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立川市第1次多文化共生推進プラン 【参考】

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(1)

平成17年3月

(2)

はじめに···1

第1章 プラン策定の趣旨

1.策定の背景···2 2.プランの位置付け···3 3.計画の期間···4 4.策定の経過···4

第2章 立川市の現状と課題

1.外国人登録者の状況 ···5

2.外国人市民の生活実態 ···6

3.市内の主な関係団体の状況 ···7

第3章 プランの基本的な考え方

1.基本理念 ···9

2.基本目標 ···11

3.施策の体系 ···12

第4章 基本目標と施策

基本目標1. 多文化共生の意識づくりと推進 ···14

基本目標2. 外国人市民なども暮らしやすいまちづくり ···17

基本目標3. さまざまな交流と連携による魅力ある地域社会の形成 ···20

基本目標4. 外国人市民などの参加のしくみづくり ···24

第5章 プランの推進に向けて

1.市民及び市民団体、自治体の役割 ···27

2.プランの推進体制 ···27

3.重点施策のアクションプログラム ···27

重点施策のアクションプログラム

実施項目1.人権尊重意識を高めるための啓発活動の促進 ···29

実施項目2.多文化共生の意識づくりのためのシンポジウムなどの開催 ···30

(3)

実施項目4.各種行政関連書類の多言語化の充実 ···32

実施項目5.交流と連携のネットワークづくりのためのフレンドシップ

交流事業の展開···33

実施項目6.幅広い市民レベルの交流の促進 ···34

実施項目7.多文化共生円卓会議(仮称)の開催 ···35

実施項目8.外国人リーダーや外国語教室での講師など、

市民活動リーダーの育成 ···36

資 料

1.立川市国際化推進委員会 条例・名簿・会議概要 ···38

2.立川市国際化プラン(仮称)を考える市民の会 要綱・名簿・会議概要 ·41

3.立川市国際化行政推進会議 要綱・名簿・会議概要 ···43

4.平成16年度外国人市民対象アンケート調査 概要 ··· 47

(4)

はじめに

今日、国際社会においては、インターネットに代表される情報通信技術の発 達や交通手段の進歩により、産業経済をはじめとして、あらゆる面で地球規模 での情報や交流の拡大と相互依存の関係が深まっています。

日常的となった海外旅行やインターネットの普及とともに、多くの日本人が 国外に出かけたり、観光やビジネスで日本を訪れる外国人来訪者も多くなり、 国際的な人の流れの活発化に伴って、近年地域に居住する外国人及び国際結婚 や帰化により日本国籍を取得した海外出身者が増えています。日本社会の民族 的構成は徐々に多様化が進んでおり、まちを歩いていても外国人を見かけたり、 外国語の話し声が聞こえてくることはもはや珍しいことではなく、こうした国 際化の進展が私たちの日常生活にも大きな影響を与えています。

これからは、こうした外国人市民や海外出身市民など、多様な文化的背景を 有する人たちとの共生をはかり、異なる文化・習慣・価値観を尊重しつつ、信 頼を深めていくことが求められます。そのためには、外国人も同じ地域に住む 住民として、日本の文化・慣習を尊重する一方、日本人も多様な文化的背景を 持つ一人ひとりの人間としてお互いに関わっていこうとする視点が求められま す。こうした地域社会のあり方を考えたとき、今後のあるべき方向は「多文化 共生社会の実現」であるといえます。外国人や海外出身者にとっても暮らしや すい都市環境を整え、多様な価値観や異なる文化への市民理解を促進し、開か れた地域社会づくりを進めることは、単に外国人にやさしいまちづくりだけで なく、誰もが住み良いまち、住んで良かったと思えるまちづくりにつながりま す。

このような認識のもとに、本市ではこのたび立川市多文化共生推進プランを 策定いたしました。本プランにおきましては、多様な価値観を認めあう多文化 共生社会の実現に向け、市民やさまざまな団体、企業、学校とのパートナーシ ップを築くとともに、外国人にも住みよいまちづくりを交流と連携により進め、 多摩の中核都市としてふさわしい国際性豊かな魅力あふれるまちづくりをめざ します。

平成17年3月

(5)

第1章

プラン策定の趣旨

1.策定の背景

立川市は、昭和初期の頃から立川飛行場が国際空港として外国機が飛来する など勇名をはせ、その国際性の萌芽は早くから見られていました。その後、太 平洋戦争終了とともに米軍が立川基地に進駐し、米兵や米軍関係者が往来する 基地の町としての歴史を歩んだことは広く知られており、本市の近・現代にお ける歴史の断面にはこうした基地の町の原風景が織り込まれています。本市の 中央部に位置し広大な面積を有するこの地区の変遷とともに、過去から現在へ と移り変わる街並みと都市への変貌、そして町の人々の営みの歴史は、多くの 市民に語り継がれてきました。言葉を換えれば、都市の歴史自体に国際的な出 来事が刻まれているといえます。

このような歴史的事象を背景として、本市は世界平和を願い、人種や国境を 超えて2つの都市の市民が文化や経済の交流を行うことを目的として、アメリ カ合衆国カリフォルニア州のサンバーナディノ市(注)との姉妹市提携を、東 京都の区市町村では初めてとなる昭和34年12月23日に行いました。以来 45年の歳月を数え、この間、昭和35年1月に結成された立川市姉妹市委員 会(平成7年4月、立川・サンバーナディノ姉妹市委員会に改称)の実施する 高校生相互派遣事業により、本市から多くの高校生が渡米し、サンバーナディ ノ市を訪れるとともに、先方からの高校生を多数受け入れ、互いの文化の理解 につとめるとともに、友好親善をはかってきました。こうした形で展開されて きた姉妹市交流は長期にわたり本市における国際交流を象徴するものとして市 のイメージアップに貢献するとともに、青少年の国際意識を高め、国際人とし て活躍し得る人材の育成に役立ってきました。

また国際協力という面から本市では平成9年10月に、それまで12年間、 移動図書館車として稼動してきた「大空号」が東南アジアのラオス国立図書館 に寄贈されることとなったことがトピックとしてあげられます。大空号はこの 第2の活躍の場で首都のビエンチャン近郊の村々を週一回巡回しながら、子ど もたちへの読書の機会を創出してきました。

注)サンバーナディノ市:ロスアンジェルスの東方約100キロメートルに位置する、サンバー

(6)

こうした国際交流や国際協力は、外国や外国に住む人々との交流、世界の地 域とのつながりを求める中で、世界平和への希求とともに国際理解の促進、国 際意識の高揚等につながり、今後さらに多くの市民が関わる中で活動が活発化 していくことが考えられます。

今日インターネットはほとんど瞬時に世界規模での情報交換を可能とし、こ れまで比較的少数の人しか関わることのなかった世界に向けての情報の発信と 受信がホームページや電子メールの利用により可能となりました。こうした国 籍や民族を超えた情報交換が個人レベルで活発に展開されることにより、市民 の国外への関心も高まっていくと予想されます。

