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枯草菌を用いたRec-assayによる解熱性鎮痛剤の突然変異原性に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

枯草菌を用いた

Rec

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による解熱性鎮痛剤の

突然変異原性に関する研究

住 田 導 彦

Michihiko SUMIDA

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近年,多くのすぐれた医薬品の導入により,かつて 治摘が不可能とされていた疾患も,乙れら医薬品によ り可能となってきた。我々の日常生活にとって匿薬品 は不可欠のものとなり,治療薬,保健薬として常備さ れ服用されてきた。しかし医薬品の安全性について は,食品添加物や農薬などの場合と同様に,解明され ていないものが多くある,薬物の催奇形性,発癌性, 突然変異原性ζl関する領域については,近年になり多 くの研究がなされている。 最近, Amesら1.2)によって,既知の発癌物質の大 部分は突然変異誘発性を有し,発癌性と突然変異性と はきわめて高い相闘があるζとが報告された。白須ら めは種々の農薬について,西岡4)は金属化合物につい て, Amesら1)は抗生物質の Adrinomycin-HC1, Daunorubicin-HCl について,それらの変異原性の あるζとを発表しており, Kada 5)はAF-2について Rec-assayでは鶴性である乙とを報告している.し かし常用されている医薬品に関する報告は数少ない。 今回は日頃,かぜ薬,頭痛薬として服用する機会の多 い解熱性鎮痛薬について,変異原性試験のうち枯草菌 を用いての組み換え修復試験を行ったので,その成績 について報告する。 材 料 と 方 法 1. 材料 鳥取大学法学部附属病院薬剤部より供与を受けた Sodium Salicylate (SI), Aspyrin (Ap) ,

Phena-衛生技術学科

cetin (Ph) , Acetaminophen (Ac) , Antipyrine (An) , Aminopyrine (Am) , Sulpyrine (Sp), Sulfinpyrazone (Sf), Oxyphenbutazone (Op)お よびMefenamicacid (Ma)を実験材料とした。 増菌用液体培地:極東肉エキス10g,大伍ポリペ プトン10g,塩化ナトリウム5gを水1000mllC溶か し, pH7.01ζ調製した. Streak用平板培地:上記液体プロスに1.59ぢの割 合ζl寒天を加えて調製した。

Spore用寒天培地:8gのDifconutrient broth を1000mlの水に溶解し, 15gのDifcoagarを加え て調製した。 胞子形成用寒天培地:Difco nutrient broth 16 g, KCl 2 g, MgS04

7H20 0.5 g, MnCl

4H20 19.8 mg, FeS04

7H20 278μg, Ca (N03) 2

4 H20 236 mg, Glucose 1 g, Difco agar 15 gを 1000 ml に溶解して調製した。 2. 方法 Streak法は賀田ら6・7)の方法lとより ,

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H 17 (Recつ お よ びM45(Recつを使用し,各々 を液体ブロス中で37・C,16時間振謹培養のものを用 いた。培地は1.59ぢ寒天ブロスを20mlずつシャーレ に入れ,間化させたものの表面を乾燥させ用いた。菌 液は0.1ml用のピペットを用いて,各々2つの菌が 混ざり合わないように,八の字型lζStreakし,直径 8mmの炉紙ディスクをStreakの起点をおおうよう に置いた。実験医薬品は水, Dimethylsulfoxide

(2)

(DMSO)又は CHC13に溶解させ, 500-1000μg/30 μlになるように浸し, 37・

C

,18時間培養後に生じた 薬物に対する生育阻止帯の径を測定した。対照薬品と して Kanamycin,Mi tomycin C について測定し

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こ。 spore法は平野8)の方法により

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H 17 (Rec+)およびM45(Rec-)の各菌株の胞子を形成 させ, H 17については1X 106 spores/mlM 45 ついては1X 107 spores/mlの濃度の保存液をつく り実験に用いた。 spore法の実施に際しては, spore 用寒天培地に上記胞子保存液を 1

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あたり 10ml加 え,シャーレに10mlずつ分注し,固化させ,直径8 m mの炉紙ディスクを置き,それに500-1000μg/30 μ1の薬品を浸し,37・C,24時間培養後に生育匝止帯 の距離を測定した。 S-9併用法7)はラット肝ホモジネート(オリエンタ Kanamycin Antipyrine jレ酵母株式会社)の0.3mlをシャーレに注入し,溶 解させた上記寒天培地を10ml分注,固化させ,直径 8mmのヂ紙ディスクに500-1000μg/30μIの薬品と cofactor(G-6-P, N ADPH, N ADH等,オリエン タノレ酵母株式会社)を浸し, 37

