岡 山 医 誌 (1992) 104, 39-49
メ タ ク リ レー ト単量 体 注 入 とマ イ ク ロ ウ ェー ブ
プ ロセ ッサ ー 急 速 加 温 に よ る微 細 血 管 鋳 型 法
岡 山大学 医学 部 第二 解剖 学教 室(指 導:村 上 宅 郎教 授)
日 根
野
谷
仁
(平成3年10月22日 受 稿) Key words:マ イ ク ロ ウ ェ ー ブ プ ロ セ ッ サ ー,微 細 血 管 鋳 型 法,走 査 電 子 顕 微 鏡 緒 言 血 管,リ ンパ 管 な どの 内 腔 充 填 腐 触 標 本 す な わ ち鋳 型 標 本 を つ く り,こ れ を 走 査 型 電 子 顕 微 鏡 で 観 察 す る と,同 管 系 の 詳 細 で 立 体 的 な 配 置 を明 瞭 に 観 察 す る こ とが で き る1-3).こ の 鋳 型 走 査 電 顕 法 の た め に,現 在 多 くの 注 入 鋳 型 剤(ポ リエ ス テ ル 系 樹 脂,ラ テ ッ ク ス 系 ゴ ム 等)が 市 販 さ れ て い る4-7).し か し,私 達 は 実 験 室 で 調 製 で き る オ リ ジナ ル な 低 粘 度 半 重 合 メ チ ル メ タ ク リ レ ー ト樹 脂 を 注 入 鋳 型 剤 と し て 常 用 し て い る1-3).そ の 理 由 は,私 達 の 半 重 合 樹 脂 は 市 販 の 注 入 鋳 型 剤 よ り粘 度 が 低 く滑 らか で 注 入 しや す く,そ の 結 果 よ く注 入 され た 良 い鋳 型 標 本 が 得 ら れ る か ら で あ る8,9).一 方,私 達 の 研 究 グ ル ー プ の1人 で あ り鋳 型 走 査 電 顕 法 の 創 始 者 で も あ る村 上 の20数 年 前(1969年)の 未 発 表 実 験 記 録 の 中 に は,も っ と粘 度 の 低 い メ タ ク リ レー ト未 重 合 単 量 体(モ ノマ ー)を 触 媒 と共 に 単 独 注 入 し電 子 レ ン ジ で 急 速 加 温 す る と,時 々 走 査 電 子 顕 微 鏡 観 察 に耐 え る毛 細 血 管 あ る い は そ の 群 の 鋳 型 標 本 が え られ る と い う メ モ が あ る.本 研 究 で は こ の メ モ を も と に,最 近 組 織 の 迅 速 固 定 や 同 切 片 の 簡 易 染 色 の た め に 開 発 され 周 波 数 ・温 度 等 を適 当 に 調 節 で き る 電 子 レ ン ジ す な わ ち マ イ ク ロ ウ ェ ー ブ プ ロ セ ッサ ー を用 い て,メ タ ク リ レー ト単 量 体 注 入 に よ る 毛 細 血 管 の 鋳 型 標 本 作 製 に つ い て 検 討 す る. 材 料 と 方 法 メチ ル メ タ ク リレ ー ト単 量 体(未 重 合,ハ イ ドロ キ ノ ン 含 まず,片 山 化 学 工 業)に1.0%(W/ V)の 割 合 に 過 酸 化 ベ ン ゾ イ ル(触 媒,片 山 化 学 工 業),さ ら に1.0%(V/V)の 割 合 にN, N-ジ メ チ ル ア ニ リ ン(促 進 剤,片 山化 学 工 業)を 加 え て,注 入 鋳 型 液Aを 調 製 し た.一 方,メ チ ル メ タ ク リレ ー ト単 量 体 とハ イ ドロ キ シ プ ロ ピ ル メ タ ク リ レ ー ト単 量 体(未 重 合,ハ イ ドロ キ ノ ン 含 ま ず,片 山 化 学 工 業)を4対1の 割 合 に 混 ぜ,こ れ に上 記 と 同 じ よ う に 過 酸 化 ベ ン ゾ イ ル とN, N-ジ メ チ ル ア ニ リン を そ れ ぞ れ1%の 割 合 に 加 え て,注 入 液Bを 調 製 し た.こ れ ら のA, B各 注 入 鋳 型 液 は い ず れ も使 用(注 入)直 前 に 調 製 し た. 