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定時株主総会後の事務
(議事録、登記、公告)
宮澤正彦
相談部 東京相談室
今回は、定時株主総会終了後の事務について、議事録の作成、登記、決算公告につい
て旧商法との相違点や留意事項などを中心に解説します。
なお、ここでは、特に断りのない限り、取締役会設置会社を前提としています。
文中で適用条文について触れている場合は、会社法は「会」、会社法施行規則は「施行」、会社計算規則は「計算」、
民法は「民」、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律は「整備」と略して表示しています。
(例)会社法施行規則72条2項……「施行72②」
1. 株主総会の議事録の作成
株主総会議事録については、旧商法と大きく異なるところはありません。旧商法で義務付けら
れていた議長および出席取締役の株主総会議事録への署名または記名押印は、会社法では義務
付けられていません。しかし、定款で署名または記名押印を義務付けている場合は当然ですが、
実務的には真実性を担保するなどトラブル回避の観点から従来どおり署名または記名押印をす
ることをお勧めします。
会社法では、株主総会を開催したときは、その議事について議事録を作成しなければならないと
定めています(会318)。議事録を作成しなかった場合は、代表取締役は100万円以下の過料に処せ
られます(会976⑦)。
[1] 作成方法
書面または電磁的記録により作成します(施行72②)。
[2] 記載事項
記載方法は特に定められておらず箇条書きや文章記述方式など各社のスタイルで記載しますが、
議事録に記載すべき事項は、会社法施行規則が以下のとおり定めています(施行72③)。
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なお、通常実務では、これらに加え、株主総会が適法に成立したことを証するため、株主総会の
定足数などを、「行使することができる株主の状況……株主数と議決権個数」、「うち出席株主の
状況(委任状および議決権行使書提出株主を含む)……株主数と議決権個数」などとして加えます。
①開催日時および場所(取締役・監査役等または株主が、その場所にいないでテレビ会議などで
出席した場合は、その出席方法を記載します)
②株主総会の議事の経過の要領およびその結果
議事の経過の要領としては、次のような事項について要旨を記載します。
イ)報告事項
ロ)議案についての説明の要旨
ハ)質疑応答についての重要と思われる発言の要旨
ニ)株主の発言のうち決議に重要な影響を与えると思われるものの要旨
ホ)議事運営についての動議や修正動議があったときは、その要旨
議案についての賛否の結果
記名・無記名の投票、起立、挙手など決議方法と決議の結果を記載します。
決議の結果については、賛成した株主の議決権数の記載がのぞましいといえますが、「過
半数の賛成があった」又は「満場一致で可決した」と記載しても差し支えありません。
ただし、定款変更など特別決議を要する場合は、「3分の2(定款でこれを上回る割合を定
めている場合は、その割合)以上の多数で可決した」と記載します。
③株主総会に出席した取締役・監査役等または会計監査人の氏名または名称
④議長の氏名
⑤議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
⑥上記のほか、監査役、会計監査人や会計参与の意見陳述権(注1)や報告義務に基いた意見や
発言があるときは、その概要を記載します。
注1:意見陳述権には、イ)会計参与、監査役または会計監査人の選任、解任、辞任についての意見、ロ)これらの者
が辞任をした場合の辞任の理由、ハ)会計参与や監査役の報酬等についての意見などがあります。
注2:報告義務には、監査役の議案・書類等に関する法令・定款違反に関する調査結果の報告などがあります。
■議事録の作成に係る職務を行った取締役とは
作成した議事録に作成者として最終責任を負う取締役をいいます。この作成者は、代表取締役
以外の取締役でもよいとされています(出典:相澤他『論点解説 新・会社法』)。ただし、最高
の意思決定機関である株主総会の議事録作成者は、会社を代表する者として代表取締役が望まし
いと一般的にはいわれています。
<出席取締役や監査役が署名または記名押印をする場合の文例>
出席取締役 議長 代表取締役社長(議事録作成者) ○○○○ 印
専務取締役 ○○○○ 印
・・・・・・・
出席監査役 ○○○○ 印
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[3] 作成期限
期限の定めはありませんが、登記が必要な場合は2週間以内に議事録を添付して行う必要があり
