博 士 ( 理 学 ) 引間
学 位 論 文 題 名
Study of Electrochemical Assay with Enzymatic Reaction
(酸素反応を用いる電気化学的分析法の開発に関する研究)
学位論文内容の要旨
微分 バル ス ポー ラロ グ ラフ イ― (DPP) は, ボ ル タン メト リ ーの 一種であり, 溶 液に浸 し た水 銀滴 下 電極 の電 位 を連 統的 に 変化 させ , 電極 に流 れ る電 流値 を 電位 の関 数 とし て言 己 録 し( ポー ラ ログ ラム ) ,電 流の 流 れる 電位 か ら定 性, 電 流値 から 定 量を 行う こ との でき る 分 析法 であ る . DPPは , 金 属な ど の無 機物 ば かり でな く , 医薬 品 のよ うな 有 機物 に対 し て も. その 定 量や 電気 化 学的 性質 の 研究 が行 わ れ, 化学 工 業等 の実 用 分析 にも 応 用さ れた . し か し ,DPPで 測 定 不 可 能 な 物 質 も 多 く , こ れ ら を 検 出 す る た め に 酵素 反 応と 組み 合 わ せた定量法 はほとんどない.
ま た , 酵 素 セ ン サ ー は , 電 極 上 に 固 定 し た酵 素が 被 分析 物の 変 換反 応を 触 媒す る際 に 消 費 , また は ,生 成す る 化学 種を 検 出し て被 分析物 の定量を行うもの である, 酵素セ ンサー は ,酵 素反 応 の特 異性 に よっ て選 択 性が 高く , 操作 が簡 便 であ るこ と が特 徴で あ る, し か し , それらの ほとんどは,酵素 反応によって消費, または,生成す る酸素, 過酸化 水素,
補 酵素のどれか を検出するもので あり, また,検出 電位を負電位に設 定するものは少ナ ょい.
そこ で本 研 究で は, 第1に , 特異 的 な酵 素反 応 と高 感度 な 微分 パルスポ―ラログ ラフィ ー を 組 み 合 わ せ た 有 機 酸 の 定 量 法 の 開 発 を 試み た. そし て第2に, 酵 素ー ポー ラ ログ ラ7 定 量 法 の 原 理 を 応 用 し た , 新 し い 型 の 酵 素 セン サー の 開発 を検 討 した .対 象 とす る有 機 酸 と して は, 臨 床分 析, 食 品分 析に お いて 重要 で , ポー ラ ログ ぅフ ィ ーに よっ て 酸化 還元 電 流を測定す ることができない , クエン酸とL―乳酸を選 んだ.
本論文は , 7章からなる, 第1章は, 序論であり, ポ―うログうフイ―, および, 酵素 センサーの 簡単な歴史と特徴 を示し, 本研究 の目的を述べた.
第2章 では , 溶 存酵 素と微分 パルスポーラログラ フイーを組み合わ せた, クエン酸 , ま たは,L一乳酸の定量法の開発にっいて検討した, それらの原理は, クエン酸, または, L一 乳 酸 を 含 む 試 料 に , ク エ ン 酸 リ ァ ← ゼ (CL) 十 オ キ サ ロ 酢 酸 デ カ ル ボキ シラ ー ゼ(OAD C), ま たは , 乳 酸オ キシ ダ ーゼ (LO) を加 えて 一 定時 間変 換 反応 させ, 生成した ピルピ ン 酸 をDPPに よ っ て 検 出 す る 単 純 な も の で あ る , こ れ ら の 方 法 は , 試 料 量 が50ロ1以 下 と少なくて済 み, また,操作 も迅速, 簡便であ る, さらに,本 法は酵素の特異性 によっ
て 高 選 択 的 で あ り , 電 解 反 応に 基 づくDPPを 用い る こと によ り 高感 度で あ る. こ れ らの 方 法 の 検 出 限 界 は 共 に 酵 素 反 応 溶 液 中 で 約0,3ロmol/lで あっ た. また , DPP測 定 時の 妨害 とな る , タンパ タ質(酵素),また は,過酸化水素の 除去法にっいても 検討した, さら に. セッコウ , スポーツドリン ク中のクエン酸, または, 乳製品中のLー乳酸の定量に応用 し、良好な結果 が得られた,
第3章 では , 第2章の 応用 と して , 微 分パ ルス ポ ーラ ログ ラ フイ ーに よ る酵 素( ク エン 酸リ ア― ゼ , 乳酸オ キシダーゼ)活性, および,速度論 的定数(ミカエリ ス定数)の測定法 の開 発に っ いて述べた , これらは, 過 剰量の基質存在下 で反応速度を測定 するものである.