体 重300∼400gの 成 体 雄 性 ラ ッ ト を エ ー テ ル 麻 酔 下 に 開 胸 し,右 心 房 を 切 開 し た 後 に 上 行 大 動 脈 に カ ニ ュ ー レ を 挿 入 結 紮 し,さ ら に 左 鎖 骨 下 動 脈 起 始 部 直 下 で 胸 部 大 動 脈 を 結 紮 した.そ の 後,カ ニ ュ ー レ を 挿 入 し た上 行 大 動 脈 よ り生 理 食 塩 水 と0.1M燐 酸 緩 衝2%グ ル ター ル ア ル デ ヒ ド液(各50∼60ml)を 注 入 圧50∼60mmHg下 に 用 手 注 入 し,引 き続 い て 同 注 入 圧 下 に 上 記A な い しB注 入 鋳 型 液 を 十 分(50∼60ml)注 入 し た.こ の 注 入 で 上 大 静 脈 は 注 入 鋳 型 液 で 充 満 し た. 鋳 型 液 を注 入 し た 動 物 を そ の ま ま,あ る い は 上 半 身 を分 離 し て,ガ ラ ス 容 器 に 入 れ て 蒸 留 水 で 満 た し,こ の 容 器 を マ イ ク ロ ウ ェー ブ プ ロ セ ッサ ー(H2500, Bio-Rad Laboratories , Cambridge, Massachusetts, U.S.A.)の 試 料 室に 入 れ,500∼550W・2,000∼2,200MHz下
50∼60℃ で 約10分 間 加 温 し た.そ の 後 動 物 あ る 39
い は 分 離 し た 上 半 身 を 同 プ ロ セ ッサ ー の 試 料 室 か ら取 り出 し,さ らに30∼60分 間 温 水(50∼60℃) に 浸 して 孵 卵 器(50∼60℃)中 で保 温 した. 次 に,動 物 を そ の ま ま,あ る い は 適 当 に 臓 器 を分 離 して,50∼60℃ に 加 温 した10%NaOHま た はKOH水 溶 液 に 浸 し て 同 温 度 に 調 節 し た 孵 卵 器 に 一 晩 放 置 し て 組 織 成 分 を腐 蝕 し,そ の 後 流 水 中 で 約8時 間 洗 っ て,腐 蝕 さ れ た 組 織 を除 去 し た.こ の ア ル カ リ処 理 と水 洗 は 数 回繰 り返 し た.骨 成 分 は 腐 蝕 処 理 後 ピ ン セ ッ トで 除 去 し た. 以 上 の 処 理 で 得 られ た血 管 鋳 型 を実 体 顕 微 鏡 下 に 水 中 で ハ サ ミ,ピ ン セ ッ ト等 を使 っ て,あ る い は 同 顕 微 鏡 下 に 安 全 カ ミ ソ リ等 で 凍 結 割 断 して,走 査 電 子 顕 微 鏡 の 試 料 台 に 載 る程 度 の 大 き さ に 切 り出 し,濾 紙 上 に 放 置 して 空 気 乾 燥 し た.つ い で,同 乾 燥 試 料 を走 査 電 顕 用 試 料 台 に 導 電 ペ ー ス ト(ド ー タ イ トペ イ ン ト)を 用 い て 載 台 し,オ ス ミ ウ ム 蒸 気 処 理2)後 金 を 真 空 蒸 着 し て,加 速 電 圧5kVで 走 査 電 子 顕 微 鏡(S2300, 日立)観 察 し た. 図1 A液 に よ る メ タ ク リレー ト未 重合 単 量体 注 入 鋳 型 法 で作 製 した 成 体 雄性 ラ ッ ト頭 部毛 細 血 管 鋳 型 標 本(本 文 参 照)の 光 学 顕微 鏡 写真. 鋳 型 標 本 自体 が,耳 介 を含 め て,頭 部 の 輪郭 を再 現 して い る.×1.3. 図2 B液 に よ る メタ ク リレー ト未 重合 単 量体 注 入鋳 型法 で作 製 した成 体 雄 性 ラ ッ ト頭 部 毛 細 血 管 鋳 型 標 本(本 文 参 照)か ら分 離 し た舌 部 の 走 査 電 子 顕微 鏡 写真.舌 の毛 細 血 管 網 が よ く鋳 型 され て い るのが 確 認 で きる. 太 い 矢頭 印 は茸 状 乳 頭 の 毛 細 血 管 網 を しめ し,細 い 矢頭 印 は 糸状 乳 頭 の そ れ を しめ す.×60.
