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動物MHC研究会 ニュースレター 創刊号

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Academic year: 2021

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(1)

動物 MHC 研究会 ニュースレター

創刊号

創刊号の内容

研究会設立の趣旨並びにこれまでの経緯 間 陽子

会長挨拶 間 陽子

第1回シンポジウムを振り返って 中西照幸

連載: HLA 領域 椎名 隆

第2回動物 MHC シンポジウムのお知らせ

事務局からのお知らせ

資料:1) 動物 MHC 研究会会則、2) 入会申込書、3) 会員名簿

4) 第2回動物 MHC シンポジウム プログラム

(2)

研究会設立の主旨並びにこれまでの経緯

独立行政法人 理化学研究所 間 陽子 主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)分子は、 脊椎動物の“自己”と“非自己”の認識、お よび“非自己”の除去という、生体にとって 重要な現象に関わっている重要な分子です。 従来 MHC 分子については、主にヒトおよびマ ウスで詳細な解析がなされてきました。既に 全塩基配列が決定されたヒト MHC(HLA)領域 には、HLA 抗原をコードする遺伝子をはじめと して 230 個以上もの遺伝子がみいだされヒト ゲノムで最も高い遺伝子密度をしめすこと、 8個の HLA 遺伝子座で計 1,400 種以上の対立遺 伝子が存在しヒトゲノムで最も高い遺伝的多 型性を示すこと、多因子性の複合遺伝疾患を 中心に 100 種以上の疾患の感受性遺伝子が存 在すること、といった興味深い特徴が知られ ています。近年 MHC はその他の哺乳類、鳥類、 爬虫類、両生類および魚類においても存在が 証明され、その解析が進みつつあります。 しかし、HLA 研究のめざましい進展とは対照 的に、ヒト以外の動物 MHC 研究は我が国にお いては著しく遅れていることを日頃から痛感 しておりました。平成16年春の日本獣医学 会で日本大学・中西 照幸先生と知り合いに なり、上記の事実を共通の認識として持ちま した。そこで、MHC 研究の第一人者である東海 大学・猪子 英俊先生にご相談申し上げたと ころ、シンポジウムを開催してはというご意 見をいただきました。そして、東海大学・安 藤 麻子先生及び椎名 隆先生のご協力を頂 き、シンポジウム開催のための事務局を発足 しました。さらに理研・竹嶋 伸之輔君の協 力を得て、僭越ではございましたが事務局を 理化学研究所に置かせて頂きました。さらに、 日本組織適合性学会、日本動物遺伝育種学会 および日本獣医免疫学会の諸先生方にもご助 力をいただき、平成17年4月15日に念願 のシンポジウム「動物 MHC のダイナミズムと 機能—魚からヒトへ−」を開催しました。国内 外で活躍する動物 MHC 研究者13名による講 演と100名の参加者による総合討論により、 今後我が国における動物 MHC 研究を推進して 行くための方向性、課題や問題点について活 発に議論することができました。 このシンポジウム開催を機に、各生物種の MHC 研究の進捗状況を相互に理解するため、あ るいは研究を推進するためにはネットワーク を構築することが如何に重要かということを 痛感しました。そこで、動物 MHC 研究の一層 の発展を目指して、先に開催されたシンポジ ウムの事務局が中心となり、新たな研究会を 創設することになりました。この会の発足と 共にすばらしい動物 MHC 研究の成果が、日本 から世界にむけて数多く発信される日がくる ことを大いに期待したいものです。

(3)

