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【 結果】予備調 査では,

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 藤 澤 雅 子

学 位 論 文 題 名

歯科衛生士における道徳的感性測定尺度の開発      一信頼性と妥当性の検討一

学位論文内容の要旨

【 目 的 】 歯 科 衛 生 士 教 育 に お い て , 学 生 は 歯 科 衛 生 の 専 門 家 と し て の 倫 理 観 を 身 に っ け る こ と が 必 要 で あ る . そ れ に は , 臨 床 現 場 で 働 い て い る 歯 科 衛 生 士 の 道 徳 的 感 性 の 特 徴 を 明 ら か に し , そ の 結 果 を も と に 歯 科 衛 生 士 教 育 に 応 用 す る の が 効 果 的 で あ る と 思 わ れ る . し か し , 現 在 の と こ ろ , 歯 科 衛 生 士 の 道 徳 的 感 性 を 客 観 的 に 測 る 尺 度 は 開 発 さ れ て い な い . そ こ で 本 研 究 は , 歯 科 衛 生 士 に 対 す る 道 徳 的 感 性 測 定 尺 度 (Moral Sensitivity Test for Dental HygienistMST‑DH) を 開 発 し , そ の 信 頼 性 と 構 成 概 念 妥 当 性 を 検 討 す る こ と を 目 的 と し た .

【 方 法 】 道 徳 的 感 性 の 尺 度 概 念 は ,Lutzenら に よ っ て 提 唱 さ れ た (1) 対 人 関 係 に お け る 内 省 的 態 度 ,(2)道 徳性 の構 築, (3) 情を 示す ,(4)自 立の 制限 ,(5) 葛藤 体 験 , (6) 医 師 の 判 断 へ の 信 頼 の6つ の 要 素 を 採 用 し た . 次 い で ,LutzenNordinMoral Sensitivity Test (MST), お よ び 中 村 ら のMST( 日 本 語 版 ) の 尺 度 項 目 を 参 考 に , 歯 科 医 師 ・ 歯 科 衛 生 士 ら に よ っ て 歯 科 衛 生 士 の 業 務 内 容 に っ い て 内 容 的 妥 当 性 を 検 討 し な が ら ,6因 子 を 仮 定 し た48項 目 の 尺 度 原 案 を 作 成 し た . こ の 尺 度 原 案 を 使 っ て , 臨 床 現 場 に 勤 務 す る 歯 科 衛 生 士 101名 を 対 象 に 予 備 調 査 を 行 っ た . 各 項 目 で 「 全 く 当 て は ま ら な い 」 〜 「 す べ て 当 て は ま る 」 の 6段 階 (16点 ) と し た 質 問 紙 を 作 成 し た . 予 備 調 査 の 結 果 , 項 目 分 析 で は 天 井 効 果 お よ び フ ロ ア 効 果 の 見 ら れ た 項 目 を 削 除 し た . ま た , 尺 度 の 内 的 整 合 性 を 高 め る た め に , 主 因 子 法 に よ る 因 子 分 析 を 行 い , 因 子 負 荷 量 が0.3未 満 の 項 目 を 削 除 し た . 尺 度 原 案48項 目 か ら こ れ ら の 項 目 を 削 除 し . , 残 っ た 項 目 をMST‑DHの 尺 度 項 目 と し て 選 定 し た .

  本 調 査 で は , 臨 床 現 場 に 勤 務 す る 歯 科 衛 生 士581名 ( 平 均 年 齢36.1103 歳 , 平 均 経 験 年 数12.58.9年 ) お よ び 歯 科 助 手80名 ( 平 均 年 齢27.879 歳 , 平 均 経 験 年 数 5.85.7年 ) を 対 象 にMST‑DHの 信 頼 性 と 構 成 概 念 妥 当 性 を 検 討 し た . 本 尺 度 の 信 頼 性 はCronbachQ係 数 か ら 判 定 し た 。 妥 当 性 は , 主 因 子 法 , バ リ マ ヅ ク ス 回 転 に よ る 因 子 分 析 を 行 い , 因 子 構 造 を 確 認 す る 因 子 分 析 に よ る 検 討 と 「 歯 科 衛 生 士 群 が 歯 科 助 手 群 よ り 道 徳 的 感 性 は 高 い 」 と い う 仮 説 検 証 法 で , 最 も 人 数 の 多 い 年 齢 層 (20 29歳 ) の 歯 科 衛 生 士 群 と 歯 科 助 手 群 と の 間 でMST‑DHの 総 合 得 点 (6つ の 下 位 尺 度 の 項 目 得 点 の 合 計 点 ) の 平 均 値 を 求 め , 対 応 の な いt‑検 定 に よ り 比 較 し た .

548

(2)

  

本研究は北海道大学大学院歯学研究科・歯学部倫理委員会の承認を得た上 で行った.

【 結果】予備調 査では,

MST‑DH

の尺度原案48 項目の平均値と標準偏差を算 出し,天井効果とフロア効果の見られた

5

項目を削除した.残った43 項目に ついて主因子法による因子分析を行い,因子負荷量が

0.3

未満の21 項目を削 除した結果,

22

項目が選定された.

