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大規模二輪車プローブデータ収集のためのデータベースの設計

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DEIM Forum 2016 H7-4

大規模二輪車プローブデータ収集のためのデータベースの設計

伊藤亜依子

横山 昌平

木谷 友哉

静岡大学 情報学部

〒 432-8011 浜松市中区城北 3-5-1

E-mail:

†{

a-ito,t-kitani

}

@kitanilab.org,

††

[email protected]

あらまし

現在,高度交通システム(ITS)に関する研究が数多く行われている.世界年間出荷台数は二輪車と四輪

車ではほぼ同数であるにも関わらず,ITS に関する研究の多くは四輪車を対象としたものであり,二輪車向け ITS の

研究は遅れていると言える.そこで筆者の所属する研究グループでは,二輪車に付随する様々なデータを近年手軽に

なった運動センサや位置センサを使ったセンシングシステムを用いて取得し,データベースに蓄積しておくことで,

二輪車向け ITS のみならず様々なサービスへ利活用できるセンシングインフラを作成する研究行っている.しかし安

価なセンサを用いて研究を行っているため,低精度なデータを大量に扱う必要がある.そこで本稿では,低精度かつ

大量の二輪車センシングデータを利活用可能にするためのデータベースの設計する.応用事例として金融機関の営業

用二輪車を用いた道路環境センシングシステムへの適用について考察する.

キーワード

センシングシステム,二輪車プローブ情報

1.

は じ め に

現在,高度交通システム(ITS)に関する研究が数多く行われ ている.しかし,これらの研究の多くは四輪車を対象としたも のであり,四輪車と二輪車では運転操作や車体構造に大きな違 いがあるため,これらをそのまま二輪車に適用することは難し い.二輪車と四輪車の世界出荷台数はほぼ同数にも関わらず, 二輪車向けITSの研究が遅れている原因として,二輪車の車体 運動は四輪車とは異なり運転者の重心移動が車体運動に大きく 影響を与えるために複雑であり,十分に車体運動の特性が解明 されていないことが考えられる. また,二輪車が走行する路面の性状や状態は,運転者の重心 移動に影響を与えるため,二輪車の車体運動特性の解明には車 体だけではなく,運転者の動作センシングや,路面の性状や状 態などの周辺環境の情報も必要であると考えられる.このよう な応用課題の基礎となるデータを得るため,二輪車と運転者に センサを付け,二輪車と運転者から直接得られるものをセンシ ングすることが望まれる.我々は二輪車に付随する様々なデー タを,近年手軽になったMEMSセンサを使ったセンシングシ ステムを用いて取得し,データベースに蓄積しておくことで, 二輪車向けITSのみならず様々なサービスへも利活用できるセ ンシングインフラを作成する研究をBikeinformatics [1]と呼称 して取り組んでいる.二輪車は,運転者の体格や運転技術の差 や,二輪車の種類ごとの重心位置違いによって車体運動が異な るため,モデル化を行うためには多数のユーザからの情報を得 ることが有効である. Bikeinformaticsでは安価なセンサを用いて研究を行ってい るため,大量のデータを収集して蓄積し統計的に処理を行うこ とで正確性を向上させることや,そのデータの中から必要な部 分のみを抜き出して不足項目の算出を行う必要がある. 本稿では,二輪車に付随する様々な情報を,具体的に浜松市 内の金融機関の営業用二輪車を用いた路面状況調査に応用する ことを考慮したデータベースの設計を行う.

2.

プローブに関する関連研究

プローブとは,道路交通情報を生成するために,実際に自動 車を走らせて走行した位置や車速などの情報を取得することで ある.現在,様々な方法のプローブによって取得された情報を 扱う研究やサービスが増えてきている. 2. 1 プローブによるデータ収集 2. 1. 1 車両によるプローブ 車載されたカーナビゲーションシステムによる位置情報をモ バイルデータ通信によって収集し,交通情報を把握することを テレマティクスと呼び,20世紀の終わりからサービスが開始さ れてきている.これに対応したパイオニアのCYBER NAVI [2] のような後付けの高機能なカーナビゲーションシステムだけで はなく,本田技研工業のinternavi [3]に代表されるように自動 車メーカがビルトインでデータ通信機能付きカーナビゲーショ ンシステムを用意したことで,位置情報のみならず車両の情報 も集められるような仕組みが作られてきている. 特にinternaviによって収集されたリアルタイムの通行実績 データについては2011年の東日本大震災のような災害時に一 般公開され,自動車会社やその顧客のみならず,一般社会のイ ンフラとしての有用性が示されている. 2. 1. 2 スマートフォンによるプローブ カープローブよりは歴史が短いものの,スマートフォンを 用いたプローブも盛んになってきている.スマートフォンには データ通信機能だけではなく,衛星測位システム(GNSS)等 による位置情報や加速度などの運動センサも内蔵されており, 多機能なモバイルセンシングデバイスとしての利用が始まって いる. 携帯電話通信キャリアは,各基地局のエリア毎で稼働してい る携帯電話やスマートフォンの台数をリアルタイムに調査しそ のキャリアのシェアを加味することで,各エリア毎の各種サー

