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第二言語としての日本語の文章理解における第一言語の単語認知処理方略の転移 : 視覚入力と聴覚入力の相違を中心に

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(1)五 口 ロ 与一口 第 る ヰノ お ⅠⅠ. 三口覚五山 三革 視 第の一. 小森 和子 [ キーワード ]. 1 ,. 単語認知処理、 正書法、 音韻符号化、 意味アクセス、 転移. はじめに. 文字により呈示された 語をその視覚情報から 意味にアクセスし、 文章の内 容理解を行うという 読解と、 音声により呈示された 語を聴覚処理し、 その後、 意味表象にアクセスして 内容理解を遂行する 聴解 とは、 視覚、 聴覚といった 人力器官の相違はあ っても、 いずれも受容した 情報を処理する 過程であ り、 高次レベルの 深層構造では 共有されていると 言われている. (Canale 1984,. Levelt1993,Hirai l999, 平井 2001, 門田 2002) 。 しかしながら、 成人学習者の 第 ハ""" 二言語習得においては、 学習の初期段階では、 文字による学習や 教授が中心 ノし. 上ヒ. であ り、 語を覚える際にも、 単語 カ一 ドを 作成する、 辞書を活用する 等、 第 二言語 (以下 "L2") の単語の書字形態に 第一言語 ( 以下 "Ll") の相当 話 を 対連合させて 記憶、 学習するという 方略が取られるのが 一般的であ り、 視覚 に依存した学習活動が 主であ る。 そのため、 L2 学習者は読解. 力. の形成が聴 牌. 力 のそれに先行し、 L2 の習熟度があ る一定レベルに 達するまでは、 読解 力 の. (Lundlg91,℡ rai l999, 平井 2001, 野呂. 方が優勢であ ることが指摘されている. 2001)o また、 L2 としての日本語の 場合、 Ll において漢字という 正書法を用いる 学 習者. ( 以下. " 漢字国学習者. "). は、. それ以外の学習者 "圭. ( 以下. " 非漢字国学習. 者 ") に比して、 漢語語彙の書字形態 ( 以下 " 喜字 ") から意味へのアクセス が 容易であ るため、 読解における 内容理解の優位性が 指摘される (Matsunaga "". 。 ,,. 1999) 。 その一方で、 漢字困学習者は、 視覚情報への 依存度が高 い ため、 聴 解 においては内容理解が 促進されにくいことも. 報告されている. ( 石田. 1986,. 尹 2000, 2002) 。 また、 漢字国学習者の 読解力 め 優位性を指摘する、 こうした. 先行研究の知見は、 日本語教育現場での 日本語教師の 直感とも符合するもの であ ろ. 一. Ⅰ. 7 一.

(2) それでは、 深層構造において 共有されていると 考えられる、 この読解活動 と聴 牌 活動とで、 このようなパフォーマンスの 差が生じるのは、 どのような 原因に. よ. るものであ ろうか。 筆者は、 学習者の Ll の正書法の特徴が L¥ の単語. 認知処理方略を 決定付け、 その LK の方略が L2 の単語認知処理過程に 転移する ことに. ょ. り、 読解と聴牌 の 、 それぞれにおける 内容理解の処理過程に 相違が. 生じると考えている。 そこで、 本稿では、 日本語を L2 として学ぶ日本語学習 者の 、 lJl の単語認知方略が L2 に転移し、 その結果、 内容理解が促進したり. 減衰したりすることを、 2 つの実験により 検i訂 する。. 2. 先行研究 世界の文字体系を 大別すると、 表音文字と表意文字に 二分される,・。表音 文字の中には、 アルファベットのような、 1 文字が 1 音素に対 C する音素文 字と、. 1. 文字が. 音節. 1. ( モーラ ). に対応する、 日本語の仮名のような、 音節. 文字があ る。 また、 表意文字は表語文字とも 称され、 文字が音ではなく、 語 やその意味を 表象する。 小泉 (1978) は、 漢字は、 能する. (例 :. 「. 火 」「車. ). 」. 1. 字で語の単位として 機. ため、 表語文字ではあ るが、 漢字 2 字で 1 語を表す. ような場合には、 それぞれの漢字 1 字が形態素として 機能する における「 火 」と「 車. 」. ). (例. : 「火車」. ため、 形態素文字でもあ ると述べ、 表意文字を表. 語文字と形態素文字に 下位分類している. (図. 1)0 べ. フ. な. 車. ﹁. る ノ + お. ﹂ 車. 車. ﹁. 字. ハツ. ﹁. 字. ゐ子. 文 土日小. ァか漢字漢. み子 文 土日. 字 字字文文 立文 素. 土日. 表表. 字 文. ﹂. 図. Ⅰ. 文字の種類. (笹沼 1995. を一部改変. ). 日本語の場合は 、 主としてかなと 漢字を用いるため、 表音文字と表意文字 を 併用しているということになる。. こうした異なる 2 種類の文字体系を 併用. する言語は、 世界にもあ まり例がなく、 日本語母語話者のかなと 漢字の認知 処理過程は、 認知心理学の 分野において、 1970 年代後半から 盛んに研究され. 一. 18. 一.

