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フリッシュの経済計画モデル

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(1)

フリッシュの経済計画モデル

種  岡 輝  雄

 1。一般に時間tとともに変化する国民経済を考えるとき,時間tを通じて斎一的に拡 張する経済が漸近的な(aSymptotic)状態と考えられよう。そこで,今,斎一的に拡張す る経済が可能であると考えれば,この想定の下に各時期について,それに対応する漸近的 状態の決定が可能となる。ここでt−o即ち出発点と考える現在の国民経済に対して漸 近的状態を決定し,これをもとにして,問題とする計画年度の漸近的状態を決定し,計画 期間中に現実の国民経済をこの状態に近づけるため計画が立案,・実施されると考えられよ

う。

 所が,この漸近的状態は本来その言葉の示すように,いわばそれに近づけるため努力が なされるが,しかし実際においては到達されるチャンスのまずないと考えられる状態であ る。しかも,現実の経済計画は第一次何ケ年計画,第二次何ケ年計画,第三次何ケ年計画,

……

ニいったように,比較的短期の経済計画がつみかさねられて,各計画毎にこの漸近的 状態に段階的に近づけて行こうとする努力が払われるのが常である。その結果,各計画に おいて出来るだけ速みやかに且つ,社会経済の上に大きな混乱を惹起することなく所期の 目的を達成することが,即ちspeedとpeacefulnessが要請され,就中,低開発国につい てこの要請は極めて強い。

 このように考えてくれば,ある国民経済について,(1)その漸近的状態の決定,(2)この状 態に近づけるための短期の計画決定が課題となるわけである。ここにブリッシュ(Ragnar Frisch)により前者が経済計画の漸近的問題,後者が次年度計画問題(coming year pr・

oblem)と称せられたものである。そしてプリッシュは決定模型(decision model)とし       (1)

て多部門模型を採用し,線型計画(linear programming)の方法により最適解(optimal solution)を求めるという手続により,前記二つの課題を同時に解決しようと試みたので

ある。

 拠,ブリッシュは,1950年一51年のインドの国民経済を対象として選び,上の方法によ り,Experimental Plan−Frame:No.1を提示した。本小論においては,このPlan−Frame       (2)

No.1に採用された決定模型の作製とその構造に重点をおいそプリッシュの所説を考察し て行くが,以下2.において次年度計画問題を,3.において漸近的問題を,4.において若干 の問題点を指摘してむすびにかえた。しかし,勉強不足のため或いは,はからぎるスリッ プをおかしているのではないかと恐れるものである。

2.1.分析の出発点になるものは1950年一51年のインドの(26×26)の投入産出行列であ

(2)

る。・この26部門のうち1から22までの部門は通常の生産部門(productive sector)であり,

生産部門の詳細は別に示す。23,24,25,26部門の定義はつぎめ通りである。

      (3)

23部 門

本源的要素投入量(賃銀,給料,分配 ウれた所有権所得からなり,この総和 ヘ家計所得)

家計経常支出(国内産及び輸入の財・

p役の購入,粗貯蓄(減価償却無視),

d税支払い等)

24部 門

租税 政府経常支出(国内産及び輸入の財・

p役の購入,粗貯蓄(減価償却無視)等)

25部 門

粗貯蓄(企業の,家計の,政府の) 粗投資(民間及び政府の)・国内産及 ム輸入の固定資本財粗投資,在庫投資,

oランス項目輸出余剰 26部 門

輸入(25列にバランス項目輸出余剰を

ワむ)

輸出

 この(26×26)の投入産出行列はルピー (rupee)の金額表示である。まず問題の年度の 取引価値額と取引関係がinterflow行列乃至はprogramming chartに記録され,この 行列について,適当に行,列が集計されて(26x26)の投入産出行列が作製される。この作 製手続きについても述べるべきであるが,ここでは省略する。

      (4)

 掬一般に(26×26)の投入産出行列は次表のように示される。

       第 1 表

1

   1

Q ● ■ ●

22 p23レ・126

1

X11

XhヨXb 22 Xb 23 X1,26

X1

2

X21

X22, X2,=奪2 X驚,23 o Xコ,26 X2

● ■ ● ● ● ■ ● ●

:一

Q2

X22,1 X22,2 X22,22 X22,23 o X22,2e のX22

23 X.妻:M X2=;ヂ} o Xコ3ジ≧雪 X、33,,}3X23,雪6 X・33

● ● ● ● ● ● ● ●

26

[x・… X26,2 X26,22 X26,23 X26,26 x26

(3)

 上の行列において,第i行は部門iの産出高Xiのdestinationによる配分額を示し,

自己を含む他産業への経常勘定でのcross・delivery Xij(j−1,…22),家計,政府,海外 への経常勘定でのcross−delivery Xij(j−23,24,26),及び投資(Xi,25)からなる。列j は各部門のsector of originによる問題の部門への投入量である。勿論,夫々の産出量,

投入量は1950年一51年度を示す添示tを付してXit,Xijtと示されるべきであるが,この表 における数値はすべて同一期間のflowであるから,添字tは省略する。そうすると社会 会計的恒等式として,i行の産出高について,

      ロ

      Xi= Σ  Xil(i=1,2…26)       (1)

