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高周波絶縁トランスを用いた空心型経皮エネルギー伝送システムにおける患者漏れ電流の測定 -生体組織との寄生的結合を考慮した回路解析の提案-

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ライフサポート Vol.32 No.4, 2020 【 【速速報報】】㻌㻌 㻌㻌

高周

周波

波絶

絶縁

縁ト

トラ

ラン

ンス

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用い

いた

た空

空心

心型

型経

経皮

皮エ

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患者

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生的

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合を

を考

考慮

慮し

した

た回

回路

路解

解析

析の

の提

提案

案—

Measurement of Patient Leakage Current from Air-core Transcutaneous Energy

Transmission System with High-frequency Isolation Transformer: Proposal of Circuit

Analysis Considering Parasitic Coupling with Biological Tissue

髙橋俊介(学生会員), 柴建次(正会員)

*

Shunsuke Takahashi and Kenji Shiba *

Abstract

Usage of the air-core transcutaneous energy transmission system (TETS) is a method that shows potential with respect to the supply of energy to ventricular assist devices. The TETS is composed of two coils of the transformer with spirally wound conductive wires; the external coil is fitted outside the body and the internal coil is embedded in the subcutaneous tissue of a patient. Here, it should be noted that patient leakage current (PLC) from the TETS can flow between the external and internal coils into the ground because of the capacitive coupling of the coils and human tissue. In this study, we analyzed the PLC of a TETS using a circuit simulator and designed a circuit model of a TETS with considering the equivalent circuit of biological tissue using circuit analysis tools. The respective circuit parameters were used as the measurement value of LCR meter at the transmitting frequency of 207 kHz, the PLC was analyzed using transmitting powers of 10–30 W. The results showed that the simulated value of the PLC was 9.37 μA, and the measured value was 8.86 ±0.08 μA at 15 W of output power. These results are seen to be in good agreement.

Key Words

Air-core transcutaneous transformer, Ventricular assist device, Patient leakage current, Parasitic coupling, Circuit analysis 1 1..㻌㻌 緒緒言言 近年,重症心不全患者に対する治療方法として補助人工心臓 が 注 目 さ れ て い る . 現 在 の 補 助 人 工 心 臓(Ventricular assist device: VAD)への給電方法は有線(ドライブライン)が皮膚を貫い て体外から電力を供給している.しかし,このドライブラインが皮 膚を貫通しているため,感染症が発生していること,また患者の 生活の質(Quality of Life: QOL)が低いことが問題となっている1)

そこで,ドライブラインが存在しない経皮エネルギー伝送システム (Transcutaneous energy transmission system: TETS)が研究されて いる.TETS は体外に取り付けられた送電コイルと体内に埋め込 まれた受電コイルの間で磁界共振を用いて非侵襲的に無線で電 力 を 伝送 す る . こ の中 でも 空心 偏 平型 経皮 ト ラ ンス(Air-core transcutaneous transformer: ACTT)は,螺旋状に銅線で巻かれた 空心型送受電コイルを相互に向かい合わせて配置するものであ 2020 年 1 月 23 日受付 2020 年 8 月 20 日掲載決定 東京理科大学大学院基礎工学研究科電子応用工学専 攻,〒125-8585㻌 東京都葛飾区新宿 6-3-1 * 東京理科大学基礎工学部電子応用工学科, 〒125-8585㻌 東京都葛飾区新宿 6-3-1

Dept. of Applied Electronics, Graduate School of Industrial Science and Technology, Tokyo University of Science, 6-3-1, Niijuku, Katsushika-ku, Tokyo 125-8585 * Dept. of Applied Electronics, Faculty of Industrial Science

and Technology, Tokyo University of Science, 6-3-1, Niijuku, Katsushika-ku, Tokyo 125-8585

