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データベース舗装構造群をモデルとした FWD 逆解析の誤差に関する研究

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Academic year: 2022

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上島壯1・松井邦人2

1 正会員 〒063-0012 札幌市西区福井1-17-18

E-mail:[email protected]

2 フェロー会員 工博 東京電機大学 理工学部建築・都市環境学系(〒350-0394 埼玉県比企郡鳩山町石坂)

供用されている舗装に対するFWDの逆解析解の誤差の原因とその結果を全体的に把握することを目的とする.

モデル構造の基礎資料としてLTPPの公開データベースDataPave2.0の北米の舗装構造データ群を用い476件の舗装 構造モデルを作成した.検討項目は,舗装厚の誤差が各層の解弾性係数に与える影響と感度,たわみのランダムな 誤差による解の分布,および広範囲な初期弾性係数から得られる解の分布と舗装の種類ごとの解の信頼性などであ る.入力する層の数と解のたわみ残差レベルの重要性が示された.

Key Words: falling weight deflectometer (FWD),BALM, LTPP, backcalculation, sensitivity analysis

1.はじめに

FWD試験が我が国に紹介されてから25年経つ1) それに逆解析手法を併用することにより非破壊試験で 舗装の表層から路床までの弾性係数を推定するという 夢の技術が現実のものとなった.しかしFWDの利用 技術に関するノウハウの共有化は遅れているように思 われる.そのため計算条件が逆解析に適するものか否 か,どのような誤差が結果にどう影響するのか把握で きないままプログラムに投入し,思いがけない結果を 見てツールに不信感を持つことで終わることもあろう.

本研究の目的は,実在の主要な舗装をカバーできる ように広範囲な舗装構造に関するモデルを作成して,

入力時の誤差が逆解析の結果にいかに影響をおよぼす かを,主要な要因である舗装厚の誤差,たわみの誤差,

初期弾性係数の影響について日常的に起こりうる中心 的な傾向と例外的な事象を明らかにすることである.

逆解析の誤差に関しては,たわみ,ポアソン比の誤 差に着目しモンテカルロシミュレーションを用いた松 井らの研究2),事前情報の利用により安定した解を得よ うとする屠らの研究3),遺伝的アルゴリズムを用いて安 定した解を得ようとする亀山らの研究4)がなされている.

とくに実務家や研究者を悩ませるのは解の安定性であ る.逆解析は無数にあると思われる局所解の中から真 に近い解を選び出さなくてはならない.本研究ではガ ウスニュートン法を用いたオーソドックスな逆解析プ

ログラムBALM995)を用いた.BALMは松井らによっ

て開発され,現在日本で標準的に用いられている静的 逆解析プログラムである.

2.モデルの作成と計算条件

(1)モデルの作成

LTPPのデータテーブルTST_L05B6)を用いてモデル 構造を作成した.TST_L05Bはコア,ボーリング,テ ストピットなどから得られた厚みデータの試験区間の代 表値である.これから,連続同種材料を統合し,層の厚 みを10cm以上とするなどの条件で解析に適したデータ を選択し,4層までに限定し,厚さを1cm単位に丸め た.また,剛性舗装のアスファルトオーバーレイなど弾 性係数が逆転するものを除外した.そして,材料により

Table 1の弾性係数を仮定し,さらにA2とA5など同

じ弾性係数のものを整理して,Table 2の計476種の構 造を解析対象とした.なお,Table 1の項目Groupは著 者の便宜的な分類である.

(2) BALM計算条件

用いたBALM99は入出力インターフェースを改造

して複数の計算の入出力をそれぞれ1ファイルで行える ようにしたものである.BALM 計算条件は,繰り返し 計算回数:100回,変化率:10%,適切化手法:打ち切

データベース舗装構造群をモデルとした FWD 逆解析の誤差に関する研究

【土木学会舗装工学論文集 第15201012月】

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り特異値分解,適切化パラメータ:0.032-3層系では 推奨値でない),すべり係数:コンクリートは0.9,ほ かは 0,ポアソン比:コンクリートは0.2,その他は 0.35を用いた.センサーは7点,配置はTable 3の LTPPの標準的な測定条件を用いた.

(3)モデルたわみ曲線の作成

Table 2のモデル構造群のデータについてBALM99

を順解析的に用いてたわみ曲線を得た.

3.層厚誤差の各層弾性係数解へ与える感度

この章の目的は広い地域で用いられている舗装にお いて各層の舗装厚の設計値からのずれが逆解析弾性係数 に与える影響を把握することである.

(1)データ解析手順

・各モデルについて各層の厚みの±20%の範囲で1%刻 みで層厚誤差を加えたデータを順解析してたわみ曲 線を得る.

