• 検索結果がありません。

日本・東アジア文化理解への発展性を持った日本語・日本事情教育への取り組み

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "日本・東アジア文化理解への発展性を持った日本語・日本事情教育への取り組み"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)日本・東アジア文化理解への発展性を持った日本語・日本事情教育への取り組み. 日本語教育部. 四方田千恵. 留学生センター・日本語教育部門が 2013 年度より国際戦略推進機構・基盤教育部門・日 本語部門となった。この名称の変化が示すように、留学生を対象とした日本語教育も、その 背後に国際戦略としての枠組みが求められていると言ってよいだろう。 留学生センター時代から取り組んできた、こうした方向性に沿った教育的試みの一つは、 「日本事情」科目を通じて第二次世界大戦後の日本文化・社会の変遷、およびそれに伴う日 本人の心情・思想の変化を留学生とともに捉え、考えなおすことであった。留学生たちが日 本で教育を受ける数年間だけの日本の情況を見て、各自の日本観を形成するのではなく、そ の基層にあるものを理解し、そしてそれが現在に日本とどのような関係にあるのか、を批判 的かつ創造的に思考する力、さらにはそれを表現する日本語力を養って欲しいと考えてい たからである。 日本人の心情・思想を理解するために、教材には黒澤明、今村昌平など世界的にも評価の 高い映画監督の『わが青春に悔いなし』(1946)、 『酔いどれ天使』 (1948) 、 『豚と軍艦』 (1960) などの映像作品や、大岡昇平『俘虜記』(1948)、村上春樹『アンダーグラウンド』(1997)な どの文学作品および、それに関連する評論、新聞記事などを使用した。 例えば大岡昇平の『俘虜記』は日本人学生にとっても決して易しい作品ではないと思うが、 中国、韓国、ヴェトナム等のアジア地域を中心とする留学生(学部生および短期留学生)たち は積極的にその読解に取り組み、理解を深めた。何故ならば、そこには彼らが母国で受けて きた教育や報道を通じて知っていた、いわば好戦的な日本人とは全く様相の異なる、理性的 で深い洞察力を示す日本人像が描かれているからである。戦争を憎みながらも戦地に赴か ねばならず、敵に出会いながらも自分の人生の最後を血で汚したくないと考える主人公へ の興味から、知らず知らずのうちに、留学生は決して易しいとは言えない大岡昇平の文章を 読み込んで行くのである。さらに理解したことを表現する力を養うために、授業中にディス カッションするだけではなく、授業支援システムの掲示板機能を使って、自分の考えを言語 化し、公開していくという作業を課した。 一方、こうした留学生に対する日本語・日本事情教育と表裏一体となって進めてきたのが、 日本人学生も含めた国際理解教育である。教養教育としての「国際理解6 国際日本学入門」 (2009~2010 年度開講)や「国際理解4 台湾の文化と社会」 (2011~2012 年度開講)や、 専門教育としての「国際学1E(国際文化学)」 (2013 年度開講)では、日本の文化・社会の みならず、対象を中国・台湾・韓国と東アジア全般へと広げ、留学生とのディスカッション を通じて、日本人学生の国際理解力を養成すべく努力してきた。. 56.

(2) 今後も単なる語学習得に終わらない、日本・東アジア文化理解への発展性を持った、「基 盤教育」としての日本語・日本事情教育を追求したいと考えている。. 57.

(3)

参照

関連したドキュメント

③ ②で学習した項目を実際のコミュニケーション場面で運用できるようにする練習応用練 習・運用練習」

戸田・大久保論文は、近年の早稲田大学における発音学習教材の開発と音声教育の取り

 発表では作文教育とそれの実践報告がかなりのウエイトを占めているよ

「こそあど」 、3課が「なさい」

日本語教育に携わる中で、日本語学習者(以下、学習者)から「 A と B

2011

早稲田大学 日本語教 育研究... 早稲田大学

高等教育機関の日本語教育に関しては、まず、その代表となる「ドイツ語圏大学日本語 教育研究会( Japanisch an Hochschulen :以下 JaH ) 」 2 を紹介する。