このような情報・通信機能とともに大量輸送システムの発達により、大量の ひと、もの、資金、情報が行き交い、特に経済面では、企業の多国籍化、金融 のグローバル化(注)が顕著となり、また労働力の国際的な移動も活発化して きています。人口減少時代を迎えようとする先進国にあって人材獲得競争が激 化する中、少子化が加速している日本では、これまでの高い技能を持つ外国人 専門職の受入れだけでなく、将来さまざまな分野で多くの外国人労働力に頼ら ざるを得なくなる時期が来ることも予想されます。勿論、こうした将来的な予 測・展望については、外国人労働力の受入れにともなう社会的コストの増大、 高齢者や女性の就労促進、情報技術への社会資本の投資に伴う生産性の向上等 さまざまな問題があり、一概に論じることはできませんが、いずれにせよ地球 規模での人の流れという面で、労働力の移動ということの果たす役割は極めて 大きいといえます。

国境を超えた人の流れが増加する一方で、一部の不法滞在者などによる犯罪 がマスコミで取り上げられたり、また就労や住居、医療など在住外国人に関わ る多くの課題が指摘される状況が見られます。

本プランは、このような歴史的・社会的背景を視野にして策定しています。

2.プランの位置付け

本プランは、「立川市第3次長期総合計画第2次基本計画」を上位計画とする

個別計画であり、「第2次基本計画」で示されている施策の方向性を踏まえつつ、

国際化への対応や国際交流等を含む総体的な意味で多文化共生社会の実現をめ ざしており、多文化共生推進施策の基本的な考え方や関連する施策について体 系的にまとめています。

(7)

3.計画の期間

本プランは、平成17年度から平成21年度までの5年間を計画期間としま す。

4.策定の経過

平成12年度から平成16年度までの「立川市第1次基本計画」では、施策 展開のポイントとして、国際化に関する市政をすすめるにあたっての基本的な

考え方、大綱を策定し、計画的、体系的な施策の展開をはかる旨の記載があり、

国際化に関する指針を策定するとしています。

平成13年度に立川市国際化推進委員会に「立川市国際化プラン(仮称)の 策定に向けて」を諮問し、同委員会での12回にわたる検討の結果、平成15 年3月に同名の答申書が提出されました。この答申には、多文化共生のまちづ くり等、多様な文化的背景を有する人々との共生社会実現に向けた提言がなさ れています。

この答申をもとに、平成15年度の立川市国際化行政推進会議(庁内会議) では、専門部会を設置して同プランの検討をすすめました。

平成16年度には、立川市国際化行政推進会議で検討するとともに、「立川市

国際化プラン(仮称)を考える市民の会」を設置し、策定に向け市民からの意 見の反映につとめるとともに、外国人市民対象アンケート調査を実施し、外国 人市民の意見把握を行いました。

(8)

第2章

立川市の現状と課題

1.外国人登録者の状況

立川を訪れ、立川に居住する外国人・海外出身者の数は少しずつ増加する傾 向にあります。本市の外国人登録者数を見ますと、平成17年1月1日現在で 3,304人となっており、この10年間で約1.43倍に増加しています。 本市は地理的にも多摩の中心にあたり、また交通の要衝ということからこうし た多様な文化的背景を有する人々が今後も増え続ける可能性は高いといえます。

なお、全国の平成15年末現在における外国人登録者数は191万5千人で、 前年に引き続き最高記録を更新しています。また、10年前(平成5年末)と

比べると59万4千人の増加で、約1.45倍の増加となっています。(注)

本市における外国人登録者数の推移 (各年 1 月1日現在)

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17

計 2,310 2,265 2,327 2,411 2,483 2,590 2,784 3,001 3,003 3,235 3,304

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17

注)出典:平成16年6月法務省入国管理局「平成15年末現在における外国人登録者

(9)

本市の外国人登録者の主な国籍(出身地)内訳(全52カ国) (平成17年1月1日現在)

国籍 中国 韓国・朝鮮 フィリピン ブラジル 米国 その他 計

人数 1,313 942 382 149 125 393 3,304

本市の平成7年1月1日の外国人登録者の主な国籍(出身地)は、韓国・朝 鮮946人、中国554人、フィリピン316人、ブラジル140人、米国 108人でしたが、10年後の平成17年1月1日では、韓国・朝鮮、ブラジ ルはほとんど変化がなく、中国は2.37倍に、フィリピンは1.2倍に、米 国は微増となっています。

また、平成13年までは韓国・朝鮮が外国人登録者数で最多でしたが、平成 14年以降、中国が最多となり現在に至っています。

なお、全国の平成15年末の外国人登録者の国籍(出身地)は、186カ国 となっており、韓国・朝鮮が約61万人で全体の32%を占め、以下、中国、 ブラジル、フィリピン、ペルー、米国と続いています。韓国・朝鮮が、毎年減 少している一方、中国は前年に比べて9%増加しているほか、ブラジル、フィ

リピン、ペルーも毎年増加傾向にあります。(注)

2.外国人市民の生活実態

外国人市民のニーズや生活上の問題点を把握し、国際化施策に反映させ、外 国人にも暮らしやすいまちづくりをめざすため、立川市では平成16年度に外 国人市民を対象とするアンケート調査を実施しました。調査では、外国人市民 の約1割にあたる300人にアンケート用紙を郵送し、集計と分析を行ったも

ので、回収は62通(回収率約21%)、25の国と地域となっています(巻末

資料参照)。

このアンケート調査結果からうかがえる外国人市民の生活実態については、

例えば設問の中で、「立川市に住んでいて、困ることや嫌なことは何ですか」と

いう問いに対し、「友人ができない」の答が最も多く、必ずしも本市の地域性と

いうことはいえないとしても、一般に日本人との交流の機会が少ないことがう

かがえます。次に、「地域でどのような交流がしたいですか」という問いに対し

ては、「隣近所の人と親しくしたい」が最も多く、続いて「趣味のサークルに参

加したい、作りたい」となっており、地域で日本人といろいろな場面で交流す ることを望んでいる様子がうかがえます。

注)出典:平成16年6月法務省入国管理局「平成15年末現在における外国人登録者

(10)

