前 期高 齢者の 発達 課 題達 成と心 理的well-being との 関連
問 題
日 本 の 高 齢 化 の 現 状
日 本 の 高 齢 化 の 特 徴として は, そ のスピ ードが 世 界 に類
をみ ない 程 速 いことが挙 げられる。 高 齢 化 の 要 因 は, 大きく
分 けて ① 平 均 寿 命 の延 仲 による65 歳 以 上 人 口 の 増 加, ②
少 子 化 の 進 行 による若 年 人 口の 減 少 の2つ であ る。平 成25
(2013) 年10 月1日 現 在, 我 が 国 の 総 人 口 は,1 億2,730 万
人 であった。 そ のうち65 歳 以 上 の 高齢 者 人 口は, 過去 最 高
の3,190万 人( 前 年3,079 万 人)となり,総 人 口に 占 める割 合
(高 齢 化 率 几25.1% (
前 年24.1%) となった(平 成26 年 版 高
齢 社 会 白 書)。また, 平 成25(2013) 年 の厚 生 労 働 省 の 簡
易 生 命 表 に よると,我 が 国 の 平 均 寿 命 は, 男 性80.21 歳 ,
女 性86.61 歳 であり,初 めて男 性 の 平 均 寿 命 が80 歳を 超え
た。 今 後 ,この 平 均 寿 命 は, 平成72 年 に は 男 性84.19 歳 ,
女 性90.93 歳 となり,男 女とも にの びると見 込まれ てい る(国
立 社 会 保 障・人 口問 題 研 究所「 日本 の 将 来推 計 人 口(平 成
24 年1月 推 計)」)。
次 に 我 が 国 の 戦 後 の 出 生 状 況 の推 移 で あるが ,第1
次 ベビ ーブ ー ム以 降 急 速 に 低 下し, 凵 ずらくは人 口 置 換 水
準(2.1 程 度)前 後 で推 移し てきた。 昭和50(1975) 年 に1.91
と2.00を 下 回ると,そ の後 も低 下 傾 向 は続 き平 成17 年 には
1.26と過 去 最 低 を記 録した が ,平 成24(2012) 年 は1.41 と
なって いる(平 成26 年 版 高齢 社 会 白 書)。
木 村(2011) に よると,わ が 国 のDSM を用 いた 診 断 報 告
で は, 全 年 齢 層 の 大うつ 病 の生 涯 有 病 率 は6.7% (女 性 が
約2 倍) であ る。 全 年 齢 層 の 年 間 有 病 率 は2.9% で あるが ,
65 歳 以 上 の 大うつ 病 の年 間 有 病 率 は4.8% で あり,高 齢 者
が 非 高 齢 者 よりも 高 率 であることが 報 告 され てい る。そ のた
め 現 在 の 日 本 にお い て, 高齢 者 の 精神 的 健 康 に つい て 検
討 することは, 重 要な課 題で ある。
エリクソン 心 理 社 会 的 発 達 課 題
エリクソン(1950) は, 人 の 生 涯 は 出 生 か ら死 に至 るまで
各 々 新し い 成 長 の 可 能 性 をもっ た 段 階 の 連 続 で あるとし
て, 生 涯 に8 つ の 心 理 社 会 的 発 達 段 階 を仮 定し, 各 々 の 自
我 発 達 課 題 とそ の 危 機 につ いて 述 べ てい る。そ の 内 容 は
次 のとお りである。
まず, 第1 段 階で ある乳 児 期 の心 理 社 会 的 発 達 課 題 と危
機 は「 基 本 的 信 頼 感 対 不 信」 ,第2 段 階 の 幼 児 前 期 で は
「 自律 性 対 恥・疑 惑」 ,第3 段 階 の 遊 戯 期 で は「 自 主性 対
罪 悪 感」,第4 段 階 の 学 童 期で は「勤 勉 対 劣 等 感」である。
また, 第5 段 階 の 青 年 期 で は「同 一 世 対 同 一 世 混 乱」,第
6 段 階 の若 い 成 人 期 で は「親 密 性 対 孤 立」である。さらに
第7 段 階で ある中 年 期 で は「 世 代 性 対 停 滞」 であり,最 後
山 口
京 子・ 奥 村
由 美 子
の 第8 段 階 で あ る 老 年 期 で は「 統 合 対 絶 望」 とさ れ て い る 。 ま た, エ リクソン(1950) は 第8 段 階 で あ る 老 年 期 を, 人 生 全 体 の まと め の 段 階 と考 え, 過 去 を 再 び 経 験 し 統 合 す る 時 期 と位 置 づ け て, そ の 発 達 課 題 を「 統 合 性」 とし た。 統 合 と は, 過 去, 現 在, 死 を 含 め た 自 分 の 人 生 を 再 吟 味 し , 納 得 で き るように 折 り合 い を つ け ることで あ る( 深 瀬・ 岡 本 , 2010) 。高 齢 者 が 自 分 の 人 生 に 折 り合 い を つ けることで, 発 達 課 題 が 達 成 され, 精 神 的 健 康 の 指 標 の ひ とつ で あ る 心 理 的well-being が 維 持, 増 進 され る。 つ まり, 生 活 す る 上 で の 満 足 感 も 高 まるの で は な い か と考 え ら れ る。 エ リクソ ン(1950) は, 老 年 期 の1 つ 前 の 段 階 に あ たる 中 年 期 に つ い て, 次 世 代 を 確 立 させ て 導 くことの 関 心 をも つ 時 期 と 考 え, 発 達 課 題 を「 世 代 性」 とし た。 こ の「 世 ㈹ 哇」 の 発 達 に つ い て は, 乳 幼 児 期 に 獲 得 され る べ き 基 本 的 信 頼 感 が 重 要 で あ ることを 示 唆 し て い る。 さらに この 時 期 を 新し い 存 在 や 新 し い 制 作 物, 新 し い 概 念 を 生 み 出 す とい う「 世 ㈹ 哇」 を 拡 大し た 定 義 とし て 提 唱し て い る( エ リクソン・ エ リク ソン, 1997) 。一 方 ,田 淵・ 権 藤(2011) は, 最 近 の 研 究 の 勣 向 か ら, こ の「 世 代 性」 に つ い て も ,老 年 期 に お い て 重 要 な 発 達 課 題 で あ ることを 指 摘 して い る。 Cheng (2009) は, そ の 背 景 に は 晩 婚 化 により 高 齢 期 に な っ て も 親 とし て の 役 割 が 終 了し な い 傾 向 や, 長 寿 化 に より孫 世 代, ひ 孫 世 代 が 誕 生 し ても 健 康 で あ る 高 齢 者 が 増 加 し て お り,次 世 代 と の 接 触 の 機 会 が 増 え る 傾 向 に あ る た め ,「世 代 性」 は 高 齢 期 に お い て も重 要 な 発 達 課 題 となっ て い ることを 示 唆 し て い る。 とこ ろ が ,「世 代 性」 研 究 は 未 だ 実 証 的 研 究 の 蓄 積 が 殆 ど 無 く, わ が 国 に お い て は さら に そ の 数 は 少 な い ㈲ 淵, 2010) 。 高 齢 者 の 生 涯 発 達 と 発 達 課 題 エ リクソ ン(1950), エ リクソ ン・ エ リクソ ン・ キ ブ ニ ッ ク (1988) は 生 涯 発 達 を 視 野 に 入 れ, ライフ サ イクル とい う言 語 を 用 い な が ら, サ イクル で は な く階 段 型 に 上 昇し て い く図 式 を 描 い て き た。 ごnリクソン の 図 式 は, フ ロイトの 発 達 段 階 論 を 引 き 継 ぐ 心 理 社 会 的 文 脈 を 入 れ て お り,正 確 に は 階 段 状 で は なく,縱 と横 が 織 物 上 に 交 差 す る モ デ ル で あ る。 し か し, 上 昇 モ デ ル で あ ることに 変 わりは な く, 老 年 期 に「 知 恵( wlsdom)」 とい う,もっ とも 高 い 価 値 が 置 か れ た( や まだ , 2011) 。 生 涯 後 半 期 に 著し い 発 達 を 遂 げ る 賢 さ や 人 間 性 に 着 目 す れ ば, 高 齢 期 は「 より人 間 的 な 発 達 を 遂 げ る時 期」 で, 決 し て「 喪 失 の 時 期」 だ け で は な い で あ ろ う(守 屋, 2009) 。生 物 学 的 な 老 化 現 象 が す す む 老 年 期 に わ れ わ れ は 経 験 を 生 かし, 英 知 や 熟 達 能 力 を 発 展 さ せ っ つ 生 き て い くことが 可 能 で あ るの で は な い か と考 え られ る。最 近 の 研 究 に お い て は, 英 知( 知 恵, wisdom) や 熟 達 の 理 論 にも 目 が 向 け られ るように な っ て き て い る。 