九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
An Empirical Analysis of Social Capital
Outcomes amongst Minority Groups in Japan: With a particular focus on foreign labor,
immigration policy, and the contemporary status of foreigners in Japan
ペイジ, カール, マックナマラ
http://hdl.handle.net/2324/2236015
出版情報:九州大学, 2018, 博士(経済学), 課程博士 バージョン:
権利関係:やむを得ない事由により本文ファイル非公開 (3)
(様式6-2)
氏 名 Carl McNamara Page
論 文 名 An Empirical Analysis of Social Capital Outcomes amongst Minority Groups in Japan: With a particular focus on foreign labor, immigration policy, and the contemporary status of foreigners in Japan
(日本社会のマイノリティにおけるソーシャル・キャピタルの影響の実証 分析―外国人労働者と移民政策の考察を中心に―)
論文調査委員 主 査 九州大学 准教授 浦川 邦夫 副 査 九州大学 准教授 池下 研一郎 副 査 九州大学 准教授 宮崎 毅
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
本論文は,人口構造の変化や家族の変容が進むなかで,多様な国籍・価値観・文化が共存しつつあ る日本の社会状況を踏まえ,地域社会や人々とのつながりの程度を示すソーシャル・キャピタル(以 下SC)の水準が日本に居住するマイノリティ・グループの就労や主観的厚生(幸福感・健康感・仕事 満足度など)に与える影響について,特に外国人労働者に焦点をあてて実証研究を行っている。
論文は6つの章から構成される。1章では本論 文の問 題意識とSCの 理論につ い て説明して いる。
2章 は , 在 留 外 国 人 に 対 す る ア ン ケ ー ト 調 査 を も と に , 日 本 で 生 活 す る 外 国 人 労 働 者 のSCと 主 観 的 厚 生 と の 関係 に つ い て 分 析 が な さ れて い る 。 対 人 関 係 の 多 様性 に 注 目 し てSCの 水 準 を 捉 え る Resource Generatorを用 いた推定結 果による と,高いSCを持つ 外国人は 主 観的厚生が 高く,日本語 能力の向上 や条件の 良い 職場での就 労が主要 な媒 介要因にな っている 点を 示している。3章 は,日 本で難民 申請を 行った 経 験を持つ 外国人 を中心 に 半構造化 形式に よるイ ン タビュー 調査を 行い,
彼らのSCの水 準と生活 環 境,就労状況 につい て調 査している。分析で は,就労条件の 良い仕事 に つ くた め にBonding型 とBridging型 のSCの 水 準 が 重 要な 役 割 を果 た し て い る 点が 指 摘 され て い る 。 4章は,日本の外 国人犯 罪に対し,特 定の在 留資 格や社会保 障の水準 が影 響している か,地域 レベ ルのパネ ルデー タを用 い た分析が 行われ ている 。 分析の結 果,不 法就労 者 数が多い 地域で は,不 法就労以 外の外 国人犯 罪 率も高い 傾向に あるが , 技能実習 生や留 学生の 割 合が高い 地域で は,低 い傾向にあ る点が示 され ている。5章では,性 的マ イノリティ を対象に 東京 圏で実施し た個票デ ー タをもとに,SCの 水準と 主観的厚生 との関係 を検 証している。分析では,SCの水 準が主 観的厚生 に 有意 な 効 果を 持 ち ,特 にSNSを 含む 性 的 マイ ノ リ ティ 同 士 のコ ミ ュ ニテ ィ への ア ク セス は ,家 族のつなが りと同様 の効 果を持つ点 が指摘さ れて いる。6章では,2–5章の分析結果を踏まえ,マイ ノリティに対する就労支援策の強化などの政策的含意が述べられている。
論文調査 委員に よる調 査 の結果, 本論文 は個票 デ ータを用 いた計 量分析 と 質的調査 に基づ いて 日本のマ イノリ ティの 問 題に対す る一定 の政策 的 含意を導 いてお り,学 位 論文とし て必要 な水準 に達してい る点が確 認さ れた。以上の 点を踏ま え ,本論文調査 会はCarl McNamara Page氏 から提 出された論 文「An Empirical Analysis of Social Capital Outcomes amongst Minority Groups in Japan: With a particular focus on foreign labor, immigration policy, and the contemporary status of foreigners in Japan」を博士( 経済学 )の学位を 授与する に値 するものと 認める。