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メガネ型ウェアラブル端末を用いたフリック操作補助に関する研究

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2017年度 卒 業 論 文

メガネ型ウェアラブル端末を用いた

フリック操作補助に関する研究

指導教員:渡辺 大地 准教授

メディア学部 ゲームサイエンス プロジェクト

学籍番号 

M0114051

市原 拓馬

2018

3

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2017年度 卒 業 論 文 概 要 論文題目

メガネ型ウェアラブル端末を用いた

フリック操作補助に関する研究

メディア学部 氏 指導 学籍番号 : M0114051 名 市原 拓馬 教員 渡辺 大地 准教授 キーワード メガネ型ウェアラブル端末、 フリック操作、 視線計測、 スマートフォン、 JINSMEME 近年携帯情報端末スマートフォンという通信機器が急速に広まっている。総務省は2016年 のスマートフォン利用率が各年代加重平均で60.2%であると発表した。しかし、スマートフォ ンを長時間使用することは目の疲れや肩こり、親指の腱鞘が炎症を起こす狭窄性腱鞘炎や、ス マートフォンの重みで小指が変形するテキスト損傷など、様々な弊害の原因となり問題となっ ている。本研究ではそれらの弊害のうちの一つである狭窄性腱鞘炎に着目した。親指を酷使す るフリック操作は文字入力の際にもっとも多く用いられるものであり、視線計測で文字入力を 行うことで狭窄性腱鞘炎へのリスクの軽減を改善できると考えた。先行研究においても視線計 測によって端末を操作する方法は多く研究されている。本研究では、それらの研究において視 線計測による端末操作を実装していても、従来の指による操作方法との比較が行われていない ことに着目した。それを踏まえ本研究ではウェアラブル端末であるJINS MEMEを用いて視 線の上下左右運動とまばたきを検知し、簡単な文字入力を視線計測で行う手法を提案し、この 手法と従来の操作方法を比較することで視線計測による操作方法が従来の操作方法と比べてど のように差異が存在するのかを計測することを目的とした。本研究で提案した実験手法と従来 の指を用いて操作する方法の両方で文字入力を行うアプリケーションをそれぞれ開発し、比較 実験とそれに伴うアンケート調査を行った。その結果、本研究の実験手法で行った視線計測に よる操作方法は従来の操作方法と比べて誤操作の頻度が多く、操作難易度が高く、目に強い負 担をかけ、操作に強い疲労を感じる事が判明した。

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目 次

第1章 はじめに 1 第2章 視線計測による文字入力 6 2.1 フリック操作 . . . 6 2.2 JINSMEME . . . 7 2.2.1 眼電位センサ . . . 8 2.3 実験手法の概要 . . . 8 2.3.1 文字カテゴリを視線の上下運動で選択 . . . 9 2.3.2 目的の文字を視線の左右運動で選択 . . . 10 2.3.3 まばたきによって文字入力を決定 . . . 11 2.4 実験用のアプリケーション開発 . . . 12 第3章 評価と分析 14 3.1 評価 . . . 14 3.1.1 比較実験の評価方法 . . . 14 3.1.2 アンケート調査 . . . 15 3.2 分析 . . . 16 3.2.1 比較実験の結果 . . . 16 3.2.2 アンケート調査の結果 . . . 19 3.2.3 考察 . . . 23 第4章 まとめ 24 謝辞 26 参考文献 27

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図 目 次

1.1 真鍋ら「ヘッドホン型を用いたEOG法による視線入力インターフェース」 . . . 3 1.2 提案手法を用いたアプリケーションのレイアウト図 . . . 4 2.1 ウェアラブル端末 JINSMEME . . . 7 2.2 文字カテゴリの選択 . . . 10 2.3 文字の選択 . . . 11 2.4 まばたきによる文字入力 . . . 12 2.5 各操作方法を行うためのアプリケーションの実行画面 . . . 13 3.1 実験時間の平均、比較 . . . 18 3.2 合計フリック数の平均、比較 . . . 18 3.3 操作による疲労を感じたか . . . 22 3.4 疲労を感じた部位はどこか(複数回答) . . . 22 3.5 最も疲労を感じた部位はどこか . . . 22 3.6 どちらの操作方法がより疲労を感じたか . . . 23

