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〈巻頭言〉臨界55年を迎えた近畿大学原子炉

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Vol. 53(2016) 近畿大学原子力研究所年報 1

-臨界55年を迎えた近畿大学原子炉

近畿大学原子力研究所 所長・教授 伊藤哲夫 近畿大学原子炉は、1961年(昭和36年)11月11日20時53分に日本における大学・民間原子炉第1号として、 東大阪市の本学キャンパス内で初めて臨界に到達した。 本学原子炉は、これまで1万3000名余りの国内外の学生、研究者及び一般の方々の研究・実習及び研修に 利用されてきた。 平成28年11月11日には、原子炉運転開始して55年を迎えたが、残念なことに試験研究炉の新規制基準対応 で平成26年2月6日より停止中であり、再稼働に向け作業を進めており、年度内には再稼働できる見通しであ る。 今、大学研究炉は、京都大学(2基)と近畿大学(1基)の3基となった。原子力人材育成、基礎・応用研 究を確実に進めていくためには、研究・人材育成の目的に相応しい研究炉を共に活用して行くことが不可欠 であり、新規引継炉も考慮して、既存研究炉の有効活用や維持・管理を如何にするかを共に認識し合い、産 官学が協力し合うことが重要となってきた。 将来に向けた原子力の発展は、原子力人材育成なくして達成されず、大学研究炉の持つ使命は特に大き く、現在、大学研究炉の停止は、院生や学生の研究・実験実習の欠落を招き、原子力人材育成にも大きく影 響している。 世界はエネルギー安定供給や環境保全問題の解決策として原子力発電を拡大する傾向にあり原子力新時代 を向かえようとしているが、主要国の原子力政策には多少温度差がある。アメリカは、シェールガス革命で 新設機運は後退しており、欧州の一部では脱原発の動きがある一方、フランスやイギリスは原発推進を維 持、そして中東、インド、中国、韓国においては経済発展に連動した原子力開発の意気込みがある。またロ シアや中国などは成長産業の1つとして、高速増殖炉を含む原子力開発が積極的にすすめられている。我々 は、この世界の潮流を無視することができない。わが国は、エネルギー基本計画において、エネルギーの安 定供給と温暖化防止の両面から1つの大きな選択肢である原子力発電を重要なベースロード電源と位置づけ している。このように大きな目標を持つわが国は、今後も継続的に必要な原子力利用を担う人材の育成に不 可欠な研究炉の役割を科学技術・エネルギー政策において明確にし、国と事業者の共有財産との位置づけ で、産官学が一体になり既存研究炉の長期維持や新規研究炉の建設など将来計画を明確にすべきである。 世界のこのような潮流の中、55年目を迎えた本学研究所は、今後日本だけでなく世界にも目を向け、原子 力教育の活性化と研究者・技術者の人材育成及び原子力の理解活動に欠かせない原子炉を長期に維持・管理 し、研究所が一丸となり、我が国の発展に貢献するため、前進いたします。 今後とも皆様のご理解とご指導を賜りますようよろしくお願いいたします。

巻頭言

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