C,24時間培養後に生 育阻止帯の径を測定した. 結 果 1. Rec-assay による実験結果は表1および図1 に示した。 SI,Ap, Ph, Sf, Op については H17 (Recつ, M 45(Rec-)共にわずかの生育阻止帯を認 めた。 Spについては Rec+2 m m, Rec-8 m mであ り,その差6mmを示した。 2. Spore Rec-assay による実験結果は表2およ び図2に示した。 S-9mixの無添加では Ph,An, A m, Sf, Op については生育阻止帯を認めなかった. Mitomycin C Sulpyrine 図 1. Rec-assayプレート 上段 Rec+, 下段

(3)

Rec-表1. Spore Rec-assay による生育阻止帯の距離 Concentration Inhibition 1ength (mm) Drug (μgjdisk) H17 M45 Difference (Rec+) (Rec-) Sodium Salicy1ate 500 2 2 O Aspyrin 1000 1 1 O Phenacetin 500 3 2 Acetaminophen 1000 O O O Antipyrine 1000 O O O Aminopyrine 1000 O O O Su1pyrine 500 2 8 6 Su1finpyrazone 500 3 2 Oxyphenbu tazone 500 2 2 O Mefenamic acid 1000 O O O 表 2. Spore Rec-assay による生育阻止帯の距離

Concent-Drug ration S-9 mix absence (μgjdisk) H17 M45 (Rec+) (Rec叩〉 Sodium Salicy1ate 500 25 27 Aspyrin 500 21 22 Phenacetin 1000 O O Acetaminophen 500 13 14 Antipyrine 1000 O O Aminopyrine 1000 O O Su1pyrine 500 O 19 Su1finpyrazone 1000 O O Oxyphenbu tazone 1000 O O Mefenamic acid 500 8 11 Sl, Ap, Ac, Ma については Rec+,Rec一共に阻 止帯を認め,その差1-3mmであった。 Spについ ては19mmの差を示した。 S-9添加によるものは無 添加の場合に認められたものと同様の薬品でも認めら Inhibition zone (mm) Difference S-9 mix presence Difference H17 H45 (Rec

(Rec-) 2 17 20 3 l 19 23 4 O O O O 1 13 15 2 O O O O O O O O 19 O 29 お

O O O O O O O 3 18 20 2 れ,その差2-4mmであり有意の差を認めなかった。 Sp については29mmの生育閉止帯の差を示し明ら かに代謝活性化が認められた。

(4)

Acetaminophen Sulpyrine 図 2. 胞子を用いた Rec-assayプレート 左 Rec+, 右 Rec-考 察 ある化学物質ζl変異原性があるということは,その 化学物質と DNAとの反応の結果,突然変異として 説明される乙とであり,高等動物でも微生物において も基本的には共通の性質である.しかし微生物は,高 等動物に比べて取り扱いが簡単で,ライフサイクノレが 短時間であるため,多数の検体を同時に迅速に試験で き,更に経費が安価であるという利点もある。これら の点から,微生物を用いた化学物質の変異原性試験が 発癌物質のスク リーニングテストとして供されてきた 的。変異原性試験は修復試験 (repairtest)と復帰変 異試験 (reversiontest)に分けられている。前者の DNA修復機構には組み換え修復 (recombination repair)と除去修復 (excissonrepair)が知られて いる刊)。此度は枯草菌類のDNA修復欠損株および野 生株に同時に薬品を作用させる乙とによって生育感受 性を測定・比較し,DNA修復欠損株K特異的lζ阻害 を生ずる度合を観察した。乙の突然変異株に高い阻害 を示す物質は乙の菌のDNAIζ損傷を起乙し,その修 復されない結果,菌を死滅させ生育阻止帯をつくるこ とになる。そこでKadaらめの方法により B.subti万s の野生株 (H17Rec+)と修復機構の欠損した変異株 M 45 (Rec-)を用いて,基本化学構造式の同ーの解 熱性鎮痛薬数品種ずつについて検討した。即ちサリチ ノレ酸誘導体として SI,Ap,アニリン誘導体として Ph, Ac,ピラゾロン誘導体として An,A m, Sp,ピ ラゾリン誘導体として Op,Sf,非ステロイド性抗炎 症薬としてMaについて生育阻害の程度を観察した。 ζれらの結果は基本化学構造式による特異的な変異原 性を示すような阻害は認められなかったととになる。 生育阻止帯の長さを比較すると SI,Ap, Ph, Sf, Op

については Rec-宇Rec+であり, DNAζ傷害を起I

乙すととなく生育阻害をしたことを示し, Kanamy-cinの抗菌作用が蛋白質合成阻害をおもな原因とする 1 ,)のと類似した阻害があるものと考えられた。 Ac, An, A m, MaはRec+,Rec-の両者に対して生育 阻止を示さなかった薬品であることがわかった。 Sp については強い変異原性のある Mitomycin