         1=1

更に上の行列において,各列和は夫々二三に等しくなるように作製されているから

       へ

      Xi盟  Σ  Xji(i・=1,2…26)      (2)

      i=1

 更に,インドの上記の行列においては,各部門のnet input・outhut表示であるから,

      Xii=・0     (i=1,2,…26)      (3)

である。

 掬,上述第一・表から

      Xil

      (4)

      Aijゴ       Xl

が定義されるが,このAi}が第j部門の投入係数と呼ばれるものである。ここに

      Ail≧0 (i≒j, i,j=1,2…26)      ,(5)

      Aii == 0  (i=設1,2… 26)

       智  Aij〒1(j=1・2…26)       (6)

       i=1

 このAi」をelementする行列が投入係数行列であり,これは非負である。

      〔Ail〕⊇≧0(i,1=1,2,…26)       (7)

1950年一51年のインドの〔Aij〕が計算されているが直接議論に関係ないから省略する。式       (5)

(4)から

      XilコAilXl      (8)

がえられる。

 2.2.決定模型として多部門模型即ち投入産出模型を採用するのであるが,短期の経済 計画に当って何を自由変数(free variable)として選択するかが問題になる。ここで,投 資を政策により決定せられるべき自由(独立)変数として選択し,この変数の最適値の決 定即ち各部門の投資パターンの最適化が問題にとりあげられる。このことは,上記第一表

(4)

の行列の第25列に示されている売り渡し部門 (sector of origin)別の投資金額がまず独 立変数として選ばれ,それ以外の変数は,第25列の変数の関数として決定せられるべき従 属変数と考えることを意味する。そして,この場合,第25列,第25行を除いた先記投入係 数行列は不変と想定するのである。

 今の模型においては1inearityが想定されているから,一般に変数と考えられるXi,Xil について前記式(1)が成立する。この式(1)において独立変数を見倣されたXi,25を右辺に移 項して

      隔一…∵…錦4一恥=賑/

     二1::::二1:1:二:1::::二1::調=1二::ゴ⑨

がえられる。ここに先記Aiiが変数から独立と考えて,1950−51年度に求められた投入係 数行列をそのまま使用し,式(8)を代入して整理すれば

       Σ(eil−Aij)Xl=Xi,25 i−1,2…)25(26『 (10)

      j)25(

ここに)25(は夫々の場合に第25列目の要素が除外されていることを示す記号であり,eij については

      %に1,1;:     (11)

と定義する。式⑩において〔Aij〕ij=1…24,)25(26は非負の行列であり,各列和が1より 小であれば,Σ(eil−Ail)は非負逆転可能となり,任意の〔X、25,…X24,25,X26,25〕 乏。

に対し〔X1,X2,…X24,,X26〕 )≧の解をもつことが保証される筈である。即ち       (6)

      Xj=Σ(eil−A圭1)一1Xi,25  j=1,2…(25)26      (12)

       (7)

 掬,上述においては,独立変数として売り渡し部門別の投資Xi;25が選ばれているが,

最適投資の決定に当っては,どの部門にどれだけの投資を行なうか即ち部門間の投資配分,

投資パターンの決定が問題としてとりあげられるのが常であるから,先記Xb25を投資の なされる部門(受取り部門)の投資変i数に変換することが必要であり,このため1950年一 51年度の投資のflowを示す投資行列(investment matrix)の作製が必要である。つぎ

の投資行列を示す第二表においては,k=1,2…22の各行は夫々の部門の売り渡した投 資財,k−23の行は投資目的のための本源的要素の投入, k=24は投資及び投資財への 課税,k−26は投資目的のための輸入, Eは輸出余剰であり,海外における投資として 処理されている。

      Jk.=ΣJkh       h==1…24

      J.h=ΣJkh       (13)

      k=1,…,)25(2G

(5)

第2表投資行列

資の な さ れ る

部 門 売り渡し部門別

家計 政府

総国内投資

k 1 2 3 9 ・ ・ 21

22 23 24

1 J1.1 J1.2 J1.3 ● ● ● J1.21 J1.22 JL23 JL24 J1.=X1、25

2 J2.1 J2.2 J2.3 O o ・ J2.21 J2.22 J2.23 J2.24 J2.=X2.25

● ● ● ● ・ ● ● ● ● o

22

J22.1 J22.2 J22.3 ● ・ ・ J22.21 」22.22 J22.23 J22.24 」22.=X22.25 23 J23.1 J23.2 」23.3 o ● ● J23.21 J23.22 J23.23 J23.24 」23.=X23.25

24

J24.1 ∫24.2 J24.3 ■ o ・ J24.21 」24.22 J24.23 J24.24 」24.=X24.25

26

J26.1 」26.2 J26.3 ● 畠 o J26.21 」26.22 」26.23 」26.24 」26.=X26.25−E 受け取り

耀署1 J.1 J.2 J.3 o ● ・ J.21 J.22 J.23 J.24

上に見るように,第25列の各要素には,国内での投資と海外での投資(輸出余剰)が含ま れ,輸出余剰は現在では独立変数に含まれているが,Eは輸出余剰であるから,正,負,

ゼロの何れの数値をもとりうるから,符号上の制約を考える必要はない。

 上述の第二表から投資係数が次式から求められる。

      政・一応1(蓋={;1:::那5(26)   (14)

     Bkh ≧ 0      (15)

であり,Bkhは投資変数から独立と考えられている。上のようにしてえられるBkhから 作られる投資係数行列を

      (8)

         Bl 1B12………B1,24          B21B22………B2,24

     B−     i       (16)

         B24,1B24,2……B24,24          B26,1B26,2…B26,24

にて示すときBは非負

     B⊇≧0       一        (17)

であるが,上の行列Bを利用して〔J、.,J2.,…,J,4.,J,、.〕 は今や独立変数と考えられるに 至らた〔J.1,J.2,…,」.24〕 にて表現せられる。即ち

B11B12………B1,24 B21B22………B2,24

B24,1B24,2…B24,24 B26,1B26,2…B26,2↓

J.1

況・・

∫,、

}J.2壬

J1.

