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日本統治時代台湾における農事実行小団体について - 高雄州の例 -

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(1)   日本統治時代台湾における農事実行小団体について一高雄州の例一                                  松田吉郎 はじめに  日本統治時代台湾における農事実行小団体については、その台北州、台中州の例は既に. 明らかにしたω。  本稿では高雄州の農…事実行小団体の実態と台湾全体からみた位置づけを明らかにするこ とがねらいである。. 1.台湾における農事実行小団体の概要  まず、台湾における農事実行小団体の概要を明らかにし、また高雄州の同団体設置状況 はいかなるものであったかについて検討したい。  『本島二於ケル農事実行小団体ノ概要』(台湾亡友会、昭和11年8月)1頁には、   一、本島二於ケル農事實行組合其ノ他ノ農事實行恩情ノ護浄衣過ヲ顧ルニ、大正六年   高雄閣下(謡曲縮鷹下)二歩テ米種改良事業ノ徹底ヲ期スルタメ設置セシ共同苗代組   合ヲ以テ嗜矢トス。其ノ後各種ノ農事實行小團膿ノ設置ヲ見タルモ主ナルモノハ墓南   州下二於テ嘉南大蝋厘域内ノ水利統制ノ爲二設置セラレタル水利實行組合、新竹州下   二面テ産業五箇年垂垂實施二伴ヒ其ノ血行白面トシテ設置セラレタル農事改良實行小   組合、裏面、心中、墓南、高雄ノ各州二於テ姑息事業ノ徹底ヲ期スル爲二設置スルニ   至りシ業佃共心農事組合等ナリ。 とあるように農事実行小団体の曲率は高雄州阿猴庁の共同苗代組合にあり、その意味で高 雄州は先進的であった。その後各地で設置された農事実行小団体は大きく水利実行組合、 産業五箇年計画の下に実施された農事改良実行小組合、業佃事業改善のための業佃共済農 事組合の三種に分けられ、高雄州の農事実行小団体は六義共済農事組合という性格を有し ていた。.  また、同史料の続きに、.   一、團並数ヲ地方別二丁ルトキ最モ多キハ皇南州ノー、一七五ニシテ、六一、一〇四   ハ水利統制ノ爲ノ密行組合ナリ。毫南州二次グハ唐竹州ノ九五六ニシテ其ノ殆ンド全   部が農事改良密行小組合、次ハ高雄州ノ四六五ニシテ大部分ハ共同苗代組合ナリ。而   シテ垂中州ニハニ一六、豪北州館山ー六九、膨湖磨ニハ六九、墓東鷹ニハー三、花蓮   港鷹ニハー○ノ心髄存ス。   團幅員敷心付テハ墓南ノー四四、六一一五人最モ多ク、高雄州四一、三一八人、新竹州   一七、九〇五人、皇中州一一、六九一人、膨湖聴七、三五二人、墓北州三、六〇五人、   垂東西七六三人、花蓮港聴一七一人順次之二次グ。一團膿當員敷ハ多キハ甘藷共同苗   圃小組合ノー五二人、水利曲行組合ノー二八人、安心會ノー一九人、虚心改良組合ノ   一一六人等ニシテ少キハ農事小組合ノニ三人、養豚改良實行組合ノ三七人、農事實行   組合ノ四三人、養鶏組合ノ四二人等ニテ全國膣ヲ通シ平均七四人トナル。 とあるように、団体数は高雄州は中規模であるが、団体員数は台南に次ぎ、二番目の規模. 一70一.

(2) であった。そして、高雄州の業佃共済農事組合の大半は共同苗代組合であった。. 2 高雄州農事実行七団体の沿革  本節より、高油壷農事実行小団体の具体的実態について検討しよう。.  r農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』台湾総督府殖産局、昭和13年3月、107 ∼8頁には   既往二毛ケル當窓下農事團膣トシテハ大正二年以來米種改良事業ノ補助機關トシテ設   立セラレタル共同苗代組合四百四十ニヲ始メ、一般農事改良機關タル農事組合(岡山   郡ノミー)、業佃協調機關タル農事共濟會(部落軍位ニシテ六)、業佃共濟會(四五)、   模範部落及安榮會(十七)等、其ノ数五〇八二達シ、別二社會教化事業ヲ主面ル目的   トスル部落振興會四百三十六(厘會ヲ含ム)ヲ擁シ、團膿維轍雨下九百四十四ヲ算セ   リ。. とあり、前節でも述べたように、高雄州下農事実行小団体は多いものから、共同苗代組合、 その次が農事共済会、素直共済会の業佃協調機関が占め、他はわずかであった。従って、 高雄州の農事実行小団体の特質もこの二点であった。これ以外には部落振興会が存在し、 社会教化事業によって農事実行小団体と相互補完関係にあったと言えよう。  そして、同史料の続きに、.   而シテ其ノ組織内容ヲ見ルニ部落謡曲ノモノアリ、街並又ハ郡右軸ノモノアリ、或ハ   誌面ノ定日ナキモノ等アリテ、其ノ内容モ亦複雑多岐二亘リ、而モ其ノ皇帝結スル慮ハ   之等ノ諸團膣相寄リ、相扶ケテ農事改良、民風ノ作興等、経輪的二將又精神的ニー般   農村ノ社會生活ノ全面的改善ヲ期スルニ存セリ。   然リト雌モ斯ノ如ク同一農村二各種團髄ノ存立スルコトハ相互連絡ノ鮎二士テモ欲心   ノ賦課徴収等出血テモ支障多ク、而モ殆ド全部が申合團膿ナル爲、實行力乏シク、各   自ノ目的達成上遺憾ノ名爵カラザリシヲ以テ、昨年面縛督府ノ御趣旨二基キ、純農村   二心テハ童画各種團腱ヲ綜合統一シテ、弦二新二強力ナル依法團膿腫ル農事盛行組合   ヲ結成シ以テ農村二於ケル農事改良酪素ヨリ教化交通衛生等各部門二亘ル農村生活ノ   全面的改善ヲ流心シ、別二市街地油壷漁村二部落振興會ヲ存績セシメタリ。 とあるように、農事実行小団体の存立単位は部落、街庄、郡、区域など様々であったが、 その目的は農事改良、民風作興で一致していた。しかし、各農村に以上諸団体が並立して. いたので、昭和10年(1935)に純農村では農事実行組合に統一され、市街地、漁村 には部落振興会が存続した。. 3 昭和11年(1936)段階の「現況」 〔1〕農事実行小団体拉部落振興会普及状況及び事業成績概要  (1)農事実行組合拉部落振興会普及状況.  『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』台湾総督府殖産局、昭和13年3月、108 ∼109頁には次のように記載されている。. 一71一一.

(3) 第1表 市郡別. 農事実行. 同、組合. 同、一組. 組合数. 員数. 合財員数. 高雄市. 2. 屏東市. 18. 岡山郡. 98. 鳳山郡. 75. 仁山郡. 344人. 部落振興会数. 総戸数. 農業戸数. (区会ヲ含ム). 21. 172人.    一 P8,699戸. P,882戸   一. 1,787. 99. 16. 9,425. 15,378. 157. 11. 24,083. 15,675. 9,349. 125. 22. 18,318. 11,257. 61. 8,341. 137. 6. 12,889. 8,467. 屏息郡. 93. 9,474. 102・. 一. 9,683. 7,196. 潮州郡. 99. 8,579. 87. 14,697. 10,600. 63. 7,008. 111. 一. 東港郡. 15. 14,322. 9,650. 恒春郡. 29. 3,941. 136. 2. 4,847. 2,753. 計. 538. 64,201. 119. 93. 126,963. 69,610. 2,130.     (備考 組合員数ニハ農業者二非ザル組合員〈客員〉ヲモ含ム).  第1表によると、高雄州総戸数126、963、農業戸数69、610の内、農事実行 組合数は538、組合員数は64、201人目一組合当たり員数は119であった。農事 実行組合員数は農業戸数にほぼ該当していたことがわかる。従って大凡の傾向として農家 一戸ごとに一農事実行組合員がいたという計算になる。また農事実行組合は高雄市、屏東 市などの市部に少なく、その他の郡部に多いこと、逆に部落振興会は市部に多く、郡部に 少なく、郡部で多い烏山郡、東港郡などは漁村地域であったと考えられることである。.  (2)事業成績の概要  第2表によると、事業成績が共同苗代、共同耕作、輪間作指導圃、乾燥場、種籾倉庫、 堆肥舎、豚舎の各項目に分類され、整理されている。設置箇所の多いものから豚舎(53、. 905棟)、堆肥舎(19、627棟)、共同苗代(合計2、688箇所)、乾燥場(2 70箇所)、種籾倉庫(164棟)、輪間作指導圃(75箇所)、共同耕作(23箇所) の順であった。各項生別の市三才設置状況を見ると、共同苗代は2期と1期に分類され、 総じて2期の方が多い。市郡別に見ると市郡ともに設置されているが、岡山郡、旗山郡に 多かった。.  共同耕作は設置箇所が少なく、旗山郡、恒春郡、岡山郡に限られていた。輪間作指導圃 も設置箇所は少ないが、高雄州全域に設置され、比較的多い箇所は岡山郡、鳳山郡であっ た。乾燥場は全域で設置されていたが、比較的坪数の多いところは、東港郡、潮州郡、岡 山郡であった。種籾倉庫は郡部には設置されていたが、市部ではほとんどなかった。坪数 の比較的多い箇所は潮州郡であった。堆肥舎は全域で多く設置されていたが、坪数で多い 箇所は曲目郡、鳳山郡であった。豚舎も全域で比較的多く設置されていたが、特に郡部で. 一72一.

