九州北東部方言の方言地理学的研究(I) : その基礎作業としての調査について
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(2) . 第 20 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要(第一部A). 4年7月 昭和4. 九州北東部方言の方言地理学的研究 (1) -- その基礎作業と しての調査について -- 小. 野. 米. 旭川分校国語国文学研究室. Yone ichi ONo: A Dialect‐GeographicaI Study ofthe. Dial tin North‐Eastern Part of Kyushu Di ec t (1) stri c. --- A Research to Lay the Foundation o ec f Di l t ‐Geography ←-‐ a. は じめに 本研究 は九州北東部地方の方言状態を地理学的に討究 してみようと したものである 失敗も多 。 く, 調査も考察 も不十分なものであるが 方言地理学の 小さな一 つの実践例として ごら んい , , , ただければ幸いである.. 従来, 言語地理学 と い う こ と が 言わ れ て きた 。 そ れ ら は, お お よ そ の と こ ろ, 方 言 事 象 で の地理学をさしていた。 私は 方言の地理学 的研究を意図す る 方言を体系的存在 としてとらえ , 。 , 方言そのものの地理 学的研究をおこなおうとするものである 。 小稿 は つ ぎ の よ う な 構 想 を予 定 し て い る 。. 第一章. 方言調査の方法--本稿【一. 第二章. 方言事象分布図の作成. 第三章. 方言事象分布の諸相 方言分派の認定. 第四章. 第五章 九州 北東部地方の方言状態 第一章では, 私 のおこなった調査について その方法を具体 的に記述す る 方言研究にお , いて 。 は, ま ず 調査 が重視さ れなくてはならない 調査が調査 学にまで高めら れれば, 方言研究も 。 一段と 深まっ てくると思う。 調査によっ て得た資料 を地図化する 第二章では その資料の整理 法と方言事象分布図の作成 。 , 法について記述する。 資料価値の高い資料 比較 研究のための整一 な資料を 入手するための調 査 , 作業も 容易ではないが, 得られた資料についての諸事象の体系的処理と 読者に誤解を与えるこ , となく, しかも諸事象の対応o分布のさまを明確にえが きだす分布図 を作成すること も容易では な い。. 第三章では, 分布図にえがきだされた方言事象分布の諸相を 方言音。アクセ ント。表現法・ , 語詞の四分野に関して, 分布領域本位に観察してゆく 。 諸事象の分布領域 を重ねあわ せてゆくことによ て しだいに分布傾向が読みとられ 方言分 っ , , - 1 -.
(3) . 小. 野. 米. 派が帰納され る。 方言分派の認定をおこなうの が第四章である. ここでは, 九州北東部 地方にお ける大小さま ざまの方言分派がとりたてられる. こうしてみち びきだされた九 州北東部地方の方言状態について, 第五章で考察する. 限られた で 資 料 に も と づ い て の, ほ ん の 一 角 か ら の, (自 分 に と っ て は 研 究 へ の ス タ ー トの た め の,) 試 論 あ る。 1 ,. 調. 査. 法. 方言の調査には二つの方法 がある。 通信調査と臨地調査とである。 (さらに, 文献利用の方 法 ) 1 もある.) 言いかえれ ば, 間接調査 と直接調査とである。 それぞれに一長一短がある 。 私 は, 単 独で, 臨地して調査をおこなうことにした。 方言は, その土 地の, その生活の中でこそ, 生きた すがたを体感できると 考えたからである。 調査法については, 細大にわたっ て, 2.. 調. 査. 瀬戸内海言語調査. 2 ) に 負 う も の で あ る.. 者. 調査者は小野自 身である. 私 は, 音声学の知識を身につ け, また実地に訓練することに努め た。 広島大学方言研究 会の調査実習の 場で方言調査への導入を受け, 1960年3月 以来, 個人もし 1年7月 からの瀬 くは共同研究の一員として, 調査の経験を重ねてきた. 地理学的研究では, 196. 戸内海言語調査に, 教え o みち びかれてきた。 3 ) ほ どよい調査者の協力 が得られるな らば, 共同調査がすぐれていよう . この場合, 複数の調 査者がよほ ど同一の訓練を受けていない と, 調査結果の整一を期するためには, かなりに譲歩し なくてはな らなくな ることがある。 ひとりで調査すれば, 調査結果は整一なものが期待できるが, 短期 間に多 地点の調査ができないの が最大の欠点である. 3 . 調査地域 l as の 研 究 で は, ド 調査地域 は広範囲に 及ぶことがのぞましいと 思われる. ドイ ツの Sprachat. コ ス ロ ヴァ ・ イ ツ 国 内 は 言 う ま で も な く, オ ラ ン ダ ・ ベ ル ギ ー o フ ラ ンス の 一部 ・ スイ ス チ ェ ッ 4 ) キ ア 等, お よ そ ドイ ツ 語 の 話 さ れ て い る 全 域 の 調 査 を お こ な っ た と い う 。. 県 を単位として, 方言地理学的研究に従うとするか. 調 査をすすめ るにつれて, 対象地域はしだいに拡げられてゆ くべきであることを知る。 大分県 あ る 地域 を き り と っ て, た と え ば. 地方の方言を調査 対象としようとすれば, 福岡県 がわの, とくに豊前地方の方言を調査する必要 ヒユーガ が出てくる. つい では日向地方 (宮崎県) の方言が調査されなくて はな らなくなる。 こうして, 豊日方言の境 域がしだいに明 らかにされて くるが, そうなると, その豊日方 言を内 包する九州方 言の方言状態を知る必要 が生じる。 さらに, 海をへだてての, 中国・四国地方の方言との関連も 追究さ れな くて はな らない. 東北地方の方言とのつながり, 西部方言中への位置 づけ, 東西方言 の比較な どが, つ ぎの発展的 作業とな る. かくして, 対象 地域 は日本全国に及ぶのが理想的であ る と い う こ と に な っ て く る.. 部) 私 の実践においては, 調査の対象 地域 を, 豊前および豊後地方(大分県全域および福岡県東 と 定 め た。 い わ ゆ る 豊日方言 域 の, 日 すなわち日向(宮崎県)を除いた 地域である. 豊. の方言状 態をさく っ て み よ う とい う の が, そ の 意 図 で あ る. はじめは大分県地方の方 言の地理学的研究をめ ざし, 大分県を調査 対象地域 として出発した. - 2.
(4) . 九州北東部方言の方言地理学的研究 (1). 地方行政 の直接単位である県をもとに, 何々県方言ないし何々県地方方言というみ かたで方言研 究をすすめることにも, たしかに一定の意義があり, また必然性のあることでもある まず第一 。 に, 地方の国語教育に結びつけることが比較的容易である。 方言研究はそれ自体一定の意義を有 するが, 国語教育を昂揚すべき責務もあると 私は考える 県単位の方言研究はよくその要請に応 。 えることができよう。 つぎに, 調査者のがわからす ればいろいろの便宜を得やすいということが. あげられる。 ことに参考資料の入手という点でそうである。 方言状態は自然的・人為的諸条件と 密援な連関を有する。 それらの資料は県単位 になっ ていることが多く, 県が異な ると統一された 条件下での参考資料が入手しにくいことが ある。 県は現代の地方行政においてその果たす役割が 大きい。 第三に, 方言上からみても, 県単位の調査 にある意味で必然性がみとめられる場合もあ. る。 第四に, 調査対象とす る県が調査者の出身県であ るとか現住地である場合, 調査者の郷土感 を呼びおこしやすい. 方言研究の上で 郷土感 を抱くことは, たいせつだと思う 郷土感を支 。 える深い愛情 をもっ て方言研究をすすめるとき, よく, 生きたことばを生きたことばと して 如 , 実にとらえることが できよう。 私 自身の出身地が大分県であり, 大学在学期間を除いてほとんど ずっ と大分県ですごしたということが, 調査対象地域を九州北東部 に定めることと必然的に結び. ついた。 私 が大分県の出身でなければ, この地域を対象地としなかったかもしれない し, その可 能性は大きい。 いまひとつ, 調査者が自身のことばについて内省することもできる 言語研究に 。 おける内省の方法は, 一定の意義を有するばかりでなく, 有効な方法でさえある 。 しかし, 大分県方 言ないし大分県地方方言 を想定し, その地理学的研究 をおこなおうと したこ とは, 便宜の域を出ない。 調査をすすめてゆくに つれて, 研究上 そのみかたの不安定 であるこ , とが判明してきた. 大分県がわと宮崎県がわ とで, それぞれ県境近くの数地点をえらび ごく軽い意味でそれぞれ , の 間 の 方 言 事 象 を く ら べ て み る とす る か。 そ こ に は た し か に か な り の ち が い が 見 い だ さ れ る 大 。. 分県がわの方言を大分県方言, 宮崎県がわの方言を宮崎県方言とすれば 宮崎県方言に対する大 , 分県方言というものをみとめることができる. 同様 に, 大分県と熊本県との県境付近についてみ タケタ アソ ると, 大分県がわの竹田市付近の方言と熊本県がわの阿蘇郡下の方言との間にも 大分県方言と , 熊本県方言とのちがいをみとめることができる。 大分県と福 岡県との県境付近 はどうか 日 田市 。 付近の方言と福岡県がわの八女郡・浮羽郡の方言と は, かなりに類似 している 日田市付近の方 。 言が大分県一般の方言に対していくぶん異なる様相をもっているのであ る が 趨勢としては 。 , , 日田市付近の方言も大分県方言とみられる。 中津市付近 については 福岡県がわの 築上郡東部と , ブゼン. の間に, 方言上, ほとんどちがいが見いだされない 豊前市 o 築上郡西部となると 中津市付近 。 , の方言とはやや異なりを見せてくる。 こう して福岡県 方言に対する大分県 方言をみとめることも. できる。 この場合, 福岡県築上郡東部の方言は大分県 方言の中に含めるものとす る (地方行政 。 上の県がちがっ ているだけで, 築上郡東部 は, 地理的にも生活上もほとんど大分県がわ の中津市. に依存しており, 中津市がこの付近の小中心地であ る ) このようにみてくると 周囲の三県にお 。 , こなわれる方言と対比的に, 大分県方言を認定す ることは必ずしも不可能 ではない その方言境 。 域 に, 行 政 上 の 区 画 と は い く ぶ ん の ず れ が あ る の は や む を え な い と こ ろ で あ ろ う 。 さて, 東条操先生 により 豊日方言 と い う こ と が 言 わ れ5 ) 定 説 と な て い る。 こ の 方 言 は , っ サツグー. 九州方言の中にあっ て肥筑方言 o 薩隅方言にくらべて九州方言色のうすい方言である 大分市の 。 方言と, 福岡市・熊本市・鹿児 島市の方言とをくらべてみると 実感としてちがいが大きい 九州 , 。 方言の中で豊日方言を認定す ることには妥当 性がある 一方 大分市の方言と宮 崎市の方言とを , , - 3 -.