ご挨拶

動物 MHC 研究会会長 独立行政法人 理化学研究所 間 陽子 この度、動物 MHC 研究会の創設に伴い、初 代会長を思いがけなく仰せつかりました。改 めて大変な事になったというのが素直な心境 でございます。そして、その責任の重さに身 の引き締まる思いでございます。 国際動物遺伝学会議(ISAG2000)がミネソタ 州のミネアポリスで開催された際に、ウシ MHC (BoLA)ワークショップは小会場とはいえ満席、 立ち見まで出るほどの盛況ぶりで、活発な質 疑応答が行われ、室内は熱気で充ち満ちてい たことが鮮明に思い出されます。ところが2 年後のドイツのゲッチンゲンで行われた会議 (ISAG2002)、さらに 4 年後に東京で行われた 会議(ISAG2004)では、BoLA ワークショップは 演題数の激減から開催には至りませんでした。 もちろん、ブタ(SLA)、ヒツジ(OLA)、イヌ(DLA)、 ネコ(FLA)・・・といった他の動物種の MHC も同様に大変に遺憾な状況でした。また、日 本組織適合性学会に参加しても、動物 MHC 研 究は“異種“の学術分野として亜流に位置づ けられているように思われます。 一方、ヒト MHC(HLA)をめぐる研究はこの 数年で大きく進歩しました。すなわち、HLA 領 域は非常に多型性に富み、遺伝子密度も極め て高く、疾患感受性遺伝子が集中的にマップ され、この領域の塩基配列情報に基づいた、 疾患の責任遺伝子の同定が急速に進展しつつ あります。 当然、動物の MHC 領域にもこれまで、MHC 遺伝子の他に、成長、泌乳量、繁殖性などの 経済有用形質や乳房炎、牛白血病、マレック 病などの抗病性に関与する遺伝子が多数マッ プされていますが、遺伝子の同定には至って いないのが現状です。最近興味深いことに、 動物のゲノム配列の解読が進展し、経済形質 や疾患の責任遺伝子を同定するためのゲノム 配列情報が整いつつあります。また、MHC 領域 は遺伝子密度が高いと同時に多様性に富む事 から、進化学的にも興味ある領域です。種を 越えた比較ゲノム解析や遺伝子発現比較は MHC 進化のメカニズムを解明する糸口を与え てくれるかもしれません。 このように、動物 MHC に関する研究はこれ までとは違って大きな発展が期待されます。 本研究会はこの期待に応えるべき重要な役割 を担っています。会員相互の活発な学術的論 議、そして、シンポジウム、講演会および勉 強会の開催、ニュースレターの発行、ホーム ページの開設を通じ、動物 MHC 研究の促進に 資する所存でございます。微力ではございま すが、中西照幸、安藤麻子、椎名隆、竹嶋伸 之輔幹事はじめ会員、後援者の皆様に支えら れながら、2年間(2006 年〜2007 年)の重責 を果たしてまいりたいと思っております。ど うか宜しく御願い申し上げます。 平成18年1月吉日

(4)

第1回シンポジウムを振り返って

―総合討論における討議内容の紹介―

日本大学 生物資源科学部 中西照幸 平成17 年 4 月 15 日理化学研究所大河内記 念ホールにて日本組織適合性学会、日本動物遺 伝育種学会及び日本獣医免疫学会の協賛の下 に、理研シンポジウムとして“動物MHC のダ イナミズムと機能―魚からヒトへー”を開催し ました。当初は50 人集まるかどうか事務局と して心配しましたが、大学・研究機関に止まら ず民間の会社や動物病院の関係者など 100 名 以上の方が参加され、動物MHC 研究に寄せる 期待が大きいことが判りました。特に、若い研 究者・学生の参加が目立ち、この分野の発展を 確信しました。 今回のシンポジウムでは、魚からヒトに至る広 範囲な動物種における MHC 研究の現状が紹 介されると共に、MHC の起源や進化あるいは MHC 研究の展望や課題についての論議が行 われました。シンポジウムのプログラム及び講 演の概要については、本ニュースレター末尾の 添付資料あるいは本研究会のホームページを 見ていただくことにして、本稿では総合討論に おける討議内容を紹介しつつ今回のシンポジ ウムを振り返ってみたいと思います。 総 合 討 論 に お い て は 、「 い ま 何 故 動 物 MHC なのか」という全体課題の下に、3 つの 主な討議課題に基づいて論議が行われました。 先ず、討議課題“免疫応答性や疾患感受性に 関するMHC 研究の新たな動向”においては、 各種動物の MHC 遺伝子座の構造や他の遺伝 子との関係が解析できるようになり、①従来 variation としか捉えきれなかった遺伝子の 変異が、遺伝子座に基づいた対立遺伝子の polymorphism として解析できるようになり つつあること、②疾患感受性とMHC との相関 についても、きちんと解析できるようになった こと、および③疾患感受性(原因)遺伝子の同 定の可能性が出てきたことなど、現在のMHC 研究の新しい状況について座長により取り纏 めが行われました。これに関連して、牛の乳房 炎についても新しい観点および解析の状況が 生まれてきていること、人畜共通感染症におい ても MHC との相関において解析が可能にな りつつあることが述べられました。しかし、 MHC 遺伝子座の数や発現 MHC 遺伝子の種類 並びに他の遺伝子との関係の解明は技術的に は可能となってきたが、これらの点は現在多く の動物種について未解析な状況にあることが 指摘されました。また、ゲノム解析が進んでい るヒトにおいても遺伝子診断や治療の方途が 不明であることも指摘されました。なお、今後 の方向として、“ナノテクノロジー”等農水省 の各種プロジェクトにも動物 MHC 研究の立 場から積極的に関わっていく必要性が提案さ れました。 2 つ目の討議課題“免疫研究以外の他分野に おけるMHC 多型の応用”においては、ベーチ ェット病に関する研究などにおいて犬や猫が ヒトの病気のモデルになりうること、脳と MHC の研究においても動物がヒトに代わる モデルなりうることなどが述べられました。ま た、新しいアプローチとして NK レセプター と MHC アロタイプとの関連について解析す ることの重要性が指摘されました。さらに、 STAFF 等の事業と関連させて産業動物の MHC 解析の重要性が指摘されました。 3 つ目の討議課題“他分野における課題との 関連、人間社会への貢献”においては、より人 に近い霊長類のカニクイザル等を用いて脳と MHC との関連を追求すること、MHC と病原