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ビスの利用人口分布を得ることができる.NTT DOCOMOは モバイル空間統計と呼び,これらの情報を提供するサービスを 始めている[4]. Googleマップは,Android OSを搭載したスマートフォンや Google Mapsアプリを利用しているスマートフォンから,GPS 等による位置情報を定期的に集めることで交通状況を把握し, ナビゲーションソフトなどを通じてユーザにフィードバックを 返している[5]. wazeは,位置情報とともに事故や取り締まりなどの交通情 報を登録ユーザ内でシェアできる世界最大のカーナビゲーショ ンのスマートフォンアプリである[6]. また,時系列の位置情報やwazeのようなアノテーション情 報だけではなく,ジョギングなどのアクティビティを支援する Runkeeper [7]のように位置情報と運動センシング情報を同時 に収集するアプリケーションも多数存在している. 2. 1. 3 車両とスマートフォンによるプローブ 上記の車両とスマートフォンを組み合わせたプローブも行わ れている.車両によるプローブは,現時点では一部の車両しか 対応していないことやデータの収集先が車両メーカなどに限ら れることになるため,情報の収集が限られる.そのため,車両 の移動性の高さと,スマートフォンのデータ通信機能と位置や 運動のセンシング能力を合わせて,柔軟なカープローブを行う 方法が提案されてきている. 四輪車に設置したスマートフォンを用いて,アプリでGNSS データと3軸の加速度センサとジャイロセンサのデータを取得 してサーバに送信し,路面性状の推定を行うことを目的とした サービス[8]や研究[9]が行われている. これらのサービスや研究は,いずれも四輪車を対象としてい る.しかし,四輪車は道路を線的に走行するためタイヤが触れ る路面は限られており,道路の路面全体に対して路面性状の推 定を行うことは困難である.そこで,道路を面的に走行する二 輪車を用いて路面性状の推定を行う方がより正確な推定結果が 得られると考えられるが,四輪車と二輪車は車体構造が大きく 異なるため,サービスや研究をそのまま応用することはできな い.ゆえに,本研究では二輪車を用いてプローブを行い,取得 した情報を蓄積・活用することを目的とする. 2. 2 プローブデータの蓄積・処理 集められたプローブデータは,時系列に大量に発生するスト リームデータとなる.このようなデータは,状況をリアルタイ ムに把握して利活用するほかに,蓄積して統計化して利活用す るビッグデータ的な使い方がなされる.このような多数のユー ザから得られる行動データを蓄積して統計化し,ビッグデータ として利活用するためにはデータベース技術の活用が不可欠に なる. 人間の行動データをデータベースに格納して扱う研究に HASC(人間行動センシングコンソーシアム)[10]と呼ばれる研 究がある.HASCでは,加速度センサや角速度センサ,気圧計, GNSSなどの複数のセンサデータを用いた人間行動理解を目的 としている.この研究のためには,大量の人間の行動センシン グデータを扱う必要があり,そのための大規模データベースを 表 1 ログデータテーブルの構造 属性名 説明 id ログ ID date 日付 time 時刻 accx 3 軸 accy 加速度 accz センサ値 属性名 説明 pitch 3 軸 roll ジャイロ yaw センサ値 speed 車速 lat 緯度 lon 経度 direction 方位 構築し,蓄積,管理を行っている.人間の行動センシングにお いて取得されたセンシングデータには,例えば静止中や歩行中 といった,どのような動作のときのセンシングデータであるの かをラベルとして付加する必要がある.ラベリングは重要であ り,後に行われる機械学習などの精度に影響を与えるため,入 力者の手間を減らして効率的に行えるようにすることが,デー タを大量に集めることにおいても肝要である.そこで,HASC では,データの解析やラベリングについてのユーザビリティを 向上させるために,HASC Toolという行動情報処理のための ツールを開発している. また,四輪車に設置したスマートフォンを用いて路面状況の 推定を行う研究[9]では,過去のログデータと比較を行うこと で路面状況の変化を検知することと,道路を交差点毎などのセ グメントに分割し,そのセグメント情報から道路のセグメント テーブルを作成することで推定結果をセグメントの属性データ として登録することを可能にするためにデータベースを用いて いる.ここで用いられているデータベースのログデータのテー ブル構造は表1の通りである.さらに,道路状態を推定するた めに,このテーブルにセグメント情報を関連付け,ある一定区 間中の上下方向加速度の時系列分散値を算出し,閾値を設ける ことで道路状態を3つに分類する.分類した道路状態のデータ は,その後地図上に表示するために,時刻データと位置情報の idと共に推定結果蓄積テーブルに蓄積される. 二輪車を用いて取得したプローブ情報を蓄積・管理するため には,このような仕組みが必要であると考えられるが,現在存 在していない.また,二輪車プローブ情報は多項目な上に上記 のテーブルをそのまま利用することはできないため,新たに作 成する必要がある.

