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高山市域における悉皆調査と地域住民の伝統木造建物に対する意識調査

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Academic year: 2021

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メカニズムの異なる格子と組子の初期剛性の立ち上がり、降伏レベルが同じとは限らないので、まとめて α で一律にコントロールできる根拠はないが、格子と組子の全体が初期の低剛性状態から剛性が増大し、降 伏により剛性低下する挙動を表す一つの試みである。   ここで、

は回転角の増分(rad)、QF1.8kN(一定値)は初期の摩擦抵抗である。 全体の復元力特性は図 25 のようになり、α を 0.04〜0.8 の範囲で調整することで 2 回目実験の復元力特性 をシミュレーションできる。格子・組子のユニットが全体として試算値の4%から最大 80%の耐力を発揮し、 0.05rad 以降は降伏すると 10%程度の剛性となると解釈できる。この算定では、全体の抵抗に占める比率は、 格子 8%、組子の引張抵抗 19%、圧縮抵抗 73%程度である。このシミュレーションの試みも一定の妥当性 があると考える。 6.まとめ㻌  伝統的な飾り組子欄間の試験体を製作して水平加力実験を行った。その結果、変形に伴い復元力は大幅に 向上し、大変形時には降伏後も低下しないで大きな耐力を有することが分かった。耐力を発現する力学メカ ニズムとして、組子の斜材に作用する圧縮力が主たる要素であるが引張力も作用し、同時に格子材には曲げ モーメントも作用していることを定量的に確認した。飾り組子欄間は、構成する部材数が多く、安定した復 元力特性を示し、大変形においても大きな損傷が生じないことを確認した。 実験結果をもとに、格子のほぞと胴付きの仕口の回転めり込みメカニズム、組子の引張は挟み込みの回転 めり込みのメカニズム、組子の圧縮は断面が細った先端の均等めり込みのメカニズムを適用し、弾塑性パス テルナーク・モデルによる定量的なシミュレーションを試みた。現段階では、主に弾性剛性の評価にとどま るが、弾塑性特性は実験結果に合うように剛性低下率を用いて評価した。これによれば、全体の抵抗に占め る比率は、格子 8%、組子の引張抵抗 19%、圧縮抵抗 73%程度である。設定した要素の剛性は全体にやや 過大であり、引き続き弾塑性にわたる精度よいシミュレーションを検討する。  謝辞本研究は、東本願寺御影堂門耐震調査研究の一環として行われたもので、東本願寺ならびに耐震調査 研究委員会の関係各位のご協力に感謝します。  参考文献 1) 木材工業ハンドブック:森林総合研究所 改定4版,2004.3. 2) 棚橋秀光・鈴木祥之:伝統木造仕口の回転めり込み弾塑性特性と十字型通し貫仕口の定式化,日本建築学会構造系論 文集,Vol.76, No.667, pp.1675-1684, 2011.9. 3) 曽田範宗:摩擦と潤滑,岩波, pp.71, 1954. 4) 棚橋秀光・大岡優・伊津野和行・鈴木祥之:木材のめり込みメカニズムとめり込み弾塑性変位の定式化,日本建築 学会構造系論文集,Vol.76, No.662, pp.811-819, 2011.4.  (19.3 929 ) F= (463 5574) F= 6037 1.8 (14) Q n m  Q   Q                1 1 2 1 1 1 2 1 2 1 1 1 2 2 , 2 2 2 [mm] [kN/rad] / 2 2 2 2 1 2 2 H H T QH QH Q H QH A E A E A E A E Q Q QH E K H QH QH A E A E A A A E T Q K                     )本研究で扱う木造のトラスでは節点は理想的なピンとはならないが、 ピンと仮定して、付図1のトラスを参照して、仮想仕事の原理により、 水平変位: 斜材の変位: 回転角あたりの水平せん断剛性: 斜材の軸変形剛性: 付録 2 1 2 1 2 2 1 [kN/mm] 2 42 60 2520, =60×70 4200 / =0.7 0.4 (2 2 ) 0.4 [kN/rad] 0.4 [kN/rad] 2 2 [kN/rad] T T C T C T H A H A A A A K K H A A K K H K H K K K T Q K K                    の場合 より, /        または 回転角あたりの引張剛性 (圧縮剛性 )を回転角あたりの水平せん断剛性 で表すと 1  l H2l HQ T C H  1 A 2 A A2 付図1 変位算定図 歴史都市防災論文集 Vol. 8(2014年7月) 【論文】