・各計算条件は1層のみの誤差を含む.

・得られたたわみ曲線群について誤差がないものとして 逆解析する.

・得られた逆解析解と誤差のない基準モデルの弾性係数 の比較により,厚み誤差1%あたりの解弾性係数の変 動%を感度として求める.

・表層や中間層の誤差がそれらの逆解析解に与える感度 を集計する.

(2)モデル単位の結果

Fig. 1にアスファルト舗装の3層系モデルについての

計算結果の例を示す.

・x軸は厚みの増分(%) (対標準値),y軸は逆解析弾性

係数の増分(%) (対モデル値)である.

・表層,中間層,最下層(路床)別に示す.

・記号◆は表層が,記号◇は中間層が原因層.

表層が厚くなれば見かけ上弾性係数が大きくなること は理解できるが中間層が厚くなると表層の解弾性係数は 低下する傾向を示している.

・中間層と最下層(路床)の見かけの弾性係数は厚み誤差 と常に正の相関がある.

・ 感度=厚 みの増分(%)に 対す る弾 性係 数の増分 PaveType N Total Thickness (cm) h1/total

min mean max mean(%)

Rigid 2 layer 18 18 27 41 100

Rigid 3 layer 157 28 40 95 61.6

Rigid 4 layer 56 41 53 70 47.8

Flex 2 layer 32 10 27 57 100

Flex 3 layer 172 22 47 144 45.1

Flex 4 layer 41 30 58 87 32.1

Group Description(LTPP code) Modulus (kgf/cm2) (MPa)

A1 Hot Mix AC (e.g. 1) 40000 3923

A2 Dense Grade Cold Mix(e.g. 323) 10000 981 A3 Open Grade As Mix(e.g. 325) 10000 981 A4 Sand Asphalt (e.g. 320) 5000 490 A5 As Treated Mix(e.g. 321) 10000 981

C1 PCC (e.g. 4) 200000 19613

C2 Cement Agg Mix (e.g. 331) 20000 1961 C3 Soil Cement (e.g. 339) 10000 981 G Stone/Gravel (e.g. 304) 5000 490 S1 Coarse Sand (e.g. 214) 2000 196

S2 Fine Sand (e.g. 101) 2000 196

CC 0, -30.5, 30.5, 45.7, 61.0, 91.4, 152.4 AC 0, 20.3, 30.5, 45.7, 61.0, 91.4, 152.4

Fig. 1 An example of curves of apprent modulus change by layer thickness error (Model No 337)

Table 1 Materials and designated modulus. Table 2 Classification of model structures.

Table 3 Sensor configulations for FWD test (cm).

(3)

(ΔE(%)/Δh(%) )と定義する.感度は表層の図では1よ り小さく,中間層では1程度,最下層(路床)では非常に 小さいことが読み取れる.

(3)層厚に関する感度の表示方法

Table 4は,Fig.1に示される各変化曲線を多項式で 回帰し,原点における勾配を感度として,舗装タイプ,

解析層の番号,誤差付加層別に最小値/中央値/最大値の セットとして表したものである.

たとえばRigid 2 layerの解析層1,厚み誤差付加層 1では"1.8/2.4/2.7"となっているが,層1%の誤差に対 して見かけの弾性係数は,最小1.8倍(%/%),最大2.7倍,

中央値2.45倍の感度であることを示す.

(4)集計結果

表層の厚み誤差の感度は,

・コンクリート表層では,厚み変動の2倍以上の割合 で表層の解弾性係数が変動する.

・アスファルト表層では,コンクリートよりは感度が低

く1.9-0.6倍.層数が増えるとより低下する.

・コンクリート舗装の中間層では0.6倍ほどである.

・アスファルト舗装の中間層では1.2倍ほどと表層への

影響に匹敵する.

中間層の厚み誤差の感度は,

・アスファルト舗装では中間層に0.7倍ほどと比較的大 きいがその他に対しては小さい.

最下層の解は

・どの層の厚み誤差の影響もあまり受けない.

4.たわみ誤差が解へ与える感度分析

LTPPデータでは,Table 5に示すように,FWD落 下の際のたわみの偶然誤差は各センサーともに変動係数 表現で3%前後である.

本研究ではモデル群にこれと同等の誤差を与え,解 の分布状況を舗装の種類別,層別に検討した.

(1) データ作成・解析手順

・各モデルについて各センサーのたわみの変動係数=

3%を目標に正規乱数によるたわみ誤差を与えて逆解 析データを作成した.

・逆解析の初期条件はモデルの弾性係数と層厚を用いた.