また、「どのような情報が必要ですか」という問いに対しては、「医療、病院

の情報」が最も多く、「仕事、就職の情報」「子育て、教育の情報」と続いてお

り、当然のこととはいえ、生活上の情報を必要としていることがうかがえます。

さらに、「立川市の行政サービスに要望したいことは何ですか」という問いに対

しては、「制度やサービスを総合的に多言語で情報提供」が最も多く、「外国出

身者と日本人市民との交流や相互理解の機会の提供」「申請・届出書類や通知文

者などの多言語化」と続きます。これらのことから、外国人市民の多くが多言 語での情報提供を望んでいる状況がうかがえます。

3.市内の主な関係団体の状況

第1章の1で述べた立川・サンバーナディノ姉妹市委員会のほか、地域の国 際化に呼応し、平成3年12月、外国語ができるボランティアが集まり、翌年 4月、外国人に日本語習得の支援を行うグループとして「立川国際友好協会」 が発足しました。同協会では、立川市の国際化推進事業の一つとして外国人の ための日本語教室を受託し、毎週木曜日の午前中と土曜日の夜間、立川市中央 公民館で同教室を開催しています。1980年代以降急増した新来外国人の人 たちは、日本での日常生活で特に言葉の壁が大きく立ちはだかっており、これ らの人々にとっては日本語教室が大きな支えとなっているといえます。日本語 が話せず、日常生活に不自由する外国人や海外出身者に日本語を教え、慣れな い日本での生活上の負担が少しでも軽くなれば、日本での印象も少しずつ変わ ってくるのではないかと思われます。

外国人や海外出身者の人たちが日本人市民と同様、暮らしやすい生活がおく れるように、日本語教室のさらなる充実が求められます。今後も、立川国際友 好協会の活発な活動が期待されるとともに、市民の間での草の根の国際交流、 異文化理解が深まることが期待されます。

また、平成13年4月に創設された「たちかわ多文化共生センター」は、外 国人市民や海外出身市民の生活上の悩みなどに応じる相談窓口、多言語情報提

供、国際化シンポジウムなどの事業を立川市から受託し、運営を行っています。

(11)

そのほか市内には、地域における民間国際交流団体である「地球クラブ」、「特

定非営利活動法人 日本ネパール友好協会」、「立川市ボーイ・ガールスカウト

育成会」、「立川四中国際交流支援ネットワーク」、「西東京日韓親善友好協会」、

「在日本大韓民国民団西東京地方本部」さらには、「東京立川ロータリークラブ」、

「東京立川こぶしロータリークラブ」、「東京立川ライオンズクラブ」、「国際ソ

ロプチミスト立川」「社団法人 立川青年会議所」などが活動しており、また学

校関係として「西東京朝鮮第一初中級学校」があります。

(12)

第3章

プランの基本的な考え方

1.基本理念

本プランの基本的な考え方を明確にするため、次の基本理念を定めます。

(基本理念の考え方)

従来、国際化とは、国と国との間の関係、すなわち国家の存在を前提とする 相互作用の増大を意味していました。現在では、グローバル化という表現で、 必ずしも国家を介しない地球規模での人、モノ、資金、情報などの交流の拡大 と、地球規模での相互依存の高まり、そしてさまざまな越境的な主体の移動と 活動の増大を意味しています。そうした越境的な主体として登場しているのは、 多国籍企業やNGO(注)をはじめ、外国人(移民や難民を含む)そして市民 および自治体です。

国を超えて人が動くことが当たり前のこととなっている現在、新来外国人 (ニューカマーズ)をはじめ、帰化により日本国籍を取得した人(~系日本人)

や、あるいは日系人等で日本に永住を希望する人、国際結婚カップルの子で「ダ

ブル」の文化を持つ子ども、また中国帰国者のように、長い海外生活の後に帰 国した日本人やその子ども(例えば、帰国者2世等)など、その文化的背景が 日本人と異なる人々が数多く地域に居住するようになっています。また、在日 韓国・朝鮮等の人々については、国籍は外国であっても日本で生まれ育ち、言 葉も生活文化も日本人とほぼ変わらない場合が多く、こうした人たちとの関わ りについてはこれまでの「国際化」あるいは「国際交流」という概念では十分 捉えきれません。

注)NGO:非政府組織。政府間の協定によらずに創設された民間の国際協力機構。

互いの国籍や民族、

文化の違いを尊重し、

生かし合いながら、

共に暮らす多文化共生のまちづくり

(13)

従来、こうした在日外国籍住民との共生、そして1980年代以降に急増した 前 述 の 新 来 外 国 人 と の 地 域 レ ベ ル で の 共 生 の あ り 方 を 指 し 示 す 標 語 と し て は 「内なる国際化」という言葉が、学問分野だけでなく実務分野でも使われてき ました。

近年、国際化ということから転じて、「文化や価値観の多様性」ということと

ともに、「共に生きる」という方向性を具えた「多文化共生」という標語がクロ

ーズアップされるようになっており、環境問題など地球規模の問題が地域の市 民一人ひとりの生活に密接に関わっているという認識の高まりとともに、お互 いの地域の課題解決に向けて、外国人、日本人という区別を超えた実質的な協 調を進めていくことに視点が向けられるようになっています。

本プランでは、「立川市国際化推進委員会」からの答申と、「立川市国際化プ

ラン(仮称)を考える市民の会」及び「立川市国際化行政推進会議」での検討

に基づき、「外に向けられた国際化・国際交流」や「内なる国際化」を踏まえた

「互いの国籍や民族、文化の違いを尊重し、生かし合いながら、共に暮らす多 文化共生のまちづくり」を基本理念として掲げています。

なお、本プランではこれまで、多様な文化的背景を有する人々として、「外国

人」あるいは「外国人市民」、「海外出身市民」のように呼称してきましたが、

これからは「外国人市民など」と総称することとします。また、事柄の性質上、

限定して言及する必要のある場合には、「外国人」あるいは「海外出身者」と呼

(14)

2.基本目標

基本理念を実現するために、次の4つの基本目標を定めます。

多文化共生の意識づくりと推進

基 本 目 標 1

さまざまな交流と連携による魅力ある地域社会の形成

基 本 目 標 2

基 本 目 標 3

外国人市民などにも暮らしやすいまちづくり

基 本 目 標 4

(15)

3.施策の体系

基本理念を実現するための基本目標、施策の方向を次のように定めます。

<基本理念> <基本目標> <施策の方向>

多文化共生の意識

づくりと推進

人権尊重の意識づくり

多文化共生のための学習機会の創出

国際理解のための学習機会の充実

外国人市民なども

暮らしやすい

まちづくり

快適な暮らしのための環境づくり

行政の国際化

さ ま ざ ま な 交 流 と 連

携 に よ る 魅 力 あ る 地

域社会の形成

国際交流の機会創出

観光など外国人来訪者への対応

姉妹市交流の充実

国際協力の推進

外国人市民などの

参加のしくみづくり

外国人市民などの意見反映のしくみづくり

参加の環境づくり

ボランティア活動参加のしくみづくり

外国人市民などの地域への参加のしくみ

づくり 互いの国籍や民族、

文化の違いを尊重し、

生かしあいながら、

共に暮らす多文化

(16)

第4章

基本目標と施策

前章に掲げた基本理念を支える4つの基本目標は、各々下記に示される考え 方により定められています。この基本目標を達成するための施策の方向の課題 と取り組みをその後に掲げます。

なお、施策の取り組みで、『 重点施策 実施項目 』と記載され

ているものについては、「第5章プランの推進に向けて」の重点施策として掲げ

るアクションプログラム(注)の各々の実施項目で詳しく取り上げます。

(17)

