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(酸素反応を用いる電気化学的分析法の開発に関する研究)

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 引間

学 位 論 文 題 名

Study of Electrochemical Assay with Enzymatic Reaction

(酸素反応を用いる電気化学的分析法の開発に関する研究)

学位論文内容の要旨

  微分 バル ス ポー ラロ グ ラフ イ― (DPP) は,  ボ ル タン メト リ ーの 一種であり,  溶 液に浸 し た水 銀滴 下 電極 の電 位 を連 統的 に 変化 させ , 電極 に流 れ る電 流値 を 電位 の関 数 とし て言 己 録 し( ポー ラ ログ ラム ) ,電 流の 流 れる 電位 か ら定 性, 電 流値 から 定 量を 行う こ との でき る 分 析法 であ る . DPPは ,  金 属な ど の無 機物 ば かり でな く ,  医薬 品 のよ うな 有 機物 に対 し て も. その 定 量や 電気 化 学的 性質 の 研究 が行 わ れ, 化学 工 業等 の実 用 分析 にも 応 用さ れた . し か し ,DPPで 測 定 不 可 能 な 物 質 も 多 く ,  こ れ ら を 検 出 す る た め に 酵素 反 応と 組み 合 わ せた定量法 はほとんどない.

  ま た , 酵 素 セ ン サ ー は , 電 極 上 に 固 定 し た酵 素が 被 分析 物の 変 換反 応を 触 媒す る際 に 消 費 ,  また は ,生 成す る 化学 種を 検 出し て被 分析物 の定量を行うもの である,  酵素セ ンサー は ,酵 素反 応 の特 異性 に よっ て選 択 性が 高く , 操作 が簡 便 であ るこ と が特 徴で あ る,  し か し ,  それらの ほとんどは,酵素 反応によって消費,  または,生成す る酸素,  過酸化 水素,

補 酵素のどれか を検出するもので あり,  また,検出 電位を負電位に設 定するものは少ナ ょい.

  そこ で本 研 究で は,  第1に ,  特異 的 な酵 素反 応 と高 感度 な 微分 パルスポ―ラログ ラフィ ー を 組 み 合 わ せ た 有 機 酸 の 定 量 法 の 開 発 を 試み た.  そし て第2に, 酵 素ー ポー ラ ログ ラ7 定 量 法 の 原 理 を 応 用 し た , 新 し い 型 の 酵 素 セン サー の 開発 を検 討 した .対 象 とす る有 機 酸 と して は, 臨 床分 析, 食 品分 析に お いて 重要 で ,  ポー ラ ログ ぅフ ィ ーに よっ て 酸化 還元 電 流を測定す ることができない ,  クエン酸とL―乳酸を選 んだ.

  本論文は ,  7章からなる,  第1章は,  序論であり,  ポ―うログうフイ―,  および,  酵素 センサーの 簡単な歴史と特徴 を示し,  本研究 の目的を述べた.

  第2章 では ,  溶 存酵 素と微分 パルスポーラログラ フイーを組み合わ せた,  クエン酸 ,  ま たは,L一乳酸の定量法の開発にっいて検討した,  それらの原理は,  クエン酸,  または,  L一 乳 酸 を 含 む 試 料 に ,  ク エ ン 酸 リ ァ ← ゼ (CL) 十 オ キ サ ロ 酢 酸 デ カ ル ボキ シラ ー ゼ(OAD C), ま たは ,  乳 酸オ キシ ダ ーゼ (LO) を加 えて 一 定時 間変 換 反応 させ,  生成した ピルピ ン 酸 をDPPに よ っ て 検 出 す る 単 純 な も の で あ る ,  こ れ ら の 方 法 は ,  試 料 量 が50ロ1以 下 と少なくて済 み,  また,操作 も迅速,  簡便であ る,  さらに,本 法は酵素の特異性 によっ

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て 高 選 択 的 で あ り ,  電 解 反 応に 基 づくDPPを 用い る こと によ り 高感 度で あ る.  こ れ らの 方 法 の 検 出 限 界 は 共 に 酵 素 反 応 溶 液 中 で 約0,3ロmol/lで あっ た.  また ,  DPP測 定 時の 妨害 とな る ,  タンパ タ質(酵素),また は,過酸化水素の 除去法にっいても 検討した,  さら に.  セッコウ ,  スポーツドリン ク中のクエン酸,  または,  乳製品中のLー乳酸の定量に応用 し、良好な結果 が得られた,

  第3章 では ,  第2章の 応用 と して ,  微 分パ ルス ポ ーラ ログ ラ フイ ーに よ る酵 素( ク エン 酸リ ア― ゼ ,  乳酸オ キシダーゼ)活性,  および,速度論 的定数(ミカエリ ス定数)の測定法 の開 発に っ いて述べた ,  これらは,  過 剰量の基質存在下 で反応速度を測定 するものである.