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ライフサポート Vol.32 No.4, 2020 る 2).従来研究では,男性の皮膚,脂肪,筋肉,および骨などの 人体詳細モデルに2 種類の TETS を用いて,国際非電離放射線 防護委員会のガイドラインに従い,生体組織に対するTETS の電 磁生体影響を解析した論文が報告されている3, 4) ところで,医療機器の電気安全性評価は日本産業規格の JIS T 0601-1 に従わなければならない5).一般的な医療機器は体外 配置され使用することを想定し,この規格に従っている.TETS は 100 kHz 以上で,かつ,数 100 V を超える高電圧が送電コイルに 印加されるため,送受電コイルは人体間で容量結合し易く,人体 中に高周波電流が流れることが懸念されている.よって,この患 者漏れ電流(Patient leakage current: PLC)が JIS による規制値以 下を満たしているかを検証する必要がある.筆者らは従来,この PLC の測定方法を検討し,さらに,インバータ回路でつくられるス イッチング波形のうちの基本波以外の成分(数 MHz 帯の高調波 成分)が PLC の増減に大きく影響していることを明らかにし6),高 周波絶縁トランスを導入することで,抑制を図ってきた7).しかしな がら,実験で試行錯誤的に行うに留まっており,生体組織や大地 を含むTETS を電気等価回路で表し,電流ルートや電流の大きさ を理論的に明確にすることはできていなかった. 本研究では人体を流れるPLC の電流ループを含む TETS の 電気等価回路と電気回路シミュレーションプログラムを作成し,人 体を流れるPLC の解析を行った. 2 2..㻌㻌 患患者者漏漏れれ電電流流測測定定・・解解析析手手法法 2.1㻌㻌 測測定定方方法法 試作したTETS のブロックダイヤグラムを Fig. 1 に示す.網掛け の部分は人体内にあることを想定し,それ以外は人体外を考慮し ている.本システムでは,50/60 Hz の交流を直流安定化電源にて 直流にし,自作のプッシュプルインバータ回路を用いて直流を高 周波数(207 kHz)に変換している.その際,スイッチング素子であMOSFET の寄生容量と,回路周辺の寄生インダクタンス成分と が共振し,2~10 MHz 等の高調波が発生する.207 kHz の基本波 とその高調波が,人体と高周波で容量結合しにくいよう,高周波 絶縁トランスを介した後,ACTT を用いて人体外から体内へ無線 で電力を伝送し,整流回路にて平滑化,VAD へ給電している. 高周波絶縁トランスは,材質が Mn-Zn であるフェライトコアに銅リ ッツ線を9 回巻き付けたトロイダル型コイル(1 次と 2 次の巻き数比 は1:1)としている.ACTT は 2 枚の空心型コイルから構成されてお り,送電・受電コイルの外径はそれぞれ 90 mm,60 mm,内径は 20 mm,巻き数はそれぞれ 37 回,23 回としている.24 cm×24 cm×8.6 cm の水槽を用意し,生体組織には人体の筋の導電率8, 9)1.5 倍に相当する導電率 0.57 S/m の NaCl 水溶液を水槽に 入れ,ACTT を浸漬させている.1.5 倍を用いた理由は,人体中 には,筋よりも導電率が高い臓器(血液 0.71 S/m,脳脊髄液 2 S/m,組織液 1.5 S/m 等)が多く存在しているため,安全率を考え てより漏れ電流が多く流れる条件で実験を行った.また,数 MHz 帯の高調波が含まれる場合は,臓器の導電率はいずれも増加す るため(例:3MHz の筋の導電率は 0.57 S/m),その上昇分も考慮 して1.5 倍とした.送受電コイル間距離は,皮膚の厚さを考慮し 8 mm に固定している. PLC の測定方法について説明する.患者装着部である送受電 コイルと人体間の寄生容量を通じて,患者漏れ電流が流れる.高 周波(1 kHz 以上)の患者漏れ電流は 2 種類の測定を行う必要が ある.1 つ目は,抵抗とコンデンサから作られた模擬人体の電位 差を測定し,10 μA(CF 形装着部,正常状態)を越えないこととな っている.模擬人体は,1 kΩ とし,人体の感知電流特性10)から抵(10 kΩ)とコンデンサ(15 nF)からなるローパスフィルタを用いて 減衰した電圧値を電圧計で測定すると定義されている.2 つ目は, 波形と周波数にかかわらず,漏れ電流は周波数に依存しない測 定用器具で測定したとき,正常状態でも単一故障状態でも実効 値10 mAを超えてはならないという規制値に沿い,周波数に依存 しない1 kΩ の無誘導抵抗を患者漏れ電流測定回路に接続し, 電圧計で測定する. PLC を測定するために,高さ 75 cm の木製のテーブルの上に TETS を並べた.模擬大地を設けるために 0.9 m×2 m のステンレ ス板を実験室床面に設置した.NaCl 水溶液に浸漬している ACTT からステンレス板に銅線で接続し,その銅線の間に模擬人 体を挿入した.またコンデンサの両端の電圧の実効値をオシロし コープ(Agilent DSO4012A)で測定し,1 kΩ の抵抗値で割ることで 電流値(Iplc)に変換した.また,人や動物を用いた実験を本論文 では全く含んでいないため,研究倫理の審査は受けていない. 2.2㻌㻌 回回路路解解析析手手法法 PLC の解析を行うため,TETS の電気等価回路を SIMetrixⓇ SPICE を用いて作成し,過渡解析を行った.解析にあたり,以下 の項目に着目した. (i). 解析上の TETS の各パラメータ値は,実際に作製した各 素子のパラメータをLCR メータで測定した値を用いる. (ii). 解析上の ACTT の電力伝送路に含まれる人体等価回路 のパラメータは,LCR メータを用いて簡易的に測定し,設 計する. (iii). PLC の電流ループ経路を忠実に解析上に再現する. SIMetrixⓇ SPICE を用いた TETS のモデルを Fig. 2 に示す. Vinは,直流安定化電源の入力電圧,Li1およびLi2は,高周波絶 縁トランスの 1 次および 2 次インダクタンスであり,結合係数は 0.991 である.L1とL2は送電コイルのインダクタンスと受電コイルの インダクタンスであり,送電用補償コンデンサC1は,Fig. 1 に示す ようにインバータ回路の出力から右側を見たリアクタンスが0 にな るコンデンサを選定した.受電用補償コンデンサC2は受電コイル のインダクタンス L2と共振させた.Csmは整流回路の整流平滑化 コンデンサ,RLはVAD を模擬した負荷抵抗(38.4 Ω)である.VAD Outside the body