(4) 多く、市部では少なかった。そのなかで棟数で多かったのは岡山郡、鳳山郡であった。. 第2表(『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』台湾総:督府殖産局、昭和13年3月、. 109∼10頁より) 市郡別. 高雄市. 共同苗. 共同耕. 輪間作指. 乾燥場設置. 種籾倉庫. 堆肥舎建. 豚舎建. 代経営. 作実施. 導圃設置. 箇所数拉坪. 建設棟数. 量質数並. 設棟数. 箇所数. 箇所数. 箇所数. 数. 拉坪数. 坪数. 2. 箇所数 9 坪数 933. 棟数 1. 棟数 224. 坪数 15. 坪数ユ,097. 2. 12. 2期 106. 一. 1期 エ14. 高東市. 30 35. 岡山郡. 487. 一. 1,426 1. 14. 15. 230. 鳳山郡. 194. 3,035. 一. 14. 12. 187. 旗山郡. 458. 屏東郡. 87. 19. 10. 74 95. 潮州郡. 128 98. 東港郡. 132. 127. 恒春郡. 計. 45. 一 一 一. 8. 13. 8. 一 一 } ←. 865 843. 4,245. 394. 146. 15,012. 37. 12. 1,279. 1,017. 180. 5,854. 13. 15. 6,274. 595. 106. 29,755. 95. 70. 1,370. 7,762. 1,714. 7,173. 60. 30. 4,140. 12,311. 605. 9,473. 16. 387. 236. 183. 2,024. 2期1,667. 270. 164. 19,627. 1期1,021. 27,709. 2,949. 78,967. 計2,688. 23. 75. 10,799. 5,102. 20. 17. 4. 821. 3,477. 61. 3. !,259. 9,014. 7,285. 7,030. 7,074. 8,330. 2,293. 53,905.  以上、これらの事業が郡部に多く、市部に少ないという一般的傾向に加え、各地域の状 況にあわせて、各項目の施設が設置されていたことがわかった。. 第3表(『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』台湾総督府殖産局、昭和13年3月、. 110∼11頁より). 一73一.

(5) 市郡別. 改良農具ノ普及状況. 農繁期託 児所開設. 深耕i摯. 蕃薯簸. 脱穀機. 箇所数. 516. 2. 屏東市. 1,386. 一. 国語講習所. 国旗掲揚台. 開設箇所数. 建設箇所数. (青年会館 ヲ含ム). 製造機 高雄市. 共同会館建 設箇所数. 109 367. 一 『. 4. 8. 1. 5. 9. 2. 53. 86. 46. 12. 31. 6. 2,418. 141. 523. 三山郡. 1,716. 15. 975. 旗山郡. 1,007. 20. 360. 1. 29. 28. 10. 三面郡. 3,507. 59. 630. 8. 29. 50. 93. 潮州郡. 3,690. 14. 561. 1. 11. 54. 9. 東港郡. 1,616. 8. 1,082. 21. 41. 20. 恒春郡. 386. 20. 176. 6. 21. 6. 16,242. 279. 4,783. 170. 328. 193. 岡山郡. 計. 1. }. 一 一 11.     (備考大麻奉齋ハ殆ド各戸二普及セリ)  第3表には同じく事業成績の概要としていくつかの項目に分類して整理されている。そ れは改良農具の普及状況として深耕翠、鼻塞籏製造機、脱穀機、そして農繁期託児所、共 同会館、国語講習所、国旗掲揚台に分けれて各市郡の状況が記されている。これらの事業 は総体的に言って郡部に多く、市部に少ないことであった。この傾向は改良農具などの農 業関係の事業が郡部に多いこともさるながら、国語講習所、国旗掲揚台などのべつに市郡 別関係の無い施設でも郡部に多かった。. 〔2〕州市郡街庄に於ける農事実行小団体並に部落振興会の指導機関.  『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』111頁には、   現在(昭和11年)農事實行組合五百三十八、部落振興會九十三ヲ算シ、之ヲ系統的   二見ルニ、各個ノ農事實行組合及部落振興會ヲ以テ市街庄民風作興會ヲ、街庄民風作   興會ヲ以テ郡民風作興會ヲ、市及郡民風作興會ヲ以テ州民風作興會ヲ夫々設立シ、各   巨細市謡扇庄職員ノ緊密ニシテ統制アル指導ノ下二、各組合ノ健全ナル礎達ヲ圖リツ   ・アリ。. とあるように、農事実行組合、部落振興会は州市郡街庄職員の統制下にあった。具体的に は下記の通りである。. (1)指導系統. 第1図(r農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』111頁より). 一74一.