3.

二輪車プローブ情報

3. 1 二輪車ビッグデータの創出 二輪車は,四輪車以上に車体の状態や路面の状態,操作す るライダの技術や体格などがセンシングデータに影響するた め,Bikeinformaticsでは,二輪車の走行に付随する,これら のデータを収集することを目的としている.平成25年度にお ける東京都内の二輪車保有台数が四輪車(乗用車)保有台数の 約6分の1であること[11]からもわかるように,二輪車は日本 国内では四輪車よりも走行台数が少ない印象が強いが,世界的 には,出荷台数は四輪車とほぼ同数であり,東南アジアでは四 輪車よりも主要な足となっている.つまり,二輪車プローブ情

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報を大量に収集することが可能であり,収集した情報から二輪 車ユーザにフィードバックを行うことは,需要があると考えら れる.また,二輪車は運転する際,ライダの運転操作,道路状 態や天候など,四輪車以上に周辺環境から影響を受けやすいた め,二輪車に付随する情報を網羅することが必要である.よっ て,Bikeinformaticsでは,大量かつ,多項目のデータを扱う ことが考えられるため,データを収集し,データを利活用する ためには,データベース技術を用いて二輪車ビッグデータを創 出する必要があると考えられる. 3. 2 二輪車センシングデータベースの設計 取得すべき二輪車に付随する様々な情報は,多項目であり, 取得方法や頻度も異なる.本章では,それらの情報を洗い出し, 分類し,利活用しやすくすることを目的として,データベース を設計する. 3. 2. 1 取得すべき情報の検討 本研究グループでは,二輪車向けITS開発の基礎となるだけ ではなく様々なサービスへ利活用できる二輪車ビッグデータの 創出を目標としている.そのため,様々なニーズに対応する柔 軟なデータベースの設計が求められる.そこで,研究プロトタ イプとしては,二輪車ビッグデータの二つの主たる応用先への 適用を想定しつつ,汎用的なデータベース設計を目指す.二輪 車ビッグデータの主な応用先として,乗り心地や安定性の評価 を行う二輪車車体運動センシングと,路面性状や天候などの情 報を取得する環境プローブが考えられる.両応用先ともに,二 輪車にセンサを付けることで動作センシングを行うことが必要 であり,それに影響を与える情報も取得する必要がある.応用 先に対して効果的な二輪車ビッグデータ創出のために,運動セ ンサは二輪車だけではなく運転者にも設置することが必要であ り,センシングデータは運転者や二輪車の状態に依存するため, 運転者の体格や車種などの情報も取得する必要がある.しかし, それぞれの応用先によって利用目的が異なるためにデータの参 照の仕方が異なるため,以下ではそれぞれのデータ参照の仕方 を検討する. まず,二輪車センシングを行う際について検討する.二輪車 センシングの目的は,センシングデータから二輪車の車体運動 をモデル化することである.つまり,最終的に必要なデータは 走行中の車体もしくは運転者に取り付けた加速度やジャイロな どの運動センサの値である.しかし,運動センサの値は走行中 だけではなく停止中のデータも含まれているため,切り出す必 要があるが,加速度やジャイロセンサの値だけでは明確に走行 中のデータのみを切り出すことはできない.そこで,明確に切 り出すために,GNSS受信機からの情報である速度と重ねて参 照する方法が考えられる.図1のように,停止中(アイドリン グ中)も二輪車は振動するため,加速度センサの値で切り出す ことは難しい.しかし,停止中は速度が0であるから,速度の グラフを重ねることで走行中の加速度センサの値のみを切り出 すことができる.二輪車センシングデータベースはこれに対応 するために速度と運動センサを始め,運動センサのデータから 車両位置データが関連付けられた構造にする必要がある. 次に,環境プローブを行う際について検討する.環境プロー 図 1 加速度(進行方向左右軸)と速度の比較 図 2 専用センシングユニット 表 2 格納データの種類 取得頻度 特徴 A. グローバルに静的なデータ 複数のトリップ間で共通 B. トリップ内で静的なデータ 1 つのトリップの間で不変 C. 動的なデータ 経過時間に合わせて変化 ブの目的は,二輪車が走行した経路の周辺環境を調査すること である.周辺環境とは,路面の性状や天候など,車体や運転者 に直接影響を与えるものを指す.つまり,必要なデータはひび 割れや轍ぼれ,雨天時などの特徴をもつ路面を走行した二輪車 の位置情報である.これらの特徴をもつ路面はセンシングデー タに対して影響を与えると考えられるが,位置情報だけではこ れらの特徴を把握することはできない.そこで,運動センサの データからインパクトのあった値の部分のみを検索し,その部 分の位置情報だけを抽出することで,これらの特徴を抽出でき ると考えられる. 以上より,二輪車センシングデータベースは運動センサの値 とGPSデータを相互に関連付けた構造にする必要があると言 える. 3. 2. 2 データベースの構成 本研究で扱うデータは,多くのユーザからデータを取得する ために,安価なセンサを用いて作成した専用センシングユニッ ト(図2)やスマートフォンからの取得を想定する.まず,意味 のあるセンシングデータの最小単位として,同一ライダが同一 二輪車を利用して移動した短時間の移動をトリップと呼ぶ.膨 大な規模のデータベースとなることが予測されるため,1つの トリップ,ライダ,二輪車等のそれぞれにIDを与え,統括し て管理できるよう設計する.次に,IDも含め,本データベー スに格納するデータは,取得頻度別に表2の3種類に分類でき る.さらに,データの取得方法も考慮してデータベースを設計 しなければならないため,上記のデータは手入力が必要なデー