・作成データは層の数に関係なく1000件とした.なお,

Pavement Type Error-Generated Layer

Layer1 layer2 layer3 N

Rigid 2 layer 1 1.8/2.4/2.7 18

2 0.1/0.1/0.3

Rigid 3 layer 1 1.9/2.4/2.6 -0.1/0.2/0.7 314

2 0.1/0.6/1.6 0.0/0.0/0.5 3 -0.1/0.1/0.3 0.0/0.1/0.1

Rigid 4 layer 1 1.8/2.2/2.5 0.1/0.3/0.6 0.0/0.1/0.2 168 2 0.2/0.6/1.3 0.0/0.1/0.3 0.0/0.0/0.1 3 0.2/0.4/0.8 0.0/0.0/0.1 0.0/0.0/0.0 4 0.1/0.2/0.3 0.0/0.1/0.1 0.0/0.0/0.1

Flex 2 layer 1 0.8/1.9/2.6 32

2 0.1/0.2/0.7

Flex 3 layer 1 -0.1/1.1/2.0 -1.2/-0.1/0.7 344

2 -0.1/1.2/4.0 0.0/0.7/1.8 3 -0.2/-0.0/0.5 0.0/0.1/0.5

Flex 4 layer 1 0.0/0.6/1.5 -0.8/-0.1/0.3 -0.3/-0.1/0.1 123 2 0.7/1.2/2.8 0.1/0.7/1.2 -0.0/0.2/0.4 Affected

layer

Table 4 Thickness error susceptibilities of backcalculated modulus by using the slope of percent vliation %ΔE to %Δ (Thickness:notations are min/median/max).

Sensor No D0 D20 D30 D45 D60 D90 D150

N of point locs 281,154 281,154 281,154 281,151 281,146 281,142 281,117 Q1 of CVs 1.41% 1.36% 1.37% 1.44% 1.51% 1.69% 2.19%

median of CVs 2.43% 2.33% 2.33% 2.41% 2.50% 2.73% 3.45%

Q3 of CVs 4.22% 4.02% 3.95% 3.96% 4.05% 4.32% 5.35%

Source data: LTPP DataPave 2.0 (MON_DEFL_DROP_DATA)

Table 5 Statistics of coefficients of variation of LTPP FWD deflections for each measurement point location.

(For flexible pavements only, and deflections are reduced to 5 ton load.)

(4)

Fig. 2 Distributions of percent deviations of backcaluculated moduli of normal error added data to base data.

(5)

Fig. 3 Distributions of percent deviations of backcaluculated moduli derived from distant initial conditions.

(6)

作成データの0.6%が制限回数で収束しなかった.

・誤差あり曲線の解弾性係数とベースのモデル構造の弾 性係数の%偏差を指標として用いる.

(2) 集計結果の表示方法

Fig.2(a)にコンクリート舗装の,Fig 2(b) にアスファ ルト舗装のデータ分布を示す.

・細線:全出力結果の領域である.

・黒領域:モデルたわみと解析たわみの差が7個のセン サーの最大値で1%以内.

・灰色領域:同じく2%以内.

・赤線:±25%のグラフ範囲を超えるデータを表示.

(3) 集計結果

・表層の解はコンクリート舗装についてもアスファルト 舗装についても,たわみの誤差分布(標準偏差が3%) より広がった正規分布曲線に似た分布をしている.

・解の分布が広がる傾向はアスファルト舗装がコンク リート舗装より著しく,層の数が増えるとより著し い.

・最下層(路床)では,正規分布に似た分布をし,たわみ のばらつきが小さい.

・中間層は尖度が大きい形の分布をする.すなわちベー スのモデルの弾性係数に収斂するデータ群と解の値 域が不安定に広がるデータ群の両方が含まれる.ア スファルト舗装の特に4層系で収斂する傾向が薄れ 解の値域が曖昧になる.

・灰色,黒の領域はたわみがモデル構造に近いので当然 ではあるが,解の分布領域もモデル構造に近い.

・最下層についてはたわみ誤差と同程度の散らばりであ り,表層ではたわみ誤差の数倍の広がりである.

5.初期弾性係数の影響

たわみ曲線の逆解析結果はしばしば局所解に誘導さ れることが実務者を悩ませている.これらの解は誤差の 範囲を超える値をもたらす.また,ひとつの層の局所解 は他の層群の解にも影響をおよぼすと思われる.

この章では初期条件をパラメータで設定し,解とモ デル構造の理論値との関係を分析する.

(1) データ解析手順

・初期弾性係数は,モデル構造の弾性係数の両側に対数 で0.1 間隔,真値を除いて比率で 0.50, 0.63, 0.79, 1.26, 1.58, 2.00の6点に設定した.

