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<原著>脳卒中易発症自然高血圧ラットの心間質線維化に対するTransforming Growth Factor-β1の関与 利用統計を見る

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(1)

山梨医大誌12(3),107∼!18,1997

脳卒中易発症自然高血圧ラットの心間質線維化に対する

Transforming Growth Factor一β1の関与

尾畑純栄1)・中村享道2)・木村英昭1)・内藤昭貴1)

     池田佳生亙)・高野 一3)・田村康二1)

   D山梨医科大学第二内科学教室,2)同大付属病院輸血部,3)甲府城南病院循環器科 抄録:(目的)高血圧性肥大心における,圧負荷とレニンーアンジオテンシン系及びtransforming growtMactoレβ(TGF一β)との関係を明らかにする為にstroke−prone spontaneously hypertenslve rats(SHRSP)を用い検討した。(方法)12週齢SHRSPに24週齢まで,1型アンジオテンシンH 受容体拮抗薬カンデサルタン又はヒドララジンを投与し,無治療群及び正常コントロールとしての 同週齢Wistar−Kyoto rats(WKY)群と,収縮期血圧,心室重量体重比,問質及び冠血管周囲の線 維化,TGF一β及び飾ronectin(FN)のmRNA発現について比較検討を行った。(結果)カンデサ ルタン,ヒドララジンとも収縮期血圧は同程度で,無治療群より低値であったがWKYよりは高 値であった。無治療群では心室重量体重比,間質及び冠血管周囲の線維化,TGF一β, FNの mRNA発現はWKYより高値であり,カンデサルタンはこれら全てを正常化させた。ヒドララジ ンはTGF一β, FNのmRNA発現及び間質線維化のみ正常化させた。(考察)SHRSPでは,まず圧 負荷が組織におけるアンジオテンシンH産生を湿生させ,TGF一β産生充進を介してFN産生を促 進させ,その結果として問質線維化を引き起こすことを示唆している。 キーワード 高血圧性心肥大,アンギオテンシンH1型受容体拮抗薬,心間質線維化,圧負荷 はじめに  高血圧症では心肥大を高頻度に合併すること,

さらに心肥大の合併により心不全をはじめ心血

管系疾患の発症が有意に増加することが報告さ

れている1)。高血圧による心肥大はその組織学

的な特徴として心筋細胞自体の肥大と間質の線

維化があげられ,病的心肥大の進展にはこの双

方の因子が重要であると考えられている。

 近年,高血圧に伴った心肥大がその降圧療法

により退縮する際に,アンジオテンシン変換酵

素阻害薬(以下ACE阻害薬)が他の降圧剤と

L2)〒409−38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 3>〒400  山梨県甲府市上町753−1 受付:1997年4月10B

受理:1997年7月8B

比較してもっとも効率よく肥大心を退縮させ, 臨床的にも有用であることが報告されている2>。

またアンジオテンシン1受容体拮抗薬がACE

阻害薬と同様に肥大心退縮効果を有することが,

実験動物を用いた研究より明らかとなってい

る3)。しかし降圧療法による肥大心退縮効果は

循環血中のレニンーアンジオテンシン系の活性

とは相関しないこと,さらに心臓にはレニン,

アンジオテンシノーゲン,アンジオテンシン変

換酵素,アンジオテンシンH受容体などレニン

ーアンジオテンシン系の構成要素がすべて存在

しているという報告から考えると4¶7>,局所で

産生されたアンジオテンシンHが,高血圧性心

肥大に重要な役割を果たしていると思われる。  細胞成長因子の一種であるTGF一β1(Trans− forming Growth Faρtorβ1)1ま,創傷治癒,炎

(2)