(3) てきた。 1980 年代前半までの 研究では、 かなは喜字から 音韻符号化が 優位で あ. り、 反対に漢字は 書字から意味処理が 優勢であ るという実験結果が 得られ. ており、 このことから、 かなは音韻符号化が 起こってから 意味表象にアクセ ス される. (音韻媒介アクセス ). のに対して、 漢字は音韻符号化を 経ずに直接. 意味処理される ( 直接 ァクセズ) と考えられてきた 村 1981. Morton&Sasanumal984)0. ( 例えば、. 斉藤 1981, 野. しかし、 その後の研究で、 漢字処理においても、 音韻符号化が 起こって り. と る. が示唆される 知見が提示される. Patterson& Humphreys Talsumi&Masaki. よう. になり. l993, 水野 1997, 斉藤 1997,. ( 門田. 1987, Wydell,. Sakuma, Sasanuma,. l998, 邱 2002b, 正岡 2005) 、 現在では、 漢字処理における. 音韻符号化の 有無 や 、 漢字の処理経路 ( 時系列処理と 並列処理 しょうとした 研究が活発に 行われている。. ). をモデル化. 現在までのところ、 漢字処理には、 喜字の処理が 重要であ ること、 書手処 理の後に音韻符号化を 経ずに意味処理されることがあ 符号化を経ずに 意味処理が可能であ ること. )、. ること. ( または、. 音韻. かなに比して 意味表象へのア. クセスが迅速であ ること等は、 上記の先行研究も 認めている知見であ る。. うした知見から、 日本語母語話者は、 漢字の意味処理においては、. こ. 喜字表象. に依存しやすく、 音韻符号化にあ まり依存しないという 認知方略を採ると 考 えられる。 一方、 アルファベット 等の表音文字を 用いる L¥ の話者の場合は、 一文字一文字が 音素と対応しているため、 音韻符号化に 依存した認知方略を 用いて、 言語処理を行っていると 考えられる。 このように、 Ll における正書法が、 表語文字であ るか、 表音文字であ るか によって、 単語認知方略が 方向付けられると 考えられるが、 この方略が L2 の. 単語の処理においても 転移されることが、 L2 としての英語習得研究の 分野で 報告されている。 Br0wn&Haynes. (1985) は、 アラビア語、 スペイン語、. 日. 本語を Ll とする英語学習者の、 文字の識別能力を 比較したところ、 日本語 Ll の学習者が、 アラビア語やスペイン 語を Ll とする学習者に 比べて、 文字の視 覚 9 相違点に対して 敏感であ ることが分かった。 このことから、 Ll において 白. 漢字を用いる 日本人英語学習者は、 喜 字の情報に依存しやすく、 それが L2 の 処理メカニズムに 影響を与えている 可能性が示唆された。 また、 Koda Ⅱ 988, 1990) は、 英語甘言舌言舌者、 及び、 アラビア言舌、 スペイン ) 日本語を Ll とす る英語学習者を 対象に、 当該被験者が、 その文字と昔の 対応関係に関して 知 舌互 Ⅱ ロ. 一. 19. 一.

(4) 認 めないサンスクリット 語の単語を英語の 文章に混入させた 材料文を用いて 実験を行った。 その結果、 英語やスペイン 語を Ll とする被験者は、 サンスク リット語の音韻符号化ができないことが 影響し、 文章理解が促進されなかっ たのに対して、 日本語を Ll とする被験者では、 サンスクリット 語の音韻符号 化が不可能でも、 文章理解が阻害されなかった。 話者は単語認知処理において. このことから、 日本語母語. 音韻情報への 依存度が低く、 音韻符号化ができ. ないことが、 読みにマイナスの 影響を及ぼさないことが 示唆された。 Ll における単語認知方略が L2 に転移される 可能性を示唆した 研究は、 L2. と. しての日本語においても、 わずかながら 存在する。 Chikamatsu (1996) は、 英語を Ll とする日本語学習者と、 中国語 Ll の日本語学習者のそれぞれが、 書 手と音韻のどちらの 情報に 、 2 0 依存するかを 実験に 2 0 検討した。 その 結 立 "; 。 "" 果 、 英語 Ll の日本語学習者は、 音韻情報に依存した 単語認知処理を 行ってい. るのに対して、 中国語 Ll の日本語学習者の 単語処理は、 視覚情報依存型であ ることが明らかとなった。 このことから、 LI における正書法の 違いが、 L2 の. 単語認知方略にも 影響を及ぼす 可能性が示唆された。 また、 Mori (1998) は、 英語 LI の日本語学習者と、 漢字を理解する 中国語 Ll と韓国語 Ll の日本語学習 者を対象に、 漢字の人工語を 用いた実験を 行った。 その結果、 人工語の中に 音韻符号化が 可能な情報があ る場合とない 場合とで、 英語 L¥ の学習者は、 再 生成績に大きな 差が生じた 績 が低下する. ). ( 音韻符号化を. 可能にする情報がないと、 再生成. のに対して、 中国語・韓国語の L¥ の学習者は、 音韻符号化が. 可能か否かが、 再生成績にほとんど 影響を及ぼさないことが 分かった。 この ,圭 ことから、 英語 LU の学習者は、 "上土。 音韻情報に依存した 処理を行っており、 Ll の 単語認知方略が L2 に転移していることが 示唆された。. また、 邱 (2002a,2002b) は、 中国語 Ll と韓国語 Ll の日本語学習者の 日本 語の漢字語彙の 処理方略を検討した。 その結果、 母語において 漢字を用いる ( または、 漢語系語彙の 知識があ る ) 中国語 Ll と韓国語 Ll の学習者では、 漢 字語彙を処理する 際に、 喜字から意味へ 直接アクセスしているか、 または、. Ll の音韻符号化を 経て意味にアクセスしており、. 日本語の音韻符号化が 行わ れていない可能性が 示唆された。 特に、 中国語 L¥ の場合には、 中国語と日本. 語とで書手と 意味が同一であ る同根語の処理の 際に、 喜 字から中国語の 音韻 符号化が起こっている 可能性が示唆された。 こうした結果は、 Ll における単 語認知方略の 一部. 立 " 。 片口 ( 音韻符号化 ). が L2 であ る日本語の処理にも 適用したこと. 一 20 一.

(5) を 示唆するものであ. る。. 3. 研究課題と仮説 これらの先行研究を 概観すると、 Ll の正書法の特徴が Ll の単語認知方略を 方向付け、 それが L2 の単語認知処理に 際しても転移されると 予測することが 片名目 一 可能であ る。 よって、 中国語を LI とする日本語学習者は、 視覚呈示された 単. 語や文章を処理する. 場合に、 視覚情報に依存して 意味にアクセスしており、. 音韻情報があ まり活性化されないと 考えられる。 一方、 韓国語 Ll の日本語学 習者は、 Mori (1998) や部 (2002b) では中国語 Ll 学習者と同様に 漢字国学 習者として分類されているが、. Ⅱにおける正書法の 基本が表音文字であ. る. ハ. ングル文字であ ることを考慮すると、 中国語 LT 学習者と同列に 扱 う ことはで. きない。 更に、 韓国では、 中学・高校で 漢字教育が施されており. ( 詳細は後. 叫口 " 述 ) 、 韓国語の語彙の 中に漢語系語彙が 多数認められる " 。 そのため、 視覚 呈. 示された単語を 処理する際には、 喜字から意味へのアクセスの. 過程で、 音韻. 表象だけでなく、 視覚表象の活性化も 促進されていると 考えられる。 このことから、 中国語 Ll の学習者は文字により 文章理解を行う 読解におい. ては単語の認知が 迅速で正確だが、 音声により情報を 呈示されると、 情報処 理が促進されにくくなり、 聴 牌 における内容理解は 減衰すると予測される。 "。 一方、 韓国語 Ll 学習者は、 Ll において視覚情報のみならず、 立 音韻表象の活性. 化により、 柔軟に処理方略を 採ることが可能となり、 読解のみならず、 聴解 においても内容理解が 促進されると 予測される。. 更に、 日本語の語種には、. 中国語から伝わった. 漢語系語彙、. 日本語固有語. 王 尭や韓国語と 同根 の 和語、 及び、 外来語があ る。 漢語系語彙の 中には、 中口 ;". 語の語が多数存在し、 邱 (2002a) が示唆する 23 に、 視覚呈示した 場合には、 同根 語 と非同根 語 とでは処理が 異なると考えられる。 よって、 読解において は、 当該漢語系語彙が 同根 語か 否かの判別が 可能なため、 LK の知識が使 いや. すく、 同根 語 効果が認められると 予測できる。 しかしながら、 聴 牌 において は、 喜 字の情報がないため、. 当該語彙が同根 語か 否かの判断が 困難となり、. 同根 語 効果は減衰すると 推測される。 よって、 上記の予測から 導き出される 仮説は、 以下の通りとなる。 仮説 1. .. 中国語 Ll 学習者は、 読解の方が聴 牌 よりも単語の 認知が容易であ. るため、 内容理解が促進されやすい。. 一2. Ⅰ. 一.