(5) . 小. 野. 米. くらべ ると, これも実感としてそのち がいが大きいことにおどろ く. 豊日方言を 豊 と 日 ) そ の 豊 の方言状態を観察してみようとするところに, と に 見 わ け る こ と も で き そ う で あ る6 。 本研究 の意図 がある。 よび大分県全域) とする. 調査 以上によっ て, 調査対象地域を豊前およ び豊後 (福岡県東部お チクゼン ヒューガ 日向 (宮崎県) o肥後 (熊本県) ・筑前・ 予定地点はこの地域 内に設定する。 補助地点として, キ イヨ ア ナガト スオー チクゴ 筑後 (以上福岡県) ・長門・周防 (以上山口県) o安芸 (広 島県) ・伊予 (愛媛県) にも, 若干 の調査地点を設けることにした. 地理学的研究においては, 相当の広 がりをもっ た地域を, (しかも地点は密にして) その調 査 対象としなくては効果が少ない。 九州地方全域を 対象とするようであればよかった. が, 短期間 に, 単独で臨地して調査を実践することは困難で ある. やむ なく豊前 ・豊後地方に限っ たのであ る. 調査対象地域を九州全域 とすることも, たとえば語アクセント, 音韻関係の二三の事象, 特 に目をひく若干の文法事象, 語詞のい くつ か, な ど, それらのい ずれかについ てだけ個別にとり 調 、 あげて調査するのなら, 不可能なことではなかっ た。 (とはいえ, それぞれの地点で適格 な被 ばは, そ 査者を得ることは容易 でない。) しかし, 部門を設けることは研究上の便宜である. こと 生きたも うした部門をこえて, 一全体として厳然と存在する。 そのことばを, 存在 するままに, 的にとり らを統合 のとしてとらえたい。 とすれば, 研究者の目から部門観に立つ としても, それ ばの実態を あげる研究を意図すべきだと思う。 いた ずらにある部門だけをおしとおすのは, こと 把 握 す る こ と に は な ら な い。. 4 . 調査地点. イトイガワ. 調査地点は密であるほ どよい。 柴田武氏らは新潟県糸魚川 地方において 全部落調査をおこなっ 地方あわせて約110地点しか ) たという7 。 私 は, 労力と調査予定日数な どの都合上, 豊前・豊後. 選定できなかっ た. 粗にすぎ, その意味での欠点はおおうべくもない. 各地 点はおよそつぎのような基準にもと づいて 選定することに した。 ”) 生業; 農業主体の部落を優先する。 つい で林業または漁業中心の部落をえ らぶ. 農業を生 業とする部落には地つきの人が多い。 方言上他地方からの影響関係も比較的少ないことが予想さ れる。 全部落調査ではないので, ある地点がその 地点を中心とする周辺部 一帯の代表地点とみな されることになる。 農業主体の部落であることがいち ばんふさわしい とされよう. 山間地方にお いては林業 主体の部落, 海岸地方においては漁 業主体の部落 が代表としてふさわしいこ ともある. 未調査地点を多く含む だけに, 結果的にあまり誤 解さ れること がないようにとの心づ も り で あ る.. 0戸以上の集落 とする。 50~100戸 が適当かと考えた. 多くてもおよそ に ) 戸数: 原則として3 300戸までの集落を限度とした。 戸数があまりに少ない部落では, その土地の生活語把握が困難 であり, 代表地点としてもふさわしくないと考えられる. 適格な被調査者 も得られに くい. 逆に. 戸数が多す ぎても不都合なことがある。 “ 票落性: 散村をなるべくさ けて集村をえらぶようにする. 概して, 散村より集村のほうが 生活が一体的であり, 生活共同意識も 強い。 集村では一方言共時態をみ とめやすい. 代表地点の. 方言はひとつの方言共時態でな くてはならない。 鈎 方言: 周囲の部落の方言にくらべて いち じるしく方言が異なると言われる部落はさ ける. 調査地点が粗であるため, 一 つの調査地点が周囲の方言をも代表しうるような地点をえ らぶよう - 4 -.
(6) . 九州北東部方言の方言地理学的研究 (1) 心が け る こ と に し た.. これらの基準によっ て, 五万分の一の地図などをもとに, 調査予定地点を設定した 調査地点 。 の最終的な決定 は, 臨地しての現地での判断による。 5 , 被調査者 被調査者の選定が調査結果の資料価値を大きく決定づける 被調査者の選定に 慎重であ りす 。 , ぎるということはない。 もとより, 調査地点の全住 民を被調査者とす ることができれば理想的で ある, 被調査者の人数は多いほどよい。 せめて, 老若男女, 各年層性別の代表を尽くすことがの ぞましい. 当該部落の生活語把握のためには, そのように考えるべ きであろう , 一方, 特殊な目的のための調査に は 特殊な基準にもとづいて被調査者がえらばれてよいことに , なる。 私 の場合, ひとりの力で, 短期間に, できるだけ多くの地点の調査 を実施しようとくわだ て た. す る と, 一 地 点 の 調 査 に 長 時 間 を か け るわ け に は ゆ か な く な る ぎ り ぎり の と こ ろ 一 地 。 , 点に つ い て ひ と り の 被 調 査 者 と す る こ と に し た 。 ひ と り の 被 調 査 者 で は あ る が, そ の ひ と り の こ. とばの中に, 当該部落の方言をみ, 周辺部 をも代表しうるような方言をみようとしたのである 。. ひ と り の 被 調 査 者 と し て, どの よ う な 人 を え ら ぶ か 。 年 層 は 老 人 と い う こ と に した。 (こ の 場. 合, 人数を二人, 三人とすること もできるが, のちにかかげる条件にあう人を全地点 にわた て っ 二人または三人ずつ確保することは困難であり, かといってある地点では三人 ある地点ではひ , とりというの では不ぞろいになるので, 全地点をとおして被調査者をひとりとした ) 壮年・青年 。 ・少年いずれもそれなりの調査対象として価値が高いが, いまは老年層に限 た (少年 層につ っ 。 いても調べ, 老・少を比較するのが よいと思うが, 今回は割愛 した ) 。 年 令 は60才 か ら69才 ま で と した。 こ れ を, 60才 以 上 と い う ふ う に は し な か た 老 年 層 と し て っ 。. は, 年令の高い ほど興味深い事実に出会うことが多 い しかし, ある地点で80才のか こうの被 。 っ 調査者が得られた としても, 全地点もしくは大部分の地点で, そのような被調査者を得るという こ と は, ま ず も っ て 不 可 能 な こ と で あ る。 80才, 90才 の 被 調 査 者 の 回 答 と60才 の 人 の そ れ と を ,. 単純に同列に扱うわ けにはゆかない. そこで, 個人差をできるだけ小さくし ほぼ均質的な資料 , を得るために, 年令のはばを10年間とし, 60~69才と定めた. この年層内で被調査者を得ること が困難な場合に は, 次善の策として, 土5年のはばを設け, その範囲内で 60~69才に最 も近 い , 年令の人をえらぶこ とにした。 調査をすすめるにつれて, この年層でよかったとの確 信 を 深 め た. これより若い年層のことばは壮年層のものとなる。 これより年令が高くなると 健康な人と , そうでない人との差が大きくなり, 整一な条件のもとでの被調査者が得られにくい 55~75才が 。 ひ と つ の 限 度 で あ っ た。 60~69才 を 基 準 と し, 土 5年のはばを設けたことは 妥当な措置であ , っ たと思われる。. 被調査者の性は女性とした。 男性は生活の場が広く, 近隣諸方言との交流も多く, ことばを改 めることも多い。 大部分の人に兵役の経験があり, 外住の経験のない者は稀である 男性は被調 。 査者として個人差が大きい。 女性はそれらの短所がない。 ただ, 他地から嫁に来たという人が多. く, 当該地生まれの人をさがすのにを まねがおれる。 男性を被調査者とする調査もおこなっ た。 被 調査者は得やすいが, 女性のほうがすぐ れていると思われる。 以 上 に よ っ て, ひ と り の 被 調 査 者 を, 60~69才 の 女 性 と し た そ の 選 定 条 件 を つ ぎの よ う に 定 。 ) め た8 .. ” ) 土地 (当該部落) の生まれであっ て, 外住の経験がないこと - 5 -.