C2 RL ACTT Inverter Circuit +100V

High-frequency isolation transformer

C1 Regulated DC Power Supply L2 LISN (50 Ω)

Inside the body

Isolation transformer (50 Hz) Cwp1rb rb1 PLC circuit Cwp2

Patient leakage current (PLC) Cp

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ライフサポート Vol.32 No.4, 2020 の定格電圧は24 V であり,RLの消費電力が15 W となるように入 力電圧を設定した.伝送周波数は207 kHz とした.rLi1rLi2rC1rC2rL1rL2はそれぞれ,高周波絶縁トランスの1 次,2 次巻線抵 抗,送受電補償コンデンサの内部抵抗,ACTT の銅リッツ線の抵 抗である.いずれも LCR メータ(HIOKI,IM3536)で測定した.次 に,送受電コイル間の生体組織のインピーダンス値について説 明する.人体に送受電コイルを埋め込んだと想定したときの図を Fig. 3 (a)に示す.送受電コイルの表面は,それぞれ絶縁コートす る必要があるため,本研究では厚さ0.5 mm の綿布を 2 枚重ねた 後に,ラミネートフィルム(アコ・ブランズ・ジャパン,EVA・PET)で 絶縁コーティングを施している.綿布を入れる理由は,送受電コイ ルと生体組織の間の電気容量を減らすためである.しかしながら, この電気容量をなくすことは大変難しい.Fig. 3(a)のように送受電 コイルと生体組織との寄生的な容量(Cwp),寄生抵抗(rwp)の他, 生体組織の抵抗成分(rb)や容量成分(Cb)(ただし,抵抗成分と容 量成分はそれぞれ人体の部位ごとに異なる)があり,これらを介し て様々な方向に高周波漏れ電流が流れる.本論文での目的は LCR メータを用いたパラメータを使用し,回路解析を行っていくこ とである.送受電コイルと生体組織との寄生抵抗 rwpは空気中の 電気抵抗率はかなり高く,インピーダンスも大きくなるため無視で きるものとする.ACTT 間に流れる電流を考える.アンペール・マ クスウェル方程式より,電場が存在するところには,伝導電流(rb) と変位電流(Cb)の同方向に流れる合成電流が存在する.ACTT 間の電流経路d が 8 mm,送電コイルの面積 S(3848 mm2)を上 底・下底とする円柱を仮定する.円柱内の電流は定常状態,面積 S のエッジ効果を無視すると仮定すると,伝送周波数 207 kHz に おいて,NaCl 水溶液の比誘電率(εr=81),導電率の値(σ=0.57 S/m)を用いて,生体組織の抵抗成分(rb)と容量成分(Cb)を(1)式 に示し,インピーダンス(|Zrb|,|Zcb|)を(2)式にて評価する. , (1) (2) 上記の式からZrbZCbよりも約611 倍インピーダンスが低くなるこ とが分かり,ZCbは無視できるため,これ以降はrbのみで表してい る.これをFig. 3 (b)に示す.また送受電コイル間の Zrbを介した結 合は,送電コイルの高電位から受電コイルの低電位,受電コイル の高電位から送電側の低電位へと結合すると考えられるため, Fig. 1 のACTTと書かれた点線の中に,rbを2 箇所配置している.

