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非圧縮 MHD 方程式の解について

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Academic year: 2021

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全文

(1)

非圧縮 MHD 方程式の解について

菊地 慶祐

On the solutions of incompressible MHD equations

KIKUCHI Keisuke

Abstract:

It is shown here that the general solutions of 1-dim ideal MHD equations for incompressible perfect fluid, the traveling wave solutions of 2-dim ideal MHD equations for incompressible perfect fluid, and the traveling wave solutions of ideal MHD equations for incompressible viscous fluid.

KEY WORDS: incompressible MHD equations, general solutions, traveling wave solutions 要旨 完全流体についての 1 次元非圧縮 MHD 方程式の 一般解,2 次元非圧縮 MHD 方程式の進行波解,および,粘性流体に ついての非圧縮 MHD 方程式の進行波解が示されている. キーワード:非圧縮磁気流体方程式,一般解,進行波解

1.はじめに

非圧縮磁気流体(incompressible Magnetohydrodynamics [MHD])の運動は,方程式系 (1-a) v

  

v v B

B B2 2v 2 1              

t (1-b) Bt

  

vBB

v

2B (1-c)  v 0,  B 0 で記述される.ここで,Bは磁場ベクトル,vは流速ベクトル,

は圧力を表し,

は流体の粘性係数,

は 磁気拡散率である.

(2)

本研究の目的は,粘性,非粘性のBurgers 方程式の一般解に対応した,MHD 方程式の一般解を求めること である.ただし,本稿で示される結果は,完全流体についての非圧縮理想磁気流体(

0)の,空間1 次 元の一般解,空間2 次元の進行波解,および,粘性流体(

0)についての進行波解に限られ,当初の目標と 比べて不十分な結果であり,言わば,「未完成品」と言ってよい内容であることは十分承知の上で,研究の最初 の一歩としてご了承願いたい. なお,本稿の定理の結果の記述においては,関数の連続性,微分可能性等については省略する.

2.完全流体についての非圧縮 MHD 方程式の解

0  

のとき, uvB, pvB,

 2

2 1 B * とおくことで (1) は (2-a) ut

p

u

* (2-b) pt

 

up

* (2-c)  u 0,  p 0 に書き換えられる. とくに,空間1 次元の場合については,(2-a), (2-b)から準線形 1 階双曲型偏微分方程式 (3-a) utpux0 (3-b) ptupx0 が導かれる. 定理1 連立微分方程式 (3-a), (3-b) の解

 

u,p は,陰関数 (4) x

uf

 

udu

tf

 

u

, p

tf

 

u

で求められる.ただし, f

 

 , 

 

 は任意関数である. 証明 まず,(3-a), (3-b) に対して, tt

 

u,p , xx

 

u,p で変換[ホドグラフ変換]を適用しよう.このとき                      1 0 0 1 x t x t p u p u p p u u x x t t であるから,Dtuxptpxu0 のとき

(3)

                         u u p p p u p u x t x t t x t x D x x t t p p u u 1 1 が成り立つ. よって,(3-a), (3-b) は,u,pを変数,t,xを未知関数とする1 階線形双曲型偏微分方程式 (5-a) xpptp0 (5-b) xuutu0 に書き換えられる.さらに,(5-a), (5-b)をそれぞれu, pで偏微分して 0   pu pu pt x , xuputup0 従って upのとき,tup0 が導かれ,未知関数tは (6) tf

   

ug p で求められる. ここで, f , gは任意関数である. また, dxxuduxpdputuduptpdpuf

 

udupg

 

pdp より (7) x

uf

 

udu

pg

 

pdp が得られる. 注 (6), (7) から Dtuxptpxu

up

    

fugp が得られ, u のとき,p 任意の非定数関数f

 

 , g

 

 に対して, ホドグラフ変換の条件D0をみたすことがわかる. 次に,解の陰関数表示 (6), (7) を少しだけ使い易い形に書き換えよう. (6) からpph

tf

 

u

, ただし,hは g の逆関数 で表され,これを (3-b) に代入して ptupxh

tf

 

u

1f

 

u utuux

0

(4)

が得られる.よって,(6), (3-b) をみたす u は,1 階の偏微分方程式 (8) f

 

uutuf

 

uux1 で求められることがわかる.(8)の Lagrange 系は

 

 

1 du u f u dx u f dt    であり,それぞれ

 