(7) . 小. 野. 米. に) いつも方言生活をしていると思われる人 (できれば話し好きの人). 身体が健康である こと (とくに, 耳・目・歯) ・人は 条 件”)を規定する ことは当然である。 たとえ隣り部落であっても, 当該部落の生まれでなし ら 生活の居を移した 当該部落以外に ,そ 被調査者としない。 外住の経験についても同様に扱う. れが隣り部落であっ ても外住とみなす。 すると, 婿取りか当該部落内での結婚かに限 られる. 外 住の経験がまったくないという人も少ない。 外住の経験のない人がみつか らない場合, 当該部落 5才になるまでをす ごし, その後も3年以上は外住経 験のない人をえ らぶ. 該当者がな すれ で満1 )の条件も忘れてはならない. 私 の場合, ひとりの被調査者にす べてを ば別の地点に変更する。 中 託するのだから, 当該部落の方言の, よき語り手でな くてはならない. そこの土地ことばで,気 ら 的. く に 語 っ て く れ る 人 が い い。 で き れ ば 話 し 好 き で あ る に こ した こ と は な い. を9に つ い て も 一 応 の 考 慮 を は ら っ て お く べ き だ と 考え る。 60才 台 の 人 だ と, 元 気 に 働 い て い る 人 も あ る が, 床 に つ い. ている人もある. 2時間ほどの質 問調査に耐えうる人でな くてはならない。 はなはだしく耳の遠 い人は, 調査をすすめる 上で不都合である. あいさつことば・待遇表現法な どはかなりこまかな 場面設定をおこなう. その 場面を的確につかんで回答しても らうことになる。 調査の後半で絵 図 カ ー ドを 見 せ る。 目 が 見 え な か っ た り, い ち じ る し く 目 の う す い 人 は ぐ あ い が わ る い, こ と ば で. 説明を補な うことはできる が, 資料の整 一のために, 調査ごとの誤差・条件差を, つとめて小さ くするようにと 心が け る の で あ る. 発 音 の 調 査 の た め に は, 歯 の そ ろ っ て い る 人 で あ る こ と が の ぞ ま しい.. 6 . 調査項目. 調査項目は, 思いつきであっ たり, 任意であっ てはならない. 方言は体系 的存在である. その 方言の体系に立脚して, 調査項目が定められる べきである. 項日の体 系がおのずから方言の体系 を示すようで ありたい。 そのような意図のもとに, 各地点にわたっ ての整一な資料が得られるな. らば, 方言比較によっ て立つ方言地理学も, 有効に展開されることになるだろう. 体系的な意 図のもとに用意される 調査項目は, 一つでも多いほうがよい. 調査では一 つ一つの 具体 的な事象についてのみと らえる。 それらの事象から体系的存在としての方言にせまるために は, 一つの事項についても, 多方面からの実証 が必要となる。 しかし, 一地点での調査時間を限 るので, 項目数をも限らな くてはな らない. ひとりの被 調査者で連続的に調査をするのには, こ れまでの経 験からすれ ば, 3時間が一応の限度である. 私 は調査所要時間を1時間半ないし2時 間 と し て, 項 目 数 を140~150項 目 と み こ ん だ.. ) 9 項 目 の 選 定 に あ た っ て は, 自 分 自 身 の こ とを をもとに, 大分県地方の方言に関する 諸文献 ,. o )を参照した。 こうして準備した千数百項目のひとつひとつについて検討 『全国方言 辞典』 な どl を加え, 限りに限っ た。 実験調 査 (後述) により大分県出身の学生数人の意見をきき, また瀬戸 内海言語調査の体験をと おして, 144項目と した。 資料の整 一をはかるために, 項目の排列順序. を定め, 問いのこと ばを統一し, 一部の項目はこれを絵図化した. 予定された調査項 目の体系はつ ぎのとおりである. 十 印 を付 し た もの は, 主 眼 が他 の 観 点に あ る もの. * 印 を付 し た もの は, 調 査項 目 と し て ほ かか げ な い が, 調 査中 に 聴 録 を心 が け る もの. 発音の調査をね らいとするもの ゴ 1 . 鼻母音に関する発音…孫 (マソ ). A. - 6 -.
(8) . 九州北東部方言の方言地理学的研究 (1) 2 .. 1 ) 子 音 に 注 目 し て の 音 節1. 1) 〔kwa 〕 音の有無…火事 o*菓子 o十こ じ き (ク三 ソ ジ ソ) ) 「セ」 の発音…先生 (シェ ン 乙エイ) 2 ) 「ザ」 の発音…ひざ (ヒダなど) 3. 4) 「ッ」 の 発 音 …+つ く し (ト ゥ ク シ) ) 5) 「テ」 の 発 音 …+て < 助詞 >, 明 後 日 (ア サ ッ チ ) ェ. 6) 〔Fe 〕 音の有無…灰 ・*蝿 (フェ ー) ) 7 ) 「口」 の発音…ろうそく (ドーソクな ど) 8) 「ヮ」 の発音…わらじ (アラジ) ) その他の注目すべきもの 9. /si h i /と/ /…舌。明日 (アヒタなど) k寒 い o+狭 い ・十まを ゆ い (ケ ブ リ サ ビー な ど) /mv/ と /bv/… 煙, *け む い o; ,. 3 .. 連母音o長母音. ア カ イ. 1) /Ca i ノ 連 母 音 … か い こ o*まゆ o+灰 ・*蝿 ・*芝 居, *な い 。+暗 い 。十明 か る い 。 狭 い 。 +汚 い 。*重 た い ・+き な く さ い +た い く助動詞> *履 い て 。*咲 た い , , i / 連 母 音‐‐*よ い 潔 白し・o 黒 い ・*広 い 。*重 い, +来 い 2) /Co 3) /Cui / 連母音…+親類 *暑い・*寒い o*け む い o+明 かる い ・ まを ゆ い. ,. / 連母音…+先生 o*生徒 4) /Cei. 5) 音便形…飲んだり*喜こんだ 6) オ 列 開 合 音 …*き ょ う o十長男 7 ) 長呼・短呼…+暗い o+黒い. 4 . 5 .. 語 ア ク セ ン ト 《 二 音 節名 詞 》 …+蟻 ・十蟹< 第1 類 >, ヂ雪 < 第 ロ 類 >, *花 ・*雲 < 第 m 類 >, *き ょ う < 第 W類 >, *雨 。 蜘 妹 < 第 V類 > 話 部 アク セ ン ト…*雪 が り*花 が o*雨 が, *き ょ う は, *こ れ を. B 表現法の調査をねらいとするもの 1 ,. 待 遇 表 現 法… ソサイ, ナ サ リ ー o ソサ リ ー, ナ ハ レ o ナ ハ イ, ナ ー リ ー, ナ レ 。 ナ イ 。. ナ ー, ナ サ ッ シ ー, ナ ハ ン シー, ナ ンセ o ナ ソ シー, ソセ ・ サ ンセ; く だ さ い, ~ て く れ; オ見 リ, 寄 り ョ; 来 い ; ヤ ンス リ ヤ ンス ル. 2 .. 文 末 詞 法 …ノ ー o ナ ー ・ ネ ー,. タ ナ ー リ ア ソ タ ナ ー, ナ ー エ, ナ 〈問 い〉 ,. ヤ ー リ ヤ く誘. い >, チ コ, ク セ, バ イ ・ タ イ. * 3 , 断定表現法…~だ, そうさ * 4 . 打消表現法… ~ぬ, ~なかった * 5 . 可能 (不可能) 表現法… 行けない, よう~ぬ. 6 . 伝聞表現法…~そうだ 7 .. 推 量 表 現 法 … ~ だ ろ う, ~ ツ ロ ー. 8 . 希望表現法…行きたい 9 . 使役表現法…行かせる. 10 . 状態継続態◎動作進行態…~ている (チョ ル o ~ ト ル), ~て い る (~ ヨ ル な ど) 1 1 . 接続の表現法…そして o そ した ら, く形容詞連用形> + て り ~な が ら 。 ~ か ら 。 ~ の で, ~の に o ~けれど, ~ ずに. - 7 -.