(6)                                  所及漁村)  第1図より、州・市・郡民風作興会の統制下に農事実行組合、部落振興会が組織せらて いた。.  次の第4・5・6・7表に州・郡・街庄・市各士風作興会の機構を示した。  (2)民風作興会機構   ①州民風作興会機構  第4表(『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』112頁より) 会長. 副会長. 内務部長 知事. 警務部長. 幹事. 部長 庶務部長(地方課長). 州庁内. 教化部長(教育課長). 各係長及係長に. 産業部長(勧業部長). 非ざる技師. 評議員. 交通第一部長(土木課長). 州庁内各課長、各 郡守、市サ、州下 各官衛長、学校配 属将校、州市会議. 交通第二部長(保安課長). 員. 衛生部長(衛生課長).  ②郡民風作興会機構. 第5表(『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』112頁より) 会長. 副会長. 部長. 幹事. 庶務部長(街庄主任). 庶務課長 郡守. 各係主任の次席. 街庄長. 教化部長(郡視学). 者及産業部は技. 督府評議会員、州. 産業部長(勧業主任). 手以上. 会議員. 交通第一部長(庶務主任). 警務課長. 評議員. 交通第二部長(外勤監督) 衛生部長(行政主任).  ③街庄民風作興会機構. 第6表(『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』113頁より). 一75一.

(7) 会長. 副会長. 街庄長. 助役. 部長          一    一 一. 幹事. 評議員. 会計役. 農事実行組合長. 小公学校長. 蜚C書記. X庄協議会員. x察官吏.  ④市民風作興会機構 第7表(『農:事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』113頁より) 会長. 市サ. 副会長. 助役. 幹事. 部長. 評議員 州、市会議員. 庶務部長(庶務課長). 各部長、所管係. 教化部長(教育課長). 上席単二名. 区長. 産業部長(勧業課長). 書名. 交通第一部長(土木課長). 同上二名 同上二名 同上二名. 農事実行組合長 神社々掌 宗教家 保正. 交通第二部長(警察署長) 衛生部長(衛生課長). 〔3〕事業上に於ける部落振興会と農事実行小団体並に農事実行組合と産業組合との相互    関係.  (1)部落振興会と農事実行組合との相互関係  『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』113・14頁には、   高雄州二於テハ原則トシテ市街地又ハ漁村ニハ部落振興會、純農村ニハ農事實行組合   ヲ設立セシメ、夫々事業ヲ行ハシメツ・アリ。而シテ部落振興會匠域二居住スル農業   者ハ農事:二關スル事業(共同苗代ノ如キ)ノミ最寄リノ農事實行組合ヲ利用シ、利用   部分ノ實費丈支佛フモノ多キモ異例トシテ、東港街東港ノ如ク、部落振興會匪域内ノ   農業者が其ノ振興會二加盟セズ、別二集ッテ農事實行組合ヲ作レルモノ、或ハ恒春庄   恒春ノ如ク、部落振興會内ノ農業者が農事實行組合ヲ組織スルコトナク、隣接ノ農事   實行組合二加入セルモノ等アリ。 とあるように、原則的には市街地・漁村には部落振興会、農村には農事実行組合が組織さ れていたが、部落振興会区域の農民も部落振興会に加盟したまま、最寄りの農事実行組合 を利用したり、あるいは部落振興会に加盟せず、別に農事実行組合を組織したりして、適 宜状況にあわせて行われていた。.  (2)農事實行組合と産業組合との相互関係  『農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』114頁には、   當州二於テハ農事實行組合ヲ全部産業組合二加入セシメ、以テ之が有スル経糸力ト諸. 一76一.