こ れ ま で , 酵 素 活 性 の 測 定 は 主 に 吸 光 光 度 法 で 行 わ れて きた が ,本 研究 に おい て微 分 パル スポ ―う 口 グラ フィ ― によ る, より 高感 度 , 高精 度な 優れた測定法を開 発することができ た . ま た, 少量 の 酵素 を用 い て, 酵素 の 定量 や酵 素 反応 の速 度 論的 取り 扱 いを 簡便 迅 速に 行 う こ と が 司 能 と な っ た . 得 ら れ た 値 を 文 献 値 と 比 較 し た 結 果 は 良 好 で あ っ た . _ 第4章 で は , 酵 素 の 反 復 有 効利 用と 操 作の 簡易 , 迅速 化の た めに ,酵 素 を固 定化 し てり アク ター を 作製 し, クエ ン酸 , または,L―乳酸の微分 パルスポーうログ ぅフ定量法への応 用に っい て 検討 した , こ れら は 固定 化酵 素 をカ ラム に詰 めてりアクターと し, これに試料 溶 液 を 通 し て 変 換 し ,DPPで 測 定 す る も の で あ る , 第1に, これ まで に 例の ない ク エン 酸 リ ア ー ゼ の ポ リ ァ ク リ ル ア ミド ゲ ル中 への 包 括固 定化 を 試み た. リア クタ ー は6日 間安 定で あっ た . 第2章1ごお ける 溶 存の クエ ン 酸リ アー ゼを 用いぁ定量法に比 べて, 除タンパ ク 操 作 が 不 要 と な っ た た め に 操 作 が 簡 便 と な っ た こ と と ,CL, OADCの2つ 酵 素 を 初 めて 固定 化 し, こ れ らの 反復 利 用が 可能 と なっ たこ と から 有用 な 定量 法で ある, 第2に,
固 定 化 担 体 と し て 用 い ら れ た 例 の 少 な い キ ト パ ー ル への 乳酸 オ キシ ダー ゼ の共 有結 合 固定 化を 行っ た . この 固 定化 酵素 リ アク ター は40月 以上 も 使用 可能 で あっ た. さらに , 第3 章の 酵素 活 性測 定法 を 用い て酵 素 固定 化率 を 求め るこ とも 可能であった. また, この固定 化酵素リアクタ ―によって, さら に迅速, かつ, 簡便なL一乳酸定量法を開 発することがで きた . こ れら の検 出 限界 は, リアクターに注 入する試料中で共に 約O,6皿mol/lであった,
これらの方法を , ワイソ中のクエ ン酸, または, 動物血清中のL一乳酸の定量 に応用し, そ の有用性を確か めた.
第5章では, さらに , 簡便性を高め るために, キトパ ールを用いる固定 化乳酸オキシダ ー ゼ リ ア ク タ ー と 静 止 水 銀 滴 亀極 を 用い るポ ー ラロ グラ フ 的な 還元 電 流検 出器 に よるL―乳 酸 の フ ロ ーイ ンジ ェ クシ ョン 分 析装 置を 作 製し た, 測定 の妨 害 とな る試 料 中の 溶存 酸 素は ODS― カ ラム に よっ て分 離 され , 10試料/時間 の測 定 が可 能で あ る. ま た , 酵素 リ アク タ ― は , 10月 間 の 反 復 使 用 が 可 能 で あ っ た .200皿mol/lのLー 乳 酸 に 対 す る 相対 標 準偏 差 は2.8% , 検 出 限 界 は 注 入 試 料 中 で99皿mol/lで あ っ た , 本 装 置 の 感 度 は 従 来 の 吸 光 光 度 検 出 器 を 用 い る も の よ り100倍 ほ ど 高 く , ま た , 他 の 電 気 化 学 検 出 器 に 比べ て アス コ ルビ ン 酸な どの 酸 化性 物質 に 妨害 され な いな どの 利点 がある, 本装置 を用いてヒト血清
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中のL一乳酸の定量に応用し,良い結果が得られた,
第6章では, より汎用性の高い定量法として,酵素―ポーラログラフ定量法の原理を応 用するなどの, これまでにない新しい原理による酵素センサ―を作製した. 第1に, 水銀 薄膜電極を用いる酵素センサーの開発を検討した. このセンサーは, 酵素ーポーラログラ フ定量法と同様に, 酵素反応による生成物, ピルビン酸の還元電流を測定するものであり,