108

尾畑純栄,野

馬に重要な役割を果たしており,またあらゆる

臓器の線維化に関与している。その作用は細胞

の増殖及び肥大をひきおこし,また線維芽細胞

から細胞外基質蛋白質の産生を促すことが知ら

れ8),間質線維化に関与すると推測されている。

従って心臓においても高血圧性心肥大にみられ

る間質の線維化にTGRβ1が関与している可

能性があるが,いまだ明らかにされていない。

 心臓に対する負荷には,アンジオテンシンな

どの液性因子による負荷の他に,心内圧が上昇

することにより個々の心筋細胞に加わる機械的

な伸展負荷がある。高血圧のような慢性の圧負

荷がかかると,心筋細胞は高度に分化した細胞

でもはや分裂能力を持ち合わせていないので, そのひとつひとつが肥大して収縮力を増大させ,

心機能を代償することが知られている。実際心

筋細胞をシリコン膜上に培養した後,そのシリ

コン膜ごと細胞を伸展させ機械的刺激を加える

と,RNAと蛋白の生合成が充進し心筋細胞が

肥大するとの報告がある9)。

 以上述べたように,高血圧性肥大心にはレニ

ンーアンジオテンシン系,とくにアンジオテン

シンHまたは,サイトカイン(TGF一β等)や,

機械的刺激(圧負荷)が,重要な役割を果たし

ているという報告がされている。悪性高血圧モ

デルで臓器障害が強いといわれる脳卒中易発症

自然発症高血圧ラット(以下SHRSP;Stroke−

prone spontaneously hyperte鍛sive rats)にお

いても,これらの因子が重要な役割を果たして

いると考えられているが,いまだ明らかにされ

ていない。そこで我々は,SHRSPを用いて高

血圧性肥大心にTGF一β1は関与しているか,

またレニンーアンジオテンシン系を阻害する薬

剤と他の薬剤を使用して降圧し比較した場合,

肥大心の退縮効果とTGF一β1の発現にどのよ

うな違いがみられるのかを検討することによっ

て,SHRSPでみられる高血圧下肥大心におけ

る,機械的刺激(圧負荷)とレニンーアンジオ

テンシン系およびTGF一β1との関係を明らか

にするために,以下の実験を行った。

材料および方法

 12週齢雄性SH:RSPとWKY(Wlstar−Kyoto

rats)はJapan SLC Inc.より購入した。!2週

齢よりSHRSPには,1型アンジオテンシンH

受容体拮抗薬であるCandesartan(0.5mg/kg

i。p.;武田薬品より贈与)ユ。)(n匿6),または血管 拡張薬のHydralazi1}e(5−14 mg/kg p.o.;チバ ガイギーより贈与)(n=6)を12週間投与し, 24週齢の時点で以下の点について検討を行った。

また,高血圧コントロールとして無治療

SHRSP(n=6),正常血圧コントロールとして

同週齢のWKY(n=6)を用いた。ベントバル

ビタール麻酔興で,ただちに心臓を摘出し,心

室湿重量を測定した。摘出した心臓のうち最大

横径部は形態学的検討に,左室自由壁はメッセ

ンジャーRNAの発現検討に用いた。

血圧

 収縮期血圧はすべてのラットについて12週齢

から24週齢まで2週間おきにtail−cuff法を用い て測定した(UR−!000,ウエダ製作所)。覚醒

した状態で連続3回測定し,その平均値を収縮

期血圧とした。

形態学的検討

 摘出した心臓は10%ホルマリンにて固定,パ

ラフィン包埋後,cross sectionで4μmの厚さ

に薄切し,アニリンブルーとコラーゲン線維に

特徴的に染まるシリウスレッドで染色した。染

色した標本は,自動画像解析装置αBAS−

2000,Carl Zeis, Germany)を用いて心筋組織 の問質の線維化(ICVF;interstitial collagen

volume fractio簸)と冠血管周囲の線維化

(PVCA/LA;perivascular collagen area/lumin. al area)を測定した。 ICVFを測定する際には,

冠血管を含まない視野にて計測を行い,冠血管

周囲の線維化による影響を除外した。

RNA抽出およびノーザンプロット法

 摘出した心臓はすばやく凍結し,抽出するま

で一70。Cにて保存した。抽出時にdenaturing

solution(4 M guaninidine isothiocyanate,25 mM sodium citrate(pH7.0),0.1 M 2一

(3)

脳卒中易発症自然高血圧ラットの心問質線維化に対するTransforming Gro噴h Fac⑩レβ1の関与 109 mercaptoethano1,0.5%N.lauroylsarcosine)に