(6) 仮説 2. 韓国語 Ll 学習者は、 読解だけでなく、 聴牌でも内容理解が 促進さ れる。 仮説 3.. 中国語 Ll 学習者も韓国語 LT 学習者も、 読解においては 同根 語 の 処. 理 が促進されるため、 同根語の正答率が 高いが、 聴牌においては、. 同根無効果が 減衰するため、 同根語の正答率が 低下する。 これらの仮説を 検証するために、 中国語を 1,1とする日本語学習者,、 及び、 韓国語を Ll とする日本語学習者を 対象に、 読解と聴牌における 単語認知と文. 章の内容理解を 測定する実験を 行う。 まず、 読解の実験. ( 実験. 1) では、 実. 験 材料文を選定し、 その文章を構成する 語を視覚呈示し、 語の書手情報から 意味表象にアクセスできるか. 否かを確かめる。 さらに、 内容理解課題を 作成. し、 当該文章の内容理解を 測定する。 また、 聴 牌 実験. ( 実験. 2) では、 選定. した材料文の 中の語を聴覚呈示し、 語の音韻情報から 意味表象にアクセスで きるか否かを 測定する。 また、 読解実験と同様に、 当該文章の聴 牌 における 内容理解を測定する。. 4. 実験 1. (読解 ). 4 一 ] . 方法. 被験者は都内私立大学に 在籍する学部 1 る. .. 2 年生の外国人留学生 61 名であ. 。 出身国・地域は 中国・台湾 (22 名 ) と韓国. (39 名 ) であ. る". 。 実験 1 に用. いた材料 支 は、 川北 和明 (1993) 「古代図形にみる 様式」の一部で、 古代 ェ ジプトの人物画の 特徴を分かりやすく 解説した論説文であ る ( 一部抜粋は参 考資料 ) 。 文体はです・ます 体で、 読み手に語りかけるように 書かれており、 留学生にも読みやすい 文章であ る。 総文字数 1353 文字で、 形態素解析を 行っ た 結果、 延べ語数 741 話 、 異なり語数 188 語であ った。. また、 日本語能力試験の 読解の出題基準の 1 つであ る「テキストに 関する 数量的基準」に 照らし合わせて、 文章の長さや 1 文 当たりの文字数等の 数量 的 特徴を分析した 結果. (表. lL 、 木材料文は文章の 長さの点では 1 級レベルで. あ るが、 その他においては 概ね 2 級レベルに相当すると 判断した。. 一 22 一.

(7) 表. 材料 文 と日本語能力試験出題基準. Ⅰ. 総文字数 (長文 ). 木材料 文. 語彙リストからの 逸脱率 Ⅰ支出だり文字数 i英字含有率. 1353 字. 6.9%. 32.3字. 27.0%. 1. 級基準. 700 ∼ 1000 手前後. 10% 以内. 40 ∼ 65 字. 30 ∼ 45%. 2. 級基準. 600 一 900 字前後. 8% 以内. 30 一 45 字. 25 一 35%. 材料文中の語を 視覚処理し、 その意味表象にアクセスできるか. 否かは、 当. "ヰ口 一 該 単語を視覚呈示し、 被験者がそれを Ll に 訳して記述する 翻訳課題を用いて. 測定した。 翻訳課題は形態素解析で 抽出した 全 語から、 助詞、 助動詞、 接辞 等を除き、 さらに動詞や 形容詞は活用形に 関わらずⅠ 語 " として数えた 135 話 ( 異なり語数 ). の中から、 日本語能力試験 1 級、 2 級、 及び、 出題基準に無い. 62 語で作成した。 3 級、 4 級語彙を翻訳課題の 対 象外としたのは、 被験者が大学入学の 時点で日本語能力試験 2 級以上の日本. 語彙. ( 以下 " 級 外語彙 " Ⅰの. 語能力を有する 者であ ったことと、 3 級、 4 級語彙を含む 金諾 135 語で翻訳課 題を行うことによって、 被験者が疲労し、 実験結果の信頼性が 低下する恐れ があ ると考えたからであ る。 翻訳課題で文字に よ り語を呈示する 際は、 当該. 本文中の表記に 従った。 基本的には、 漢語系語彙は 漢字 2 字で 「壁画」 ) 、. 和語系語彙は 漢字とひらがなで. たは、 ひらがなのみで. (例 :. (例. (例. : 「古代」. : 「盛り上がる」「守る」. 「あ ご」「もっぱら」. ). 呈示した. " 尚. )、. ま. 、 翻訳課題. の 採点は、 言語学を研究する 中国語、 及び韓国語母語話者と 協議の上、 行っ @@O. 六. 表2 4 級語彙. @M@. 材料文の語彙難易度 別 頻度一覧. 3 級語彙. 2 級語彙. 1 級語彙. 級 外語彙. ム、 ロ "十 口. 51(37.7%)@ 22(16.3%)@ 41(30.4%)@ 12(8.8%)@ 9(6.7%)@ 135(100%). また、 中国語、 韓国語との同根 語 、 非同根 語 がそれぞれ い. く. っ あ るかを、. それぞれの言語の 母語話者と一語ずつ 吟味し、 判定を行った。 その結果、 中 国語との同根 話 は 41 話、 非同根 話 は 21 口口、 また、 韓国言舌との 同根 言吾も41 、 き五. 一 23 一. 言昔.