微 細 血 管鋳 型 法
41
結 果 A, B各 注 入 鋳 型 液 は 共 に 調 製 時 は 水 の よ う に粘 度 が ひ くい.A液 は,調 製 後,室 温(20∼22℃) で 非 常 に ゆ っ く り と重 合 発 熱 し,約2時 間 で 発 泡 完 全 硬 化 す る.B液 はA液 よ り早 く室 温 約1 時 間 で 発 泡 完 全 硬 化 す る. 一 方,A,B各 注 入 鋳 型 液 は マ イ ク ロ ウ ェー ブ プ ロ セ ッ サ ー 中 で50∼60℃ に 急 速 加 温 さ れ る と急 激 に 発 泡 硬 化 す る.す な わ ち,AとB液 は 同 プ ロセ ッ サ ー 中(500∼550W, 2000∼2,200 MHz, 50∼60℃)で そ れ ぞ れ10∼15分,3∼5 分 で 発 泡 硬 化 す る. 水 の よ う に 粘 度 が 低 いA, B各 液 は と も に 潅 流 固 定 直 後 の 血 管 系 に 容 易 に 十 分 注 入 で き た. そ し て,マ イ ク ロ ウ ェー ブ プ ロ セ ッサ ー に よ る 急 速 加 温 処 理 に よ る 注 入 鋳 型 剤 の 迅 速 硬 化 に よ っ て,A液,B液 注 入 の 各 例 に お い て 良 い鋳 型 標 本 を得 る こ と が で き た(図1).す な わ ち, A液,B液 注 入 両 例 に お い て,得 ら れ た鋳 型 標 本 は 走査 電 子 顕 微 鏡 で 見 る 限 りア ル カ リ腐 蝕 処 理 に よ る損 傷(表 面 の 不 規 則 な で こ ぼ こ な ど) を受 け た 形 跡 は な く,オ ス ミウ ム 蒸 気 処 理 や 金 属 蒸 着 な ど導 電 処 理 に よ る特 別 な 損 傷(表 面 の ち ぢ れ や 不 規 則 な しわ な ど)も 認 め られ な か っ た. 毛 細 血 管 網 の 再 現 性 も 良好 と認 め られ た.す な わ ち,図2∼9に 示 す よ う に,毛 細 血 管 を含 む 血 管 あ る い は 血 管 群 の 間 に 特 に 著 明 な 不 連 続 性(す な わ ち,注 入 不 全)は ほ とん ど認 め ら れ な か っ た(図6).し か し,例 外 的 に と こ ろ ど こ ろ で 注 入 鋳 型 液 の 血 管 か らの 逸 脱(漏 れ)と 思 わ れ る血 管 外 で の 樹 脂 の 不 規 則 な 硬 化 が 認 め ら れ た(図8).た だ し,こ れ ら の 漏 れ や 注 入 不 全 は 軽 微 で,特 に 観 察 の 障 害 とな る こ と は な か っ た. A液,B液 各 注 入 に お い て,得 ら れ た 鋳 型 は 適 当 に 硬 くて 脆 く微 解 剖 に 適 して い た.す な わ 図3 図2の 一 部 拡 大 走 査 電顕 像,矢 頭 印 は糸 状 乳 頭 の 血 管網 を しめ す.AとVは そ れ ぞれ動 脈 と静 脈 を しめ す. ×240.ち,太 い 血 管 は ハ サ ミや ピ ン セ ッ トで 容 易 に 取 り除 く こ と が で き,毛 細 血 管 や 細 い 血 管 は 実 体 顕 微 鏡 下 に 鋭 利 に 研 い だ ピ ン セ ッ トや ハ リ で安 全 に 除 去 す る こ と が で き た.(図5, 6, 8,). 安 全 カ ミ ソ リ(片 刃,炭 素 鋼 刃 厚0.245mm,フ ェ ザ ー)で 簡 単 に 凍 結 割 断 で き た(図4). 以 上 の よ う な 微 細 解 剖 を実 体 顕 微 鏡 下 に お こ な う こ と に よ っ て,目 的 とす る 臓 器 ・器 官 ・組 織 の 血 管 床 は も ち ろ ん の こ と,場 合 に よ っ て は 単 一 の 微 細 血 管 あ る い は 毛 細 血 管 を剖 出 して 走 査 電 子 検 鏡 す る こ と が で き る(図7, 9).