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タ,センサから直接取得できるデータ,センシングデータ取得 後に推定したり,外部のオープンデータ等から取得する必要が ある付加データに分類する. 3. 2. 3 提案する二輪車センシングデータベースの設計 上記の議論を元に,二輪車センシングデータベースに格納す るデータ項目とテーブルの構成を表3,表4,表5に示す. データベースに格納するデータはリアルタイム性は重要でな いと考えられるためオフラインでセンシングを行い,まとめて 格納することを想定しているため,ストリーム型のデータベー スではなくリレーショナルデータベースを用いる.本研究では, データベースの情報をブラウザ上で地図を用いて可視化する ことを想定している.そこで,地図情報の提示を行うフレーム ワークであるPostGISとの親和性が高いため,データベース をpostgreSQLで構築した.しかし,IMU情報のテーブルに格 納するデータは100Hzでセンシングされたデータであり,1秒 間分で100個のデータを格納する必要があるため本データベー スにおいて最もデータ量が多いテーブルとなる.そこで,IMU 情報を格納する方法について検討する. まず初めに,具体的にIMUに格納すべきデータ量を推定す る.1人の運転者あたり年間平均3000km走行とすると,平均 速度は30km/hであるため年間で100時間分のデータが収集 できる.このとき,1トリップを平均1時間と仮定する.IMU は100Hzで平均4ヶ所センシングを行うため,100時間で1億 4400万個のレコード発生する.これを,1万人が利用すると仮 定すると,年間1兆4400億個のレコードが発生する. 次に,この膨大な量のレコードを格納する具体的なテーブル の構成を考察する.一般に,このようなデータを扱うテーブル の構成として2通り考えられる.ひとつめは,1テーブルに全 て格納する方法であり,ふたつめは,1人1テーブルごとに分 割する方法である.同様に膨大な量のデータを扱うソーシャル ゲームのデータベースでは,いざというとき他のサーバへ移行 できるよう,アクセス集中するデータは1つのテーブルにまと め,すぐに不要になるデータが多いためにそのようなデータを 削除することで膨大になることを避けているが,二輪車センシ ングデータベースにおいては個々のデータも記録も重要である ため削除ができない.よって,現在は格納すべきトリップ数が 少ないため,1テーブルに全て格納する方法を選択している.