(8) 非同根 詰. も 21 語 あ. 文語調であ. った. ( 表 3) 。. 木材料文は論説文であ. ったことが影響したため、. り、 漢語語彙が多く、. 同根語の占める 割合が高かったと 考え. る。 率. 数五は は 口 桔砕砕. 1. 2 6. 3. 2 6. ︶︶. 3. 1. 五口五口. Ⅱ6Ⅱ 6. 国国 中韓. 同 2 2 ヒ コト 、プ. 占. 数︵行は. 表 3 翻訳課題に占める 同根 語 ・非同根語の 割合. 次に、 内容理解課題は 空所補充 式 ・冬服選択式等で 全 11 問を作成した。 課 題の内容は、 指示語の指示対象を 記述する問題、 本文中に明示されている. 内. 容を問 う 問題、 内容に関する 正誤問題、 文章の情報を 統合し、 推論を加える ことにより解答が 可能になるような 図示問題等、 浅い理解から 深い理解まで 幅広い理解を 問う課題を作成し、 実施した。 課題の作成は 筆者とその他 2 名 0 日本語教師が 協議して行った。 4 一 2. 結果 ( 表 4) 、. 実験の結果. 翻訳課題 (62点満点 ) の平均は 49.94 点. 48.59 点、 韓国 50.71 点は ) であ った。 内容理解課題. 7.90 点. ( 中国・台湾は. ( 中国・台湾は. (11点満点 ) の平均点は. 7.27 点、 韓国は 8.26 点 ) であ った。. 尚、. 中国・台湾 と韓. 国の間で、 翻訳課題、 及び、 内容理解の平均点に 差が認められたが、 統計的 には有意ではなかった. ( 翻訳課題. : (5gj=l.2l, 「. n且,. 内容理解課題. :. f(59)=1.16,n,s,)。. また、 翻訳課題と内容理解課題の 各々の得点の 間には、 正の強 い 相関が認 められた (作 68,d 拝 61, が・01) 。 そこで、 語彙知識の量的側面が 文章理解を有 ・. 煮 に予測するか 否かを検討するために、 内容理解課題を 予測変数、 翻訳課題 を 説明変数とし、. 回帰分析を行った. 説明変数であ ることが分かった. (w Ⅰ.47) 。 その結果、 翻訳課題は有意な. ( タ二 0. ・. 68, が・01) 。 このことから、 L1 に関わ. らず、 読解においては 文章中に既知の 語彙が多ければ 促進されることが 示唆される。. 一 24 一. 多 い ほど、. 内容理解が.

(9) 表4. 語彙課題・内容理解課題平均、. 全体 (n=61) 翻訳課題. 及びその相関. ( ) は標準偏差. (n 39) 韓国 (n二22). 中国・台湾. 二. 49.94@@(6.21) 48.59@@(5.65) 50.71@@(6.45). 内容理解課題平均. 7.90 点. 内容理解課題 X 既知詰牢相関. ア ユ 68 ・. (2.28) 7.27点 (2.24) 8.26点 (2.31) アニ・. ホ ホ. 56. Ⅰ 二 73 木木. ホ 水. ・. 将戸く 01 ・. 次に、 翻訳課題の中の、 同根 語 、 非同根語の正答率の 平均を Ll 別に求めた ところ. ( 図 2) 、. 中国・台湾が 80 . 57%. (5D9.35). と 64.07%. 語の方が正答率が 高く、 同様に、 韓国も 84.97%. (5D16.61) と同根. (5D7.81). と. 69.29%. (5D14.92) と同根語の方が 正答率が高かった。 また、 韓国は同根 語 、 非同根 諸共に、 中国語より正答率が 高かった。 そこで、 同根要因 ( 同根 語 ・非同根 語). と ml. 要因. ( 中国語・韓国語 ). による 2X2 の分散分析を 行った。 同根要因. は 被験者 内 要因で、 Ll 要因は被験者間要因であ る。 その結果、 同根要因に主 効果が認められたが. (Ⅱ. 1,59)=167.719, が・001) 、 L1 要因には 主 効果が認めら. 。 このことから、 Ll に関わらず、 同根語の方 れなかった (Hl,59)=2.425,n.s.) が 非同根 語 2 0 正答率が高いということが. 言える。. 100.00% 80.00% 60.00%. 口 同根 語 正答率平均. 申 非同根 語 正答率平均. 40.00% イ0. 20.00% 0.00%0. 中国・台湾 図 2. 韓国 同根 語 ・非同根 語. 一 25 一. 正答率.

(10) 5. 実験 2 (聴牌 ) 5 一 1 . 方法 被験者は実験 1 各. と. 同じ大学に在籍している. 学部 1. 2 年生の外国人留学生 24. であ る。 出身国・地域は 中国・台湾 (9名 ) と韓国 15 名 ) であ る。 実験 2. の材料上には、 彙 構成比. 実験Ⅰで用いた 材料文の難易度レベル. ( 前掲表 2). (概ね 2 級レベル ). や語. に限りなく近い 文章を選定するべく、 日本語能力試験. 2. 級で過去に出題された 文章を探索した。 その結果、 1994 年度に行われた 日本 語能力試験 2 級の読解文. ( 長文 ). が抽出された. ( 一部抜粋は参考資料. )。. 当該. 材料 支 は総文字数 824 文字で、 形態素解析を 行った結果、 延べ語数 207 話、 異 なり語数 129 語であ り、 その内、 1 級 、 あ. った. ( 表 5L。 尚 、. 異なh;き数. 及び 級 外語彙は全部で 47 話. この 47 語を語彙課題の 対象とした。 表5. 4 級語彙. 2 級語彙、. 材料文の語彙難易度 別 頻度一覧. 3 級語彙. 2 級語彙. 49(38.3%) 37(23.4%) 27(21.8%). 級 外語彙. 1 級 語彙. 5(3.9%). Ⅰ. 5 (12.6% ). ム吉十 ロ 口. Ⅰ. 29 (100%. Ⅰ. 実験 2 では、 単語の音韻表象から 意味表象へのアクセスを 測定するために、 音声呈示した 語の意味を母語で 記述する 聴 解語彙課題を 行った。 但し 、 語を 1. 語で呈示するだけでは、 意味の想起が 困難な同音異義語が 複数あ ったため、. 47 語を 2 、 3 語ずつ組み合わせた 24 の句を作成し、 それを実験者が 3 回ずっ読 みあ げ (1秒間に 5.3モーラ程度の 速度 ) 、 その句の意味を 被験者の L1 で記述さ せた。 聴 解語彙課題は、 実験Ⅰと同様に、 中国語、 韓国語母語話者と 協議し、 採 ,点を行った。 また、 聴 解語彙課題の 対象となった 47 語に関して、 母語話者の協力を 得て 、 同根 語 、 非同根語の判定を 行った。 その結果、 中国語との同根 話 は M4 話、 非 同根 話 は 33 話、 また、 韓国語との同根 話 は 11 話、 非同根 詰 は 36 語であ った ( 表 6) 。. 木材料 支 はエッセイ文であ り、 和語が比較的多かったため、. が 少なかったと 考える。. 一 26 一. 同根 語.

