建築後年数

完全失業率 経済成長率 観測値の数 最大対数尤度 尤度比

−2.30 0.00 0.13

−0.04 0.00 0.03 0.09

−0.02 30916

−9057 605

[.000]

−15.91***

1.68*

2.83***

−1.18

−0.61 22.43***

6.58***

−3.33***

0.001 0.020

−0.007 0.000 0.004 0.014

−0.003

注:***は1% 水準,**は5%,*は10% で有意であることを示している。尤度 比は定数項を除くすべてのパラメタがゼロであるという帰無仮説について の検定統計量であり,[ ]内はカイ2乗分布でのp値を示している。失業 率および経済成長率は前年の値を利用している。

同志社商学 第66巻 第1号(2014年7月)

40(40

(16)

係数推定値は(

σ

ev)有意に負であり,(3)と(5)の誤差項の相関係数も負になる。こ のことから,2回取引された物件固有の性質が価格の変化率に対して負の影響をもたら していることが予想される。

セレクション・バイアスを制御していない

Case-Shiller

型の推定結果を見ると,時間 効果はやや低い値で推定されている。(3)と(5)の相関が負であることから,除外変 数バイアスによる影響が考えられる。第

2

図は時間効果の推定値より計算した

1986

年 を基準年とした価格指数である。(4)の価格指数はやや下方にバイアスを持っているこ とがわかる。価格変化率は平均で−1.45%,最大で−2.94% だけ(6)に比べて過少に なる。

2.1

節で示したように価格指数

exp

δ

t)の期待値は

E

[exp(

δ

t)]=exp┌

δ

t

1 2 σ

2

Γ

tt

┘よ

りバイアスを持つ。推定値

δ

tの標準誤差より

σ

2

Γ

ttを推定すると,(6)のケースでは

E

[exp(

δ

t)]は

exp

δ

t

1 2 σ

2

Γ

tt

┘よりも平均で

0.33% 小さく,(4)のケースでは 0.14%

小さい。この差は(4)と(6)との差に比べて遥かに小さいといえる。

5 RS回帰モデルの推定結果

変数

Eq.(6)SEL Eq.(4)CS

推定値 t 推定値 t

D_1987 D_1988 D_1989 D_1990 D_1991 D_1992 D_1993 D_1994 D_1995 D_1996 D_1997 D_1998 D_1999 D_2000 D_2001 D_2002 D_2003 D_2004 D_2005 D_2006 D_2007 D_2008 D_2009 λ/!

S

(ρ

(σu adj.R2

0.51 0.52 0.47 0.54 0.52 0.35 0.18 0.08

−0.03

−0.10

−0.08

−0.14

−0.18

−0.22

−0.27

−0.31

−0.33

−0.31

−0.28

−0.24

−0.18

−0.23

−0.33

−0.02

−0.1880 0.1158 0.2800

11.05***

8.74***

9.53***

10.81***

10.37***

6.90***

3.58***

1.57

−0.64

−2.02**

−1.57***

−2.61***

−3.53***

−4.24***

−5.00***

−5.85***

−6.04***

−5.57***

−4.91***

−4.13***

−3.05***

−3.82***

−5.14***

−10.08***

0.49 0.51 0.45 0.49 0.47 0.29 0.11 0.00

−0.12

−0.20

−0.18

−0.26

−0.32

−0.36

−0.42

−0.48

−0.51

−0.51

−0.50

−0.49

−0.45

−0.54

−0.66

0.1353 0.2630

10.55***

8.37***

8.83***

9.78***

9.22***

5.52***

2.11**

−0.03

−2.38**

−3.87***

−3.48***

−4.99***

−6.20***

−7.05***

−8.08***

−9.28***

−9.86***

−9.81***

−9.52***

−9.23***

−8.47***

−9.96***

−12.08***

注:***は1% 水準,**は5% 水準で有意であることを示している。(6)式の推定値の 標準誤差はGreene(1981)にしたがって再計算している。

リピート・セールス価格指数におけるセレクション・バイアス(唐渡) 41)41

(17)

2 RS価格指数(1986年価格を1に基準化)

6表 自己回帰過程をもつRS回帰モデルの推定結果

変数 (10)最尤法 (12)一般化最小2乗法

推定値 標準誤差 推定値 標準誤差

D_1987 D_1988 D_1989 D_1990 D_1991 D_1992 D_1993 D_1994 D_1995 D_1996 D_1997 D_1998 D_1999 D_2000 D_2001 D_2002 D_2003 D_2004 D_2005 D_2006 D_2007 D_2008 D_2009 都心までの時間距離q1