例 え ば, 高 山(1997) は 英 知 とは 何 か に 関し て, 暗 黙 的(implicit) 理 論 研 究 を ま とめ て お り,各 研 究 者 の 見 解 に 共 通 す る 要 素 とし て, 知 能, 創 造 性 とは オ ー バ ー ラップ し な い「 洞 察 力」 ,「判 断 力」 ,「アド バ イス す る 能 力」 か お るこ と,また, 年 齢 を か さ ね, 経 験 豊 か で, 人 生 の 問 題 を 大 きな 文 脈 の 中 で 把 握 す る 力 か お る が, そ れ は 単 に 年 を 耿 れ ば 身 に つ くこ とで は な い こ と, そし て 知 能 とオ ー バ ー ラップ す る「 知 性 か おり, 論 理 的 な 思 考」 がで きるこ との3 点 を 指 摘し て い る。 一 方, 英 知 の 明 示 的(explicit) 研 究 は, 人 格 的 側 面 と認 知 的 側 面 か ら 実 証 的 に 英 知 を 解 明 す ることを 目 指 し て い る。 そ の 中 で も, 認 知 的 側 面 に 焦 点 を 当 て た 研 究 か らは , 経 験 に 基 づ い た 広 くて 深 い 知 識, 文 脈 の 理 解, 不 確 実 性 の 認 識 とそ れ に 対 す る 明 確 な 判 断, 個 人 差 の 認 識 な ど が 英 知 の 特 徴 とし て 整 理 さ れ て い る( 高 山, 1997) 。 こ れ ら の 知 見 より, 高 齢 者 が エリクソン(1950) の い うところ の「 世 代 性」 や「 統 合 性」 を 高 め るた め に は, 生 涯 に わ たり何 ら か の 学 習 を推 し 進 め て い く必 要 があ ると考 え られ る。 心 理 的well-being 心 理 的 we1卜being とは, 年 齢 に 伴 う環 境 の 変 化, 活 動レ ベ ル の 低 下, 重 要 な 他 者 の 喪 失 等 の ネ ガ テ ィブ な 精 神 状 態 に うまく対 処 し て 心 理 的 に よい 状 態 に あ るこ とを 意 味 す る( 宍 戸, 2012) 。また, 西 田(1999) は 心 理 的well-being を 「 意 志 的・ 主 体 的 に よく生 きて い るとい う比 較 的 安 定 し た 感 覚」 と定 義 し て い る。 比 較 的 安 定 し た 心 理 的 に よ い 状 態 で あ るこ ととは, 生 活 満 足 度 が 高くなり, そ の た め 心 理 的 we1卜 being;が 維 持, 増 進 され ることで あ ると考 え ら れ る。 また, こ れ まで に 主 観 的 幸 福 感 と心 理 的well-being との 間 に は 正 の 相 関 が 認 め られ, とも に パ ー ソ ナリテ ィ特 性 や 自 尊 感 情, 文 化 的 自 己 観 と関 連 す ることが 示 唆 され て い る( 西 田,2000) 。 中 原(2007) の 研 究 で は, 高 齢 者 に お け る 環 境 の 変 化 , 例 え ば 配 偶 者 役 割, 職 業 役 割, 両 親 役 割 の 欠 如 は 心 理 的 well-being1の 低 下 に 影 響 す るとい わ れ, そ の 一 方 で, ボ ラン ティア 活 動 は 自 分 自 身 の 中 で 自 分 の 役 割 を 感 じ ることの で きる 活 動 で あり, 概 ね ポ ジ ティブ な 影 響 を 及 ぼ す ことを 示 唆 し て い る。 ま た, 稲 村・ 前 原・ 津 田(2006) は, 高 齢 者 が 孫 に 自 分 の 経 験 や 知 識 を「 語 る 二 とに よっ て 伝 え 教 え ることは , 心 理 的well-being; が 高 まるこ とを 示 唆 し て い る。 な お ,心 理 的 we1卜being の 測 定 に つ い て は ,穴 戸 (2012) は 生 活 満 足 度 尺 度 K(LSIK) に よっ て 可 能 で あるこ とを 示 唆 し て い る。 高 齢 者 と 孫 との 関 係 性 少 子 化 現 象 は, 社 会 の 高 齢 化 を 促 進 す る 要 因 とな っ て い る ば かりで な く, 高 齢 者 個 人 にも そ の 影 響 は お よび, 子 ど も が い ても 孫 を 持 て ず, な か な か 祖 父 母 に な れ な い 高 齢 者 の 存 在 を 顕 在 化 させ て い る( 河 合・ 下 仲・ 中 里・ 石 原・ 権 藤 ,
1998) 。
今 や ライフサイクル は大 きく変 化し, い わゆる祖 父 母 であ
る祖 親 期 は50 歳 前 後 から始 まっ て80 歳 過 ぎ まで30 年 間続
くと考 えられ る。 祖 父 母と孫 の 関 係 性 は, 孫 の 多 い 底 辺 に
広 がる三 角 形 のこれまで の拡 散的 関 係 から,祖 父 母あるい
は 曾 祖 父 母 まで が 存 在 す る逆 三 角 形 の 凝 集 的 関 係 へ変
化 してきて いると言 われ, 個 々 の人 のライフコ ースを考 えて
も, 祖 父母 と孫 の 関係 性 の 持 つ 今 日的 意 義 はきわ めて大 き
いと考えられる(杉 井, 2006)。
孫 の 誕 生 は, 高 齢 者 にとっ て 心 理 的 に は 概 ね 良い 影 響
を与 えることが 示されてい る(河 合 ら, 1998)。
また, 高 齢 者 にとって は, 孫 が 生まれると重 要な 他 者とな
る孫と関 わることとなる。そ のた め, 個 人 はこのような変 化 の
中で 改 め て他 者 との 関 係を 問 い 直 すことになる。 つ まり,関
係 性 の 再 体 制 化 が 必 然 的 に 自己・ 他 者・ 世 界 に対して の
基 本 的 信 頼 感とい う根 源 的・ 実 存的 課 題 に 大 きく関 わって
くると推 察され る(永 田・岡 本, 2005)。
一 方, 小 松・ 斉 藤・ 甲斐(2010) によると,孫 育 児 に 参 加
す ることは, 祖 父 母 の 精 神 的 健 康 に 影 響 をあた える要 因 が
複 数 存 在 する可 能 性 かおることが 示されて いる。また, 主 観
的 幸 福 感 や 生 きがい が 高 まるとい う精 神 的 に よい 影 響と,
抑 うっ や 不 安 が増 大す るとい う悪 い 影 響 の 両方 を受 け るこ
とも示 唆 され ている。
さらに 孫 に 対 す る情 緒 的 感 情 が 高 齢 者 の主 観 的 幸 福
感 を 高 める要 因として 挙 げられ るが, 気 持 ちが 伴 わない 場
合, 孫と行 動 を共 に す ることは 高 齢 者 に煩 わしさや 疲 労 感
を感じさせ, 逆 に 主観 的 幸福 感 を 下げ る要 因にもなり得るこ
とを 中村・浜・ 後 藤(2007) は示 唆している。
本 研 究 の 目 的
中年 期 から老 年 期 に かけ て は, 加 齢 に 伴 う心 身 や 環 境
の変 化 から,これ まで の人 生と異 なる社 会との かか わり方 を
余 儀 なくされる。 エリクソン(1950) の心 理 社 会 的 発 達 課 題
で ある「信 頼性」 や「世 代 性」 ,「統 合 性」の 達 成 度 を測 定し,
心 理 社 会 的 発 達 の様 相 を知ること,また心 理的well-being
の指 標 で ある生活 満 足 度 を知ることは, 老 年 期 の適 応を 考
える上で 重 要 である。
高 齢 者 がこれまで 生きてきた 自 己 の人 生 につ いて, たと
え 完 璧 な 人 生 で なくてもそ れ に 意 義と価 値 を見 い だ すこと
ができれ ば, 結 果として エリクソン(1950) によっ て示 され た
老 年 期 の 心 理 社 会 的 発 達 課 題 で ある「統 合 性」 が 達 成 さ
れ, 生 活 満 足 度 が 高 まり,精 神 的 健 康 の指 標 のひ とつ であ
る心 理 的well-being が 維 持, 増 進 されるので はない かと考
えられる。
エリクソンら(1988) は ,老 年 期 に 祖 父 母として孫 と関 わ
ることの 重 要 性 を 述 べ て い る。ところ が, 現 在 の 日 本 にお
い て, 女 性 の 結 婚 年 齢 や 未 婚 率 の 上 昇 が 進 み, そ れ が原
因とみられる少 子 社 会 が 急 速 に 進 展してい る。 エリクソンら
(1988) の 理 論 に 従うならば, 孫 世 代 との 関 わりは 様 々 な 喪
失 を 経 験 す る高 齢 者 にとっ て, 喜 び や 満 足 ,す な わ ち 幸