4.

二輪車プローブ情報の路面性状調査への応用

4. 1 プローブ情報を用いた路面性状調査 道路を良好な状態に維持管理するためには,補修が必要な個 所を適切に把握することが極めて重要であり,一般的には道路 コンサルタント会社などによって専用の機材を用いて路面性状 表 3 A. グローバルに静的な情報のテーブル テーブルの種類 格納データの種類 ライダ情報 ライダ ID 乗車歴 年齢 二輪車情報 ライダ ID バイク ID 車種情報 ロガー情報 センサ ID バージョン ロガー ID センサ種 表 4 B. トリップ内で静的な情報のテーブル(トリップ ID がキー) テーブルの種類 格納データの種類 センサの取付位置 センサ ID 取付位置 取付方法 ライダ体格情報 ライダ ID 身長 体重 カスタム情報 タイヤやサスペンション等の設定情報 イベント情報 時刻 イベント種 写真情報 センサ ID 時刻 URL 速度 動画情報 センサ ID 時刻 URL 長さ 表 5 C. 動的な情報のテーブル(トリップ ID,センサ ID,時刻がキー) テーブルの種類 格納データの種類 気象状況 (1Hz 以下) 天候 温度 気圧 衛星情報 (1Hz) 衛星 ID 衛星観測情報 位置情報 (20Hz) GPS 情報 IMU 情報 (100Hz) 加速度 角速度 地磁気 の定量的なモニタリング調査が行われる.しかしながら,計測 機器である路面性状測定車両の導入コストが高いことや運用時 の利便性,さらに絶対数が少ないために多くの道路を調査でき ないといった問題がある. 路面性状のプロファイリングは,その計測手法と期待される 精度によって次の4つに分類される[13].クラス1では,水準 測量によって路面性状を精密に計測する.クラス2では,路面 性状測定車のレーザ変位計などを用いて走行しながら路面性状 を計測する.クラス3では,加速度計などを用いて走行中の車 両の揺れを測定して,路面性状を推定する.クラス4では,人 による目視や体感によって,路面性状を推定する.クラス1に なるほど精度は高くなるが,時間と労力を要するため利便性は 低下する.従来はこの中でも,路面性状計測車を用いたクラス 2による計測か,作業員によるクラス4の推定が行われていた. 車載したスマートフォンなどの加速度をプローブ情報を用いた 路面性状の推定は,このクラス3に相当し,従来のクラス2と 4の間の大きなギャップを埋めるものとして期待されている. クラス3の道路状態を表す指標としてIRI(国際ラフネス指 数)がある[13].IRIは,車両の走行時における乗り心地に影 響する道路の縦断方向の平坦性の指標として,1986年に世界銀 行から提案されたものである.クラス2では,その平坦性より も,道路のひび割れ率や道路の横断方向の轍掘れ量が重視され ているが,これらの計測は一般車両に車載したセンシング機器 からのプローブ情報では難しい.IRIは,スマートフォンなど に内蔵される加速度センサの値から推定が可能があり,そのた め第2章で述べたように,ユーザ参加型のセンシングであるプ ローブ情報の主な応用先として路面性状調査を行っているサー ビスや研究が登場してきている.ここでは,第3章で設計した 二輪車センシングデータベースに格納した二輪車プローブ情報 を,路面性状調査へ応用する場合について考察する. 4. 2 二輪車プローブ情報を用いた路面性状調査システム 二輪車はその車体構造から,四輪車と同様かそれ以上に路面 性状の影響を受ける.四輪車の方が安定した計測値が得られる が,二輪車の方がよりセンシティブであるとも考えられる.ま