Fig. 3(c)の各パラメータを求めるための測定回路図を Fig. 4(a)に 示す.送受電コイルをそれぞれ短絡させた状態で LCR メータに 接続し,rbCwpを測定した.本論文では3 回測定を行い,平均と 標準偏差を求め,rb=1.05±0.048 kΩ,Cwp=36.8±0.9 pF となった. 次に送受電コイルと人体間の寄生的な容量(Cwp)を通過後, NaCl 水溶液を通じて PLC 測定回路に流れていく等価回路につ rLi1 RL Csm D D D D rC2 C2 rL2 L2 Cwp Cwp rb rb rb1 Rplc Rlpf Clpf Cwp Cwp L1 rC1 rL1 C1 Cp Cp Li1 Li1 Li2 rLi2 rLi1 Lw Lw rg rg Vin ACTT High-frequency isolation transformer

LISN (50 Ω)

Fig. 2 Modeling of air-core TETS in SIMetrixⓇSPICE.

rb Cb Cwp rb Cwp1 Cwp2 Transmitting

coil Receiving coil

rwp Cwp rwp rb Cwp (b) (a) (c) d S

Fig. 3 (a) Equivalent circuit of transformer assuming embedded body, (b) simple equivalent circuit of transformer

and (c) simple equivalent circuit for measurement.

Secondary coil Primary coil Acrylic board NaCl solution LCR meter (HIOKI IM3536)

+ -Primary coil Acrylic board Secondary coil NaCl solution LCR meter + -(b) (a) Copper wire

Fig. 4 (a) Measurement of resistance (rb) with human body and

capacitance (Cwp) between transmitting and receiving coils and

human body, (b)Measurement of resistance(rb1) flowing from

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ライフサポート Vol.32 No.4, 2020 いて述べていく.容量成分は(1),(2)式を用いて無視することがで きるものとし,抵抗成分(rb1)を LCR メータを用いて測定する方法 をFig. 4(b)に示す.送受電コイル両方短絡させ,LCR メータの高 電位に接続,水槽にたらした銅線を LCR メータの低電位に接続 し て 測 定 を 行 っ た .3 回 測 定 後 平 均 と 標 準 偏 差 を 求 め , rb1=685±115 Ω と求めることができ,また高周波絶縁トランスの役 割として,コモンモード電流で流れる電流を抑制できる点,高調 波成分を抑制することが挙げられる.しかし 1 次トランスの巻き数 と 2 次トランスの巻き数間で寄生的容量(Cp)が生じてしまう.この 寄生容量がコモンモードの結合を生み,漏れ電流の原因となっ ているため,これらを回路解析に導入した.高周波絶縁トランス間 容量(Cp)の測定方法として,1 次トランスの巻き線を短絡し,LCR メータの高電位側に接続し,2 次トランスの巻き線を短絡させ, LCR メータの低電位側に接続することで高周波絶縁トランス間容 量Cpを求めた.その結果,Cp=10.5 ±0.17 pF となった. 3 3..㻌㻌 患患者者漏漏れれ電電流流測測定定・・解解析析結結果果 VAD の消費電力が15 W のときの結合係数は 0.439,電力伝送 効率は75%であった.VAD の消費電力が 15 W における PLC 測 定回路が抵抗1 kΩ に加え,10 kΩ と 15 nF のローパスフィルタを 用いた時のPLC の実測・解析結果の測定波形を Fig. 5 に,また VAD の消費電力を 10 W から 30 W まで変化させたときの PLC の 結果(Iplc)を Fig. 6 に示した.また PLC 測定回路が 1 kΩ のみを用 いた時のPLC の結果(Iplc1)を Fig. 7 に示した.本実験での測定回 数は5 回行い,測定値の標準偏差(±sd)を示しており,15 W 伝送 時では実測・解析値はそれぞれIplc=8.86 ±0.08 μA,9.37 μA とな り,どちらも規制値である10 μA を下回る結果となった.しかし,25 W,30 W 伝送時は実測・解析どちらとも規制値を超えていること が明らかになった.実測・解析のいずれの結果も,VAD の消費電 力を変化させた時にPLC は増加する傾向であった.PLC 測定回 路が1 kΩ のみにおいて,VAD の消費電力が 15 W 伝送時では 実測・解析値はそれぞれIplc1=4.28 ±0.77 mA,4.27 mA となり,ど ちらも規制値である10 mA を下回る結果となった.実測・解析の いずれの結果も,インバータ回路のスイッチングの1 周期の半分 である2.41 µs 毎に,スイッチングノイズが原因と思われるサージ が表れており,解析が正しく再現できていることがわかる.ただし, Fig. 5 の PLC の測定,解析波形の振幅はほぼ一致しているが, 解析の方がやや高い周波数成分(10 MHz 以上)が含まれており, 含め切れていない寄生分が実際の回路にはあると考えられ,これ らを考慮した回路解析が今後の課題である.また,本システムが ショートによる短絡や断線による開放状態のとき,入力インピーダ ンスが変化することで,入力電力も大きくなる可能性がある.送受 電コイルと人体間の電位差が大きくなることで,寄生容量を通じて PLC が流れやすくなることも考慮する必要がある. 4 4..㻌㻌 結結言言 本研究では,人体の簡易的な等価回路を含めたTETS の回路 シミュレーションプログラムを用いて,PLC の解析を行った.この PLC は,接地面を介して電源側に戻る大地経由の電流(コモンモ -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 0 5 10 15 20 Patie nt le ak ag e c ur re nt Iplc [μ A] Elasped times t [μs] Measured Simulated