J2.

J24.

J26.

(18)

(6)

 ここにB:≧0であるから,非負の〔J.1,…,J.24〕 に対し,非負の〔J1.,」2.,…,J24.,J

26.〕 がえられる。(但しBの構造から逆は必ずしも成立しないことは明らかである。)

 解の式⑫の右辺Xi25をJk. Eにて表現すれば

     Xi=Σ(eik−Aik)一1Jk.十(ei,26−Ai,26)}1E が得られるが,式⑱によりJk.をJ.hに変換すれば

     Xi瓢ΣMihJ.1十Mi 26E

        h=1,… 24      i==1,2…(25(,26)

がえられるが,Xi≧0でなければならない。ここに

     Mih=Σ(eik−Aik)一ユBkh(i=1,2…,)25(26)

      (h醤1,2,…24)

     Mi26鵠(ei2ドAi,26)一1  (i=1.2…)25(26)

このMihはh部門に1単位の投資が行なわれた場合,

がM圭hなるi数値をとることが期待されることを示す乗数であり,

(matrix multiplier)である。

(19)

(20)

(21)

         (22)

i部門の予想産出高が,活動水準       〔Mih〕は行列乗数

 上記模型も使用して,単年度計画を考えるのであるが,まず,政府の経常支出は計画年 度においても,基準年度と同額であると見倣して,今の場合,1950年一51年度の政府経常 支出X24。に等しいとおく。(0の添字は1950年一51年度を示す。)即ち

     X24−X24。      (23)

かくして,X24は計画年度の最適化の考慮から除外される。

式⑳において,i=24のX24=X2↓。とおいてえられる式からEは

        x…一頻ぞ鉾{2      (24)

     E=・

      M24,26

       (ここに M24,26≒でなければならぬ。)

こう考えて,今まで独立変数と考えられたEを従属変数として処理するが,勿論

     E書・      (25)

であるから,式⑳は定義式であり,符号上の制約等考える必要はない。式②のを考慮:すると き式㈲は

     Xi=Mi。 十ΣMih Jh   (i=1,留…,)24,25(26)

      h=・1,2,…,24

ここに瓢・

ヒf二、晦(1 = 1,2・。・)2生25(26)

       M24,h        Mi,26      Mih =Mih−

       M24,26

       i = 1,2… ,) 24,25 (26

       h==1,2,…,24一

であり,式㈱がXiの構造方程式である。

(26)

(27)

(28)

(7)

 2.3.式㈱の右辺の」.h(h−1,2,…,24)にある数値がきめられると, xi(i−1,2,…,)24,

25(26)が求められ,ベクトル〔J.1,…,J.24〕 は一般に解ベクトルである。所が問題の性 質上この解ベクトルに種々の制約があるわけであるが,線型計画の方法により最適解を求 めるためには,これらの制約が一次の不等式として示され,これらの制約条件式から解ベ クトルの可能領域を決定しなければならぬ。

 (1)まずJ.h(h=1,2,…24)はh部門の投資をあらわす変数であるから,非負即ち

      〔J.1,… ,J.24〕  >0       唱        (29)

でなければならぬ。  (2)つぎに式㈱のxi(i−1,2…,)24,25,(26)はi部門の予想産出高であるから,非 負即ち

      〔X1,…,X22,X2G〕 ⊇≧0       (30)

でなければならぬ。 即ち        Mlo 十ΣMlh J.h        O        M2♂一←ΣM2 hJ.h       ≧  0      (31)

       M26 o十ΣM26 hJ.h    O  (3)計画年度(次年度)において,各部門の投資J.h(h−1,2,…,24)が政策決定さ れた場合,それに対応する予想産出高Xi(i−1,2…,)24,25(26)は生産可能でなければ ならぬ。このためには各部門の生産設備,労働力,輸入,乃至それ以外の技術的,政治的, 金融的な要因等からの産出高への制約を考えねばならず,これらの制約は部門の予想産出 高の上限を決定するものである。ここにブリッシュは(1),各部門の現存の資本設備,(2), 労働の部門間の速みやかな移動は不可能と考えて各部門の現存の労働力の二つの事情を考 慮して,計画年度(次年度)の産出高について次の制約条件式を設定した。  (1)の資本能力の面から,産業グループ毎に       X1+X2≦7538.1046       (32)

      X3+X↓+…+X12≦2907.7508      (33)

      X13+…+X17≦1536.8392      (34・)

      X18+…+X20≦3481.65了6       (35)

      x21+x22≦1163.6381       (36)

 (2)の労働力の面から       X1+X2≦7512,92      (37)

      X3+X4+…+X12≦2929.19       1        (38)

      X13+…+X17≦1570.11      (39)

      X18+…+X2。≦3645。62       (40)