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✤ ✁ ✂ ✤ ✁ ✂ ✤ ✁ ✂ ✤ ✁ ✂ ✺ ✄ ☎ ✆ ✺ ✄ ☎ ✆ ✺ ✄ ☎ ✆ ✺ ✄ ☎ ✆ ✏ ✝ ✞ ✟ ✠ ✡ ✏ ✝ ✞ ✟ ✠ ✡ ✏ ✝ ✞ ✟ ✠ ✡ ✏ ✝ ✞ ✟ ✠ ✡ ❪ ☛ ☞ ✌ ✍ ✎ ✑ ✌ ✍ ✎ ✑ ✌ ✍ ✎ ✑ ✌ ✍ ✎ ✑ ✒ ✓ ✔ ✕ ✒ ✓ ✔ ✕ ✒ ✓ ✔ ✕ ✒ ✓ ✔ ✕ ● ✖ ✗ ✖ ✘ ✙ ✚ ✛ ● ✖ ✗ ✖ ✘ ✙ ✚ ✛ ● ✖ ✗ ✖ ✘ ✙ ✚ ✛ ● ✖ ✗ ✖ ✘ ✙ ✚ ✛ ✵ ✜ ✢ ✓ ✣ ✵ ✜ ✢ ✓ ✣ ✵ ✜ ✢ ✓ ✣ ✵ ✜ ✢ ✓ ✣ ✭ ✮ ✭ ✮ ✭ ✮ ✭ ✮ ✯✯✯✯ ✰✰✰✰ ✱✱✱✱ ✲✲✲✲ ✳ ✴ ✶ ✳✳ ✴✴ ✶✶ ✳ ✴ ✶ ✷ ✪ ✸ ✪ ✹ ✷✷ ✪✪ ✸✸ ✪✪ ✹✹ ✷ ✪ ✸ ✪ ✹ ✫ ★ ✬ ✻ ★ ✼ ✫ ★ ✬ ✻ ★ ✼ ✫ ★ ✬ ✻ ★ ✼ ✫ ★ ✬ ✻ ★ ✼ ✽ ✾ ✿ ❀ ✽ ✾ ✿ ❀ ✽ ✾ ✿ ❀ ✽ ✾ ✿ ❀ ✟ ✠ ✡ ❁ ❂ ✚ ❃ ✯ ✰ ✟ ✠ ✡ ❁ ❂ ✚ ❃ ✯ ✰ ✟ ✠ ✡ ❁ ❂ ✚ ❃ ✯ ✰ ✟ ✠ ✡ ❁ ❂ ✚ ❃ ✯ ✰ ❄ ❅ ❆ ✻ ❇ ✪ ✹ ❄ ❅ ❆ ✻ ❇✪ ✹ ❄ ❅ ❆ ✻ ❇ ✪ ✹ ❄ ❅ ❆ ✻ ❇✪ ✹ 図 3 想定するシステム構成 図 4 クォーターカーモデル た,道路を線的に走行する四輪車に対して,車線内を左右に移 動できる二輪車は多数のプローブ情報を用いて面的に路面をセ ンシングできると考えられる.このように四輪車と二輪車によ るセンシングでは補完的に情報を集めることができるため,二 輪車によるセンシングもあることが望ましい.また,二輪車を 主要交通手段として利用している東南アジアの新興国では,こ れから道路の建設や維持管理の需要が大きく見込まれるため, 二輪車に車載したセンサからのプローブ情報による路面性状調 査が有望である. 二輪車は四輪車以上に車種によってセンシングデータに差が 生じることが考えられるため,まず同車種で安定してプローブ 情報が取得できる環境を想定してシステムの設計を行う.この ような環境としては,わが国では郵便局や金融機関の営業用二 輪車を使うことが考えられる.またそれらの整備状態も良好で ある.台湾においても台北市内を走る警察車両は同一車種のス クーターで構成されているという事実もあるため,このような 環境の想定は妥当と考える.具体的な,想定するシステム構成 を図3に示す. 例として,浜松市内のある金融機関の営業用二輪車を用いた 場合について考察する.ある金融機関の支店は市内に58箇所あ り,1箇所につき5台の営業用二輪車を所有していると仮定し, その全てにセンシングユニットが搭載されているとする.2016 年の銀行系営業日が245日であり,1日につき1台が40km市 内を走行すると仮定すると,年間で合計約5万km分のセンシ ングデータが得られる.さらに,金融機関は市内の7区のうち 6区に支店をもっており,これらの区の合計面積は市全体の面 積の約4割であることから,浜松市の道路全長8400kmの4割 である3360kmを営業用二輪車が走行していると仮定すると, 同じ道路を年間13回ほど通ることとなる.同じ道路を同じ二 輪車が走行したデータが13回分取得することができれば,路 面性状を把握する上で十分なデータ量であると考えられる.ま た,参考文献[15]のIRIの計算に用いられるクォーターカーモ デル(図4)のアルゴリズムより,IRIは式1によって表せる. 図 5 営業用二輪車の専用センサ取付位置 IRI =