こ の 微 解 剖 を お こ な う際,オ ス ミウ ム 蒸 気 処 理 し た 血 管 鋳 型 は透 光 性 を失 っ て(黒 く染 っ て),個 々 の 血 管 が 実 体 顕 微 鏡 下 に よ く見 え る利 点 が あ っ た.上 に 述 べ た よ う に,A, B各 液 で 得 ら れ た 鋳 型 標 本 は微 解 剖 に 適 して い る.し か し実 際 に は,A, B各 液 か ら得 ら れ た 鋳 型 標 本 に は,特 に 計 測 は して い な い が,屈 曲 性 な い し弾 力 性 に 多 少 の 差 異 が 感 じ ら れ,B液 か ら得 ら れ た 鋳 型 標 本 の 方 が 弾 力 性 と屈 曲 性 に 優 れ て い る よ うに 思 え た. 考 察 メ タ ク リ レー トを基 材 とす る 注 入 鋳 型 剤 は 我 が 国 で,谷 口 等 に よ っ て 肉 眼 解 剖 用 に 開 発 さ れ, こ の 鋳 型 法 で は 予 め 粗 い 重 合 粉 剤 を 作 っ て お き, 注 入 前 に こ の 粉 剤 に 単 量 体(モ ノ マ ー)を 混 合 して 用 い られ る11,12).この 谷 口 等 の 樹 脂 は 米 国 や 独 国 な ど で模 倣 さ れ,Batson's plasticあ る い はTechnovit注 入 剤 と して 市 販 さ れ て い る. 村 上 は 谷 口 等11,12)の鋳 型 剤 を参 考 に して,メ チ ル メ タ ク リ レー ト低 粘 度 半 重 合 注 入 鋳 型 液 をつ く り,こ れ を用 い て 従 来 不 可 能 で あ っ た 適 当 に 硬 くて 走 査 電 子 顕 微 鏡 観 察 に 耐 え,し か も毛 細 図4 図1の 標本 よ り分 離,矢 状 断 した松 果 体(PG)と 周 囲 組 織 の 血 管 叢,CC脳 梁,CP第 三 脳 室 脈 絡 叢, GC大 脳静 脈,LH大 脳 半 球,SI上 矢 状 静 脈,TC蓋 板 部.×35.
微 細 血管 鋳 型法
43
血 管 な ど の 細 い 管 系 を 十 分 鋳 型 標 本 とす る こ と が で き る方 法 を 開 発 し た1-3).こ れ に 類 似 す る半 重 合 注 入 液 はMercox(応 研 商 事)と して 市 販 さ れ て い る が,村 上 の 原 液 と較 べ て 可 成 り粘 度 が 高 い4,5,8,9).従っ て,Mercoxで よ く注 入 され た 良 い 鋳 型 標 本 を つ く る に は20∼40%の 割 合 に 未 重 合 メ チ ル メ タ ク リ レー ト単 量 体 で うす め て (粘度 を 下 げ て)使 用 し た 方 が よ い8,9). 何 れ に し て も,低 粘 度 半 重 合 メ チ ル メ タ ク リ レー ト注 入 鋳 型 剤 の 開 発 に よ っ て,動 ・静 脈 や 毛 細 血 管 網 を含 む 血 管 叢 全 体 が 初 め て 走 査 電 子 顕 微 鏡 下 に 立 体 的 に 観 察 且 つ 分 析 で き る よ う に な り,開 発 か ら20年 を 経 て よ うや く医 学 生 物 学 の 基 本 的 研 究 手 段 と し て定 着 しつ つ あ る よ う思 え る.6,7,9,13,14).しか し一 方 で,肝 内 毛 細 胆 管 な ど毛 細 血 管 よ り一 層 細 い 管 系 の 鋳 型 標 本 の 作 製 に は,従 来 の 未 固 定 生 物 試 料 へ の 低 粘 度 半 重 合 メ タ ク リレー ト鋳 型 剤 注 入 で は 困 難 で あ った1-3). こ の 点 に 関 して,村 上 は 水 溶 性 樹 脂 で あ るハ イ ドロ キ シ プ ロ ピ ル メ タ ク リ レー ト単 量 体 に 触 媒(過 酸 化 ベ ン ゾ イ ル1%)と 促 進 剤(N, N -ジ メ チ ル ア ニ リン1%)を 加 え る と室 温 下 即 座 に 重 合 硬 化 す る こ とに 着 目 し15),ハ イ ドロ キ シ プ ロ ピル メ タ ク リ レ ー トを 重 合 加 速 剤 とす る 注 入 鋳 型 液(50∼60%メ チ ル メ タ ク リ レー ト単 量 体, 50∼40%ハ イ ドロ キ シ プ ロ ピル メ タ ク リ レ ー ト 単 量 体,1∼2%過 酸 化 ベ ン ゾ イ ル,そ し て1 -2%N , N-ジ メチ ル ア ニ リ ン の 混 液)を 調 製 し て,あ らか じめ 血 管 系(動 脈 系 と門 脈 系 の 両 方)よ り生 理 食 塩 水 で 潅 流 後0.1M燐 酸 緩 衝2% グ ル タ ー ル ア ル デ ヒ ド液 で 潅 流 固 定 し た ラ ッ ト 肝 の 総 肝 管 よ り逆 行 性 に こ の 鋳 型 液(混 液)を 注 入 後60℃ の 孵 卵 器 で 重 合 を促 進 して,十 分 と は い え な い ま で も肝 内 毛 細 胆 管 の 鋳 型 標 本 の 作 製 に 成 功 して い る16).な お,村 上 は こ の 論 文 で ハ イ ドロ キ シプ ロ ピ ル メ タ ク リ レー トは じめ 他 の 水 溶 性 単 量 体 樹 脂 は,注 入 後 直 ち に 水 に 混 じて 血 管 外 に 出 る(漏 出 す る の で),単 独 で は 使 用 で 図5 図2と 同 じ標 本 よ り分 離 後,蓋 板 部 を剥 離 し て 剖 出 し た松 果体(PG)と 周 囲 組織 の 血管 叢 (後下 面 観).CP第 三 脳 室 脈 絡 叢,GC大 脳 静 脈,LH大 脳 半 球,矢 頭 印 は松 果 体 動 脈 を しめ す.×20. 図7 図6の 標 本 よ り分 離剖 出 した正 中 隆起 上 行 動 脈(矢 頭 印).ME正 中 隆起,p下 垂 体 門脈. ×170.図6 図1の 標 本 よ り分 離 剖 出 した脳 下 垂 体 前 葉(AL)と 正 中 隆起(ME)の 血 管 叢.CS海 綿 静脈 洞,HT 視 床 下 部,IA内 頸 動 脈,MA中 大 脳 動 脈,a動 脈 枝,p下 垂体 門脈,v静 脈枝.星 印 は 注 入 不 全部 を し め す.×30.
微 細血 管鋳 型 法
45
き な い と述 べ て い る16).ま た,ハ イ ドロ キ シ プ ロ ピ ル メ タ ク リ レー トと メチ ル メ タ ク リ レー トの 混 液 で 作 製 さ れ た 鋳 型 標 本 は 水 を 含 ん で 軟 らか く常 に凍 結 乾 燥 を行 う必 要 があ る としてい る15,16). 本 論 文 で 紹 介 し た 方 法 は 上 記 村 上 と そ の 共 同 研 究 者 の 単 量 体 混 液 鋳 型 法15,16)を改 変 した もので あ るが,そ の 特 色 は メ チ ル メ タ ク リ レ ー トを 単 独 に,或 い は 少 量 の ハ イ ドロ キ シ プ ロ ピ ル メ タ ク リ レー ト混 じて,触 媒(過 酸 化 ベ ン ゾ イ ル) と促 進 剤(N, N-ジ メ チ ル ア ニ リ ン)と 共 に 注 入 し,マ イ ク ロ ウ ェ ー ブ 処 理 で 急 速 に 硬 化 さ せ る 点 に あ る.従 来 樹 脂 注 入 し た 生 物 試 料 は 温 水 に 浸 して 注 入 した 樹 脂 の 硬 化 を助 け て い た が, 水 は 必 ず し も熱 伝 導 性 が 良 くな く試 料 の 深 部 の 加 温 に は 時 間 を要 し た.一 方 マ イ ク ロ ウ ェ ー ブ は 試 料 深 部 ま で 急 速 に 温 度 を上 昇 させ る こ とが 図8 図1の 標 本 よ り分 離剖 出 した上 皮 小 体(PT),甲 状 腺(TG)と 周 囲 組 織 の 血管 叢.ES食 道,FT脂 肪 組 織,TR気 管,A動 脈,V静 脈,星 印 は 血 管 外 に漏 れ て硬 化 した樹 脂 を しめ す.×50.図9 図8の 甲状 腺 血 管鋳 型標 本 の一 部 を微 解 剖 して 深 部 を露 出.A動 脈,V静 脈,F甲 状 腺 の濾 胞 を囲 む毛 細 血 管 の バ スケ ッ ト.×130.