福 感 を 高 める 要 因 の ひ とつ で あり,高 齢 者 の 心 理 的 we1
卜
being を考 えるうえで 重 要 な要 因と考 えられ てい る。しかし,
孫 の いな い 高 齢 者 の 精 神 的 健 康 がい か なるものか に つ い
ての 検討 は,これ までなされていな い。
また, 寿 命 が延 び たとい うことは, 老 年 期 が 延 長 され たと
いうことで あり,そ の延 長 され た 老 年 期 をい か に過 ご す かと
いう老 年 期 の生き方 に かか わる問 題 に は, 現 在 老 年 期 にあ
る人 だ け でなく,これ から老 年 を 迎えようとす るす べて の 人
にとっての 大きな 関心 事 となっている(日 下, 2004)。
長 くなっ た老 年 期 に お い て, どの ように 人 格 が発 達 を遂
げ ていくの かを知 り,高 齢 者 の 精 神 的 健 康 をい か に維 持 ,
増 進 させ るか は 重 要 な 課 題 で あると考 えられる。 人 間 の 発
達 が 個 入 内 要 因 だ け でなく社 会 的 要 因 との 相 互 作 用 によ
るとい うエリクソン(1950) の 心 理 社 会的 視 点 を基 準としたう
えで, 高 齢 者 の精 神 的 健 康 を知 ることは 意 義 のあることで
はな いかと考 えられる。
本 研 究 で は, 少 子 高 齢 化 の 現 状 を踏 まえ ,老 年 期 の 発
達 段 階 達 成 と孫 の 存 在 や 孫 以 外 の「子 育 て支 援」 活 動との
関 連 を検 討し, 高齢 者 の 心 理 的well-beingを 維 持, 増 進 さ
せ るため の支 援 を考 えることを 目的とする。
な お, エリクソン(1950) の 発 達 段 階 は 連続 的 なも のとし
て示 唆 されて いる が, 本 研 究 で は「信 頼 性」 や「 世 ㈹ 哇」,
「 統 合 性」 に つ い てそ れぞ れ の 発 達 の 程 度 を検 討 す るた
め, 発 達 段 階 剖 虫立したものとみなし検討 する。
方 法
調 査 対 象 者 と調 査 方 法
近 畿 圈 の 通 信 制 大 学, 老 人 大 学 の 講 義, サ ー クル に 参
加した高 齢 者 を対 象 に2013
年6 月 下 旬 から7月 下 旬 に 質
問 紙 調 査を 行った。 調 査 書 は455 部 配 布 され, 回 収された
の は257 部( 回 収 率56.4%) であ った。 有 効 回 答 者191 人
(有 効 回 答 率74.3%) のうち, 前 期 高 齢 者 である153 人 を本
分 析 の対 象 者とした。
質 問 紙 の 構 成
質 問 紙 は以 下の(1) ∼(4) で 構 成された。
① フェイスシ ート:性 別, 年 齢, 婚 姻 状 況 ,同 居 家 族 構
成, 経 済 状 況, 健 康 状 況, 昔 の 思い 出を話 す 人 の 有 無, 孫
以 外 の「子 育 て支 援」活 動 の 有 無, 孫 の有 無, 孫 に対 す る
思 い, 孫 の い ない 場 合 は 子ども の有 無も尋 ねた。 な お, 孫
以 外 の「子 育て 支 援」活 動 の対 象 は 前 期 高 齢 者 が係りや す
く,活 躍 の機 会 が多 い「O 歳 ∼ 小 学 生」 の子どもとし 售
婚 姻 状 況 は ,「既 婚( 配 偶 者 は 生 存 か 死 別 か)」 ,「離
婚」 ,「未 婚」という4つ の 選 択 肢 から回 答 を求 め た。同 居 家
族 構 成 は ,「単 身」 ,「夫 婦 の み」 ,「未 婚 の 子 供 と同 居」 ,
「既 婚 の 子 供と同 居」 ,「そ の他( 自 由記 述)」という5つ の 選
択 肢 か ら回 答 を求 め た。 経 済 状 況, 健 康 状 況 は 主 観 的 に
どう思 うかを 尋 ねるため, そ れぞ れ「あ る」,「や やある」,「あ
まりな い」 ,「な い」 の 中 か ら 回 答 を 求 め た。 ま た, 昔 の 思 い 出 を 話 す 人 の 有 無 を 尋 ね, さら に, 話 す 相 手 を「 配 偶 者」 , 「子 ど も」 ,「孫」 ,「そ の 他( 自 由 記 述)」 の4 つ の 選 択 肢 か ら 回 答 を 求 め た( 複 数 可) 。また, 孫 以 外 の「 子 育 て 支 援」 活 動 の 有 無 に 関 し て 回 答 を 求 め た。 次 に, 孫 の 有 無 を 尋 ね, 孫 の い る 場 合 に は ,「孫 が い る だ け でここ ろ が 安 定 し て い る と思 い ま す か」 ,「 自 分 の 命 が 孫 へ とつ な が っ て い くこ とをうれ しく 思 い ま す か」 とい う孫 へ の 思 い に 関 す る 質 問 に は ,「は い」 ,「ど ち らとも い え な い」 ,「い い え」 の3 つ の 選 択 肢 か ら 回 答 を 求 め ,孫 の い な い 場 合 に は ,子 ど も の 有 無 を 尋 ね, さら に「 孫 が い る だ け で ここ ろ が 安 定 す る と思 い ま す か」 ,「 自 分 の 命 が 孫 へ とつ な が っ て い くとうれ しく思 い ま す か」 ,に の 先, 孫 を 持 ち た い と 思 い ま す か」 ,に の 先, 孫 を 持 て な か っ た ら 不 幸 だ と 思 い ま す か」 とい う質 問 に ,「は い」 ,「ど ち らともい え な い」 ,「い い え」 の3 つ の 選 択 肢 か ら 回 答 を 求 め た 。 に の 先, 孫 を 持 て な い と考 え るとどう思 い ま す か」 とい う孫 へ の 思 い や, 今 後, 孫 を 持 て な い こ とへ の 思 い に 関 す る 質 問 に は ,「不 安 で あ る」 ,「ど ち らとも い え な い」 , 「不 安 で は な い」 の3 つ の 選 択 肢 か ら 回 答 を 求 め た。 (2) 生 活 満 足 度 尺 度 K(LSIK)( 古 谷 野, 1982):LSIK は 古 谷 野 に よっ て 主 観 的 幸 福 感 を 測 定 す る た め に 開 発 さ れ 尺 度 で あ る。9 項 目 の うち7 項 目 を「 は い, い い え」 の2 件 法 で, 残 りの2 項 目 を「 ほ とん ど な い ,い くらか あ る, たくさ ん あ る」 ,「満 足 で きる, 大 体 満 足 で きる, 満 足 で きな い」 の そ れ ぞ れ3イ牛法 で 回 答 を 求 め る。 最 高 得 点 は9 点 で あり, 得 点 が 高 い ほ ど 生 活 に 満 足( 以 下, 生 活 満 足 度) し て い ることを 示 す 。 な お, 穴 戸(2012) の 指 摘 に あ るように 本 研 究 で はこ の 尺 度 を 心 理 的well-being の 指 標 とし て 用 い た 。 (3) エ リクソン 心 理 社 会 的 段 階 目 録 検 査 尺 度(EPSI) (中 西・ 佐 方, 1993): 心 理 社 会 的 発 達 課 題 の 達 成 感 覚 を, 個 人 が ど れ くら い 意 識 し て い るか を 測 定 評 価 し, そ の 個 人 の 同 一 性 感 覚 のレ ベ ル を 明 らか にし ようとす る 尺 度 で あ る( 上 里, 2001) 。 各 下 位 尺 度 は7 項 目 で 構 成 さ れ, 全 部 で56 項 目 か らな る。「とても あ て は まる(4 点) ,か なりあ て は まる(3 点) ,あ まり あ て は まら な い(2 点) ,ほとん ど あ て は まら な い(1 点) ,全 く あ て は まらな い(O 点)」 の5イ牛法 で 回 答 を 求 め, 各 下 位 尺 度 得 点 ご と に 集 計 を 行 う。 そ れ ぞ れ の 最 高 得 点 は28 点 で, 得 点 が 高 い ほ ど 心 理 社 会 的 発 達 課 題 を 達 成 し て い るこ とを 示 す。 本 研 究 で は, 対 象 者 の 負 担 に 配 慮 し, そ の 内 の3 つ の 下 位 尺 度「 信 頼 性」 ,「世 代 性」 ,「統 合 性」 を 使 用 し た。 な お, 質 問 項 目 の 中 に「 死」 とい う文 言 が2 か 所 あ る。 前 期 高 齢 者 に 不 快 な 気 持 ち に させ る 可 能 性 が あ るた め, 本 研 究 で は い ず れ に つ い ても「 こ れ か ら先 の こと」とい う表 現 に 置 き 換 え て 用 い た 。 (4) W H O-5精 神 的 健 康 状 態 表 尺 度(1998 年 版): 世 界 保 健 機 関( W H O) により,簡 易 的 な 精 神 的 健 康 の 指 標 として開 発 され, 使用 が推 奨 され ている尺 度である。 最 近2 週 間