こ れ ま で , 酵 素 活 性 の 測 定 は 主 に 吸 光 光 度 法 で 行 わ れて きた が ,本 研究 に おい て微 分 パル スポ ―う 口 グラ フィ ― によ る,  より 高感 度 ,  高精 度な 優れた測定法を開 発することができ た .  ま た, 少量 の 酵素 を用 い て, 酵素 の 定量 や酵 素 反応 の速 度 論的 取り 扱 いを 簡便 迅 速に 行 う こ と が 司 能 と な っ た .  得 ら れ た 値 を 文 献 値 と 比 較 し た 結 果 は 良 好 で あ っ た .   _ 第4章 で は , 酵 素 の 反 復 有 効利 用と 操 作の 簡易 , 迅速 化の た めに ,酵 素 を固 定化 し てり アク ター を 作製 し,  クエ ン酸 ,  または,L―乳酸の微分 パルスポーうログ ぅフ定量法への応 用に っい て 検討 した ,  こ れら は 固定 化酵 素 をカ ラム に詰 めてりアクターと し,  これに試料 溶 液 を 通 し て 変 換 し ,DPPで 測 定 す る も の で あ る ,  第1に,  これ まで に 例の ない ク エン 酸 リ ア ー ゼ の ポ リ ァ ク リ ル ア ミド ゲ ル中 への 包 括固 定化 を 試み た.  リア クタ ー は6日 間安 定で あっ た .  第2章1ごお ける 溶 存の クエ ン 酸リ アー ゼを 用いぁ定量法に比 べて,  除タンパ ク 操 作 が 不 要 と な っ た た め に 操 作 が 簡 便 と な っ た こ と と ,CL,  OADCの2つ 酵 素 を 初 めて 固定 化 し,  こ れ らの 反復 利 用が 可能 と なっ たこ と から 有用 な 定量 法で ある,  第2に,

固 定 化 担 体 と し て 用 い ら れ た 例 の 少 な い キ ト パ ー ル への 乳酸 オ キシ ダー ゼ の共 有結 合 固定 化を 行っ た .  この 固 定化 酵素 リ アク ター は40月 以上 も 使用 可能 で あっ た.  さらに ,  第3 章の 酵素 活 性測 定法 を 用い て酵 素 固定 化率 を 求め るこ とも 可能であった.  また,  この固定 化酵素リアクタ ―によって,  さら に迅速,  かつ,  簡便なL一乳酸定量法を開 発することがで きた .  こ れら の検 出 限界 は,  リアクターに注 入する試料中で共に 約O,6皿mol/lであった,

これらの方法を ,  ワイソ中のクエ ン酸,  または, 動物血清中のL一乳酸の定量 に応用し,  そ の有用性を確か めた.

    第5章では,  さらに ,  簡便性を高め るために,  キトパ ールを用いる固定 化乳酸オキシダ ー ゼ リ ア ク タ ー と 静 止 水 銀 滴 亀極 を 用い るポ ー ラロ グラ フ 的な 還元 電 流検 出器 に よるL―乳 酸 の フ ロ ーイ ンジ ェ クシ ョン 分 析装 置を 作 製し た,  測定 の妨 害 とな る試 料 中の 溶存 酸 素は ODS― カ ラム に よっ て分 離 され ,  10試料/時間 の測 定 が可 能で あ る.  ま た ,  酵素 リ アク タ ― は ,  10月 間 の 反 復 使 用 が 可 能 で あ っ た .200皿mol/lのLー 乳 酸 に 対 す る 相対 標 準偏 差 は2.8% , 検 出 限 界 は 注 入 試 料 中 で99皿mol/lで あ っ た , 本 装 置 の 感 度 は 従 来 の 吸 光 光 度 検 出 器 を 用 い る も の よ り100倍 ほ ど 高 く ,  ま た , 他 の 電 気 化 学 検 出 器 に 比べ て アス   コ ルビ ン 酸な どの 酸 化性 物質 に 妨害 され な いな どの 利点 がある,  本装置 を用いてヒト血清