(9) . 小. 野. 米. 12 . 格助詞法…~ が, ~の, ~を, ~へ. 副 助 詞 法 … ~ な ど, ~ ば か り, ~ ごと, ~ ぶ ん. 13 . 14 .. あ い さ つ 表 現 法 … 朝 ・ 日 中 の あ い さ つ, 訪 問 ・ 辞 去 の あ い さ つ. 16 .. 応 辞 …はい o いいえ. 15 . 謝辞…あり がとう. 17 . 活用 上注目される動詞・助動詞. 1) い わ ゆ る 二 段 活用 … 起 き る ・+落 ち る ・*上 げ る ・*食 べ る, +~ せ ろ く 使役 > * 2) い わ ゆ る 五 段 化 傾向 … 出 ラ ン ・出 し, *見 ラ ン・*見 し, *着 ラ ン・ 着 し * * * *よ い *白 い ・+黒い ・ 暑 い o 寒 い ・*広 い ・+狭 い 18 , , . 形容 詞 のヵ語 尾の有 無 … ない ・ +明 か る い ・*け む い .*重 い, +汚 い o+ま ば ゆ い, +お そ ろ しい ・+き な くさ い ・+美 しい. 語詞の調査をねらいとす るもの * 咲く 1 . 動詞…落雷する, 落果する, 正座する・安座する, お世辞を言う,. C. 2 . 3 .. 4 . 5 .. 形 容 詞 o形 容 動 詞 … 汚 い, お そ ろ しい, 明 かる い, ま ば ゆ い, き な くさ い; き れい だ 副 詞 …*そ う , そ ん な に, た くさ ん, と つ ぜ ん, た ち まち に 代 名 詞 …私 <自称> ・ 汝 <対称> ・*あ の 人 く他称> * 名 詞 … 昨 日 ・ 一 昨 日, お お み そ か, 地 震 ・ 雷 ・ 日 照 り 雨 ・ 虹; 山 頂 ・ 氷 柱; 便 所 ・ 煙. 突; 背負いばしご・竹の皮笠・十わらじ; 内証金; 財産家・こじ き, 怠け者・臆病者・ お 世 辞 者 o おてんば娘, 左利き;親類, 長男 o 末 子 戸{唇 ・十舌 ・*唾 ・ か かと ; つ ば め,. と ん ば .*あ かと ん ぼ, *蛾 .十か い こ ・*ま ゆ, か ま き り, く も ・*く も の 糸, あ り, と か げ ・ *い も り ・ も ぐ ら ・ かた つ む り o かに・めだか o お た ま じ ゃ く し ・ *か え る ;+つ. く し, い た ど り, 鳳 仙 花 o ひがん花, 松穂, とうもろこし・甘藷・ 馬鈴薯・*さといも . 南 瓜; 肩 車 ・ 片 足と び o走り 競争・かくれんぼ・じゃ んけん, 凧. 項 目 と し て か か げ て い な い 事 項 (*印をっけたもの) に つ い て は, 「28菓 子 を や る か ら こ ち らへ 来 な さ い.」 「41き ょ う は 暑 い ナ ー。」 「62こ れ を く だ さ い.」 「133雪 が 降 り ヨ ル.」. 当該項目の調査事象) な ど の 文 例 に お い て き き と め る よ う に し た.. (波線部が. 「来 な さ い」 はのちの待遇表. 現法関係の調査の予 備項目ともなっ ている。 そのような, 予備または検証の項目も前後に排列し た. 一項目の調査によっ ても収穫が多い. 一語を含む文例で, 音声に関すること, 語アクセ ント や女アク セ ント, 文法事象, 語詞等について知ること ができる. 数少ない 調査項目の中に, でき るだけ多 くの事項が有機的に観察できるようにと くふうした。. 各 項 目 ごと に 一 定 の 問 い の こ と ば を用 意 し た。 絵 図 カ ー ドの 絵 は,さ し 絵 ・ 写 真 な どに よ っ て,. また空想によっ て, 自分でかいた. まずい絵が多かっ たが, 被調査者はたいてい 絵図を見て了解 があっ た. 首をかし げる絵図も二三枚あっ た. 絵図を理解しかねる 場合にのみ, ことばで説明を. 補なっ た. (記録には/を引いて区別した.)絵図化したもののほか, 「かかと」 「ひざ」 「舌」 などは実物を示した. 「安座する」 はそういう動 作をした。. これらの項目のうちには, なお削除してもよいもの, 他に追加す べ きものな どある. 本格的な 調査をこれからもう一度やりなおしたい気 持ちが 強い. 私 の調査はあまりにつたな く, 不十分で あっ たことを恥ずかしく思う。. さて, 調査にあたっ ては, 調査項目を適切な順序に排列する必要 がある. 用意した調査項目の 体系にした がっ て, その順序に調査をすすめるのも一方法ではある が, 必ずしもそれがよくはな い. そこには一定の排列順序を くふうする必要があろう. 私 は, はじめに比較 的単純なものを置 - 8 -.
(10) . 九州北東部方言の方言地理学的研究(1) き, しだいに複雑なものへとすすめ, 後半には絵図を中 もとする項目をならべることにした .各 項目の順序 はできるだけ相互連 関的になるようにくふう し じ さいの調査の場にお いて, 自然 , っ 会 話 の 展 開 の す じ み ち に の せ る よ う に つ と め る こ と に した . こ う し て, さ き の 調 査 項 目 体 系 中 に. 位置づけられた各 項目を,つぎのように排列 した (項目の頭番号は その項目の排 列順序 を示す。 。 , 番号に* 印をつ けたもの は絵図化し た項目である ) . 1明 日. 2明 後 日. 3昨 日. 落 雷 す る 11日 照 り 雨 18汚 い 長男. 19お 世 辞 者. 27孫. 4一 昨 日. 12ま ば ゆ い. 20左 利 き. 34辞 去 の あ い さ つ. どこ へ. 40ナ. (女末詞). (文末詞). 48バ イ. 53ナ ソ セ リ ナ ソ シ ー. ーリー. 58ナ ハ レ 9 ナ ハ イ. 64~ ごと. う ~ぬ. 65~ ず に. 71~ ば か り. る. 7お そ ろ し い. 14明 か る い. 30う れ し く て. 35同 応 待. サ ソセ. ぶん. 6地 震. 15狭 い. 31あ り が と う. 36朝 の あ い さ つ. 8臆 病 者. 16怠 け 者 24親類. 9雷. 10. 17そ し て 25末 子. 26. 32訪 問 の あ い さ つ. 33. 37起 き る. 38日 中 の あ いさ つ 39 41ノ ー o ナ ー ・ ネ ー (文末詞) 42ナ ー エ (女末詞) 43 44チ コ (文末詞) 45タ イ (文末詞) 46ク セ ( 女未詞) (文末詞) 49ヤ ソス ・ ヤ ソス ル 50 ソサイ 51ソセ 52. <問い> (文末詞). タ ナ ー o ア ソタ ナ ー. 47ヤ o ヤ ー. 13暗 い. 21お て ん ば 娘 22内 証 金 23財 産 家. 28~ か ら 29そ し た ら. 同応 待. 5お お み そ か. 54ナ サ ッ シ ー. 55ナ ハ ソ シ ー. 59ナ レ o ナ イ o ナ ー. 66~ ヘ <方向指示>. 72~ が. 73~ の で. 78た ち ま ち に 79飲 ん だ 80~ な が ら ロ ー 85は い く応辞> 86い い え <否辞>. 60寄 り ョ 67来 い. 56ナ サ リ ー 。 ソ サ リ ー. 57ナ. 61オ見 リ. 62く だ さ い. 63~. 69そ ん な に. 70よ. 68~ て く れ. 74~ の に. 75出 ラ ン。 出 し 76~ け れ ど 77~ せ 81〆 も も 〆な ど 82~ な か っ た 8 ト だ ろ う 84ヘヴ. 87私 <自称> 88汝 <対称> 89黒 い *90つ く し *91い た どり *92鳳 仙 花 93咲 く *94ひ が ん 花 * 95き れ い だ 96甘 藷 *97馬鈴 薯 *98南 瓜 *99と う も ろ こ し *100便 所 *101ろ う そ く 102き な く さ い *10 3火 事 104~ だ 105灰 *106煙 *107つ ば め *108と んをぼ *109く も * 110か い こ *111かた つ む り 12も ぐ ら *113あ り *114と か げ *115か ま き り *116か に * 117め だ か 118た く さ ん *119お た ま じ ゃ く し *120か く れ ん ぼ *121じ ん け ん *122走 競争 * り ゃ 123片 足と び *124肩 車 *125凧 *126虹 * 127山 頂 *128背 負 い ば し ご *129松 檀 130落 果 す る *1 31氷 柱 *132 *133~ て い る ~て い る <存在態> *135竹 の 皮笠 *136わ らじ <進行態> 134と つ ぜ ん *138こ じ き *139正 座 す 137~そ う だ <伝聞> る 140安 座 す る 141か かと 142ひ ざ 143 舌 144先 生. この排列順序も まだ検討の余地が多分にあると思われる そのいく つかの点に気づ きもしたが 。 調査の 開始後であっ たので, 全地点 の調査終了まで 入れかえ ることはあえてしなかっ た。 , 7 , 予備調査 臨地調査にさきだって, どんな かたちかでの予備調査をおこなうことが 必要である。 予備調査 によっ て本調査 の成果はいっ そう高められる 。 予備調査と しては, 調査予定地域 内の数地 点を 点々とえ らび それらの地 点に臨地 して, 試験 , 調査をおこなうのがよいかと思う 私 は二通りの予備調査をお こな た 。 っ 。 通信調査と 実験調査と で ある。. 通信調査では, 調査対象地域を広範囲とすることが比較的 容易であ る。 かりに大分県地方 の方 言を調査対象とす るとしても 通信調査においては隣接諸県 にも及ぶ , ほうがよい。 そこで, 大分 県全域 のほかに, 福岡県東南部 熊本県東北部 宮崎県北半を も対象地域 , として, 約200地点に, , - 9 -.