    

本調査では,MST‑DH の因子構造を確認するために

22

項目について主因子 法,バリマックス回転による因子分析を行った.結果,22 項目すべてが選出 され,6 因子が抽出された.第

1

因子(寄与率21. 29 %)には「歯科医師の判断 へ の信頼」に関 する

4

項目,第

2

因子(寄与率

9.74

%)には「葛藤の体験」

に 関する

7

項目, 第

3

因子(寄与率6.52 %)には「対人関係における内省的 態 度」に関する

3

項目,第4 因子(寄与率

6.38

%)には「道徳性の構築」に 関する

4

項目,第

5

因子(寄与率

5.40

%)には「情を示す」に関する2 項目,

そ して第

6

因子( 寄与率

4.81

%)には「自立の制限」に関する2 項目が抽出 された,6 因子の累積寄与率は5 4.14 %であった.本尺度の信頼性は,Cronbach の

a

係数で0.82 であった.構成概念妥当性の検討においてf よ,因子分析によ る 検証で

6

因子が 抽出され,これは予想していた

6

つの因子とほぱ同じであ っ た.さらに,

20

〜29 歳の歯科衛生士群と歯科助手群のMST‑DH の総合得点 の平均値を比較する仮説検証法では,歯科衛生士群の平均値は

88.59 ‑ 9.23

(標準偏差),歯科助手群の平均値は85.04 ±10.19 (標準偏差)であり,歯科 衛 生 士群 は 歯科 助 手群 に 比べ て

MST‑DH

の平 均 値が有意に 高かった(p く

0.05

)‐

【 考察】

MST‑DH

の信頼性の検討では,対象者のプライバシーを尊重し,匿 名性を保持したので,調査を2 回実施する安定性の検討が不可能であった.

し かし,一貫性 による検討で は

1

回の調査のみ で算出可能な信頼性係数,

Cronbach

a

係数を求めたところ,0.82 と高い値を示した.同時に,

Cronbach

a

係数が

0.8

以上の場合,折半法の信頼係数推定値も同様の結果が得られ る こ と か ら ,

MST‑DH

は 信 頼 性 を 有 す る 尺 度 で あ る と ぃ え る 。

  

妥当性の検討では,尺度原案の作成時に内容的妥当性を検討した.構成概 念妥当性については,因子分析による検討と仮説検証法による検討の2 っの 手 法で検証した .その結果,どちらの手法で評価しても,MST‑DH は一定の 構成概念妥当性を備えていると解釈できた.しかし,基準関連度妥当性にお ける併存的妥当性は外的基準となるテストが見当たらなかったため検証でき なかった.また,予測的妥当性についても,対象者のプライバシーを尊重し,

匿名性を保持したため,検証していない。

  

本 調査の限界は ,対象者が全国の歯科衛生士の年齢別構成と比べると

20

代 が占める割合 より

40

50

代が調査に協カしてくれたという可能性を否定 できないことから,調査対象者が歯科衛生士の代表性を持っているとは言え ないことである.さらに,前述したように,対象者のプライバシーを尊重し た ことから,

MST‑DH

の信頼性における安定性と基準関連妥当性の検証を行 っていないことである.今後は,弓|き続き,MST‑DH の信頼性と妥当性を検 討するための研究を重ねていくことが課題といえる・

【 結諭】

MST‑DH

は,内的整合性による信頼性を確保しており,構成概念妥

549

(3)

当性をおおむね確保していることが確認された.従って,本尺度は一定の信 頼性と妥当性を有し,今後,歯科の臨床現場や歯科衛生士教育で活用できる ことが示唆された.

550

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

歯科衛生士における道徳的感性測定尺度の開発      ー信頼性と妥当性の検討ー

  審査は,3名の審査 員が一同 に行った .試験は 口頭試問の 形式で,学位申請論 文の内容 とそれに 関連した 学科目に ついて行われた,以下に提出論文の要旨と審 査の内容 を述べる .

  歯科 衛生士は ,歯科衛 生の専門家 としての 倫理観を 身にっけ ることが必要であ ると 考えられ る,それ には,臨床 現場で働 いている 歯科衛生 士の道徳的感性の特 徴を 明らかにし,その結果をもとに歯科衛生士教育に応用するのが効果的である.

しか し,現在 のところ ,歯科衛生 士の道徳 的感性を 客観的に 測る尺度は開発され て い ない . そこ で 本 研究 は ,歯 科 衛 生士 に対 する道徳 的感性測定 尺度( Moral Sensitivity Test for Dental HygienistMST‑DH)を開発し,その信頼性と構成概念妥 当性 を検討し た.道徳 的感性の尺 度概念として,Lutzenらによって提唱された(1) 対人関係における内省的態度,(2)道徳性の構築,(3)情を示す,(4)自立の制限,(5) 葛藤体験,(6)医師の判断への信頼の6っの要素を採用した.次いで,Lutzen&NordinMoral Sensitivity Test (MST)および中村らのMST(日本語版)の尺度項目を参考 に, 歯科衛生 士の業務 内容につい て内容的妥当性を検討しながら,6因子を仮定し た48項 目 の尺 度原案 を作成し た,この 尺度原案 を使って ,歯科衛生 士101名を対 象に 予備調査を行った.各項目で「全く当てはまらない」〜「すべて当てはまる」

6段 階 (16点)と した質問 紙を作成 した.そ の結果, 天井効果と フロア効 果 の 見 られ た5項目を 削除した .さらに ,残った43項目を因 子分析し, 因子負荷 量 が013未 満 の21項 目 を 削 除 し た 結 果 ,22項 目 か ら な るMST‑DHが 試作 さ れ た.