ます。
[4] 備置き
作成した議事録は、株主総会日から本店では10年間(支店では写しを5年間)備え置き、株主や
債権者の閲覧に備えます。
■役員(取締役・監査役・会計参与)及び会計監査人の就任承諾と登記
会社と取締役の関係は、委任に関する規定に従うため(会330)、株主総会における取締役の選
任決議のみでは、取締役は決定せず、被選任者が就任の意思表示をして初めて取締役としての資
格が生じます(民643)。
ただし、会社法では取締役の任期の始期は、承諾の時期に関わらず(就任の時からではなく)
「選任の時」から起算することとされました(会332①)。
①役員等が株主総会に出席しており、その場で、就任を承諾した場合
登記申請に際しては、議事録に就任を承諾した旨の記載がある場合、別途就任承諾書の添付は不
要です。
<議事録の文例>
……本議案は原案通り可決、選任された取締役(監査役・会計参与)はその場で就任を承諾
する旨を表明したので、上記のとおり確定した。
②役員等が株主総会には出席せず、事前に承諾を得ている場合
この場合は、事前に承諾を得ている旨を総会議場で報告しその旨を議事録に記載しても、登記
申請に際しては、別途就任承諾書の添付が必要です。
なお、同様の趣旨で、「【コラム】株主総会の決議の省略」の際の議事録に就任を承諾した旨の
記載があっても、株主総会が現実に開催されていないため、就任承諾書として援用できず、登記
申請に際しては、別途就任承諾書が必要です。
取締役が株主総会の議案事項について提案をした場合、その提案について書面又は電磁的記録に
より株主全員が同意の意思表示をしたとき、その提案を可決する旨の株主総会の決議があったもの
とみなします。株主総会を現実に開催することなく、その議案が株主の全員一致により可決された
ものとする制度です。
この決議の省略は、取締役会決議の省略と異なり、事前に定款で定めておく必要はありません。
この場合も必ず議事録を作成する必要がありますが、その場合の議事録の記載事項は、次のとお
りです。
<記載事項>
・提案議案の内容
・提案をした者の氏名または名称
・株主総会の決議があったものとみなされた日
・議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
コラム |株主総会の決議の省略
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2. 取締役会の開催
定時株主総会終了後の取締役会の開催についても、旧商法と異なるところはありません。
定時株主総会終了直後の取締役会では、一般的に ①代表取締役の選定、②役付取締役の選定、
③使用人職務の委嘱、④報酬等(賞与、退職慰労金を含む)の配分の決定――などの議案が審議さ
れます。
■書面決議による株主総会議事録(例)
1.提案者
○○○株式会社 代表取締役社長 ○○○○
2.株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
1)取締役○○○氏の死去に伴う取締役選任の件
○○○○氏を取締役に選任した。
2)取締役 故○○○氏への退職慰労金および弔慰金支給の件
当社の取締役会規程に基き支給することを決議した。
3.株主総会の決議があったものとみなされた日(注 1)
平成○年○月○日
以上、株主総会の決議があったものとみなされた事項について、株主全員
の同意があったため、会社法第 319 条 1 項の規定により株主総会の決議があ
ったものとみなされたので、この議事録を作成し、議事録作成者 代表取締
役社長○○○次に記名押印する。
平成○年○月○日
○○○株式会社
代表取締役社長 ○○○○ (印)(注 2)
注 1:全株主からの同意を得た日を記載します。
注 2:法令上は、株主総会の議事録には、署名または記名押印は求められていませんが、原本であるこ
とを証明するためなど実務上のトラブル回避のため、作成者の署名または記名押印をしておくことが望
ましいといえます。
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3. 取締役会議事録
取締役会議事録についても、旧商法と異なるところはありません。株主総会議事録では任意規
定となった出席取締役と監査役の取締役会議事録への署名または記名押印は、旧商法同様、会社
法でも義務付けられています。
[1] 作成方法
書面または電磁的記録により作成します。なお、議事録が書面で作成されているときは、出席し
た取締役と監査役はこれに署名又は記名押印しなければなりません(会369③)。
[2] 記載事項
記載方法は特に定められておらず箇条書きや文章記述方式など各社のスタイルで記載しますが、