(11) . 小. 野. 米. 一. と 通信調査をこころみた. 165地点から回答を得た。 中学生女子 (主に2年生) 2名を被調査者 ・ただいた. 調査項目は, さきにかか げた本調査のための項 して, 当該中学校の 先生に調査してし (本調 目の中核をなすと 思われる46項目をえらんだ。 この 通信調査によっ て, 項目の えらびかた 等を, 具体的に実習するこ 査で削除した項 目もある) , 排列のしかた, 資料の整理と地図化の方法 とができた. とができた. 調査対象地域における 方言事象分布の概況をもい くらか把握するこ みた . つ ぎの諸君であ また, 大分県 出身の, 広 島大学学生を被験者として, 実験調査をこころ る.. サヱキャスコ. ナカッ. (中津市) 北部都市=佐伯 保子 ウ サ ヨツカイチ アソー タハラタカシ 農村=田原卓 (宇佐郡四日市町麻生) ゴ トータカユキ ベツブ. (別府市) 中部都市= 後藤孝 之 ・チ ワ キ オーイタ イ ノ ヤマモ1 猪野) 農村=山本智和喜 (大分市 ーノ アサ ジ イチマン ダ アナンミツヒコ. オ. 南部山間部=噌事非髪勢大戦塾朝地艶車万里も. 海岸部=御 手洗祥子 (南海部郡蒲江 町丸市尾) て それぞれ男女 大分県の北部。中部・南部の, 都市部と農村 あるいは山間部と海岸部とについ , べ た ) 調 査 項 目 の 選 定, 問 い の こ と 1 名 ず つ 調 査 し た の で あ る。 (西 部 に つ い て も調 る と よ か っ .. ば, 調査法, 方言事実, 等々に関して, 有益な教示を得た。 地へ行っ ていない. や この二 通りの予備調査は, ともに青・少年層についてであり, しかも現 施す べきであ はり, 調査予定項目をたずさえて, 現地へ出かけ, 老年層についての予備調査を実 っ た と 思 う。 8 .. 本. 調. 査. ぎの と お り で あ る. 臨地 調査においての, 調査期間な らびに調査地 点数 は, つ 63年1月): 1962年12月 ~19 第1回 ( 12月24日 ~ 1 月 8 日. 16日 間. 1963年3月 ~1963年4月): 第2回 (. 25地 点. 3 月 1 日 ~ 3月 7 日. 7日間. 12地 点. 3月 9 日 ~ 3月21日. 13日 間. 20地 点. 3 月24日 ~ 4月 6 日. 14日 間. 28地 点. 4月 7 日 ~ 4月13日. 7日 間. 12地 点. 小計. 41日 間. 72地 点. 1963年7月 ~1963年8月): 第3回 ( 7 月30日 ~ 8月12日. 14日 間. 24地 点. 8月14日 ~ 8月18日. 5日 間. 7地 点. 小計. 19日間. 1地点 3. 1964年7月 ~1964年8月); 第4回 ( 6地点 4 日間 ~ 7 月22日 月1 9日 7 7月24日 ~ 7 月25日. 2 日間. 3地点. 7月30日 ~ 8月 1 日. 3日 間. 6地点. 8月 3 日. 1日 間. 2地 点. 8月 5 日. 1日 間. 2地 点 - 10 -.
(12) . ー . 十 . ・ ・ .. 九州北東部方言の方言地理学的研究 (1) 8月20日. 1日間. 1地点. 8月25日. 1日間. 1地 点. 小計. 13日 間. 21地 点. 合計. 89日 間. 149地 点. 調 査 は, 地 点 を ジ グ ザ グに ぬ っ て おこ な う の が よし・と 思 う 。 た と え ば, き ょ う 北 部 の あ る 地 点. へ行けば, つぎの日は南部の地点へ, そのつぎの日は西部へ, さ らにそ のつぎは周辺の愛媛県な どへ, と いうふうに。 日程や費用などの都合から, およそ連続的に調査をすすめるこ と に な っ た。 まず郷里に近く方言にもなじみのある東南部の 臼杵市以南の海岸地 方をまわ り つぎには反 , クス ヒタ 対方面で方言にもいくぶん異色のみられる西部の玖 珠郡り日田市り日田郡へ ついで ‘豊後こと , タケタ ナオイリ オ【ノ ば’ の中心地, 南部の大野川水系にあたる竹田市り直入郡 o 大野郡をまわ た つぎに目を北部 っ 。 プゼン ニシケニザキ オーイタ に転じて, 中津市を中心とする豊前地方, 西国東郡・東国東郡をまわっ たのち 中部の 大分市・ , 大分郡, さい ごに周辺部へ, という順序になっ た 連続した地点をつぎつぎに調査してゆくと 。 , 調査者の類推が働きやすい。 よほ ど気をつけないと, それまでの調査地 点で得た回答から類推し , 現地 点 の 調 査 を お ろそ か に し かね な い 。 こ の 点 に つ い て は十 分 に 戒 め な く て は な ら な い と 思 う。. 149地点の調査地点のうち, とくに不適格と思われる7地点をのぞいた 地域別の地 点数は , , 豊. 前. 豊. 後. 2 )(セ1 ~25) 24地 点1. 86地 点 小計. 宮崎県 (日向) 熊本県 (肥後). (コ 1 ~86). 110地点 )(M I ~ 9) 3 8地 点1. 9地点. 4 )(筑前・筑後) 福岡県1 山口県 (長門・周防). 6地点. (KI~ 9) (F I ~ 6). 3地 点. (Y I ~ 3). 広島県 (安芸) 愛媛県 (伊予). 2地点. (H I ~ 2). 4地点. (E I ~ 4). 小計. 3 2地点. 合計. 14 2地点. と な っ た。 そ の 調 査 地 点 は 下 記 な ら び に 調 査 地 点 図 の と お り 。 (被調査者名のあとの ( ) 内の数字 は生年 (明治) を示す. 地点図上では山ロ o 広島・愛媛各県を省略した ) 。 ドーバル. ′ 、 、 サ ヤ ノ( セ1福岡県北九州市門司 同 区恒見 メ押 日 東 田 ノ・ 2 同 市 小 倉 区道原 (3 5) 2同市小倉 区 道 原, 谷 端 ハ ッ ヨ(31) 、, 、条 , 入江サヤノ シモイ ト ソイダ ヤナギバル 3同県田川市西区位登 町下位登, 加治マタ ョ(34) 4同県田川郡添田町柳 田川郡添田町柳原, 新 屋 サ クノ , タミ ヤマウラ ラタ ミネ. ミヤコ カン ダ. ジンゴ. 5同郡赤村山浦田峯, 大場カメョ(36) 6同県京都郡苅田町神後 、 サ ノ( ぜ′ 34 4 ね, ) 7 3 , 入江サノ サイガワ カミイ ラ ハラ チクジヨー 同郡豊津町綾野, 進タマ( 29 ) 8同郡犀川 町上伊良原, 中原亀代(38) 9同県築上郡椎田町 田 ス ダ ナカムラ ゴーガワ ゴーバル 奈古, 奥本フデ子(38 ) 10同県豊前市角田町中村, 則 則尾道枝(3 1) 11同市合河 町合原, 一本 タルミ シモゲ サンコー シ ー モマ リ ュ ウ(35) 1 2同県築上郡新吉富村垂水, 志賀サガ( 27) 13大分県下毛郡三光村下株, 倉迫 ヤ バケイ カキサカ ツチ(25) 1 5 )柿坂, 白田リク 5同郡耶 馬渓村1 白田リ (26 ) 16同 6同村津民大野, 上堀 ツルョ(30 ) 17同 エゴモリ コバラ イ 村家龍, 幸野ツギヱ(36 ) 18同郡山国町中≧ 中摩, 河端シズヱ 端シズヱ(38 ) 19同 町小原井, 小原井サ ・原 井 サカ カ ナイ ブ ジ インチ ア ジ ム ダイブツ ヱ(2 6) 20同県宇佐 郡院内町分寺, 元永トミ(32) 2 1同郡安心院 町大仏 大仏, 永塚サカイ( 2 5) ヤマブクロ ハマタケイ ナガス 6 )山袋, 松本トキヱ( 22同郡四日市 町1 24 ) 23同 町浜高家, 今池ヒデ(3 1 )西 ) 24同郡長洲町7 2 浜, 藤枝ツジ( 8 )日足, 未 29 ) 2 5同郡宇佐町1 和気タキヱ(34 ) (28 ). - 11 -.