(5)

生物、医学、獣医畜産学のMHC 研究の相互理 解と貢献、マラリア感染における個体差やナル コレプシー(睡眠)とMHC(HLA)との関連に ついて動物を用いて検討すること等の提案が なされました。 最後に、本シンポジウムの最終目標が①ヒトを 含む動物MHC の全体像を理解すること、②ヒ トMHC の理解を深めること、および③MHC 研究をより広く深く発展させることが参加者 の間で確認されました。また、事務局から以下 のことが提案され了承されました。 1) 大型プロジェクトの獲得を目指して、当面 は科研費の基盤研究で調査研究を実施する。 2) 大きな学会で本格的なシンポジウムを開催 する。 3) 当面今回の事務局が母体となり、「研究会」 を組織する。 4)「研究会」とネットワーク構築のために名簿 を作成する。 今回のシンポジウム開催の成果として私な りに感じたことを申し上げますと、一つは、我 が国において少なからぬ人々が動物 MHC に 興味を持っていることが判ったことです。二つ 目は、多くの若い研究者・学生が参加してくれ たことです。このことは、この分野の将来の発 展を考えると大変重要なことだと思います。三 つ目は、最新情報の交換と参加者相互の理解が 深まったことです。今回のシンポジウム開催の 目的の一つとして、将来の共同研究あるいはプ ロジェクトの創設を目指すということがあり ましたが、今回の開催がその一歩に結びつけば と願っています。 今回のシンポジウムでは、我が国における動物 MHC 研究の現状把握がなされるとともに、動 物 MHC 研究における問題点の摘出や今後の 研究課題の提案がなされました。今後は、本シ ンポジウムにおいて明らかになった「各種動物 のゲノム解析が進み、MHC 遺伝子座の構造や 他の遺伝子との関係が解析できるようになり、 動物MHC の研究が新たな局面を迎えている」 という状況を踏まえて、ヒトHLA 研究を参考 にしつつ、各動物種それぞれについて課題毎に 研究の道筋を明らかにしていく必要があると 思います。 そのためには、次のステップにおいては、各分 野の研究の紹介というよりも課題を絞り込ん で、課題解決のためには何をなすべきかという 観点から発表や討議が行われるべきだと考え ています。 最後に、シンポジストをはじめ本シンポジウム に参加された方々、並びにシンポジウムの開催 にご協力いただいた皆様方に厚く御礼申し上 げます。

連載1

HLA 領域の遺伝子情報 2006

東海大学医学部基礎医学系分子生命科学 椎名 隆 HLA 領域の特徴は極めて高い遺伝子密度を有すること、ヒトゲノムの中で最も高度な遺伝的多型性を しめすこと、100 以上の疾患に対する感受性を規定していること、が挙げられる。この領域のゲノム配列 は 1999 年に決定され、その当時 224 個もの遺伝子が同定された。その後、複数研究機関における cDNA プロジェクトの進展によるさらなる新規遺伝子の同定や国際ゲノム機構(HUGO)による公式遺伝 子名(official symbol)の変更など、HLA 領域における遺伝子情報は頻繁に更新されている。したがって、 遺伝子名が複数種類存在する場合、どの遺伝子名が公式なものなのかわかりにくいのが現状である。 そこで本稿では、最新の HLA 領域の遺伝子情報を整理してまとめたので、これについて記載する。