議事録に記載すべき事項は、会社法および施行規則が以下のとおり定めています(会369③、会社規
101③)。
①開催日時および場所(取締役・監査役または株主等が、その場所にいないでテレビ会議などで
出席した場合は、その出席方法を記載します)
②特別取締役(注)による取締役会であるときは、その旨
③招集権者以外の取締役や監査役あるいは株主の請求により招集された場合は、その旨
④招集請求をした取締役や監査役あるいは株主が招集した場合は、その旨
⑤議事の経過の要領およびその結果
※取締役会の決議に参加した取締役で、議事録に異議をとどめないものは、決議に賛成した
ものと推定されます(会369⑤)。
⑥決議事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名
⑦取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人または株主の氏名または名称
⑧取締役会の議長の氏名
⑨監査役の意見や報告など一定の意見や発言については、その意見または発言の内容の概要
<議事録への記載が必要な主な意見や発言>
イ.競業取引を行った取締役による、その取引の重要事実についての報告(会365②・419②)
ロ.利益相反取引を行った取締役による、その取引の重要事実についての報告(会365②・419②)
ハ.計算書類承認の取締役会における会計参与の意見(会376①)
二.取締役の不正行為や法令違反があると認めたときの監査役の報告(会382)
ホ.監査役の意見(会383①)
注:取締役の数が6人以上、かつ取締役の1人以上が社外取締役である株式会社では、定款に定めることにより「重要な
財産の処分または譲受け」と「多額の借財」についての取締役会決議を、取締役会があらかじめ選定した3人以上
の取締役(特別取締役)により、行うことができます(会373)。この場合は、「特別取締役による議決の定めが
ある旨」、「特別取締役の氏名」、「社外取締役の氏名」を、登記しなければなりません(会911③二一)。
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[3] 作成期限
期限の定めはありませんが、登記が必要な場合は2週間以内に議事録を添付して行う必要があります。
[4] 作成方法
作成した議事録は、取締役会開催日から10年間本店に備え置かねばなりません。
<取締役会議事録を閲覧できる場合>
イ.監査役を置いていない会社および監査役の監査権限を会計監査に限定している会社の株
主は、営業時間内であれば、いつでも取締役会議事録の閲覧と謄写を請求できます。
ロ.監査権限を限定していない監査役が置かれている会社の株主は、裁判所の許可を得た場
合に限り、取締役会議事録の閲覧と謄写を請求できます。
ハ.取締役会設置会社の債権者が、取締役・監査役・会計参与の責任追及のため必要がある
とき、および親会社の株主がその権利行使のため必要があるときは、裁判所の許可を得
た場合に限り、取締役会議事録の閲覧と謄写を請求できます。
■代表取締役など被選定予定取締役の選定決議への参加の可否(特別利害関係人か否か)について
代表取締役や役付取締役の選定をする場合の選定候補者は、特別利害関係人にあたらないとさ
れており、議決に参加することができます。なお、任期途中において代表取締役や役付取締役を
取締役会で解職する場合、解職決議の対象となっている代表取締役や役付取締役は、特別利害関
係人として、決議の公正を期するため、その議決に加わることができないとされています(会369
②)。
■監査範囲が会計監査に限定された監査役の取締役会への出席の要否と
出席時の署名または記名押印について
監査役は、原則として取締役会に出席する義務があり、この場合に必要があれば意見を述べな
ければなりません(会383①)。ただし、この義務は業務監査を行う監査役に限られており、監査
役の監査の範囲を会計監査に限定した会社の監査役は、取締役会への出席義務を負いません(会
389⑦)。ただし、監査範囲を限定した監査役であっても、報告徴収権や子会社調査権などを有し
ており(会389)、その権限行使のために取締役会への出席が必要となる場合もあります。出席取
締役・監査役の署名または記名押印義務の規定について会計監査に限定した監査役は除外されて
いないため、任意で取締役会に出席した場合は、その監査役は議事録に署名または記名押印を行
う義務を負います(出典:相澤他『論点解説 新・会社法』)。
■代表取締役の就任登記と取締役会議事録への出席取締役の押印する印鑑について
個人の実印と認印の使い分けは、8 ページ「代表取締役の変更登記」の<注 1>を参照。
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株主総会の書面決議(決議の省略)と異なり、取締役会の決議の省略は「決議を省略できる旨」