てホモジネート(HITACHI HG30,日立工

機i) し, Acid Guanidinium Phenol Chlor−

oform(AGPC)変法にてtotal RNAを抽出し

た11)。total RNAの濃度は,分光光度計(UV−

1200,島津製作所)にて260nmの吸光度より

求め,280nmの吸光度との比にて純度を求め

た。RNAの保存状態は28Sと18S ribosomal

RNAが分解されていないことで判定した。

ノーザンプロット法は,total RNA IOμgを

1%アガロースゲルにて電気泳動した後,キャ

ピラリー法にてナイロン膜(Hybon&N,

Amersham)にプロッティングした。ナイロン

膜にプロットしたRNAはUV crosslinker

(UV Stratalinker 1800, Stratagene)にて固定

した。ハイブリダイゼーションは,まずハイブ

リダイ降雪ション液 (50%Formamid,5×

SSPE,2×Denhardt’s solutio簸, O.1%SDS)で

42。C,2時間プレハイブリダイゼーションし

た後,ランダムプライマー伸長法(Takara

Random Primer DNA Labehng Kit Ver.2.0,

宝酒造株式会社)にて標識したcDNAプロー

ブと,42℃over nightで反応させた。ハイブ

リダイゼーションさせたナイロン膜はまず20分

間,2×SSC,0.1%SDS室温で,続いて20分間,

0.4×SSC,0.1%SDS,50。Cで2回洗浄した後, イメージングプレート(Fuji lmaging Plate,

富士写真フイルム株式会社)に露光し,バイオ

イ門田ジングアナライザー(Fujix BAS2000,

富士写真フイルム株式会社)で発現量を測定し

た。電気泳動のローディング量や,プロッティ

ングの効率の差を考慮し,即詠のメッセン

ジャーRNAの発現量を客観的に比較定量する

ために,コントロールのglyceraldehyde−3−

phosphate−dehydrogenase(以下GAPDH)の

発現も検討し,これで補正比較した。

 なお本実験はすべて山梨医科大学動物実験指

針に沿って行われた。

cDNAプローブ

 TGF・βエcDNAは, T. Nakamuraより供与

されたrat TGF一β1を用いた12)。1型コラーゲ

ンcDNAは, C。 Genoveseより供与されたrat

α1(工)collagenを用いた13)。3型コラーゲン

cDNAは, Y. Yamadaより供与されたrat

α1(㎜)coUagenを用いた14)。フィブロネクチ

ンcDNAは, R.0. Hynesより供与されたrat

飾ronectlnを用いた15)。 GAPDH cDNAは,

P.Fortより供与されたrat GAPDHを用い

た16)。ノーザンプロッテイングに使用した,

cDNAプローブは以下の通りである。 TGF一β1

cDNAプローブは, EcoRI/Bg11で切断した

0.5kb断片を使用した。1型コラーゲン

cDNAプローブは, BamHI/Pstlで切断した

L3 kb断片を使用した。3型コラーゲン

cDNAプローブは, EcoRI/Xholで切断した

0.7kb断片を使用した。フィブロネクチン

cDNAプローブは, EcoRI/Hindlllで切断し

た0.27kb断片を使用した。 GAPDH cDNAプ

ローブは,Pstlで切断した1.25 kb断片を使用 した。 統計処理

 測定値はすべて平均値±標準偏差で示し,有

意差検定には分散分析を用い,p<0.05を有意

とした。 結  果

 図1に示したように,収縮期血圧は無治療

SHRSP(274±7mmHg)では同週齢WKY

(135±3)と比較して有意に(p<0.01)高値

であった。Candesartan治療群(198±4),

Hydralazine治療群(193±4)とも無治療

SHRSPと比較すると有意な低下(p<0.0!)

を示したが,WKYと比較すると有意に(p<

0.0ユ)高値であった。しかし治療群間には降圧 効果に有意差は認めなかった(図1)。

 体重は同週齢WKY(449±5g)は無治療

SHRSP(305±2)に比べると有意に(p<

0.01)増加を認めた。Candesartan治療群

(314±4,p<0.01 vs WKY, p=NS vs無治療

(4)

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250 200 t50 1eo * * * * * * * * * *g *S *S *g *g *g *S *g *S *9 *g *g Fig. I.

12 14 16 18 20 22 24

Age (weeks)

Time course of systolic biood pressure in Wistar-Kyoto rats (WKY) ancl stroke-prone spon-taneously hypertensive rats (SHRSP). O indicates WKY; *, untreated SHRSP; A, ()ande-sartan treated SHRSP; A, Hydralazine treated SHRSP. Values are the mean±SEM (n :6 in each group); *p<O.Ol vs WKY, gp<O.Ol vs untreatecl SHRSP.

Table l. Ventricular weight to body weight ratio and left ven£ricular morphometry in Wistar-Kyote rats (WKY) and stroke-prone spontaneously hypertensive rats (SHRSP).