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1

はじめに

近年急速に広まった携帯情報端末、通称スマートフォンは初登場から急速に普及しており、総 務省[1]の調査では2015年の世帯普及率は72.0%となっている。これは同年のパソコンや固定 電話といった一般的な情報通信機器の普及率と遜色の無い数値であり、情報通信機器としてかな り生活に密着していると言える。また、総務省は2016年のスマートフォン利用率が各年代加重平 均で60.2%であると発表した[2]。 しかし、普及とともに長時間の使用によって肩こりや目の疲れなどの様々な弊害の原因となる ことが判明した。それらの弊害はスマホ症候群などといった総称でメディアで取り上げられるよ うになった[3]。これらの症状はパソコンが普及した頃から話題に上がっていたものもあれば、ス マートフォンの台頭により新たに注目されはじめたものも存在する。以下にスマホ症候群と呼ば れる症状を示す[4]。 目の疲れ(眼精疲労) ストレートネックによる肩こり 猫背による内巻き肩

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上腕骨外側上顆炎 狭窄症腱鞘炎(ドケルバン病) テキストサム損傷 • VDT症候群 うつ症状 この内、本研究では狭窄症腱鞘炎(ドケルバン病)について着目した。狭窄症腱鞘炎(ドケル バン病)とは1895年にスイスの外科医であるde Quervainが最初に報告した病気であり、短母 指伸筋腱と長母指外転筋が手首の背側にある腱鞘を通るところに生じる腱鞘炎である[5][6]。症状 としては手首の母指側(以下本論文では母指を親指と呼称)にある腱鞘と、そこを通過する腱に 炎症が起こった状態であり、腱鞘の部分で腱の動きがスムーズでなくなり、手首の親指側が痛み 腫れる。その際、動かすとその場所に強い疼痛が走る。原因として親指の使い過ぎによる負荷の ため、スポーツや指をよく使う職種の人などに多いのが特徴である。また、高齢者や更年期の人、 ホルモンバランスの崩れやすい産後の女性などでも多く見られる。近年ではパソコンやスマート フォンの普及により年齢や性別に関係なく症状が起き、知名度が増した。栗原ら[7]は母指負荷 の検討を行い、スワイプ操作の向きから負荷を調査した。この事からスマートフォン上で親指を 使って操作を行うことは親指に負担をかける事を確認している。よって、本研究では親指を操作 に使わず、視線によって親指の代わりに文字入力を行うことで、狭窄性腱鞘炎となるリスクを軽 減することが出来ると考えた。 視線計測を用いたデバイス操作の研究は多く存在する。Krafkaら[8]がGazeCaptureと呼ば れる大規模データセットを用いて視線追跡のための畳み込みニュートラルネットワークに学習さ せることで、センサーやデバイスを追加する事なくモバイルデバイスでの視線計測を行った。真 鍋[9]はヘッドホン型のデバイスを用いることによって視線計測を行い、音楽プレーヤを視線に

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よって操作した。阿部ら[10]は画像解析による視線計測を用いた視線入力プラットフォームで重 度肢体不自由者向けコンピュータ操作支援システムの提案を行い、鈴木ら[11]は視線による入力 とキーボード操作を複合することで、画面上にテキストエリアが複数存在するアプリケーション において、文字入力に要する時間を短縮した。図1.1は真鍋ら[12]の研究により作成されたヘッ ドホン型の視線入力のためのデバイスである。 図1.1 真鍋ら「ヘッドホン型を用いたEOG法による視線入力インターフェース」 以上の先行研究では視線計測をソフトウェアやデバイスによって行い、端末を操作することに 成功している。しかし、これらの先行研究では視線計測による端末操作の実装を行っても、従来の 指による操作方法との比較が行われてない。そこで、本研究では視線計測による操作方法を提案 し、従来の操作方法と比較を行うことを研究目的とした。比較を行うための実験手法として、簡 易的な文字入力を視線によって行う手法を提案した。これは上下左右の強い視線移動とまばたき を検知する事で操作を行う手法である。手法を実装したアプリケーションを開始すると、画面上 に文字列が縦に3列並び、横に5文字ずつ文字が並ぶ。画面中央には現在選択している文字の表 示を行い、中央文字列の下部に入力フォームを表示する。次の図 は本研究の提案手法を用い