(13) . . 小. 野. 米. 一. 喜 愛慕濃艶認識. i F 3 --r o◎ . ′ 寅多 く \メ 、 こぎ6 瀞 、 ド…. 駆 駿。. ,. 〃. ≠ カ. エ. 26 2 一M9一 …\ 。い 0 2&「、、 3. . ざ習 ; ‐ 三 三 8 日 沿′も” ( ./ 這. ノ 『7 / マ. キジヤ. ミツ ) 3同郡 ) 2同郡中津 江村川辺, 原部キミ(34 コ1大分県日田郡 上津江村雑谷, 宮木マ ッ(28 イツマイチ 1 9 )五馬市 前津江村大野本村, 佐藤 ・ッ(36) 4同村柚木星払, 長谷部ヤナ(34) 5同郡栄村 イ ワイバル ) 7 同市夜明中町祝原, 6) 6同県日田市鶴河内町下河内, 本河サメ(34 本村, 湯浅ミハ(3 キムタ クス シモモロドメ ヱ ) 8同市諸留町下諸留, 後藤ナラ(39) 9同県玖珠郡玖珠町木牟田, 賀藤ノ 三俣スガ(37 ナオイリ ノ ンタ タ ノ ・ ココノエ テラ ダ 1) 12同県直入 5) 10同郡九重 町寺田, 帆 足マッヱ(35) 11同町飯田田野, 甲斐シナヱ(3 (3 オギ エ ラ ハル クジュー アリュージムゴーバル ) 1 ナ( 2 9 4同県竹田市大 ) 13同郡荻町恵良原, 安藤ヒ 28 郡久住 町有 氏 向 原, 如法寺 トリ( オガタ. コハル. アサジ. ナカクマ. タマキ 6) 16同郡 朝地 町栗林中熊, 衛藤 ) 15同県大野郡緒方 町小原, 伊東ツネ(2 田牧, 堀 トワ(22 ノ ナガオ キタゾノ 26) 19同郡野 5) 18同町安藤長尾, 安東シズ( トリ(35) 1 7同郡大野町北園, 甲斐ミスミ(3 ミ エ オクウチダ ツ ナベタ 1同郡三重町奥内田, 三浦ハッ 9) 2 ) 20同 町清水原, 川 野キク(3 津町鍋田, 三和田チ ズ(33 ホンジヨー イン ピ オ ノイチ ミナミアマベ ウ メ 5) ) 23同郡本匠村因尾, 染矢エミ(3 5) 22同県南海部郡宇目町小野市, 矢野ハマ ヱ(27 ヱ(3 ヤヨイ. ヒサギウチ. ナオカワ ヨコガワ. ) 26同郡直川村横川, 小 28 5同郡弥生町提内, 五十川 トョ( ) 2 24同村字 津々, 吉良フ ジ(33 カマエ マルイチ ピ 0 ) 29同町西野 5) 28同町蒲江, 後藤ツネ(3 7同郡蒲 江町丸市尾, 山崎ヒ デ(3 ) 2 野ヌイ(32 6) 32 1同郡米水 津村色利, 塩月 サ ダコ(3 ) 3 0同町楠本, 小野タメ(29 1) 3 浦, 中田イョ(3 タンガ ) 7 28 ) 34同町丹賀, 山崎マキ(2 ) 33同郡鶴見町大 島, 古川キク( 同村浦代, 高宮スミ(32 サ エキ キタチ ニシノヒラ ハイデ 松下タ 立区西ノ平 5) 3 7同県佐伯市木 , 0 ) 3 6同町地松浦, 三叉ミャ(3 5同町羽 出, 匿名(3 3 フタバエ フル エ シモカタタサイノ 0 デ 同市大入 2 5 ) 4 ( 江 石丸ソ ) 3 9同市二栄区古 , 29 0 ) 3 8同市下堅田西野, 丸山スナ( ョ(3 力ミウラ ツ イ 5) 4 2同町蒲戸, 神野クニ 1同県南海部郡 上浦町津井, 青木ウラ(2 ) 4 26 島塩内, 本川キョ( ョウラカリトコ 0 5同市四浦 ) 4 ) 43同県津久見市保戸島, 島田エチ(28) 44同市四浦狩床, 神矢リウ(3 (32 - 12 -.