(8)

      X21十X22≦1164.06      (4・1)

である。単位はすべて千万ルピーである。式(32)から式(41)まで,10個の制約条件式が あるが,うち5個は余分なものである。けだし,式(32)と式(37)を比較して見れば,式(37)

が成立すれば,必らず式(32)は成立し,従って式(32)は制約条件式としては余分なもので ある。同様な手続きにより,式(38),(39),(40),(41)は余分なものとなり,有効な制約 条件式は(37),(33),(34),(35),(36)の計5個である。これらの式のxiに式(26)を代 入して整理すれば,解ベクトル〔J.、,…,J.24〕 についてのつぎの制約条件式がえられる。

      〔;〕+〔;;;〕〔∴〕≦〔1∵1〕㈲

式(42)の左辺第一項は(5×1)の定数項行列であり,これは,式(26)の定数項M、。 ,…,M,6

より求められ,第二項は(5×24)の係数行列であり,各要素は式(26)のMih より求めら

れる。

 (3)計画年度(次年度)の消費は1950年一51年度の水準を下まわってはならないとの制 約を考慮して,つぎの財グループについて下限が求められている。(単位は千万ルピー)

      4167.67 ≦C1 + C2≦4・593.26       (43)

      44・5.83≦Cg+C13≦ 490,97      (44)

      521.70 ≦;     C22≦  574.50       (45)

ここにCi=Xi,23−Ai,23×23であるから,式(26)のXiを利用して

      Ci=(Ai,23M23,。 )+ΣAi,23M23,h J.h      (46)

      h=1,…24   (i=1,2…,22)

この式(46)を式(43),(44),(45)に代入すれば

lll::〕≦〔Σ(Ai,23M23 .o)十Σ〔ΣAi,23 M23, hJ・h1==1,2      1==1,2    ●      ●      ●A22,23M23, o十ΣA22,23M23,hJ.h〕≦〔:1::〕㈱

の〔J.、,…,J.24〕 の一次の制約条件式がえられ, interva1としての領域を決定する。

 かくて〔J.、,…,J.24〕 の解ベクトルは式(29),式(31),式(42),式(47)の一次不等式か

らきめられるconvex setを解領域として持つ。

 2.4.以上の解領域の中から,線型計画の方法により最適解が決定されねばならないの であるが,このためにはJ.h(h=1,2…,24)の次式で表現せられる選択関数(preference function)が,設定せられ,この選択関数が極大になるように最適解が決定せられる。

 計画年度において可能な限り(1),失業を減少せしめること,(2),投資率を高めて資本設 備の増大をはかること,(3),インドの純国外資産の増大をはかることの3つが目標にえら ばれるとしよう。計画年度において新たに創造せられる雇傭量をU(単位は百万人であ

(9)

る。),年間投資率(国民所得に対する百分率で示す)をv,インド国外純資産の増加率(

国民所得に対する百分率で示す)をwとするとき,fはu, v, wの一一次式で示されるも

のと考える。

 U,V, Wのウエイトが問題になるが,まずUとVについてつぎのように考える。計画 年度の雇傭量の満足の行く増加が2.5百万人と最高政府当局により考えられるとき,一般       (9)     u

       は雇傭増について満足の行く結果のに計画年度の雇用量の増加は先記Uであるから,

       2.5

      えられ砒率を示す・同様に年毎の齪の行く投D10奮あれば・一百は投資率

について満足の行く結果のえられた比率を示し,従って万におけるある増加(例えば0。4)

は蓄におけるこれと等価の増加(この場合・・4)と等しい・このように考えて・u・vの みについての選択関数は

      f=」と_+  v       10          2.5

      即ち f−4u+v       (48)

と考える。

 つぎに,vとwとの選択をきめるために,外国からの借入れなしで国内資金のみでなさ れる投資と外国から借入金のみに頼ってなされる投資とを比較し,両者の選択を教える。

ここで,国内資金のみでなされる投資1単位と外国からの資金のみに頼ってなされる投資 1・3戦とは選択上等価であると考えれ1詣Vはこれと等価なv+α24w(α24一(1一 ホ)

でおきかえられるという。即ち,

v+(1一13)w式において・国内資金のみで1単位の投資がなされる胎・一1・

w一・であるから・v+(1「13)w−1外国からの借入れのみ礪ってなされる 1・3戦の投資はv−1ぶ一一13であり・16+(1一13)(1⑳一1であ

るからvとv+0.24wは等価と考える。かくして選択関数は       fコ4u+v+0.24w

 即ち

      f瓢16u+4v+w       (49)

である。

 つぎにこの選択(目的)関数をJ,h(h=1,2…24) にて表現することが必要である。

まずuから。基準年度1950751年の雇傭量は142.339百万,要素所得は8422.45千万ルピー であるから,まず基準年度について

       雇傭量     142.339

       要素所得(X23。)    8422.45

の比率を計算し,この係数により,雇傭量の増加Uを計画年度の要素所得の増加で表現す る。即ち計画年度の要素所得は式(26)からX2、であるから,

(10)

      u一講鐸(X…X…)    (5・)

ここにX23◎一8422,45である。そして,式(26)の左辺X23を式(50)に代入すれば, u はJ.h(h謀1,…24)の→次式となる。

 vについて。まず,1950年一51年度の国民所得を計算すれば9652.02千万ルピーである。

計画年度の純投資は各部門別に(J.k−Dk)である。ここにDkはk部門の減価償却であ

      Dk=dkXk       (51)