SHRSP

WKY

Candesartan Hydralazine untreated

VW (mg)IBW (g)

ICVF(%)

LA (pam2)

PVCAILA

3.47±O.42 S.O±O.3 9936±560 O.56±O.05 3.71±O.44 2.3±O.2 8897±1181 O.87±O.07 4.71±O.86 * 2.9±O.2 6578±IS90 2.00±O.38 * 4.75±O.S4* 4.I±O.69 5505±1108 2.25 ± O.33 *

VW, ventricular weight; BW, body weight; ICVF, interstitial collagen volume fraction; LA, luminal area; PVCA, perivascular collagen area.

Va}ues are the mean±SEM,

g: P<O.Ol untreated SHRSP vs WKY, Candesartan and Hydralazine treated SHRSP *: P<O.Ol WIY, Candesartan treated SHRSP vs Hydralazine and untreated SHRSP

(5)

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-Fig. 2.

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Photomicrographs show picrosirius red and aniline blue staining in the left ventncle of 24-week-old Wistar-Kyoto rats (WKY) and stroke-prone spontaneously hypertensive rats (SHRSP). (A) shows WKY; (B), untreated SHRSP; (C), Candesartan-treated SHRSP; (D), Hydralazine-treated SHRSP. WKY showed slight picrosirius red staining collagen fiber (A). Staining fbr collagen was signi-ficantly increased in untreated SHRSP (B). Candesartan and Hydralazine treated SHRSP reduced mterstitial collagen to the same extent as WKY (C, D). eet-ly

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Fig. 3.

tar-Kyoto rats (WKY) and stroke-prone spontaneously Candesartan treated SHRSP; (D), Hydralazine treated Staining for collagen was significantly increased in sis to the same extent as WKY (C),

;"tslgec;・ .pststeptX :・r-'`;}`"k:rev・ ' Qop":ics.

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Photomicrographs show picrosirius red and aniline blue staining around the intramyocardial coronary artery of 24-week-old

hypertensive rats (SHRSP). (A) shows WKY; (B), untreated SHRSP; (C),

SHRSP. WKY showed a little picrosirius red staining collagen fiber (A). untreated SHRSP (B). Candesartan treated SHRSP reduced perivascular but Hydralazine treated SHRSP showed significantly perivascular fibrosis (D).

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(7)

脳卒中易発症自然高血圧ラットの心間質線維化に対するTransforming Growth Factof・β1の関与 113 SHRSP), Hydralaz癒e治療群 (316±5, p<

