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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title 証明譜を用いたバケット同期法の形式検証

Author(s) 永浦, 尊信

Citation

Issue Date 2011‑03

Type Thesis or Dissertation Text version author

URL http://hdl.handle.net/10119/9640 Rights

Description Supervisor:二木厚吉, 情報科学研究科, 修士

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証明譜を用いたバケット同期法の形式検証

永浦 尊信(0910040)

北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 2011年2月08日

キーワード: バケット同期法, 形式手法, プロトコル, 検証.

1 背景

ネットワークゲームは,ネットワークを隔てて複数のプレイヤーで遊ぶゲームである.

ネットワークゲームは,一種のディストリビューテッドシステムを成しており,ディスト リビューテッドシステムに存在する各種の問題を,同じくネットワークゲームも抱えて いる.

その問題の一つとして,因果順序問題がある.因果順序問題は,ネットワークを送信さ れたイベントの情報が,それぞれのノードにおいて同一の順序で反映されないという問 題である.この問題が発生すると,一般にはノード間で情報の一貫性が保たれなくなる.

因果順序制御プロトコルとは,ディストリビューテッドシステムにおいて,イベントの反 映の順序を,全てのノードで一致させるためのプロトコルである.また,このイベントの 反映順序を全てのノードで一致させることを,因果順序を保証するという.

ところで,ネットワークゲームは通信帯域を削減するために,ゲーム状態をプレイヤー の操作の情報のみで決定可能であるように制作される.このことによって,プレイヤーの 操作をイベントとして送信するだけで,あとは因果順序を保証することによって,全ての ノードが持つゲームの状態に一貫性を与えることができる.その結果,ネットワークに送 信する情報量を減らすことができ,帯域の少ない家庭用インターネット回線でもネット ワークゲームを遊ぶことが可能になる.

また一般にゲームでは,ゲームの状態からアニメーションのある映像を生成しプレイ ヤーに提示しなければならない.ある瞬間のゲームの状態は,プレイヤーに一枚の画像を 提示するのに十分な情報を持っている.しかしアニメーションは,一定の時間ごとに画像 が更新されることで実現される.このとき,あまりに一定の時間からの逸脱が大きいと,

映像が乱れ,プレイヤーは不快を感じたり,ゲームを操作することが不可能になったりす る.そのため,ゲームの状態は,なるべく一定の時間ごとに更新する必要がある.この一 定の時間のことをフレームと呼び,フレームにあわせてゲームの状態を更新することを,

フレームの更新と呼ぶ.

Copyright c⃝2011 by Nagaura Takanobu

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ところがフレームを更新するためには,そのフレームに必要な全てのイベントが揃った 状態でなければならない.

これらの条件のため,ネットワークゲームにおいては,イベントの反映に関して,以下 の二つの要求がある.

• イベントの反映の順序は,全てのノードで一致している(因果順序性)

• イベントの反映の時刻は,それぞれのノードでフレームの更新が人間が不快に感じ ない程度には一定間隔に保たれる(フレーム一定性)

• イベントが発生してから,実際に反映されるまでのフレーム更新の回数は,人間が 不快に感じない程度には,一定である(操作安定性)

因果順序性は,因果順序制御プロトコルで保証可能だが,フレーム一定性については,

一般的な因果順序制御プロトコルでは保証できない.このようなネットワークゲームの 要求に対して,バケット同期法が登場した.バケット同期法は,ネットワーク遅延が一定 の値以下であるという条件の元でのみ,因果順序制御プロトコルとして振る舞い,また,

フレーム一定性を保証するとされている.このためバケット同期法は,遅延が非常に高く なった場合の対処を行う保障プロトコルと組み合わせて,ネットワークゲームで用いられ ている.

バケット同期法が,フレーム一定性を持つことは,先行研究でシミュレーション実験と アンケート調査が行われている.ところが,バケット同期法が因果順序を保証すること は,検証された性質ではない.因果順序性は非常に珍しいケースで問題が生じることも考 えられ,またそのようなケースが偶然発生しただけでも,ゲームの続行が不可能になる という意味で厳密な問題である.このため,ネットワークゲームを安全に構築するために は,バケット同期法に対する数学的検証を行う必要がある.そこで本研究では,バケット 同期法が期待されている条件下において因果順序性を持つことを,形式的手法を用いて証 明する.

2 問題点

本研究では,バケット同期法をモデル化し,因果順序が保証されるか,形式的手法を用 いて検証する.しかしバケット同期法には,ゲームにおける特別な時間の概念であるフ レームと,実時刻が同時に関わっている.このため検証に必要な,バケット同期法のモデ ルを作成するために,フレームの概念と,実時刻の概念の関係を十分なだけ記述する必要 がある.しかしそのフレームと実時刻との関係とは,実時刻の上で1つのフレームの長さ が大小様々な揺らぎを持っているという物である.つまりどのような時間,およびタイミ ングでフレームが更新されうるのかについては,揺らぎがあり,ランダムであることを上 手くモデルに記述する必要がある.

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3 提案手法

OTS/CafeOBJによるモデルを作成する.このとき遷移が発生することに,ある不定の

実時間の経過が伴うとみなし,モデル記述からは,実時間に関する記述を排除する.これ によって,モデル記述内ではフレームの更新は実時間に対して独立に発生すると考え,フ レームをモデル化する.

4 結論

本研究では,ネットワークゲームおよび,バケット同期法に対するモデル化を行った.

また,形式的な検証を通じてバケット同期法が因果順序性を保証することが確認できた.

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参照

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