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博士課程用(甲)

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(様式6-A)A. 雑誌発表論文による学位申請の場合

須 賀 孝 慶 氏から学位申請のため提出された論文の審査要旨

題 目 SGLT1 in pancreatic α cells regulates glucagon secretion in mice, possibly explaining the distinct effects of SGLT2 inhibitors on plasma glucagon levels

(膵α細胞SGLT1はマウスのグルカゴン分泌を制御し, SGLT2阻害薬の血中グルカゴン濃 度における異なる効果を説明する)

雑誌名 Molecular Metabolism (in press)

著者名 Takayoshi Suga, Osamu Kikuchi, Masaki Kobayashi, Sho Matsui, Hiromi Yokota-Hashimoto, Eri Wada, Daisuke Kohno, Tsutomu Sasaki, Kazusane Takeuchi, Satoru Kakizaki, Masanobu Yamada, Tadahiro Kitamura

論文の要旨及び判定理由

SGLTはナトリウム-グルコース共役輸送体であり、SGLT-2は腎臓に特異的に発現していることが 知られている。SGLT-2阻害薬は尿細管でのグルコースの再吸収を抑制し、尿中へのグルコース排泄 を促進させることで血糖値を低下させる糖尿病治療薬である。SGLT-2阻害薬は2型糖尿病患者の血 中グルカゴン濃度を上昇させることが報告されている。また膵α細胞にはSGLT-1に加えて、腎臓に 特異的と考えられていたSGLT-2が発現しているとの報告もあり、SGLT-2阻害薬が膵α細胞SGLT-2に 直接作用するメカニズムが提唱されたが、これには矛盾点も指摘されている。一方で、同じSGLT-2 阻害薬でも別の薬剤では血中グルカゴン濃度に影響しないとする報告もある。SGLT-2阻害薬にはSG LT-1に対する選択性に違いがあることが知られているが、この選択性の違いが血中グルカゴン濃度 へ影響するかは知られていない。本研究では、同じSGLT-2阻害薬でも血中グルカゴン濃度に対する 影響に違いがある可能性、およびグルカゴン分泌におけるSGLT-1の役割を検証することを目的とし た。

本研究では、SGLT-2阻害薬としてSGLT-1に対する選択性が比較的高いダパグリフロジンと、低い カナグリフロジンを使用した。高脂肪高ショ糖食飼育の野生型マウス (C57BL/6J)にダパグリフロ ジン、およびカナグリフロジンを投与した。薬剤投与4時間後に採血を行い、血糖値および血中グ ルカゴン濃度を評価した。高脂肪高ショ糖食飼育マウスにおいて、いずれのSGLT-2阻害薬投与群も 同程度に血糖値の降下が見られた。一方で血中グルカゴン濃度に関しては、ダパグリフロジン投与 群は対照群よりも有意に上昇し、カナグリフロジン投与群は変化が見られなかった。

続いて膵α細胞におけるSGLT-1およびSGLT-2の発現について調べるためRT-PCR、RNAシークエン ス、および免疫組織学的染色による検討を行った。培養α細胞、マウスラ氏島、およびヒトラ氏島 にSGLT-1の発現は確認されたが、既報と異なりSGLT-2の発現は確認できず、SGLT-2阻害薬が膵α細 胞SGLT-2に直接作用するメカニズムは否定的と考えられた。さらに、薬剤投与後グルコースクラン プにより血糖値を一定に保つと、ダパグリフロジン投与群でも対照群と比較して血中グルカゴン濃

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博士課程用(甲)

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度上昇が見られなくなったことから、グルカゴン分泌の促進は血糖降下による代償機構と考えられ た。一方でカナグリフロジンには膵α細胞SGLT-1阻害を介したグルカゴン分泌抑制効果がある可能 性を疑い、培養α細胞株へのカナグリフロジン添加およびSGLT-1ノックダウンを行ったところ、対 照群と比較して有意なグルカゴン分泌抑制が認められた。またSGLT-1ノックダウン培養α細胞では、

グルカゴン分泌が抑制され、カナグリフロジンによるさらなるグルカゴン分泌抑制は見られなかっ た。この結果より、カナグリフロジンは膵α細胞SGLT-1阻害を介してグルカゴン分泌を抑制する可 能性が示された。このカナグリフロジンの膵α細胞SGLT-1阻害を介したグルカゴン分泌抑制効果は、

グルコース存在下で認められる一方で、グルコースをSGLT特異的基質(非代謝性グルコースアナロ グ)に置換した条件下でも認められた。さらにSGLT特異的基質は、培養α細胞の細胞内Ca2+濃度を 上昇させることも認められた。この結果より、膵α細胞にはSGLT-1を介したグルコース輸送依存性、

かつグルコース代謝非依存性の、細胞内Ca2+濃度上昇を伴ったグルカゴン分泌制御機構が存在し、

カナグリフロジンはこれを阻害する可能性が示唆された。

以上より、膵α細胞にSGLT-2は発現しておらず、ダパグリフロジンは血糖低下に対する代償機構 として血中グルカゴン濃度を上昇させている可能性が示唆された。一方カナグリフロジンには膵α 細胞SGLT-1阻害を介したグルカゴン分泌抑制効果があり、結果として血中グルカゴン濃度が変化し ないと考察された。

本研究結果は、SGLT-2阻害薬間における差別化に繋がりうる重要な知見を示したことに加え、

SGLT-1がグルカゴン分泌を制御する可能性を分子メカニズムとともに示したと認められ、博士

(医学)の学位に値するものと判定した。

(平成30年11月26日)

審査委員

主査 群馬大学教授(生体調節研究所)

分子糖代謝制御分野担任 藤 谷 与 士 夫 印

副査 群馬大学教授(生体調節研究所)

代謝エピジェネティクス分野担任 稲 垣 毅 印

副査 群馬大学教授(医学系研究科)

脳神経再生医学分野担任 平 井 宏 和 印

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博士課程用(甲)

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(様式6, 2頁目)

最終試験の結果の要旨

(1) 糖尿病治療における膵α細胞SGLT-1の役割とSGLT-2阻害薬の使い分けについて

(2) 膵α細胞以外の臓器におけるSGLT-1の生理的役割について 試問し満足すべき解答を得た。

(平成30年11月26日)

試験委員

群馬大学教授(生体調節研究所)

代謝シグナル解析分野担任 北 村 忠 弘 印

群馬大学教授(医学系研究科)

内分泌代謝内科学分野担任 山 田 正 信 印

試験科目

主専攻分野 代謝シグナル解析分野 A 副専攻分野 内分泌代謝内科学 A

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