0.01vs WKY, p=NS vs無治療SHRSP)とも

無治療群と同程度で,治療による影響は認めら

れなかった。

 心室重量/体重比は無治療SHRSPでは同誌

齢WKYと比較して有意に高値であった。

Candesartan治療群は無治療SHRSPと比べて

有意に低値で,WKYと同程度であったが,

Hydralazine治療群は無治療SH:RSPと同程度

であった(表1)。

 図2に典型的な左室の心筋の組織学的所見を

示した。WKY, Candesartan治療群及びHyd−

ralazine治療群にはほとんど間質にコラーゲン

は認められなかったが,無治療iSHRSPは間質

に著明なコラーゲンの増加が認められた。これ

を定量化したのを表1に示したが,心筋組織の

間質の線維化(ICVF)は,無治療SHRSPで

は同断齢WKYと比べ,著明に高値であった。

Candesartan治療群, Hydralazine治療群とも

WKYと同程度まで線維化を改善させた(表

1)。

 血管周囲の線維化(PVCA/LA)は,左室壁

内中小動脈について検討を行った。検討を行っ

た群の問には内腔の面積(LA)に差を認めな

かった(表1)。WKYでは血管周囲の線維化

は軽度であったのに対し,無治療SHRSPでは

同士齢WKYと比べ著明な中膜の肥厚と血管

周囲の線維化を認めた。Candesartan治療群は

WKYと同程度まで改善させたが, Hydrala−

zi捻e治療群は無治療SHRSPと同程度であった

(図3,表1)◎

 図4にはTGF一β1,フィブロネクチン,1型

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 #「一一「

「㎜㎜「「㎜一「 WKY nTx CaRd HYD S卜mSP S8汽SP Fig.4. 1)hotograph shows typica互autorad玉ogram of Northern bbt fbr trarlsfbrming     growth factor一β1(TGF一β1), fibronectin(FN),奄ype I co11agen(CoL I), type III     collagen(CoL II1)and glyceral(圭ehyde−3−phosphate dehydrogenase(GAPDH)in     left ventricle of Wlstar−Kyoto rats(WKY)and stroke−prone spontaneously     hypertensive rats(SHRSP). Ten miαograms of left ventricle宅otal RNA from     each group was electrophoresed and hybridized to TGF一β1 cDNA。 The same     membrane was subsequent霊y hybr童dized to FN, CoL I, CoL III and GAPDH     cDNA。 TGF一βl corresponds to 2.5 kb, FN to 8.O kb, CoL I to 4.7 and 5。7 kb,     CoL III£05.3 kb and GAPDH to 1.6 kb. Bar graphs show left ve凱ricular     mRNA levels fbr TGF一β1, FN, Col.1, and Col. III ln 24−week−01d WK.Y and     SHRSP. The ordirlates show TGF一β1,FN, Col.1, and Co叢. III mRNA levels cor−     rected for GAPDH. nTx indicates untreated SHRSP;Ca鐙d, C段ndesartan£reated     S}{RSP;HYD, Hydralazine trea毛ed SHRSP. Values are the mean±S£M,※     Pく0.05vs untreated SHRSP,#Pく0.01 vs untreated SHRSP・

(8)

114 尾 畑 純 栄,他

コラーゲン,3型コラーゲンの典型的なノーザ

ンプロットの結果と,それぞれのmRNA発現

量を,GAPDHの発現量で補正比較したもの

を棒グラフに示した。無治療SHRSPでは

WKYと比較してTGFβ1,フィブロネクチン,

1型コラーゲン,3型コラーゲンのmRNAの

有意な発現充進が認められたが,GAPDHの

発現量には差を認めなかった。Candesartanお

よびHydralazine治療群では, TGFβ1,ブイ

ブロネクチン,1型コラーゲン,3型コラーゲ

ンのいずれも充進したmRNA発現を, WKY

と同程度までに抑えた。GAPDHの発現量は

治療による影響を認めなかった。

考  察

 この研究で用いたCandesartanは非ペプチ

ド性の1型アンジオテンシン受容体拮抗薬で,

選択的にアンジオテンシン受容体1型と結合し,

その結合様式はアンジオテンシンHと非競合的

である。Candesartanの降圧作用は,競合的受

容体拮抗薬の10sartanより10倍ほど強いとい

われている。受容体に対する特異性についても

アゴニスト作用はなく,ノルエピネフリン,ア

セチルコリン,ブラジキニン,サブスタンスP,

バソプレッシン,ニューロキニンなど多くの生

理活性物質に対する影響もみられない事より明

らかである。

 今回我々は同程度の降圧効果が得られる量の

Ca鍛desartan,またはHydralaz癒eをSHRSP

に投与し,それぞれ無治療SHRSP,および同

週齢WKYと比較し以下の結果を得た。1)

血圧はCandesartan治療群, Hydralazine治療

群とも無治療SHRSPよりは有意に低いものの,

同門齢WKYよりは有意に高かった。2)