の定款の定めがある場合に限り、行うことができます(会 370)。
取締役会の決議事項について、議決に加わることができる全ての取締役が書面または電磁的記
録により同意の意思表示をしたとき(業務監査権限を有する監査役がその提案について異議を述
べた場合を除く)は、その決議事項が可決されたものとみなします(会 370)。取締役会を現実
に開催することなく、その議案が取締役の全員一致により可決されたものとする制度です。
なお、監査権限を会計監査に限定した監査役は、異議を述べることはできません。
この場合も議事録を作成する必要がありますが、記載事項については次のとおりに定められてい
ます(施行 101④)。
<記載事項>
・提案議案の内容
・提案をした取締役の氏名
・取締役会の決議があったものとみなされた日
・議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
注:取締役会の決議の省略時の署名又は記名押印の扱い
この場合は、出席取締役等がいないため、取締役会議事録への取締役等の記名押印義務は課せられていません。ただ
し、代表取締役の選定について取締役会決議が省略された場合は、登記申請のため、原則として、決議に同意の意思
表示をした取締役全員が個人の実印を押印し印鑑証明書を添付する必要があります。個人の実印と認印の使い分け
は、8 ページ「代表取締役の変更登記」の<注1>を参照して下さい。
4. 登記
会社法では、機関設計の多様化や多様な種類株式の発行など経営の裁量が大幅に自由化さ
れました。このことを公示するため、登記事項が大幅に増えています。経営に関する諸施策
を実施する際は、それが定款変更および登記を伴うものであるか否かを確かめることも大切
です。
今回の株主総会で定款変更を議決した会社は、その変更が整備法で定款に記載されている
とみなされている項目の明文化だけであるのか、それ以外の変更をしているのかを確認して
ください。前者の場合は、その変更が登記事項であっても既に職権で登記がされていますが、
後者の場合は、その変更が登記を必要とするものであるか否かを確認する必要があります。
定時総会の典型的な事後処理として、役員(取締役・監査役・会計参与)および会計監査
人に関する登記について解説します。①取締役・監査役の変更登記、会計監査人の再任登記、
②会計参与・会計監査人の新規登記、③代表取締役の変更登記について解説します。なお、
会社法では、会社法や定款で定めた員数を欠くときなどに備えて補欠の取締役や監査役を、
定款の定めがなくても予め選任することができるようになりましたが、この補欠取締役や監
査役は登記事項ではないため、具体的に就任するまでは登記はしません。
コラム |取締役会の決議の省略
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[1] 取締役・監査役の変更、会計監査人の再任登記
登記事項 添付書類その他
取締役・監査
役の就任(退
任)、再任
①取締役の氏名
②就任(退任)し
た旨
③就任(退任)年
月日
①株主総会議事録又は決議があったこととみなす書面
その取締役・監査役が選任(退任)されたことが記載されて
いるもの
②就任を承諾したことを証する書面
就任承諾書又は株主総会議事録による援用(注)
注:議事録による援用については、2 ページ参照
会計監査人の
再任
① 会 計 監 査 人 の
氏名・名称
②再任年月日
株主総会議事録又は決議があったこととみなす書面
会計監査人の任期は、他に改選される等の場合を除き1 年の
自動更新が前提のため、改選議案等が記載されていないこと
により再任を確認します(就任承諾書の添付は不要)。
[2] 会計参与・会計監査人の新規登記
登記事項 添付書類その他
機関の新設
/就任
①会計参与・会計
監 査 人 設 置 会
社 の 定 め を 設
定した旨
②会計参与・会計
監 査 人 の 氏 名
(名称)
③(会計参与の場
合)計算書類等
の備置き場所
④就任年月日
①株主総会議事録又は決議があったこととみなす書面
会計参与・会計監査人設置会社の定めの設定をした定款変更
決議および会計参与・会計監査人を選任したことが記載され
ているもの
②就任を承諾したことを証する書面
就任承諾書又は株主総会議事録による援用(注)
③会計参与・会計監査人が法人であるときは法人の登記事項証
明書(法人でない場合は、税理士又は公認会計士の資格証明
書)
注:議事録による援用については 2 ページ参照
[3] 代表取締役の変更登記
登記事項 添付書類
就任 代 表 取 締 役 の 氏
名と住所、就任年
月日
・取締役を選任した株主総会又は種類株主総会の議事録
・代表取締役を選定した取締役会の議事録(注1)