(11) 表6. 翻訳課題に占める 同根 語 ・非同根語の 割合. 同根語数. ( 占有率. 中国語. 14 話 (29.79%). 韓国語. 1 1話. ). 非同根語数. 33 話 (70 . 21%. (23.40%). 36 話. 全. ( 占有率 ). ). (76.60%). 体. 47 青苔 (100% ) 47 話. (100% ). 次に、 内容理解の測定には、 当該日本語能力試験の 問題を参考にし、 実験 1 と 同様に 、 浅い理解から 深い理解までを 問う幅広い難易度の. 問題を盛り込. むよう配慮しながら、 筆者とその他 2 名の日本語教師が 協議して、 多岐選択 式の内容理解課題を 全 10 間作成した。 5 一 2. 結果 ( 表 7L 、. 実験の結果. (47点満点 ) の平均は 31.63 点. 聴 解語彙課題. ( 中国・ 台. 湾は 23.67 点、 韓国は 36.40 点 ) 、 内容理解課題の 平均点 (10 点満点 ) は 6.92 点 ( 中国・台湾は. 5.33 点、 韓国は 7.87 点 ) であ った。 尚 、 韓国が中国・ 台湾. よ. り. 聴 解語彙課題、 及び、 内容理解課題において 平均点が高かったため、 その 差 が 統計的に有意であ るか否かを検討する 目的で統計処理をしたところ、 差が認められた. ( 聴 解語彙課題. : 咲 22 戸 3.91, が・001,. 内容理解課題. 有意. 22 戸 4.89,. 咲. が・001) 。 このことから、 聴 牌 においては、 中国・台湾 よ り韓国の方が 単語誌. 知も内容理解も 促進されていると 言える。 また、 聴 解語彙課題と 内容理解課題の 間には、 正の相関が認められた (拝. ・. 56,d 丘 24, が・01) 。 そこで、 内容理解課題を 予測変数、 聴解語彙課題を 説. 明 変数として、 回帰分析を行ったところ 明変数であ ることが分かった. ( タ二 0. ・. (. @二 . 31) 、 聴 解語彙課題が 有意な説. 56, が・ 01) 。 但し、 相関は韓国にのみ 認. められ (仁 51,d 拝 15, が・05L 、 中国・台湾では 認められなかった ・. 皿苫 ) 。. この結果. ょ. (仁 00 , d 拝 g, ・. り、 韓国は、 聴 牌 において、 既知 語 が多ければ内容理解が. 促進されるが、 中国・台湾は、 既知語彙が多くても、 必ずしも内容理解が 促 進 されるとは言い 難く、 語彙知識が内容理解に 対して有効な 要因ではないこ とが示唆される。. 一 27 一.

(12) 表7. 内容理解課題・ 聴解 既知 語 率の平均と相関. 全体 (n二25). 中国・台湾. ( ) は標準偏差. 韓国 (n目 5). (n目9). 31.63@@(9.84)@23.67@@(10.30)36.40@@(5.78). 聴 解語彙課題 内容理解課題平均. 6.92点 (1.77) 5.33点 (1.73) 7.87点 (0. 92). 内容理解課題 X 聴 牌既知詰牢相関. Ⅰ ニ 56 ・. 目. Ⅰ 二 51. Ⅰ 二 00. ・. ・. ホ. ホ,戸く01,, タく 05 ・. ・. 次に、 実験 1. と. 同様に、 聴 解語彙課題の 中の、 同根 語 、 非同根語の正答率. (5D24.08). の 平均を L1 別に求めたところ ( 図 3 人中国・台湾が 56.35%. 51.18%. と. (5D24.22) と同根 語 と非同根語の 差がほとんどなく、 どちらも正答. 率が低かった。 一方、 韓国は、 90.30% (5D10.57) と 75.19% (5D 12.31) と、 ナ いずれも実験 1 の正答率 より 高く、 また、 同根語の方が 正答率が高かった。 。. 更に、 正答率の差が 統計的に有意であ るか否かを検討する 目的で、 同根要因 ( 同根 語. ・非同根 語 ). 行った結果、. と Ll. よ. ( 中国語・韓国語 ). 同根要因にも (Hl,22. (且 1,22)=17.064, が・001). 有意であ った. 要因. 片 30.559,. に. よ る 2X2. p く 00l ・. の分散分析を. 、 Ll 要因にも. 、 主 効果が認められた。 また、 商変数の交互作用も. (且 1,22)=7.346,. 俸 05) 。 このことから、 同根語の方が 非同根 語 ・. り正答率が高く、 韓国語を Ll とする被験者の 方が中国語を Ll とする被験者. よりも、 聴 牌 における単語認知が 正確であ るということが 言える。. Ⅰ. 00.00 Ⅵ0. 90.30%. 「. 80.00%. 20.00% 国. 中. 0.00%. 均. 40.00%. 均平 平率 奉答 答正 正語 語根 根同 同罪. 臼爾. 60.00%. 率. 答 正. 三五. Ⅰプ. 根語. 同. 3. 目口 8 2.