もし・減価償却率dkが所与と考えられれば, Dkは計画年度の産出高Xkから求められ

て,

      v−10・Σ(1誌〉     (52)

この式(52)は,式(51)及び式(26)を考慮することにより,」.h(h=1,2…24)の一次式 に表現せられる。

 Wについて。今の模型については,(26x26)行列の第26列の係数,輸出係数は一定と考 えられているから,wは計画年度のX26に比例すると考え,この比例係数を基準年につい       88.72

         であるから,この係数を使用して て求めると

      675.33

      w−1・・藷釜X・・ 『    (53)

とおく。この式(53)に式(26)からきめられるX26を代入すれば, wはJ.h(h−1.2…24)

の一次式として表現せられる。かくして,fはJ.h(h−1.2,…,24)の一次式となり,この fが最大になるように最適解ベクトルが先記の可能領域の中から線型計画の方法により決 定せられる。

 以上で次年度計画の問題を終わるが,ここで一つだけ述べておこう。それは,上の模型 においては,(26×26)の係数行列の中で25列,25行を除く(25×25)の係数の行列,更には 投資係数行列が不変を想定されていることである。ここで,係数行列を一定不変と見るこ

とが妥当か否かの議論を一般的に行なっても意味がないから,省くとするも,上の模型を 使用して経済の計画と予測を行なう場合,どの範囲内の係数を不変と見るのが妥当かとい うことは当然問題である。(25×25)の係数行列のうち,左上偶の(22×22)の係数行列は生 産部門の中間的生産物の取引関係を示す技術係数行列であり,、この行列が比較的安定した 構造を示すことは年度の選択に問題があるにしても,産業連関分析においては一般に是認 されている所である。しかし,それ以外の係数行列は,家計の消費支出係数,政府の経常 支出係数,輸出係数,要素投入量の投入係数,輸入係数,課税係数等であり,更に投資係 数行列を含めてこれらの係数行列が不変と考えられているが,これらの係数行列が安定的 な構造を示すことは一般に疑問とされているし,就中,低開発国において特にそうである。

(11)

だから,上の模型のように,これらの係数を不変と想定するためには,まずこのことをイ ンドの資料によって実際に検証することが必要である。更に生産部門が22部門に分割され ているが,注3)に見られる部門分割により安定的な技術係数行列が果してえられるかに ついても疑念がもたれる。このように考えてくるとき,上の模型はいささかrigidすぎて この面から計画と予測に重大な誤差を生むのではないかと思われる。けだし,模型がすべ てを決するからである。

 3.1.漸近的状態の決定問題を考察する。まず斎・一拡張模型の考察から。変数の記号は すべて今までの記号を採用するが,理論的モデルの考察においては時間を考察しなければ ならぬから,各変数に時間tをつけて示す。尚部門の数は一般モデルにあってはn個とし

て考える。

 斎一拡張モデルの必要条件 各期について

 (1)各部門の生産設備は完全稼動,労働力は完全雇用  (2)各部門について需・給回忌。

  t期のi部門の産出高をXitに示すとき,(1),(2)から

      Xit= ΣXijt+Cit+Jit       (54)

         j       Xilt

      (55)

      Aij=

      Xlt

ここにcross−delivery係数AijはXit, Xilt, tから独立。

式(55)から

      Xijt=AijXlt       (56)

式(56)を式(54)に代入して整理して

      Σ(eil−Ail)Xjt=C(it+Jit.)   、      (57)

式(57)から

      Xlt=Σ(eij−Aij)一1(Cit+Jit.)       (58)

ここに逆行列(eil−Ai」)一1は非負でなければならぬ。つぎに〔Jlt.…,J。t.〕 と 〔J.lt

…J,。・〕・の問に第二表に当る (n×n)の投資行列がえられると想定すればこの投資行列 から,先記と同様に投資係数Bkh≧0が求められ,このBkhがJ・ht(h−1,3…n),tから 独立と想定すれば(n×n)負の行列

      〔Bkh〕k=1…11     ⊇≧0      (59)

         h司…n が求められ

      〔1」1〕一〔1〕 ⑳

(12)

がえられる。

 斎一時的に拡張する経済においては

 (3)t時点の資本設備:Kht(h−1,2…n)はt期の差出量と比例関係にあり,この比例 係数をbhと示すとき

      Kht目bhXht(h= 1,…n)      (61)

であり,bLはtから独立。  (4)減価償却Dhtについて       Dht−dh Xht  (h=1,2…v)      (62)

dhはtから独立。  (5)h部門の必要労働係数をnhにて示せば,必要雇庸量Nhtは       :Nht=nhXht   (h=1,2…n) であり,nhはtから独立。且つ完全雇庸       ΣNht=Nt  (6) t時点の資本設備Khtは次式       Kht=Kht−1十J.ht−sh−1−Dht−1 で定義せられると想定。 (63) (64) (65)        Shが部門hの投資の平均maturity lagであり,. h部門におい て決定された投資のflowは平均Sh期間を経て,初めて資本設備に成熟し,可動される 状態になり生産に実際に投入されると考えられているが,Sしが整数で示されるように単位