(6)

1、HLA 領域における遺伝子マッピングの背 景

ヒトのMHC(主要組織適合遺伝子複合体; Major Histocompatibility Complex)領域であ るHLA(ヒト白血球抗原;Human Leukocyte Antigen)領域は、免疫における非自己を識別 することにより、免疫応答の誘導に深く関わる 白血球抗原をコードする多重遺伝子族からな る遺伝子領域である。この領域は、第6染色体 の短腕部 6p21.31 上に存在しており、遺伝子 の機能や構造から、セントロメア側より、クラ スII、クラス III およびクラス I の3つの領域 より構成されている(図1)。この領域におけ る興味深い特徴として、1)遺伝子密度が極めて 高いこと、2) ヒトゲノムの中で最も高度な遺 伝的多型性をしめすこと、3) 数多くの様々な 疾患に対する感受性を規定していること、が挙 げられる。したがって、HLA 領域は、約 20 年間にわたって、遺伝子のマッピング解析やク ローニング解析が精力的に行われてきたゲノ ム有数の領域である。その後、この領域の全ゲ ノム配列の決定が最重要課題であるとの気運 が高まってきたことから、1996 年より、この 領域における全ゲノム配列の決定を東海大学 グループと他の3つのグループ(フレッドハッ チンソン癌研究所、ワシントン大学、サンガー センター)が半ば競い合い、半ば分担しておこ なった。その結果、1999 年の 2 月に、待望の HLA 全領域 3.6 Mb(正確には、3,579,108 bp) の連続したゲノム配列を決定し、224 個の遺伝 子を同定した。 1,2)。 1、遺伝子の分類法

筆 者 ら は 、 ま ず National Center for Biotechnology Information(NCBI)の Entrez Gene データベース(http://www.ncbi.nih.gov/ entrez/)ならびに既報の論文情報1,2)をもと に遺伝子を同定した。その後、同定した遺伝子 は、“発現遺伝子”、“遺伝子候補”、“発現偽遺 伝子”および“偽遺伝子”の4種類に分類した。 すなわち、mRNA の発現が確認されており、 かつアミノ酸翻訳領域(open reading frame; ORF)が確定している遺伝子を“発現遺伝子”、 mRNA の発現は確認されているものの、ORF が不確定な遺伝子を“遺伝子候補”、mRNA の 発現は確認されているものの、ORF を持たな い遺伝子を“発現偽遺伝子”、mRNA の発現が 認められない遺伝子を“偽遺伝子”とそれぞれ 定義した。 2、HLA 領域の遺伝子数 HLA クラス I 領域の最もテロメア側に位 置する P5-15 遺伝子から HLA 伸長クラス II 領域の最もセントロメア側に位置する KIFC1 (旧HSET)遺伝子間 3.6 Mb に、239 個の遺 伝子が同定された(図1)。これは 1999 年に 報告されたHLA 領域のゲノム配列決定前より も108 個、その決定後よりも 15 個の遺伝子が 新 た に 同 定 さ れ た こ と と な る 。 た だ し 、 HLA-DRB ならびに C4 - CYP21 領域の遺伝子 重複による遺伝子数はHLA ハプロタイプによ りの多少の増減が認められるが、以下には 1999 年に決定されたゲノム配列に基づいて遺 伝子解析を進めた。まず、HLA 亜領域ごとに わけてみると、クラス I 領域には 122 個、ク ラスIII 領域には 62 個、クラス II 領域には 34 個、伸長クラスII 領域には 21 個の遺伝子がそ れぞれ同定された。さらに、これらの遺伝子を 種類ごとにわけてみると、131 個は発現遺伝子、 16 個は遺伝子候補、4 個は発現偽遺伝子、88 個は偽遺伝子であった(表1:ホームページ上 にて掲載、表2)。発現遺伝子のうち、110 個 は機能が明らかにされているが、残りの21 個 とすべての遺伝子候補の合計37 個の遺伝子は それらの機能が明らかにされていない。また、 発現遺伝子のうち、29 個については複数種類 のmRNA を発現させる splice variant が見い 出された(表1:ホームページ上にて掲載)。