の 日常 生 活 にお ける精 神 的 健 康 状 態 に つ き5項 目に つ い
て ,「い つも,ほとんどい つも ,半 分 以 上 の 期 間 を, 半 分 以
下 の 期 間を, ほ ん のたま に 全くない」 の6件 法 で 回 答 を求
めるように構 成 され ている。 最 高 得 点 は25 点 であり,得 点 が
高 い ほど 精 神 的 健 康 が 良 好 であることを示 す。 粗 点 が13 点
未 満 の 得 点 は 精 神 的 健 康 状 態( 以 下, 精 神 的 健 康 度)が
低 いことを示し, ICD-10 に基 づくうつ 病 の ため のテストの 適
用となる。
倫 理 的 配 慮
質 問 紙 にお い て, 調 査 の 趣 旨お よび, 倫 理 的 配 慮として
デ ー タを研 究 以 外 に用 い ないことや, 個人 回報 の保 護, 調
査 は 任 意で あることなど に つ いて 記し, 同 意 の場 合 に 回 答
を求 めた。 本 研 究 は, 帝 塚 山大 学 研 究 倫 理 委 員 会 の 承認
を得て 実 施した。
結 果
分 析 対 象 者 の 概 要
分 析 対 象 者 の153 人( 男 性93 人 ,女 性60 人 ,平 均 年
齢68.84 ±2.75 歳) に つ い て ,記 述 統 計 量 を 算 出 した
(Table 1,
2)。男 女 別 の 平 均 年 齢 は, 男 性69.13 ±2.55 歳 ,
女 性68.40 ±3.01歳 であった。
婚 姻 状 況 は既 婚 者 のうち「配 偶 者 生 存」 が120 人 で 最も
多 か った。同 居 家 族 構 成 は ,「夫 婦 の み」 が72 人 と最も多
く,次 に「未婚 の子 供と同 居」 が38 人 ,「単身」 が25 人 と続 い
た。 経 済状 況 は ,「ゆとりかおる」,「や やあ る」が93 人, 健 康
へ の 自 信 は ,「あ る」,「や や ある」が118 人と多くを 占 めた。
昔 を思 い 出 すことが「あ る」は137 人 であっ た。 このうち, 昔
の 思い 出を話 寸 人 が「いる」は135 人 で, 話 す 相 手 は「 配 偶
者」が74 人 で 最も多 かった。 孫 以 外 の「子 育 て支 援」活 動 に
「参 加し てい ない」 が135 人 で多 くを占 めた。 また, 孫 は「い
る」が97 人 で, そ のうち 孫 と同 居して「い な い」 が85 人と多
かった。
Table 1 分 析 対 象 者 の基 本 属 性 0V=153)
次 に 孫 へ の 思 い に つ い て は, 孫 ありの 場 合, 孫 が い る だ け で に こ ろ が 安 定 し て い る」 が71 人 で ,自 分 の 命 が 孫 へ とつ な が っ て い くことが「 うれし い」 が82 人 で あっ た。 孫 なし の 場 合 は, 孫 が い るだ け で に こ ろ が 安 定 す る」 よりも「 ど ち らと も い え な い」 ,「い い え」 の ほうが42 人 と多 か っ た 。自 分 の 命 が 孫 へ とつ な がっ て い くこ とが「 うれ し い」 と「ど ち らとも い え な い」 ,「い い え」 は ほ ぼ 同 数 で あ っ た。 こ の 先 ,孫 を「 持 ち た い」 より「ど ち らとも い え な い」 ,「い い え」 の ほ うが33 人 で 多 か っ た。 今 後, 孫 を 持 て な い こと へ の 思 い で は, 孫 を 持 て な い こ とへ の 不 安 感 や 不 幸 感 は ,ほ とん ど 持 た れ て い な か っ た 。 Table 2 分 析 対 象 者 の 孫 へ の 思 い 0V=153) 人 蝕 (94) 全 休 男 性 女 性 153 1QO.O 93 60.8 60 39.2 孫 あ り 戉3増 合(a/=e7) 卜sヵ1しヽる7どけ でこ ころ ヵ1安 定 し てLヽる │ましヽ 71 〔46.4〕 43 <4 ≪.2) 28 〔46.7〕 ど ち らとも しヽえ な 廴ヽ 24 〔15.7) 18 (19.4} 6 〔lO.O) い い え ]26 (16.9) 2 〔1.3〕 1 (1.1) 1 〔1.7) 自 分a)命 ヵ{i・ へ とつ な ヵ1う て い く(x)ヵ1うれ し い は い 82(53.6) 52 (55.9) 30 〔50.0〕 ど ち らとも Lヽえ な 廴ヽ 15 〔9.8) Io (10.8) 5 〔8.3〕 廴丶廴丶 ̄ ]15 〔9.8〕 ○ 0.0 0 0.0 0 0.0 櫑 な し の 増 合(a/=56) f s ヵ1しヽる7どけで こ ころ ヵ1安 定 す る │ましヽ 13 〔8.5〕 11 (11.8} 2 〔3.3) ど ち らとも い え な い 37L丶廴丶 ̄ ]42〔27.5) 5 〔24.2) 163.3 4 <17.2) 214.3 1 1.7 〔35.0) 自 分a)命 カ111へ とつ な カ1う て い くとぅれ し い は い 30〔19.6〕 17 <18.3) 13 〔21.7) ぎr; り も しヽえ な 廴ヽ ]25 <16・3) 气 〔1:ミ; 〕 11 (111 1? 〔17; 〕 こ 心 先 孫 を 持 ちた い │ましヽ 22(14.4) 14 (15.1) 8 〔13.3) ダ 5 兮とも い え な い ]33 (21.6) 1 9 ( 1 2 . 4 ) 8 ( 8 .6 ) 11 ( 1 8 . 3 ) 不 安 で &)る 6 (3d) 3 (3.2) 3 (5.0) ど ち らとも L不 安 で な Lヽ ヽえ な 廴ヽ ]49〔32.1) 2821 (13.7 ) 13(18.3) 15 (16.1) (1 4.Q) 138 〔21.7)〔13.3) こ 四 先 孫 を 持 て な か っ た ら 不 幸 │まLヽ 2 (1.3) 2 (2.2) O (0.0) ど ち らとも Lヽえ な 廴ヽ ・ =͡. ͡.͡. 27(17.6) 14 <15.1) 13 〔21.7) 尺 度 得 点 に お け る 性 差 性 別 に よる 各 尺 度 得 点 の 平 均 値 を 比 較 す る た め に 対 応 の な い 力検 定 を 行 っ た(Table3) 。世 代 性 得 点 の み に 有 意 な 差 が み ら れ(f(l39)=2.10, /><。05), 男 性 の 方 が 女 性 よりも 有 意 に 得 点 が 高 か っ た 。 Table 3 性 別 に よ る 各 尺 度 得 点 の 比 較 男 女 平均値く幼 平均劃 幼 g が t 催 儻頼性 世代性 統合性 生活満 足度 精神的 健康 度 *ρ<.a5 1566 く3.77) 1581(3.93) 1786 く4j4) 5.25(2.00) 1712(4.22) 16.50(3.0 叭 14.34(4.14) 18.32(3.87) 5.30(2.06) 17.02(4.49) 141 139 143 148 150 1。38 2.10 * り £ 乙 £ 6 1 − 1 孫 の 存 在 と 各 尺 度 得 点 と の 関 連 孫 の 有 無 に よる 各 尺 度 得 点 の 平 均 値 を 比 較 す る た め に 対 応 の な い 力検 定 を 行 っ た(Table4) 。信 頼 性 得 点 と 世 恆 哇 得 点 の み に 有 意 な 差 が み ら れ( 順 に バ14l)=2.13, p <.05, バ139)=2.79, p <。01), い ず れ に つ い ても 孫 あり群 の 方 が 孫 なし 群 より有 意 に 得 点 が 高 か っ た 。 