L/V 0 | ˙Z2− ˙Z1|dt/L (1) ここで,Z2:バネ上質量の高さ(mm),Z1:バネ下質量の高 さ(mm),Z˙2Z˙1Z2,Z1の時間の導関数(m/s),L:走行 距離(m),V:走行速度(22.2m/s = 80km/h),t:時間(s) である.つまり,IRIを算出するうえで上記の値が必要となる. IRIを算出する上で必要なバネ上とバネ下のデータを取得する 必要があるため,営業用二輪車に専用センシングユニットは図 5のように車体のフロントもしくはリアのバネ上とバネ下の二 箇所に取り付ける必要がある.これにより,走行距離と走行速 度,時間は直接センサから取得でき,時間の導関数は,加速度 を1回積分することで求めることができる.さらに,IRIとは 車両が80km/hで走行する際の車両の上下方向変位を求め,あ る区間の累積値を走行距離で除した値と定義されている.IRI を測定する際,測定間隔は250mm以下であることが望ましい とされる.このとき,測定する車両の速度が80km/hでない場 合は,その速度に補正された上下方向の変位が用いられる.こ こで例えば72km/h(=20m/s)で走行中の車両が測定を行う とした場合,250mm以下の間隔で測定を行うには変位のサン プリングレートは80Hz以上が必要となる.これは高々10Hz 程度で計測される衛星測位情報と比較すると高いサンプリング レートとなる. 本研究と同様に,サンプリングレートの異なるセンシング データを用いてデータベースを構築する研究[16]では,低いサ ンプリングレートに正規化して格納している.しかし,公益社

(6)

表 6 路面性状センシング用データベース構成

テーブルの種類 格納データの種類

設定情報 トリップ ID 車種 取付位置

IRI 情報 トリップ ID IRI ID IRI 値

センシングデータ IRI ID 算出に用いるセンシングデータ ✁✂ ✄☎✆✝✞✟✞☎✆✠ ✡☛☞✌✍✎ ✏✑✒✌✓✔✕ ✖☞✗ ✔ ✎☞✓✌✑✒✘✔✕ ☛✔✓✙✑✖✓ ✚☛✔✛✙✔✜✢✘✣✒✜✕ ✤✥✦ ✤✥ ✧★✁✂✩ ✄☎✆✝✞✟✞☎✆✠ ✎☞✓✌✑✒✘ ✡☛✒✜✓✪✫☛✗ ☞✜✖✫ ✬☛✒✌✭ ✮✯✰✱✯✰✲✳✴✵✶✷✸ ✹✺✻✼✽✵✾✺✿ ✶✼✰✾❀✺✻✱❁ ✡☛☞✌ ✍✎ ✏✑✒✌✓✔✕ ✖☞✗ ✔ ✎☞✓✌✑✒✘✔✕✕✒✖✒ ❂❃❃ ❄ ❅ ❆ ❇❈❉❊ ❋●❍ ■❏❑ ▲ ✮✯✰✱✯✰✲✳✴✵✶✷✸ ✹✺✻✼✽✵✾✺✿ ✶✼✰✾✿ ✻✱ 図 6 路面性状センシングを行う UI の例 団法人自動車技術会の規格会議審議の提示する二輪車試験に関 する資料によると,4種類ある二輪車の動作実験のうち最も高 いサンプリングレートが必要な実験はスラローム試験であり, ピーク値取得及び伝達関数分析には100Hz以上のサンプリン グが必要である[17].よって,本研究において100Hzでサンプ リングしたデータは必須であるため,正規化を行うことは適さ ず,表5のように同一サンプリングレートごとにテーブル分け することで対応した本データベースが路面性状調査において 有効であると言える.さらに,本研究グループで開発している Androidアプリから取得するそれぞれのデータのサンプリング レートは専用センシングユニットから取得する場合と異なるが, トリップ単位でデータを管理することでデータの欠損なく同一 テーブルに格納することを可能にした. また,このシステムにおいて,必要なデータは,IRIを算出 するために必要な二輪車のバネ上バネ下に取り付けたセンサの 値と,位置情報であり,それらの情報を格納した路面性状セン シング用のデータベースの一例として表6のような構成が挙げ られる. さらに,これらのデータを用いる場合のUIの例として図6 のような1画面に位置情報をプロットした地図とセンシング データのグラフを表示したものが考えられる. このようなデータベース作成や可視化を行う際,作成した二 輪車センシングデータベースは,位置情報と運動センサのデー タがトリップと経過時間という同一のキーによって管理されて いるため,例えば可視化において地図上に位置情報をプロット したあとに, プロットの開始地点と終了地点の時刻データを