Ca認esartan治療群は,心室重量/体重比を

WKYと同程度まで改善させたが, Hydrala−

zine治療群は改善させなかった。3)心筋組

織の間質の線維化は,Candesartan治療群,

Hydralazine治療群とも,無治療SHRSPで認

められた著明な線維化を正常化させた。4)無

治療SHRSPで認められた血管周囲の線維化は,

Candesartan治療群では正常化させたが, H:yd−

ralazine治療群では改善させなかった。5)24

週齢無治療SHRSPでは, TGFβ1,1型コ

ラーゲン,3型コラーゲン,フィブロネクチン

のmRNA発現充進を認めた。 Candesartan治

療群,Hydralazine治療群とも,無治療群で:冷

評したTGF一β1,1型コラーゲン,3型コラー

ゲン,フィブロネクチンの発現量を正常化させ

た。

1.間質の線維化について

 アンジオテンシンHの培養平滑筋細胞に対す

る肥大増殖作用は,アンジオテンシン1による

TGF一β1の産生が重要な役割を果たしていると

の報告がある17)。培養心筋線維芽細胞におい

ても,TGF一β1がmRNAレベルおよび蛋白レ

ベルで細胞外物質産生を充進させること8),ま

たアンジオテンシンHを培養心筋線維芽細胞に

添加すると,細胞増殖およびTGF一β1を充進

させることが報告されている18)’19)。我々は腹

部大動脈結紮pressure−overloadモデルで,

TGFβ1,1型コラーゲン,3型コラーゲンの

発現充進と間質の線維化を認め,血圧に影響を

及ぼさない程度のCandesartan投与により,

mRNAレベルでも,組織学的にも線維化を改

善させたという結果を得ている20)。心筋細胞

の培養モデルにおいてmechanical stress

(stretch)を加えるとアンジオテンシンIIを産

生し,これがオートクライン/パラクラインに

作用して心肥大に関与しているという報告があ

る21)。またfηη加。でも大動脈結紮モデルで,

心臓のアンジオテンシノーゲン,アンギオテン

シン変換酵素の発現が充刑し,局所におけるア

ンジオテンシンHの産生が充凹しており22響23),

高血圧性肥大心に重要な役割を果たしていると

考えられている。実際培養細胞にアンジオテン

シン1を添加すると,心筋細胞はDNA合成充

進を伴わず蛋白の生合成が充電するので細胞肥

大が生じ,心筋線維芽細胞は,DNA及び蛋白

の合成が充進ずるので細胞増殖が生じる18)。

今回の我々の研究では,Candesartanと同程度

(9)

脳卒中易発症自然高血圧ラットの心問質線維化に対するTr頷sforml糞g Growth Factoレβ1の関与  115 の降圧効果を示す量のHydralazineは, Cande−

sartan同様,充明したTGFβ1,1型コラーゲ

ン,3型コラーゲン,およびフィブロネクチン

の発現を正常化させ,組織学的にも問質の線維

化を正常化させることを明らかにした。以上か

ら圧負荷が,レニンーアンジオテンシン系を賦

活し,TGF一β1産生を介して心肥大における問

質の線維化に重要な役割を果たしていることが

考えられた。心臓における組織のレニンーアン

ジオテンシン系が降圧により正常化するか,ま

たTGF一β1を阻害することで線維化が改善す

るか,などはさらに検討する必要はあるが,こ

の結果はSHRSPにおいて,圧負荷による組織

のレニンーアンジオテンシン系の活性化が起き,

アンジオテンシンHによって発現充下した

TGF一β1が,細胞外物質の産生を促進させ,そ

の結果として間質の線維化を生じることを示唆

している。

2.心肥大について

 我々の結果では,心室重量/体重比はCande− sartan治療で正常化し, Hydralazine治療では 改善を認めなかった。高血圧性肥大心の特徴は,

心筋細胞の肥大と間質の線維化からなり,問質

の線維化は両治療引括に差は認めなかったとい

うことと,以前我々が報告したように心筋細胞

の肥大はCandesartan治療により改善したが,

Hydralazine治療では改善を認めなかったとい

うことから24),Hydralazine治療で心室重量/

体重比の改善を認めなかったのは,心筋細胞の

肥大を抑制できなかったことによると考えられ

た。心筋細胞肥大に関与する因子として,アン

ジオテンシンIIやカテコラミンをはじめ,様々

な成長因子,サイトカインが報告されてい

る19讐25▼26)。Hydralazineには反射性交感神経賦

活作用があり,カテコラミンを上昇させること

が報告されており,このため心筋細胞肥大が改

善しなかった可能性が考えられる。しかしなが

ら我々の実験系からは,これらの因子がそれぞ

れ心筋細胞肥大形成にどのように関与している

かは明らかではない。今後は交感神経系や,レ

ニンーアンジオテンシン系を刺激しない降圧剤

を用いた実験で検討する必要がある。

3.血管周囲の線維化について

 以前報告したように,12週齢SHRSPでは血

管周囲の線維化は認めるもののまだ間質の線維

化は認めず,24週齢になるとそれに加え間質の

線維化もみられるようになった24>。Hydrala− zineは問質の線維化のみ改善させたが, Can.