・就任を承諾したことを証する書類(注2)
注 1:取締役会議事録には、原則として出席した取締役および監査役の全員が
個人の実印を押印し、市区町村長が発行した印鑑証明書を添付して代表
取締役の就任登記申請を行います(商業登記規則 61④三)。ただし、代
表取締役が再任される場合や、前任の代表取締役が平取締役として出席
する場合で、その者が登記所に提出している届出印を押印する場合に
は、他の出席取締役および監査役は認印でよく実印押印および印鑑証明
書の添付は不要です(商業登記規則 61④三ただし書き)。
注 2 代表取締役への就任を承諾する旨の就任承諾書には、原則として、個人
の実印を押印し、市区町村長が発行した印鑑証明書の添付が必要です
(商業登記規則 61②・③)。ただし、同じ人を再度代表取締役として選
定した場合は、実印の押印と印鑑証明書の添付は不要です。
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■「監査役設置会社」とは、
会社法では、業務監査権限を有する監査役のいる会社をいい、監査役のいる場合でも監査権限が会
計に限定されている会社は、監査役設置会社といいません。
一方、登記事項証明書(登記簿の謄本または抄本)に記載されている「監査役設置会社」とは、監
査役がいる会社のことであり、この場合は、監査権限が会計に限定されている監査役がいる会社も含
まれます。したがって、登記事項証明書を見ただけでは、監査役の監査権限がいずれであるのか不明
であり、定款を見ない限り監査権限の範囲は確認できません。
5. 決算広告
定時株主総会後の公告としては、決算公告があります。旧商法においては、全ての株式会社に
決算公告が義務付けられていた一方、有限会社では義務付けられていませんでした。会社法では
最低資本金制度が撤廃され1円からの起業や1円までの減資が可能となったこともあり、債権者
保護の観点からは、貸借対照表(大会社は、損益計算書も含みます)の開示へのニーズが高まっ
ています。
コスト面から開示を促進するため、官報や日刊紙などの公告に代えて、定時総会終結日から5
年間、自社のウェブ上で貸借対照表を開示すればよい制度が設けられています。
さらに、有価証券報告書提出会社は、決算公告よりもより詳細な情報が開示されているため、
公告は不要とされました(これらの情報は、EDINET などで閲覧できます)。
[1] 開示が必要な会社
全ての株式会社が対象です(会440①)。
ただし、有価証券報告書提出会社は不要です(会440④)。なお、特例有限会社(整備法28)お
よび持分会社は、開示が義務付けられていません。
過料規定
会社法の規定による公告もしくは通知をすることを怠ったとき、又は不正の公告もしくは通知
をした場合は、100 万円以下の過料に処すると規定されています(会 976②)。
[2] インターネットのウェブ上で開示する場合
定時総会の終結後遅滞なく、次の要領で掲載する場合は、公告は省略できます(会440①③、計
算175)。
・貸借対照表(大会社は、損益計算書も含みます)を掲載します。なお、この場合は、下記3.
と異なり要旨だけの掲載はできません。
・定時株主総会の終結日から5年間、ウェブ上で掲載し続ける必要があります。この場合、ウェ
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[3] 公告する場合
官報(注1)、日刊新聞紙(注1)または電子公告(注2)のうち、定款で規定した方法によります。
定款で定めていない場合は、官報とされます(会440①、939)。
注1:官報および日刊新聞紙への公告の場合は、要旨でよいとされています。なお、要旨の記載事項は法定されていま
す(会440②、計算164~171)。
注2:上記のウェブ掲載との整合性から、掲載期間は定時総会終結日から5年間です(会940①②)。さらに、この公告
については、ウェブ掲載を証明する調査機関による調査は不要です(会941括弧書)。
この場合も、定時総会の終結後遅滞なく掲載する必要があります(会440①)。掲載項目は、貸
借対照表を開示します。なお、大会社は、損益計算書も開示する必要があります(会440①)。
みずほ総合研究所 相談部東京相談室 03-3591-7077 / 大阪相談室 06-6226-1701 http://www.mizuho-ri.co.jp/
本情報は、法律、会計、税務等の一般的なご説明をしたものです。個別具体的な法律上、会計上税務上等の判断や対策などについては
専門家(弁護士、公認会計士、税理士等)にご相談ください。また、本情報の全部または一部を無断で複写(コピー)することは著作権法
上での例外を除き、禁じられています。
内容は2007年5月29日時点の情報に基づいて作成されたものです。