(8)   施設トヲ利用シ、實行組合ヲ護展強化セシムル方針ヲトリ、現在一部ヲ除キテハ、全   部加入シ居ルノ實状二在リ。從テ農事實行組合が産業組合ヨリ資金ノ融通ヲ受ケ居ル   モノ相當アリ。之一旗山、東港、屏東市郡二多ク、其ノ他ノ市二二於テモ多少ノ融通   ヲ受ケケッ・アリ。之ヲ全般ノ情勢ヨリ観ルトキハ州下五百三十八ノ農事三三組合中   約一割五分位二相當ス。右融通ヲ受ケタル資金一二トシテ肥料購買、堆肥豚舎ノ建設、   青田買責ノ防止、共同會館ノ建設等二使用サレツ・アリ。 とあり、高雄州においては農事実行組合は全部産業組合に加入し、また産業組合より融資 を受けているものも結構あった。. 4 農事実行小団体の指導奨励方針並に計画 〔1〕農事実行組合の指導方針.  r農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』115頁には、   現下ノ非常時局二二ミ島民二百シ我が建國ノ大精神ノ認識ト敬神尊皇ノ思想ヲ透徹セ   シメ、國家社會二心スル報謝ノ念ヲ深カラシメ、本島民ノ皇民化ヲ圖ルコトハ農事實   行組合指導奨働ノ主眼トスル所ナリ。.   而シテ之が方法トシテハ敬神尊皇、話語常用、或ハ部落ノ美化改善、衛生施設及交通   施設ノ完備等幾多ノ方途アリト錐モ、何レモ所謂「衣食足リテ禮節ヲ識ル」モノニシ   テ、農村一寸リテ一先ヅ農事改良ノ實ヲ墨ゲ、其ノ纒濟的振興ヲ圖ルヲ以テ第一義ト   云ハザルベカラズ。   本組合ハ其ノ活動三園頗ル廣汎ナルヲ以テ動モスレバ徒ラニ事業ヲ鑛張シ、組合ノ纒.   理二破綻ヲ來シ、弊ヲ社堂公益二二ボスが如キ虞ナシトセズ。之が指導奨働二當リテ   ハ、常二時代ノ推移ヲ閲明ニシ、各誌艦相互間ノ連絡協調ヲ益々緊密ナラシメ、苛モ   事業上ノ摩擦或ハ感情的封立ヲ醸スガ如キ事ナキ様、各々其ノ分二慮ジタル事業ヲ遂   行セシムルコト、ス。. とあるように、1936年頃いう日中戦争をまじかに控え、戦時体制に入っていく過程で 農事実行組合はその意義が規定されていた。.  農事実行組合の経理について、まず組合の「経費賦課徴収ノ方法」は「1、組合員ノ戸 税生産高二比例シ、纒費ヲ賦課徴収スルモノ。2、組合員ノ所有耕地又ハ瞠耕地二封シ田 畑面積二磨ジー定額ヲ定訳、賦課徴収スルモノ。3、組合員ノ均等負据ニヨルモノ」(、) 等があった。その「其ノ三下」については「庶務、教化、交通、衛生等ノ事業ノ如キ普遍 的二組合員全般ノ福利増進二要スル纏費バー般會計トシ、組合員中特定者ノミ利益ヲ享ク ル性質ノモン、例ヘバ特殊ノ施設纒螢ヲ要スル共同苗代ノ如キハ特別遠計トシテ纒理シ、 負推ノ公平ヲ期スベキ。」ωとされていた。  組合中心人物の養成については、「組合幹部講習會、先進地組合視察等二依リ、常二 其ノ素質ノ向上ヲ圖ラシメ・ア」(4>つた。.  また組合選任指導職員の設置も考えられていたが、これは「凡下二於ケル農事實行組合. 一77一.