desartanでアンジオテンシンHを阻害すること

によって血管周囲の線維化も改善しえた。血管

壁には,レニンーアンジオテンシン系のすべて

の構成要素が存在しており27),高血圧のよう

な慢性の圧負荷が加わると,局所でのレニンー

アンジオテンシン系が賦活化され,動脈周囲の

組織学的変化を引き起こすことが知られてい

る28)。冠血流は主に拡張期に流れるため冠動

脈圧は拡張期血圧に左右される。両降圧剤は同

等の降圧を得るも,正常血圧のWKYと比べ

ると依然高血圧状態であり,当然拡張期血圧も

正常より高値であるため,両治療群の冠動脈圧

はWKYと比べると上昇していると考えられ

る。そのため血管周囲のレニンーアンギオテン

シン系は賦活化されておりCa簸desartanのみ

血管周囲の線維化を抑制したと思われる。

 血管周囲の線維化と間質の線維化との間に治

療に対する乖離が生じたのは,レニンーアンジ

オテンシン系を活性化するのための圧負荷の閾

値が血管周囲と間質では違うのかもしれない。

またはレニンーアンジオテンシン系の構成要素

の心室内分布の違いによるのかもしれない。つ

まりアンジオテンシノーゲン,アンジオテンシ

ン変換酵素は動脈周囲に多く分布してお

り29・30),ここで産生されたアンジオテンシン

Hが強く血管周囲の線維化に影響を及ぼしてい

ると考えられる。12週齢SHRSPで血管周囲の

線維化のみ認められ,24週齢になり間質の線維

化が認められるようになったのも,まず血管周

囲から線維化がはじまり間質に広がっていくの

ではないかと推測された。これらはさらに検討

してゆかなければならないが,我々の結果は血

管周囲の線維化にも,局所で産生されたアンジ

オテンシンHが重要な役割を果たしていること

(10)

ユ16 尾 畑 純 栄,他 を示唆している。

  以上の1型アンジオテンシンH受容体拮抗薬

を用いた研究では,1型アンジオテンシンH受

容体拮抗薬の心肥大退縮効果,拡張機能障害の

改善および聞質線維化の改善といった心筋保護

作用は,ACE阻害薬と同程度であった31)。

ACE阻害薬はアンジオテンシンH産生阻害の

他にブラジキニン分解抑制作用も持っており,

ACE阻害薬の心筋保護作用がこれらのうちど

ちらによるのか議論となってきた。この問題に

ついてはACE阻害薬単独治療とACE阻害薬

とブラジキニン受容体拮抗薬の併用治療で比較

検討してみなければならないが,ここでは1型

アンジオテンシンH受容体拮抗薬がACE阻害

薬と同等の心筋保護作用を有していることから,

ACE陽害薬の心筋保護作用はブラジキニン分

解抑制によるというよりは,アンジオテンシン

H産生阻害によると考えられた。 文 献 1) Koren MJ, Devereux RB, Casale PN, Savage    DD, Laragh JH:Relation of left vent1殉icu}ar    mass and geometry to morbldity and morta夏一    lty in uncomplicated essential hypertenslon.    Ann In宅em Med, II4:345−352,1991. 2) Dahlof B, Pennert K, Hansson L:Reversal of    left ventricular hypertrophy in hypertensive    patients. A metaanalysis of 109 treat17nent stu−    dies. Am J Hypertens,5:95−110,1992. 3)K(嚇ima M, Shi(項ma I, Yamazaki T, Komuro    I,Zou Z 66α♂・:Anglotensin II receptor anta−    gonist TCV−116 induces regression of    hypertensive keft ventricular hypertrophy in    v三vo and inhibits the intracellular signaling pathway of stretch−mediated cardiomyocyte hypertrophy  in  vitro・  Circuiation,  89: 三∼204−2211,1994. 4)Dost盆l DE, Rothblum KN, Chemin MI,    Cooper GR, Baker KM:Intracardiac detec一    tiOn Of angiO吃enSinOgen and renin:alOC歌11Zed    renin−ang圭OtenSin  SySteln  in  neOnata叢 rat    hearしAm J Physio1,263:C838−C850,1992。 5) Schunkert H,Jackson B, Tang SS, Schoe11巧,    smith JF認α♂・:Distributlon and ftmctiollal    slgni丘cance of cardiac angiotensi蕪converting    enzyme in hypertroph量e(l rat hearts. Circula一 ︶ 6 ︶ 7 ︶ 8 ︶ 9 10) 11) 12) 13) 14) 15) 16) tion,87:1328−1339,1993. Matsubara H, Kanasakl M, Murasawa S, Tsu− kaguchi Y, Nio Y 8ごα乙:Differential gene ex− press量on and regulation of angiotensin II re− ceptor subtypes in rat car(玉iac行broblasts and cardiomyocytes in cu翼ture・J c豆in I臓vest,93: 1592−1601,1994. Villarreal EI, Kim NN, Ungab GD, Printz MP, Dillmann, W}{:Identiβcatlon of func− tiOnal angiOtenSln ll reCeptOrS On rat CardiaC fibrob互asts. Circulation,88:2849−2861,1993. Ignotz RA, Mass凌gue J: Transforming 9・・Wth faCt・r一βStimUlateS the eXp・eSSi・n・f 飾r・nectin and c・11agen and their inc・rP・ra− tion into the extracellular lnatrix。 J Biol Chem,261:4337−4345,1986. Komuro I, Katoh Y, Kaida T, Shibazaki Y, Kurabayashi M認αZ.:Mechanical loading stimulates ceU hypertr・phy and speci倉。 gene expression 玉n culture(玉rat cardiac myocytes. J Bio叢ChelYヒ,艶66:1265−1268,1991. Shibouta Y, Inada Y, qima M, W縦da T, Noda M麗α♂.:Phλrmacological pro負le of a hlgh p・tent and 1・n9−actlng angi・tensln ll re− ceptor antagonis亀(CV−11974)an(玉its prodrug (TCV−116). J Pharm Exp Therapeutlcs,266: 114−120,1992. Chomczynski P, Sacchl N:Si擁gle−step method of RNA isolation by acid guanidinium th量ocyanate−phenol−chloroform    extraction. Anal Biochcm,162:156−159,1987. Ts噸丁, Okada F, Yamaguchl K, Nakamura T:Mo韮ecular cloning of the large subunit of TGF一βmasking P・・tein and exp・essi・n・f the mRNA in various rat tissues. Proc Natl Acad Sci USA,87:8835−8839,1990. Genovese C, Rowe D, Kream B:Constmction of I)NA sequences to rat a韮pha l ar}d alpha 2 coHagen mRNA an(玉their use in regulation of type l coUagen synthesis by 1,25 dihydroxy− vitamine D. Biochemistry,23:6210−6216, 1984. M役tsuki Y, Nakashirna M, Amizuka N, War− shawsky H, Goltzman D 8厩乙:Acompilation ・fpartial sequences・f ra貧d・mly seleαed cDNA clones from the rat incisor. J De凱R.es, 74:307−312,1995。 schwarzbauer JE, Tamkun Jw, Lemischka IR, Hynes RO:Three differenも飾ronectin mRNAs arise by altemative spliclng within the c・ding regi・n. Ce11,35(part 1):42レ431, 1983. Fort P, Marry L, Piechaczyk M, el Sabrouty S, Dani C認αZ・:Various rat adult t玉ssues express