高山市域における悉皆調査と

地域住民の伝統木造建物に対する意識調査

An investigation of houses in Takayama city and

Neighborhood Residents’ Consciousness on woodenhouses

鈴木智華

1

・後藤正美

2

Suzuki Chika and Gotou Masami

1金沢工業大学 博士前期課程(〒921-8501 石川県野々市市扇が丘7-1) Graduate Student, Kanazawa Institute of Technology

2金沢工業大学 教授・博(工) (〒921-8501 石川県野々市市扇が丘7-1) Professor,Kanazawa Institute of Technology, Dr. Eng.

There are traditional wooden houses in Takayama city Gifu prefecture. Some structures are assigned for preservation area (Preservation District for Group of Traditional buildings). A national disasters is frequently occurring in recent years. Their important houses will be required confirmation safety. In this study, an investigate the actual conditions of the houses and neighrhood residents’ consciousness in Takayama city. In this investigation, film entire peripheral images and analysis for building distribution. With this method, serving to acquire various information and improve efficiency of investigation.

Keywords : wooden house, Result Of the Investigation

1.はじめに 岐阜県高山市内には、昭和及び戦前に建てられた飛騨の木造伝統構法による町家型の住宅が多く現存し、 その一部は重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。これらは文化的な価値とともに重要な観光資源 で後世に残していくためには、自然災害が多発している近年において、建物の安全性や地域の安全性を確認 することが必要となっている。これまでにも石川県の珠洲や古い町並みが残る寺町において調査1)2)が行 われてきた。高山市内に現存する多くの伝統木造建物の実態を把握するために、本研究では、高山市内を対 象として、悉皆調査及び住民に対する意識調査を実施した。 2.調査の概要  悉皆調査 調査対象地域は、高山市内でも旧市街地と呼ばれる地域である。調査地域を図1に示す。調査対象地域に おける建物の現状を明確にするため悉皆調査を行い、建物形状、階数、構造など、外観から判断可能な建物 の基本データを収集した。現地で外観写真を撮影し、その写真に基づいて、建物を分類し、GIS データとし て格納した。また、自動車に全周囲画像カメラを搭載して主な街路を走行し、全周囲画像を撮影した。全周 囲画像撮影を実施した街路を図1に併せて示す。全周囲画像は、後日、画像処理することによって建物の 様々な情報を得ることができるものである。図2に画像処理後利用例を示す。全周囲画像計測システムを確 立することは、調査の効率を向上させ、今後の悉皆調査の有効な手段となる可能性がある。

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  図2 全周囲画像 画像処理後利用例     住民意識調査 これからの高山で継承すべき建物像の提案を考える資料 を得るために、住民の意識調査を実施した。主な調査項目 3)は、回答者の属性、建物用途、建替や補修・改修の意識、 災害に対する備えである。アンケートの配布・回収には高 山市基盤整備部都市整備課,教育委員会,文化財課の協力 も得ている。高山市三町重要伝統的建造物群保存地区にお いてその建築物の所有者に対して実施した。 図1 調査範囲及び全周囲画像撮影街路 3.結果及び考察   悉皆調査  約棟の外観調査を行い、31の項目に分類した。調査地域全体での木造建物の割合は2割で、2 つの保存地区(三町重要伝統的建造物群保存地区、下二之町・大新町重要伝統的建造物郡保存地区)に おいては伝統木造建物の割合が4割以上を超える町も多い。図3に列の例、図4~6に建物分類例、表 1に分類項目一覧、図7に建物分類結果(6分類)、図8に*,6写真データ格納例を示す。         図3 列の例     図4 伝統             図5 在来           図6 その他