(9) ハ創立日尚浅ク、未ダ組合内部ハ整備セリト言フヲ得ズ。而モ各般ノ業務ハ從來ノ任意團 膿二二シ、相當複雑多岐二亘ルヲ以テ、各組合二專任指導職員ヲ設置シ、以テ所期ノ目的 ヲ達セシメント」㈲ されたものであった。  次に「組合活動二二スル地主ノ参加」については、「農村ノ現況ヲ見ルニ有力者ノ大部 分ハ地主ト言フモ過言二非ラズ。之等地主ヲシテ卒先清風ノ作興、農事ノ改良等ノ組合活 動二参加セシムルコトハ大二意義アルコトニシテ、不在地主口封シテハ組合顧問等ノ名稻 ノ下二本活動二参與セシメン」(,)と考えられていた。.  「各部門間ノ連絡統制」については、「農事實行組合二心ケル事業遂行ノ部門ヲ見ルニ 産業、教化、交通、衛生ノ四部門ニシテ、庶務ヲ加フルトキハ五部門二四リ、一組合内二 於ケル各部門間ノ連絡協調ノ鉄クベカラザルハ素ヨリ、街庄、市郡、州民風作興会等ノ指 導機關、各部門間二於ケル協調ハ二二必要ニシテ、若シ各部門弟自ノ立場ヨワ個々ノ指導、. 或ハ二二ヲ爲スニ於テハ組合事業ノ圓滑ヲ鉄弓、組合設立前ノ薔態二逆行スルノ虞ナシト セズ。故二本組合設立ノ趣旨ヲ髄シ、各部門間緊密ナル提携ヲ保持セシムルコト」σ)と された。. 〔2〕農事実行組合の指導計画.   農事実行組合の指導計画については「州下農事實行組合ノ堅實ナル護達ヲ促進シ、農 村ノ振興二二スル爲、昭和十二年度ヨリ、農事實行組合脛管品評會ヲ次ノ計壷二基キ實施 セント」(8)された。.  その具体的計画として目的は「本會ハ丁丁農事實行組合ノ堅實ナル丁丁ヲ促進シ、農村 ノ振興二資スル」(、〉こととされ、出品区域は「州下一圓トシ、各市郡ヲ温位」q。)であ った。そして、出品組合は「三下全農事實行組合」(、、)とし、審査は「豫備審査二本審査」 (、2)に分け、「二二審査ハ市郡審査員之ヲ行フモノ」(1、)とし、「本審査ハ豫備審査二於. テ選抜セル組合二付、州審査員之ヲ行フモノ」(、4)とされ、「審査期間ハ八月一日ヨリ翌 年一月末日迄」(、5)とされた。. おわりに.  高雄丁台事実忌門団体が全台湾に占める位置は団体数は台南、新竹に次ぎ3位、団体員 数は台南に次ぎ2位で比較的同団体が普及していた。これは農事実行小団体の先駆けとな. る共同苗代組合が高雄州阿高温に大正6年(1917)に結成されてことがあった。  また、同州の小団体の性格は業佃事業に改善のために設置された団体という基本的性格 をもちながら、同団体は全て産業組合にも加入しており、産業政策の一環にもくみこまれ ていた。そして、同団体の事業を分析すると、共同苗代、堆肥舎、豚舎の建設普及に見ら れる農業改善の性格をも多分にもっていたこと。また昭和11年(1936)7月の民話 作興協議会答申(、6)を受けて国民教化事業の一環にくみこまれ、州・郡・市・晶出民謡作. 興協議会の指導監督を受け、同12年(1937)以降の皇民化運動に組み込まれていた ことであったα7)。. 一78一.

(10)  農事実行小団体は同州においては市街地・漁村では部落振興会として組織され、郡部の 純農村では農事実行組合として組織されていた。  このような実態はほぼ、台北州、台中州の事例で明らかにしていた点と一致していた。  今後はこのような例と傾向の違う、嘉南大酬を区域内にもつ台南州、産業五箇年計画の 下で組織されて新竹州の例を分析しなければならない。 註. (1)拙稿「日本統治時代台湾における農事実行小団体について一台北州の例一」 (r兵.  庫教育大学研究紀要』第16巻第2分冊、1997年2月)、同「日本統治時代台湾に  おける農事実行小団体について一台中州の例一」 (『東洋史訪』第2号、1997年3  月)。. (2)r農事実行小団体ノ現況ト指導奨励計画』台湾総督府殖産局、昭和13年、115  ・16頁。 (3)註(2)と同書116頁。 (4)註(2)と同書116頁。. (5)註(2)と同書116・17頁。 (6)註(2)と同書117頁。 (7)註(2)と同書117頁。 (8)註(2)と同書118頁。 (9)註(2)と同書118頁。 (10)註(2)と同書118頁。 (11)註(2)と同書118頁。 (12)註(2)と同書118頁。 (13)註(2)と同書118頁。 (14)註(2)と同書118頁。 (15)註(2)と同書118頁。 (16)台湾総督府『台湾社会教育概要』昭和12年版、7∼9頁。 (17)註(2)と同書115頁。. 一79一.

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