  本調 査では,歯科衛生士581名(平均年齢36.1土10.3歳,平均経験年数12.5士8.9 年 ) およ び 歯科助 手80名(平 均年齢27.87.9歳,平均 経験年数5.85.7年)を

学 光

     

雅 保

田 浪

森 川

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

対 象に

MST‑DH

の 信 頼 性 と 構 成 概 念 妥 当 性 を 検 討 し た . その 結果 ,MST‑DH の因 子構 造を確 認す るた めに 主因 子法 ,バ リマ ックス回転による因子分析を行い6 因 子,

22

項目 すべ てが 抽出 され た. 第1 因 子「 歯科医師の判断への信頼」に関する

4

項目 では 寄与 率が

21.3

%, 第2 因 子「 葛藤 の体験」に関する7 項目では寄与率が

9.7%

,第3 因子「対人関係における内省的態度」に関する3 項目では寄与率が6.5 %,

第4 因 子「 道徳 性の 構築 」に 関す る4 項 目で は寄 与率 が6.4 %, 第5 因 子「 情を示 す」 に関す る2 項目 では 寄与 率が

5.4

% ,第

6

因子 「自 立の 制限 」に 関す る2 項目 では 寄与率 が4.8 %であった.6 因子での累積寄与率は54.1 %であった.信頼性の 検討 では, 対象 者の プラ イバ シー を尊 重し 匿名性を保持したので,調査を2 回実 施す ること で確 認される安定性を検討しなかった.しかし,一貫性による検討で は

Cronbach

a

係 数 を 求 め たと ころ ,0.82 と高 い値 を示 した こと から ,MST‑DH は信 頼性を 有す る尺度であるといえる,妥当性の検討では,基準関連度妥当性に おけ る併存 的妥 当性は外的基準となるテストが見当たらなかったと判断し,また 予測 的妥当 性に ついても,前述したように匿名性を保持したため,どちらも検証 して いない .し かし ,因 子分 析に よる 検証 で6 因 子が 抽出 され ,予 想し ていた6 つの 因子と ほば 同じであった.さらに,仮説検証法として,20 〜29 歳の歯科衛生 士群 と歯科 助手 群の

MST‑DH

の 総合 得点 の平 均値 を比 較す ると ,歯科 衛生 士群の 平均値は88.6 士9.2 (標準偏差),歯科助手群の平均値は85.0 士10.2 (標準偏差)で あ り, 歯 科 衛 生 士 群 は 歯 科 助手 群に 比べ てMST‑DH の平 均値 が有 意に高 かっ たQ く0 .05 ).よって,MST‑DH は一定の構成概念妥当性を備えていると解釈できる.

  

本 調査の 限界 であるが,全国の歯科衛生士の年齢別構成と比べると,本調査で は40 ¥‑50 代の占める割合が多く,調査対象者が歯科衛生士の代表性を持っている と は言 え な い . さ ら に ,

MSTDH

の信 頼性に おけ る安 定性 と基 準関 連妥 当性 を検 証し ていな い. 今後 は, 引き 続き ,MST‑DH の信 頼性 と妥 当性 を検討 する ための 研究を重ねていくことが課題といえる.

  

以 上のこ とか ら, 本研 究の

MSTDH

は内 的整 合性による信頼性を確保しており,

構成 概念妥 当性 をおおむね確保していることが確認されたことから,今後,歯科 の 臨 床 現 場 や 歯 科 衛 生 士 教 育 で 活 用 で き る こ と が 示 唆 さ れ た .

  

本論 文申請者に対して,主査および副査からまず本論文の概要にっいての説明

が 求め られた.続いて行われた口頭試問において,本調査の対象者の抽出はどの

よ うに 行ったか,質問紙回答方法で1 〜6 の評点,質問項目中の「いっも」「とぎ

ど き」 といっ た表 現が 適切 であ った か,

MST‑DH

を 今後 ,ど のよ うに活用してい

く かな ど,詳細にわたって行われた.申請者はこれらの設問に対しそれぞれ適切

な 回答 を行った.従って申請者は研究の立案と実行,結果の収集とその評価につ

い て, 十分な能カがあることが理解された.同時に本研究は,歯科衛生士教育お

(6)

よび歯科医療倫理に広い学識を有していると認められた.また本研究は,歯科衛

生士の道徳的感性の特徴を知る基礎資料であり,今後,歯科衛生士の道徳的感性

を測る尺度として利用され,歯科衛生士教育においても活用されることが評価さ

れた.従って,本論文申請者は博士(歯学)にふさわしいものと認められた.

参照

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