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中のL一乳酸の定量に応用し,良い結果が得られた,

  第6章では,  より汎用性の高い定量法として,酵素―ポーラログラフ定量法の原理を応 用するなどの,  これまでにない新しい原理による酵素センサ―を作製した.  第1に,  水銀 薄膜電極を用いる酵素センサーの開発を検討した.  このセンサーは,  酵素ーポーラログラ フ定量法と同様に,  酵素反応による生成物,  ピルビン酸の還元電流を測定するものであり,

上述 のDPPを 用い る 方法よ り簡便である.  その定量範 囲は05−3.Ommol/lで,  1.O mmol/lのクエン酸に 対する相対標準偏差は4,8% であった.  第2に,特異的な酵素反応 とキトサン膜の酸素に対する透過選択性を利用して選択性の高いL一乳酸センサ―を開発し た.  その原理は,  L  oによる変換反応の際に消費される酸素を検出するものである.  この センサーは,  一般に酵素の阻害剤である水銀の薄膜電極を用いても,  長期に渡って(28日 間)安定であった,  定量範囲は10.O−300皿mol/l,50ロmol/lのLー乳酸に対する相対標準 偏差は14Xで,  検出 限界は試料注人後の電解セ ル中で6.4肛mol/lであった ,  また,

キトサン膜の酸素に対する透過選択性を実験的に確かめた.  さらに,  このセンサーを用い てヒト血清中のLー乳酸の定量を行い,  その有用性を確かめた.  第3に,  微分パルスアンペ ロメトリ ク検出法を用いて高感度なL一乳酸セソサ―を開発した.  このセンサ―は,  酵素 反応の特異性と微分パルス法の選択性によって高選択的なセンサーである,  その原理は,

乳酸デヒド口ゲナーゼによって消費されるNAD゛(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレ オチド)の還元電流を測定するものである、定量範囲は0.05―05 mmol/lで,0.25 mmol/l   のLー乳酸に対する相対標準偏差は5.OXであった.  また,NAD゛透過性の酵素固定化膜 の選択にっいても検討した.

    第7章では,  本研究によって得られた成果を総括した.

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

授   長谷部 授多賀 授    魚 崎 授    中 村

光 浩

学  位  論  文  題  名

St udy  of  Elec trochemical  Assay  Nith  Enzymatic  Reaction

(酵 素反 応 を用 いる 電気 化学 的 分析法の開発に関する研究 )

  申 請者 は,  高 感 度か つ高 選択 的な 定 量法 とし て, 酵 素反 応を 用い る電 気 化学 的分 析法 の開 発を 試み て いる ,  この 中で ,  溶存酵素または固定化 酵素による変換反応後 に,  微 分パ ルス ポ ーラ ログ ラフ イ− [DPP] に よっ て測 定する 方法と,  このポーラ ロ グ ラ フ 定 量 法 の 原 理 を 応 用 し た 新 し い 型 の 酵 素 セ ンサ ーの 開 発を 検射 して いる . これ らの 方法 によ っ て,  食 品お よび 生 体試 料中 のク エ ン酸とL―乳酸の高感度かっ高 選択的な定量法を開発し,  良好な結果を得ている.

  本論文は,  7章からなる,  第1章は,  序論であり,  ポ―ラログラフイ−,  および|

酵 素 セ ン サ ー の 簡 単 な 歴 史 と 特 徴 を 示 し ,  本 研 究 の 目 的 を 述 べ て い る .   第2章 で は ,  溶 存 酵 素 とDPPを 組 み 合 わ せ た ク エ ン 酸 ま た はL― 乳 酸 の 定 量法 の 開発 にっ いて 検討 し てい る.  そ れら の原理は,  試料に酵素を 加えて一定時間変換反 応 さ せ ,  生 成 し た ピ ル ビン 酸をDPPによ って 検 出す る単 純な も ので ある が,  用 い る試 料量 が少 なく ,  吸 光光 度法 より も操作が迅速,  簡便で,  かっ高感度である.

