電子情報通信学会論文誌 C Vol. J97-C No. 11 pp. 376-377 © 一般社団法人電子情報通信学会 2014 376
特集
次世代環境対応エレクトロニクスを指向した革新的実装技術論文特集の
発行にあたって
次世代環境対応エレクトロニクスを指向した革新的実装技術論文特集編集委員会 委員長橋 本 薫
スマートフォンやタブレット端末など利便性の高い モバイル機器の爆発的普及,情報爆発・ビッグデータ 処理に対応するハイパフォーマンスサーバへのあくな き要求,更にはエコカーや再生可能エネルギ技術など に見られる環境意識の高まりを受けて,現在ならびに 次世代の電子機器には多機能・高性能・薄型軽量から エネルギ効率の高い製造プロセスによる低環境負荷化 にいたるまで,実に多種多様な要求を満たすことが求 められている.このためには,シンプル,低価格かつ 低エネルギの製造を可能にする材料・プロセス技術の 実用化が不可欠である.同時に,材料や機能の融合・ 複合化の点から複数の材料のハイブリッド化,アナロ グ・デジタル・RFなどの異種信号を処理するデバイ スを高密度に混載する実装技術なども必須である.こ れらは半導体微細加工に基づいた一括形成技術の進歩 だけで対応することは困難であることから,個別の工 程で製作された薄い層状のデバイスや回路ブロックを 立体的に積み重ねる三次元実装技術に大きな期待が寄 せられている.積層する層数の増加は,発熱や異種材 料間に発生する応力などの要因による電気的・機械的 信頼性の劣化をもたらす懸念があるため,このような 新しい実装技術に対応した設計・解析・評価技術の開 発も不可欠である. 更に,電力用半導体素子やLEDなどのパワーエレ クトロニクス,及びこれらに関連したデバイス技術な らびに実装技術の早期開発が急務の状況になってきて いる.トヨタ自動車は2020年にSiCパワーデバイスの 実車搭載を目指すと発表した(2014年5月20日).これ には,これまでと異なる耐熱材料や加工プロセス,高 パワー化に対応する放熱・冷却技術,信頼性技術など の開発が待ったなしの状況である. そこで本特集では,次世代のグリーンエレクトロニ クス及びパワーエレクトロニクスを指向した革新的な 実装技術に焦点を当て,分野横断的な研究開発を更に 進展させることを目指し,当該分野に関連する先端材 料・実装(三次元実装に限定せず)・回路設計・信頼 性評価技術などの幅広い分野における研究成果をまと めることを企画した. この企画の趣旨に照らし,招待論文として慶應義塾 大学でデバイスと実装の両面から高集積化技術の研究 を推進されている黒田忠広先生,及び早稲田大学にお いてMEMS─NEMSの研究を進められている水野潤 先生に御執筆をお願いした.黒田先生からは,誘導結 合を利用する積層チップ間の高速通信ならびに伝送線 路間の電磁界結合によるモジュール間通信技術という 最先端・最新の成果を紹介して頂いた.水野先生から は,植物の貫通網目構造を生かして自己支持能力を付 与した新規木質系炭素材料に関し,その基本技術及び これを用いた電気二重層キャパシタ用電極の作製につ いて解説をお願いした. 本論文としては,厳正な査読に基づく審査の結果, 高耐熱樹脂封止材料,サーマルビアによる熱抵抗低 減,SiとCuの同時研削・CMPによるTSV形成技術, GaN HEMT素子に関する論文4編が採択された. 本論文誌を御覧になる方には実装技術とは縁の薄い 方々が多くおられると思う.「実装とは,実際に装置 を作る(創る)技術である」(私見.異論もあるが) と認識して頂いた上で,こんな技術がと思われるよう ないろんな分野の技術を統合・融合するとともに,(人 工物ではない)自然に学び・活かして,これまでの常 j97_C_11_0376-0377_責.indd 376 j97_C_11_0376-0377_責.indd 376 14/10/08 9:1914/10/08 9:19電子情報通信学会論文誌 2014/11 Vol. J97–C No. 11 377 識を外れた新しい技術や商品を作り/創りだすことに 繋げて頂ければ幸いである. 最後に,本特集の発行にあたり趣旨に賛同して論文 を投稿して頂いた著者の方々,論文の査読に御協力頂 いた査読委員の皆様,論文投稿の勧誘ならびに査読委 員の選定などに御尽力頂いた編集委員会のメンバ,ま た学会事務局の方々に深く感謝する. (平成26年10月15日公開) 次世代環境対応エレクトロニクスを指向した革新的実装技術論文特集編集委員会 委 員 長 橋 本 薫 幹 事 重 藤 暁 津 委 員 赤 星 知 幸 ・ 井 上 雅 博 ・ 奥 洞 明 彦 ・ 久 我 宣 裕 須 藤 俊 夫 ・ 高 橋 健 司 ・ 乃 万 裕 一 ・ 畑 尾 卓 也 畠 山 友 行 ・ 廣 畑 賢 治 ・ 福 島 誉 史 ・ 渡 辺 直 也 橋 はし 本 もと 薫 かおる (正員) 1971年3月名古屋大学・工学部・応用物理 学科卒業.同年4月(株)富士通研究所入社.以来,メインフレ ーム/スーパーコンピュータ用はんだ接合材料及びセラミック多 層回路基板材料を主とする実装材料・技術の研究開発に従事. その後,(社)エレクトロニクス実装学会(現 一般社団法人) 事務局長を経て,現在明星大学・連携研究センター・常勤研究員. 博士(工学).電子情報通信学会,エレクトロニクス実装学会会 員,IMAPS Fellow(Life Member),IEEE Senior Member.
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