上述 のDPPを 用い る 方法よ り簡便である. その定量範 囲は05−3.Ommol/lで, 1.O mmol/lのクエン酸に 対する相対標準偏差は4,8% であった. 第2に,特異的な酵素反応 とキトサン膜の酸素に対する透過選択性を利用して選択性の高いL一乳酸センサ―を開発し た. その原理は, L oによる変換反応の際に消費される酸素を検出するものである. この センサーは, 一般に酵素の阻害剤である水銀の薄膜電極を用いても, 長期に渡って(28日 間)安定であった, 定量範囲は10.O−300皿mol/l,50ロmol/lのLー乳酸に対する相対標準 偏差は14Xで, 検出 限界は試料注人後の電解セ ル中で6.4肛mol/lであった , また,
キトサン膜の酸素に対する透過選択性を実験的に確かめた. さらに, このセンサーを用い てヒト血清中のLー乳酸の定量を行い, その有用性を確かめた. 第3に, 微分パルスアンペ ロメトリ ク検出法を用いて高感度なL一乳酸セソサ―を開発した. このセンサ―は, 酵素 反応の特異性と微分パルス法の選択性によって高選択的なセンサーである, その原理は,
乳酸デヒド口ゲナーゼによって消費されるNAD゛(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレ オチド)の還元電流を測定するものである、定量範囲は0.05―05 mmol/lで,0.25 mmol/l のLー乳酸に対する相対標準偏差は5.OXであった. また,NAD゛透過性の酵素固定化膜 の選択にっいても検討した.
第7章では, 本研究によって得られた成果を総括した.
学位論文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
授 長谷部 授多賀 授 魚 崎 授 中 村
光 浩
学 位 論 文 題 名
St udy of Elec trochemical Assay Nith Enzymatic Reaction
(酵 素反 応 を用 いる 電気 化学 的 分析法の開発に関する研究 )
申 請者 は, 高 感 度か つ高 選択 的な 定 量法 とし て, 酵 素反 応を 用い る電 気 化学 的分 析法 の開 発を 試み て いる , この 中で , 溶存酵素または固定化 酵素による変換反応後 に, 微 分パ ルス ポ ーラ ログ ラフ イ− [DPP] に よっ て測 定する 方法と, このポーラ ロ グ ラ フ 定 量 法 の 原 理 を 応 用 し た 新 し い 型 の 酵 素 セ ンサ ーの 開 発を 検射 して いる . これ らの 方法 によ っ て, 食 品お よび 生 体試 料中 のク エ ン酸とL―乳酸の高感度かっ高 選択的な定量法を開発し, 良好な結果を得ている.
本論文は, 7章からなる, 第1章は, 序論であり, ポ―ラログラフイ−, および|
酵 素 セ ン サ ー の 簡 単 な 歴 史 と 特 徴 を 示 し , 本 研 究 の 目 的 を 述 べ て い る . 第2章 で は , 溶 存 酵 素 とDPPを 組 み 合 わ せ た ク エ ン 酸 ま た はL― 乳 酸 の 定 量法 の 開発 にっ いて 検討 し てい る. そ れら の原理は, 試料に酵素を 加えて一定時間変換反 応 さ せ , 生 成 し た ピ ル ビン 酸をDPPによ って 検 出す る単 純な も ので ある が, 用 い る試 料量 が少 なく , 吸 光光 度法 より も操作が迅速, 簡便で, かっ高感度である.
第3章 で は , 第2章 の 応 用 と し て ,DPPに よ る 酵 素 活 性 の 測 定 法 の 開 発 に っ い て述 べて いる . こ れら は, 過 剰量 の基質存在下で反応速度を 剛定するものである.
これ まで の酵 素活 性 の測 定は 主に 吸光 光 度法 で行 われ て きた が, 本 研究 に よっ て,
用 い る 酵 素 が 少 量 でDPPに よ っ て よ り 高 感 度 か っ 高 精 度 な 優 れ た 測 定 法 が 開 発 さ れ, 改善がみられている.
第4章で は , 酵素の反復有効利用と 操作の簡易, 迅速化のた めに, 酵素を固定化 し て り ア ク タ ー を 作 製 し , ク エ ン 酸 ま た はLー 乳酸 のDPP定 量 法へ の応 用に っい て
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