基本目標1.多文化共生の意識づくりと推進

世界のさまざまな国や多様な民族、文化的背景を持つ人々と相互理解を深め、 互いの存在を認め合うことを基本として、少数者の存在やその文化を尊重し、 多様性を生かした多文化共生のまちづくりをどのように進めていくかが本プラ ンの主要なテーマです。多文化共生を推進するためには、それぞれの市民の出 身国や出身地域の違い、さらに、ジェンダー(注)、年齢、世代、身体的条件、 職業、階層などの違いによる価値観やライフスタイルの多様性について、積極 的に配慮する方向で捉えていく姿勢、すなわち多様性をプラス志向で捉えてい く姿勢が必要となります。

多文化共生という言葉からは、異質なものとの出会い、という意味合いから、

トラブルや文化的な摩擦ということが連想されるかもしれません。このことは 社会生活をおくるうえでの基本的な法律や制度について述べているのではなく、 交通規則など法令や規則を守ることは、日本での生活のための必要な条件です。

ここでいう多文化共生とは、お互いに違いを理解し尊重しあいながら共同生 活の中で一定の共通のものをつくりあげていくことによって 、地域やコミュニ ティを運営し、まちをつくっていく、ということを意味します。

多文化共生については、多様な文化的背景ということを前提に、人々の英知 に期待し共生の道を探る姿勢が必要です。生活様式や習慣の違いから生ずるト ラブルなど解決すべき課題は多く、現実問題として共生のための道のりは決し

て平坦であるとはいえません。他方、さまざまな文化の相互の関わりの中から、

多様性に基づく活力が育まれるなど多くの利点が生まれます。

多文化共生を推進していくうえで重要なことは、このような異なる文化的背 景を有する外国人市民などの人権の尊重ということです。これらの人々も市民 である、ということが地域に浸透し定着するよう学習機会を創出するなど、い ろいろな機会を捉えて啓発を行っていく必要があります。

(18)

この基本目標実現のための施策の方向は次のとおりです。

以下に施策の方向の課題及び取り組みを示します。

(課題)

○多文化共生社会をめざすうえでは、日本人も外国人も、互いを尊重し認め 合うことが必要です。人権尊重の意識づくりには、偏見や差別を取り去る ための取り組みが課題となっています。

(取り組み)

1 ○人権意識を高めるための啓発運動を 産業文化部市民活動課

促進し、外国人や海外出身者も地域で 生活している同じ住民であるという 視点に立った人権意識を育み、偏見や 差別の意識を取り去るための取り組み を進めます。

重点施策 実施項目1

多文化共生の意識づくりと推進 人権尊重の意識づくり

多 文 化 共 生 の た め の 学 習 機会の創出

国際理解のための学習 機会の充実

人権尊重の意識づくり

(19)

(課題)

○多様な文化的背景を有する人々との共生社会をめざすためには、国際的な 視野に立ち、人権尊重の精神を基盤として多文化共生を推進する学習の機 会を創出することが必要となります。また、これらの人々の母国語や母文 化学習の支援が課題となります。

(取り組み)

2 ○国籍や民族、言葉や習慣の違いを超えて 産業文化部市民活動課

多様な文化や価値観を認め合う多文化 共生の意識づくりのためのシンポジウム などの開催に取り組みます。

重点施策 実施項目 2

3 ○多様な文化的背景を有する人々の母国語 産業文化部市民活動課

や母文化学習を支援します。

(課題)

○国際感覚を磨き、国際理解を深めるためには、積極的に外国の文化に触れ る姿勢が必要です。そのことはまた、文化的な比較のため日本文化へ眼を 向けることも意味し、多文化共生が促進されることにつながります。こう したことから国際理解のための学習機会の充実が課題となります。

(取り組み)

4 ○外国の文化や習慣を知り、国際感覚や 産業文化部市民活動課

国際意識の涵養を図るための国際理解 教育部指導課

教育の充実と外国語学習の機会の充実 教育部生涯学習課

に取り組みます。 教育部公民館

多文化共生のための学習機会の創出

国際理解のための学習機会の充実

項目 内 容 所管課

(20)

基本目標2.外国人市民なども暮らしやすいまちづくり

外国人市民などは、市民として納税の義務を負うと同時に、納税者としてそ の存在とニーズに見合った基本的な行政サービスの提供を受ける権利を有しま す。市民生活をおくるうえで、保健・医療・福祉・防災など生命財産に関わる 情報の多言語による提供や生活相談、日本語学習の支援などを施策として位置 付けることが必要です。

また、外国人市民などが日本で生活していくうえで、文化や社会習慣の違い、

言葉が十分にわからないことによるコミュニケーションや理解の不足は、近隣 や職場等でのトラブルの原因になるなど、日常生活のうえで大きな支障になり ます。特に、日本語のできない場合これらの人々が日本で就労する機会は少な く、雇用条件も限られ、また医療についても、言葉の壁により意思の疎通が不 十分な場合が多く、こうした人々にとっては日本語の習得のための努力が必要 となります。

地域の中で外国人市民などが快適な暮らしのための環境づくりを進めるとと もに、行政の国際化を推進しなければなりません。行政サービスの窓口は各部 局別に分かれており、これらの人々にとって便利で分かりやすい行政サービス の総括的な把握と各部署の調整機能の充実が課題となります。また、外国人市 民などの日本語能力が不十分であることや文化・生活習慣の違いに配慮し、必 要な行政情報が的確に伝わるよう、多言語による情報の提供とともに、庁内に 多言語通訳の確保、活用が必要です。

この基本目標実現のための施策の方向は次のとおりです。

次ページ以下に施策の方向の課題及び取り組みを示します。 外 国 人 市 民 な ど も 暮 ら しや す い

まちづくり

快適な暮らしのための環境 づくり

(21)

(課題)

○言葉の障壁の除去は外国人市民などが日常生活をおくるうえで重要な課題 です。

○多言語による情報が得られるかどうかも、同様に重要な課題となります。 (取り組み)

5 ○外国人市民などのための日本語教室の 産業文化部市民活動課

充実に取り組みます。

6 ○外国人市民などのための生活相談の 産業文化部市民活動課

充実に取り組みます

重点施策 実施項目 3

7 ○多言語による生活情報の提供に取り 産業文化部市民活動課

組みます。

8 ○日本の生活習慣、ルールなど生活ガイド 産業文化部市民活動課

のための講座の開催を検討します。 教育部生涯学習課

教育部公民館

9 ○通訳・翻訳ボランティアの活動の場の 産業文化部市民活動課

提供に取り組みます。

10 ○公共サインなど外国語表示の推進に 産業文化部地域文化課

取り組みます。 産業文化部市民活動課

産業文化部産業振興課 都市整備部道路課

11 ○図書館の外国語図書・資料の充実に 教育部図書館

つとめます。 快適な暮らしのための環境 づくり

(22)