・層の組み合わせによりデータ数は2層系では36,3

層系で216,4層系では1296ケースとなる.

・層厚,たわみ曲線などにモデル構造のデータを用い,

逆解析する.

・解とモデル弾性係数の比から導出される%偏差を解 析の指標として用いる.

(2)計算結果

・作成データの2.2%が制限回数中に収束しなかった.

・解析弾性係数の理論値に対する%偏差を,層数系列別 層の役割別にFig.3に示す.

・この計算は初期条件が真の値の1/2から2倍までの範 囲で行われたものであり,以下は実務的には非現実 と思われるデータをも含んだ上での結果である.

・2層系についてはコンクリート系,アスファルト系の 両方とも初期弾性係数にかかわらず正しい解がえら れる.

・3層系のアスファルト舗装構造では急峻に正解に収束 している.ただし表層・中間層にはかなり離れた結 果を出力するケースも割合は小さいが存在する.

・3層系のコンクリート舗装では,表層の収束箇所がや やぼけ,最下層は良い結果を出すが中間層は真の解 から離れた解が優勢になる.

・4層系では,最下層の解は実用の範囲にあるが表層の 解はたわみ誤差が小さい場合のみ利用できる.コン クリートの中間層では正しい解に収束しづらい.

(3)解析たわみの残差の検討

Fig.4 は解析結果のたわみ曲線の残存誤差とよい解の

含まれる割合を舗装構造別,層種類別にグラフ化したも のである.ここでよい解とは厳密解との誤差が5%以内 の解と定義する.

ここに示されるように,最下層ではたわみの残差の 標準偏差が1%程度でも良い解が求まる.その他の場合, 特にコンクリート舗装の中間層ではひずみ誤差の精度を 高めてもよい解が得られない.

6.結論と今後の課題

・舗装の層の厚み誤差が各層の解弾性係数に与える影響 を,舗装の種類ごとに明らかにした.表層の厚み誤 差は表層の弾性係数に大きい場合で2倍程度の誤差 をもたらす.

・たわみのランダムな誤差設定から,逆解析解の信頼性 は最下層,表層,中間層の順であり,層数が多いほ ど信頼性が悪くなる.

・広範囲の初期弾性係数を与えた計算から,コンクリー ト舗装では2層系,アスファルト舗装では3層系ま

(7)

で一般に良い収束を示すが,3層系以上では飛び離れ た局所解に陥ることがある.

・初期弾性係数の範囲と解の信頼性の関係については今 後の検討課題である.

・良い解を得るためには解析のたわみ残差を可能な限り 小さくすることが重要である.たわみ残差を小さく するためにBALMの利用方法の検討がこの研究の今 後の課題である.

参考文献

1) 笠原篤, 岳本秀人, 伊藤保彦, 古川真男: フォーリン グ・ウエイト・デフレクトメータについて,舗装, 20,

6, p15, 1985.

2) 松井邦人,笠原篤,岡田貢一:逆解析弾性係数に対 する測定たわみと構造モデルの誤差の影響,土木学 会論文集, No.526/V-29, pp.55-62, 1995.

3) 屠偉新,丸山暉彦,高橋修:拡張ベイズ法による舗 装弾性係数の逆解析に関する基礎的研究,舗装工学 講演会講演論文集,第1巻,pp.15-22, 1996.

4) 亀山修一,姫野賢治,丸山暉彦,笠原篤: 遺伝的アル ゴリズムを用いた舗装体の弾性係数の逆解析,土木学 会論文集 550(V-33), pp.195-204, 1996.

5) 黒林功, 松井邦人, 井上武美, 董勤喜: 静的逆解析によ るアスファルト舗装の構造評価診断システムの開発, 土木学会第55回年次学術講演会, V-45, 2000.

Fig. 4 Percentage of good solutions(%ΔE<5%) to residual error level of output deflection.

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6) Federal Highway Administration: Long-Term Pavement Performance Information Management System: Pavement Performance Database User

Reference Guide, PUBLICATION NO. FHWA- RD-03-088 (Interim Update), p103, July 2004.

STUDY ON ERRORS IN BACKCULCULATED LAYER MODULI USING LTPP-SECTIONS-STRUCTURE BASED MODELS

Tsuyoshi KAMIJIMA and Kunihito MATSUI

The paper investigates scopes of errors on FWD backcalculated moduli on existing pavements.LTPP DataPave 2.0 database was refered to create 476 model pavement structures.

Sencitivities of layer thickness to each layer modulus, randomly distributed deflection erros, and influence of initial calculation condition of moduli was studied.

Importance of number of layers and levels of residual deflection were confirmed.

参照

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