;期間がとられている。

      t−Sh−l        t−Sh        t−l        t       

         J.ht−Sh『1       Kht−1 Dht一豊Kht

即ち各時点の資本設備は各期の期首の値であり, t−Sh−1と t−Sh時点の間の flowがt−Sh−1期のflowと考えられている。  (7)斎一拡張の想定から生産量,投資量,消費量等はすべて外生的にあたえられる人口 成長率と同一比率で増加するものと想定されている。       Xht=XheCt      (66)

      1(ht == K:h。Ct      (67)

      Cht=CheCt       (68)

      J.ht = 

J.heCt      (69)

      Nht ニ= NkeCt      (70)

ここにeCは人口成長率であり, 上の式においてt=oとおけば       Xht=Xh (t=o)      (71)

であるが,これは初期値を示す。 (Kh等についても同様。)

(13)

 上述の式(65)から

      J.ht一sh−1=・Klht−Kht『1+Dht−1      (72)

この式から

      J.ht=Kht+sh+1−Kht+sh+Dht+sh      (73)

.式(65),(66),(67)を考慮して整理すれば,

      Jボーb・N、・棚1」・一d・N、・+貼    (74)

       nh       nh

がえられるが,斎一的に拡張する経済を考える限り,h部門の投資J.htは人口の成長率と,

各部門への労働力の配分がきめられれば一義的に決定せられ,政策により決定される余地

はない。

 従って,漸近的状態の決定模型にあっては各期の各部門の投資は自由変数ではない。こ れは人口成長率と各部門への労働力の最適配分が決定されれば決定されるからである。他 方,式(63)によりこの最適配分は最適産出量Xhtが決定されれば決定される・から産出高Xht

が自虫変数であり,式(57)の構造を見ればわかるようにCitが従属(構造)変数であり,

ΣCitが極大になるようにXhtの決定がなされ最適状態が決定せられる。

 このため式(57)を変形する。式(4)は式(66)から式(70)までを考慮することにより       J.ht=ecsh(ecbh一 (bk−dh))Xht       (75)

ここにJ.ht≧0であろから,右辺から

      げ≧1一一蹄       

(76)

が成立する筈である。

 掬,式(75)を式(57)に代入して,移項して整理すれば

      }{・・1−A・1−B・1幽(♂bj一(bl一(bl−dl)}XナーC (77)

      i 盟 1,2・・≧n

今Ail十B量lec8,(ecbj一(bl−dj))=Aij

とおけばAij ≧0      (78)

即ちAij の行列を 〔A 〕とおけば

      〔1−A 〕Xjt=Cit                 (79)

ここに

      〔A 〕⊇≧0      (80)

更に式(75)において,式(66),(68)を考えればect>oであるから,式(79)の両辺をectで 割って

      〔1−A 〕Xl=Ci      (81)

がえられるが,式(79)と式(81)とは等価であり,従って漸近状態としての最適パターンの  決定はt署。の場合に還元せレめられる9ζのt箒。即ち1950年一51年度のインド

(14)

の国民経済の漸近的状態を式(81)により計量的に決定しようとしたのがブリッシュの意図

であった。

 掬,一つだけ述べておく。理論的に考える限り,式(79),式(81)の何れにあっても,任 意の非負のCi(i−1,2…n)に対し非負解Xi(i−1,2…n)が求められねばならぬ。この 経済学上の要請により〔1−A 〕は非負逆転可能でなければならず,このためには〔A のFrobenius根をλ(A )とおくとき

      1>λ(A )      (82)

の成立が必要,充分であり,従って,外生的にあたえられると見倣される人口成長率eCに       ω

ついて,斎一拡張経済が可能であるためには式(82)の成立するが如きeCであることが必要,

充分であり,この時に限り,斎一拡張経済を前提することが可能となる筈である。

 3.2.上の決定模型によりインドの1950年一51年度の国民経済の漸近的状態を決定する ために,上の一般の模型をインドの場合に適用出来るように,特殊化することが必要であ

る。まず,上述のモデルにおいては,生産部門についてのみ資本設備が考慮されているか ら,22部陶をとりだして考察する。夫々の部門についてつぎの均衡条件式が成立する。

      ΣekhXht躍ΣAkhXht+Ckt+Ak財X 2↓t+ΣBkhJ.ht+Ak26×26(83)

      h=1,2…22  h==1…22  h=1…24        (k ・= 1,2…22)

 右辺の第四項ΣBkh J.htの申でJ.2gtJ.24tは生産部門の資本設備Khtと無関係である から,これら2つの部門を別にとりだして

      ΣBkhJ.ht=ΣBkhJ.ht十Bk,23J.23t十Bk噂4J.酵↓t         (84)

      hコ1…22 つぎに

      Xkt−Xk6ct(k=1,…)23(24,25,26)

      Ckt==Ckect(k= 1…)23(24,25,26)      (85)

      J.ht== J.heCt(hニ=1…23,3↓)

ここにeC−1.01と見倣されている。この式(85)を式(84)に代入してeCt>oで両辺を割

って

      Ck=ΣMkhXh−Bk,23J.23−Bk,24J.24−Ak,2↓X24−Ak26×2{}(86)

        h=1…22       (k,h=1,2…22)

がt=oについて成立。

ここに,

      面kh= (ekh− Akh) 一Bkhecsh(ecbh一 (bh−dh))    (87)

      k,h =・1,…22

 掬,漸近的8状態の決定に当っても,次年度計画の場合と同様に政府支出は1950年一51 年度と不変であると想定して,X24を自由変数から除外する。即ち

(15)