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  図2 全周囲画像 画像処理後利用例     住民意識調査 これからの高山で継承すべき建物像の提案を考える資料 を得るために、住民の意識調査を実施した。主な調査項目 3)は、回答者の属性、建物用途、建替や補修・改修の意識、 災害に対する備えである。アンケートの配布・回収には高 山市基盤整備部都市整備課,教育委員会,文化財課の協力 も得ている。高山市三町重要伝統的建造物群保存地区にお いてその建築物の所有者に対して実施した。 図1 調査範囲及び全周囲画像撮影街路 3.結果及び考察   悉皆調査  約棟の外観調査を行い、31の項目に分類した。調査地域全体での木造建物の割合は2割で、2 つの保存地区(三町重要伝統的建造物群保存地区、下二之町・大新町重要伝統的建造物郡保存地区)に おいては伝統木造建物の割合が4割以上を超える町も多い。図3に列の例、図4~6に建物分類例、表 1に分類項目一覧、図7に建物分類結果(6分類)、図8に*,6写真データ格納例を示す。         図3 列の例     図4 伝統             図5 在来           図6 その他 表1 分類項目一覧 図7 建物分類結果(6分類)     図8 GIS格納データ例  建物を分類するにあたり、外観写真のみでの判定とした。ここでは、高山の街並みには町家造りの商家が 残っていることから町屋の特徴として挙げられている要素4)を持つ建物を伝統に分類した。 図9に建物分類結果(2分類)、図10に保存地区における建物分布を示す。    図9 建物分類結果(2分類)    図10 保存地区における建物分布  図9から分かるように、伝統木造建物は数箇所の区域にかたまって存在しており、これらの区域は上記に 述べた伝統的建造物群保存地区とほぼ一致している。図10は2つの重要伝統的建造物群保存地区における 建物分布で、『さんまち通り』と呼ばれる観光地として特に賑わう街路に伝統木造建物が集まっている。   

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 住民意識調査  年月にアンケート用紙を配布し,ヶ月程度の回答期間ののちに回収した。名から回答 を得た(回収率)。回答者の属性、建物用途、建造の時期、建替や補修・改修について、災害に 対する備え、町並みに対する意識について結果と考察を述べる。  D 回答者の属性  回答者の年齢別属性は図11のようになっている。71歳以上の割合が最も多く、60歳以上の回答 者が全体の半数以上を占めている。  図11 回答者の年齢別属性   E 建物用途  建物用途は図12のようになっている。住居専用が全体の53%で最も多く、次いで住居と事業(店 舗など)の併用となっている。  図12 建物用途   

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 住民意識調査  年月にアンケート用紙を配布し,ヶ月程度の回答期間ののちに回収した。名から回答 を得た(回収率)。回答者の属性、建物用途、建造の時期、建替や補修・改修について、災害に 対する備え、町並みに対する意識について結果と考察を述べる。  D 回答者の属性  回答者の年齢別属性は図11のようになっている。71歳以上の割合が最も多く、60歳以上の回答 者が全体の半数以上を占めている。  図11 回答者の年齢別属性   E 建物用途  建物用途は図12のようになっている。住居専用が全体の53%で最も多く、次いで住居と事業(店 舗など)の併用となっている。  図12 建物用途    F 建造の時期  昭和(戦後)に建てられた建物が最も多く、明治以前に建てられた建物も15ほど存在し、また、 新耐震以前と以後に分けると図13のようになり、新耐震以前に建てられたものが以後に建てられたも のの約2倍存在する。  図13 建造の時期(新耐震以前・以後)   G 建替や補修・改修 図13は建替する際の優先項目の結果である。補修・改修の有無の質問から、なんらかの不備や不便 さから約7割の建物が補修・改修されていることが分かっている。詳細な改修箇所としては、トイレ・ お風呂・台所などの水回りという回答が目立った。孫夫婦のための部屋をつくる、バリアフリー化など 住民の変化に対応した改修や、ほぼ全体のリフォーム、融雪装置の設置などという回答もあった。建替 の際には、快適性を最も優先したいと考える人が多いことが分かる。図14は家を建替える際の希望地 である。約7割近くの住民が、現在の土地に新たに建築したいと考えていることが分かるが、現在住ん でいる地区外に建替えをしたいという回答もあり、これは後に述べる「街を誇りに思うか」という問い に対する「保存地区内で規制が多く、自由に変更などができない」といった不満と捉えられる回答と関 係していると考えられる。   図13 建替する際の優先項目