(7)

以下に各領域の遺伝子情報を記載する。 2.1. HLA クラス I 領域 HLA 領域の最もテロメア側に位置する P5-15 から MICB 遺伝子間 1.8 Mb には、122 個の遺伝子が同定されており、その内訳は発現 遺伝子が 41 個、遺伝子候補が 12 個、発現偽 遺伝子が3 個、偽遺伝子が 66 個であった。発 現遺伝子と遺伝子候補に限ってみると、17 個 の 遺 伝 子 ( ZNRD1, RNF39, TRIM40, TRIM39, C6orf135, MRPS18B, C6orf134, C6orf136, KIAA1949, NRM, VARS2L, DPCR1, LOC375501, C6orf15, PSORS1C1, PSORS1C2, LOC253018)が 1999 年以降に新 たに同定されている。また、41 個の発現遺伝 子のうち、4 個 (HCG9, C6orf15, PSORS1C2, C6orf18) は機能不明遺伝子である。

2.2. HLA クラス III 領域

HLA クラス III 領域に位置する PPIP9 から BTNL2 遺伝子間 0.9 Mb には、62 個の遺伝子 が同定されており、その内訳は発現遺伝子が 59 個、遺伝子候補が 1 個、発現偽遺伝子が 0 個、偽遺伝子が2 個であった。1999 年以降に 新たに同定された遺伝子はない。また、58 個 の発現遺伝子のうち、15 個 (C6orf47, BAT5, C6orf25, C6orf27, C6orf48, C6orf29, C6orf46, DOM3Z, CREBL1, FKBPL, C6orf31, EGFL8, C6orf9, C6orf10, BTNL2) は機能不明遺伝子 である。 2.3. HLA クラス II 領域 HLA クラス II 領域に位置する HLA-DRA か らHLA-DPA3 遺伝子間 0.7 Mb には、34 個の 遺伝子が同定されており、その内訳は発現遺伝 子が16 個、遺伝子候補が 3 個、発現偽遺伝子 が 0 個、偽遺伝子が 15 個であった。1999 年 以 降 に 新 た に 同 定 さ れ た 遺 伝 子 は LOC377373 のみである。また、16 個の発現 遺伝子すべてはそれらの機能がすでに明らか にされている。 2.4. HLA 伸長クラス II 領域 HLA クラス II 領域のセントロメア側に位置 するCOL11A2 から KIFC1 遺伝子間 0.2 Mb には、21 個の遺伝子が同定されており、その 内訳は発現遺伝子が15 個、遺伝子候補が 0 個、 発現偽遺伝子が 1 個、偽遺伝子が 5 個であっ た。1999 年以降に新たに同定された遺伝子は ない。また、15 個の発現遺伝子のうち、2 個 (C6orf11, HKE2)は機能不明遺伝子であった。 3、その他の特徴 239 個の遺伝子のうち、ヒト HLA 抗原なら びにHLA 様分子をコードする遺伝子(偽遺伝 子も含む)は45 個のみであり、それら以外の 194 個の遺伝子は、HLA 抗原とは機能的には 関係のない、いわゆる非HLA 遺伝子と呼ばれ る。このHLA 領域における遺伝子の特徴の一 つとして、発現遺伝子密度がヒトゲノムの平均 よりも4 倍高いことが挙げられる。また、これ ら発現遺伝子に含まれる少なくとも 10%以上 の遺伝子は無脊椎動物にもそれらの直系(オー ソロガス)遺伝子の存在が確認されていること から、HLA 領域は単に遺伝子密度が高い領域 であるばかりではなく、進化学的にも保存され ている遺伝子を数多く含む領域である。さらに、 発現遺伝子の 40%の遺伝子は免疫系に直接関 与していることから、これら免疫系関連遺伝子 が MHC 領域とともに共進化してきたことが 推定され、この領域に感受性遺伝子がマップさ れる 100 種以上の疾患の発症要因を探る上で 重要な手がかりを提供するものと考えられる。 おわりに 本稿ではHLA 全領域の遺伝子情報について概 説した。さらに詳細な遺伝子情報ならびに疾患 情報については筆者の総説を参照されたい3)。 現在、239 個の遺伝子における多型性や種間に おける保存性を明らかにするために、筆者らは

(8)

HLA 領域のゲノム多様性解析、種々の生物種 におけるMHC 領域の比較解析を進めている。

これらの内容については次回以降に掲載する 予定である。

文献

1) The MHC sequencing consortium : Complete sequence and gene map of a human major histocompatibility complex (MHC). Nature 401: 921-923, 1999

2) Shiina T, Tamiya G, Inoko H et al. Molecular dynamics of MHC genesis unreveled by sequence analysis of the 1,796,938 bp HLA class I region. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 13282-13297, 1999.