      X24=X240−792.20  (単位は千万ルピー)

      莇【k。= 一Ak24×24。      (88)

とおくときMk。は定数項,更に       Mk,23=一Bk,23

      Mk24=一Bk,24       (89)

      Mk26=一Ak,26

とおきかえると,式(87)は

      Ck=Mk。+ΣMkhXh+Mk,23J.23+Mk,24J.24+Mk,26×26 (90)

      k−1,2…22

この式(90)について係数はすべて式(87)により人口成長率,1950年一51年度の係数,乃至 所与と考えられる係数により決定せられて常係数である。、これが構造方程式であり,独立 変数はXh(h=1…22)J.23」.24,X26の25個, Ckが従属(構造)変i数である。

 3.3.解の可能領域について。

 (1)まず,経済学的要請により

      〔X1,…,X22,J.23,J.24,X26〕 ⊇≧0         ・         (91)

 (2)Ck(k=1,…,22)も非負。従って,上の式(90)について

      〔Mlo十…十M1,26×26M22,0十…十M22,26×26〕》〔::〕 働

である。

 (3)計画年度の消費水準は基準年のそれを下まわってはならないとの要請があるから,

特殊の財グループについてつぎの制約条件式が成立

      C1+C2≧467,67       (93)

      Cg+C13≧445,83       (94)

         C22≧521,70       (95)

更にC24+C25+C25は基準年度のC26を下まわってはならないとの制約条件式       C24+C35+C26≧C260      (96>

がおかれるが,定義から

      C24+C25+C26=・X23一(C1+…+C22)       (97)

である。ここにX26は漸近的状態における家計所得であるが,漸近的状態においては労働 の完全雇庸が成立すると想定されているから,このことを考慮してX23は基準年度の所得 X23。一8422.45に1.21を乗じて求められている。(単位は千万ルピー)

      X23=1.21×23。      (98)

で1950年一51年度の漸近的状態における家計総所得と考える。基準年度においてはC2馬}。一 111・95であるから・式(96)は

(16)

      1.21×23。一 (C1+ … + C脅の≧C2GO      (99)

となり,制約条件式として(93),(94),(95),(99)が成立。 これらの制約条件式のC11,

…,C鯉に式(86)を代入すれば一般に

      〔;〕+〔;;;〕〔1〕〉〔∵〕一

が成立する。式(100)において左辺の第一項は(4×1)の定数項ベクトルであり,式(86)

の定数項とそれ以外の定数から,第土項の行列は(4×25)の係数行列であり,同じく式

(86)の係数から求められ,〔X11,…、X.翌、}〕 は(25×1)のベクトルである。尚式(100)に

おbては式(95)が成立するから式(92) ノついてC22≧0の制約条件式は余分となり,

制約条件は(92)について一個減ずる。以上の(91),(92), (100)の一次不等式によりきめ られるconvex setが解領域を決定する。この中で最適解が求められるのであるが,この ためには最大にされるべき選択関数が設定されねばならぬ。

 選択関数として

      f=C1十C2十 … 十C22      (101)

を設定する。この式(101)のC1,…,C22に式(86)を代入すれば〔X1、…X2。〕 につい ての一次式に変換され通常の線型計画の方法により最適解を求めることが可能となる。以 上で漸近的問題の考察を終わる。ここで以上に関連して次年度計画問題の選択関数の変数 vについて考察する。ここでは最適投資の決定が考えられたのであるが乳これを通じて生 産部門の資本設備を漸近的状態の資本設備Kh(h−1,…22)に近づけ,以て国民経済を 漸近的状態に近づけんとする意図があったのである。即ち,最適解ベクトルが求められれ ば,Kh−bhXhによって, Khが求められ,しかも, t期の期首の資本設備がt期の産 出高を決定すると考えられているからである。

       囮

 一般に計画年度の初めの現実の資本設備をKh。考え, h部門において計画年度におい て,J.hの投資が行なわれ,右期間の減価償却をDhと考えれば,計画年度末の資本設備

をKhにて示すとき

      Kh=Kh。+J.h−Dh       ・        (102)

が成立すると考える。しかし,このKhが,漸近的状態を想定して求められたKhに等し くなることはまずないから,両者の差はKh−Khにて示されるが,ここで計画年度(次 年度)計画においてΣ(Kh−Kh)2を最小にせんとする努力が払われると考える。この

ことは式(102)を考察すれば

    ヒ      へ      

  オ    Σ(Kh−Kh)2=Σ〔(Kh−Kh。)一(J.h−Dh)〕2

      ÷Σ〔(Kh−Kh。)2−2(Kh−Kh。) (J.h−Dh)〕

      ÷Σ(Kh−Kh。)2−2Σ(Kh−Kh。) (J.h−Dh) (103)

であるからΣ(Kh−Kh。)(J.h−Dh)を極大にせんとすることと同義である。 この

(17)

ことを考慮して,先記選択関数のVに関すろ式(52)を

      v一Σ緬銑、(J.h−Dh−KhQ))    (1・4)