対数占有面積q2

対数土地面積q3

lnσu2

ρ 観測値の数 最大対数尤度 回帰の標準誤差σu

0.571***

0.571***

0.497***

0.560***

0.530***

0.371***

0.200***

0.089***

−0.025

−0.098***

−0.083***

−0.161***

−0.217***

−0.256***

−0.301***

−0.353***

−0.376***

−0.366***

−0.341***

−0.320***

−0.269***

−0.341***

−0.458***

0.028***

0.000*

0.003***

−5.669***

0.709***

2785 7349.44

0.059

0.013 0.026 0.016 0.016 0.016 0.016 0.017 0.017 0.016 0.017 0.016 0.016 0.016 0.016 0.016 0.017 0.017 0.017 0.017 0.017 0.017 0.017 0.018 0.002 0.000231 0.000199 0.023 0.009

0.564***

0.568***

0.491***

0.549***

0.534***

0.354***

0.189***

0.075*

−0.041

−0.118***

−0.100**

−0.176***

−0.236***

−0.273***

−0.322***

−0.380***

−0.405***

−0.394***

−0.371***

−0.350***

−0.298***

−0.370***

−0.490***

2785 2563.39

0.097

0.045 0.057 0.045 0.044 0.044 0.045 0.044 0.044 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.044 0.044 0.044 0.045 0.046

注:***は1% 水準,**は5% 水準,*は1% 水準で有意であることを示している。

同志社商学 第66巻 第1号(2014年7月)

42(42

(18)

2

自己回帰過程をもつ

RS

回帰モデルの推定結果

(7)と(8)の誤差構造を持つ

RS

回帰モデルの推定結果を第

6

表に示した。分散不 均一を考慮して(8)における変数として

q

i(都心までの時間距離,占有面積,土地面 積)を利用した。(10)の推定結果より,自己回帰係数

ρ

は有意であり,推定値は|

ρ

<1を満たす。したがって,RS回帰モデルの誤差項はランダム・ウォークでない可能 性がある。(12)はこれらの結果を利用して実現可能な一般化最小

2

乗法で推定した

RS

回帰モデルの推定結果である。

7表 セレクション・バイアスを考慮した自己回帰過程をもつRS回帰モデルの推定結果

変数 (13)最尤法 (14)最尤法

推定値 標準誤差 推定値 標準誤差

プロビット定数項 都心までの時間距離

対数占有面積 対数土地面積 最寄駅までの徒歩時間

建築後年数 完全失業率 経済成長率 D_1987 D_1988 D_1989 D_1990 D_1991 D_1992 D_1993 D_1994 D_1995 D_1996 D_1997 D_1998 D_1999 D_2000 D_2001 D_2002 D_2003 D_2004 D_2005 D_2006 D_2007 D_2008 D_2009

σu

r

観測値の数 最大対数尤度

−2.160***

0.003 0.113**

−0.054

−0.002 0.025***

0.089***

−0.022***

0.577***

0.587***

0.523***

0.598***

0.587***

0.426***

0.270***

0.168***

0.060

−0.010 0.008

−0.044

−0.090**

−0.121***

−0.158***

−0.203***

−0.212***

−0.183***

−0.143***

−0.098**

−0.028

−0.069

−0.156***

0.096***

−0.197***

30916

−6426.34

0.145 0.002 0.045 0.036 0.002 0.001 0.014 0.006 0.044 0.055 0.043 0.043 0.043 0.044 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.043 0.044 0.044 0.045 0.045 0.046 0.047 0.048 0.049 0.050 0.053 0.001 0.017

−2.180***

0.003 0.113**

−0.051

−0.002 0.026***

0.090***

−0.022***

0.644***

0.636***

0.536***

0.620***

0.591***

0.428***

0.292***

0.166***

0.055*

−0.022

−0.011

−0.071**

−0.123**

−0.153***

−0.191***

−0.243***

−0.257***

−0.234***

−0.203***

−0.150**

−0.067*

−0.102***

−0.190***

0.077***

−0.161***

30916

−7755.30

0.145 0.002 0.045 0.036 0.002 0.001 0.014 0.006 0.037 0.048 0.033 0.033 0.033 0.034 0.032 0.032 0.031 0.032 0.031 0.032 0.032 0.032 0.032 0.032 0.032 0.033 0.033 0.034 0.034 0.035 0.037 0.002 0.014

注:***は1% 水準,**は5% 水準,*は1% 水準で有意であることを示している。

リピート・セールス価格指数におけるセレクション・バイアス(唐渡) 43)43

参照

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