3) Shiina T, Inoko H, Kulski JK. An update of the HLA genomic region, loci information and disease associations. Tissue Antigens 64: 631-649, 2004.

表1:ホームページ上にて掲載

発現遺伝子 遺伝子候補 発現偽遺伝子 偽遺伝子

HLA クラス I 遺伝子

6

0

0

13

19

HLA クラス II 遺伝子

11

2

0

6

19

MIC 遺伝子

2

0

0

5

7

HLA様遺伝子の合計

19

2

0

24

45

非HLA遺伝子

112

14

4

64

194

遺伝子の合計

131

16

4

88

239

クラス I 領域

41

12

3

66

122

クラス III 領域

59

1

0

2

62

クラス II 領域

16

3

0

15

34

伸長 クラス II 領域

15

0

1

5

21

表2、HLA領域における遺伝子数

(9)

HCP5P15 PSMB9 Tel. Cent. HCG4P11 HLA-F RPL23AP1 MICE HCG9P5 IFITM4P 3.8-1.5 HCP5P14 HCG4P10 HLA-75 HCG4 HCP5P13 HLA-90 OK/SW-cl.56 PPIP9 LSM2 BAT1 ATP6V1G2 NFKBIL1 LTA TNF LTB LST1 NCR3 AIF1 BAT2 BAT3 APOM C6orf47 BAT4 CSNK2B LY6G5B LY6G5C BAT5 LY6G6D LY6G6E LY6G6C C6orf25 DDAH2 CLIC1 MSH5 C6orf27 VARS2 HSPA1L HSPA1A HSPA1B C6orf48 NEU1 C6orf29 BAT8 C6orf46 C2 BF RDBP SKIV2L DOM3Z STK19 C4B CYP21A2 TNXB CREBL1 FKBPL C6orf31 PPT2 EGFL8 AGPAT1 RNF5 AGER PBX2 GPSM3 NOTCH4 LOC401252 C6orf10 B30.2-L BTNL2 HLA-DRA HLA-DRB9 HLA-DRB3 HLA-DRB2 HLA-DRB1 HLA-DQA1 HLA-DQB1 GLN-tRNA COX3-L HLA-DQB3 HLA-DQA2 HLA-DQB2 HLA-DOB TAP2 PSMB8 RING9 TAP1 RING8 PPP1R2P1 LOC389380 HLA-Z HLA-DMB RING13 HLA-DMA BRD2 HLA-DOA HLA-DPA1 RPL32P1 HLA-DPB1 HLA-DPA2 COL11A2p HLA-DPB2 HLA-DPA3 COL11A2 RXRB SLC39A7 HSD17B8 RING1 ZNF-L TAT-SF1-L VPS52 RPS18 B3GALT4 D6S2723E C6orf11 HKE2 RGL2 TAPBP ZNF297 DAXX rPL35A-L rPL12-L KIFC1 LYPLA2P1 RPL7AP7 MICG HCG2P8 HCP5P12 HCG4P8 P5-11 HLA-G HCGVIII-2 MICF 3.8-1.4 HCP5P10 HCG4P7 P5-09 HLA-H P5-07 HLA-16 HCG2P7 3.8-1.3 HCP5P6 HCG4P6 P5-05 HLA-K HLA-21 HCG4P5 P5-04 HLA-A HCP5P3 HCG4P4 HLA-80 HCG2P6 MICD HCG9 3.8-1.2 HCP5P2 HCG4P3 HLA-J HCG8 ETF1P1 C6orf12 ZNRD1 PPP1R11 RNF39 TRIM31 TRIM40 TRIM10 TRIM15 TRIM26 HLA-L LOC401245 TRIM39 RPP21 HLA-N HCG2P5 HCG2P4 MICC HCG2P3 LOC346173 RANP1 HLA-E GNL1 PRR3 ABCF1 PPP1R10 MRPS18B PROAP C6orf134 C6orf136 DHX16 KIAA1949 NRM RPL7AP MDC1 FLOT1 IER3 DDR1 TCF19 GTF2H4 VARS2L DPCR1 C6orf205 C6orf15 CDSN PSORS1C1 PSORS1C2 C6orf18 POU5F1 LOC253018 HCG2P2 HCG9P3 HLA-C HCG4P2 KIAA0055P RPL3P HCG2P1 HLA-B HCG4P1 DHFRP HLA-S HCP5P8 HCG9P2 MICA HLA-X HCP5 3.8-1 HCG9P1 MICB LOC389376 HCG4P9 C6orf214 MCCD1