1 du u fdt  ⇔ dtf

 

udu より t uf

 

(は任意定数)

 

1 du u f udx  ⇔ dxuf

 du

u より x

uf

 

udu(は任意定数) が得られるから,(8)の一般解 (9) 

tf

 

u,x

uf

 

udu

0( ,

 

 は任意の関数) が求められる.このとき,とくに (10) x

uf

 

udu

tf

 

u



g

 

p

で表される. これより,(7)と比較して 両者が成り立つ条件 (11)

pg

 

pdp

g

 

p

が導かれる. この両辺をpについて微分して 

g

 

p

  

gppg

 

pp

g

 

p

よって,

 

は g の逆関数hに等しいこと,すなわち,

   

 h であることがわかり(4)が導かれる. 逆に,(4)が(3-a), (3-b) の解であることは直接の計算で確かめられる. 注 とくに,u のとき,(3-a), (3-b)はともに非粘性の Burgers 方程式となり,よく知られているように,一般解は p 陰関数表示で与えられる.さらに,この解は直ちに空間多次元の場合の解に拡張される. 空間1 次元 utuux0の一般解:uf

xtu

f

 

 は任意関数) ⇒ 空間多次元 ut

 

uu0の一般解:uf

xtu

f

 

 は任意のベクトル値関数)

(5)

一方,(4)は直ちに空間多次元の場合の解に拡張することはできない. 空間2 次元の進行波解について,次の定理が成り立つ. 定理2 0  

* をみたす (2-a), (2-b), (2-c)の進行波解:uu

xat

, p p

xat

a

 

a,b は定ベクトル)は (12-a) u

f

yx

ab

t

a,f

yx

ab

t

b

(12-b) p

g

yx

ab

t

a,g

yx

ab

t

b

ただし, f , gは任意関数,は任意定数 に限られる. 注 (2-c)をみたさない・ ・ ・ ・ ・ (2-a), (2-b)の進行波解:u

U

xat

a,V

xa

b

, p

P

xat

a,Q

xa

b

は陰関数 (13) ybt

h

   

UUdU

xat

 

U

, VUh

 

U , k

 

P 

xat

 

U

, QPk

 

P で与えられる.ここで, h , k , ,  は任意関数である. 証明

   

U,,V,

 a u , p a

P

   

,,Q,

, ただし,

  

,  xat,ybt

とおくとき,(2-a), (2-b)(

*0)はそれぞれ (14-a)                    0 0 Q P V V U U     (14-b)                    0 0 V U Q Q P P     に書き換えられる. このとき,(13-a) および              0 0 Q P をみたす条件は 0     V V U U であり,UVは関数関係があるから V

 

U で表される. 同様に,(14-b) および              0 0 V U から Q

 

P が導かれ,(14-a), (14-b)は,U , を未知関数とする準線形P 1 階双曲型偏微分方程式 (15-a) PU

 

PU0

(6)

(15-b) UP

 

U P0 に書き換えられる. さらに,(2-c)から,それぞれ uUV0 ⇔ U

 

UU0 pPQ0 ⇔ P

 

PP0 が得られ,(15-a), (15-b)と比較して 

 

PP

 

U , 

 

UU

 

P が成り立つことがわかる. これより (16) 

 

U U, 

 

P P(は任意定数) が導かれる. これらを (15-a), (15-b)に代入して, それぞれU, Pについての1 階線形波動方程式 (17) UU0, PP0 が得られ,一般解 U ,

  

  f

, P

  

, g

ただし, f

 

 , g

 

 は任意関数 が求められる. 以上から, 定理の主張は示された. 注 とくに,upのとき,(12-a) は Euler 方程式

 

p tuu u ,  u 0 の進行波解である (13)の証明の概略 ホドグラフ変換: 

U ,P

,  

U ,P

を利用して(15-a), (15-b)の解を求めてみよう.このとき                      1 0 0 1         P P U U P U P U 0 U P P U D    のとき,                  U U P P D P P U U         1 が成り立ち,(15-a), (15-b)は,

を未知関数とする1 階線形偏微分方程式 (18) PP

 

PP0, UU

 

UU0 に書き換えられる.さらに,左・右の等式をそれぞれU, Pで偏微分した後に, U, Pおよび

 

U , 

 

P を乗じ辺々 加えて

(7)

P

 

UU

 

P

PU0,

P

 

UU

 