(13) 6.. ヨ牟蕃冬. 実験の結果を 総合して、 仮説Ⅰから 3 が支持されたか 否かを一 つ ず つ 検討し、 最後に総合的な 考察を行. う. 。. 6 一 1 . 仮説Ⅰの検討 仮説 1.. 中国語 Ll 学習者は、 読解の方が聴 牌 よりも単語の 認知が容易であ. るため、 内容理解が促進されやすい。 実験 1 の読解では (表 8) 、 中国語 L1 学習者は語彙の 翻訳課題平均が 48.59 点. (62点満点、 正答率 78.37%) で、 約 8"判の正答率であ った。 また、 非同根 詰め 正答率は 64.07% とやや低 い. ものの、. 同根語の正答率は 80.57% と高く、 同根 語. 効果が認められた。 更に、 文章の内容理解課題は 7.27 点 (11点満点、 正答率. 66.09%) であ り、 7 割弱の正答率であ った。 また、 語彙の翻訳課題とも 正の やや強 い 相関が認められた。 つまり、 中国語 Ll 学習者は文字で 与えられた語の 処理においては、 同根 語 効果があ り、 実験 1 のような同根 語 の 多い 材料文は内容理解が 促進されやす い、. ということが 示唆される。. しかしながら、 実験 2 の聴牌では. 点. (満点 47 点、. ( 表 8) 、. 語彙の聴解語彙課題平均が 23.67. 正答率 50.36%) と、 正答率は 5 割であ った。 また、 同根 詰め. 正答率は 56.35% 、 非同根語の正答率も 51.18% と、 聴 牌 では同根 語 効果が認め. られない。 また、 内容理解課題は 5.33点 (10点満点、 正答率 53.30%) であ り、 やはり正答率は 5 割程度であ った。 更に、 語彙の聴解語彙課題と. 内容理解 課. 題の間は無相関であ った。 よって、 中国語 Ll 学習者は音声で 与えられた語は 、. 同根 語 であ っても、 処理が困難であ り、 正しく意味にアクセスできないため、 文章の内容理解も 促進されにくいと 推測される。 表8. 中国語Ⅱ学習者の 単語認知・文章理解平均正答率一覧. 書手づ意味 単青き認知. 同根 語. 80 . 57%. 非同根 語. 64.07%. (. 読解 ). 音韻づ意味 単語認知. 文章理解 66.09%. 一 29. 同根 語. 56.35%. 非同根 語. 51.18%. 一. (. 聴牌 ) 文章理解 53.30%.

(14) このことから、 中国語 Ll 学習者は文字で 与えられた情報は 処理され、 それ により読解は 促進されるが、 音韻情報から 意味へのアクセスは 困難とな. ). ン. 、. 聴 解は阻害されると 考えられる。 よって、 実験結果から、 仮説Ⅰは支持され たと考える。 6 一 2. 仮説 2 の検証 仮説 2. 韓国語 Ll 学習者は、 読解だけでなく、 聴牌でも内容理解が 促進さ. れる。 実験 1 の読解では. ( 表 gL 、. 韓国語 Ll 学習者は翻訳語彙課題で 50.17 点 (62 点. ナ 満点、 正答率 80.92%) であ り、 工合 半が 8 割を超えている。 また、 同根 語で 。 。. は 84.97% と、 非同根 詰め 69.29% と比較して、 高い数値を示している。. 更に 、. 文章の内容理解課題では 8.26 点 (1n点 満点、 正答率 75.09%) と、 内容理解も 促進されていると 言える。 また、 翻訳課題と内容理解課題の. 間には、 正の強. ぃ 相関が認められた。. つまり、 中国語 Ll 学習者と同様に、 韓国語 Ll 学習者も文字の 処理において は 、 同根 語 効果が高く、 同根 語 の多 い 材料文の内容理解は 促進されやすいと. 言える。 表9. 韓国語Ⅱ学習者の 単語認知・文章理解平均正答率一覧. 喜字 づ 意味. (. 読解 ). 単語認知. 文章理解. 同根 語. 84.97%. 非同根 語. 69.29%. また、 実験 2 の聴 牌 では 率 77.45%). と、. 音韻づ意味. 75.09%. ( 表 9) 、. 単旨き認知. 同根 語. 90.30%. 非同根 語. 75.19%. (聴 牌. Ⅰ. 文章理解 78.70%. 聴 解語彙課題で 36.40 点 (47 点満点、 正答. 中国語 L1 学習者が約 5 割の正答率だったのと 比較すると、 高. い 値であ ることが分かる。 更に、 同根語の正答率も 90.30% と 9 割を超えてお り. 、 また、 非同根 語 でも 75.19% であ った。 また、 文章の内容理解課題では、. 7.87 点 (10点満点、 正答率 78.70%) と読解と同程度の 得点率であ る。 更に 、 聴 解語彙課題と 内容理解課題の 間にも、 正の強い相関が 認められた。. 一 30 一.

(15) @@.-S-r このことから、 韓国語 Ll 学習者は、 文字により語を 呈示されても、 音声で. 語を呈示されても、 意味の想起が 正しく行われており、 書手表象からも 音韻 表象からも意味表象の 活性化が促進され、 それによって 読解でも聴牌でも 内 杏理解が促進されたと 考えられる。 よって、 仮説 2 も支持されたと 考える。 6 一 3. 仮説 3 の検証 仮説 3. 中国語 LV 学習者も韓国語 Ll 学習者も、 読解においては 同根語の処 理が促進されるため、 同根語の正答率が 高いが、 聴牌においては、. 同根 語 効果が減衰するため、 同根 語 でも正答率が 低下する。 読解における 同根語の正答率は、 中国語 L1 学習者が 80.57% であ り、 韓国語 Ⅱ学習者が 84.97% であ る。 双方共に、 読解においては 同根 語 効果が顕著に 認 められる。 一方、 聴牌における 同根語の正答率は、 中国語 L1 学習者が 56.35% と 低 い ものの、 韓国語 Ll 学習者は 90 . 30% と 読解よりも高かった。. このことか. ら 、 中国語 Ll 学習者は書手情報に 依存しすぎるため、 音声で呈示された 場合 には、 同根 語 効果が減衰するが、 韓国語 Ll 学習者は書手のみでなく. 音韻情報. も十分に活用でき、 聴 牌 においても同根 語 効果が認められたと 考える。 よっ て 、 仮説 3 は一部支持されたが、 一部は棄却された。. 6 一 4. 総合考察 ここまで見てきたように、 韓国人被験者は 読解でも聴 牌 でも同程度の 語彙 知識を有し、 内容理解においても、 安定した正答率であ った。 このことから、. 日本語の単語認知過程において、 書手表象から 意味表象へのアクセスも、 音 韻表象から意味表象へのアクセスも、. 適切に遂行されたと 考えられる。 また、 。 ". 支 ミ一. 立. 読解の語彙課題より 聴 解の語彙課題の 方が正答率が 高かったことから、 意味 表象へのアクセスは、 視覚入力より 聴覚人力の方が 促進されやすい 可能性も 示唆される. ( 図 4)0. 一方、 中国・台湾では、 読解ではあ る程度の語彙知識を 有し、 文章理解も 7 割近く正答しているにも. 理解もあ. 関わらず、 聴 牌 では語彙課題の 得点も低く、 内容. まり促進されていなかった。 このことから、. 日本語の単語認知過程. において、 喜字表象から 意味表象へはアクセスが 可能であ るが、 音韻表象か. ら意味表象へのアクセスが 困難であ ると考えられる。 このことから、 意味 表 象へのアクセスは、 視覚入力の方が 聴覚人力より 優勢であ り、 単語認知処理. 一3. Ⅰ. 一.