(14) . 九州北東部方言の方言地理学的研究(1) オチノ ウラ. . . ) 4 ) 4 小手川ムラ(33 落ノ 浦, 加 島サジ(33 6同市四浦鳩, 竹尾ミツエ(3 2 7同市千怒, リ ) 48 カタウラ. ウスキ. トマリガウチ. 同市堅浦, 太田モカ(30 ) 49同市長目釜戸, 上川マツ(22 ) 50同県臼杵市泊ヶ内 同県臼杵 , 佐々木ナ ヒガシゴーノシモ ク ボウラ カザナシ オ(30 ) 51同市深江久保浦, 薬師寺 トリ(34 ) 52同市風成 市風成, 亀井ヒナ(3 2 ) 53同市東神野下. ミヤモト. 1) 54同市大浜, 平川カツ(30 小 宮本, 川 野チョ(3 ) 5 5同市佐志生尾本 5同市佐志生尾本, 小坂ナッ (33 ) 56同 サ ガノセキ イツシヤクヤシタウラ コグロ シラ キ 柏 シナ( 県北海部郡佐賀関町一尺屋下浦, 川端タノ(37 ) 57同町白木, 柏シナ 6) 58同町小黒, 渡 (3 ゴーザキパ バ. ) 61同市吉 ) 60同県大分市広内, 村上サ ダ(22 辺キリ(3 6 ) 59同町神崎馬場 同町神 , 芝マツヱ(31 ツキガタ. . カミハン ダスミトコ. ) 64 野月形, 阿部 シズヱ(3 5) 62同市上判田住床 床, 安藤マキ( ) 63同市羽田, 宗ソデ(37 29 ノ ツハル ネリガサコ ) 66同郡庄 ) 65同郡野津原町練ヶ迫, 佐藤テウ(30 同県大分郡挟間町古野, 志賀ノリヱ(28 ユ フイン オトマ凡. ナイ コ ゴー ズハ ーズ ハル. 同町庄内原 6) 8 ) 67同町庄 匿名(3 内町高津原, 吉野シズヱ(2 、 , 大 島シモ(27)68同郡湯布院町乙丸, ハ ヤミ ヤマ ミナミイシガキオーギ 1 1同県速見郡山 ) 7 6) 70同県別府市南石垣大木, 右田モリヱ(3 69同町塚原, ー野サカヱ(3 ガ. ヒジ. タカトリ. フジワラチユーブ. ミナミハタメカリ. ) 73同町藤原中 部, 利光 ) 72同郡日出町南畑目苅, 友永チョ(3 香町高取, 長野キヌヱ( 39 0 キツキ カタノヒガシナヤ トヨ(35) 7 2 ) 75同県杵築市片野東納屋, 酒井トキ(26) 76同県 4同町斜二非, 佐藤タケ( 7. ヒガシクニザキ ア キ. クニザキ. アサク. トミクウラ. )7 8同郡国東町富来浦, 朝来, 山田初音( 3 5) 77同町上馬場 馬場, 馬場サヨリ(33 東国東郡安岐町朝来 タケタ ズ オークマゲ 29 ) 81 岡野フニョ( 28 ) 79同郡国見 町大熊毛, 寺 本 マ キノ(29) 80同町竹田津, 藤原ミヅ( マ. カカジ. ニシウラ. 3同 郡ノ 5) 83 同郡真 2 ) 82同県西国東郡香々地 同郡姫 島村西浦, 谷サ ダ(3 =香々地 町香々地, 能丸ツチコ(3. クマ. ・. ウスノ オワシ. シモクツガケ. オータ ミナミマタミズ. 5同村下沓掛, 藤原 1 ) 8 35) 84同郡大田村南俣水, 重光マサ(3 玉町日野尾鷲, 成重ナカヱ( ブンゴタカダ マツユキ ) ) 86同県豊後高田市松行, 川 野ハルヱ(33 24 カラル( シントミ. コユ. ミ ナシロオク. ノベオカ. イ ガ タヒトツオカ. ) 6) 2同県延岡市伊福形一ッ岡, 重黒木サメ(30 MI宮崎県児湯郡新富町三納代奥, 椎ステ(3 イチプリ ヒガシウスキ ) 6同郡北川村下赤 4同県東臼杵郡北浦村市振, 喜多ュヵ(32 ) 5同村下塚, 甲斐フ子(34 ミ ツ ヱ(33). アソ. タカチ ホ. キタガタ カワ ズ ル. アサカ ベ. 7 同郡北方村川水流, 太田キヨ( ) 8同県西臼杵郡高千穂町浅ヶ部, 樋口 32. 赤 野 タ マ(30). . 9 同 町五 ヶ所, 佐 藤 ハ ッ ヱ(33) タカモリ. ウブヤマ. ノジリカワカミ. 5) 3同郡産山 2同町村山, 堤きよか( 3 ミナミオグニ ナカバルヒ ノクチ 4同郡南小国村中原樋ノ口 4同 ) 5同郡一の宮町宮 29 , 武田ナツョ(. KI熊本県阿蘇郡高森町野尻川上, 工 藤 ツ ト ヱ(28). 8 ) 村山鹿, 高橋ミスミ(3 マツコ ガ ウチノマキ 6同郡阿蘇 28) 7 同県菊池郡大津町松古閑, 渡辺 28 ) 6同郡阿蘇町内牧 地, 迫八千代( , 冨田イチ ヱ( ーラ ニシブ. ホシワラ. カモト. ) 8同県菊池市西寺,中田クモ( 28 ) 9同県鹿本郡鹿北町椎持星原,松本末子(43 ウキハ キタヤ ベ 岩佐ヒサ 0 ) 2同県浮羽郡浮羽 町新川内ヶ原, F I福岡県八女郡矢部村北矢部, 栗原ヒサヱ( 3 5) カツメ(3. コイシワラ. ) ) 4同県飯塚市下三緒, 福沢政子(30 3同県 朝倉郡小石原村小石原, 林スヱノ(32 イデヤマ ハタケダ ノーガタ 27) ) 6同県九州市若松区畠田, 大庭ワカノ( 5同県直方市頓 野出山, 山本ヒナ(24. ( 25). コトー タチクマ. 5) YI山口県宇部市厚東区立熊, 長井初恵(4 ヤナイ. シラカタニシシタ. ) 県柳井市白潟西下, 白地ヱイ(34 オガタ タチド ) 28 HI広 島県大竹市小方町立戸, 中本チ ョウ( ニシウ ワ. コーウラ. ヘ タ ニシアダカ. ) 3同 2同県徳山市戸田西阿高, 磯部キク(33 1) 2同県広 島市仁保町日宇那, 中野シゲコ(3. オーウラ. 同県宇和 島市大浦, 酒井フジ(29). マツオ. 1) 3 2同県八幡浜市松尾, 武田トシヱ(3 4同県南宇和郡内海村柏, 大和田ミ子( ) 32. E I愛媛県西宇和郡 三崎町高浦, 高月ミツル( 3 6). 以上の被調査者を生年別に整理すると,. 14名) 5年(5名) 8年( 明治22年生まれ(3名) , ,2 , 26年(6名) , 27年(6名) ,2 , 24年(3名). 17名) 5年( 2年( 11名) 10名) 10名) 14名) 1年( 10名) 29年( , ,3 , 30年( ,3 , 33年( , 34年(9名) ,3 2 ) 2 0 ) 1 2 5年 (1名) 12名) 8年(4名) 6年( 3 , 計14 ,4 , 37年(3名) ,3 , 43年 (1名) , 39年(3名). 名. - 13 -.
(15) . 小. 野. 米. で あ る. 明 治25年 か ら36年 の 間 に 約87% が 含 ま れ て い る こ と に な る.. 臨地調査をとおして, とくに留意した 点を箇条書きにすれを , つ ぎの よ う な こと で あ る. ① 五万分の一の地図によっ て, 調査予定地点およびその周辺の地形・地名をよく頭に入れて. ② ③ ④ ⑤. お く。. 奇異な身なりをさけ, 持ち物なども地味にする。 地点ごとに, はじめての調査経験という, 新鮮な, 虚心な気 持ちで調査に臨む。. 調査予定地点にはいるまえから, すでに調査がはじまっ ているという自覚をもつ. 出会う人ごとにあいさつをし, 道をきき, 方言に親しむようにする.. ⑥. 耳 に し た 方 言 は つ と め て 書 きと め て お く.. ⑦. 被調査者の紹介は, だれにでも気軽にしても らう. 適格な被調査者が得られるまで根気よくさがす。. ⑧ ⑨ ⑲ ⑪. 無駄をいとわない。 調査はつとめて被調査者の家でおこなう。 調査をはじめるまえか, はじめてまもなくかに, 雑談のかたちで, 被調査者の適否を 判断 す る.. ⑫. 調査は自然会話に近い ふんいきですすめるように 心をくむ り, <質問-答 >とい う調子に. な る こ と を さ け る。. ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ ⑰. 機械的な問い返しをしない。 調査中, 被調査者以外の同席者はなるべくさける。 調査項目の排列順序, 各項 目の問いのこと ばは規定 どおりとし, 勝手に変えない. 調査は1時間半ないし2時間で終了するも のとする。 ◆ 被調査者な らびに調査に協力して くれる人々への礼を失すること のないよう に 気 を つ け る.. ⑱. 調査は一日に二地点を目標とするが, 無理をしないように 心がける。. 9 , 調査の精神 方 言 は 生 き た こ と ば で あ る。 方 言 の 調 査 に お い て は, そ の 生 き た こ と ば を 生 きた こ と ば と し て, あ り の ま ま に と らえ る こ と を め ざ す べ き で あ る。 す る と, そ の 方 言 社 会 の 人 士 が, お た が い に, そ の 生 活 語 で 話 し あ っ て い る こ と ば を 聴 録 す る の が よ い と い う こ と に な る.. どの よ う な 調 査 法 に. よる場合にも, そうした, 自然のままのこと ばをとらえようとする 心がけが必要である. 方言の地理学的研究の実践のためには, 多くの地点の方言につい て, できるだけ均質 的な資料 が必要である。 方言の記述的研究があまりすすんでいない現状では, 地理学的研究において, 質. 問調査は資料入手のための必須の方法である. 質問調査をその調査法とす る 場合にも, ねらい は, 生 きた こ と ば を そ の ま ま に と らえ る と こ ろ に 置 か れ な く て は な ら な い. 方 言 の 調 査 に お い て は,. つねに, 自然調査の精神 が必要である。 私 は, 調査項目をたずさえての, 質問調査にしたがっ た. 質問調査ではあるが, 自然会話聴録 の精神をもっ て一貫するよう 心がけたのである. I D . 資料の 整一 比較を生命とする方言地 理学的研究においては, 比較にたえうる整 一な資料が要請される. 調 - 14 -.