Fig. 5 Comparison of waveform of patient leakage current between measured and simulated value at the 15 W of output

power. 6 7 8 9 10 11 12 13 14 5 10 15 20 25 30 Patien t lea ka ge c urre nt Iplc [μ A ] Output power P2[W] Measured Simulated Restriction value ±sd Fig. 6 Comparison between measured and simulated of patient

leakage current. 3 4 5 6 7 8 10 5 10 15 20 25 30 Patien t lea lag e cu rre nt a t th e re sista nc e of 1 k Ω Iplc1 [mA ] Output power P2[W] Measured Simulated Restriction value ±sd Fig. 7 Comparison between measured and simulated of patient

(5)

ライフサポート Vol.32 No.4, 2020 ード電流)であることがFig. 1 からわかる.高周波絶縁トランスは, Fig. 1 の寄生容量 Cp を介してこの電流が流れると考えられ, ACTT は送電コイルの高電位から,受電コイルの低電位への結 合が主な電流ルートと考えられる.これから高周波絶縁トランスの 仕様や送受電コイル間距離が変化していく場合など様々な状況 が想定されるが,各パラメータの値を変更すれば PLC を実測せ ずとも,解析だけで未然にPLC を求めることができ,TETS を設計 する上で本回路解析は大変有用と考えている. PLC の評価のみでなく,伝送エネルギーやノイズが電線を通じ て影響を及ぼす伝導性妨害波を本研究で提示したシミュレーショ ンプログラムを用いて測定することが可能である.伝導性妨害波 の解析については現在,研究の途中段階である.また,短絡や 開放状態を想定した試験を単一故障状態として PLC を測定し, 評価する必要があるが,このような場合での電力供給の継続は危 険であるため,これらを自動検知し緊急停止させる制御装置が必 要となる.これらの検討は今後の課題としていきたい. 今回は,自作したNaCl 水溶液を用いたPLC評価システムの測 定結果が妥当であるかを評価することを目的とし,NaCl 水溶液を 用いたTETS システムを等価回路に表すことが課題であった.そ の結果,解析で求めたPLC 値と,実験で求めた PLC 値において, 近い値が観測されたため目的は達成できたが,将来的には,実 際の人体の中に埋め込んだ場合の PLC を,より正確に模擬した 測定システムを作り実測を行っていきたい.しかしながら,皮膚, 皮下組織,脂肪,筋,血液,その他の臓器の中を,PLC は通過す るため,これらを複合した模擬生体を試作し,実験により求める必 要があるが,現段階ではこれを作成することは困難である.よって, ACTT 付近の漏れ電流の算出は,3D 電磁界解析上で人体モデ ルを作成して計算し,この結果と本電気回路解析を組み合わせ て,漏れ電流を求める予定である.電磁界解析と本電気回路解 析を組み合わせることにより,実験を行わなくても解析だけから, 実際に人体に送受電コイルを埋め込んだ場合の漏れ電流を推定 できるようにしていく予定である. 㻌㻌 謝謝辞辞 本 研 究 の 一 部 は 文 部 省 科 学 研 究 費 助 成 金(17K06312 , 20K04423)によって行われました.なお,本研究に関して,開示 すべきCOI 関係にある企業等はありません. 㻌㻌 参参考考文文献献

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参照

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