(課題)

○市役所を訪れる外国人市民などに便利な案内表示をはじめ、市の業務やサ ービスについての総合的な情報案内を多言語で行う必要があります。 ○個別的に対応しているサービス、事業について総合的な調整を行う機能の

拡充に取り組むことが課題となります。 (取り組み)

12 ○外国人市民などに対する行政サービス 産業文化部市民活動課

の統括的な把握と各部署との円滑な 行政管理部総務課

連携体制を築きます。

13 ○市政案内ガイドなどの多言語化に取り 産業文化部市民活動課

組みます。 総合政策部広報広聴課

14 ○各種行政関連書類の多言語化の充実に 産業文化部市民活動課

つとめます。

重点施策 実施項目 4

15 ○職員の国際化意識向上につとめます。 産業文化部市民活動課

行政管理部人事課

16 ○多言語による防災救急情報の提供に 産業文化部市民活動課

取り組みます。 市民生活部防災課

17 ○外国人市民などを含めた市民との 産業文化部市民活動課

さらなる協働体制の整備に取り組み ます。

行政の国際化

(23)

基本目標3.さまざまな交流と連携による魅力ある地域社会の形成

現代社会は、個人が独自の価値観を持ちながら、互いに異なる価値観を認め 合って共存する社会であるといわれます。異なる価値観が共存しようとするな かで、人々は未知の文化に触れることにより新たな価値を見出し、創造しよう とする機会を求めます。特に、グローバル化の進展とともに外国の文化を旺盛 に吸収しようとする傾向はさらに強まることが予想されます。しかし、長期滞 在などで外国の文化に直接触れることができる市民は限られており、その意味 では、これまでの姉妹市との交流をより幅広い市民相互の交流に広げていくと ともに、多くの人に異文化体験の機会を提供し得る外国人市民などとの交流の 機会を創出することが、これからはさらに必要となります。

また、ビジネスや観光で立川を訪れる外国人も多く、こうした外国人来訪者 や外国人居住者、海外出身者の活動は、見方を変えれば商業や産業経済に活力 を与え、また、立川の文化的魅力を高める上で潜在的な力となり得るというこ とが言え、魅力ある地域社会ということに結びつくとともに、その延長線上に 国際都市への飛躍・発展が築かれると言っても過言ではありません。

こうしたことを実現していくためには、市は必要な情報提供を行い、情報を 共有していくとともに、人と人を結ぶゆるやかな絆によって交流と連携を推し 進めることが重要となります。新たな交流と連携のネットワークが活発な活動 を行なっていくことから、国際交流だけでなく国際協力に携わる数多くの市民 ボランティアが育ち、国際感覚あふれる市民リーダーが育まれます。

多様な価値観を認め合い、多様性をプラス志向で捉え、新たな交流と連携を 築くことで、魅力ある地域社会の形成が推進されることとなります。

この基本目標実現のための施策の方向は次のとおりです。

次ページ以下に施策の方向の課題及び取り組みを示します。 さ ま ざ ま な 交 流 と 連 携 に よ る 魅 力

ある地域社会の形成

国際交流の機会創出

観 光 な ど 外 国 人 来 訪 者 へ の対応

(24)

(課題)

○国際交流では、視野の広い多様な交流が必要となります。以前は、地域レ ベルの国際交流推進のために地方自治体が先導的な役割を果すことが求め られていましたが、現在では市民主導のかたちで、行政はそれを支援し、 広く市民が参加できる国際交流の機会創出が必要となっています。

○そのための事業展開とともに、市内の国際交流関係団体同士の連携・協働 体制を築くことが課題となります。

(取り組み)

18 ○交流と連携のネットワークづくりの 産業文化部市民活動課

ためのフレンドシップ交流事業の展開を めざします。

重点施策 実施項目 5

19 ○たちかわ多文化共生センターを核とする 産業文化部市民活動課

国際関係団体相互の連携と市との協働を 進めます。

20 ○文化交流やスポーツ交流を機軸とした 産業文化部市民活動課

国際交流の推進をはかります。 産業文化部地域文化課

教育部体育課

21 ○国際交流拠点として、国際文化村(仮称)産業文化部市民活動課

(注)を検討していきます。

注)国際文化村(仮称):立川市国際化推進委員会の答申書の中の提言の一つ。国際色豊かな、

多様な文化が集い、交流の場として情報交換ができるイベントとして取り組み、商業者等

とも連携した交流拠点として定着化をめざしていく。 国際交流の機会創出

(25)

(課題)

○観光やビジネスで立川を訪れる外国人が自由に行動し、宿泊できることが 必要です。宿泊施設などをハード面とすれば、ソフト面では、主に外国人 に対し必要なインフォメーションをスムースに提供することが課題となり ます。

(取り組み)

22 ○観光など外国人来訪者随行者通訳 産業文化部市民活動課

ボランティアの育成と活用を図ります。 産業文化部産業振興課

23 ○観光パンフレットの発行につとめます。 産業文化部市民活動課

産業文化部産業振興課

24 ○ホームステイ・ホームビジットの 産業文化部市民活動課

奨励につとめます。

(課題)

○姉妹市交流は、いままで立川・サンバーナディノ姉妹市委員会が実施して きた派遣学生の相互交換事業が中心となって、青少年の国際感覚の醸成に 役立ってきました。今後、この姉妹市交流をより幅広い市民層へ浸透して いくには、いろいろな視点からの事業展開を検討していく必要があります。 (取り組み)

25 ○幅広い市民レベルの交流を促進します。 産業文化部市民活動課

重点施策 実施項目 6

26 ○姉妹市紹介ビデオや冊子の作成を検討 産業文化部市民活動課

します。

観 光 な ど 外 国 人 来 訪 者 へ の対応

姉妹市交流の充実

項目 内 容 所管課

(26)

(課題)

○「国際交流から国際協力へ」の呼びかけとともに、近年国際協力が自治体 の課題となっています。国際社会への貢献のためには、国際協力に取り組 む市民活動への支援とともに、関連機関や団体との連携を築くことが課題 です。

(取り組み)

27 ○市民の国際協力活動の理解と支援に 産業文化部市民活動課

取り組みます。

28 ○国際協力機構(JICA)やNGO 産業文化部市民活動課

などとの連携を推進します。 国際協力の推進

(27)

基本目標4 外国人市民などの参加のしくみづくり

異なる文化的背景を有する人々が共に生きる、開かれた地域社会を目指すた めには、外国人市民などを地域社会への参加主体と捉えることが必要となりま す。こうした人々とともに地域活動を行ない、接する機会を増やすことで互い に隣人としての存在が体感され、共生への途が築かれます。

また、外国人市民などの有する文化や同国人同士のネットワークなどは立川 をより魅力的にする多様な資源と捉えることができ、地域においてそれらを有 効に活用することによって国際性を育む環境づくりが促進されます。また、地 域活動のなかで、相互の文化の長所を生かし合うことによって、新しい立川文 化の創造に結びつきます。まちづくりのさまざまな面への外国人市民などの参 画を促し、これらの人々独自の視点からの提言を活かしたまちづくりが必要で す。