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たアプリケーションのレイアウト図である。 図1.2 提案手法を用いたアプリケーションのレイアウト図 本研究の実験手法では漢字変換などの文字変換入力は想定していない。 実験手法を実現するアプリケーションの開発をAndroidStudio[13]上で行い、従来の操作方法 との差異を検証すべく比較実験とアンケート調査を行った。その為、視線計測を行わない従来の 指による操作が行えるアプリケーションも比較実験のために開発した。携帯情報端末の実機を用 いたアプリケーションの比較実験では誤操作の頻度と操作難度を調査するために実験中の操作時 間と、フリック操作の入力方向、そして入力回数のデータを収集した。実験後にアンケートによ る調査も行った。本論文では、視線計測を用いてフリック操作を行う手法を本研究の実験手法と 呼び、親指などの指を用いてフリック操作を行う操作方法を従来の操作方法と呼称する。

(9)

実験結果として得られたデータを分析した結果、本研究における視線計測による操作方法は従 来の操作方法と比べ、誤操作の頻度が多く、操作難易度が高く、目に強い負担をかけ、操作に強い 疲労を感じる事が判明した。 本論文は全4章で構成する。第2章では提案する実験手法の概要や使用機器について述べる。 第3章では比較実験とアンケート調査による検証とその結果、考察について述べ、最後に第4章 にてまとめを述べる。

(10)

2

視線計測による文字入力

狭窄症腱鞘炎の原因である親指への負担をかける動作は、スマートフォン上の操作で言えばフ リック操作によるものがもっとも多いと考えた。この仮定に基づき、本研究では視線計測を利用 してフリック操作による文字入力を擬似的に行う手法を提案する。この手法では親指による操作 を行わないので、従来のフリック操作による文字入力に比べて親指への負担を軽減し、狭窄症腱 鞘炎となるリスクを軽減可能であると考えた。以上の事を踏まえた上で、従来の操作方法と比較 を行う為に提案、作成されたのが本研究における実験手法である。 この章では、初めに携帯情報端末におけるフリック操作という操作方法について説明を行い、次 に使用するウェアラブル機器であるJINS MEMEについて説明を行う。その後、手法の概要を説 明、最後に本研究で実験手法を実装するアプリケーションの開発環境を説明する。

2.1

フリック操作

フリック操作、又はフリックとは携帯情報端末のタッチパネル上を指で押した後、弾くように 動かす操作方法である。この操作を行う主な場面は文字を入力する場面であり、瞬時に目的の文 字列を入力することが可能となる。

(11)

2015年に株式会社ジャストシステムが行った調査[14]によると、携帯情報端末利用者のうちお

よそ46%がフリック入力を使用し、世代別では15歳∼19歳が最も多い63%、もっとも少ない

使用率の世代は30代の約40%となった。

2.2

JINSMEME

JINS MEME[15]とは、ジェイアイエヌ社から2015年11月5日に発売されたBtoC向けのメ

ガネ型ウェアラブル端末である。一般的な眼鏡と変わらないデザインでありながら、3点式眼電位

センサや6軸モーションセンサを搭載している。各センサの位置を図2.1に示す。

図2.1 ウェアラブル端末 JINSMEME

携帯情報端末との接続は、Bluetoothを用いた無線通信で行う。JINS MEMEで用いられてい

(12)

Bluetoothワイヤレス技術である。本研究では、一般に販売されているJINS MEME(ES版)を 使用し、3点式眼電位センサから得られる値を利用して、手法における操作手段とした。

2.2.1

眼電位センサ

一般に人の眼球は、角膜側に正の電位、網膜側に負の電位を帯びている。この正の電位を持 つ眼球の角膜側が視線のやまばたきの際に動く事で、周辺の皮膚の電位に変化が生じる。JINS MEMEの3点式眼電位センサ [17]はこの変化を計測し、視線の移動やまばたきを検出する事が 可能なセンサである。 JINS MEMEの3式眼電位センサを使用しての視線方向の取得については薄井ら[18]の調査 によってある程度視線方向の検出が可能なことが実証済みである。この研究ではアカデミック

契約でのみ利用可能なJINS MEME ACADEMIC 版を用いており、眼電位センサからのRAW

データを独自API によって取得している。本研究で使用するES版ではセンサからのデータを JINS MEMEの独自アルゴリズムによって推定した5段階の数値指標を出力し、視線計測の精度 はACADEMIC版より落ちる。また、小川ら[19]の研究ではSamanthaら[20]のアルゴリズム を参考にした瞬目判定アルゴリズムを実装しているが、ES版ではセンサからのRAWデータを受 け取ることが出来ない為、瞬きの検知精度もまた、ACADEMIC版より落ちる。