第6染色体

長椀部 短腕部 セン ト ロ メ ア テロ メア テロ メ ア クラ ス I 領 域 クラ ス I 領 域 ク ラ ス III 領域 ク ラ ス II 領域 伸長ク ラ ス II 領域 図1、HLA 領域の遺伝子構造  白色の四角は発現遺伝子、灰色は遺伝子候補、縦縞は発現偽遺伝子、黒色は 偽遺伝子をそれぞれしめした。また、HLA 遺伝子を太文字で示した。

(10)

次回シンポジウムのお知らせ

東海大学医学部 安藤麻子 第 106 回日本畜産学会(2006 年 3 月 29 日〜31 日、九州大学六本松地区)にて、第 2 回動物M HCシンポジウムを 3 月 30 日 (木) に開催致しますので、奮ってご参加ください。動物MHC 研究会非会員で、動物MHC研究にご興味をお持ちの方にもお知らせいただければ、幸いです。 多くの方のご参加をお待ちしております。シンポジウムの詳細は、添付のプログラム(資料 4) をご参照ください。また、会場や学会の日程などは、第 106 回日本畜産学会のホームページ (http://shiryou.com/nichi_chiku/)をご参照ください。

事務局からのお知らせ

東海大学医学部 椎名 隆 (1) ホームページの開設について 2月4日に本研究会のホームページを開設いたしました。まだまだ内容に乏しいのですが、 動物 MHC 研究を推進させるための「データ集」の作成をなど、今後さらに充実させていきたい と思います。一度御覧になっていただきまして、ホームページに対するコメントやアイディア を頂けましたら幸いです。(http://www.riken.jp/lab/virus/animalMHC.htm) (2) 入会手続きについて 入 会 方 法 に は 、 本 ニ ュ ー ス レ タ ー に 添 付 し ま し た 入 会 申 込 書 あ る い は ホ ー ム ペ ー ジ (http://www.riken.jp/lab/virus/animalMHC.htm)上に掲載されている入会申込書に必要事 項をご記入の上、下記までご送付ください。今後の本研究会の輝かしい発展のために、もしお 近くに動物 MHC 研究にご興味のある方がいらっしゃいましたら、本研究会の存在をお知らせく ださい。よろしくお願い申し上げます。 送付先:〒351-0198 埼玉県和光市広沢 2-1 (独)理化学研究所 分子ウイルス学研究ユニット (問合先:048-462-4420(直通)、FAX:048-462-4399 または [email protected] まで) (3) 会員名簿の掲載について 会員名簿 につきましては、本会の個人情報保護指針 (ホームページに記載)に従って、氏名 所属及び部署のみをニュースレターに資料3として掲載致しました。

(11)

編集後記

中西照幸 昨年4月に開催された第1回シンポジウムにおいて、当面事務局が母体となり研究会を組織す ること、および研究会とネットワーク構築のために名簿を作成することを提案致しましたが、研 究会を組織し運営していくためには何らかの媒体が必要であると考え、このたびニュースレター を発行することに致しました。 今回の原稿は、取り敢えず事務局員が中心となりましたが、次回からは会員の皆様からのご寄 稿を募り、内容の充実を図ってまいりたいと存じます。よろしくお願い致します。 なお、暫定的な措置として、事務局より会長及び幹事を選任させていただきました。当面このよ うな体制でやっていきますのでご支援・ご協力の程よろしくお願いします。 会長: 間 陽子(理化学研究所) 渉外幹事: 安藤麻子(東海大学)・間 陽子(理化学研究所) 庶務幹事: 竹嶋伸之輔(理化学研究所) 会計幹事: 間 陽子(理化学研究所) 編集幹事: 中西照幸(日本大学)・椎名隆(東海大学) なお、ホームページ作成に際しては以下の方々のご協力をいただきました。記して感謝申し上げ ます。 椎名 隆(東海大学) 竹嶋 伸之輔(理化学研究所) 川端 弘 (敬称略) 編集・刊行 動物MHC 研究会事務局 〒351-0198 埼玉県和光市広沢 2-1 理化学研究所 分子ウイルス学研究ユニット Tel: 048-462-4408 Fax: 048-462-4399 e-mail: [email protected]