この基本目標実現のための施策の方向は次のとおりです。

次ページ以下に施策の方向の課題及び取り組みを示します。 外国人市民などの参加のしくみ

づくり

外 国 人 市 民 な ど の 意 見 反 映 の しくみづくり

参加の環境づくり

外国人市民などの地域への 参加のしくみづくり

(28)

(課題)

○外国人市民などが地域社会へ参加していくためには、先ず意見を発表し、 それを聞く場が必要です。地域社会の一員である外国人市民などが意見発 表できる場の設定が課題となります。

(取り組み)

29 ○外国人委員を中心に構成し、日本人の 産業文化部市民活動課

委員も含む多文化共生円卓会議(仮称) の開催に取り組みます。

重点施策 実施項目 7

(課題)

○外国人市民などが地域社会に参加するためには、そのための環境を整える ことが必要となります。地域社会で暮らす外国人市民などがいろいろな活 動に参加できるしくみづくりが課題となります。

(取り組み)

30 ○地域社会で活動する外国人リーダーや 産業文化部市民活動課

外国語教室などで講師となる市民活動 リーダーの育成に取り組みます。

重点施策 実施項目 8

31 ○同じ出身国同士で構成する健全な 産業文化部市民活動課

エスニック・グループ(後記注)の 組織化への支援等外国人市民などの 活動の支援を検討します。

32 ○外国人の意見を把握するため、生活 産業文化部市民活動課

実態調査を実施します。

外国人市民などの意見反映のしくみづくり

参加の環境づくり

項目 内 容 所管課

(29)

(課題)

○外国人市民などが参加する活動には、市民ボランティアとの交流と連携が 欠かせません。海外経験の豊富な帰国子女などがボランティア活動に積極 的に関わることのできるよう、はたらきかけを行っていくことが必要です。 (取り組み)

33 ○ボランティア活動の奨励を目的とした 産業文化部市民活動課

市民ボランティア登録制度の活用に 取り組みます。

34 ○海外経験の豊富な帰国子女などのボラン 産業文化部市民活動課

ティア活動への参加を促進します。 教育部指導課

また、小中学校ではボランティア通訳 協力員制度により、ボランティア活動 への支援と参加の促進を図ります。

(課題)

○外国人市民などが地域の構成員として、いろいろな地域活動に積極的に参 加できるよう、地域にはたらきかけるとともに、外国人市民などに呼びか けることが必要です。

(取り組み)

35 ○自治会やコミュニティ組織、PTAなど 産業文化部市民活動課

地域社会での活動に外国人市民などの 参加を促進します。

注)エスニック・グループ:共通の言語や文化をきずなに結びついている社会集団。民族と類似

語であるが、小数民族集団またはある一国内の特定の民族集団をいうことが多い。 ボランティア活動参加の

しくみづくり

外国人市民などの地域への参加の しくみづくり

項目 内 容 所管課

(30)

第5章

プランの推進に向けて

1.市民及び市民団体、自治体の役割

多文化共生に関わる諸問題は、市のすすめる施策展開とともに、市民の主体

的な関わりが必要です。「公共は行政が担う」という従来の発想から脱却する中

で、公共のもうひとつの担い手としての市民の役割が大きくなっています。市 民活動の活発化により、地域的な広がりとともに、多様な市民層の人的な広が り、さらには外国人市民などとのつながりが形成されるなど、市民や市民組織 の関わりが持つ意味は大きいといえましょう。

市は、外国人市民などに対する福祉や教育などの基本的な行政サービスにつ とめるとともに、行政の国際化を推進し、さまざまな行政サービスの情報提供 については外国人団体等との連携を含め可能なあらゆる機会を捉えて多言語で 行い、さらに日本語教室や外国人向け生活相談など、多文化共生への基盤整備 につとめながら市民活動の支援を行っていくことが主な役割となります。

本プランの推進には、市民及び市民団体と市との協働が何よりも必要です。 このため、特定非営利活動法人たちかわ多文化共生センターを核とする国際交 流関係団体相互の連携と市との協働体制を築いていきます。

2.プランの推進体制

本プランは、外国人市民や学識経験者からなる「立川市多文化共生推進委員

会(仮称)」(注)をはじめ、市内の国際交流関係団体連絡会議、そして庁内の

立川市国際化行政推進会議が中心となって推進体制を整え、実施していきます。

3.重点施策のアクションプログラム

次ページ以下に、重点施策としてアクションプログラムを示します。

注)立川市多文化共生推進委員会(仮称):多文化共生の推進のための諸施策を展開していく

(31)

重点施策のアクションプログラム

実施項目1(取り組み項目1) 人権尊重意識を高めるための啓発活動の促進

実施項目2(取り組み項目2) 多文化共生の意識づくりのためのシンポジウ

ムなどの開催

実施項目3(取り組み項目6) 外国人市民などのための生活相談の充実

実施項目4(取り組み項目14) 各種行政関連書類の多言語化の充実

実施項目5(取り組み項目18) 交流と連携のネットワークづくりのための

フレンドシップ交流事業の展開

実施項目6(取り組み項目25) 幅広い市民レベルの交流の促進

実施項目7(取り組み項目29) 多文化共生円卓会議(仮称)の開催

実施項目8(取り組み項目30) 外国人リーダーや外国語教室での講師など

(32)

所管課

 平成18年度~平成20年度  産業文化部市民活動課

多文化共生の意識づくりと推進 ― 人権尊重の意識づくり ― 人権意識を高めるための啓発活動の 促進

人権尊重意識を高めるための啓発活動の促進

●外国人市民なども地域でともに暮らす市民であり、生活者であるという視点から、国籍や人種の違い を超えて、市民一人ひとりが相互の存在や文化、価値観などを認め合い、同じ人間として接し、ともに助 け合えるよう、人権尊重の啓発活動を推進する。

●多文化共生社会の実現をめざすためには、人権尊重意識が基本である。基本的人権の尊重はすべ てに優先すべきであり、外国市民なども例外でないことはいうまでもない。

●外国人市民などをゲスト扱いするということではなく、地域の構成員と捉えることが必要とされる。

●外国人市民などであるがために差別されたり、あるいは不平等な扱いが行われている事実があるか どうか、さまざまな観点から把握する必要がある。平成16年度外国人市民対象アンケート調査では、い ろいろな角度から差別をうけた経験があるかどうかを把握する試みを行っている。例として、就職・雇用 (仕事)において差別や偏見を感じたり、不愉快な経験をしたことがあるか、という問に対し、ある、と答 えた人は49%に達し、かなりの高率である。さらに、住宅・入居においてそうした経験があるか、との問 に対しては、ある、が37%とこれも高い。