渡すことで「SELECT (加速度進行方向左右軸) FROM (IMU

情報) WHERE開始時刻 <= time AND time <= 終了時刻

LIMIT 表示件数」のような1つのクエリのみ,かつ引き出す データ数を制限することで効率的にデータを引き出し,データ ベースに格納,もしくはグラフ表示することができる.よって, 新たに路面性状調査専用のデータベースを作成することなく, 二輪車センシングデータベースを用いることができるといえる.

5.

まとめと今後の課題

本稿では,二輪車センシングによる大量データを扱う二輪車 センシングデータベースの設計を行い,その応用事例として, 市内の金融機関の営業用二輪車を用いた路面状況調査を行うこ とについて考察した. 今後は,実際に車両に着けたセンシングユニットからのデー タを設計したデータベースに格納し,評価を行いたいと考えて いる.また,今回はpostgreSQLを使用してデータベースを設 計したが他種と比較を行っていないため,データベースの種類 についても検討していきたいと考えている.

本研究は,JSPS科研費26330102(基盤研究(C)「二輪車 の車体運動センシングシステムの研究」)の助成を受けたもの である. 文 献 [1] 木谷友哉, “Bikeinformatics:情報科学的二輪車 ITS の基盤研究,” 情処学会 DICOMO2013 シンポジウム論文集, pp. 1517–1524, (2013).

[2] Pioneer Corpolation, “CYBER NAVI,” http://pioneer.

jp/carrozzeria/carnavi/cybernavi/.

[3] Honda Motor Co., Ltd., “internavi,” http://www.honda.co.

jp/internavi/. [4] NTT DOCOMO, INC., “モバイル空間統計,” https://www. nttdocomo.co.jp/corporate/disclosure/mobile_spatial_ statistics/. [5] Google, “Google マップ で 交 通 状 況 を 確 認 す る,” https: //support.google.com/gmm/answer/2840020?hl=ja.

[6] Waze Mobile, “Waze,” https://www.waze.com/.

[7] RunKeeper, LLC, “runkeeper,” https://runkeeper.com/.

[8] バンプレコーダー株式会社, “路面性状を簡単計測,” http: //www.bumprecorder.com/. [9] 野村智洋, 牧野友哉, 白石 陽, “スマートフォンを用いた路面状 況変化の検知手法,” 情処学会 DICOMO2013 シンポジウム論 文集, pp. 131–138, (2013). [10] 河口信夫, 小川延宏, 岩崎陽平, 梶 克彦, 寺田 努, 村尾和哉, 井 上創造, 川原圭博, 角 康之, 西尾信彦, “HASC Challenge2010: 人間行動理解のための装着型加速度センサデータコーパスの構 築,” 情処学会 DICOMO2011 シンポジウム論文集, pp. 69–75, (2011). [11] 一般財団法人 自動車検査登録情報協会, 都道府県別自動車保有 台数, (2013). [12] 富山和也, 川村 彰, 石田 樹, “クォーターカーアルゴリズムを 用いた舗装モニタリングにおける路面損傷の検出方法,” 土木学 会論文集 F3(土木情報学), Vol. 68, No. 2, pp. I 127-I 134, (2012).

[13] マイケル W. セヤーズ(訳:笠原他), “道路縦断プロファイル

からの IRI の算出(上),” 舗装, (1996)

[14] M.W. Sayers and S.M. Karamihas, “The little book of

Pro-filing,” The Regent of the University of Michigan 2 (1998).

[15] 池田拓哉, 東嶋奈緒子, “国際ラフネス指数の計測方法に関する 研究,” 土木学会舗装工学論文集 第 3 巻, pp. 9–14, (1998). [16] 萩本真太朗, 河野弘樹, 笛田尚希, 出口達, 富井尚志, “スマー トフォンを用いた自動車走行ログ収集と EV モデルに基づく データベースの構築,” 研究報告データベースシステム(DBS) 2012-DBS-155(20), pp. 1–10, (2012). [17] 公益社団法人自動車技術会 規格会議審議, “二輪自動車‐スラ ローム試験方法 JASO T 014:2013,”(2013).

表 6 路面性状センシング用データベース構成 テーブルの種類 格納データの種類

参照

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