(16) が 視覚に依存している 可能性が示唆される. (図. 5)0. """"" 、 寸. 書手表象Ⅱ 意味表象. 意味表象. ・・. 音韻表象. フ. 音韻表象・・・. 図 4 韓国学習者の 単語認知. 図 5 中国・台湾学習者の 単語認知. 更に、 同根 語 と非同根語の 正答率の相違から 考えると、 韓国語 Ll 学習者は ( 図 6) 、. 同根 話 においても非同根 語 においても、 音韻表象から 意味へのアク セスの方が、 書手表象から 意味へのアクセス 2 0 容易であ ることが窺える。 また、 音声に. よ. り呈示された 同根語の意味処理が 最も正確であ るということ. が 分かる。. "". Ⅱ. 書手表象・・. 音韻表象. 音韻表象 同根 語. 図6. 非同根 語 韓国語Ⅱ学習者の 単語認知過程. 一方、 中国語 L1 学習者は. ( 図 7) 、. 同根 語 の書手表象から 意味表象へは 強 い. リンクが形成されていると 考えられるが、 音声表象から 意味へのアクセスは、 同根 語 であ っても弱いと 考えられる。. 一 32 一.

(17) 書手表象・・. "" ム 意味表象 ・. 意味表象. ,フ. ワ. 音韻表象・. 音韻表象 非同根 語. 同根 語 図7. 中国語Ⅱ学習者の 単語認知過程. これらの結果は、 学習者の Ll の単語認知方略の 転移によって 起こると説明 が 可能であ ると考える。 韓国語 Ll 学習者は、 Ⅱにおいて表音文字であ. グル文字を使用しており、. 音声に対して. 敏感で、 音韻表象への. るハン. 依存が書手表. 象に比べて強いと 考えられる。 そうしたⅡでの 処理方略が L2 の日本語にも 転 移したため、 同根 話 においても非同根 話 においても、 音韻表象から 意味への アクセスが強いと 考える。 また、 中国語 Ll 学習者は、 Ll において表語文字、. 形態素文字であ る漢字を用いており、 視覚情報に依存した 情報処理を行って おり、 音韻情報への 依存度が低いと 考えられる。 そのため、 そうした ml での 認知方略が L2 の日本語にも 適用され、 同根 語 であ っても、 音韻表象から 意味 への アクセスが弱く、 聴 牌 における意味処理が 減衰すると考えられる。 以上の結果から、 日本語教育への 示唆として、 中国語 Ll の学習者に対して は、 喜字と音韻、 音韻と意味の、 それぞれのリンクを 強化するような 学習 活 動 が必要であ ると考える。 また、 中国語 Ll 学習者は日本語の 漢字語彙を正し. く発音、 または、 かな表記できるようにすることも. 重要であ ろう。 漢字語彙. の発音を、 日本語音と中国語音が 混合したような 音で発音を繰り 返したり、. 誤った発音を 定着させてしまうと、 学習者自身の 音韻表象が、 実際に日本語 母語話者が発する 昔 と異なってしまう。 そうすると、 聴 牌 において聞いた 昔 と 、 学習者自身が 認識している 単語の発音とが 結びつかず、 結果として、 音. 韻情報から正しい 単語認知が遂行されなくなると. 考えられるからであ る。 よ って、 聴牌 力 向上のトレーニンバの 一つとして、 学習者の発音矯正も 行 う必. 要 があ ると考える。 最後に、 本研究に残された 課題として、 2 点挙げる。 まず、 第 1 点目として. 一 33. 一.

(18) は 、 実験Ⅰと実験. 2. の被験者が異なるという 点であ る。 本研究の被験者は、 同. じ大学の同じ 学部、 学科に属する 学習者であ り、 実験 1 と 2 の被験者の均質性 は、 過去に受験した 日本語能力試験の 得点を統計処理した 結果から保証され ていると判断した. (註 4. 参照 ) が、 理想的には、 同一被験者の 単語認知過程. を、 視覚人力と聴覚人力とで 比較し、 その上で、 単語認知の優位性を 議論す るべきであ. ると考える。 今後は、 実験計画を綿密にし、. 同一被験者を 対象と. した実験を行い、 本研究の知見を 再検証したい。 第 2 点目の課題としては、 韓国人 Ll 学習者の漢字語彙の 知識に対して 操作 をすることができなかったという. 点であ る。 現在、 韓国においては、. 中学・. 高校で漢字教育が 推進されており、 大塚・ 李 (2001) に よ ると、 1800 字の漢 字教育が行われていると 言う。 しかしながら、 漢字教育がどのように 行われ、 それによって、 どの程度の漢字知識が 習得されているのかは、 人によって異 なる。 そのため、 本研究では同根 語 として分類した 漢語系語彙でも、 韓国人 被験者の中には、 喜字の知識がない 語も含まれている 可能性があ る。 よって、 韓国人学習者の 漢字の知識を 調査し、 実験的操作等の 要因統制を行った 上で、 実験を行う必要があ ると考える。 今後は、 心理言語学的な 実験パラダイムによって、 Ll における単語認知方 略が L2 に転移され、 文章理解が促進、 または、 減衰していく 過程を科学的に 分析し、 L¥ の正書法が L2 の視覚人力、 及び聴覚入力による 文章の内容理解に 及ぼす影響を 検討し、 そのメカニズムを 明らかにして い きた い 。. 付記 : 本研究は、 三園純子 ( 文化女子大学Ⅰ、 近藤去月 子 ( 東京大学大学院 との共同研究 (小森・三園・ 近藤 2004a, 2004b) において収集したデータの 一部を、 筆者が追分析を 加えてまとめたものであ る。. ). -. 卸一吐 ロ. 1). 世界の言語の 書記体系は、 アルファベット 方式、 音節方式、 表諸方式と 3 つに大別されることもあ. 2). る。. 曹 (1994:62) によると、 韓国の辞書の 見出し語における 語種調査では、 某本 五円 全語彙に占める 漢語が 5 割を超えており、 基本語彙の中にも 多くの漢語. 一 34 一.