●人権啓発運動は、法務省の人権擁護機関や都道府県等がそれぞれ独自に実施してきたが、平成10 年9月に発足した東京都人権啓発活動ネットワーク協議会(東京法務局・東京都人権擁護委員連合会・ 東京都により構成)では、各実施主体間の連携・協力関係を促進する活動を行なっており、また、外国 人市民などに対する偏見・差別をなくすためのチラシを作成し、啓発運動に取り組んでいる。

実施期間  課題・目標 

展開方向

●チラシやパンフレット類を作成・配布し、市民や民間団体及び外国人市民などを雇用する事業主、企 業などに対する人権尊重意識の普及・啓発活動を進める。

●市民が主体的に啓発活動に参加し、人権意識を育くむよう、市民主体の人権啓発活動を支援してい く。

●差別や偏見について、適宜アンケート調査を実施し、把握に努める。

●外国人市民なども地域で生活している同じ住民であるという考え方に立ち、市民一人ひとりの人権意 識を育み、偏見や差別の意識を除去することが課題である。

●地域に住むすべての住民に関わることであり、市民、企業、団体、行政が一体となって人権尊重を高 めるための取組みを進めることが必要である。

実施項目 1

考え方

背景・現状

(33)

所管課

平成17年度~平成21年度   産業文化部市民活動課 実施項目 2

考え方

背景・現状

施策体系

多文化共生の意識づくりと推進 ― 多文化共生のための学習機会の創出 ― 国籍や民族、言葉や 習慣の違いを超えて、多様な文化や価値観を認め合う多文化共生の意識づくりのためのシンポジウム などの開催

多文化共生の意識づくりのためのシンポジウムなどの開催 

●多様な文化や価値観を認め合い、国籍や民族、言葉や習慣の違いを超えた多文化共生の意識づく りのためのシンポジウムなどを開催するとともに、多文化教育や人権教育を推進する。また、英語だけ でなくさまざまな言語の学習の機会を設けるなど、外国語教育をつうじて異なる文化や習慣について の理解を深める。

●日本では移民(永住者)の入国は基本的に認められていないが、実質的には外国人の定着過程が 累積するなど、日本社会の構成が急速に変容しつつある。こうした中で、もはや日本人対外国人という 図式では捉えきれない状況が生じつつある。たとえばそれは、外国出身市民や海外に永く居住して帰 国した人であったり、両親の一方が外国人である子であったり、あるいは在日韓国・朝鮮の人たちであ るといったような様々なケースが考えられるが、こうした過程において多国籍、多民族、多言語化が進 展する社会的様相が顕在化してきている。

●これらの状況のもとで、本市においては外国人登録者は増加傾向にある。今後、どのように推移し ていくか予測は困難ではあるが、一般的に外国人については地域の中で潜在化し、孤立する場合が 多いのではないか、と言われる。そのことを直接裏付けるデータではないが、平成16年度外国人市民 対象アンケート調査によれば、本市に住んで困ること、嫌なことは何か、の問いに対し、友人ができな いこと、と答えた人がもっとも多かった。これは、必ずしも本市に限ったことではなく、また友人ができな いということは個人差ということもあろうが、こうした傾向が見られることは確かである。外国人が周辺 化すると言われる理由としては、衣食住といった生活上の様々な事がらにも関連する一方、文化的相 違に起因することも考えられる。

●本市は、たちかわ多文化共生センターに「国際意識啓発事業」の運営を委託し、市民の国際化への 関心と多文化共生への理解を深め、国際化への対応を進めるために講演会やシンポジウムを開催 し、広く市民に普及・啓発をはかってきた。

実施期間  課題・目標 

展開方向

(34)

所管課

平成17年度~平成21年度    産業文化部市民活動課

実施項目 3

考え方

背景・現状

施策体系

外国人市民なども暮らしやすいまちづくり ― 快適な暮らしのための環境づくり ― 外国人市民など のための生活相談の充実

外国人市民などのための生活相談の充実

●外国人の在留状況の長期化・多様化に伴い、外国人市民などの抱える問題も多岐にわたるようにな り、専門知識がますます必要とされるようになってきている。これらの相談に応ずるためには、多言語通 訳を媒介とした専門家による相談窓口の定期的な開設とともに、適切な対応のはかれる人材の確保が 必要とされる。

●一般に、公的機関が行う相談窓口については外国人市民などの足が遠のく傾向にある。その意味で は、できるだけアットホームな雰囲気の感じられる場所での相談窓口開設が必要となる。

●本市では、平成13年度に設立された、たちかわ多文化共生センターに委託し、週に2回、外国人を 対象とした一般生活相談窓口を開設している。

●平成15年度からは、東京都国際交流委員会や各地の国際交流協会、自治体等が連携して行う「外 国人のためのリレー専門家相談会」への参画により、多言語対応による専門家相談会が開設されるよ うになった。

●立川国際友好協会の運営する「外国人のための日本語教室」でも、受講生からボランティア講師に生 活相談をもちかけるような場合が少なくないようである。なお、同協会の会則には、外国人の相談にの り、助言を行うことや、日常生活に必要な情報を提供することがうたわれている。

●平成16年度外国人市民対象アンケート調査によれば、困ったときの相談相手は、日本にいる自分の 家族・親戚という回答がもっとも多く、身近なところで相談相手を見つけている状況がうかがえ、また相 談窓口を利用したことがないという回答も多く見られる。

実施期間  課題・目標 

展開方向

●たちかわ多文化共生センターの外国人相談窓口の開設について、市の広報紙等により、多言語で定 期的に掲載する。

●外国人のための専門家相談会(リレー相談会)など、広域的な外国人相談ネットワークへの参画を進 める。

●他市の類似団体との情報交換の場を創出するなど、相談員の質的向上の機会を設ける。 ●市の様々な部署との情報共有化につとめるとともに、他の行政機関に対し協力を要請していく。 ●様々な機会を捉え、たちかわ多文化共生センターと立川国際友好協会との人的交流、意見交換の機 会を促進していく。

●外国人市民などが日常生活で発生する問題や悩みなどに対応する相談体制はまだ十分であるとは いえない。相談窓口のあることを知らない外国人も多く、今後さらにPRを行っていく必要がある。 ●他市の類似団体との情報交換を活発に行い、相談員のノウハウの蓄積をはかる必要がある。 ●相談窓口の人的体制の充実をはかるとともに、行政機関等との情報共有のありかたについて研究が 必要となる。

●より多くの言語での対応が望ましい。

(35)

所管課

平成17年度~平成21年度    産業文化部市民活動課

実施項目 4

考え方

背景・現状

各種行政関連書類の多言語化の充実

●外国人市民などが生活していく上で、市の制度やさまざまな手続き(申請書など)をはじめ、市の発行 するパンフレット類の多言語化が必要である。制度そのものの理解を得ていくためにも、まず言葉がわ からなければならない。