次 に 子 ども と孫 の 有 無 に より,「子 ども あ り・孫 あ り」群 , 「子 どもあ り・孫 なし」 群 ,「子 どもな い 孫 なし」 群 とい う3 群 を 設 定し, こ の3 群 間 で 各 尺 度 得 点 を 一 要 因 の 分 散 分 析 に よ 人 数 (96) 全 体 性 女 性 婚 姻 状 況 酉己f禺者 生 存 120 (78.4) 83 (89.2) 37 (61.7) 酉己f禺者 歹E男│」 14 (9.2) 1 (1.1) 13 (21.7) 禽隹蚪1 6 (3.9) 2 (2.2) 4 (6.7) 未 蚪1 13 (8.5) 7 (7.5) 6 (10.0) 同 居 家 族 構 成 単 身 25 (16.3) 10 (10.8) 15 (25.0) 夫 夊帚(7)冫1 72 (47.1) 47 (50.5) 25 (41.7) 未 蚪l(7)子 ど も とFI 居 38 (24.8) 26 (28.0) 12 (20.0) R旡蚪l(7)子 ど も とFI 居 12 (7.8) 6 (6.5) 6 (10.0) R旡蚪l(7)子 ど も とFI 居 12 ( 7.8) 6 (6.5) 6 (10.0) そ(7)ヤ也 6 (3.9) 4 (4.3) 2 (3.3) 糸至冫斉4犬i兄 吋)とりa6 り 23 (15.0) 16 (17.2) 7 (11.7) ゆ とり や や あ り ]93 (60.8) 70 (45.8) 41 (44.1) 19 (31.7) 4)螳 お ま りな し ]58(37・9) 咒 (3謡 ) 31 (3混 ) 1; (7 昌 ) イ建 康 へ(7)白4 言 &,り 43 (28.1) 31 (33.3) 12 (20.0) や や あ り ]1 1 8 (77.1 ) 75 (49.0) 43 (46.2) 32 (53.3) ] 35( 2 2.9) 74 44 10 。 46 82 (88 .2) ( 4 8 . 4 ) 5 3 ( 5 7 . 0 ) ( 28 .8) 2 0 ( 2 1 . 5 ) ( 6.5 ) 7 ( 7.5) ( 3.3 ) 3 (3 .2) ( 3 0 . 1 ) 3 2 ( 3 4 . 4 ) 53 (88.3) 2 1 ( 3 5.0 ) 2 4 ( 4 0.0 ) 3 ( 5.0 ) 2 (3.3) 1 4 ( 2 3.3 ) そ(7)ヤ也 12 6 (6.5) 6 (10.0) 力- - 11 (11.8) 7 (11.7 ) 預4昿え夕t(7)「子 育 て 支t 爰Ji舌重力 &,り 18 (11.8) 8 (8.6) 10 (16.7) a6 り ( A /= 9 7 ) 孫 と 同 居 預 4と 呂 I J居 62 (66.7) 35 (58.3) (7.8) 5 (5.4) 7 (11.7) 55.6) 58 (62.4) 27 (45.0) 31 (33.3) 25 (41.7) 22.9) 19 (20.4) 16 (26.7) 預4と呂IJ居 85 (55.6) 58 (62.4) 27 (45.0) なし(A/=56) 31 (33.3) 25 (41.7) 子 ど もa6 り 35 (22.9) 19 (20.4) 16 (26.7) 子 ど も なし 21 (13.7) 12 (12.9) 9 (15.0)Table 4 孫 の 有 無 による各 尺 度 得 点 の比 較
信頼性 世代性 統合性 孫あり群 孫なし群 平均値(頌 平均齔 頌 16.45(3.37) 15.15(3.川 15.96(3.58) 14.02(4.58) 18.47(3.&4) 生活 濱足度 5.45 【2.00】 精神的 懼康廬 17. 闥4.嵎 17,26(4.94) 4.93(2.03) 17.00(4.19) 直 一 141 139 143 148 150 馗 2.13* 9 3 6 7 7 6 5 1 2 1 1 り く。05,*り く。01 り比 較 し た(Table5) 。そ の 結 果, 世 代 性 得 点 に 有 意 な 主 効 果 が 認 め られ た(F(2,138)= 11.57, p<。001)。 Tukey 法 に よ る 多 重 比 較 の 結 果 ,「子 ども あり・孫 あり」 群 と「子 どもあ り・孫 なし」 群 が ,「子 ども な い 孫 な し」 群 に 比 べ て, 有 意 に 得 点 が 高 かっ た。Table 5 子 どもと孫 の 有 無 による各 尺度 得点 との関 連
信 頼 性 1 , 子 ど もあ り ・ 孫 あ り 2 , 子 ど もあ り ・ 孫 な し 3 , 子 ど もな し ・ 孫 な し 1 , 子 ど もあ り ・ 孫 あ り 2 , 子 ど もあ り ・ 孫 な し 平均 値(J) -16.45(3.37) 15.53(4.10) 14.44(2.81) -15.96(3.58) 15.52(4.42) ♂ 絹 直 2,140 2.84 2,138 多 重 比 較 ’ -11.57 *** 1, 2>3 れ しく思 う」とい う質 問 に つ い て ,「は い」 と 回 答 し た 群 と「そ れ 以 外( ど ち らとも い えな い・ い い え)」 に 回 答 し た 群 の2 群 に 分 け, 孫 の 有 無 との 関 連 を ,え・ 検 定 に より検 討 し た 結 果 , 有 意 差 が み ら れ た(が(l)=16.28, pく001) (Table 7) o孫 が い る 前 期 高 齢 者 は, 孫 の い な い 前 期 高 齢 者 に 比 べ て「 自 分 の 命 が 孫 へ とつ な が っ て い くことをうれし く思 う」と考 え て い る 場 合 が 有 意 に 多 か っ た(84.5%) o 孫 が い な い 場 合 の 精 神 的 健 康 に の 先, 孫 を 持 ち た い と 思 い ま す か」 とい う質 問 に つ い て ,「は い」 と回 答 し た 群 と「そ れ 以 外( ど ち らとも い え な い・ い い え)」 に 回 答 し た 群 の2 群 に お ける, 各 尺 度 得 点 の 平 均 値 を 比 較 す るた め に 対 応 の な い 力検 定 を 行 っ た. 世 代 性 得 点 で 有 意 な 差 が み ら れCf(49) =2.62, p < .05),「は い」 と回 答 し た 高 齢 者 の 方 が 有 意 に 得 点 が 高 か っ た. そ れ 以 外 の 尺 度 得 点 に つ い て2 群 間 に は 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た (信 价 腫 得 点:バ50)= 24, n.s.,統 合 腫 得 点:バ5l)=1.52 ,n.s., 生 活 満 足 度 得 点:t(52)= 35, n.s.y 精 神 的 健 康 度 得 点: バ52) =.28, n.s.)0 に の 先, 孫 を 持 て な い と 考 え るとどう思 い ま す か」 とい う 質 問 に つ い て ,「不 安 で な い」 と回 答 し た 群 と「そ れ 以 外( ど ち ら とも い え な い・ 不 安 で な い)」 と 回 答 し た 群 と2 群 に お け る ,各 尺 度 得 点 の 平 均 値 を 比 較 す る た め に 対 応 の な い 力検 定 を 行 っ た. 全 て の 尺 度 得 点 に つ い て2 群 間 に は 有 意 差 は み られ な か っ た(信 价 腫 得 点:バ50)=.78, n.s.y世 代 性 得 点:K49)= 17, n.s.,統 合 哇 得 点:バ5l)= 07, n.s.,生 活 満 足 度 得 点:t(52)= 06, n.s.,精 神 的 健 康 度 得 点:t( 52)=1.12, n.sX に の 先, 孫 を 持 て な か っ たら 不 幸 だ と 思 い ま す か」 とい う質 問 に つ い て ,「は い」 と回 答 し た 群 と「そ れ 以 外( ど ち らと も い え な い・ い い え)」 に 回 答 し た 群 の2 群 に お ける, 各 尺 度 得 点 の 平 均 値 を 比 較 す る た め に 対 応 の な い 力検 定 を 行 っ た. 全 て の 尺 度 得 点 に つ い て2 群 間 に 有 意 な 差 は み ら れ な か っ た(信 价 哇 得 点:バ50)=1.15, n ふ ,世 代 性 得 点:バ49) =.58, n.s・,統 合 性 得 点:K5l)=.09, n.s., 生 活 満 足 度 得 点:バ52)= 66, n.s.,精 神 的 健 康 度 得 点:バ52) =1.50, n.sX 「 子 育 て 支 援」 活 動 へ の 係 りと 各 尺 度 得 点 と の 関 連 孫 以 外 の 子 ども(O 歳 ∼ 小 学 生) の「 子 育 て 支 援」 活 動 へ の 係 りの 有 無 に よる 各 尺 度 得 点 の 平 均 値 の 比 較 を す る た め に 対 応 の な い 力検 定 を 行 っ た(Table8) 0信 頼 性 得 点 , 世 恆 腫 得 点 お よ び 統 合 性 得 点 に 有 意 な 差 が み ら れ( 順 にTable 8 孫 以 外 の「子 育 て支 援」 活 動 へ の係りの
有 無 による各 尺 度 得 点 の比 較