(19) が 存在するという。. 3) 本研究では、 中国大陸出身の 学習者と台湾出身の 学習者を合わせて、 " 中国語を Ll とする学習者 " と位置付ける。. 4) 本研究では、 中国・台湾人学習者、 及び韓国人学習者と、 第一言語に基 づき被験者を. 2. グループに分け、 その相違を分析している。. の 実験にはそれぞれ. しかし、 2 度. 異なる被験者が 参加している。 そこで、 それぞれの. 実験に参加した 被験者の均質性を 確認する目的で、 被験者が受験した 2000 年度の日本語能力試験の 文法・読解の 点数を分散分析にかけた 部の被験者は 未受験 ) 。 その結果、 中国・台湾の 点数にも .661,n,5,)、 韓国の点数にも. (八. (一. 1,27). 二. (貝 1,54) ニ 020 , n.5.)、 いずれも有意差が 認め ・. られなかった。 よって、 実験 1 、 及び、 実験 2 に参加した被験者は 異なる が 、 中国・台湾、 及び韓国の各々のバループにおいては. 均質な被験者で. ると判断した。 5) Nation (2001:7-8) は英語の単語認定単位の 1 つ として,見出し語にその あ. 屈折形・縮約形を 含めて. 1. 話とする単位を. "lemmas" と呼んでおり ,本. 研究の日本語の 語の単位もこれに 準じて、、 る 。. 実験. 1. 実験. 2. (1993) 「古代図形にみる 様式」佐藤方彦 ( 編 ) 『デザイン のはなし 1] 技報堂 : 国際交流基金, ( 財 ) 日本国際教育協会 (1995) 1 1994 年度 日本吉吾 : Ⅲ 北和明. 台目. 「. 力 試験. 試験問題と正解』凡人社. 参考文献 Brown , T , &@Haynes Second 19-34. ,. M (1985)@Literacy@Background@and@Reading@Development@in@a ・. language, in Ca 旺 , T. H. (ed.) 7千e Deve opme Ⅰ. 丘 to. Ⅰ. Rea. 』. 7コg SkfJJS,pp. , Jossey-Bass. Canale , M , (1984)@ Considerations@ in@the@ Testing@ of@Reading@ and@ Listening ProPciency,@Foreign@Language@Annals,@17. , pp , 349-357. Chikamatsu , N (1996)@The@Effects@of@LI@ Orthography@on@L2@Word@Recognition:@A ・. Study@ of@American@ and@ Chinese@Learners@ of@Japanese , Studies@ in@Second. 一 35 一.

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(23) も ,エジプトの壁画ほど有名なものはあ. りません。 このエジプトの 壁画. には,原始芸術の域を抜け出して ,一種の様式化された美しさがあ りま す。 エジプトの古代図形にはいろいろなものがあ りますが,特徴的なも のは人物画でしょう。 エジプトの人物画様式には ,大きな特徴があ りま す。 まず顔ですが ,必ずといってよいように横顔で表されているのです。 どういうわけか 正面を向いた 顔はほとんど 見られません。 (後略 ) 実験 2. 材料 文. ( 一部抜粋 ). 私が半年ほど 入院した同じ 病室に,完全に 寝たきりになっていた K. さ. んという人がいました。 彼の毎日の楽しみは ,看護婦さんに「せがれか ら電話があ ったでしょうか」と 尋 #a, の 返事を聞くことでした。. 「あ. ったわよ」という 看護婦さん. 当初、 私は、 親父の病状の 毎日のように 電話. で尋ねてくるいい 息子さんだなと 感心しながら、 K さんと看護婦さんの そり取りを、 ベッドの上で 眺めていました。 ところが、 それがうそであ. ることが、 しばらくして 分か. ). ン. ました。 (後略 ). 一 39 一.

(24)

表  Ⅰ  材料  文  と日本語能力試験出題基準  総文字数  (  長文  )  語彙リストからの  逸脱率  Ⅰ支出だり文字数  i  英字含有率  木材料  文  1353  字  6.9%  32.3  字  27.0%  1  級基準  700  〜  1000  手前後  10%  以内  40  〜  65  字  30  〜  45%  2  級基準  600  一  900  字前後  8%   以内  30  一  45  字  25  一  35%  材料文中の語を  視覚処理し、 
表 4   語彙課題・内容理解課題平均、  及びその相関  (  )  は標準偏差  全体  (n=61)  中国・台湾  (n 二  39)  韓国  (n  二  22)  翻訳課題  49.94@@ (6.21) 48.59@@ (5.65) 50.71@@  (6.45)  内容理解課題平均  7.90  点  (2.28)  7.27  点  (2.24)  8.26  点  (2.31)  内容理解課題  X  既知詰牢相関  ア  ユ ・  68  ホ ホ  アニ・  56  ホ 水  Ⅰ 
表 6   翻訳課題に占める  同根 語 ・非同根語の  割合  同根語数  (  占有率  )   非同根語数  (  占有率  )  全  体  中国語  14  話  (29.79%)  33 話  (70  . 21%   )  47  青苔  (100%  )  韓国語  1 1  話  (23.40%  )  36 話  (76.60%   )   47 話  (100%  )  次に、 内容理解の測定には、  当該日本語能力試験の  問題を参考にし、  実験  1  と  同様に 、  浅い理
表 7   内容理解課題・ 聴解 既知 語 率の平均と相関  (  )  は標準偏差  全体  (n  二  25)  中国・台湾  (n  目  9)  韓国  (n  目  5)  聴 解語彙課題  31.63@@  (9.84)@  23.67@@  (10.30) 36.40@@  (5.78)  内容理解課題平均  6.92  点  (1.77)  5.33  点  (1.73)  7.87  点  (0 .  92)  内容理解課題  X  聴  牌  既知詰牢相関  Ⅰ  ニ ・  56  目

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