●情報を受け取る立場の外国人側からすれば、日常の多言語情報とあわせて行政関連情報が得られ れば便利であることから、各種行政関連書類の多言語化にあたっては、通訳ボランティアを擁する団体 との協働をはかり、生活情報とあわせて多言語で提供するしくみづくりを図る必要がある。

施策体系

外国人市民なども暮らしやすいまちづくり ― 行政の国際化 ― 各種行政関連書類の多言語化の充 実

●本市では、市発行のパンフレット等や申請書等の多言語化については早くから取り組みを進めてきて おり、平成8年度に英語、中国語、ハングル、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、アラビア語の7カ 国語に翻訳した「防災ハンドブック」、平成14年度に、英語、中国語、ハングル、スペイン語、ポルトガル 語の5ヶ国語に翻訳した「資源とゴミの分け方、出し方」、「保育園申し込みのしおり」(英語、中国語)や 「子ども家庭センターほほえみ」(英語、中国語)などの行政パンフレットをはじめ、自動車臨時運行許可 申請書(中国語)など申請書の多言語翻訳につとめている。

●市の発行する書類の翻訳は、少数言語を含め、より多くの言語への翻訳が望ましいが、どうしても生 活に密着した緊急度・必要度の高いものから順に行っていかざるを得ない状況がある。種々の制約か ら、翻訳できる言語については、英語をはじめ中国語等、多数言語への傾きがどうしても生じてしまう。

実施期間  課題・目標 

展開方向

●より多くの行政発行パンフレット類の多言語化が必要である。

●既に翻訳されているパンフレット類のさらなる活用を図っていくことが必要である。 ●通訳ボランティアを擁する民間団体との協働を進めていく必要がある。

●引き続き、市発行パンフレット類の多言語化につとめる。

(36)

所管課

  産業文化部市民活動課

施策体系

 さまざまな交流と連携による魅力ある地域社会の形成 ― 国際交流の機会創出 ― 交流と連携の ネットワークづくりのためのフレンドシップ交流事業の展開

●平成6年度から平成14年度までの9年間にわたり、市内の国際交流団体が市と連携して事業を企画 し、国際交流事業として「立川国際交流フェスタ」を行っていた。事業内容は、外国人による日本語ス ピーチコンテストをはじめ、華道や茶道といった日本文化の紹介、ミニ国際会議、そして姉妹市交流にお ける派遣高校生交換事業の紹介や様々なパネル展示による活動内容の紹介等であった。

●他市の例としては、八王子市が国際協力事業団(JICA)八王子国際センターとの共催により国際交 流フェスティバル(参加者500人)を実施しているほか、武蔵野市のMIAプラザ(同1,600人)、三鷹市 のMISHOP国際交流フェスティバル(同25,000人)などが規模の大きいものとしてあげられるほか、 多くの周辺自治体で同種の国際交流フェスティバルが開催されている。

実施期間  課題・目標 

展開方向

●国際関係団体相互のネットワーク化と協働体制を築くことが目標となる。

●市内の国際関係団体がこぞって参加し、互いに協力しながらネットワークを築いていけるような契機と することが必要である。

●より多くの外国人市民などの参加を得られるかが課題である。

●現在、独自に活動を行っている市内のさまざまな団体が市と協働で同一事業に取組む中で、情報の 共有化と人材の相互交流、相互活用を図りながら、ゆるやかな連携から発展し、協働のネットワークを 構築していく方向での事業展開をめざす。

●音楽や美術等芸術文化とともに、衣食住の生活文化全般を織り込んだ、大人だけでなく子どもも参加 できる国際交流フェスティバルをめざす。

平成20年度までの準備期間を経て、平成21年度以降の 事業実施とする。

実施項目  5

考え方

背景・現状

交流と連携のネットワークづくりのためのフレンドシップ交流事業の展開

●異文化理解はまず交流からはじまる。フレンドシップ交流事業の展開により、市内在住、在勤、在学 の外国人市民などとの交流の機会と場を創出する。

(37)

  産業文化部市民活動課

所管課

施策体系

さまざまな交流と連携による魅力ある地域社会の形成 ― 姉妹市交流の充実 ― 幅広い市民レベルの交流の促進

●立川市では、国際親善と世界平和を願い、昭和34年12月23日、東京都の区市町村では初めてとな る姉妹市提携を、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンバーナディノ市と行った。翌昭和35年1月に結成 された立川市姉妹市委員会(のちに立川・サンバーナディノ姉妹市委員会と改称)では、市内の高校2 年生を対象に選考した高校生をサンバーナディノ市に派遣するとともに、先方の派遣する同学齢の高校 生をホームステイの形で受け入れ、相互に文化や風俗、習慣の違いなどを体験させる派遣高校生交換 事業を行ってきた。

●また、折々の周年事業では委員会関係者等の相互訪問による親善レセプション、交流会等をその都 度開催してきた。

●新たな事業展開等には派遣高校生OBらの積極的な関与が期待されるが、そのほとんどが実生活の 狭間にあり関われる余裕がないというのが実情のようである。

実施期間  課題・目標 

展開方向

●高校生相互派遣事業については一定の成果を得たと考えられることから、今後は異なる分野での交 流をはかっていくことを視野に入れ、事業展開を進めることが課題である。

●姉妹市交流の事業形態としては、①人物交流(一般市民の交流、大学生・高校生の派遣とホームス テイ、留学生の交換・教員の交換など) ②文化、スポーツ交流(郷土芸能の派遣、各種スポーツチーム の交流、児童画の交換、美術展・写真展の開催など) ③経済・技術協力(研修生の受入れ、専門家派 遣など) ④経済交流(物産展の開催、経済使節団の訪問など) ⑤その他(災害救助、動物の交換な ど)があり、これらの事業を進めるうえでは、相手市の事情を十分理解しておく必要がある。

●姉妹市委員会や幅広い市民レベルでの活動を支援することで、より多くの市民が関われる事業展開 をめざし、市民主体の活動を促していく。

●周年事業をさらに発展させ、立川・サンバーナディノ姉妹市委員会との連携のもとに、広く相手市から の訪問団のホームステイ受け入れや、本市からの市民訪問団の相手市における受入れについての可 能性も視野に入れ検討をすすめる。

●相手市の事情を知り、さらなる相互理解を促進し得る派遣高校生OBのより多くの関与を求める。

平成21年のサンバーナディノ市との姉妹市提携50周年を 目途に具体的な実施をはかっていく。

実施項目 6

考え方

背景・現状

幅広い市民レベルの交流の促進

●通常、姉妹市提携の条件としては、議会での承認が必要なこと、首長同士の文書による約定が取り 交わされること、さらに、単に限定的な交流でなく、包括的な交流を目的とすることが必要となる。それ以 外の、たとえば教育交流やあるいは物産交流といった限定的な交流については事実上の友好都市交 流とされる。

●姉妹市交流については、両市の共通性をベースにした交流に加え、異質性に着目した関係に基ずく 幅広い交流を推進する必要がある。

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