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 図14 建替希望地   H 災害に対する備え  図15は災害に対してどのような備えを行っているかの結果である。家具やテレビの転倒防止や非常 食の用意、避難経路の確認など、比較的簡単に日常に行える対策をとっている住民が多く、災害に備え て家を補修・改修しているといった回答もあった。一方で「なにもしていない、備えをしたいがしてい ない」といった回答も全体の2割近くあり、各家庭での備えには大きな差があることが分かる。   図15 災害に対する備え     I 町並みに対する意識 図16に町並みに対する意識の回答結果、図17に一部コメントを示す。「自分たちの住む町並みを誇 りに思うか」といった質問に対し、「思う・強く思う」との回答が8割以上あり、「歴史があるから」

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 図14 建替希望地   H 災害に対する備え  図15は災害に対してどのような備えを行っているかの結果である。家具やテレビの転倒防止や非常 食の用意、避難経路の確認など、比較的簡単に日常に行える対策をとっている住民が多く、災害に備え て家を補修・改修しているといった回答もあった。一方で「なにもしていない、備えをしたいがしてい ない」といった回答も全体の2割近くあり、各家庭での備えには大きな差があることが分かる。   図15 災害に対する備え     I 町並みに対する意識 図16に町並みに対する意識の回答結果、図17に一部コメントを示す。「自分たちの住む町並みを誇 りに思うか」といった質問に対し、「思う・強く思う」との回答が8割以上あり、「歴史があるから」 「伝統的である」というコメントが目立った。一方で「洋風建物が増え、統一感が失われてきた」「維 持が大変である」「外観のみを揃え、生活が不便である」として「思わない・あまり思わない」という 回答もあった。   図16 町並みに対する意識  大切な文化遺産だから 町家造りが素晴らしい 町全体で守ろうとしている人が多い 現在は作られた町並みになってしまっている 観光客のための町並み造りになっている あまりにも近代的になりすぎた 図17 コメント 4.結論  今回の悉皆調査と住民意識調査により、以下のことが明らかになった。 ・調査地域全体での伝統木造建物の割合は約2割(18.7%)だが、保存地区では5割以上の地域が多い。 ・町並みを誇りに思う住民が多いが、保存地区に指定されたことによる制約への不満もある。 ・新耐震以前に建てられた建物が大半だが、災害への備えをしていないケースが多い。 住民意識調査を行った三町は保存計画によって特定されている伝統的建造物 (民家、土蔵等の建築物)が 172棟あり、悉皆調査による結果からも昔ながらの建物と町並みが多く保存されていることが分かる。今 後建物の安全性や地域の安全性を確認し、歴史的な町並みと建物を後世に残してゆく必要がある。これには、 街並み保存の規制に対する改修の際のアドバイスなど、住民だけでなく市町村の協力も必要になってくると 考える。 謝辞:本研究では調査を実施するにあたり、高山市役所、オークヴィレッジ株式会社、高山市建築士協会の 皆様にご協力いただいた。ここに記して謝意を表する。

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参考文献 1) 眞山 大樹,岡本 正樹,珠洲市域の木造建物の地震被害想定に関する研究, 平成22年度金沢工業大学プロジェクトデザ インⅢ 公開発表審査会 2) 黒田 奈緒,和田 真樹,金沢市寺町の木造建物群の被害想定に関する研究,平成22年度金沢工業大学プロジェクトデザ インⅢ 公開発表審査会 3) 小笠原 昌敏 , 谷口 仁士 , 須田 達 , 鈴木 祥之:加悦伝統的建造物群保存地区の防災に対する住民意識調査,歴史都市防 災論文集 6, 361-368,2012. 4) 桃花流水,Panorama飛騨,panoramahida.iza-yoi.net/index.thml,(2014.5.19閲覧)

参照

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