信 頼 性 世 代 性 統 合 性 係りあり群 係りなし群 一 一 平均値(g) 平均値( 副 17.71 (2.85; 15.フ5(3.57) 17.80(3.78] 20.87(3.07) 生活満足度 6.12(2.00) 精神的健康廈 18.65(5.01) * ρ く,05, ** ρ く,01 14.S5(4.00) 17.70(4.31) 5.16(2.00) 16.88〔4.19) 直 一 141 139 143 148 150 t 値 一 2.17* 2.62 * 7 6 0 7 8 6 を I 瑤 2 1 1 1 8 . 4 7 ( 3 . 8 4 ) 1 7 . 9 1 ( 5 . 1 5 ) 2,142 2.44 満 足 度 生 活 精 健 1 , 子 ど もあ り ・ 孫 あ り 2 , 子 ど もあ り ・ 孫 な し 3 , 子 ど もな し ・ 孫 な し 1 , 子 ど もあ り ・ 孫 あ り 2 , 子 ど もあ り ・ 孫 な し 3 , 子 ど もな し ・ 孫 な し 1 , 子 ど もあ り ・ 孫 あ り 2 , 子 ど もあ り ・ 孫 な し 八 J -9 1 3 4 1 8 -9 0 3 3 1 8 -9 2 3 4 1 9 -9 6 3 4 2 0 -9 7 3 4 5 , 4 6〔 2 , 0 0 〕 5 , 0 9〔 2 . 0 1 ) 4 . 6 5〔 2 . 0 8 ) -1 7 . -1 2 ( 4 . 4 0 ) 1 7 . 1 8 ( 4 . 2 2 ) 2 , 1 4 7 2,149 1 . 5 1 0 9 n . s . 一 万 . S . 一 万 . . S***
p
<,001
°
はT
ukey.
法
に
よ
る
さらに「 孫 がい るだ け でこころ が安 定してい る」という質
問 につ いて ,「は い」と回 答し た群 と「そ れ 以 外(どちらとも
いえ ない・ い い え)」 に 回 答した 群 の2 群 に 分 け, 孫 の有 無
との 関 連 を え・検 定 に より検 討し た 結 果, 有 意 差 が みられ
た(が(l)=34.87, p <。001) (Table6)。孫 がい る前 期 高 齢 者
は ,孫 の い な い 前 期 高 齢 者 に 比 べ て「 孫 がい るだ け でこ
ころ が 安 定して いる」と考 えて いる場 合 が有 意 に 多 か った
(73.2%) 。また ,「自分 の命 が 孫 へ とつな かって いくことをう
Table 6 孫 の 有 無と「心 の安 定 感」との関 連
子系 あ り な し 合 言十 度 数 ( %) 度 数 ( %) 一 度 数 ( %) こ こ ろ 力1安 定 し てごい る 1ま しヽ そ オtlμ 夕卜 り り 2 6 言 J ぐ ぐ り り 7 1 驚 E ぐ ぐ 84 (55.3) 68 (44.7) 合 言十 97 (1 00 . 0) 55 (1 00 . 0) -152 (1 00 . 0) 孫Table 7 孫 の 有 無と「龠 のっ ながり」との関 連
者旨(7)つ な 力1リ 力1う オ1.し しヽ 1ま しヽ そ オ1.1ふλ夕峯 あ り な し 合 言十ニ
ニ
で
で
度 数 (%) 1 1 2 ( 73 .7 ) 15 (15.5) 25 (45.5) 40 (26.3) 合 言十 97 (1 00 . 0) 55 (1 00 . 0) 152 (1 00 . 0)バ14l)=2.17, p < .05, f(l39)=2.62, p < .05,バ143)=2.77, p <.01) 言 子 育 て 支 援」 活 動 あ り群 の 方 が 活 動 なし 群 より有 意 に 得 点 が 高 か っ 九 思 い 出 を 孫 に 語 るこ とと 各 尺 度 得 点 と の 関 連 昔 の 思 い 出 を 孫 に「 語 る」 こ と の 有 無 に よ る 各 尺 度 得 点 の 平 均 値 を 比 較 す る た め に ,対 応 の な い 力検 定 を 行 っ た(Table9) 0 世 代 性 得 点 に の み 有 意 な 差 が み ら れ (f(l2l)=2.95, p < .05),昔 の 思 い 出 を 孫 に「 語 る」 場 合 の 方 が「 語 らな い」 場 合 より有 意 に 得 点 が 高 か っ た 。 Table 9 思 い 出 を 孫 に「 語 るこ との 有 無 に よる 各 尺 度 得 点 の 比 較 あり なし 精神 的 健 康度 *ρ<.05 平 均 値(SD) -18.22(3.53) 19.22(4.55) 20.70(3.47) 6.00(1.25) 19.30(3.20) 平 均 値(SD) -15.94 (3.51) 15.26 (3.82) 18.09 (4.12) 5.23(2.01) 16.99 (4.39) 好 一 124 121 125 129 131 f 値 -1.88 2.95 1.95 1.19 1-63
世 代 性 及 び 統 合 性 の 達 成と精 神 的 健 康 との 関 連
世 代 性 得 点 お よび 統 合 性 得 点 の 平 均 値 を 算 出し, 平
均 値 未 満 を低 群, 平 均 値 以 上 を高 群 に 分 類し た。 さらに
世 代 性 得 点 ,統 合 性 得 点 の 高 低 に よる3 群( 世 代 低 統
合 低, 世 代 低 統 合 高・ 世 代 高 統 合 低, 世 代 高 統 合 高) を
設 定した。3 群 と信 頼 性 得 点, 生 活 満 足 度 得 点 お よび 精
神 的 健 康 度 得 点 を 比 較 す るた め に
一 要 因 の 分 散 分 析
を行 っ た(Table10)。 信 頼 性 得 点 ,生 活 満 足 度 得 点 お よ
び 精 神 的 健 康 度 得 点 に有 意 な 主 効 果 が 認 められ た(順
にF(2,134)=45.94, pく001, H2,138)=20.38, pく001,
-F(2,138)=25.43, p <。001)。 Tukey 法 による多 重 比 較 の 結
果, ど の 尺 度 得 点 に お い ても「 世 代 低 統 合 低」 群 は 言 世
代 低 統 合 高・ 世 代 高 統 合 低」群 お よび「 世 代 高 統 合 高」群
に 比 べ て有 意 に 得 点 が 低 かっ た。 また 言 世 代 低 統 合 高・
世 代 高 統 合 低」 群 は け 世 代 高 統 合 高」群 に 比 べて 信 价 哇
得 点 にお い て 有 意 に 得 点 が 低 かった が, 生 活 満 足 度 得 点
お よび 精 神 的 健 康 度 得 点 で は 有 意 な 差 は 認 められな かっ
た。
Table 10 世代 性 得 点と統 合性 得点 による
3 群と各 尺 度 得点 の比 較
信 頼 性 満 足 度 生 活 精 健 神 康 的 度 1。世 代 低 一統合 低 2.世 代 統 合高 低混 合 3.世 代 高 一統合 高 1.世 代 低 一統合 低 2.世 代 統 合高 低混 合 3.世 代 高 一統合 高 1.世 代 低 一統合 低 2.世 代 統 合高 低混 合 3.世 代 高 一統合 高 N 平均値(S∂) f 刈直 多重比較゜ 56 13.41(2.97) 35 16.69(2.67) 2,134 45.94 *** 1 <2<3 46 18.63(2.63) 59 4.24(1.98) 35 5.74(1.58) 2,138 20.38 *** 1 <2, 3 47 6.30(1.44) 59 14.66(3.98) 35 18.43(3.12) 2,138 25.43 *** 1 <2, 3 47 19.47(3.56)***
£><.001 aUTukey;
£HJ:-
£)
合
・
性 別 によ る心 理 的well-being の 達 成
鏝 後 心 前 期 高 齢 者 の 心 理 的well-being の指 標 である
生 活 満 足 度 を 各 尺 度 得 点 がど の 程 度予 想しうる かを検 討
す るた め ,同居 家 族構 成( 単 身 かそ れ 以 外),子 供 の 有無 ,
孫 の有 無, 経 済 的 な ゆとり,主 観 的 健 康 度, 信 縉 腫得 点 ,
世 代 性 得 点, 統 合 哇 得 点, 精 神 的 健 康 度 得 点 砠 虫立 変 数
とした, 男 女ごとの重 回 帰 分 析 を行った(Tablell) 。
そ の結 果, 男 性, 女 性ともにお い て信 价 哇得 点 が有 意 な
正 の 係 数 を示した が, 主 観 的 健 康 度, 精 神 的 健 康 度 得 点
につ いて は, 男 性 のみ に有 意な正 の係 数 が認 められ た。
Table 11 性 別と生 活 満 足 度との関 連