2.3

実験手法の概要

本研究では2.2で述べたJINSMEMEを使用して携帯情報端末上でのフリック操作による文字 入力の代替を視線計測で行う手法を提案する。その手順として、JINS MEMEと携帯情報端末を 接続した後の順序を以下に示す。 1. 文字カテゴリを視線の上下運動で選択 目的の文字を視線の左右運動で選択

(13)

3. まばたきによって文字入力を決定 ユーザーははじめに、目的の文字が属するカテゴリの文字列を視線の上下移動で選択する。こ の時、視線の上下に合わせて文字列が上下に移動する。次に、目的の文字が画面中央に来るように 視線の左右移動で選択する。この時、視線の左右に合わせて文字が左右に移動する。最後に、シ ステムが目的の文字を画面中央に表示していることを確認した後、まばたきを行う。これで画面 中央に表示した文字が入力フォームに書き込まれる。以降は目的の文字列を入力するまで手順を

繰り返す。JINS MEMEと携帯情報端末はBlueToothによる無線通信によってアプリケーショ

ン内で接続を行う。2.3.1項∼2.3.3項ではそれぞれの手順についての詳細な説明を述べる。

2.3.1

文字カテゴリを視線の上下運動で選択

本論文中で文字カテゴリ、又はカテゴリと称した場合、それは横一列に並んだ5つの文字列の 事を指し示す。画面上にカテゴリ毎に文字を1列に表示し、その列を画面内に3列並べる。目的 の文字がカテゴリ内にあれば次の手順へ、そうでない場合は視線を上下に移動させることでカテ ゴリを上下に移動させる。画面中央に表示されている文字カテゴリが現在選択されているもので ある。上下に表示しているものはそれぞれ上下に視線移動することで選択することの出来る文字 カテゴリである。3種類以上の文字カテゴリを設定する場合、上下 2列目以降のカテゴリはその 前のカテゴリが選択されるまで画面上に表示しない。これは視線移動を操作に使用する為、文字 カテゴリの認識のために視線を無闇に移動しない為である。この操作を指による入力で代替する 場合、文字カテゴリを縦にフリックすることによって文字列を移動し、対象を選ぶ形となる。以 下の図2.2はこの手順を図に表したものである。

(14)

図2.2 文字カテゴリの選択

2.3.2

目的の文字を視線の左右運動で選択

目的の文字カテゴリ内から目的の文字を選択する。選択している文字を画面中央に表示する。 視線を左右に移動することで文字を左右に移動することが可能である。画面中央に選択している 文字を表示し、左右に二文字ずつ中央より小さいサイズの文字を表示する。左右3文字以上の文 字はその前の文字が移動するまで画面上に表示しない。これは2.3.2項と同じく、視線移動を操作 に使用する為、文字の認識のために視線移動を無闇にさせない為である。この操作を指による入 力で代替する場合、文字列を横にフリックすることによって移動し、対象を選ぶ形となる。以下 の図2.3はこの手順を図に表したものである。

(15)

図2.3 文字の選択

2.3.3

まばたきによって文字入力を決定

まばたきを行うことで目的の文字を文字入力フォームに入力する。本研究の実験手法では変換 による漢字入力は考えておらず、以下の文字列を対象としている。 ひらがな カタカナ アルファベット 大文字のみ入力可能。 記号

(16)

この操作を指による入力で代替する場合、画面内のあらゆる場所をタップすることで中央の文

字を入力フォームに送信する形となる。以下の図2.4はこの手順を図に表したものである。

図2.4 まばたきによる文字入力

2.4

実験用のアプリケーション開発

本研究では実験手法を実装する為に、プログラミング言語であるJavaを用いてアプリケーショ

ンを開発した。また、統合開発環境として、Android Studioを使用し、JINS MEMEのデータを

取得するためにJINS MEME DEVELOPER SUPPORTよりJINS MEME SDKを利用した。

さらに、アプリケーションを実行する為の携帯情報端末として、Android5.1バージョンの携帯情

(17)

プリケーションも開発した。これは研究目的を達成するための比較実験に用いるためのものであ

る。以下の図2.5は左からそれぞれ実験手法を行うアプリケーション、従来の操作方法を行うア

プリケーションの実行画面である。

(18)

3

評価と分析

この章では第2章で述べた実験手法を用いて評価、分析を行う。評価方法として、実験手法と 従来の操作方法との比較実験を行いデータを収集、その後のアンケート調査で疲労についての調 査を行った。分析では集計したデータをグラフ化し、考察を行った。