  第3章 で は ,  第2章 の 応 用 と し て ,DPPに よ る 酵 素 活 性 の 測 定 法 の 開 発 に っ い て述 べて いる .  こ れら は,  過 剰量 の基質存在下で反応速度を 剛定するものである.

これ まで の酵 素活 性 の測 定は 主に 吸光 光 度法 で行 われ て きた が,  本 研究 に よっ て,

用 い る 酵 素 が 少 量 でDPPに よ っ て よ り 高 感 度 か っ 高 精 度 な 優 れ た 測 定 法 が 開 発 さ れ,  改善がみられている.

  第4章で は ,  酵素の反復有効利用と 操作の簡易,  迅速化のた めに,  酵素を固定化 し て り ア ク タ ー を 作 製 し ,  ク エ ン 酸 ま た はLー 乳酸 のDPP定 量 法へ の応 用に っい て

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清 彦 平 博 教

教 教 教

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検討している.    その1 っとして,   これまでに固定化例のないクエン酸リアーゼのポ リアクリルアミドゲル中への包括固定化を試みている.    リアクターは 6 日間安定で ある,   ここでは,    第2 章における溶存酵素を用いる定量法に比べて操作がさらに簡 便となったことと,   クエン酸リアーゼを初めて固定化し,   これらの反復利用が可能 としたことが新しい点である.  2 つ目に,   固定化担体として用いられた例の少ない キトバールへの乳酸オキシダーゼの共有結合固定化を行っている.   この固定化酵素 リァクターは40 月以上も使用可能である.    さらに,    第 3 章の酵素活性測定法を用 いて酵素固定化率を求めることができることを確かめている,   これらの固定化酵素 リア クターによって,    溶存酵素法よりも迅速かっ簡便な定量法を開発している.

   第5 章では,    さらに,   簡便性を高めるために,    固定化酵素リアクタ―とポ―ラロ グラフ検出器を用いる L ―乳酸のフローインジェクション分析装置を作製している.

測定 の妨害と なる試料 中の溶 存酸索はODS ーカラムによって分離される.    また,

酵素リアクターは,   約10 月間の反復使用が可能であり,   感度は従来の吸光光度検 出器を用いるものより 100 倍ほど向上している.    また,   他の電気化学検出器に比 べてアスコルピン酸などの酸化されやすい物質に妨害されないこと等が利点である,

   第6 章では,    より汎用性の高い定量法として,   酵素―ポーラログラフ定量法を応 用するなどの新しい原理に基づく酵素センサーを作製している.    第1 に,    水銀薄膜 電極を用いる酵素センサーの構築である.   このセンサーは,   酵素反応による生成物,

ピル ピン酸の 還元電流 を測定 する全く新しいものであり,   上述のDPP を用いる方 法よりもさらに簡便である,   第2 に,   特異的な酵素反応とキトサン膜の酸素に対す る透過選択性を利用して選択性の高い,   酸素検出型のL ―乳酸センサーを開発してい る,    開発したセンサ―は,一般に酵素の阻害剤である水銀の薄L 膜亀極を用いても,

長期に渡って(28 日間)安定である,   また,   キトサン膜の酸素に対する透過選択性を 実験的に確かめている.    第3 に,   これまで酵素センサーに用いられたことのない微 分バルスアンペロメトリ・ y ク検出法を用いて高感度なL ―乳酸センサーを作製してい る.   このセンサーは,   酵素反応の特異性と微分パルス法の選択性によって高選択的 なセンサーである.   この中で酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド[NAD ゛]

透過性の酵素固定化膜の選択にっいても検討している,

   第7 章では,    本研究によって得られた成果を総括している.

     以上のように申請者は,    酵素反応を組み合わせた微分パルスポーラログラフィー

および電気化学的酵素センサーにより数種の有機酸の高感度かっ高選択的,   さらに

迅速,   簡便な分析法を種々開発している..これらの研究は,   電気分析化学に関する

研究の発展に寄与するところが大である.   参考論文は,11 編ありいずれも国内外の

権威ある学術雑誌に掲載されたものである,    ここに審査員一同は最終試験の結果と

合わせ,   申請者が博士(理学)の学位を受けるに十分な資格を有すると認定した.

参照

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