生 丿舌 丿藹 足 丿斐 男 性 女 性 同 居 家 族 構 成 単 身 ・そ れ 以 外 .00 .12 家 族 要 因 子 の 有 丿跟 .14 -.01 1系(7)有 丿跟 -.06 .03 糸至丿斉自勺な ゆ とり .18 -.09 主 鬢見的 倡1康 度 .25 * .09 尺 度 得 点 信 頼 性 得 点 .31 * .37 * t汢4弋ltl 辱点 -.12 −.10 耄充合ltl 辱点 .05 .37 精 神 的 健 康 度 得 点 .30** .18 a兇明 率( 人") 0.56 0.51 * ρ <.05,** ρ <.01考 察
本 研 究 で は, 前 期 高齢 者 の 心 理 的well-being を維 持 ,
増 進させ るた め の支 援 を考えることを 目的とし, 発 達 課 題 達
成 と孫 の 存 在 や 孫 以 外 の「子 育て 支 援」 活 動 へ の 有 無 等と
の 関連 を検討 した。
前 期 高 齢 者と孫 の 存 在と の 関 連
孫 の 有 無 による各 尺 度 得 点 の 比 較をしたところ, 信 頼性
得 点, 世 代 性 得 点 に 有 意 差 が認 められ, 孫 のい る前 期 高
齢 者 の 方 が 得 点 が有 意 に 高 かった。 さらに, 昔 の 思 い 出 を
孫 に[語る]方 がい 語 らない」場 合より世 代 性 得 点 が 有 意 に
高 かった。 孫 に 思 い 出 を「語る」ことに よって 前 期 高 齢 者 が
自 分 の 経 験 や 知 識 を孫 に伝 え るような 役 割 を担うことにな
り,そ のことが「世 代 性」と関 連してい るので は ない かと考 え
られる。 稲 谷ら(2006) は 年 長 者 とし て伝 統 文 化 を伝 える祖
父 母 は, 心 理 的'well-being
が高 いことを示 唆して いる。そ の
た め, 世 代 性 得点 が高 いということと心 理 的well-beingが維
持, 増進 されているということは, 関 連して いるので はない か
と考 えられる。
また, エリクソン(1997) によれ ば 若 い 世 代 と関 わり,祖 父
母 的 世 代 性 を 発 揮 す ることは ,老 年 期 の 発 達 課 題 で ある
[統 合 性] の獲 得 を促 すとい わ れている。 昔 の 思い 出を孫 に
「 語る」ことによりけ 統合 性」の 獲 得 が促 進 され たので はな い
かと考えられる。
前 期 高 齢 者 が孫 と何らか の 形 で接 することで, 孫 と信 頼
関 係 が 築 か れ た場 合 に は, 永 田ら(2005) のい う関係 の 再
体 制 化 が 行 わ れ, そ れ によって「信 頼 性」が 獲 得 されると考
えられる。
一 方, 祖 父 母 役 割 は, 役 割 の 喪 失 期 とされ る高 齢 期 に
お いても多くの 高齢 者 が 獲 得 す る家 庭 内 の 役 割 であり,高
齢 者 と血 縁 関 係 に あ る孫 との 関 係 を 捉 える 上 で は 重 要 な 観 点 で あ る と指 摘 され て い る( 河 合 ら, 1998) 。現 在 の 日 本 に お い て は, 孫 と別 居 の 高 齢 者 が 多 い と考 えら れ る た め, 孫 と の 関 係 を 家 庭 内 の 役 割 の み とし て 捉 え ることは で きな い が , 孫 と接 す ることは 同 居, 別 居 に か か わ らず 次 世 代 育 成 に つ な が り, 必 然 的 に「 世 代 性」 の 達 成 のレ ベ ル が あ が ること に なると考 え られ る。 ま た, 子 ども の い る 前 期 高 齢 者 は 孫 の 有 無 に か か わ ら ず, 子 どもも 孫 もい な い 前 期 高 齢 者 に 比 べ て 世 代 性 得 点 が 有 意 に 高 か っ たことか ら, 孫 の 有 無 に 関 わら ず 子 育 て の 経 験 が「 世 代 性」 の 獲 得 に 関 連 し て い る の で は な い か と考 え ら える。 次 に 孫 の 有 無 と「 孫 が い る だ け で こころ が 安 定 し て い る 二 ととの 関 連 で は, 孫 が い る 前 期 高 齢 者 は, 孫 の い な い 前 期 高 齢 者 に 比 べ て ,「孫 が い る だ け で こころ が 安 定 し て い る」と考 え て い る場 合 が 有 意 に 多 い ことが わ か っ た。 ま た , 孫 の 有 無 と「 自 分 の 命 が 孫 へ とつ な が っ て い くことをうれ しく 思 う」こ ととの 関 連 で は, 孫 が い る 前 期 高 齢 者 は, 孫 の い な い 前 期 高 齢 者 に 比 べ て ,「自 分 の 命 が 孫 へ とつ な が っ て い くことを うれ し く思 う」と考 え て い る 場 合 が 有 意 に 多 い ことが わ か っ た。 こ のこ とか ら, 孫 の 存 在 が「 人 生 全 体 の 満 足 感」 , 「 老 い に つ い て の 評 価」 ,「心 理 的 安 定」 に 関 連 し, 生 活 満 足 度 が 高 くな っ て い る の で は な い か と考 えら れ る。 以 上 の ことか ら, 孫 の 存 在 が「 信 頼 性」 や「 世 代 性」 ,「統 合 哇」 の 獲 得 に 関 連 し, そ れ が 生 活 満 足 度 を 高 め ること に なり 心 理 的 we1卜being が 維 持 さ れ る の で は な い か と 考 え ら れ る。 孫 が い な い 前 期 高 齢 者 の 孫 に 対 す る 思 い 孫 が い な い 前 期 高 齢 者 に 対 す る に の 先, 孫 を 持 ち た い と 思 い ま す か」 とい う質 問 に つ い て の 回 答 で は ,「は い」 と回 答 し た 前 期 高 齢 者 の 世 代 性 得 点 が 有 意 に 高 く, 孫 を 持 っ て 次 世 代 を 育 成 す ること に 関 心 か お る, ま た は 育 成 し た い と考 え て い る 可 能 性 の あ るこ とが 示 唆 さ れ た 。 に の 先, 孫 を 持 て な い と考 え るとど う思 い ます か」 とい う質 問 や ,に の 先, 孫 を 持 て な かっ た ら不 幸 だ と 思 い ま す か」 と い う質 問 へ の 回 答 は ネガ テ ィブ な 回 答 ば か りで なく,む しろ ポ ジ テ ィブ な 回 答 が 多 か っ た。 そ れ は, 本 研 究 の 対 象 者 が 通 信 制 大 学 や 老 人 大 学 とい うような ,自 発 的 な 学 び の「 場」 を 確 保し 自 己 研 鑚 を 積 み 自 己 実 現 へ の 道 を 歩 ん で い ること と関 連 し て い る の で は な い か と考 え られ る。 性 別 に よ る 発 達 課 題 達 成 や 生 活 満 足 度 性 別 に よる 各 尺 度 得 点 の 比 較 で は, 世 代 性 得 点 は 男 性 の 方 が 女 性 よりも 有 意 に 得 点 が 高 か っ た。 こ の ことか ら, 男 性 の 方 が「 世 代 性」 が 獲 得 さ れ や す い 可 能 性 が 示 唆 さ れ た。 一 般 的 に 前 期 高 齢 者 の 男 性 は 女 性 より長 期 に 渡 り就 労 をし て き た た め, 仕 事 関 係 で の 他 者 との 接 触 が 多 か っ た と考 え られ る。 そ の た め, 男 性 の 方 が 女 性 より物 事 の 創 造 今 次 世 代 の 育 成 に 接 す る 機 会 が 多 くあ り,ま た, そ の ことが 世 代 の 継 承 に 関し て 今 後 も 興 味 を 持 つ 要 因 とな る の で は な い か と考 え られ る 。 次 に 前 期 高 齢 者 の 生 活 満 足 度 を ど の 程 度 予 想し うる か を 検 討 し た とこ ろ, 男 性, 女 性 い ず れ に お い ても 信 价 哇 得 点 に 有 意 な 正 の 効 果 が み ら れ た ことか ら, 基 本 的 信 頼 感 に つ い て の 重 要 性 が 改 め て 示 唆 さ れ た とい え よう。一 方, 主 観 的 健 康 度 と精 神 的 健 康 度 に 有 意 な 正 の 効 果 が 男 性 の み に 認 め ら れ た。 本 研 究 の 対 象 の 前 期 高 齢 者 の 男 性 は , 仕 事 の 退 職 後 に お い ても, 主 観 的 健 康 や 精 神 的 健 康 が 維 持 さ れ て い ることや, あ るい は そ の 両 方 が 維 持 さ れ て い るこ とが, 生 活 満 足 度 に 関 連 し て い ると考 え ら れ る。 