P

PU0 が得られる. ここで,P

 

UU

 

P 0のとき,

,

は(16)式をみたし,さらに,(18) からD0 が導かれるから,ホドグラフ変 換の条件をみたさない.よって, PU0, PU0 が得られる. 従って,  , はそれぞれ f1

 

Uf2

 

P , g1

 

Ug2

 

P の形で表される. このとき, Uf1

 

U , Pf2

 

P , Ug1

 

U , Pg2

 

P を(18)に代入して, Pg2

     

P  Pf2P 0, Ug1

     

U U f1U 0 従って,(15-a), (15-b)の解は陰関数 (19) f1

 

Uf2

 

P , 

   

 

   

fPdP P P dU U f U U 2 1    で与えられることがわかる. さらに,

   

hU UU   ,

   

kP PP   , f1

   

U U とおき,(6), (7) から (10)を導いた議論を繰り返して 

h

   

UUdU



 

U

, k

 

P 



 

U

すなわち,(13)の関係式が求められる. 注 

*0をみたす 空間 3 次元の (2-a), (2-b), (2-c)の進行波解:uu

xat

, pp

xat

a

a,b,c

は定ベクトル として u

f



a,g



b,f



g



c

p

h



a,k



b,h



k



c

ただし,

,,

 

xat,ybt,zct

, f, g , h , k は任意の関数,  , は任意定数 が存在する.

(8)

3.粘性流体についての非圧縮 MHD 方程式の進行波解についての考察

ここでは,粘性流体についての非圧縮MHD 方程式:(1-a), (1-c) および (1-b) において磁気拡散率0と した式 (1-b)´ Bt

  

vBB

v0 の進行波解を考えよう. 定理3 (1-a), (1-b)´から導かれる空間 1 次元の連立偏微分方程式 (20-a) vtvvxBBxvxx (20-b) BtvBxBvx0 の進行波解は求積法で求められる. 実際, vV

xat

a, BW

xat

aは定数)とおくとき,(20-a), (20-b)はそれぞれ (21-a) VVWWV (21-b) VWWV0 で表される. このとき,(21-a), (21-b)を積分して VWc12V 2 2 , W cV 2  (c1, c は任意定数)1 さらに,Wを消去して

 

2 2 1 2 1 2V c Vc が得られるから, とくに, 2 1 2  c のとき  2 1 2 2 c k V V    , ただし, 2 2 1 1 c c k   で表される.よって,積分により a) k0のとき

 

          3 2 2 2 1 tan k c c k V    b) k0のとき

 

3 2 2 2 1 1 c c V        c) k0のとき,k20)とおいて

(9)

 

 

            3 2 2 2 1 c c tanh V      が求められる(ただし, c3は任意定数). このとき, (20-a), (20-b)の進行波解は

x at

a V v   , Bc2V

xat

で表される. 空間 2 次元の進行波解

 

 

U ,a,V ,b

   v , B

H

   

,,K,

,

*

P

 

,

, xat , ,ybt とおくとき, (1-a), (1-b)´, (1-c)はそれぞれ (22-a)                                                                V V U U P P K H K K H H V U V V U U (22-b)                                     0 0 K H V V U U V U K K H H         (22-c) UV0, HK0 で表される. さらに,(22-c)を(22-b)に代入して, (22-b)は (22-b)´

                                                    0 0           VH UK VH UK K H U V U V V U H K H K に書き換えられる. すなわち,(22-b)´は 

UKVH

0 で表され UKVHconst. が成り立つことがわかる. 従って,とくに,UKVH0のとき

H,K

  

U,V さらに,が定数(21)のとき

(10)

 

                                             V V U U P P V U V V U U 2 1 UV0 従って, u

 

1

2

U

   

,

,V

,

, p

 

12P

 

, とおくとき

 

uup

2u,  u 0 で表され,

 

12

U ,V

, p

 

12Pは粘性係数2 次元 Navier-Stokes 方程式の定常解であることがわか る; 2 次元定常 Navier-Stokes 方程式の厳密解については,多くの結果が知られており,例えば,参考文献[2], [3]を参照してほしい. 参考文献

[1]W. F. Ames, Nonlinear Partial Differential Equations in Engineering, Academic Press (1965)

[2]P. Drazin and N. Riley, The Navier-Stokes equations: a classification of flows and exact solutions, Cambridge University Press (2006)

参照

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