と表現し直す。(ここにΣ(Kh−KhQ)≒0と想定されている。)この変換によりvを J・h−Dhのウエイトをつけた比率の和であらわし,計画年度において可能な限り,資本 設備をKhに近づけようと努力するのである。勿論漸近的状態にある限り,各部門の投 資は式(74)により一義的にきまるが,計画年度においては到底この投資のなされる筈も ないから,いわば,実現した投資の理想的投資とも見られる投資に対する加重平均の比率 を即ち式(104)を考え,これを選択関数の変数として採用するのである。

 4.掬,以上の2.3.を通じての議論について,つぎのようなことが問題点として指摘さ れるであろう。

 (1)漸近的状態の決定に当っては,外生的にあたえられる人口成長率について,斎一的 に拡張する経済が可能と考えて,この想定の下に漸近的状態の決定がなされているが,外 生的にあたえられると考えられる任意の人口成長率について,必ずしも斎一的に拡張する 経済は可能でない。この想定がなされるためには人口成長率eCについて一般モデルの場合 式(82)の成立が必要,十分であり,このことは前述した。しかし,ブリッシュの場合,

この事には全然考慮が払われることなく斎一的に拡張する経済が想定され,この想定の下 に漸近的状態の決定が論じられている。

 (2)漸近的状態の決定の模型は,式(83)乃至式(86)である。この模型のえられるた めには生産部門の資本設備と決定された投資のflowの間に

      Kht・=Kht−1+J.ht−sh−1−Dhト1      (65)

の成立が前提である。J.hレsh−1はSh期以前のdecisionの結果としてt年度に使用され るに至る投入量であり,Sh≦1の場合は聞題ないとしても, Sh>1の場合問題がある。こ の式(65)に関する限り,t−Sh−1期に一度投資されたらその投資はそれ以後の期間におい て何も追加して投入されることなくt時点においては資本財として可動される状態にいわ ば自然に成熟すると考えられている筈である。がしがし,このように考えることには無理 があると思われる。資本設備として可動出来る状態になるまでの期間において,本源的生 産要素を含めて何らかの投入量は必要と考えるのが自然であるからである。所が,投入産 出行列において,第25列を除く各エレメントはすべて経常勘定のcross−deliveryであるか

らこのように考える余地はない。更に上のように自然成熟しないで追加的投入量が必要と 考えれば式(65)そのものが成立しなくなる。だから,式(65)の前提はSh>1と考える 限りあまりにもrigidすぎると考えざるをえない。問題は単なる理論的考察ではなくて,

計画と予測のための模型考察であるから尚更である。更に,式(65)は式(102)とも矛盾 する。成熟のlagが整数で表わすことが出来るように期間がとられていることからしても,

式(102)においては,投資のmaturity lagは全然考えられていないからである。

(18)

  (3)掬.ブリッシュの場合には,漸近的模型,短期の計画模型のすべてを通じて(25×25)

の係数行列は不変と考えられている。この係数行列の中で(22×22)の生産部門に関する 係数行列は投入係数であり,技術係i数であるから,この係数行列が安定的な構造をもつと 考えても一応さしっかえないが,それ以外の係数行列まで安定的と考えることには.大きな 無理があると思われ,このことは前述した通りである。

(1)R.Frisch, From National Accounts to Macro・econoniic Decision Models,,, Income and

 Wealth Series】V, Bowes&Bowes London,1955 PP.2−6

(2) R.Frisch, Planning for India , Indian Statistical Series No.8,1960

(3)A.Primary products:

 1. Agriculture

 2. Animal husbandry, fishery and fρresty  3.Mining   

B. Large.scale manufactures:

 4.Metal and engineering

 5. Chemicals

 6. Buildipg materials and wood manufactures

 7. Fuel oil and power

 8. Food, drink and tobacco  g. Textile and textile products

10. Ceramics and glass

11. Leather and rubber

 12. Paper and printing

 C,Small・scal manufactures;

    13..Textile and textile products     14..Metal

    15. Food, drink and tobacco

    16. Building materials and wood manufactures

    17.Miscellaneous

 D.Others:

    18. Railways and communication     lg. Trade and other transport     20. Banks, insurance,professions     21. Construction

    22. House property

(4)R,Frisch, From:National Accounts to… ㌧PP.12・24

(5)R.Frisch, Plannig… PP.72・74のTable1.

(6)ソFr一(R・M,Solow)の列和の条件である, R・M, So1Qw Qn the Structμre Qf Li塾e肛MQ・

(19)

   dels , Econometrica,20;PP29−46尚行ベクトルに・を付したベクトルは列べクトルを示し,

   (m×n)行列はm行,n列の行列を示す。

  (7)インドの逆行列表は,R.Frisch, Planning… PP・76−78, Table2.

  (8)インド.の場合の投資係数行列はR・Frisch, Plannin9… PP・79−81 Table3.、

  (9)P.C.Mahalanobisの Draft Plan・frame Dn17March1955 においては,次期の5ケ年計画に    おける雇庸増は1,100万と目標をきめており,年平均220万である。P・C・Mahalanobis, The Ap・

   proach of Oeprational Research to Planning in India,, Indian Statistical Series No.18    (1963)P.47

 (10)P.C.Mahalanobis lこおいてもこの数値が採用されている。P.C・Mahalanobis, oP・cit・PP・39−40

 q1}Frobenius定理については,例えば三階堂副包ミ現代経済学の数学的方法  岩波書店,1961年

  第3章参照。

  (1鋤 R.Frisch, Planning… , P10

       (1966.5.31)

参照

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