そ の た め , 自 分 に は ま だ 仕 事 を す る 余 力 が あ ると考 え て い る 可 能 性 か お る。 前 期 高 齢 者 へ の 支 援 前 期 高 齢 者 の 心 理 的well-being を 維 持, 増 進 さ せ る た め に は, 心 理 的well-being の 指 標 で あ る 生 活 満 足 度 を 高 め る 必 要 か おる。 そ の た め に は ,「信 頼 性」 や「 世 代 性」 ,「統 合 性」 とい っ た 発 達 課 題 を 維 持 あ る い は 達 成 す ることが 必 要 で あ る。 孫 の 存 在 に か か わら ず 次 世 代 と交 流し, 信 頼 関 係 に あ る 人 に 自 分 自 身 の 経 験 を 語 ること が ,自 分 自 身 を 振 り 返 り人 生 を 統 合し て い くこと に つ な が る。 そ の た め ,思 い 出 を 他 者 に「 語 る」こと は 良 好 な ことで あ る の で は な い か と考 え ら れ る。 エ リクソン ら(1988) は ,「ライフ サ イ クル は, 次 の 世 代 へ 散 開 し て い くとい うだ け で なく, そ れ 以 上 の ことを す る。 そ れ は, 一 人 の 人 間 の 人 生 の 上 で U タ ー ンし, 今 ま で 通 っ て き た 人 生 段 階 を 新 し い 形 で そ の 人 にも う一 度 経 験 さ せ る。 隠 喩 とし て 嘘 っ ぽく 聞こ え な い の で あ れ ば, 死 に 向 か っ て 成 長 す ることだ, と表 現 で き る の か もし れ な い」 と 述 べ て い る。 過 去 を 語 るこ とに より,自 分 の 人 生 を 再 体 験, 再 吟 味 す るこ と に な る。 そ の た め ,中 村 ら(2008) が 示 唆 す るように 最 後 の 発 達 課 題 で あ る 統 合 へ 到 達 す ることが 可 能 とな る の で あ ろ う。 今 後 の 課 題 さまざ まな 家 族 の 形 態 か お る 現 在 に お い て, 祖 父 母 と 孫 との 関 係 性 も ま た 多 様 で あ る。 本 研 究 で は, 孫 の 存 在 や 精 神 的 健 康 の 意 義 が 示 さ れ た が, 孫 が い る 場 合 で あ っ ても , 特 に 孫 育 児 へ 参 加 し て い る 祖 父 母 は 精 神 的 に よ い 影 響 と 悪 い 影 響 の 両 方 を 受 け て い るこ とが 指 摘 さ れ て い る( 小 松 ら, 2010) 。今 後, 親 を 含 め た 三 者 関 係 の な か で 祖 父 母 と 孫 との 関 係 性 を 位 置 付 け, 分 析 し て い くことも 必 要 で あ ろ う。 そ の 上 で, 孫 の 存 在 が「 信 頼 性」 や「 世 代 性」 ,「統 合 哇」 を 高 め るこ とや, 孫 以 外 の「 子 育 て 支 援」 活 動 の 係 りを 経 験 す ることが 心 理 的well-being の 維 持, 増 進 へ つ な が る とい う因 果 関 係 を 検 討 す る 必 要 か お る。 そ の 際, 孫 以 外 の「 子 育 て 支 援」 活 動 の 活 動 内 容 を 吟 味し, ど の ような 活 動 が ど の よう に 心 理 的well-being の 維 持, 増 進 へ つ な がる の か に つ い て も 検 討 す る必 要 か おる。
また, 本 研 究 にお ける調 査 対 象 者 は 通 信 制 大 学 や 老 人
大 学 で 学 ぶ 高 齢 者 で あっ た ため ,充 実した 自分 の時 間 を
持 ち ,自 己 実 現 へ の道 を 歩 んで い る精 神 的 な健 康 度 の 高
い 前 期 高齢 者 が 多 かっ た。 そ のた め, 今 後 は さまざ まな 活
動 状 況 の 前 期 高 齢 者 につ い ての検 討 が必 要 である。
「 世 ㈹ 哇」に つ い て は就 労 経 験 が 影 響 してい ると考 えら
れるが, 本 研 究 で は, そ の 関 連 に つ いて 検 討 を行っ ていな
い。 今 後 はそ のことにつ い ての 検討 も必 要であろう。
さらに 高 齢 者 の 各 段 階 に お い て継 続 的 な連 綿 たる支
援 を行うという視 点 心重 要 であると考 えられ, 今 後 は後 期 高
齢 者 に つ い ても検 討 を行 い, 前 期 高 齢 者と比 較, 検 討 して
いくことも課 題 である。
文 献 上 里 一 郎(2001): 心 理 アセ スメントハンドブ ック第2 版 西 村 書 店.Cheng, S.T. (2009):Generativity in later life: Perceived
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Relationship between achievement of developmental tasks and
psychological well-being in the young-old
Kyoko YAMAGUCHI and Yumiko OKUMURA
AbstractThis study examined developmental tasks of the young-old (N= 153) participating in social activities, in
relation to having grandchildren and involvement in child-care support activities. Moreover, the relationship
with feelings about grandchildren was eχamined in those without grandchildren. Furthermore, correlations
between achievement of generativity and integrity and mental health, as well as s eχ differences in factors
that affect life satisfaction, which is an inde χ of psychological well-being, were examined. The results
indicated that having grandchildren, involvement in child-care support activities, and discussing memories
with grandchildren were related to the achievement of trust, generativity, and integrity. In people without
grandchildren, the generativity of those that wanted to have grandchildren in the future was higher than those
that did not. Higher generativity, and integrity scores were related to better mental health. The trust score
had a positive effect on life satisfaction in both seχes. 0n the other hand, the degree of subjective and objective
mental health had a positive effect on life satisfaction in males. It is suggested that obtaining a sense of basic
trust is important and that there are gender differences in factors affecting life satisfaction. The above results
indicate the importance of achieving and maintaining developmental tasks, such as trust, generativity, and
integrity in order to preserve and improve psychological well-being in the young-old.