(12)

資料1

動物

MHC 研究会 会則

1.名称 本会は、動物MHC 研究会と称する。 2.目的 本会は、動物、すなわち産業動物、実験動物、愛玩動物、野生動物の MHC、並びにそれに関 連した分子に関する学術研究・情報の交流を図り、その研究の促進に資することを目的とする。 3.事業 本会は、その目的を達するために次の事業を行う。 1)シンポジウム、講演会などの開催 2)ニュース(レター)の発行 3)その他、目的を達成するために必要な事業。 4.会員 本会の趣旨に賛同する次のものを会員とする。 1)普通会員(個人) 2)賛助会員(団体、機関) 入会を希望する者は、所定の入会申込書の提出を行うものとする。但し、第1回シンポジウム (2005 年 4 月 15 日開催)において登録(アンケート調査)を行った者はこの限りではない。 5.会費 個人会員は当面無料とし、賛助会員より任意に寄付を仰ぐものとする。 6.役員等 本会に次の役員を置く。 1)会長:本会は会長1名を置く。会長は本会を代表し、会務を統べる。 会長の選出は、取り敢えず幹事会において行う。任期は2年とし、再任を妨げない。 2)幹事:本会は渉外幹事2 名、庶務幹事 1 名、会計幹事1名、編集幹事2名を置く。 幹事は、当面の間、第1回シンポジウムの事務局員があたる。任期は2年とし、再任を妨げない。 付則 1.本会の事務局は、庶務・会計役員が所属する機関の施設に置く。 2.当分の間、役員の手当、日当、交通費は支給しない。 3.この会則は、平成18年 1月 1 日より施行する。

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資料2

入 会 申 込 書

このたび動物MHC研究会に入会いたしたく、下記の通り申込みます。 年 月 日 動物MHC研究会 会長 間 陽子 様 氏名: 印 フリガナ: 所属機関名: 部署名: 住所:〒( )-( ) 都・道・府・県 電話番号: 内線( ) FAX番号: e-mail アドレス: (事務連絡等送付のため、ご記入ください。) 研究内容: 以上 入会金等不要です。 本書にご記入の上、下記までご送付ください。 送付先:〒351-0198 埼玉県和光市広沢2-1 (独)理化学研究所 分子ウイルス学研究ユニット (問合先:048-462-4420(直通) FAX:048-462-4399 または[email protected] まで)

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資料4

第 2 回 動物MHCシンポジウム

家畜MHC研究の現状と将来

—MHCによる抗病性家畜創出への新たな展開—

開催日時:2006 年 3 月 30 日 15:00 - 18:00 場 所:九州大学六本松地区 新 1 号館 N110 教室 (福岡市中央区六本松 4-2-1) 主 催:動物 MHC 研究会 プログラム 1. 「シンポジウムの開催にあたって」 理化学研究所 間陽子 2. 「ヒト MHC 遺伝子群の特徴」 東海大学 猪子英俊 3. 「ブタ MHC 領域のゲノム解析と畜産学分野における応用」 東海大学 安藤麻子 4. 「ウシ MHC 領域の構造、機能と抗病性」 理化学研究所 竹嶋伸之輔・間陽子 5. 「マウス MHC とレトロウイルス感染抵抗性」 近畿大学 宮澤正顯 6. 「ニワトリおよびウズラ MHC 領域のゲノム構造と多様性」 東海大学 細道一善 7. 「魚類 MHC の構造及び機能と抗病性との関連」 日本大学 中西照幸・水産総合研究センター養殖研 乙竹充 8. 「家畜 MHC 領域の比較ゲノム解析」 東海大学 椎名隆 9. 総合討論

参照

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