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と同 様の様式で Rec->Rec+の生育阻止を示したため, DNA に損傷を起とす物質である乙とが示唆された。 Spore Rec-assay は胞子を4.Cで浮遊液の状態で, きわめて安定lζ長期間保存でき,常に一定な生菌数の 条件で実験できる特性があり,Rec-assayの 利 用 に きわめて有用であった。また晴乳動物の肝臓ミクロゾ ームと上清分画(S-9分画)を加えることにより変異 原性物質の代謝活性化試験も行う乙とができる7,向。 本実験においては, Ph, An, A m, Sf, Op につい て, S-9添加 な らびに無添加で生育阻止を示さなか ったが, Yahagiら1勺まPhの変異原性を復帰変異試 験菌である

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T A 100を使 用し, PCBで誘導したラット肝ミクロゾーム酵素で 活性化処理させても検出できず, PCB処理したハム スター肝酵素で活性化することによって弱いながら検 出している。砂川ら町も同様の方法で Phを検出して いる。 SI,Ap, Ac, Ma についてはS-9添加,無添 加ともに生育阻止域のあることを示したが, Rec一宇 Rec+でほとんど差は認められなかった。Ap,Aclζ

(5)

〉 司.

ついて石館ら14)は Amestestで本実験の結果と同様

に陰性の成績を得ている。 Spについては Rec-assay

の結果と同様に Rec->Rec+と阻止域ζl大きな差を 示した.石館ら14)は復帰変異試験l乙属するAmestest

でSpIζ陽性を示しているが,Rec-assay systemで

Sp ζI陽性を検出した報告はいまだない。 Spについ ては栄養型細胞ならびに S-9添 加,無添加の胞子を 用いたすべての組み換え修復試験で Rec一>Rec+を 示し,その程度に大きな差を示した乙とは,Sp Iとよ りDNAの

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鼠基 l乙変化をきたし,J童生される蛋白質の 構造を変え,それにより致命的な効果をもたらした乙 とが予想される。更に代謝活性化処理により,その程 度の差を大きくしたととは,Spを服用することによ り晴乳動物の体内で Spが代謝活性化され,突然変異 性を強める可能性があり,遺伝子突然変異を誘発した り,細胞染色体異常を誘発するものと考えられ,ひい ては発癌性のあることも示唆される。 要 約 10種類の f~平熱性鎮痛斉IJについて枯草菌による組み換 え修復試験を行った結果, Sulpyrine IC::突然変異原性 のあることがわかった。 本研究にあたり薬品の提供をいただいた鳥取大学医 学部附属病院薬剤部大谷元美先生に深謝いたします。 文 献

1)Mc Cann, J., Choi, E., Yamasaki, E. and Ames, B. N., Proc. Natl.Acad. Sci., U.

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, 72, 5135-5139, 1975.

2) Mc Cann, J. and Ames, B. N., Proc.Natl. Acad. Sci., U. S., 73, 950-954, 1976.

3) Shirasu, Y., Moriya, M., Kato, K.,

Furuhashi, A. and Kada, T., Mutation Res., 40, 19-30, 1976.

4)Nishioka, H., Mutation Res., 31, 185-189,

1975.

5) Kada, T., Jpn. J.Genetics, 48, 30,1 1973.

6) Kada, T., Sadaie, Y. and Tutikawa, K.,

Mutation Res., 16, 156-174, 1972. 7)田島弥太郎,賀田恒夫,近藤宗平,外村 晶編, 環境変異原実験法,講談社サイエンティフィク, pp. 47-56, 1980. 8)平野光一,変異原と毒性,第2集,pp. 54-57, 1978. 9)賀回恒夫,ファノレマシア,10, 502-508, 1974. 10)小田嶋成和,橋本嘉幸編,化学物質と癌の発生, 学会出版センター,東京,pp.11-23, 1978. 11)白須泰彦,松岡 理編,新しい毒性試験と安全性 の評価,ソフ トサイエンス社,東京,pp. 343 347, 1975.

12) Yahagi, T., N agao, M., Matsushima, Y.,

Sugimura, T. and Okada, T., Mutation

Res., 48,12,1 1977. 13)砂}11 隆,井上邦夫,岡本陣公彦,衛生化学 27, 204-211, 1981. 14)石 館 基,吉川邦衛,祖父尼俊雄,衛生試験所報 告 98,1-9, 1980. SUMMARY

Ten kinds of analgesic antipyretics were testedformutagenicity by Rec-assay system with

Bacillussubtilis. Among them, Sulpyrine was revealed tohave a significant mutagenic activity.

表 2 . Spore Rec‑assay  による生育阻止帯の距離 Concent‑ Drug  r a t i o n  S‑9 mix absence  (μgjdisk)  H17  M45  (Rec+)  (Rec 叩〉 Sodium S a l i c y 1 a t e  5 0 0  2 5  2 7  Aspyrin  5 0 0  2 1  2 2  Phenacetin  1 0 0 0  O  O  Acetaminophen  5 0 0  1 3  1 4  Antipyrin

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