3.1

評価

本研究で提案した手法を用いる事で、視線計測による操作方法を評価した。本研究の実験手法 を用いたアプリケーションを開発し、実際に本研究の実験手法をアプリケーション上で行い評価 する。本研究の実験手法である視線計測による操作と、従来の操作方法である指による操作を行 う事の可能な二種類のアプリケーションを開発し、それぞれを比較する実験を行う事で本研究の 実験手法が従来の操作方法とどのような差異が存在するのかを検証した。

3.1.1

比較実験の評価方法

評価の為の調査は比較実験によるデータ収集とその後のアンケート調査の二通りで行う。収集 するデータは以下の通りである。

(19)

フリックした方向 フリックした回数 フリック方向と回数は同時に収集し、データ化した後に集計する。 実験完了まで時間 単位は秒とする。 実験の前に被験者には本研究についての説明と、実験についての口頭による説明を行う。その 後、アプリケーション上での操作を確認するために各実験の前に練習を行う。練習中は自由に文 字を入力可能である。十分に練習が出来たと被験者に確認が取れ次第、アプリケーションの再起 動を行い、実験の開始指示を行う。実験では2種類の文字列を順に入力する。文字列は「うえお」、 「#Cウ」の2種類である。文字列は最初から画面の入力フォームに表示し、入力された順に文 字色を青に変更する。画面内のテストボタンをタップした時点で実験が開始、時間計測が始まる。 入力文字以外の文字は入力しても入力フォームに反映されない。フリックが行われる度にフリッ ク方向をCSVファイルに書き込む。全ての文字列の入力が終わった時点で時間計測を終了し、経 過時間をCSVファイルに書き込む。

3.1.2

アンケート調査

まず初めに、操作に疲労を感じたかどうかを4段階評価で評価する。次に体のどの部位に疲労 を感じたかを以下の5項目の中から複数選択して評価する。 手全体 親指

(20)

その他 この際、その他を選んだ場合はどの部位に疲労を感じたのかを記述文で記入する。次に、最も 疲労した部位を記述文で記入する。以上の質問を両方の操作方法で行った後に、どちらの操作方 法がより疲労を感じたかを調査する。最後に感想などを記入するための自由記入欄に記述文で記 入し、終了となる。その他の部位の記入欄と自由記入欄の2つの質問のみ、回答を行わずにアン ケートを終える事が可能である。このアンケートは従来の操作方法と本研究の実験手法のそれぞ れで調査する。実験の手順として、まず実験についての説明を行い、その後比較実験を従来の操 作方法、実験手法の順に行う。実験終了後にアンケートを行い、集計したデータとアンケート結 果を分析してまとめた。アンケート調査のアンケート作成にはGoogleformを利用した。

3.2

分析

比較実験、アンケート調査は20代,50代の男女14名を対象に行った。実験には2.4節で掲示し たスマートフォンを用いてアプリケーションを実行した。

3.2.1

比較実験の結果

表3.1と表3.2は比較実験の結果をそれぞれの操作方法毎に表にまとめたものである。図3.1、 は表3.1と表3.2内の実験時間、図3.2は合計フリック回数それぞれの平均値のグラフと、各被験 者毎のデータを操作方法毎に比較したグラフをまとめた図である。

(21)

表3.1 比較実験の結果(従来の操作方法) 被験者 年齢 性別 右方向 左方向 上方向 下方向 秒数 合計フリック数 1 22 男 0 2 0 3 6 5 2 22 男 0 2 2 5 10 9 3 22 男 39 15 5 4 31 63 4 22 男 2 4 2 5 17 13 5 57 女 1 5 2 3 27 11 6 22 男 0 2 3 0 8 5 7 22 男 0 2 3 0 8 5 8 22 男 0 2 4 1 13 7 9 22 男 0 2 3 0 10 5 10 21 男 0 2 3 0 15 5 11 21 男 0 2 3 0 7 5 12 21 女 0 2 3 0 8 5 13 22 男 0 2 2 3 10 7 14 22 男 0 2 3 0 9 5 表3.2 比較実験の結果(実験手法) 被験者 年齢 性別 右方向 左方向 上方向 下方向 秒数 合計フリック数 1 22 男 7 9 16 4 63 36 2 22 男 30 34 82 41 534 187 3 22 男 6 14 17 0 73 37 4 22 男 28 35 5 4 171 72 5 57 女 10 12 11 47 198 80 6 22 男 2 6 3 0 26 11 7 22 男 6 8 7 8 81 29 8 22 男 5 8 4 5 54 22 9 22 男 12 14 4 5 56 35 10 21 男 60 58 13 30 253 161 11 21 男 43 49 14 23 199 129 12 21 女 22 25 8 5 97 60 13 22 男 53 54 25 26 331 158 14 22 男 0 3 11 36 117 50