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Role ef Transforming Growth Factor-rs1 in Cardiac Interstitial Fibrosis of

Hypertensive Rats (SHRSP)

Stroke-prone Spontaneously

Jun-ei Obatai, Takamichi Nakamura2, Hideaki Kimurai, Akitaka Naitohi Yoshio Ikedai, Hajime Takano3, and Kobji Tamurai

iDepartment ofInter?zal Medicine and 2Division of'Blood Tranefltsion, Yanianashi Medical UnizJersity,

3Division of Cardiology, Kqfit lounann HosPital, Yamanashi, laPan

{rransforming growth factor-6 (TGF-6) induces an increase in extracellular matrix (ECM) production in cul-tured cardiac fibroblasts. We previously showed that angiotensin II typel receptor (ATI) antagoi}ist preveiits interstitial fibrosis in the hearts of stroke-prone spoRtaneously hypertensive rats (SHRSP). "I]o clarify the in-volvement of TGF-6 in interstitjal fibrosis of SHRSI', l2-week-old SHRSP were treated with hydralazine (Hyd> or ATI an£agonist, candesartan (Cand) for 12 weeks. Interstitial (interstitial collagen voluiine fraction; ICVF) aRd perivascu}ar fibyosis (perivascular co}lagen areal luminal area; PVCAILA) and gene expression for TGF-6

and ECM com})onents were examined and compayed to those in age-matched untreated SKRSP (nTx) and

Wis-tar-Kyoto rats <WKY). rl'he yesults of Northern blot were determined by laser densitometry aRd normalized by

£he leve] of GAPDH. ICVF and PVCAILA were jncreased in n"I'x compared to WKY. Bosh Cand and Hyd de-creased ICVF to the WKY level. Cand, but no{ Hyd, dede-creased PVCAILA to the WKY level. Gene expression

for TGF-6 and ECM components were increased in nTx compared to WKY. Both Cand and Hyd decreased

these to the WKY Eevel. These data suggest that hypertension-induced mechanical stress increases gene expres-sien for TGF-rs, yesulting in upregulation for ECM genes. This appears to be associatecl with progression of

cardiac interstitiaj fibrosis in SHRSP.

Key werds: liyperteRsive cardiac hypertrophy, angiotensin II fibrosis, tyansforming growth-rsl, pressure overload

参照

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