(16) . 九州北東部方言の方言地理学的研究 (1) 査 をと お し て, ま た, 心が け た こ と は, 整 一 な 資 料 を 得 る と い う こ と で あ っ た。 自 分 ひ と り で 調. 査を実施すれば, 調査者についてはほぼ整一を期することができる。 各項目の問いのことばも統 一し, 排列順序も一定にし, 調査所要時間もほぼ1時間4 5分になるように留意した。 被調査者の 選定にはできるだけ手をつくし, 調査場所は被調査者宅の居間など被調査者のくつろぎやすい場 所をえ らんだ。 被調査者以外 の同席者はつとめてさけるようにした。 その手だてを以下に述べよ う。. 1 ) 被調査者--その整一をめざして, 被調査者選定の条件 (5ペー ジ) を設けた。 この程度 (. の 条 件 を 設 け, つと め て こ れ に し た が うよ う に す れ ば,. お お よ そ のと こ ろ, 被 調 査 者 に つ い て. 0才の男子を被調査者とし は, 均質に近いとされよう。 A地点で90才のおばあさんを, B地点で4 づ ことには, あま A・B両地点の方言の比較をおこなう たとすれば, 得られた資料にもと いて, り意味 がないと思う。 被調査者を得に くいという理由だけで, 被調査者選定の条件をゆるめる べ. きではない。 無造作に, 男女をとりまぜて被調査者としたり, 年令に相当のはばを設けたり, 他 地出身者や外住経験の長い人を容認したり, 村の知識階級な どにたよってはならない。 かえりみ て, 被調査者は必ずしも均質的でない点がある。 老年女性ということ, 当該地生まれであること をはじめ, ほ ぼ条件にあわせたのであるが, 結果的には年令に若干のひらきができてしまっ た。 また, ほとんどさけられない ことではあるが, 被調査者としての適否において, 多少の個人差が ある ことも事実である。 ’ 調査項目--調査をすすめているうちに, 削除したり, 追加したりしたい項目が, いくつ 2 ( か浮かんできた。 排列順序を変えたい部分もあっ た。 問 いのことを な ど も, も っ と く ふ う し た い. 項目があっ た. が, すでに調査を開始した以上, 数地点分の調査がすんだ段階で, だんだんと, 調査項目に改変を加えていくことは, 調査項目としてはととのってくる であろうが, 資料の整一 を 乱 す こ と に な る の で, あ え て 変 更 し な か っ た。. 3 ) 調査期間--できるだけ短期間であるほうがよい。 (その点, 通信調査では, 多数の地点 ( について, 短期間に調査することができるという 強みがある。)全地点の調査を, ほとん ど同時に, ほぼあい似た条件のもとで, 実施することができれば, 理想的と言えようか。 私 は, 1962年12月 から翌年4月 までに, 調査を完了する予定であった。 主要地点については1963年4月 までに調査. し, 1963年8月 でほぼ完了した。 1964年7月 ~8月 のは補助調査である。 結果的には1年9ヵ月 間 に わ た る こ と に な っ た が, 資 料 と し て は, 1963年 ご ろ の 言 語 状 態 と し て, 共 時 的 に あ つ か うこ. とは許されようと思う。 4 ) 調査者--私 の場合, 全地点の調査を自分ひとりで完了した. これは, 共同調査にくらべ ( て, 調査者間における誤差を最小限にくいとめられるわけで, それだけ整一な資料が 期 待 で き る. も っ と も, 調 査 者 と し て の 私 の 力 は 高 く な い の で, 資 料 も そ の 程 度 の 価 値 し か な い こ と に な. る。 また, 調査の初期と末期とでは, 私 自身の, 臨地法, 被調査者の求めかた, 応待のしかた, 調査のすすめかた, 記録のしかた, などが, 必ずしも均質的ではないだろう. (なにほどかは進 歩したとみたい.)しかし, 調査者が複数の場合よりは, 資料の均質性が (その価値の高低を問わ ないことにすれば) い っそう期待されうると思う。 以上は, 整一な資料, 均質的な資料ということに ついて述 べたのである。 その均質性の 質. となると, 遺憾ながらあまり高くはない。 精確な資料という面から, もっときびしくなくてはな らない. 私 の言えることは, 自分で臨地し, 現地 で, さきの条件にあうような土地人に会って, 直接に聴録した, その資料であるということだけである。 - 15 -.
(17) . 小. 野. 米. ( 19 5年1月10日初稿・1969年4月30日改稿) 6 註 0 9 1) 橘正一氏の 『方言学概論』 (1 5 936年, 育英書院) は文献を利用, 小林好日氏の 『方言語桑学的研究』 (1 965年, 風間書房) は臨地調査によっ 年, 岩波書店) は通信調査, 広戸i 享氏の 『中国地方五県言語地図』 (1 て い る.. 瀬戸内海言語調査 については, 国語学会編 『方言学概説』 (1962年, 武蔵野書院) 所収, 藤原与一 「方 言地理学の方法」 , および 『方言研究年報』 第四巻 「瀬戸内海島輿 , 愛宕八郎康隆・神部宏泰 「方言調査法」 方言調査」 特集 (19 61年, 広島大学) に, その一部の報告がみられる. また, 『方言研究年報』 第八巻 「瀬 戸内海島輿方言の研究」 特集 (1 65年, 広島大学) には調査結果の一部についての解釈が報告されている. 9 3) 柴田武o徳川宗賢・グロータース・馬瀬良雄四氏は, 1 9 5 961年にかけて, 新潟県糸魚川地方で共同 7年から1 調査をおこな った. (柴田 「オタマジャクシの言語地理学」 『 2集, 1 963年, 他) 平山輝男氏は 国語学 』 第5 , 65年, 明 9 つとに伊豆諸島・南島などで共同調査の実をあげておられる. (平山編 『伊豆諸島方言の研究』1 治書院, 他) 国立国語研究所も地方研究員数十名の協力を得て全国での方言調査をおこない, 『日本言語地 図』 を刊行中である. l 4) 塩谷銃 「ドイツの方言研究--Deu 64年, 9 t as を中心に--」 r Sprachat s che , 『方言研究年報』 第七巻, 1 広島大学. 5) 東条操 『国語の方言区画』1 933年, 明治書院. 同 9 27年, 育英書院。 同 『方言学概説』(国語科学講座39)1 『日本方言学』19 54年, 吉川弘文館. 6) 奥村三雄 「方言の区画」 - 3 9 58年, 京都大学. 糸井寛一 「方言の実態と共通語化の問題点 , 『国語国交』27 ,1 4大分・宮崎北部」 61年, 東京堂. 金田一春彦 「私の方言区画」 , 『方言学講座』 第四巻, 19 , 『日本の方言区 画』 所収, 1 964年, 東京堂. 7) 註3)参照. 8 ) 瀬戸内海言語調査の被調査者 (老年層) 選定の条件にな らった. 註2)参照. 9) 土肥健之助編 『大分県方言類集』1 93 90 2)1 3年, 2年, 甲斐書店. 吉町義雄 『九州の方言』 (国語科学講座4 明治書院. 堀江与一・原田兵太郎 『大分県方言考』19 3 3年, 大分県師範学校. 波多野宗喜・近藤倍・市場直 次郎編 『豊後方言集』(全3冊)19 3 33~19 5年, 大分県立第一高等女学校. 三ヶ尻浩 『大分県方言の研究』 1 937年, 朋女堂。 松田正義・糸井寛一 『大分県方言の旅』(第1~3巻)1 4~1 95 958年, NHK大分放送局. 松田正義 『方言生活の実態÷全県的調査の一報告』1 960年, 明治書院. 10) 東条操編 『全国方言辞典』1 4年, 東京堂. 同 『方言と国語教育』 951年, 東京堂. 同編 『分類方言辞典』195 (文部省国語シリーズ11 3年, 光風出版。 )195 11 ) いわゆる四つ仮名 「ジ・ヂ, ズ・ヅ」 の発音に関する項目は, 耳の訓練不足のため, 保留した。 1 2) セ14(大分県下毛郡耶馬渓村平田) は被調査者が福岡県築上郡生まれであることが判明したので削除した. 1 3) M3 (宮崎県延岡市 旧延岡・ 内 焚家の武家こ 呂崎県延岡市, 内藤家中弁) は, 旧延岡藩内藤家の武家ことばであ って, 延岡市内や付近の農村部の ことばとかなりのちがいがあるので, 保留した. 4) 福岡県のうち, 豊前については, 大分県に属する豊前とあわせて, 「セ1~25」 の通し番号とした. そこで, 1 豊前をのぞく筑前・筑後に 「FI~6」 の番号をつけた. 15)「耶馬渓町」 とな った. 1 6)17)18)「宇佐市」 とな った. 1 9)「天瀬町」 とな った. 20) K9 (熊本県星原) , 21) YI (山口県立熊) で, ともに年令的に除外すべき地点であろう. なかなか捨て きれないものである. 2). <付記>本稿は, 藤原与一先生のご指導をいただいて成った修ナ論文の一部を, 改稿したものである.. - 16 -.
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