(22)

図3.1 実験時間の平均、比較 図3.2 合計フリック数の平均、比較 傾向として、従来の操作方法に比べて実験手法はフリック数が大幅に増え、実験時間も大幅に 増えた。また、実験手法の合計フリック数の比較において、一部の被験者の結果が突出している が、これは実験の様子より実験手法を用いた文字入力に対して特別不得手だったということであ り、実験手法は従来の操作方法と比べると個人的な得手不得手によって大きな差が出やすいこと であると考察した。これらの結果から実験手法による視線計測による操作方法は従来の操作方法 に比べて誤操作の頻度が高く、操作難度が高いということが判明したということになる。

(23)

3.2.2

アンケート調査の結果

表3.3、表3.4、表3.5はアンケート調査の結果を操作方法と共通の問毎に表にまとめたもので ある。図3.3はそれぞれの手法による疲労の感じ方を集計した数値のグラフである。図3.4はそ れぞれの手法によって疲労を感じた体の部位を集計した数値のグラフである。このアンケートの み複数回答が可能となっていた。図3.5はそれぞれの手法によって疲労をもっとも感じた体の部 位を集計した数値のグラフである。図3.6はそれぞれの手法を比べた時、より操作に疲労を感じ た操作方法はどちらかというアンケートを集計した数値のグラフである。 表3.3 アンケート調査の結果(従来の操作方法) 被験者 年齢 性別 操作による疲労 疲労を感じた部位 最も疲労を感じた部位 1 22 男 あまり感じなかった 親指 指 2 22 男 感じなかった 親指 親指 3 22 男 あまり感じなかった 親指 手 4 22 男 感じなかった 無し 無し 5 57 女 あまり感じなかった 無し 無し 6 22 男 あまり感じなかった 手全体 手 7 22 男 感じなかった 疲労を感じなかった 疲労を感じなかった 8 22 男 あまり感じなかった 親指 親指 9 22 男 あまり感じなかった 特に感じなかった 特に感じなかった 10 21 男 あまり感じなかった 親指、腕 指あたり1 11 21 男 感じなかった ない ない 12 21 女 あまり感じなかった 手首 手首 13 22 男 感じなかった 親指 親指の付け根 14 22 男 感じた 目 目

(24)

表3.4 アンケート調査の結果(実験手法) 被験者 年齢 性別 操作による疲労 疲労を感じた部位 最も疲労を感じた部位 1 22 男 強く感じた 目 目 2 22 男 強く感じた 目 目 3 22 男 強く感じた 目 目 4 22 男 強く感じた 目 目全体 5 57 女 強く感じた 目 目 6 22 男 感じた 目 目 7 22 男 感じた 目 目 8 22 男 感じた 目 眼球 9 22 男 あまり感じなかった ないです ないです 10 21 男 強く感じた 手全体、腕、目 目元 11 21 男 強く感じた 目 眼玉 12 21 女 感じた 目 目 13 22 男 強く感じた 目 目 14 22 男 強く感じた 目 目

(25)

表3.5 アンケート調査の結果(共通) 被験者 年齢 性別 より疲労を感じた操作方法 感想 1 22 男 実験手法 無し 2 22 男 実験手法 無し 3 22 男 実験手法 無し 4 22 男 実験手法 上下移動が難しい 5 57 女 実験手法 動かした方に画面が移動しなかっ た 6 22 男 実験手法 瞬きをしないようにするのが大変 だった 7 22 男 実験手法 上下がものすごく操作しづらい 8 22 男 実験手法 視線操作の手法は、慣れてくれば フリック操作と同じくらいには楽 になるのではないかと感じました。 9 22 男 実験手法 差はあまり感じなかったが操作性 と正確性の問題で従来のフリック 操作の方が操作はしやすく感じた 10 21 男 実験手法 視線操作はうまく反応しないこと や、逆に入ることが多々あり難し い 11 21 男 実験手法 眼球が大変疲れましたが、慣れて くると楽しめました 12 21 女 実験手法 無し 13 22 男 実験手法 コツを掴むまで結構時間がかかり、 ストレスも感じた 14 22 男 実験手法 メガネの感度を調節したほうがい い

(26)

図3.3 操作による疲労を感じたか

図3.4 疲労を感じた部位はどこか(複数回答)

(27)

図3.6 どちらの操作方法がより疲労を感じたか 傾向として従来の操作方法では親指が疲労しやすく、実験手法では目が疲労しやすいという結 果となった。また、従来の操作方法では操作による疲労をあまり感じないと述べる意見が多かっ たが、実験手法では疲労を強く感じたと述べる意見が多かった。これは、実験手法での視線計測 による操作方法は従来の操作方法に比べて操作に強い疲労を感じさせ、目に強い負担をかけると いうことが判明したということになる。

3.2.3

考察

比較実験とアンケート調査の結果を受け、本研究で提案した実験手法は従来の操作方法と比べ て誤操作の頻度が多く、操作難度が高く、操作に強い疲労を感じさせ、目に負担をかけやすいと いうことが判明した。目に対する大きな負担や、操作性については改善する必要があり、個人差 による得手不得手が操作速度に大きく影響することから、今後は操作方法をより洗練して考える 必要がある。また、操作性を向上させるためには使用機器であるJINS MEMEについてより深く

(28)

4

まとめ

本研究では視線計測による操作方法が従来の操作方法とどのような差異が存在するのか比較す るために、実験手法としてJINS MEMEの3式眼電位センサを用いた視線計測による文字入力操 作の手法を提案した。 本研究の実験手法と従来の操作方法の比較を行うために、視線計測によって提案手法を行うア プリケーションと、従来の指によって操作を行うアプリケーション二種類を開発し、比較実験と アンケート調査によってデータの収集と操作による疲労についての調査を行った。 比較実験とアンケート調査の結果、本研究における実験手法による視線計測の操作方法は従来 の操作方法と比べて、誤操作の頻度が多く、操作難易度が高く、目に強い負担をかけ、操作に強い 疲労を感じる事が判明した。 今後の課題として、第一に目に対する負担を軽減する必要があると考えられる。また、問題点 として、JINS MEMEで計測した場合、まばたきを行うと上下方向の視線移動に誤認識し、その 逆の場合も誤認識が生じた。さらに上下の視線移動は左右の視線移動に比べて検知が行い辛く、 結果として目で操作する際のストレスになる事が分かった。これらの不具合、仕様が視線計測に よる操作方法を行った際の誤操作の頻発や操作難度の引き上げを引き起こしていると考えられる。

(29)

以上の事から、目に対する負担を軽減しながら、視線計測や瞬きの検知の精度を向上させ、より 操作性を高めてストレス無く扱えるようにする事が必要であると考えられる。

(30)

謝辞

本研究を形に出来たのは、渡辺大地准教授と阿部雅樹実験助手のご指導と、三上浩司教授から の助言を頂けたからであると考えております。また、実験にご協力いただいた方々や、共に学ん だ渡辺研究室の皆様のおかげでもあると考えております。お世話になった方々へ心からの感謝の 気持ちと御礼を申し上げたく、謝辞にかえさせていただきます。

(31)

参考文献

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Scott. The electrooculogram and a new blink detection algorithm. Interim rept. 30 Oct

図 2.1 ウェアラブル端末 JINSMEME
図 2.2 文字カテゴリの選択 2.3.2 目的の文字を視線の左右運動で選択 目的の文字カテゴリ内から目的の文字を選択する。選択している文字を画面中央に表示する。 視線を左右に移動することで文字を左右に移動することが可能である。画面中央に選択している 文字を表示し、左右に二文字ずつ中央より小さいサイズの文字を表示する。左右 3 文字以上の文 字はその前の文字が移動するまで画面上に表示しない。これは 2.3.2 項と同じく、視線移動を操作 に使用する為、文字の認識のために視線移動を無闇にさせない為である。この
図 2.3 文字の選択 2.3.3 まばたきによって文字入力を決定 まばたきを行うことで目的の文字を文字入力フォームに入力する。本研究の実験手法では変換 による漢字入力は考えておらず、以下の文字列を対象としている。 • ひらがな • カタカナ • アルファベット 大文字のみ入力可能。 • 記号
図 2.4 まばたきによる文字入力
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